2021/12/01 のログ
ご案内:「浜辺」にレイチェルさんが現れました。
ご案内:「浜辺」に園刃華霧さんが現れました。
レイチェル >  
―――
――


「――まず、シンプルな話。元気してっか?」

そこまで口にして一旦水面に目を落とす。
こうして話していると、時折心配になるものだ。
以前、真琴と話している時にも聞いたことではあるし、
直接華霧の口からも聞いたことだ。


「真琴のところで、楽しくやれてるかってこと。
 いつも会える訳じゃねーから、心配してんだぜ、これでも。
 前も、オレに色々伝えてくれたことだしな」

以前に二人で話した時のことを思い出す。
華霧は、真琴に殺されても仕方がない、なんて言っていた。
それは全力で否定したし、それで華霧もあの場は理解してくれたけど。

園刃華霧 >  
「は? 見テのトーり、元気だゾ?」

なにいってんのー、と笑う。
朗らかに、けらけらと。


「ンー……アー……そウいう……
 まー、ボちぼチ。」

簡単に割り切れる話ではないので、まるっと忘れよう、とはなかなかならない。
ただまあ、少しは気が楽になったのも確かだ。


「タまーニ、悪ふザけサれンのはちトたマらンけどね。
 まー、死ぬワけでナし。」


絶対アタシのこと、おもちゃだと思ってるだろっていう瞬間がたまにある。
なんか山程きせかえさせられたときとか。

まあ、それも悪ふざけの範疇だし。
うざいとは思っても、それほど辛くはない。


「ツーか、ソれ。 アタシのセリフだゾ?
 この元病人」

へらへらと、ゆるい調子でからかう

レイチェル >  
「すっげー着せ替えられてたもんな……。
 まぁでも、あいつ……
 お前のことを自分の子どもみたいに思ってるみてーだし……」

真琴から、その辺りも少しばかり話は聞いていたので、少し噛み砕いて伝えた。
そういえば端末に送られてきた写真残ってたな、なんて思い出しながら。

「……活動記録みたいな感じで、オレのところにもたまーに届いてるんだが」

ほれ、と。申し訳無さ半分悪戯心半分で端末を見せる。
華霧が色んな衣装に身を包んだ写真がそこにはあった。
黙って持っておくのもなんだかなぁ、と思ったし、
ちょっとからかいたかった気持ちもある。
いっつもからかわることが多かったし、ちょっとくらい良いだろ?


