2022/02/06 のログ
メロウ > 「もちろん」

それはお店としての責務である
それ以上に、隠れもしない喜びの雰囲気

『何も見えない』が見える貴女の目に残る残像
彼女は可知と不可知を行き来する
双眸はその両方を知るのだろう

「私はその香りの誕生を祝福するんだから
 名前。ふに、きしし。ちゃんと決めてね?」

貴女の為の香りであり、それは私
或いは既に、決まっているものなのだろうか

熱いまま口に付けたカップも、普段より上がった口角を隠せない位

黛 薫 >  
「……それ、も、あーしが決め……る、のよな。
 うぐ、何かそれ、ちょっと、恥ず、んん……」

自分ではない『美しいモノ』に冠した名前なら
思いの外すんなり出てきた彼女、しかし今回は
まだ先の話なのに既に言い淀んでいる。

カップに伸ばしかけた手を触れぬまま引いたのも
今の状態では溢しかねない自覚があったからか。

「そう、うん、だから、他のサービスもちゃんと
 頼む予定、だから、うん。マッサージは、その、
 してもらぅとして。リハビリ?も、あーたなら
 手伝ぇ……る、から言ったんだよ、な?」

露骨な話題逸らしと確認。マッサージはともかく
リハビリに関しては聞いておくべきではある。

メロウ > 「もちろん、学習すればね。必要な事だもん
 そうでなくても、人の状態を診るのは得意だよ」

専門性は、今の所素人の域は出られなさそうな言葉
マッサージなど、触れる部分に関しては技術としては持ち合わせているが...

「薫さまがもっと器用に動けるようになったなら、
 頼んでみたい事もあるし。知りたい事だし?

 うん。それまでも、それからのお手伝い
 出来る様にならないとね!」

黛 薫 >  
「あぁそっか。マッサージもヒトのカラダに
 詳しくなきゃ出来ねーもんな。口ぶりから
 察するに、今は無理でも出来るよーになる
 見込みはあるってコトだよな。それに……
 リハビリの補助は『人の為』だし」

状況が限定的なので『自分の為』と言っても
良かったのだが。前の話が尾を引いているのか
少しだけ対象をぼかしている。

僅かにペースを取り戻し、コーヒーを口に運ぶ。
口を付けてすぐテーブルに戻す動きは忙しないが、
そのくらい急がないと力が抜けてしまうのが現状。

「あーたの方から『お願ぃ』を口にすんのって
 珍しぃな?いぁ、あーしとしちゃ嬉しぃから
 全然構わねーんだけぉ。

 因みに頼み事の内容って今聞ぃてもイィヤツ?
 それとも動けるよーになるまで待った方がイィ?」

嬉しい、と付け加えたのは『頼み事/願い事』が
メロウ自身のためだと受け取らせないため。
『人の為』を優先して撤回されたらショックだし。

メロウ > 「珍しいは確かに。でもずっと不思議に思ってたことだから
 でも口にするのは難しいな。だからまだ聞いちゃダメかな?

 お店なら、もしかして良いかもしれないけどね」

曖昧な口ぶりでぼかす。貴女の身体が動かない内でも問題はないが、
今聞かれるとちょっと困る事。それは周囲に、二人以外の誰か居るから

表には出ていないが、これも非常に珍しい事
彼女が『相手』以外を認識して考慮したという点

「あ。こういうのって、薫さまの『三回目』なのかな?
 確かに、それだったら丁度いいかもね。どぉ?」

黛 薫 >  
『今は』口にするのが難しいこと。
お店の中でなら話しても良いこと。
或いは2人きりなら話せること?

