2015/06/08 - 19:16~00:38 のログ
ご案内:「ゲームセンター「セバ」」に川添 孝一さんが現れました。<補足:時代錯誤なヤンキーファッション。(乱入歓迎)>
川添 孝一 > (ゲームセンターに現れる時代錯誤な不良スタイルの男)
(目的はクレーンゲーム、そのボルト・デスティニーの可愛い系グッズの収集である)
おっ……ここはドナルド・ピジョンの人形があるじゃねぇか…ふかふかしてっかな…
(男はデスティニーランドの年間パスを買っているほどのデスティニーファンであった)

川添 孝一 > (早速お金を両替する)
(硬貨をジャラジャラと財布に入れるとクレーンゲームの前に仁王立ち)
(仁王立ちのまま顔を左右に振る)

(左側に回りこむ)

(正面に戻って再び顔を左右に振る)

(挙動不審なこと甚だしいが、彼はこうやって奥行きと人形の位置を把握しているのだ)
(人の眼は二つしかない―――――ならば、視界を補うのは足なのだ)

川添 孝一 > (硬貨を一枚投入する)
(音楽が鳴り始めるクレーンゲーム)
さて、いっちょやってみるか。
(手を数度はたくように気合を入れると、ボタンを押す)
(ゆっくりとスライドしていくクレーン)
……!(ちょうどいい位置――――あくまで中央ではなく、様子見に引っ掛ける位置につける)
ここか……っ!(そして次のボタンを押し、クレーンを奥へ進ませる)
(ニヤリと笑った、絶好の位置)
(これで取れるということはまずないだろう、ゲームセンターもある程度まで金をかけないと取れない工夫をする)
(それでもアームの力を推し量り、この人形の重量を知る切欠、布石の1プレイである)

川添 孝一 > (絶望―――――僅かにもブレることのない人形)

な、なにィ………っ!
(アームの力は恐らく普通、だが―――この人形は重量感があるのだ)
つまり……ずっしりしたドナルド・ピジョンか…超欲しいぜ………!

(ここでこのクレーンゲームの仕様を説明せねばなるまい)
(二本の鉄の棒があり、その上に鎮座したドナルド・ピジョンの人形)
(下は極楽、落ちれば即ゲットの穴が口を開けている)
(つまり、人形をアームでずらせばゲットできるということだ)
(クレーンゲームだからといって律儀に掴んで持ち上げる必要など微塵もない)

……なるほどな。大体わかった。

川添 孝一 > (求められるものは精緻なコントロール)
16回以内に取れれば上等ってところか……
(即座に計算を済ませる、それ以上金をかけても無駄だ)
(プライズに賭けるはプライド、クレーンゲームとは『道』である)
(険しい道のりだが、踏破すれば充実感は大きい)

(元・不良VSクレーンゲーム、その始まりの序曲が有線から流れた――――アニソンだが)

川添 孝一 > (店員が話しかけてくる)
「お客様、取れないプライズがありましたらご説明を」
いや、いい。大体わかった、自分でやれる。
(その声に店員が一瞬、真顔になる)
「そうですか、わかりました。『ゲーム』を『お楽しみ』ください」
(店員の含みのある言葉は、挑戦状)
(決してこのサイズのプライズを簡単に取れることはないという自負がそうさせているのだ)
(川添の視線が店員を捕らえる)

(このクレーンゲームを『調整』したのはこいつか)

川添 孝一 > まぁ見てな………すぐに取って見せるからよ、人形入れる袋用意しといてくれや…
(店員の眉が一瞬上がり、一歩下がる)

(積み上げられたのは川添の両替した硬貨だけではない、男の矜持もだ)

(有線から流れるアニソンがサビに入った)
(気合を入れなおして硬貨を投入する)

川添 孝一 > (このドナルド・ピジョンの人形という巨大なモンスターを倒すには一撃では無理だ)
(つまり、連打)

