2022/06/25 のログ
メロウ > 「自分の目に、って言われると
 それはそれで気にして見たくなる
 これってもしかして、悪い子?

 まぁ、そのどれも。ここの品は一級品過ぎる
 価値がありすぎるのもまた、罪深いものだね」

今迄の話は、値札を加味しなかった喩え話
よぉし、これにするぞと思った所で、
容易く手元に滑り込んでくれる程、大人しい値ではない

「...これ仕入れたら、他の仕入れが出来なくなっちゃうかな
 持ってきてたと思ってた。薫様の宝石には並ばなくっても、
 価値があるとはそういう事だと、改めて認識している所だよ」

黛 薫 >  
「さあな? どっちかってーとメロウが悪ぃ子寄り
 なのは今更だし。ま、んなこたあーしが言ぇた
 義理でもねーけぉ」

わざとらしく、車椅子から少し身を乗り出すように
メロウに顔を近付ける。待ち合わせ時のやり取りを
思い出したか半端な距離ではあるが、視界を自分で
染めるには十分な距離。

「ふひ、あーしにそんだけの価値感じてくれてる?」

今日はメロウがいつになく積極的で、言動の端々に
自分を想う気持ちを見せてくれたような気がする。
『人の為』を旨とするからというだけではないと
信じる気持ちが思い上がりでなければ、だが。

上機嫌な軽口に見合う笑みを浮かべていた口元は
覗き込んだ値札の桁数を前にあえなく萎んでいく。

初めてお店でマッサージを受けたときの感触から
察せられるように、黛薫の懐事情は芳しくない。
それこそ私的な出費はメロウのお店で購入する
香水が1番高額と言っても差し支えないほど。

「分割払ぃとか、出来るかな、このお店……」

自分の価値はこの値段に勝てるのだろうか、と
卑屈な思考が容易に読み取れる自信なさげな声。

メロウ > 敢えて動機を思い返すなら、貴女が『独占』を語った日から
誘いの態度を見せ、積極的に繰り出しているのは違いないのだろうか?
価値を見出すのは、貴女の目線次第としておこう。覗き込まれたメロウの済んだ青は映している

目線は占有され、彼女の方からも薫のどこか誇ったような笑みは良く見えていた
当然、その直後にしんなりと崩れ落ちた仮面の程も。そして、私も笑えないね

「こういう時に、一番大事な事があると思うんだ
 手に入れられない物は、手に入れられないと認める事
 この世界にはどうしても、『出来ない事』があると認める事

 私の手は今、薫様の車椅子を押すので精一杯なんだよね」

回り込んで、その手は車椅子にきちんとかけられる
ようは、冷やかしであったと全力で認める他はない!
彼女なりの敗北宣言、ここに掲げられた様子であった

黛 薫 >  
「ま、今はあーしで満足してよ」

値札を見てなお我慢とか妥協という言葉を使わず
満足と表現出来たのは黛薫の成長である。多分ね。

メロウが思う『黛薫』を知る機会になったので、
黛薫としては悪い気はしない。勿論あの宝石が
メロウの手に収まればそれはそれで嬉しかったが、
値札の桁数に恐れを成したので異存もない。

「今日使わなかったお金は仕入れに回るんだろ。
 巡り廻ってそれはお店の品揃えに繋がるんだし。
 さっきの話じゃねーけぉ、宝石じゃなぃ価値が
 手元に残るだけ。んならそれもまた良しってな」

慰めではなく負け惜しみ。だって高いものは高い。

メロウ > 幸運だった部分があるとすれば、2人とも姿としてはただの少女であったことか

『綺麗な宝石に誘われて来たものの、そのお値段になすすべもなく帰る事しか出来なかった』
...そんな微笑ましいストーリーも、他人の目から見れば十分に構築される余地のある

大半の目線はきっと、生易しい温度で済んでくれた、筈


「宝石が欲しいだけなら、手はあるよ
 私たちが求めてるのはその『意味』で、
 質はその次、そうだからね」

言い訳である。元を取るのに何年貴女と付き合う事になるのだろう
そんな計算ばかりはどうも、上手に出来てしまうのは黙っていましたとさ

ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」からメロウさんが去りました。
ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」から黛 薫さんが去りました。
ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」に黛 薫さんが現れました。
ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」にメロウさんが現れました。
黛 薫 >  
「んー、それ言われちゃそーよなって返すしか
 ねーんだけぉ。『意味』を得るための過程に
 妥協を差し挟むと痼りが残る気もすんのよな」