「……んや、そんなら今は聞かなぃコトにする。
 待てば聞けるコトに『3回目』は使わなぃよ。
 もっとお願ぃしたいコト、してほしぃコトも
 たくさんあるし、これからもきっと増えてく。

 何より、メロウはあーしのモノで居てくれる。
 なら急がなくても別にイィだろ」

気にならないと言えば嘘になる。
しかしこれから何度も『3回目』が訪れるからと
気軽に使うのも憚られる。メロウが自分のモノに
なった今『3回目』は自分にとっても特別だから。

「んでも、ひとつの目的の為に取っておかなくて
 良くなったから……逆に『3回目』に迷うのな。
 あーし、決めんの下手だからさ」

豆の種類も分からず買ったコーヒーの紙コップ、
その縁を軽く指先で叩いてため息を漏らす。

「あーたは『3回目』が来たらあーしに頼むコト
 決まってたりする?ま、あーしはあーたみたく
 『何でも』は出来ねーけぉ」

年末に渡した自作のスタンプカードについて触れる。
『何でも』は出来ずとも『3回目』で溜まるカード。

ご案内:「第一教室棟」から黛 薫さんが去りました。
ご案内:「第一教室棟」からメロウさんが去りました。
ご案内:「第一教室棟」に黛 薫さんが現れました。
ご案内:「第一教室棟」にメロウさんが現れました。
メロウ > 「んー?なんだかお話がおかしくなってるかもね
 薫さま。考え事、今あんまり出来てないみたいっていうか」

これを、先程までの挙動不審のせいにする
もしも彼女の言葉がおかしかったとして、
それはある意味で普段通りというものか

「私が薫さまにお願いしたい事があるんだから
 それは、薫さまが私にくれた『三回目』

 うん。それを使っても私は良いなって思うな
 だって、珍しいもんね?私だってそう思うな」

両手で持って少しずつ。お店で淹れるよりはと思いながらも、
案外悪くない香りをしているのは、ここに通う生徒たちのうるさい要望に応えてか

気が付けば、半分以上は喉の奥へ

黛 薫 >  
「ああ、そっか。『あーしの』3回目ってそーゆー。
 うん、それならおかしくないし、ちゃんと聞いて
 あげたいなって思ぅよ、だいじょぶ」

やっと得心が行った表情。しかし考え込むように
こめかみに当てた指は彼女自身頭が回っていないと
自覚している証でもある。

貴女と対照的に遅々として減らない黒の水面。
お店で飲み物をもらったときよりなお減りが
遅いのは、この場を満たす『視線』の所為か。

普段なら小狡いほどに回る思考が鈍っている
原因の一端もそこにはあるのかもしれない。
今に限ってはさっきの動揺の方が要因として
大きいのは想像に難くないが。

「ふひ、あーたからそーゆー言葉が出てくんの、
 しょーじき嬉しぃかも。特別って感じする」

メロウ > 「特別だけど、普通だよ
 あなたにとっての普通にしたい事」

頼りなれていないと言う。頼る事にも抵抗感があると言う
それでも私の心を留めておいてくれたのなら

言いたい事は言える。求めたい事は求める
そんな事を、お互い自然に出来る様になればいい

「...薫さま、疲れてる?」

そんな風に目を向けている間に、感知したバイタルサイン
首が傾く。注意を向けられていなくても、触られてしまうのか

黛 薫 >  
「そーな、こんな『特別』が『普通』に出来たら
 嬉しぃって思ぅもん。でも、今のところはまだ
 慣れてなくて、心がびっくりしちまうから……
 だからまだ『特別』って呼ばせてよ。

 それとも今の『特別』、普通にしたいコトは
 あーたが伝えようとした内容を指してたり?」

拗ねたとも恥じらうとも違う、しかしはにかみに
似た表情を浮かべて僅かに口元を緩める。立ち昇る
湯気の薄くなったコーヒーを口に運んだのは動揺を
覚まそうとしたからか、それとも幾許の余裕を得て
身体操作に注力する余裕が出来たからか。

「んん……疲れてる、のかも?んでも、あーしに
 とっちゃ本来こーゆー状態が当たり前なのよな。
 店にいるときみたぃなリラックスしてる状態が
 珍しぃ、普通じゃなぃ状態って感じ?」

初めて暗闇の中で触れられたとき、怯えなくて良い
触覚に感じ入って流した涙。恐怖に身を縮め続けて
戻らなくなったような全身の緊張。貴女の目に映る
疲労のサインが途切れることなく続いていたならば、
壊れていなかったのが幸いとさえ言える。

「あと、うん。『異能』って進化したりすんのよな。
 あーしの異能、あーたと『知り合った』ときよか
 強くなっててさ。今は直接見られなくても視界に
 入るだけで分かるよーになっちまってんだわ」

