2015/06/15 - 19:22~03:24 のログ
ご案内:「常世神社」にローザヴィ・クロン・天塚さんが現れました。<補足:ひゃー>
ローザヴィ・クロン・天塚 > 神社の中に珍しく人がいっぱいいる。
なんだろうと見に行ってみると祭りはもう終わったあとのようで。

「きょうはかみさまにあえるひだったのかしら?」
「まだいる?もうおうちに入っちゃった?」

それでもまだ何かあるかなと、道行く人の間をさかのぼる。


ご案内:「常世神社」に秋尾 鬨堂さんが現れました。<補足:悪魔のLと呼ばれたマシンを操るドライバー。踏んでいける男>
ローザヴィ・クロン・天塚 > 眉間にしわを作ってふくれっつら。

「かみさまはいないみたい。かみさまのつかいみたいな人はいっぱいたけど」
「ちっ…でおくれたのよ。このあいださんざんわたしを無視した顔をおがんでやろうとおもったのに」

秋尾 鬨堂 > 常世神社。
湾岸線からほど近いとは言え、峠の中にあるその境内までは流石に道路は通じていない。
石段を降りた位置まで。鳥居の上からなら見えるだろうか?そこまでだ。

しかし神社から人が散り始めた、ということは下りの道が詰まり始めたということ。
「しまった、そういう日だったかナ」
と、峠の上り線を若干後悔しながら流していたところ。

しょうがない、この上は神社で参拝がてら休憩でも、と思いたち―
異様なマシンが、石段下に停車する。

ローザヴィ・クロン・天塚 > 境内はまだ賑やか。賑やかだからこそなんとなく居場所がない。
お参りするつもりだったけど、足早に鳥居のところまで戻ってきてしまった。
石段をぴょんぴょんとびはねながら降りていくと、下には見慣れない形の車。
玩具やさんで見るみたいな、道で見るのと違うやつ。

めずらしげにカーディガンの袖でふさふさ触れる。

「かみさまが乗る車かな?」
「…もしかしてこれでおうちにかえってるから夜はお堂の中にいないのかしら…」

秋尾 鬨堂 > ドアがばたむと開く。
降りてきたのは、褐色の男だ。
オレンジのジャケットに紫のシャツ。

クルマのボンネットの上を転げるようにスイと滑り、運転席側から反対側へ。
余りにも不必要かつ大胆、何らかのパフォーマンスを疑う動き。
だが―日常動作!

「…悪魔呼ばわりされてはいるけどネ」
「神様を載せたことは、多分…無いかな」
どうやら、あなたの声は聞こえていたようだ。

「こんにちは、敬虔な女の子。クルマは…好きかい?」

ローザヴィ・クロン・天塚 > 「ひゃっ?!」

出てきた!!かみさまか!!
……これは神様っぽい動きなのだろうか。
思っていたのと違うなぁ…着物きてないんだ…などと内心さまざまなことを考えつつも顔はぽかんとしている。
派手である。とても派手である。
そしてなんだか変だ。へんなひとだ。

「……きれいなものは好きだよ。鉄の塊だけど、これはとてもうつくしいとおもうわ」

緊張気味に答える。けれど本心。
小さな模型でしか見たことのないような車は、ぴかぴかでとてもきれいに見えた。

「悪魔なのにおまいりに来たの?なかにはいってくるしくなったりしない?」
「奥は賑やかでたおれたらたいへんなの。ついていってあげましょうか」

ひとりで奥までいきづらくて、ちょうどよかったともいえず、あくまで付き添いを主張する。

秋尾 鬨堂 > ボンネットに片肘をついたまま。
物憂げに、応える。

「ありがとう。キミはクルマではなく、こいつを好いてくれたということだネ」
エンジンが止まっていても。ボディに差す光は、うねるように妖艶にきらめく。
「こいつの名前はNS-L…百年も前のスポーツカー。僕はエルと呼んでいる」

