2021/11/13 のログ
ご案内:「堅磐寮 部屋」に黛 薫さんが現れました。
ご案内:「堅磐寮 部屋」にフィールさんが現れました。
黛 薫 >  
配送を頼んだ家具も届き、学生の部屋らしく
生活感溢れるようになった堅磐寮の一室にて。
黛薫はベッドの上で充電器に繋いだスマホを
弄っている。やや難しい表情。

「……あーしに出来んの、こんくらぃかぁ」

ぼす、とそのままベッドに倒れ込んだ。

フィール > 「んー………」
カリカリと。先日買った羊皮紙に魔法陣を描いていく。

万が一の時の為のスクロールの作成だ。

暫くは杖は使えない。故にこのスクロール達に頼ることになる。

「何やってるの?」
薫の独り言を聞いて、声を掛ける。

黛 薫 >  
「んー……落第街でしか生きらんなぃヒトら、
 どーにか犠牲を減らせねーかなって」

疲れたような眠たげな声で答える。

「落第街の外、つっても黒街だけぉ。一時的な
 受け入れとか扶助を引き受けてくれるトコを
 探して声かけてたんだわ。全部で11件回って
 引き受けてくれたのは4件。世知辛ぃよな」

もだもだと寝転んだまま器用に体勢を変えると
スクロールを作成する貴女の方に顔を向けた。

「フィールはスクロール作成か。杖を使ぅのは
 当面お預けだもんな。落第街の衝突が表まで
 飛び火しなぃよーに祈らねーとだ」

フィール > 「そもそも…落第街のあれは、焦土作戦です。一時的な受け入れが終わっても、帰る場所が無い可能性も…」
スクロールを書き上げながら、可能性の話をする。
事実、自分が使っていた落第街の住居は砲撃にて破砕された。

だから今、此処で世話になっている。
「…あと、声かけるのは良いんですけど。変なことはされてませんよね?」

ちょっとだけ、疑いの目を向けておいて。

「これねー…資金源にできないかなー、って思ってるんですよ。
ほら、杖も魔導書も要らない使い捨ての魔術、って考えれば。
そこまで嵩張らないですし」
資産があるとはいえ、今の収入は0に近い。フィールは戸籍的な理由で、薫は異能による理由で、働くことが出来ない。

「学生証が手に入れば、楽なんですけどねぇ」

ご案内:「堅磐寮 部屋」からフィールさんが去りました。
ご案内:「堅磐寮 部屋」にフィールさんが現れました。
黛 薫 >  
「そ。だから損益的にはあーしの持ちかけは分が
 悪ぃのよな。契約切れたら放り出して良ぃって
 ならねーワケだから」

スマホをスリープモードにして枕元に置くと
ごろんと寝返りを打って視線を天井に逃がす。

「黒街のツテはそーゆー要求あんましてこなぃ。
 落第街より経済的な利益重視のトコ多ぃから、
 あーし1人分のカラダで稼げる程度の金額には
 固執しねーんだよな。

 もし歓楽街とか常夜街のツテに頼ってたら
 そーゆー要求もあったのかもしれねーけぉ。
 受け入れが目的だからそっちはに頼れなぃ。
 ただでさえこっちが不利な条件なんだから
 避難民がそのままウリに回されるかもだし」

とはいえ、不安要素が無いといえば嘘になる。
落第街の住民が焼き出されれば、生き延びた者は
必然的に隣接する街……黒街や常夜街、歓楽街に
流れるだろう。一時的な混乱、治安の悪化は必至。

「あー、自作した魔導具の売り出しってコトか。
 フィールのお手製なら性能はそこらの店にゃ
 劣らねーだろーけぉ。問題を挙げるなら競合の
 店がそこそこある点になんのかな?」

身も蓋もないことを言えば広告力の問題。

フィール > 「その辺り全部当事者が受け持ってくれればよかったんですけどね…風紀は巻き添え上等で助ける気はナシ、問題の違反部活は風紀を目の敵にしててこれまた巻き添え上等。全く、歴史に出てくる戦争の方がマシに見えますね」
歴史では戦争で起きた悲惨な出来事でも、後始末はしっかりやるものだ。

