2015/08/03 - 15:59~22:31 のログ
ご案内:「資格試験会場」に嶋野陽子さんが現れました。<補足:薬剤師試験を受けに来た、超大型で強い保健委員。>
嶋野陽子 > 常世学園には、外界の資格試験
を受験する生徒の為に、常設の試験会場が設けられ、
事前の申請に基づいて、あらゆる国のあらゆる資格試
験の受験に対応している。
陽子の場合、入学時の条件として薬剤師試験の受験が
指定されていたため、8月最初の平日である今日に
受験日が設定された。
試験官による『試験開始』の掛け声と共に、静かな
緊張が走る会場。試験の所要時間が同じというだけの
理由で、複数の異なる試験が同じ部屋で同時に行われ
るため、隣の人の試験は全く違う内容だ。
従って、カンニングの監視は異能や魔術、あるいはハ
イテクによる外部情報の持ち込みに絞られる。
既に准看護士の資格を持ち、7月のかなりの時間を過
去問に費やした陽子は、試験問題を着実にこなして行
く。この資格が取れれば、堂々と一人で処方薬を調剤
出来るようになり、文字通り『歩く薬局』となる事が
できるのだ。 [5d10+50→1+2+3+5+5+(+50)=66]
嶋野陽子 > 残り15分の時点で、一通り
回答を書き終えたので、見直しに入る陽子。果たして
どれだけのミスを直せるか。 [5d6+4→1+2+5+6+6+(+4)=24]
嶋野陽子 > 見直ししている内に、
マークシートを1列丸ごと誤記入している事に気付き、
冷や汗をかいたが、何とか時間内に訂正に成功。
後は結果を待つだけだ。
採点の電子化が進み、一週間かからずに結果が通知さ
れるので、今週末には結果が判明するだろう。
時間が来ると、答案と試験問題を試験官に渡し、
試験会場を後にする陽子。この後は、寮の部屋で療養
中の迅鯨さんにご馳走する、中華料理の食材を買いに
スーパーに向かう予定だ。
ご案内:「資格試験会場」から嶋野陽子さんが去りました。<補足:薬剤師試験を受けに来た、超大型で強い保健委員。>
ご案内:「美術室『静物デッサン』」にアリストロメリアさんが現れました。<補足:由緒正しい魔女のお嬢様。態度は尊大だが非常におおらかで善意的である>
アリストロメリア > それは、美術教師のヨキ先生における夏季講習の貼り紙を見ての事であった
「静物デッサン?面白そうですわね」
と、参加を決めたのは
彼女は美術のカリキュラムを基本的に取っていない
魔術特進科クラスである為に、魔術専行の科目に加えて此方の一般教養的な
高校生辺りの科目も幾つか在る為に、正直勉強する事が多いからだ
逆を言えば、美術等の科目を勉強する暇も無い位に他の科目でびっちりだ
ただし、体育だけは健康上と魔術上の理由で必須だから入れているけれど
「美術は好きですわね……それに、学べる物があるのであれば、学生として出来る限り学び
教養を身に付ける事は義務でもあり同時に知らない事を学べる楽しみでもありますし」
美術は好きだ
特に、美しく心惹かれる絵は尚更に
今でこそ映画等の娯楽に溢れているが、昔の人は美術の絵をまるで映画鑑賞の様に見たのである
例えば、一つ例を挙げるとするのであれば
有名なルーベンスの『パリスの審判』の話をしよう
パリスの審判の話は御存知だろうか?
