2015/08/01 - 13:02`16:43 のログ
ご案内:「美術室」に遠峯 生有子さんが現れました。<補足:長い黒髪をハーフアップにした、どことなくぼやーっとした女の子。>
遠峯 生有子 > 「始め」の声と共に鉛筆を取り上げて腕を伸ばし、軽く構える。
その声の主は美術講師であり、ここは美術室である。
そしてこの場は夏休み期間中のデッサン講習会のひとこまであった。

遠峯 生有子 > それらしく(自分なりに)構えてはみたが、別段絵が得意なわけではない。
時折、ノートの端や友人へのメモ書きなどにくまだのうさぎだの描き込むことはあるが、
基本的に小中学校で授業や宿題として取り組んだことがあった程度だ。

むしろ、ずっと自宅近くの音楽教室に通っていたことがあるために、
芸術系の講義であれば音楽関係のものを受講する方が自分には向いていると思っていた。

しかし、時間帯との兼ね合いで今期は芸術系単位を取れないでいたところ、
たまたまチェックした掲示板に講習の案内を見つけたのだった。

…単位にはならないらしいが、
この機会に新しいものに触れておくのもいいかもしれない。
そう思い、鉛筆だけは自分で準備して美術室を訪れたのである。

ご案内:「美術室」にtestさんが現れました。
ご案内:「美術室」にtestさんが現れました。
ご案内:「美術室」にtestさんが現れました。
遠峯 生有子 >  まずはモチーフを観察して、手元の画用紙に大まかに配置していく(というようなことを教わった。)
 言うは安いがやってみるととてもではない。
 時間制限があるので納得するまでスケッチを取るわけにもいかないが、
 そもそもどうなれば納得できるのか見当も付かない。

 他にもそんな学生がいると見えて教室内はすこしざわついている。
(みんなどんな風に描いてるのかなー。)
 手を止めてちらりと周りを見回すと、
 逆に慣れた様子で筆を進めるものの姿も見えて、
(うわぁ。)
 感嘆と不安の声を飲み込んだ。

 自分もがんばろう。

 モチーフは3つ。四角いもの、丸いもの、少し複雑なもの。
 配置は――。
[1d6→2=2]
遠峯 生有子 > [1d10→9=9]
遠峯 生有子 > ある程度進めたところで一度手を止めて手元の線と対象とを見比べてみる。
上手くできただろうか?
我ながらなかなかよい配置だとは思うが自分では良くわからない。

ただ何となくそれっぽいのではないかと感じられるだけだ。
そして実際に何となくそれっぽかった。

四角いもの(輪郭としては歪な六角形になるのだが)、
その上に丸いものがちゃんと配置できていて、
そして手前には金属質。

モチーフが画面の隅に偏ってしまったり、
画面をはみ出してしまったり(これはやったことはなかったが)することもしていない。

遠峯 生有子 > 【構図9】
(直せる範囲で)少し歪みを修正して、
 形の細部と大まかなタッチを描きこんでゆく。

 とりあえず手前に置いたケトルから。
 取っ手と注ぎ口の形状が複雑で難しいが、逆に取り掛かりとなって安心する。
 表面に映っている布はどの程度描き込めばいいのだろう。

 そして林檎。
 見れば見るほど、日頃、手帳の空欄にこちょこちょラクガキするあれとは違う形をしている。
 まず、形がまん丸ではないしヘタも単純な窪みではない。
(でもかわいい。)
 林檎そのものを見て感じる気持ちはそんなものなのだが…。
[1d10→2=2]
遠峯 生有子 >  やはり細部を描き込んでいくのは難しい。
 集中して描き込んだケトルの部分部分が妙な存在感を発揮するようになってしまったし、
 布の表現はかなり中途半端なことになっているがこれはこれ以上どうすればいいのだろう。

 そして林檎はイメージとして持っているかわいさと、
 実物の(モチーフ3つの中では)ごつごつした質感の間で、
 悩み苦しんだ経過が見えるだろうか?

(ううう。)
 まさかコンクリートブロックが心の安らぎになるとは思ってもみなかった。
 空手がしたいのではないのだが。

 でも楽。
 とりあえず灰色なので鉛筆の色とのギャップに悩む必要もない。

 結果、何となく灰色ののっぺりした箱になってしまったが、
 何かを直すことすら出来なかった。
【質感2】

遠峯 生有子 >  一旦、画板を置いて席を立つ。
 ちょっと悲しくなってきたし、なんだか喉が渇いていた。

 水筒を手に廊下へ出ると、一度伸びをする。
「難しいなー。」
 廊下の窓から見上げる空が青い。
 夏休み中ゆえの人気のなさで余計にそう見えた。

 しかし、普段何もしていないのに、いきなり取り組んですばらしい作品が出来るほどデッサンも甘くはない。
(稀にはそういう人もいるかもしれない)
 鉛筆の使い方にも慣れていないし、
 難しくて当たり前なのだ。

 生有子も、お茶を一口飲むと、すぐに気を取り直して、
「よし、続きがんばろ。」
 決意の変わりにきゅっと水筒の蓋を閉め、
 なるべく静かにドアを開けて先ほどの場所へ戻った。
[1d10→5=5]
遠峯 生有子 > 再度、伏せておいた画板を立て、対象と見比べる。
最初に構図をしっかり取ってあっただけあって、それなりに見られる形の
画面は出来上がっている。

ブロックの上に林檎。その手前にケトル。
さらに手前で机に沿って流れ落ちる布(布自体にはとても苦労しているが、とりあえずそのようには描けた)
全体にちぐはぐに見えないこともないが、
何が描いてあるかは(たぶん)わかるかなとは思えた。

【奥行5】

あとはやたらと主張するケトルの取っ手や黒ずんだ林檎、
それと比較してあまり手の入っていない箇所をもう少し描きこまなくてはいけない。

鞄を探って携帯端末の画面をちらりと確認する。
[1d10→7=7]
遠峯 生有子 >  幸いそのあたりを何とかするだけの時間はまだまだありそうだった。

 質感をそれらしく修正することまでは出来なかったが、
 全体のバランスという点ではある程度(素人目に、いや素人である生有子の目に)納得が出来るところまで、
 描き込みを続ける。
 布のストライプ模様とか、それぞの落とす影とか、ケトルの向こう側にちらりと覗くブロックだとか。

 そして最後に二回見直して、塗り残しもないと確認してから
「出来た。」
 と呟いて、あわてて口を押さえる。

 まだ終わりの合図は出されておらず、
 最後の追い込みにかかっている他の学生の邪魔をしてはいけない、と思う。
 静かに画用紙を提出し、画板と練り消しを返却すると、
 荷物を持って一旦廊下に出る。

 その時、背後でアラームの音と「そこまで」の宣告がなされた。
【時間7】

ご案内:「美術室」から遠峯 生有子さんが去りました。<補足:長い黒髪をハーフアップにした、どことなくぼやーっとした女の子。>