しかし、此度の戦争はお互いに『その気がない』。もしかしたら公安辺りが動くかもしれないが…今の所その動きも見えない。

「…まぁ、逆に言えば受け入れを行うことで利益が出ると考えてるんですよね…短期にしろ、長期にしろ。薫の言う通りウリに回されるのもさもありなん、ですね」
落第街から逃れる民は基本的に難民となる。その辺りの法整備は…恐らくは無いだろう。良くて異邦人向けの手続きだ。しかし今回は数が違う。多くの人間が拠り所を無くして難民となる。スラムだけでは足りないだろう。

「競合店もそうですが…まず、私達に許可が降りるのかどうか、ですね。私はそもそも学生証を持ってませんし、薫はまだ違反学生のままですし…。薫の知識を生かして魔道具を作るという手もありだとは思うんですが、これをクリアしないとどうにもならないんですよね」
落第街は今や火の海で、スラムでは需要はあるが落とす金がない。
黒街や常夜街、歓楽街だとショバ代で首が回らなくなりそうだ。

黛 薫 >  
「それこそ安価な労働力としてなら受け入れるって
 スタンスのトコもあった。そーゆーのに関しては
 まずあーし側から持ちかけねーようにしたけぉ」

逃げ延びた先もまた地獄では意味がないし、
黒街で食い物にされるのと落第街で食い物に
されるのはまた事情が異なる。命が助かる目は
黒街の方が高いが自由も逃げ場も失くす危険が
高いのも黒街だから。

「場所の問題なら、アテは……無くはなぃのよな。
 常世渋谷の底下通り。許可のなぃ露天が山ほど
 あっから、検挙してたらキリがねーって理由で
 半ば黙認されてる」

とはいえ、あそこも治安はあまり良くない。
此度の衝突の余波も及ぶだろうし、積極的に足を
運びたいかと言われると……売り上げが伸びるかは
正直微妙なところ。

「……あーしも働き口、探そっかなぁ」

フィール > 「どちらにせよ、利益目的なら場所代は取るでしょうし、遅かれ早かれ、とは思いますけどね。難民にも手に職は必要ですし」
資金のある私達とは違って、難民は資金が無い可能性が高い。
なんにせよ仕事はせねばならず…その受け入れ先としても、考えられているのだろう。

「ほほう…そんな場所が。それは良さそうですね…」
フィールは今まで落第街以外を出歩いたことはあまり無く、こういう情勢には弱い。薫の提案がなければ白紙になっていたかもしれない。

「働き口、ですか…それなら、私の手伝いしません?」
書き上げたスクロールを持って、ベッドに倒れ込む。

ぎし、と小気味の良い音が鳴る。

そして、何も言わずスクロールを見せる。
護身用の、デコイスクロール。空気中の水分を凝縮し、屈曲を利用して虚像を作り出す代物だ。

しかし、これには問題点がある。

術式が複雑であり、消費する魔力量が多いという点だ。
不特定多数に売り出すには、致命的な欠点。

黛 薫 >  
「そーゆーワケだからあーしがあちこち折衝して
 回ってみたんだけぉ、結果は芳しくなかったな。
 いちお、も少しだけ頑張ってみる予定」

天井に目を向けたままため息。何もしないよりは
マシだったとはいえ、被害状況を鑑みれば焼石に
水も良いところ。

「収入が無ぃ現状は魔導具販売が軌道に乗りゃ
 改善すっかもだから、あーしがフィールを
 手伝ぅのは前提として考えてたんだけぉ……。

 ま、それはそれとして。上手くいかなかった
 場合に備えて収入源を持っておくのはアリだと
 思ぅのよな。あーしの場合は……それとは別に
 ちゃんと働けるって示せたら、復学とか……
 お願ぃ出来る材料に、なるかも、みたぃな?
 下心も、あんだけぉ……」