かの有名な、トロイヤ戦争の引き金となった原因のお話の一幕が描かれた絵なのである
不和の女神エリスは、とある神々の婚礼宴に一人だけ招かれなかった事に腹を立て、その宴の席へ
『最も美しい女神へ』と記された黄金の林檎を放り投げた
すると、ゼウスの妃のヘラ、戦いの女神のアテネ、愛欲の女神ヴィーナスの3人が即奪い合い、争いとなり
誰が受け取るに相応しいかをゼウスに尋ねましたが
どいつもこいつも気性の激しい女神であり、誰を選んでも碌な結果にならない事が明らかだったゼウスは
トロイアの王子で、羊飼いをしていたパリスに選ばせる事にしました
こうなってしまっては可哀想なのはパリスです
突如現れ、服を脱ぎ艶やかなアピールをし始める美しい女神3人が揃いも揃って美しさを競いあい自分を猛烈アピールしてきます
……買収の賄賂をちらつかせながら
ヘラは『私を選んでくれたら世界の支配権を』
アテナは『私を選んでくれたら戦の勝利を』
ヴィーナスは『私を選んでくれたら、この世で最も美しい美女を』
パリスは迷うことなく即ヴィーナスに黄金の林檎を与えました
そして、その約束に最も美しいスパルタの姫ヘレネをパリスに与えた事がきっかけでトロイア戦争が勃発します
――……この絵は、そんな一幕が描かれているのですが
絵を見れば左側の裸の女神が例の3女神
最も右の、自分の象徴である孔雀を傍に寄せた女神がヘラ
真ん中の、最も明るい金髪で嬉々として今にも林檎へと手を差し伸べようとしているのがヴィーナス
彼女の後ろには、其れを示すキューピッドの姿が其れを象徴しております
最も左側の、木にメデゥーサの盾があり、これはアテナの持ち物であると同時に梟は彼女の象徴なのです
右側の、林檎を持っている青年がパリス
その後ろに居る帽子と杖を持った青年がヘルメス
今正に、絵はヴィーナスを選び、彼が林檎を彼女に差し伸べる瞬間が描かれておりますが
上の雲を見れば、女神側の、他の選ばれなかった二人の不満やこれから彼の未来に起こる悲運を物語るかのような暗雲や
女神たちの表情からも生き生きと――……
昔の人の目には、今の人が映画を観賞するかのように
物語が流れるように、その一幕が動いて見えたのだ
そこまで昔の人ではないが、生き生きとした絵、人を引き付ける絵という物はハッとさせる
額縁、或いは本の中という小さな世界の一幕で、永久に開幕される演劇に等しい
其れは時に時を超えて、多くの人の心へと感銘を与え、人々の心を癒すのだ
美術は、美しい
観賞しかしないが、好きだった
アリストロメリア > また、もう一つ
彼女自体は美術に関する異能や魔術自体は持ちえていないのであるが
魔術というのは極める際に、どうしても美術とは切って切り離せない者である
幾つか理由があるが、簡潔に
一つは、文化である事
魔術という物自体、文化とは切り離せない物である
そんな文化は、まず建物から……つまりは町並みから出来あがり
そこからその建物に相応しい絵が
そして最後に音楽が出来あがり、その文化に相応しい物が発展する
例えば今の世で言うのであれば
コンクリート等の近未来的な建物から
デジタル絵が発達し、最後に初音ミク等の電子音楽等だろうか?
これは、この時代特有のもので他の文化には決してない物である
――……と、言う訳で文化の発達を調べると言う事はそれだけでも面白い発見があったりする
また、もう一つ
魔術も絵も、共通するもの――……それはシンボルだ
先程のパリスの審判の絵で、何故それが『パリスの審判』だと分かるか?
それは、人物の手にした黄金の林檎や各女神を象徴する持ち物等
『象徴』『モチーフ』が描かれるからだ……つまりそれは、シンボルである
例えば、林檎を見てパリスの審判以外にも色々連想する事だろう――……
人によって、まちまちではあるけれど多くの人が共通して持っている概念や
その林檎にまつわる神話等の象徴の話等
それらを含めて、そのもの自体が其れの象徴と成るのだ
林檎の神話自体も、一体幾つの物があるだろう?
故に、知らない物から見えれば意味不明な72柱を始めとする紋章も
あれが各悪魔を象徴するものであるから、意味があるのだ
こんな風に、いちいち例を挙げていけばきりが無いのであるが
魔術というのは、極めるのであれば同時に美術にも通じる必要が出てくる為に
美術に関する魔術自体は持っていない物の
魔術自体が美術に関連するものなのだ
故に、多少の範囲ではあるが、美術知識はある方なのではないかと思う
特に、以前は審美眼を磨き、上質なものに触れる時間としても
また、個人の楽しみとしても美術鑑賞は行ってきた為に、多少美術に馴染みがあるのだった
アリストロメリア > 「……たまには、美術を行う側に回る事も悪くないでしょう
いえ、寧ろ素敵な作品を残すと言う事は出来ることであるのであれば、私も嬉しいですわね」
等と言いながら、嬉々として人生初のデッサンを始める事になったのである
美術は取っていないのだが、取っていない生徒も受けられるのは嬉しいなと思いながら
デッサンの道具を揃えて、やり方を聞いて、この会場に来たのである
人の集まっている美術室の中で、どの場所が良いか選びながらも静物デッサンは開始された [1d10→7=7]
アリストロメリア > 人が多い中、素早く
(この構図から見える配置はなかなかのものですわ)
と、見極められてすぐに席を取れたのは以前そこそこ行っていた美術鑑賞にて
審美眼が
養われていたからだろうか?
