2022/03/25 のログ
ご案内:「古書店街「瀛洲」」に黛 薫さんが現れました。
ご案内:「古書店街「瀛洲」」にフィールさんが現れました。
黛 薫 >  
「魔法書だけでもこんなに誘惑多ぃんだもんな。
 本全般が好きな人って書林祭に来ちまったら
 どんだけ散財する羽目になんだろな?」

それでも来ないという選択肢がないことだけは
分かってしまう。自分もその端くれと言えるし。

「好きなだけ使って問題なぃ、とは言わねーけぉ、
 浪費を気にして買いたぃモノ買ぇなくなんのも
 良くねーと思ぅよ、あーしは。

 不必要な出費って、削り過ぎると息抜きとか
 楽しみが無くなっちまぅからさ。心の余裕が
 失われてくんだわ。そーなるとお金をかけて
 やんなきゃいけなぃ大事なコトも億劫になる。

 モチベーションの維持も必要経費だろ、多分」

黛薫は持たざる者であった期間が長い。
だからこそ『余分』が『余裕』だと知っている。

「ま、働ぃたり稼ぃだり出来ねーあーしが言ぅのも
 アレだけぉ。ちゃんと身体動かせるよーになって
 家計にカネ入れねーとだなぁ」

ある程度は精密動作も可能になり、少しの時間なら
不自由なく自立歩行が出来るようになった彼女だが、
万全に身体を整えて魔力を溜め込んでも運動可能な
時間は健常な人に遠く及ばない。

とはいえ1番消耗の大きい自立歩行だけ車椅子に
頼れば、そろそろ生活の不自由は取り除けそうな
段階に来ている。寮の部屋では車椅子に頼らない
生活を始めても良い頃か。

フィール > 「そういう人はこの日のために貯蓄したりするんでしょうね」
散財することはわかっているから、この日のために節制する、というのもわからない話ではない。
好きなことに全力を注げないのは、歯がゆいということは知っている。

「買いたいものを買わない、じゃなくて吟味したほうが良い、という話だと思うんですよね。
欲しい物を無差別に買ってもそれを楽しむ時間が足りないんじゃ本末転倒ですから」

買うことが目的でなければ、買いすぎた分は積まれていく。それが幾度も続けばその山は大きくなり、買っただけの存在が増えていってしまう。
それは、とてももったいないと感じる。

「稼いでくれるのは有り難いですけど、無理はしないでくださいね?唯でさえ弱ってるんですから」
労るように声を掛けて。

以前強行した儀式で薫の魂は大きく損傷している。薫が魔術の適正を取り戻した代わりに全身不随に近くなったのも、それが原因だ。

「今は資金がありますし。暫くは研究に没頭しても良いように思いますけどね。学生証が手に入ればアルバイトぐらいは出来る……と思いますし」

ちょっと自信なさげ。

黛 薫 >  
「ま、それもそーよな。んでも節約するにしても
 貯めるにしても、お金の代わりに手間や時間が
 要るから大変なんだろな、とも思ぅ」

例えば食費を削るために自炊をすると、レシピや
材料を考える手間が必要になるし、調理の時間も
必要になる。節制や貯蓄に時間や体力を使っても
やはり楽しむ余裕が減るのが悩みどころ。

「無理はしねーよ、ってか出来ねーし。
 今の段階じゃどの道皮算用だからイィけぉ。

 それを言ぅならフィールも無理すんなよな。
 下手したらあーしよかフィールのが表の街で
 暮らす勝手が分かんなかったりするだろし。

 んでも、学生証が手に入ったらその辺の問題は
 確かに楽になるかも。異世界から来たヒトとか、
 こっちでの暮らし方が分かんなぃヒト向け?の
 補助とかあっから」

お金が欲しいけれどこの世界での生き方がまだ
分からない、と素直に伝えれば生活委員辺りから
仕事を斡旋してもらえるだろう。

フィール > 「あー…いや、確かに。そうか、私ずっと落第街にいたからそっちの常識に染まってる可能性が高いのか…いや寧ろ生まれてからずっと落第街だったから染まってるのか」