(硬貨を5枚、同時に入れる)
(すると残り回数が6回増えた)

「おい、あの不良がアレに挑戦するぞ……!」
「無理だ、あの人形は大きすぎてビクともしない」

(ギャラリーが集まってくるが、集中力を切らさない)
(そしてクレーンアームを動かし、人形の右足を引っ張るようにアームで押した)
(ただし、一度ではない)
(6回連続でピタリと右足を引っ張ったのだ)

「あっ、あいつ! なんて正確なコントロールなんだ!」
「ま、まさか…あの時代遅れなヤンキースタイル……」
「“いつだってUFO”(フォー・ユー)の川添孝一か!!」
「なにぃ!! あの高名なプライズゲッターじゃねぇか!」

川添 孝一 > (その名前が出ても一歩下がった位置で見ていた女性店員は笑顔を崩さない)
(川添と店員は視線を交わさない)
(だがお互いのクレーンゲームに挑む一挙手一投足が―――激しい戦いの火花を散らしているのだ)

(すぐに硬貨を5枚投入すれば、クレジットが6回分増えて―――無駄のない投資が勝利を生む)
(今度は位置を調節するように人形の左足を一打)
(そして再び右足にクレーンアームの五連打を浴びせる)

「あいつ、あのサイズの人形を相手に一歩も退かないぜ!」
「本気で倒す気なのか……!」
「無理だ、財布の中身が空っぽになっちまう…それくらい危険なサイズだぜ…!」
「でもあの人形を見ろよ! 確かに二本の棒の上からズレてきてる!!」

(ギャラリーの中に期待が満ちていく)
(もしかしたらあの男こそがモンスターを倒してくれるのではないか、と)

川添 孝一 > (しかし女性店員の張り付いたような笑顔はそのままだ)
(自らが飼うモンスターであるドナルド・ピジョン人形は最強だ)
(取れそうで取れない絶妙な配置が射幸心をくすぐり、見とれた者を必ず浪費させて帰す)
(これこそが業界で“アリ地獄の女傑”(ゴートゥヘル)と呼ばれた女性店員の計)

(一方、川添孝一も涼やかな表情を崩さない)
(必ずこの人形を持ち帰るという必勝の構えで挑んでいる)
(ギャラリーの熱気も上がるばかりだ)

ご案内:「ゲームセンター「セバ」」に槙壌 結雅さんが現れました。<補足:PCNo:151/ゲスを体現化したようなメイドさん。一応神様らしいが…?>
槙壌 結雅 > (神出鬼没。それが、己を顕わす言葉。だが、今日だけは、例外だ。)
…!
(何故って、今日は紅茶も緑茶もメイドも捨てて、ただただ、彼の繰り出すクレーンゲームとの死闘を眺める、ギャラリーの一人なのだから。)
…しかし、…このまま、いけるんでしょうかしら。
(“アリ地獄の女傑”(ゴートゥヘル)に一瞥を遣れば、彼女は相変わらず顔に笑顔を張り付けている。着実に、彼が、そして、彼の狙った人形が「ゴール」へと近づいているというのに。)
…何か、ニオいますわね。
(訝し気に、クレーンゲームのクリアなガラスを、見遣った。)

川添 孝一 > (槙壌結雅と混じってギャラリーたちが会話を交わす)
「さすがにあの人形相手じゃ川添孝一と言えども分が悪いんじゃないか…?」
「いくら大きな人形だからってあんまりつぎ込んだら同じサイズの人形がショップで買えちまう」
「ギリギリだ……ギリギリなんだ、その見極めができねーやつはこのゲーセンに喰われるだけさ」
(ギャラリーの会話はヒートアップする一方だ)

(必勝の一手、この巨大なモンスターを切り崩すには足を斬りつけるしかない)
(川添はクレーンアームを精緻に操作し、慎重に右足を引いた)

(勝利の機運が高まる)
(この時、仕掛けに――――仕掛けられた罠に気付いていたのは槙壌結雅と女性店員だけだっただろう)