「あー、病人ね。
 実は、ちょっと前に病院に行ってきたんだ。
 身体、ちゃんと見て貰ってきた」

華霧に血を貰ってから、目眩が起きるようなことは無くなっていた。
自身の身体に起きた変化を知る為に、改めて検査をしたのだ。

園刃華霧 >  
「うへ、子どモ?
 ソりゃ……ゾっとシなイな……」

少し考えてから、うへ、と言葉を漏らした。
なんともいえない微妙な声色。

「ってカ、なニやってンだアイツ……
 チェルへの嫌がラせか、ソレ?」

写真を見せられれば、呆れたような声をあげる。
動揺する、というよりは理解できない、というような……


「ほーン、ちゃンと病院行ってンのナ?
 そりャ感心。」

うんうん、と偉そうにうなずいてみせる。
まるで自分の手柄だ、とでも言わんばかりに


「ンで? どーナんヨ?」

ごく自然に聞いた。

レイチェル >  
「……はっ、そう言うだろうと思ったぜ。
 でもま、そんだけ大切に思われてるとこがあるってわけ。
 そこは覚えといて欲しいなってな」

まー、そりゃそう感じるだろうな、と思う訳だ。
でも、殺意を抱かれてるって思ってしまうよりはまだマシだろう。

「あいつなりに、華霧が元気にやってるってことを教えてくれようとしてんのかね」

まさか、オレを元気付ける為に送ってきたらしい、なんてことは流石に
言ってもな……。そこはしれっと流しつつ、本題らしい内容に入る。

「ったりめーだろ。
 もうお前にも周りにも心配かけられねーっての」

検査を怠ってまた入院などすれば、合わせる顔がない。
いや、顔を合わせることができればそれは奇跡、なのかもしれない。

「異能の反動が予想以上に酷かったらしくてな。
 オレの知らねーところで、症状の悪化が続いてたみたいなんだが……
 
 華霧に血を貰ってから……少なくとも、進行がかなり遅くなってて。
 それだけじゃねぇ、少しだけ……元通りになってるんだと。
 
 入院した時なんか『生きてるのが奇跡』なんて医者には真顔で言われたけどな」

ほんと恩人だぜ、と付け加えて。
華霧には笑顔を見せた。

園刃華霧 >  
「そーカぁ? ぜっテー玩具かナんかダと思ってンぞ、アレ」

ぐったりとした声で返す。
しかし、どことなく……どことなく、別の色もにじむ。

「もー少し、ナんか別のほーホ―はナいのカよ、アイツ……
 頭良いンだろー二。」

呆れた声は続く。

「別に着替え自体ハ、嫌いジゃなイけどサー。
 無理くリはなァ」

珍しくため息らしきものを一つ


「は?」

『異能の反動が予想以上に酷かった』

その言葉に、一瞬眉を上げ――

「は、ン。元に、ネ
 なラ、まァ……良い方、カ」

聞かせるともなしにつぶやいた

「じャ、少しハ安心シていイんだナ?」

レイチェル >  
「今の生活。誰かと一緒に居る生活。満更でも、ねーんじゃねぇの?」

ま、無理くりってのはオレもちょっとどうかと思うけど、と付け加えつつ。

ぐったりした華霧の中に滲む、別の色。
隣に居たからこそ、今も居るからこそ。その色は見て取れる。
だからこそ、気付けば口の端がちょっと緩んでた。
それでもって、その感覚が正しいものか確かめる為にも、
オレは華霧に聞いてみたのだった。

