2015/08/02 - 11:17~13:03 のログ
ご案内:「美術室」に朽木 次善さんが現れました。<補足:生活委員会。描きかけのキャンバスを前に。>
朽木 次善 > 絵など、しっかりと描いたことはない。
ただ、その絵の講習会に参加したのは、なんとなく日常の切れ端でも握っていなければ、
朽木次善がどんなふうに毎日を暮らしていたか思い出せなくなりそうだったからだ。
……知った名前が講師だったというのもあるけれど。

生活委員の仕事に打ち込んでも良かったのだが、
どうせなら羽根を伸ばす意味も兼ねて全く挑戦したことのないことで、
気を紛らわせようと思ったのだが……周りの雰囲気に少し飲まれつつある。

朽木 次善 > ほぼほぼ見よう見まねと、丁寧に教えてもらいながら道具の使い方を覚え、
気づいた時にはせーの、で描画が始まっていた。
自分以外の人間が手練の絵かきに見える程に皆躊躇いなく、
キャンバスにモチーフを描き始めている。
何から描いていいかもワカラナイので、とりあえず一番上のリンゴから描いてみることにする。
なんとなくリンゴだけなら描けそうな気がするのだ。
ただ、リンゴが描けるようになったところで、その林檎を描ける技能は他で役に立つのかどうかが気になる。
リンゴを描ける技術は、リンゴを描くためだけにしか使えないのではないだろうか。
これからの人生、何度リンゴを描く機会があるだろう。
リンゴを描けなくて己が頓挫することがあるだろうか。

……どう考えても息抜きとして参加したと思えない思考が頭を渦巻く。
[1d10-1→5+(-1)=4]
朽木 次善 > 【構図 4】

全体の当たりを取り、リンゴに手を付け始めた時に他の人のキャンバスが目に入る。
……ちょっと大きくリンゴを描きすぎたか?
こういうのは、もしかしたら下の机から描き始めるべきだったのだろうか?
寸詰まりになって、「小学生の書道」みたいなバランスになっている。
明らかにブロックの上に乗っているリンゴが大きい。
この大きさではキティちゃんの身長が成人男性くらいになるのではないだろうか。
一度引っかかった違和感は、飲み込めない魚のほねのように外れてくれない。
だが、とりあえず時間までに仕上げなければならないので、
細部を描き加えていく。
……こういうのは、失敗して当然くらいに考えて描き進めなければいけない。と、思う。
[1d10-1→8+(-1)=7]
朽木 次善 > 【質感 7】

……中々どうして。
いつも見慣れているものだからかしらないが、素人が描いたにしては、
これはブロックブロックしているんじゃなかろうか。
質感の違いがどういう理屈で生まれるのかを頭のなかで分解してみたのが、
功を奏したのかもしれない。写実ではなく、どちらかというと理屈での描画なので、
何か根本的に間違っているようにも思うけれど。

硬そうに見えるブロックだけれど、
ぶつかってきた物を守るためにあえて壊れやすくもしているんだよな、あれ。
結構簡単に落とすと割れてしまうし、見た目よりもかなり軽いんだ。
そういえば三番地の舗装工事上手くいったのだろうか。
途中で自分の手から離れたので最後まで面倒を見る必要はないのだが、
やはり少しでもかじった仕事は気になる。
……結局生活の中心に委員会の仕事があるこの感覚、
段々と日常生活を取り戻してきた感はあるが、何か間違っているようにも思う。
……ここ最近、ずっと身体よりも頭を動かしてたから、仕方ないよな。

朽木 次善 > ……ブロックで思い出す。
そういえば、生活委員に入りたての頃、仮眠室で仮眠をしていたら
先輩達に発泡スチロールの衝撃吸収ブロックで周囲を埋められたことを思い出す。
しかもしっかりと俺が起きない程度の音しか出さない作業で、
間を熱で溶接して埋めてあったので、起きたときの閉塞感ったらなかった。
一瞬自分がどこにいるかもわからず、出入口のない部屋に迷い込んだかと思い、
最後には全力で両手でバラバラにして出たところで、先輩がたの拍手を受けた。

