2015/06/13 - 03:32~04:28 のログ
ご案内:「◆速度Free(過激描写注意)2」に秋尾 鬨堂さんが現れました。<補足:悪魔のLと呼ばれたマシンを操るドライバー。踏んでいける男>
秋尾 鬨堂 > ―――青垣山-常世港間高速自動車道、通称青港線、AM3:38。

未だ闇深い夜を、ミッドナイトブルーの車体がゆく。
「きっちり8000…結構、温まってるナ」
常識外のスピードで、トラックすら疎らな道を飛ばす《悪魔のL》。

秋尾 鬨堂 > 今夜のドライブは青垣山の上り線/下り線を中心に、峠攻めの様相を呈していたが。

連続するガードレールにスレスレのハンドル切り返し。
アツくなるはずの車体も、心も。
イマイチ乗り切れていない。

わけのわからない焦燥感が、身を焦がす。
「じきに四時――一般車が、起きだす頃だヨ」

今日は、会えていないからなのか。
『踏める』誰かに。

あの、速度域で戦える誰かを、待ち焦がれているのか―――。

秋尾 鬨堂 > そして、『踏ませる』マシンに。
ホンモノのチューンドに。

200万円のマシンをショップに持ち込んで、100万円の改造費をかける。
そこそこにけっこー速いマシンであれば、それで出来てしまう。
何も考えず、ドッカンターボで足回りはガチガチ。
エアロも盛って、ホイールはでっかく。

もちろん否定はしない。
でも本質的には違う。

そういうことじゃないんだ。
命を預けて、『こいつとなら踏んでいける』と思わせる、『踏み込ませる』クルマは。

オーバー230km/hでスラローム。
路面は張り付き、ただ進もうとするパワー感をトルクでねじ伏せる。
「笑っちゃうよナ」
誰にともなく呟く。
自分の思考が、おかしくて。

秋尾 鬨堂 > 狂気の沙汰だ。

もちろんこの常世島においても道路交通法は適用される。
公道300km/h超でのドッグファイトという狂気。

そして、それを実現するマシン。
操るドライバー。
つくり上げるチューナー。

関わっている者、全てが狂っている。

キラキラとした宝石のよりも磨き上げられたエンジンは、
黄金よりも価値のあるセッティングは。

扱い方を誤れば、即座に爆弾と化す危険物。

そんなモノに、そんな人々に命を預けて―――
「でも、真剣だ」

その事実だけは揺るがない。
空も白んでくる。

秋尾 鬨堂 > だから、どこかで求めてしまうんだろう。
あの領域に魅せられた誰かを。

『踏んでいける』誰かが、確実に存在することの証明を。
首都高環状線、湾岸エリア、大阪、東名―今でもまだ、お前たちは走っているのか?
この、あまりにも変わってしまった世界で。
その心だけは、変わらずに。

「―――しかし、今日はここまで、か」
物思いにふけるのは、気持ちが入っていない証拠だ。

港通り、湾岸線。
物流が動き出す。
常世島の過激な夜が終わる。

秋尾 鬨堂 > 数時間前までの狂乱が嘘のように、穏やかな道へ戻る。

確実に存在した時間は、夢へと消える。
それでいい。

はしりゆく悪魔は朝陽へと溶けこむように―――

ご案内:「◆速度Free(過激描写注意)2」から秋尾 鬨堂さんが去りました。<補足:悪魔のLと呼ばれたマシンを操るドライバー。踏んでいける男>