学園を運営する重要な組織である「委員会」の本部などが立ち並ぶ一画。所謂官庁街に相当する。
「生徒会」の本部もここに置かれている。基本的に各種委員会の事務などが行われる場所のため、歓楽的なことを求めるには向いていない場所である。
※フリー設定ルームです。各種委員会の部屋などとしてご利用ください。
参加者(0):ROM(1)
Time:08:58:47 更新
ご案内:「地下教室」から■■■さんが去りました。
■■■■ >
「…………」
景光夕蘭 様
エントランスの四番窓口で、風紀委員会への入会手続きを済ませてください。
「お腹減ったんだけど……」
扉の横の画面に表示されている事務的極まる画面に吐き捨てても、返答が返ってくるわけでもない。
腹ごしらえはその後だ。
景光夕蘭――それがあたしの名前。
風紀委員――それがあたしの職分。
奇怪な学園生活は、闇の底から、密やかに始まった。
■■■■ >
「――――」
この扉の向こうに足音が遠ざかっていくのがわかる。
闇のなかで唯一の助けであるランプの色が赤から緑へと変じている。
扉のロックが解除されている合図だ。
「学生にやるような拘束じゃないよね……」
溜息とともに、両腕を拘束する最新式の手錠を翳す。
これまでは外していかなかったということらしい。
針金でどうにかするという古典的な作法が通じるアナログ手錠ではなく、
デジタルと魔術で施された拘束はおいそれと破れるものではなかった。
「……ったく」
椅子から立ち上がる。その両腕をひろげて、大きく伸びをした。
足元に、中央から"両断された"手錠が転がった。
■風紀委員 >
「いえ、奪われるかもしれませんから、
脱出も生徒の自主性に任せましょう」
失笑を禁じ得ない問いかけに、わざとらしく返しながら。
解錠の処理を行って、そのまま所定の手続きに入り、この場を辞することにした。
■風紀委員 >
「しかも、行き止まりの最奥の扉ときましたか」
「如何にもという感じでしょう。
クリスマスの時期に学園に訪れて、その日のうちに認定を受け、
青春の時期をこの闇のなかで過ごした存在が、ここにいる」
「いささかやり過ぎな気がしないでもないですが」
監視対象。
仰々しい物言いとは裏腹に、周囲に脅威が公示されない謎の存在。
その中でも、特定の十三人を指してまた特殊な区分があるということも知らされている。
「さて……もう承知のこととは思いますが、
君の役目は"監視対象"の"監視役"です」
「はい」
面談の時点でわかっていたことだし、散々目をとおした書類にもうるさいくらいに書いてあったことだ。
「謹んで拝命致します」
「よろしい。成果を期待しています。
どうされます?一緒に行動致しますか」
「――――」
専用のカードキーを掲げた手が停まった。
■風紀委員 >
「基準は」
「人それぞれです」
「制限の内容は」
「それも人それぞれです」
「……誰が決めているので?」
「さあ。ただ、再三言っていますように、生徒によって運営されている学園ですから。
監視対象という区分を制定したのも、それを選出しているのも、
制限の内容や彼らに課される役目を決めているのであって、
ここ風紀委員会に属する生徒が必要だと判断してやっていること、
――だとは思いますよ?」
なんとも玉虫色な解答だが、異を唱えることは求められていない。それだけは判る。
「つまり、この先に居るのが」
「生徒によって認定された監視対象、ということになりますね」
「成る程、物々しい筋書きですね……」
ここは、学園に存在する"地下教室"のひとつ。
違反生徒の更生を目的とした施設で、いわゆる刑務所だ。
その成り立ちを問うことは無用なことだと、さっきの会話からよくわかった。
■風紀委員 >
「この学園に通う生徒たちの中には、