フィール > 「無理だけはしないで下さいね。薫が嫌な目に遭ったら、私、怒りますから」
向けるのは心配な目線。フィールが怒ったら…どうなるだろう。

「まぁ、収入に関しては急ぐ必要はないし、ゆっくりやっていけばいいよ。
にしても…復学、ねぇ。そういえば、薫はどうして違反学生になったんだっけ」
そういえば、薫の異能や過去については聞いたけど、この学園での経緯は知らない。この際だし聞いてみよう。

黛 薫 >  
「……怒られたかねーけぉ、確約も難しぃかも。
 自分の行動を自分で決められたら、あーしは
 もっと賢く生きれてただろーから」

僅かに気落ちしたような、沈んだ声音。
そも黒街での折衝は既に安全な行為ではない。

「別に、そんな大層な理由があるワケでもねーよ。
 魔術の勉強がしたくて入学して、そこそこ良ぃ
 成績も出してたのに、実技が始まったら全っ然
 ダメ。先生はがっかりするしクラスメイトには
 笑われるし。

 あんときはこーも根が深ぃ原因だなんて思って
 なかったから……どーにか出来るって信じてた。
 『禁書庫』に忍び込んで、何の成果もなくて。
 悪ぃコトした引け目もあって、登校出来なく
 なって……あとは、ずるずる悪ぃ方に向かって
 この有様。笑えるだろ」

内容だけを聞けばありがちな話に思える。
理想と現実の乖離。学生によくある悩み事。
しかし……踏み外したとはいえ、それだけなら
きちんと反省してやり直せたはずの内容。
まして彼女には復学の意思があるのだから。

しかし過去を振り返る黛薫の声は酷く不安定で
……会話の傍ら、ばりばりと爪で手の甲の皮を
剥いでいた。

フィール > 「………その折衝とやらに、私がついていくことは出来ませんか?
私がついていけば、万が一の時も対応できますし」
今や薫が一番大事な存在となったフィールは、薫が見知らぬ所で無茶をしているのが怖くて仕方がない。
せめて、目の届く所で、と思って。護衛を申し出てみる。

「………異能の発現は、その頃既に?」
手を掻く薫の手を、手で包もうとする。

薫が傷つくのは、見たくない。ましてや、自分でだなんて。

黛 薫 >  
反射的に貴女の手にまで爪を立てそうになって
思い止まる。黛薫の全身を見た貴女は知っている。
彼女の手、腕。時には頬や首にも同じ痕があった。
刃物が無くても黛薫は自傷を止められない。

「は、ぁ゛ぅ……異能、は。……生まれつきだよ。
 ずっと、見られて、触られ、て……」

非才が発覚したとき。それが原因で落第したとき。
追い詰められて違反に走ったとき。黛薫はどんな
目で見られていただろう。話題に上らせるだけで
不安定になるその姿から、察するに余りある。

呼吸を整えるのに、数分の時間を要した。

「フィールがつぃてきたら、危険は減るかもな。
 でも護衛を付けんのは『信用してなぃ』って
 言ってんのと同じなんだ。危険が前提にある、
 用意しなぃ方が馬鹿に見られる落第街の取引と
 違って……誠意も必要になんだよ」

フィール > 「…………復学するより前に、異能をどうにかしないといけないですね。もしくは、別の方策…それこそ、家庭教師とか雇った方が良さそうです」
薫を抱きしめながら、背中を撫でて宥める。
過去の傷は深い。それでも、復学を求めるのは…羨望があるから、だろうか。

「信用も何も。薫が確約出来ないのなら無いに等しいじゃないですか。
落第街と同じですよ。付け入る隙を与えるから付け込まれる。
誠意も何も、『身を守ること』に関して相手が口出しする理由がわかりませんよ。

健全であるなら護衛なんて文字通り『無視』すればいいんですから。
それについて口出しするのは、『やましいこと』があるからなんじゃないですか?
それに、今の情勢ですよ?相手の場所だけじゃなくて行き帰りだって危険かもしれないんです。