失うことが怖い。だからゆるく繋がっていたい。
そう口にした彼女でも……
あたたかさを受け入れることが少しは、できているのだろうか。

もし、そうだとしたら――それは、本当に嬉しいことだ。
好きだとかどうとか関係なく、一人の親友として喜べることだった。

「おう、無理もしねぇようにしてるし。お陰様で今は調子良いぜ。
 ただ……もう少し、華霧の力が必要になっちまいそうだ。 

 ……ただ。ただな!」

湿っぽいのはらしくねぇ。
だからこそ、力強く、精一杯の笑顔で伝える。
太陽に負けねーくらいに。

「オレはいつかこの問題を、オレ一人で解決するつもりだ。
 だから悪ぃけど、それまでは……もう少しこの馬鹿に、力貸してくれ」

ほんと、我儘だ。自分の感情からくる問題《のろい》なのだから。
それでも、もう少しだけこの馬鹿に力を貸して欲しい。
ストレートに、そう伝えた。

園刃華霧 >  
「……ドーかナ。
 まダ、どーニも慣れナいよ。」

多分、きっと。
今まで、自分になかったものを埋め合わせてくれるモノ。
ただ、ソレを与えられた今。

逆に、戸惑ってしまう。
どうにも、奇妙な感覚がある


「は……はハ。」

けらけらと笑う


「ったク、ほーンと馬鹿ダよナーチェルちゃんはサー。
 なラ、しょーガない。」

けらけら、げらげら
へらへらと

「アタシが、力にナってヤんよ?」


ストレートな言葉に、ストレートに応える。

レイチェル >  
「慣れなくて、戸惑って、当然じゃねーかな。
 一歩一歩、ってやつだろ」

焦るこたねぇさ、と。そう伝えた。
オレだって、華霧の立場ならきっとそんな簡単に順応できなかった筈だ。
そう、華霧の立場になれば……。

背中をくっつけた彼女の方を、改めて見やる。


「大切な血を貰うんだ、死んでも元気になってやらぁ」

ようやく、自然に伝えられるようになった『らしい言葉』。
ここまで時間をかけてしまったように思う。
風が透き通ったように感じる。


それでも、それでもだ。
けらけらと笑う華霧を見て、何処かが痛んだ。
痛んだからこそ、最後にもう一度力強く。


「力貸して貰う以上は……
 お前に心配なんざさせねぇ。
 二度と、置いていかねぇ。
 
 お前の前から
 消えるもんか。
 壊れるもんか。
 
 島の外にも、あの世にも行ってたまるかよ。
 こいつは約束だ、絶対守る約束――」

彼女の『いつもの』笑顔を見て、口にする。
そのゆるい笑顔を見て、しっかりと伝える。

これは誓いだ。
馬鹿なりの、どうしようもねぇ我儘な誓いだ。

レイチェル >  
 
 
 
「――華霧が、『本当に安心して笑える』ようにする。
 それが、オレの望みだから」 
 
 
 

園刃華霧 >  
「アー……ソっか。
 一歩一歩、ナ。そーイやそンな話、しタっけ」

それは別の話であったが。
ただ、こっちに合わせてもいいよな、と思った。

ま、気長に、だな。
どうせ、先のことなんて考えてないし。

「ン。大切?
 別に、アタシの血なンて……」

そこまで言いかけて。
あ、これ言っちゃだめなやつだな、と思って口をつぐむ。

……セーフ?アウト?


「気にスんナって。
 アタシはアタシでマぁ、ナんとかヤるってバ」

けらけらと へらへらと笑う
嘘偽らざる言葉、ではある。

なにがあろうと、その場に合わせて その場かぎりで
そうやって生きる自信はある

「だカら、ま。
 無理ナい範囲で、ナ。」

だから

「……………」

――『本当に安心して笑える』ようにする。


「……ひひ、それも。どうせいつも笑ってるけど。
 ま……ありがと、な。」

背中合わせのまま、顔を見せずにぽつり、と口にした

レイチェル >  
「焦ってちゃ見落としがちなとこに、宝石は眠ってるだろうからな」 

たとえば、今この瞬間。今日は改めて色々と話ができたし、
また華霧のことを少し知ることができた気がする。それでも、まだまだ。

ま、気長に、だな。
華霧は、先のことなんて考えてねーし。

……だからまぁ、一緒に見つけていきてぇところだ。色々とな。


「大事だっつの。お前にとっては生きる為に必要なもので、
 オレにとっては……世界で一番大切な奴を生かしてる『生命の源』。
 言うなれば、『お前自身』みてーなもんだ。そいつを、オレは……
 貰ってる……訳だから、その……うん、やっぱ……おう……ありがとなっ!!」

丁寧に、穏やかな口調で。
ちゃんと説明してたら何か恥ずかしくなってきたので、
お礼と咳払いをして切り上げることにする。
ま、そこんとこも時間かけてになるだろうよ。一日二日で何とかなる話じゃねぇ。
それは、ずっと話してきたからこそよく分かってるんだぜ。

「やれるかやれないか、って問題じゃねーと思うよ。
 辛けりゃ、楽しくなけりゃ……面白くなけりゃ、意味ねーだろ?」

面白さを求めてるっつーんなら、やっぱりそこは違うと思った。
なんとかやる。なんとかできる。その裏には、心の犠牲がつきものだから。

「……忘れんなよ、オレも忘れねーから。任せときな」

背中合わせ。
互いに表情は見えない。
だからこそ、オレの方もぽつりと漏らすように伝えたのだった。

そうして。


「さて、せっかく来たんだし流石に何か釣らねぇと……と、お?」

せっかくなら、華霧に美味しいもの食わせてやりてぇし。
糸が引っ張られる感覚を感じて――

レイチェル > [3d6→4+5+6=15]