事実としてアルバイトは飲食店等を想定していたがその給金や契約に関しては落第街基準、つまりは法外なモノで考えられていた。

「ふむふむ、そんな補助もあるんですねぇ。知らなかった」

落第街にずっといると学園の情報は情報屋を通してでしか余り得られない。あそこは生きる事で必死にならなければならない場所だから。

「そろそろ知り合いの風紀の方にも掛け合わないとですねぇ…もうすぐ3月が終わる…」

黛 薫 >  
「自分が常識から外れてる、って自覚難しぃよな。
 何を間違ぇたかすら分かんねーんだもん」

落第街から表の街に戻ったときも色々戸惑ったが、
それ以上に大変だったのは常世島に移り住んだとき。
もし異能に合わせた措置を不公平と感じる価値観が
無かったら踏み外さずに済んだのだろうか。

「学園って、悪ぃコトしてねー人には何だかんだ
 親切なんだわ。あーしも助けて貰ぇなかったら
 社会復帰とか無理って心折れてたかも。

 常世学園は4月に入学しなきゃダメ、ってこた
 ねーけぉ、合わせた方が楽なのも間違ぃなぃし、
 間に合ぅに越したこたねーわな。

 学生証が手に入る見込みはあっけぉ、入学式には
 間に合わなぃかもって場合、どーなるんだろな?
 お願ぃしたら説明会とか一緒に受けらんねーかな」

フィール > 「悪い子としてない人には親切…………」
目線が泳ぐ。
悪いことはいっぱいしてる。何人か殺してるし何人か人生壊してるし。
なんなら麻薬の流通までやってた。なんで捕まってないんし退治されてないんだろうね。

「…まぁ、なんにせよ。学生証が手に入れば色々と楽が出来るんです。早めに取っておくことに越したことはないでしょう」

自分が取得出来るかは兎も角として…最悪でも薫には取得しておいてもらいたい。
何かあっても、自分以外に庇護を求められる環境にしておきたい。

黛 薫 >  
「……言ぃ換ぇよっか。悪ぃコトしてなぃヒトと、
 反省して悪くなくなったヒトには親切。多分」

苦笑い。それを言ってしまえば黛薫も悪いことは
やってきている。落第街に巣食う本物の『悪』と
比べれば小物も良いところだが、不良ではある。

旧世紀の法に照らし合わせれば、フィールはきっと
許されない大罪人だろう。だが無知故の悪徳を全て
杓子定規に裁くと、異世界との融和が図れなくなる。

異なる世界に飛ばされ、生きるために人を殺して
捕食した者もいる。遵法意識を持ちつつも元々の
世界で許されていた行為に及び、何が悪いかすら
分からず糾弾されて戸惑った者もいる。

「あーしは……どーしても時間かかっちまぅから、
 フィールが先になっかな。そしたらフィールが
 あーしの先輩になる?あーしは復学扱ぃだから
 学年的にはあーしが上のまんまかな?」

先輩後輩、日常物の映画やドラマではしばしば
焦点の当たる関係性も遠からず現実になるか。

フィール > 「年齢的には薫が先輩のハズですけどね。私まだ生まれて2年…2年だったっけ。それぐらいしか経ってないですよ」

フィールは自分の誕生日を覚えていない。そんな重要なことだとは思ってはいなかったから。
だから自分の年齢もどんぶり勘定で大体しかわからない。
とは言っても未だ赤子のような年齢なのだが。

「私はスライムの特性で元となった者の姿形を取って、それに見合う頭脳を手にしましたけど…肝心のその中身はすっからかんですからね。知らないことが多いので薫と一緒の勉強をしても置いていかれるだけな気がします」