思い出すだけで辛い事だってあるんでしょう?だったらついていきます。私は薫にこれ以上傷ついて欲しくないんです」

過保護、と言われるかもしれない。
でも、フィールにとって一番大事なのは薫で。
それ以外のことは、二の次なのだ。

このままでは恐らく、止めてもこっそりついていくなりするだろう。

黛 薫 >  
「異能のデメリットが大きぃなら必要な措置を
 取るとか、学校に通えなぃのなら学ぶ機会と
 場所を別に作るとか。多分、あるんだろーよ。
 やりようなんて、いくらでも」

脱力して貴女に身体を預ける姿勢で呟く。
震える声で、色々な感情を押し殺すように。

「でも……今からどうこうしても、過去のコトが
 無くなったりとかしなぃし。ボコボコになった
 心が元のカタチに戻ってくれたりもしなぃ」

「……フツーに、生きてみたかったよ」

あまりにささやかな願いを『過去形』で吐露する。
今更叶えても、無邪気に信じていた頃の気持ちは
返ってこないから。

「……そーな。むしろ取引の場より行き帰りのが
 危なぃかも。安全を思ぇば落第街付近の街には
 きっと近付かなぃ方が、イィんだろーな」

目を閉じる。理屈で言えば正しいのはフィールだ。
その上で自分が『最初から頼まなかった理由』を
探して、飲み込んだ。

自分に守るだけの価値が感じられないから。
不穏な空気のない街にいるとトラウマが蘇るから
理由を付けて治安の悪い区域に逃げていただけ。
それに……そうそう酷い目には遭わないだろうと
いう予測に託けて、小さな破滅願望を満足させる
言い訳にしていたのもあるかもしれない。

どれを言っても、叱られてしまいそうで。
目を逸らして見なかったことにした。

フィール > 「家庭教師もそうですし…なんならネットを使って授業、というのも出来そうですね。むしろ不思議なのは、薫がそうなってしまうまでそういう措置を取らなかったことなんですけど」
そう、これはちょっと不自然に思える。薫の変化は見て取れただろうし、先生、もしくは生徒が報告すれば環境は作ってもらえただろう。

そうならなかったのは、周囲の環境故だったのだろうか。

「…私は、その「フツー」というのが、あまり良くわからないのですが…私は、今の薫が好きですよ。
一杯傷があって、私も知らない傷があって。向こう見ずで、無茶ばっかりやって。
私は、そんな薫が好きなんです。守ってあげたくて、癒やしてあげたくて。」

ぎゅぅ、と抱きしめる。思いっきり。

「薫が無茶するのは、きっとトラウマなんだろうな、とは感じてるんです。落第街の近くに出向くのも…平穏の中にいると、平穏だった頃のことを思い出すからじゃないかな、って。」

薫が人目に怯えながらも、その渦中に向かうのは。
きっと、心の傷が、そうさせているのだと思うから。

「だから、私はそれを癒やしてあげたい。気にならなくしてあげたい。
痛むなら私が癒やします。痛む度に抱きしめてあげます。
だから…逃げるんじゃなくて、向き合いましょう。慣れましょう。

そうしたら、きっと、表でも生きていけると思うから。」

黛 薫 >  
「何でって……あーしが我慢してたからだろな。
 人より劣る部分、恵まれてなぃ部分を言い訳に
 優遇してもらぅの、ズルだと思ってたから……。

 異能に限らずハンデを持って生まれた人なんか
 山ほどいる。あーしとおんなじクラスにも足が
 不自由な子とかいたし」

黛薫の変化に周囲が気付いたのは落第してから。
その後まもなく違反行為を犯したため、助けが
必要な立場と見てもらえた期間は短かった。

「やめろよ、そんな、違ぅ。思い出してなんか、
 あーしは、クズで、だから、そうするべきで、
 平和な場所なんか、似合わな、違ぅ、違ぅ……
 その方が、自然なんだ。ゴミはゴミらしくして、
 暗ぃトコに、いなきゃなんだ、あーしも」