そこで、やっと車体から離れる。
「悪魔はこいつさ。僕は悪魔に魅入られた男――」
「だけど、確かに神域に入ったら…奴に嫉妬されるかもしれないな」

「でもキミがついていてくれるなら安心だ」
さあ行こう、と少し脅かすような言葉。

ローザヴィ・クロン・天塚 > 「車のほうが悪魔なの?天使のような名前なのに」
「天使の名前って、最後にエルってつくものばかりだから…」

長い袖で車のボンネットを撫でて

「だ、だいじょうぶよ、お参りはあいさつみたいなものだっておとなのひとがいっていたわ」
「すぐかえってくるし、心配しないで待ってるといいのよ。いいこだから、ね?」

はらはらしながら、子供に言い含めるようにエルに話しかける。

「…こ、これでだいじょうぶよ!私が案内してここまでまたつれてきてあげるし」

車と同じ、浮世離れした青年の前を先導するように石段を走る。

「こっち!」

ローザヴィ・クロン・天塚 >
秋尾 鬨堂 > あなたの言葉をひとしきり、黙って(そりゃあ、クルマが喋るはずはないのだが)聞くと。
ぎらりと陽光が、ボディを経由して眼に直接反射する。
まあいい、いってくればいいと吐き捨てるように。

「……誰に嫉妬、してるのかナ」
楽しそうに呟くと。
彼女に連れられ、歩き出す。

「元は天使のたぐいの悪魔、なのかもね」
石段を登る。鳥居からふと後ろを見下ろす。

陽の落ちかけた景色。海を望み、森は近く。
道が続く。
続き、続く道は、島に広がり―

まだ、夜ではない。
あの先はまだ夜ではない。

気持ちを切り替え、境内へ向き直る。

ローザヴィ・クロン・天塚 > 青年が景色を眺めていたとき、自分は車を見ていた。
きらきら美しく見えた車から反射する光が、刺すように眩しい。
あわてて袖で瞳を覆う。おこっているのだろうか。
悪魔は嫉妬深いとも聞く。
恐ろしい考えに頭を振った。

「悪魔の一番えらいひとは、元は天使だったっていうわね」
「あの子も、人に嫉妬して悪魔にされてしまったのかしら……」

恐ろしい考えに頭を振った。

「こ、こわいはなしはだめ!こんな一瞬でやきもちなんて焼かないもの きっと」

気を取り直し、
鳥居をくぐり人の合間を縫っては振り返り、手招き。
さっき感じていた居場所のなさ…疎外感のようなものはもうなかった。
一人ではないだけでずいぶん世界の見え方が変わるものだ。
なんとなく、顔がほころんでしまう。

「ついた!さっきよりはすいててよかった」
賽銭箱に身を乗り出して鈴を鳴らす。
お金はないので、景気よく鈴を鳴らす。

秋尾 鬨堂 > 「そうしよう。何、美しいだけのクルマを、恐れる必要なんてないヨ 冗談、冗談」
ぶんぶんと嫌な考えを振り払うあなたを安心させるように。

境内は確かに賑やかで。
ちょっとした出店の誘惑を振り切り、本尊の前まで行けば。
盛大に打ち鳴らされる鈴。

「……お金、無いのかい」
五円玉を投げ入れつつ。
さすがに不憫な顔をして、もうひとつの五円玉を差し出す

ローザヴィ・クロン・天塚 > 「う、うん……おうちのためのおかねしかなくて」
「……もらっていいの?」

しばらく五円玉と青年の顔を見比べて、おずおずと手を伸ばす。

「…えへへ。あなたいいひとね。こわいひとかとおもってたけど…」
「これならかみさまも私のお願いかなえてくれるかも!」

さっきの安心させるような言葉も思い出して、うれしそうに笑う。
賽銭箱にぎこちなく放り込んだ。
ここでお参りすることは何度かあったけど、お金を入れたのは初めて。
がらんがらんと鈴を鳴らして、手をたたいて目を閉じる。
……ちゃんとした作法なんて知らないので、見よう見まね。

「なむなむ……おかねにこまらなくなりますように…おおきくなってしまのそとにでれますように…おなかすいた…あまいものたべたい…わたがしおいしそうだった…」

ぶつぶつ。お願いというよりは思い浮かんだことをそのまま口にしている。

「あっ!あとかみさまにあってみたいのであえますように!!」
「でてこいよなのー!!」

若干罰当たりになりそうなことも。

秋尾 鬨堂 > 「やめておいたほうがいい」
「神様はもったいぶって登場するものだから」
もうちょっといいタイミングをお膳立てしてやらないと、不貞腐れるヨとアドバイス。

「…」この言外の圧力。
明らかに漏れている思考。
冗談であれば良かったのだろうが、あまりにも真に迫っている。
こんな状況で、しれっと無視できる者はそれこそ悪魔だろうな、と己の人間性を確認する。大丈夫。