素早くデッサンへと取りかかる。なるべく、絵に心得の無い事を含めても時間は多い方がいいのだから――……
こうして、鉛筆を手に取りかかるが――……
問題は彼女の絵心の無さであった
……ぶっちゃけ、下手である
というか、下手で済まないレベルである
何が描いてあるか不明どころか、一歩間違えばロールシャッハテストにされそうなレベルである
……見た時の構成は、良かったかもしれないし、それに対するアタリだけで在るのなら――……
良構成のお陰で、始めに描いたケトル、ブロック、林檎の配置だけはいい
だがしかし、線画の時点で相当がたがたで歪である
そりゃそうだ
絵なんて描かないド素人等、丸を丁寧に描くのすら難しいのだから
アリストロメリア > 「……なかなか、この配置は良いのではないかと我ながら思いますわね」
だがしかし、肝心の絵がどうしょうも無い事には、その配置も台無しだ
……配置自体は良かったのであるが
改めて配置を見るが、ケトルと林檎、ブロックを始めとして
ストライプの模様の波打ち方や、ケトルへの反射の仕方もなかなかで
きっと絵に卓越したものが描いたのであれば、なかなかどうして、良い出来だっただろう [1d10→7=7]
アリストロメリア > アタリをとった辺りから、次に質感を丁寧に描き分けていく――……
ガタガタな歪の線なのに、その質感の描き訳はなかなかに上手かった
……とりあえず、誰もが一応其れを見て『林檎だ』とか『ブロックだ』とか『ケトルだ』
等と一応は認識できる絵にはなったのではないか?と思われる
手に取った時の、その感覚が伝わる様な絵にも
……ただし、何処からか漂う歪さというか禍々しさが否めないが
寧ろ、質感が少しリアルに伝わる辺りが、ちょっと怖いかもしれない [1d10+1-1→9+(-1)=8]
アリストロメリア > リアルな質感をなかなかに描き分けられたせいだろうか?
空間の感覚も、ド下手な素人ながらになかなかなものだった
どんな場所に何が配置されていて、その質感のリアリティや空間表現も
絵が下手だから死んでいて勿体ない物であるが、素養はあるかもしれない
「初めて描く絵にしては上出来ですわね」
……と、本人は思っているし、しっかりと取り組んでいるのであるが
下手さの歪さが妙に上手い事で生じる禍々しさが隠せないのであるが
オブラートに包まず言えば、この絵を長時間見れば、見た者の心理に何か訴えそうっていうか
この絵を紋章に使用すれば、何かが召喚出来そうな絵でもある
ちょっとそれ位、別ベクトルで強烈な絵が炸裂していた
アリストロメリア > 絵心が無い物が描いた絵にしては、上出来かもしれない
……けれど、それは妙なリアルさ等が混同しアンバランスである
本人は気付いていないが、ちょっと長時間見ているとヤバさを催す様な類の絵でもある
だがしかし、それは同時にそれだけ誰かの心に訴える絵でもあったのだ
故に、この下手さに対して質感や配置、空間の表現の素養が見てとれる物には非常に勿体ないのかもしれないが
……逆に寧ろ、下手さが変な方向に突き抜けて逆に芸術的かもしれない
例えるなら少しピカソや、ルイスウェインの猫(*ちょっとヤバげな段階)の様に
常人には表現できないセンス力が垣間見えた
……決して、真似したい類の絵ではないが
本人曰く
「多少線等の歪なところはありますけれど、絵の心得が無いですし、当然ですわね
寧ろ、無いなりに上手く行っていた方だと思いますわ」
と、満足気味である
……確かに、絵の初心者どころか経験がほぼ皆無の人間の描いたものにしては、相当上手いのかもしれない
だがしかし、ちょっとヤバげな雰囲気をするのは何故か?