"監視対象"という区分に属する子が居ます」
場違いに穏やかな声が薄闇の中に響く。
ぼんやりとした明かりが照らすのは、左右に等間隔に並ぶ扉を配した長い廊下だ。
足音が奏でる硬質な音は、不必要な音を排除したようなつくられた静寂を突き破って響き、
学園、と称された場所に似つかわしくない緊張感を演出している。
期末考査直前でもここまで冷ややかな気迫を醸し出す空間はないだろう。
まして、生徒が主導する場で。
「風紀委員会のとある部門によって行動や異能が示す反応をモニタリングされ、
円滑な学園運営のために制限を課されている存在――とされています」
「されている?」
「なにぶん公に開示されていない情報が多いものですからね。
言えないこともありますし、わからないこともありますよ」
頼りない言葉に思えたが、成る程と理解していた。
この巨大な都市は設立して間もないというのに、巨きくなりすぎている。
いち生徒が分かり得ることなんて殆どなく、円滑な運営というのもどこまでが事実かわかったものではない。
ご案内:「地下教室」に■■■さんが現れました。
ご案内:「委員会街」から安綱 朱鷺子さんが去りました。
ご案内:「委員会街」から神代理央さんが去りました。
■安綱 朱鷺子 > 神代理央の語り口に妙な違和感を感じていた。
その理由を明確にできるほど朱鷺子は頭が良くないが、いわゆる野性的な勘は働くほうだ。
上手いこと話を逸らされたことは判ったが、自分の主義主張を曲げられるほど朱鷺子は器用じゃない。
神代理央以外の二人の面談相手の存在もまたこの場で舌戦を続けない理由になってくれた。
「…うちは常に、ちゃんとした指示を受けてから動きます。
凶悪犯はその場で止めないと犠牲者が出る、もう、出とるから、現場判断を求められたらうちは迷わへん」
あまり普段から、他人に対してこう思うことはないのだが…気に食わない目をしている…と思った。
「あんたに保証されることやないよ、理央くん。
うちに正義なんてものがあるなら、うちがきちんと責任を持つ。
保証してくれたり、ただしいかどうかって教えてくれるひとがいるなら、きっともっと上の、高ぁいとこにいるおかみさんや」
甘言には…乗らない、乗れない。
神代理央が間違っているか正しいかなんて考えもしないが、少なくとも去り際に見せた彼の主張の言う通りにもなってはいけないと思った。
朱鷺子が神代理央に剣を向けることがあってもそれは…風紀委員としての使命と矜持に則った自分の意志でなければいけない。
「お互い、しっかり風紀やろな」
背中に警告をし返すには語彙も足りなくて締まらないが…風紀委員会にいるのは単純な味方だけじゃない。
「じゃえっと…警邏戻って、いいですかね、言うた手前、しっかりやりますから…」
■神代理央 >
「そうだとも。私の意見は極論だ」
机を叩いた彼女を、静かに見つめながら小さな溜息。
「だが、私は私の極論が間違っている、とは思わない。普通の…或いは、暴力や争いを好まない生徒は、そういった光景から目を背ける」
「確かに、落第街や違反部活生と関わりがある生徒はゼロではないだろう。だが、決して島の生徒の主流派ではない。そもそも、そういった生徒が主流であれば、風紀委員会も公安委員会も存在し得ない」
「私達は求められているから存在しているのだ。多くの生徒は校則を守り、規則を守り、その中で穏やかな日常と学生生活を謳歌している。その権利を害する者を裁くのが、我々の仕事だと思うがね」
此方を見つめる真直ぐな瞳と視線。
それに返すのは、穏やか──いや、『観察』する瞳。
「…話が逸れたな。さて、パラドックスについて、か。
本来であれば、風紀委員が個人の情念で動く事は好ましくはない。