「ちゃんと、袖をまくって食べるんだヨ。砂糖がひっつくから」
帰り道、キャラ物(刑事x探偵だ)の袋に入ったわたがしが舞い降りた。

ローザヴィ・クロン・天塚 >

「えっ そうなの?いつも出てきてーって騒いでいたからだめなのかしら…」
「かみさまはめんどくさいおんなみたいなかんじなのね」

こくこく頷きながら、聞きかじりの言葉を使ってみる。ちゃんとした意味はわかっていない。
じゃあこんどはもうちょっとシチュエーションを考えてみよう。
そう話し、まだ賑やかな境内を歩く。出店からいい匂いが漂うけれど、我慢。
ひとつごひゃくえんだのはっぴゃくえんだの、あっという間に一月の生活費がなくなってしまう食べ物など…………

……………………たべたいなぁ
ぽやっと考えたそのとき、舞い降りる綿菓子の袋。
抱きかかえるように捕まえる。

「ひゃー?!な、なんでたべたいってわかったの?!すごいわ!やっぱり悪魔なの?!」

自分が願い事をしているとき、うっかり混じってしまった言葉は無自覚だったので目を丸くする。
興奮気味にきらきら瞳を輝かせて、素直に袖をまくって、まっしろくてふわふわなものを小さくちぎった。

「ひゃー…わたしね、出店のわたがしってたべるのはじめて!おおきいのねぇ」
「んむ…あまぁい!おいしいー!!くもをたべてるみたい!」

おもいっきり口にほおばって、幸せそう。赤くなったほっぺを押さえる。
道行く人が振り返るくらいにはしゃいでいた。

「五円いれたから、かみさまがつたえてくれたのかなぁ…ありがとう!」

秋尾 鬨堂 > 「…神様は、キミよりは複雑な好みをしているというだけかなあ」
5円分のご利益も、五百円分のご利益もその財布から出たものだ。

指にもひっつくから、水に濡れたハンカチで拭くように。
今回は水場が近くにないのでウェットティッシュで代用。
わたがしの心得を伝授しつつ、石段を降りていく。

「それに僕が悪魔なら、今頃綿菓子のかわりに魂を戴いている。」
悪魔のマシンの前に立つ。
「ちょっとだけ、人の好意というものを信じてみたくなるだろう?」
肩肘をついて。もう夕暮れは落ちきる寸前、男の顔はシルエットしか見えない。

停車中のボンネットを、運転席側に滑り跨ぐ。
あまりにも大胆かつ無軌道な動きは何らかのパフォーマンスを疑うが――平常運転!

「送っていこう。そろそろ、夜になる。」
開かれる助手席のドア。

ローザヴィ・クロン・天塚 > ウェットティッシュを受け取るのもおそるおそる。
素手で触れてしまったらびりびりさせてしまいそうで。
うまく受け取って手をぬぐう。

「あなたが本当に悪魔で、わたしのなかに魂がちゃんとあったら、五円とお菓子のお礼にあげてみてもいいのだけど」
「手のふきかたまで教えてくれる人は、悪魔になるのは難しいとおもうわ」

くすくす笑う。すっかり信用しているようで。
それでも夕闇で色を奪われているその姿は少しだけ怖い。
…怖いけど、怖くはない。
悪い人ではないと思うから。

「ふふっ それだと向こうに回るの早いの?ミュージカルのやくしゃさんみたいよ」

開かれたドアの向こう、助手席にちょこんと座る。
気分はちょっとお嬢様。きれいな車に乗って、助手席に座らせてもらえるのだ。

そしてにこにこ隣の青年を見上げるのだった。

秋尾 鬨堂 > 「持ちかけておいてなんだけど」
見上げられた顔は、とてもやさしく微笑んで。
「ふふ、ずいぶんと安いなあ…もう少し自分を大事にしよう。…ああ、シートベルトはしっかりネ」
役者と例えられた身のこなしは、あくまで軽やかなままで。

キーが回る。目を覚ます。
なくしていたものは何だ?
この日が落ちるとともに、帰ってきたものは何だ。
獰猛な叫びが、まだ押し殺されて鉄の心臓の中にある。

神杜峠下り線。まだまだ、祭客で道は空いているとは言いがたい。
「少しだけ、飛ばすから」
アクセルが踏み抜かれる。
ゼロヨンでもやっているのかという急加速で、今夜、公道に踊り出る―マシン!!

ご案内:「常世神社」から秋尾 鬨堂さんが去りました。<補足:悪魔のLと呼ばれたマシンを操るドライバー。踏んでいける男>
ご案内:「常世神社」からローザヴィ・クロン・天塚さんが去りました。<補足:ひゃー>