事実、フィールは魔術を除けば小学生並の知識しか持っていない。いざ中学の勉強をしろと言われても基礎がないから理解すら出来ないだろう。

黛 薫 >  
「年齢で言われると逆に実感湧かねーなぁ……。
 2歳て、あーしの基準だとまだ赤ちゃんだし」

年齢と学年が比例しない常世学園では瑣末な問題。
1000歳くらい歳上の後輩とか、ときどきいる。

「その辺はまぁ何とかなるだろ。『学園』って
 銘打たれてるくらぃだから旧世紀の義務教育、
 って言って伝わるか?伝わんねーよな、んん。

 このくらいは覚ぇておかなぃと苦労すっから
 全員に教ぇますって範囲?は、ちゃんと学園で
 教ぇてくれる学科があるから、だいじょぶ」

黛薫は旧世紀の風習が色濃く残った田舎育ち。
中学校レベルの教育も履修が終わっていない。

生きるためだったり学ぶためだったりと必要な
事柄が多かったから、同年代の子と比較すれば
知識だけは豊富な方だが、偏りが激しい。

フィール > 「へぇ、そんなものが…あぁ、だから文字が書けないとか読めないとかする人がいないのか、成程…」

義務教育は国民の最低レベルを引き上げる役割を果たしている。少なくとも生きていけるように。

「学ばなきゃいけないこといっぱいですね。学問にしろ魔術にしろ。これから大変だなぁ」

黛 薫 >  
「大変なのは間違ぃねーよ。勉強は『やりたぃ』
 って思ってるときが1番楽しぃし、苦手なコト
 好きじゃなぃコトも必要ならやんなきゃだし。

 そんでも、そーゆー積み重ねがあってはじめて
 やりたかったコトに手が届くよーになんのよな」

もしも、読み書きが出来るようになる前に落第街に
放り出されていたら。稼ぎにありつけないのは勿論、
心の支えとなる魔術の探究にも触れられなかった。

「ふひ、フィールは好奇心旺盛な方だかんな。
 きっと学び出したら知りたいコト楽しぃコト、
 たくさん見つけてくんだろな、って思ぅよ」

会話の最中、見つけた本を確保する。
目的としていた用途に適う本。魔力を鍛える為の
一時的かつ簡易な封印と制限の方法が記してある。

フィール > 「興味は尽きないですね、本当に。色んな事がいろんな事象に絡みついて、紐解けば紐解くほど深みが増して面白いですから。文学にせよ理学にせよ。」
フィールは恋愛や映画を起点に文学に興味を持ち。
魔術を起点にして理学に興味を持った。
学ぶ環境さえ整えば、食いつくように学び始めるだろう。

「知れば知るほど知らないことがいっぱい出てきますからね…。飽きませんよ」

黛 薫 >  
「ふひ、違ぃねーな」

黛薫は魔術を起点に周辺知識、学習に必要となる
知識を蓄え、今は電子情報分野に手をつけている。
知れば知るほど未知は広がり、未知が広がるほど
学習の余地は増えていく。

「ひとまず、あーしが買いたぃ本は概ね確保出来た。
 フィールはどぉ?他に欲しぃ本、探してみたぃ本、
 あったりすっかな」

勿論、未知との出会いを求めて当て所なく探すのも
悪くない。今この時期、この街には普段にも増して
多くの本が溢れているのだから。

フィール > 「そうですねぇ……」
頬に指を当て、少し考える。

「…スライムについての本とかあったりしますかね。そういえば自分の事についてはあんまり知らないんですよね。自分で出来ること以外は」

そう、親であるスライムにはある程度の知能はあったが、自らに関心を覚えるほどのものではなかった。
その中で、フィールは人と同等の頭脳を手に入れ…それに近しい思考を持つようになった。

自身に対しても興味を持つようになるのは、人にとって当たり前の話だ。

黛 薫 >  
「スライムにつぃて、か。あーしも知りたぃかも」

フィールのことを深く理解できるのもありがたいし、
未だ生き延びているかもしれないフィールの同族、
魔術師の天敵たる彼らの対処方も増やしておくに
越したことはない。

特異個体であるフィール以外のスライムが恨みや
憎しみを覚えるかまでは分からないが、仮に報復を
考えていた場合、同族の危険性を知るフィールや
一度会敵したフィーナより、弱点になり得るのは
弱い自分だから。

「その手の品揃ぇが良さげな本屋、あったかな。
 いつだったか異種族系の古本で特設コーナー
 組んでた店があったはず……こっちだっけ」

ひとまずこの店で買った本は精算を済ませておき、
別の本屋に向かう。新書を扱う書店より仕入れが
安定しない古書店なのにジャンルが偏っていると
いうことは、つまり店主の趣味なのだろう。

フィール > 「薫、よく知ってますね」
自分は古書店街へは余り足を運んだことがない…というより落第街やスラムから殆ど出たことがなかったのでこういう場所のことは知らない。

探してみれば、スライムに関する本が見つかるが………

「………違う。これじゃない」

見つかるのは、別種と思われるスライムの本ばかりだ。知能が全く無いものや、知能はあるものの酷く貧弱であったりだとか、強酸で触れてはいけない生物であったりとか。少なくともフィールが知る個体でそういう性質を持つモノはいたかも知れないが、種族としてと考えると違う気がした。