我々は、良くも悪くも平等でなければならないからな。まあ、多少フレキシブルに動いても構わないとは思うが…」
「この犯罪者だけは絶対に許さない。絶対に殺す。というものを個人が決める事は良く無い事だ。そこは、君の言うように『個人の基準』で決める事は許されない、と言う事にも繋がるな。だが…」
そこで一度、言葉を区切る。
「私は君の憎しみも意見も受け入れるし、尊重しよう。好きにやりたまえ」
こういう思想の生徒に、無理に首輪をつけようとするのはまあ…上手くはいかないものだ。
ならどうする?様々な手があるとは思うが、先ずは懐柔しよう。その思想を肯定し、そこから発生する不利益は揉み消し、握り潰し、美談として湛えるプロパガンダを謳い上げよう。
そうすれば、義憤に燃える一般生徒も彼女に憧れて風紀委員会に入ってくれるかも知れないし…まあ、それ以上は捕らぬ狸の何とやら、だ。
「君は、君の正義感の通りに正しくあれば良い。私が間違えている、と思えば、私に剣を向けても構わない」
「君の正義は、私が保証しよう」
だから、この面談は終わりだ。と立ち上がる。
彼女の返事を、待つ事無く。
「では、私は次の予定があるので失礼させて貰う。
安綱朱鷺子。君の学園生活が健やかで楽しいものになる事を、祈っているよ」
最後だけは、穏やかな笑み。
そのまま、制服を靡かせた少年は先輩方の視線など気にする素振りも見せず────部屋を、後にするのだった。
■安綱 朱鷺子 > 「『受け』ですか…そうなんですよね…。
今回の事件では特に風紀の出動が後手になっていることが多い、うちらが頼りない連中って思われるのも、嫌や…。
凄いって思ってほしいわけやないんですけど、お巡りさんはそういう時に頼られるもんじゃなきゃ…」
イメージ戦略のことも朱鷺子にはよくわからない。
少なくとも話は通じてるし聞いてくれているのはわかる。
頼られる存在でいるためには…『受け』る必要が、ある?
「でも、そういう人に賞状送ったら…そのまわりがフリーダムファイターに憧れ始めちゃうんじゃないですかね…。
そのためにしっかり勧誘するのはわかりますけど、じゃあ断られたらどうすりゃええんでしょう…」
そこで思わず…手がテーブルを叩いていた。
バン、と激しく鳴ったことにも気にせずに朱鷺子は言葉を続ける。
「変わりますよ。誰かが死んだら生活は変わります。犯罪者や落第街の住民言うてもこの島にいる人です。
一般生徒と知り合いかもしれないし、仕方なくあっちに行かざるを得なかった生徒もいるんやないですか。
人助けのためにあっちに行ってる人もいます、ちょいとその物言いは極端なんやないですかね?」
拳を握ると、指がバターのようにテーブルの表面を削って掌におさめた。
無自覚に力が入ってしまっていて、首についた異能制御装置が少し圧迫される…警告を受ける仕組み。
深呼吸をしてからあらためて…
「死んでいい凶悪犯がいるのは落第街だけやない」
真っ直ぐ、神代理央を見つめて言う。
「…死んでいい、ちゅうのはよくないですね、殺害もやむなし…本来は逮捕できたら一番なんや。
でも、正直うちはパラドックスが憎い…、殺してやりたい…。
無抵抗の力のない弱者を一方的に暴力ふるって殺すなんて、絶対に許されちゃいけない悪党や。
こいつは悪党ですって裁かれて、人に正義のなんたるかを教えるべきや…違いますか?」
どこまでも真っ直ぐに、神代理央を見つめて、言う。
「格好ええ言い方するなら義憤やけど、人が人を許せない、悪いって思う基準も人によって違う。
悪だと思ったら罰していいっていう考えが許されたら…風紀委員会がある意味ないから。
勧誘もしますし、巡回も…強化しましょう…多分まだ、うちら風紀委員会、そこまでしっかり一般生徒に注意していいほど、ちゃんと仕事できてないんすかね…」