何でも、生活委員会・整備課の新人歓迎方法であり、
同時に自分たちがいかに無音で作業が出来るかという技術の再確認の場でもあるらしい。
された方はたまったものではなかったが、実際二年次にその片棒を担いだので、
もう俺はそれに対して何も言えない立場だ。
川添孝一君や三枝あかり君が整備課に来なかったのは、彼らにとっても幸いだったと言える。
[1d10-1→3+(-1)=2]
朽木 次善 > 【奥行き 2】

……余計なことを考えながら描いたせいか。
自分の描いているリンゴやブロックに、奥行きが一切ないことに気づく。
奥行きというか……こう……すべての濃淡が大きさと質感の表現になっていて、
陰らしき陰が表現されていないというのが正しいかもしれない。
物々しく大きなリンゴと質感の素晴らしいブロックになっているのだけど、
ちょっと押したら向こう側にパタンと倒れてしまうというか。

俺の世界のキティちゃんが、身長が成人男性なのに厚みがほぼゼロという奇怪な生物になった感触がある。
何だろう。全体的にポストに投函出来る厚みだ。160円で全国届くアレみたいな。
思わぬところで自分の才能のなさが露呈した気がする。
いや、これはもうどの段階からおかしかったとかではなく、
最初からそれを三次元的な物として捉えられなかったのがダメなのだろうか。

時間は今どのくらいだろう?
[1d10-1→10+(-1)=9]
ご案内:「美術室」に正親町三条楓さんが現れました。<補足:式典委員。黒髪姫カット、巨乳。>
正親町三条楓 > 「ある人物」を探しに美術室へ。
――美術部部室棟の方が良かったかもしれないが、まずは手近なここ。

扉を開けると、目的の人物は居ない。
代わりに、凄くマジメに絵を描いている生徒が居た。

一応、目的の人物がいないかを探すべく、あまり邪魔しないようにゆっくりと美術室へ入る。

朽木 次善 > 【時間 9】

時間だけいっぱいある……。
俺はここからどう修正していいか分からない絵を前に、頭を抱えた。

見れば先に描いていたはずの周囲を追い越して、
『完成』してしまったらしい。
とりあえず、残りの時間、どうにか修正が出来ないかやってみようとは思うが、
どう考えてもこれは1から描き直した方がいい気がする。
脳内で厚さ2cmの成人男性のキティちゃんが肩を叩いてくれる。そうだよな。頑張ったよな。

諦めて細かい部分を修正しつつ、顔を上げた。
誰かが教室に入ってきたような、出て行ったような音がした。
自分より先に描き上がった人だろうかと正親町三条の方を見た。

正親町三条楓 > 目があった少年に微笑み、軽く頭を下げる。
描いていたのはリンゴの絵のようだ……

若干、平面のようになっているが、よく描けていると思う。
楓はあまり絵が得意な方ではないので、素直に感心する。

講習会の面子を見渡す。
彼は参加していないようだ。

朽木 次善 > どうにも、参加者、というわけではないようだ。
顔を覗きこんでいったので、誰かを探しているのかもしれない。

講習会自体は休みに入ってから初めて参加したのだが、
徐々に噂を聞きつけて人が多くなってきているらしい。
個人の講習なので、人が多くなると負担も大きそうだが、
そこはヨキ先生のことだから心配はいらないか、と思い直す。

……と、いうかこの絵をヨキ先生が見るのか。
そしてあの美麗な顔が柑橘系嗅いだ猫のように歪むのだと思うと、ちょっと死にたくなる。
小さくため息を吐いて、修正を諦めた。

正親町三条楓 > 結局、見つからなかった。
しかし、このまま出て行くのも気まずい。
仕方無しに、見学という事にして少し時間を潰していく事にする。

リンゴを描いた少年の隣に座る。
空いてる席はここを含めていくつかしかない。
盛況で結構な事だ。

朽木 次善 > ――と。
隣に座ったのを確認して、席を少しずらす。
最初から等間隔に置かれているので気を使う必要はないのだが、
なんとなく気持ちの問題だ。

どうにも絵にも注目されているようで、
勝手に言葉が、というか言い訳が出てくる。

「ひどい有様ですよね……。
 中々難しくて……初めてだとこんなものですかね?」

正親町三条楓 > 「――どこがひどいんでしょう?」

きょとんとして呟く。
別に悪くはない。
きちんとリンゴと判別できるし、彼は見よう見真似でなく、自分の筆で描いた。
それのどこがひどいのだろう?