怯えるような声。身体が酷く震えている。
貴女の指摘……トラウマから落第街付近に
逃げているという指摘は図星だったのだろう。

抱きしめてなおその震えは止まらず、程なくして
嗚咽が混じり始めた。今はまだ直視出来ない傷。
慣れるには相当な時間が必要になるだろう。

フィール > 「……薫がクズなら、私は産廃、かな?
何にも使えない廃棄物。
居るだけで悪影響を及ぼす害悪。
人を殺してもなんとも思わない下衆。
人を壊して楽しんでた外道。」

薫に合わせるように、自分を下卑する。
魔術を思うように使えなくなった今、価値は底辺にまで落ち込んだ。
麻薬を作り出すような害悪で。
薫を助け出す時に人を殺しても、何とも思わなかった下衆で。
フィーナを壊して楽しんでいた外道だ。

「お似合いじゃない、私達。クズで、ゴミで、害悪で、外道で。
薫が望むなら、ずっと閉じ込めて『飼って』あげるよ?かつてのフィーナみたいに」

自分にはそれが出来る。出来てしまう。
自分は怪異だから。自分は人を苗床とするスライムだから。

「私は、嫌だけどね」

そう、一言添える。

黛 薫 >  
貴女の卑下には少し傷付いたような表情を見せたが
反論はしなかった。黛薫の感情と言動は噛み合いが
非常に悪い。貴女が並べた言葉は概ね事実である。

それを受け入れられないのは黛薫の感情の問題だ。
しかし、黛薫は合理を優先して感情を押し殺した
経験もある。それは落第するまで周囲の視線に
耐え続けた過去が証明済み。

合理のために感情を殺し、しかし抱く感情は非合理。

「……あーしにそのつもりがないって前置きした
 上で聞くけぉ。もしも、あーしがフィールに
 『飼われたぃ』って言ってたら……フィールは
 嫌でも我慢して叶えてくれた?それとも……
 あーしのコト、キライになってた?」

もし『フィールが嫌なら望まない』と言ったなら
『傷付いて欲しくない』と望まれた場合の逃げ道を
失ってしまう。今はまだ、表の街の方が裏の街より
怖いから……少しだけ返答をズラした。

それが酷く自分本意に思えて自罰感情を刺激する。
胸がじくじくと痛んで、涙が止まらない。

フィール > 「…嫌いになんてならないですよ。その弱さも、薫の魅力でもあるし…やるとは、思いますよ。自分のことは嫌いになりそうですが」

フィールが語った言葉は、甘言だ。堕ちるなら一緒に堕ちてしまおう、などという、逃避の。

真に薫のことを想うなら、逃避なんて選べない。選べるはずがない。

「…少なくとも、破滅願望はもってなくて、良かったです」

薫の涙を拭う。

「……すみません。酷いことを言って。でも…同じぐらい、酷いことを言ったって、自覚してほしかったんです。

愛する人がクズだったなんて、酷いじゃないですか」

黛 薫 >  
「あーしだって、取り返しのつかないオシマイは
 怖ぃんだよ。でも……あーしなんかが許されて
 何のお咎めもなくのうのうと生きてんのも怖ぃ。

 破滅願望なんて大層なモノじゃねーかもだけぉ。
 傷付くのが怖ぃ癖に、傷付くような道ばっかり
 選んでんだよ。傷付いたらどーせ後悔すんのに」

結局のところ、安全のために貴女を頼らないのも
それが理由……なのかもしれない。心が捻くれて
本心かどうかは、自分にも分からないけれど。

「……あーし、酷ぃコト言ってばっかだよな」

自嘲気味に呟く。貴女の告白を聞いたときだって
『突き放されたらしまっておける』と言ったのに
応えるでも突き離すでもなく、離れたくないから
逃げ道を塞ぐに留めてしまった。