正義が乱立するのが恐い、それは風紀委員会への否定だ…そんな考えと焦りが生まれている。
まだ、あの凶悪犯が…無辜の一般生徒を躊躇なく殺す存在を捕えることができていないからだ。
だがもし彼を倒したのが風紀委員会ではなくて一般生徒だったら…、その未来にも恐怖を覚えている。
■神代理央 >
一般生徒がテロリストと戦う事、犯罪を取り締まる事を、厳格化すべきだ。
そんな彼女の言葉には、ほぉ、と興味と好奇心を強く湛えた瞳を向けるのだろう。
「それは尤もな意見だ。一般生徒は、我々風紀委員会が守るべき者達であり、彼等に万が一の事があっては風紀委員会としての面目が立たない。
それに、犯罪者と対峙する武力が風紀、公安という"組織"から逸脱しているのも宜しくはない。我々は校則に基づいて違反部活を取り締まるが、彼等はとどのつまりフリーダムファイター。民兵と同義だからな」
生徒が運営する学園都市に、その表現が正しいかどうかはさておき。
僅かな間と、深呼吸の後で彼女が告げた言葉に返すのは、先ずはその言葉への肯定と同意だ。実際、その通りだと思うし、それに反論するつもりはない。正しい事だ、とは思う。
「だからこそ、と言うべきかな。風紀委員会の戦力増強の為にも、そのような生徒には風紀委員会に入って貰いたいと思う。
現場で見掛れば声をかける。普段の広報活動に力を入れる。
正義感で動いている生徒を厳罰に処すのは簡単であるし正しい事ではあるが……それは、場合によっては『受け』が良くない」
ぎしり、と座っている椅子が軋む。
「犯罪者や、落第街の住民がどれだけ死のうとも、生徒達の生活が変わる訳では無い。だから、多少の事は無視される。落第街で何人死のうと、生徒達の明日の授業の内容が変わる訳では無いからな」
「しかし、義憤に燃えた一般生徒はそうではない。取り締まり、退学…という事態にでもなれば、そのクラスメイトや関係者の日常が変化する。その変化は、風紀委員会にとって好ましいものではない」
訥々と語る言葉は…要するに『風紀委員会の社会的な評価』を意識したものだ。そんな意見を自分が発するのは、笑い話ではあるかもしれないが。
「君の意見は正しいし、その通りだと思う。しかし先ずは、厳格な取り締まりの前に風紀委員会への勧誘活動を強化すべきではないかな…と言うのが、私の意見だ」
「勿論、どちらが正しいと此処で決める訳でも無い。君の意見も、此の場の議事録に残して…きちんと、検討材料にさせて貰おう」
と、穏やかな笑みを浮かべたまま、言葉を締め括った。
■安綱 朱鷺子 > 「にしし、うちは木っ端やし、気にしてへんよ」
同学年なんやったら、とくだけちゃうけど後で怒られるかな。
でも、自分の思うことを吐き出すならこっちも外面で話すのはやりづらい。
「最近二つの大きい事件が起こって、両方とも未解決ですよね。
首謀者が二人ともつかまってへん…それで思ったことなんやけど」
両手を机のうえにおいてリラックスした語り口調。
「パラドックスってヤツがあちこちでテロ始めて…
ノーフェイスってヤツがヒーローになれって焚き付けてきたでしょう」
どっちも朱鷺子が考える悪とはどこかずれた犯罪者たち。
だからこそ行動が読めないし見かけたら殴るという解決策しか取れない。
そもそも命令がないと動けない、以前のオダ・エルネスト不当逮捕と同じ轍は踏めない…。
「タイミングからいって、煽動があったからちゅうわけやないと思うんですが…
えっと…ややこしいですね、すいません…そうやなくて…」
言葉がまとまらず、まだるっこしい間をつくってしまう。
深呼吸をしてから真っ直ぐに面談相手を見て、言った。
「おかしいこと言うてるかなとは思うんですが…
風紀でもない一般生徒がテロリストと戦ったり犯罪取り締まったりちゅうのも…しっかり取り締まるべきやないですかねって」