2022/02/01 のログ
黛 薫 >  
「……何だろ、この島だとワンチャン実用性の
 あるスクロールよりジョーク術式のが売れる
 可能性なぃ?」

この島の住民に対しても割とド失礼。
アクの強い人が多いのは否定出来ないが。

「そーそー、それについても話そーと思ってた。
 要はあーしのココはフィールの一部なワケで、
 やり方次第で魔力蓄積に使えるんじゃねーか
 ってトコまでは話進んでたよな。

 んで暫定的にだけぉ、フィーナから貰った
 身体操作のタトゥーシールを模倣拡張して
 紋を刻んでみたんだわ。当然フィーナほど
 上手くは出来ねーけぉ、暫定だかんな。

 あーし自身の適性が低くて蓄積に回す魔力を
 なかなか節約出来ねーから、効果の確認にゃ
 も少し時間いるけぉ、今んとこイィ感じ」

服の上から下腹をなぞるように紋の存在を示す。

フィール > 「実際こういうモノ買ってる人見かけたことありますしね…」

自分と同じく塩プリンを食べて叫んでいた人を思い出す。実際そういう物のほうが売れるかもしれない。

「…モノ見ただけで模倣できるのも凄いですね。やっぱり基礎が違うんだなぁ…」

フィールは基礎を飛ばして術式そのものを覚えた、いわば『それだけしか知らない』といった知識であった。今は基礎も学び、その知見を確固たるものにし始めてはいるが。

「………あとは私の方で調整できれば…薫の体質も相まって相当な魔力の発現が出来るんじゃないですかね?多少のロスはあるかもですが」

薫の供犠体質のお陰で薫に分けた分身はその分泌液のみで活動している。
それを魔力に転換する、となると相当な魔力量になるはずだ。

勿論、多くの魔力を引き出そうと思えばそれだけ分泌液が必要になるのだが。

黛 薫 >  
「いたんだ、買ってる人。やっぱ需要あんのか。
 ヘンな味の食べ物で検索でもかけてみっかな。
 買ぅ気なくても読み物として面白そー」

魔術以外に楽しみを見出せるようになったのは
余裕の表れ。別の楽しみに時間を使えるように
なった今の方が行き詰まらずにいられるのは
皮肉といえば皮肉だが。

「フィーナの刻印の模倣、規模は全然違ぅのに
 今やってる魔術への電子機能移植よりずっと
 苦労した気ぃする。頭じゃ分かってたつもり
 だったけぉ、フィーナの領域に辿り着くのは
 遥か先って感じだな。

 あと、切り離した一部のコトはフィールの方で
 調整出来ると思ってなかったから、そこら辺を
 引き受けてもらぇっとかなり楽できそーかも?
 時間があるとき、お願ぃする」

現状は蓄積に関しては自然回復する魔力の余剰分を
与えるに留まっている。分泌液を介した魔力発現が
可能になればそもそも適性が低い所為で余剰魔力が
発生しないという問題は解決する見込み。

問題点はフィールも想定する通り、多くの魔力を
引き出すためには『胎』が相応の対価を求める点。
恐らくは一度に多くの魔力を外部供給する場合も
胎内が活性化して近しい反応が起きるはず。

その際、黛薫の身体に発生するフィードバックは
お察しの通りである。

フィール > 「レビュー見るだけでも面白そうですよね。いろんな反応がありそうで」

こういうゲテモノは好みが分かれる故、色々な事が書き込まれる事が多い。
そういう反応を見るだけでも十分な娯楽になりそうな気はする。

「生来からずっと魔術の研究してる人ですからね…長命種のエルフですし………………あれ、フィーナさんっていくつなんでしたっけ」

フィールはフィーナの詳しいことまでは知らない。彼女が語ることも少ないし、不要な接触はしないようにしているからだ。

長命とはいってもフィーナは若輩16歳。薫ともそう変わらない年齢だが…それだけ知識に差があるのは、生涯の殆どを魔術に費やしていた事もあるが、魔術が身近にあったことも要因なのだろう。

「切り離してしまってるせいで調整は難しいんですよね。活発になりすぎないようにはしていますが、それでも薫の負担はありますし」

いわば、今の薫の中にいるフィールの分身は、元来のスライムに近い。
薫の中を作り変えていっているのも、スライムの本能と経験に任せたもので、薫の体調に合わせた調整は外部から行うのは難しい。

一番簡単なのは直接繋がり調整すること。直接的に出来るので難しくはないが…薫の負担は大きい。
あとは外部からの調整だが…薫の負担が少ない代わりに出来る調整も少ない。