メロウ > 「もちろん、それをどう呼ぶのかはお任せだよ
 私は影響してるかもだけど、決める事は出来ないもん

 でも、薫さまなら聞いてくれる
 これは伝えようとした事とはまた別のお話だからね
 私の事は、『知りたい事』。そういう事」

最後には飲み物を一気に飲み干したとて、息を付く様子もなし
貴女が切り出した話題。聞けば、彼女の目は僅かに伏せられる

「...異能。進化」

異能とは、必ずしも本人に利する効果を持ち合わせてはいない
彼女もそれを知っている。知るように、変えられている

黛 薫 >  
「見て、聞ぃて、触れて、嗅いで、知りたぃ。
 知って欲しぃ。それはきっと変わんなぃよな」

囁くような声音。フードの内側にある不器用な
笑顔は対面にいる貴女からしか見えない表情。
冷めたコーヒーが減るペースはほんの少しだけ
早まって見えた。

「あんま深刻な顔すんなよな。悪ぃコトにさえ
 手ぇ染めなきゃ、この学園は基本的に優しく
 出来てんだ。あーしの異能もそのまんまじゃ
 キツぃからって、ちょっと弱めてもらってる」

異能が与える枷の重み、自分を傷付ける異能の痛み。
きっとそれは貴女も良く知るところ。普通の人なら
背負わなくて良い筈の重みに喘ぎ続けてきた黛薫は
押し潰される痛みに鈍感だ。

メロウ > その慰めにも似た同情の言葉にも、曖昧な形の笑みが続くだけ

『歓楽街には嘗て、呪いの人形の噂があった』

現実逃避、責任転嫁。長らく続けてきた
それでも最後に残った歪さは楔として体を壊す

「頑張りたいな。やっとここまで来れたんだもん」

壊れながらも、彼女は過去を隠し潰し踏みにじる
ついに得られた気の置けないマスターを前に、
些事とは言わずも、それを原因に意思を捻じ曲げたくはない

もっと先に、行かないといけない

黛 薫 >  
「あーしだってキレイになんか生きてなかったし。
 それでもこーやって表の街で歩かせてもらってる。
 だから、あーしだって助けになれるならなりたい。
 それが大切な相手だったら尚更、な」

少し無理やりながら残ったコーヒーを飲み干して。
二度、三度と軽く咽せてからゆっくり深呼吸した。

「あーしも一緒に頑張んだ、あんま気負うなよ。
 つっても、今に関しちゃあーしが余計なコト
 言ったのが悪かったかもしんねーな。

 折角見学に来たんだ、切り替えて楽しいモノ
 見つけて帰ったほーがお得ってもんだろーよ。
 丁度今から、他じゃ出来ねー学びが見れるぞ」

指差して見せたのはロビーに備え付けられた時計。
気付けばひとつ授業が終わる区切りの時間だった。
大時計塔から鳴り響くチャイムの音を皮切りに
数多に並んだ教室から騒めく声が溢れ出す。

それまで聞こえていた先生の講義、生徒の相談が
静かだったと錯覚するほどの喧騒。復習を兼ねた
雑談の声、やっとで退屈から解放されたと自由な
時間を喜ぶ声、小テストの惨憺たる結果への愚痴。

音も香りもかき乱れる混沌とした空気は不思議と
耳障りでなく。和気藹々とした学生特有の雰囲気、
学園ならではの喧騒が波のよう押し寄せ、一定の
秩序を持って引いていく。

「こーゆー体験、学園じゃなきゃ出来なさそーよな」

十分に広いロビーではよほど人波に攫われたり
しないだろうけれど、さっきまでの雰囲気との
落差で目が回ってしまいそう。

向かいに座っていた黛薫は貴女の隣まで移動して
寄り添うようにはにかんでみせた。

メロウ > 隣に移動するとの貴女の癖。それが視界に加える為に左側に移動するというものならば、
メロウはそれ以上に。身を翻して、座ったまま貴女を覗き込んだ

見えにくかった左目も、同時に見つめる為に
異能に狂って私が私を見失っても、見つけてくれる瞳ふたつ


「薫さま。そういう話題で励ますの、似合わないかも?」

首、傾いて。笑みは柔らかく
心地よいと思えても、人は人
数の中には震え身を固めそうな薫さま

数多より貴女、近付いてくれた事に励まされている
認識が苦手なのだ。少しずれてしまったけれども

「でも、いひひ。ありがとう」

黛 薫 >  
「似合ってねーー自覚くらいあーりーまーすー。
 イィじゃんたまには。あーしだってあーたに
 気にしてる風な顔させるくらぃならちょっと
 似合わねーコトしてでも笑ってもらぃてーの」