朽木 次善 > 「っ、いや、上手く描けていないというか。
 ……実際に物が目の前にあるので、
 それと明らかに違うというか……」

まるでこれがひどくないという感性の方が正しい、
と言わんばかりのズレを差し出されて、明らかに挙動不審に陥る。
何故自分はこれのひどさを自分から他人に説明しているのだろうとも思う。

正親町三条楓 > 「目の前の物と全く同じ物を表現するなら写真でいいですよねぇ。
絵は同じ物を描くのではなく、あなたの手であなたの感じたままに描く為のものですからぁ」

その為の絵画である。
きちんと彼がその表現で描いたものならひどいわけがない。
楓はごく自然にそう言い返す。

朽木 次善 > 「……あー。成る程……。
 そういう見方も、ありますか……。
 ……でも、そうなると、個々人の感性を反映させていいということですかね?」

まあ、それにしても、自分がこういう絵を描こうとしてない以上、
自分にとっては「ひどい絵」には違いないのだが。

「……誰かを、お探しでしたか?」

気になったことを尋ねる。

正親町三条楓 > 「感性の反映されない絵に、価値はあるのでしょうかぁ?」

絵は芸術、すなわち感性の産物だ。
それの反映されない絵は単なる線の集まりではないか。

「ええ、美術部の子を……」

探し人を尋ねられれば、素直に応える。

「あ、申し遅れました。
式典委員・正親町三条楓と申します」

朽木 次善 > 「……? 感性の反映は結果であって、
 誰もが『そこにあるもの』を『そこにあるまま』描くのが、
 とりあえずの目標だったのかと思っていたのですが……」

芸術や美術に造詣はない。
なので、共通の目的にたどり着く結果出てしまうものが個性だと思っていたのだが。

……長い名前だ、と感想付ける。
どこまでが苗字でどこまでが名前だろう。迂闊に名前を呼べない。

「ああ、どうも、
 生活委員・朽木次善といいます。……式典の方のお仕事ですか?」

美術部の式典委員、あるいは式典の仕事に必要な美術部員を探しているのか?と勝手に思う

正親町三条楓 > 「写実主義ならばそうですね。
それもまた正しい事ではありますが、自分の感性のままに表現するのも方法のひとつです。
無理に似せようとせず、筆の赴くままに描くのも楽しいですよ」

というか、楓の絵は大体においてノリと勢いで描いてしまう為、何故こんなものが描けたのかと首を捻る事が多い作品ばかりだ。
それに比べれば、きちんとリンゴと分かる絵なら問題ないだろう。

「いえ、式典の仕事ではなく、私事ですよ」

朽木 次善 > 「成る程……。
 どこか正解目指しながら描いていたのでそれが歪みとして出たんでしょうね……」

まあ、どの道ここから修正しても仕方がない。
後でヨキ先生に提出をして、この気晴らしは終わりになるだろう。

「ああ、ですか。
 結構人も増えて来たので、見つかると良いですね」

キャンバスを片手に、提出に向かおうとする。
その知り合いが見つかれば、ここに座り、
隣同士となって会話も出来るだろうと思ったので。

正親町三条楓 > 行くならば特にとめる事も無い。
ただ、ぼそりと呟く。

「見つかって欲しいのか、欲しくないのか……」

ただそれだけを。

朽木 次善 > 何か事情があるのだろうと思いながら、
小さく礼をしてその場を辞した。

……憂鬱な、この絵の提出に額を抑えながら。

ご案内:「美術室」から朽木 次善さんが去りました。<補足:生活委員会。描きかけのキャンバスを前に。>
ご案内:「美術室」から正親町三条楓さんが去りました。<補足:式典委員。黒髪姫カット、巨乳。>