黛 薫 >  
「あ、フィールもフィーナにつぃて知らねーコト
 あんのな?隅々まで知り尽くしてんなら推測も
 立つんじゃ……あーいぁ、不老に近しい生態の
 長命種はそれじゃ分かんねーか」

例えば人間なら身体の組成を隈なく理解すれば
年齢の推測も立つだろう。しかし老化や劣化と
縁遠い種族を同じ方法で図るのは無理がある。

「んん、やっぱ簡単ではねーのよな。そりゃそっか。
 やり方に関しては、フィールのコト信じてっから
 一任しても構わねーつもりでいっけぉ。

 負担に関しては……まあ、感じるコトはしばしば。
 つっても、あーしの身体自体が弱くなってっから
 負担かけすぎっと自分も危なぃって理解してる?
 みたぃな雰囲気はある」

軽く腹を押し込むと胎動の気配が感じられる。

魔力蓄積どうこうを抜きにしてもいずれ調整は
必要だったはずだ。元来のスライムに近いなら
以前のフィールと同様で『供儀体質』の影響を
強く受けて狂わされる可能性があるのだから。

「スライム、といぇばさ。フィールは落第街を
 出るときに同族を裏切ったって言ってたよな。
 それって……駆除してきたってコト?」

ついでに以前から気になっていたことを聞いてみる。

フィール > 「人間とは違いますからね…。若くても青年ぐらいだとは思いますが」

そもそも別世界の生物であるエルフは人間と組成は似ていてもその根源が違ったりする可能性だってあるのだ。

例えば、フィーナが持つ遺伝子にはテロメアが存在しない。
それ故に細胞分裂が止まることはなく、長い間若々しく存在できる。
それが死を迎えるのは、長い細胞分裂の中で致命的な変異――――つまりは癌によって亡くなるか、致命的な病にかかるか、外傷を負うこと。

つまり、死ぬまで老けることはないのだ。

「スライムとしての能力はかなり制限した状態で分けてはいますが…それでも万が一はありますからね。できるだけ外部からの調整にするつもりです。
魔力蓄積に関しては、直接弄らないと出来ないと思いますが」

いわば、除いた機能を復活させるようなことだ。外部からの調整では確実に出来ない。直接その機能を送ったほうが確実だし安全でもある。

「あぁ、駆除はしてませんよ。あれは数が数ですし…なにより私達魔術師にとっては相性が最悪なものでね」

フィールの元となったスライムは、特異なスライムだ。
多少の言語を理解し、非常に厄介な事に魔力、及びそれを根源とする現象を吸収する能力を持っている。

彼らの群れから離脱する際に使ったのも、白鱗手榴弾という、物理的な炎だ。
対策をしない限り、彼らを相手に魔術を使うのは最悪手だ。フィーナもその特異性故に捕まってしまった。

黛 薫 >  
「ふぅん……」

ふと考える。フィールと自分の間には寿命の差は
あるのだろうか。同個体の分裂により、実質的に
いつまでも生き残るスライムと、長命種の間の子。
そのエッセンスを受け継いだ人間。

まあ、恐らく前例もないだろう。考えるだけ無駄か。

「基本あーしの負担を避けつつ、外部からじゃ
 無理のある工程だけは直接行ぅっつーコトな。
 りょーかぃ。んじゃその際に想定外の事態が
 起きなぃよーに、暫定の刻印に調整入れとく。
 写しも送るから問題なぃか確認しといてくれ」

スライムに関しての話は、ふと思い出しただけを
装って流す。内心は正直穏やかではないのだが。
懸念するのはスライムの残党がフィールを恨んで
いる場合と、フィーナの奪還を狙っている場合。

フィールは謂わば変異個体、同族への対策くらい
立てられるだろうし、フィーナが同じ相手に二度
遅れを取るとも思っていない。

でも、フィールは恋心を抱いている。
フィーナは黛薫の現状に責任を感じている。

自分の存在は『弱点』になり得るかもしれない。

フィール > 「わかりました。じゃあ、買い物も終わりましたし、そろそろ帰りましょうか」

一通りの話が終わり、薫の車椅子の持ち手を握って、帰路へとつこうとする。

特に何もなければ、このまま寮へと帰るだろう。

黛 薫 >  
「りょーかぃ。んじゃ、帰ろっか」

確認を終え、貴女にエスコートされて帰路に着く。
黛薫が籠に入れたのは殆どが見切り品とセール品。
品数の割に支払いは安く済むだろう。

ご案内:「商店街」から黛 薫さんが去りました。
ご案内:「商店街」からフィールさんが去りました。