な、何ぃ!?
(なんと、足を引きずられた人形が大きなお尻を二本の鉄の棒に深く沈ませたのだ)
(これでは取れるものも取れない―――)

「こ、これを狙っていたのか、ゲーセン側は!!」
「あれじゃあもう取れねぇ!! 再設置を頼んだら勝負は仕切りなおし、もう勝ちはない!!」
「こんなこと……許されていいのかよぉ!!」

(だが、川添の表情はまだ諦めてはいない)

槙壌 結雅 > あら。
(やっぱり一枚仕掛けていたか、そう言わんばかり。ただただギャラリーにて一人、素っ頓狂な声を漏らす。)
…あれを…どうするのかしら。無理だと思うのだけれど。
(顎に手を当て、思案する。まるで尻もちをついて、地面を抉ったかのように不格好な人形。あれを、あの巨体を「普通」のクレーンで引き上げる…?無理がある。)
…勝ちは無い、ですわね。
(ギャラリーの声に混じって、熱が冷めたかのような一声。彼も、あと2,3回やったら不可能と言う事に気付いて、熱が冷めるだろう。己もまた、そう思った。如何に、彼がゲーセンに精通していたとしても、相手が悪すぎる。魔物―モンスター―の名にふさわしき、巨大な人形。そして、それを使役する、“アリ地獄の女傑”(ゴートゥヘル)…不可能を可能に、か。)
…ですけれど。
(出来るなら魔術で支援してあげたいくらいの気持ちである。のだが、彼はきっとそれを良しとしないだろう。あくまで、自身の手で勝ち取る。諦めきっていないその表情からはそんなものが汲み取れた。…しかし、やはり、無理がある。そうとも思った。)

川添 孝一 > (諦めムードが蔓延していく)
(槙壌結雅もそうであるように、ギャラリーの誰もが思ったのだ)
(あのモンスターに勝つ手段などないのだ、と)
「やっぱりダメだ……このゲーセンは渋いとか設定が悪いとかいう次元を超えているんだ…」
「あれほどのプライズゲッターをハメるほどの設定力があって何故、俺たちを地獄へ落とすんだ…!!」
「クソッ、これでもう終わりかよぉ……」

(その時、川添孝一が硬貨を5枚投入した)
(6クレジットが積み増しされ、派手な音楽が鳴り響く)

「バッ………」
「バカな!? あの状態で再設置もせずに金を投入しただとぉ!?」
「あり得ない! あの地獄を切り抜ける手段なんてない!! ヤケになったか、川添孝一!!」
(有線からアップテンポのユーロビートが店内に響き渡る)

槙壌 結雅 > …は、はぁ?
(電子音と共に、赤色のアナログ表示の数字が6つ分上がる。残り回数が増えた。)
…ダメですわね、これは。
(それは、ギャラリーが言う通り、自棄になった判断が産んだ失墜か。回数を積めば取れると言うわけではない。先程まで、ギリギリで足を引っ張って来ていたが、今回からはそうもいかない。)
さて、私は太鼓の鉄人でもしていこうかしら。…ええっと、どちらに。
(6回やっても、例え12回やっても結果は変わるまい。きっと、彼もアリジゴクにかけられたかのように、このまま身を亡ぼしてしまう、そう思った。そして、己はもはやこの場所にはようもないと言わんばかり、立ち去ろうとする。さて、丁度その矢先、だろうか―――)

川添 孝一 > (槙壌結雅が去ろうとしたその時、歓声が上がった)
(この地獄を『調整』した女性店員の顔が引きつっている)
(一体何が起きたのか――――)

へっ、頭が下がってくれてよォ。やりやすいったらないぜ。

(川添孝一はクレーンアームで人形の頭を真下に押し込み始めたのだ)
(窮屈に体を歪めるようにじわじわと下がっていくドナルド・ピジョンの人形)