少なくとも、魔術を吸収するという記述があるものは見当たらない。
私の片親が、そうであったはずだから。

黛 薫 >  
「この街って本を目当てに来る人しかいなぃから。
 わざわざ別の通行人を見る人がいないのよな」

魔法書を探せる以外にもこの街を好む理由が
あったのだと仄めかし、本の物色を始める。

「当たり前っちゃ当たり前だけぉ、本に載ってる
 スライムってフィールの印象とは随分違ぅな?」

特異個体のフィールを基準にしているため、
『違う』ということだけは理解出来ている。

しかしフィールの素となった個体を明確に
理解してもいない。興味深そうに頁を捲り、
別種のスライムの生態を学習している。

「にしても、亜種?っつーのかは分かんねーけぉ、
 スライムって種類多ぃな。環境への適応能力が
 高ぃとこんなに細分化するもんなのか」

フィール > 「そりゃまぁ、今の姿はフィーナを基準にしてますからね」
体の構成基準はフィーナが基準で、構成成分はスライム基準という曖昧な存在だ。新種と言っても良いフィールの生体を書いてあるものはおそらく研究所ぐらいにしか無いだろう。

「亜種に関しては他の生物も人のこと言えないと思いますけどね。昆虫なんていくつ種類あるんですかね…あれ」

約95万種という数を誇る昆虫たち。スライムと比べると雲泥の差だ。

しかし、古書を漁って自分の親の種族に当たらないのは……

「……まさかとは思いますが…この世界のモノじゃない、最近流入した個体だったりすると…此処にない可能性もありますね?」

黛 薫 >  
「生態系ピラミッドは下の方が数も種類は多ぃよな。
 被食者は捕食者より数が多くねーと絶滅しちまぅ。
 で、被食者が減るほど捕食者も飢ぇて数を減らす」

繁殖能力、環境適応能力が高く、かつ何でも食べる
スライムはこの世界の既存の生態系にはいなかった。

仮にいたらとしたら捕食者は最低でもスライムに
勝てる能力が必要になるのだろう。旧世紀基準の
ファンタジーと呼ばれた世界で魔物、野生動物と
戦う専門の武器や職業が発達するのも無理はない。

「スライムっつー種族がこの世界原産じゃねーのは
 間違ぃねーけぉ、こんだけ幅広ぃと異世界由来の
 新種を逐一発見して図鑑に載せるのは非現実的か。

 うん、そー考ぇるとフィールの考察はあり得る。
 最近流入して調査の進んでない種、個体って説は
 説得力あんじゃねーかな?」

フィール > 「そうなると…やっぱり研究所ですかねぇ?」
自分のことを調べてもらう他にも、討伐されたスライムを解体して調べたりもしているはずだ。

聞けば教えてもらえるかも知れない。

「じゃあ、そろそろ帰りますか。目的のものは大体買い終えたはずですし」

少し、伸びをして。人混みと積み上がった本を読み漁って猫背になりかけた背を正す。
そのままふぅ、と一息。

黛 薫 >  
「そだな。本は内容の精査、審査が必要だから
 研究所とか、あとは論文の方が情報早ぃかも?
 論文を読むにも学生証があった方が便利だし、
 何はともあれそこからって感じだな」

話題が一巡りして学生証の話に戻ってきた。
黛薫も読んでいた本を棚に戻そうとして、
立ち読みで済ませるのも申し訳なかったので
今読んでいた1冊だけ購入することにする。

(立ってないが)立ち読みしても疲れないのは
車椅子の地味なメリット。猫背気味になった
フィールと対照的に黛薫は背もたれに身体を
預けていた。

「今日の分のご飯、冷蔵庫に残ってたっけ?
 無かったら帰りがけに何処か寄って買ってこ」

とはいえ、人が多ければ視線も増える。
黛薫も目に見えて分かるくらいには疲れている。
寄り道をするかはともかく、もう用事は済んだ。

2人で連れ立い、今日の成果について話しながら
帰路に着く。特に魔法書の収穫はは帰り道だけで
話し切れるものではなく、寮に帰ってからも当分
会話の種は尽きないだろう。

ご案内:「古書店街「瀛洲」」から黛 薫さんが去りました。
ご案内:「古書店街「瀛洲」」からフィールさんが去りました。