露骨に拗ねた様子を見せるのは素直でありたい
気持ちが半分と、素直になれないために自分の
言動を茶化す意味合いが半分。正反対の感情が
同じところに行き着くちぐはぐさ。

言動も励まし方も、素直になりきれないお陰で
どこか捻くれて。それでいて『貴女の為』には
素直だから、歪んでいるのに分かりやすい。

左眼では『何もない』しか見えないのだからと
右眼で貴女を捉えられる位置に移動した黛薫。
身を翻せば思惑通り、真正面から両の目が映る。

「……どーーいたしまして」

揺れる瞳、口元を隠す手、僅かに赤みが差す頰。

伺えるのは公共の場で面と向かって見つめ合う
行為への恥じらい。でも貴女が正面から見つめて
くれるなら自分から目を逸らしたくはないという
いじらしさ。

他者の『視線』に敏感なだけに、自分の視線にも
気を揉みがちな彼女。長く視線を合わせるほどに
頰の赤みは増し、もじもじと落ち着かなさそうに
身体を揺すっている。

メロウ > 「全部、今日の全部、ありがとうだね
 来てみたいって言ってみて。それは何となくだったのに
 想定以上のずっとずっと、私も楽しくなっちゃった」

その一方の彼女はいとも簡単に目線を外しては天を仰ぐ
思い出を再生。通ってきた道のりを想う

手は、隣のあなたの太腿に軽く当てる程度

「今日を体験させてくれてありがとう
 おかげで、もっともっと良い香りを、
 私は作れるんだと思うんだよね

 薫さまともなんだか、お店じゃ余り聞けないような、
 そんなお話をたくさんできたし。出来たよね?

 きちんと日記に付けておかないとなーっ」

『次』は果たしていつになる事やら。ずっと来ない事かも
形に出来る様に、香りと出来るように。忘れられない記憶にしよう

言葉の裏には、そう表れる

黛 薫 >  
「大袈裟。んでも元を正せばあーたに楽しんで
 欲しくて、知って欲しくて整えたワケだし?
 そー言ってもらぇんなら冥利に尽きるよ」

太腿に触れる手、ぴくりと大きく震える反射。
躊躇いがちに重ねられ、しかし握りはしない手。
束縛は望まず、けれど独占したい気持ちの表れ。

「話題って無から出てくるもんじゃねーんだし、
 普段話題に上らなぃなら尚更きっかけがなきゃ
 出てこねーわな。こーゆー、あんまり縁がない
 場所だから出来る話もあるってこった」

貴女が体験を過去にして、香りと共に小瓶の中へ
しまい込むなら『また縁の薄い場所に出掛ければ
お店で出来ない話が出てくるかも』と仄めかして。
言外に『次』を望むと伝えて返す。

「んひ、そんじゃ記憶が褪せねーうちに帰るか。
 あーたが新しく作る香りも楽しみにしてっから」

メロウ > 「薫さまはたくさん言葉を使ってくれるからね
 その時々で、考えたいお話、行先も全然違う

 以前の......異邦街の事もそう」

流石に、公共の場で『麻薬』とは言えまい

「それじゃあ。またどこか別の場所
 私ばっかりお誘いしてるからね
 次は、薫さまの興味も気になるね。いひ」

もぞり、動かした手は返して。彼女の方から遠慮なく握る

「うん、ありがとう。これは何度でもね」

帰る、その提案に。彼女は椅子から立ち上がった

ご案内:「第一教室棟」から黛 薫さんが去りました。
ご案内:「第一教室棟」からメロウさんが去りました。