「うおおおおおおおぉぉ!! あ、あいつこれを狙っていたのか!?」
「モンスターの足を狙っていたのは、相手が頭を下げるのを待っていたんだ!!」
「そうか、俺たちはずっとあのモンスターはズラして落とすしかないと考えていた!」
「それは間違いなんだ!! 隙間ならすぐ下にある!!」

(無論、それを成立させているのは川添孝一の機械のような精密なコントロール)
(人形の体が徐々に下がっていく)

「「「「あと一回! あと一回! あと一回! あと一回!」」」
(ギャラリーのコールが鳴り響く中、女性店員は後ずさりしてカウンターに対し後ろ手に両手をついた)
(負けなんて考えられない、必勝の策だったはずだ)

槙壌 結雅 > …何、が…?
(一歩。まさにそれを踏み出したその瞬間。冷めきったギャラリー。諦めきった雰囲気。誰もが、己をもが、無理だと考えていたその局面に、まるで救済の如く喝采。そして、思わずそちらへと振り返り、太鼓の鉄人エリアに運びかけた足は、停止する。)
…あ、あれは…ッ…!
何という精密かつ慎重でありながら、根本には豪胆な策…!!
あ、あと一回、で御座いますわ!!
(巨大な魔物が、陥落する。その寸前の状況。…いける。潰せる。あと一回。そうでなくとも、まだ回数は残っている。思わず、ギャラリーに混じって、淹れたての紅茶の如き熱い歓声を一つ。)

川添 孝一 > (それは頭を押し始めてから6回目の攻撃、ラストアタック)
(ギャラリーの期待が、女性店員の絶望が、そして川添の勇気が一つの結果を導き出す)
(川添孝一が右手の親指を立て)

(ゴトン、と音が響いた)
(それは激戦の幕切れにあって、あまりにも呆気ない音だった)
(―――――川添の親指が下に向けられていた)


(次の瞬間、歓声がゲーセンを包んだ)
「やった! やったんだ!! あのモンスターが倒れたんだ!!」
「すげぇ、すげぇよ川添孝一!!」
「攻略法も知れ渡った、もうあの怪物に苦しめられることはなくなったんだ!!」
(沸くギャラリーに呆けた表情をしている女性店員)

おう、姉ちゃん。大きなプライズを取っちまったからよぉ。
袋をくれや………な?
(女性店員は怒りに顔を真っ赤にしていたが、すぐに営業スマイルに戻り)
「おめでとうございます、お客様! よろこんで!」
(そう言って人形を大きな袋に詰めた)

(人形を手にゲーセンを立ち去っていく川添孝一に、祝福するような太陽の光が差し込む)
……っ! ちょっとばかり…眩しいぜ………
(暗いゲーセンにいた人間から見てそれは後光のようにも見えただろう)


「で、なんであの男、ボルト・デスティニーの人形を欲しがってんだ?」
(最後にぽつりと溢したギャラリーの一言が、空しく響き渡った)

ご案内:「ゲームセンター「セバ」」から川添 孝一さんが去りました。<補足:時代錯誤なヤンキーファッション。(乱入歓迎)>
槙壌 結雅 > …。
(あっけからん。要塞が―――陥落した。)
おめでとうございますわーっ!!
(ついつい、その場のノリで己も歓声を上げてみたり。)

…あの人、確か有名な…そう、ディスティニーランド好きの元不良さんじゃなかったかしら。
(ふと、記憶を辿るなら、時代錯誤なヤンキーファッション…間違いなかろう。)

さて、私も太鼓の鉄人をして行かないと、いけませんわね。
それにしても、良いものが見れましたわ。
人間も、不可能を可能にできるんですのねぇ。えぇ、凄いですわ、彼は。
(一人、感心していたらしい。)

ご案内:「ゲームセンター「セバ」」から槙壌 結雅さんが去りました。<補足:PCNo:151/ゲスを体現化したようなメイドさん。一応神様らしいが…?>