下手くそなのに矢鱈見るものに訴えかける様なリアリティや質感等が嫌に生き生きとしているせいか?
絵という物は……いや、絵に限らず創作物というのは、それを作成した本人の精神が宿ると言う
そういう事を言えば、魔術に秀で、魔女の家系に生まれた彼女であれば
きっと、それがありありと分かる様な絵だったのかもしれない――……
モチーフも、何気ない物であるが一つづつ挙げて行けば、なかなかどうして――……
林檎は、始めにあげたパリスの審判を始め
蛇が誘惑し人を堕落せしめた禁断の果実であるし
ブロックも建設業で使う物であるが、建設――……と言えばフリーメイソンにぶつかるし
白と黒のストライプはそのまま、白と黒の両極の象徴である
また、ケトルも――……元々魔女の妙薬というのは、鍋ややかんで煎じられていたものであるし
かつ、素材がステンレス銅であり、混合物であるが約50%以上鉄である
鉄というのは火星の象徴で、それは戦争や闘争心の象徴だ――……
彼女の絵は、そんな事をありありと連想させる様な禍々しさが精密に表現されていた
寧ろ、下手なら下手でいっそ、只の下手ならそのまま見過ごされたのかもしれないが
歪さと比較して、リアルな質感や表現力が いささか宜しくなかったのかもしれない
ずっと眺めていると何処か、黒魔術的効果を十二分に発揮できそうである
これをお守りだと言われれば誰か信じるかもしれないし
っていうか、多分悪魔でも長時間見たく無い様な類の絵ではあると思うし、そういう意味では立派な魔よけになるかもしれないし
或いは逆に悪魔を召喚出来そうでもあるし
これを眺めていると、自分の負の部分や、心に秘めている闇の部分が刺激されて表に出てくるかもしれない
そんな絵が、完成された [1d10+1-1→9+(-1)=8]
アリストロメリア > 「完成ですわね……」
と、ホッとして
周囲を見渡せば まだ皆十分製作に取り掛かっている最中であった
たっぷりと余った時間でもう一度手を加える所が無いか、確認するものの
本当に、下手な絵というか絵心が無い奴が描いたにしては十二分に上出来だった
……その禍々しさが無ければだが
故に、ある意味残念な絵ではあったのだが
下手に上手いせいで、禍々しいながらもアーティスティックな絵にはなっているし
別ベクトルで芸術的な絵が完成されたのであった
歯にきぬを着せなければ『ヤバい奴が描いた絵』その物であるが
もしかしたら、魔術に陶酔し、其れを探求し、魔術師向けのタロットを愛用する彼女は
常人とは逸した精神の持ち主なのかもしれない
そんな一幕が、見てとれるような絵には仕上がった
本人は無意識であるが、願わくばこの絵を長時間見たものが、その夜悪夢に魘されなければいい事を願う
アリストロメリア > こうして、きっと多少の絵の心得があれば違ったかもしれないし
勿体なかったかもしれない彼女の
静物デッサンは終了した
……正直に言えば静物画と言うとちょっと怪しいし、首をひねる物は出るかもしれないが
だがしかし、生々しく存在感に満ち溢れた絵の素養は、鍛え抜けば素晴らしい物になるかもしれない
そんな一欠の可能性をほんの少しだけ残した様な、おぞましい類の絵は出来あがった
配置や質感、空間等は申し分ない事が一層残念ではあるが
こうして、早めに出来あがって退屈なので他の参加者の絵を見れば
自身の絵よりも大分写真に近く精密な絵や、綺麗さに驚くのであるが
(美術系の皆さんかしら?多分私では描き直しても今すぐあのレベルは無理ですわね)
と、即思って諦めると、早々に邪魔しないように退散した
妙にリアリティと人の目を引きつける尋常じゃないインパクトと存在感は
彼女の姿で絵にフィルターをかけるように、視えない様にしておいた方がよかったかもしれない
その絵を覗きこんだ者がぎょっとするのと同時に
長時間見たものが体調不良に成る事の防止の為にも――……
ご案内:「美術室『静物デッサン』」からアリストロメリアさんが去りました。<補足:由緒正しい魔女のお嬢様。態度は尊大だが非常におおらかで善意的である>