特別を特別にする。費やした時間にお金、思考の
リソース。それらを徒労や無為の出費と成さずに
価値を見出し、意味を付加する。

それを可能にするのも『心』あってこそ。

逆も然り、価値あるはずの品を心の機微ひとつで
貶めてしまう可能性もある。

「いぁ、メロウのその口ぶりだと妥協じゃなくて
 迂回かな? お金が足りなぃなら別の『価値』で
 補填ってコトも出来るワケだもんな」

「例えば『時間』とか?」

同じ宝石でも、指輪に嵌められた形で大切な人に
贈られ、何十年と身に付ければ込められた価値は
値段では量れないものになり得る。

それは極端な例だが、値段だけが価値ではなく、
価値も不変のものでもないのだから。

メロウ > 「それもちょっと違うかな。本当に、それが正しい場合もあるから
 口にするのは難しいけど、これは道具の考え方でもあるからね

『輝けない宝石は、宝石ではないのか』」

「宝石を香に変えるのは、また別の価値の表現だからね
 宝石として、目に優秀ならその道を進めばいいと思う
 でもそうじゃなかったら?その為に、別の道を用意したのが抽出
 
 見た目輝かない宝石が、必ずしも悪い石ではないかも
 妥協じゃないよ、迂回でもないよ。時に、今の価値に囚われない最善かもしれない」

宝石は『見るもの』、『嗅ぐもの』ではない

「...と、言うのを異世界の作者が書いた本で見たことがある」

宝石の香を抽出する花の項目に書かれていた説明である

黛 薫 >  
「その理屈に倣うなら、宝石の見た目は抽出した
 香りの良し悪しには影響しなぃってコトかな」

首を倒し、車椅子を押す貴女を見上げながら呟く。

一見路傍の石と変わらない原石も、研磨すれば
宝石と呼ぶに相応しい輝きを得ることがある。
それを『価値の付与』でなく『元あった価値を
表出させる作業』と定義するなら、抽出調香も
また然りと言えなくもない。

ではその『価値』とは何に基いて判断すべきか。

きっと、答えは無いのだろう。
有ったとして、少なくとも自分には判断出来ない。
恐らくメロウも。であれば必ずしも調香に適した
宝石が美しく高価な品とは限らないのはそうだが。

「でもそれ、今言ぅと酸っぱいブドウじゃなぃ?」

考察のタイミングが悪いというのは、まあそう。

「ところで今何処に向かってる?」

ついでに聞いてみる。何となく居づらくて店から
離れているらしいのは分かる。メロウは合流時に
『ちょっと考えてる』と言っていたから、用事が
今ので終わりということはないのだろうけれど。

メロウ > 「勿論、タイミングは悪いけどね!
 実際私達って、あの綺麗な見た目から逃げ帰ってる訳だ」

手を繋いで仲良く進んで来た道、帰りはこうして車椅子を押して
何処に進んでいるのか、と言う問い。彼女は首を傾け、しかし歩みは止まらず

「さぁ、何処に進んでるんだろうね?
 薫様は私の事を着飾ってくれるって言ったから、
 お洋服のお店を探そうと思ってるんだけど

 お店、なんだか多いよね。初めは目的地ありきで探してたけど
 ただ歩いてるだけでも、色々な物があるという発見」

何かに急かされるように歩みを続けて入るけれども
ここらで一度、立ち止まってもいいかもしれない

指摘を経て、ゆるりと遅くなった歩みの意味は、そうとも取れよう

黛 薫 >  
「常世渋谷だもんなぁ、服の店は多ぃよ」

車輪の回りは緩やかに、一定のペースで通過した
路面のタイルの境界を越える間隔が開いていく。

ざっと周囲を見渡しただけでも、服飾が並んだ
ショーウィンドウは3つある。店内が見えない
店の中にもアパレルショップがあると仮定すれば
今すぐにでも入れる店は幾つあるやら。

最先端の流行を駆け抜ける文化のごった煮の街、
やはりと言うべきかブティックの競争は激しい。

「……あーしが逢いたぃメロウを選ぶ、だもんな。
 あーしが選ぶ……センスなかったら、ゴメン」

普段パーカーの下に着ている服の如何にも値段しか
見ていませんと言わんばかりのシンプルさを思えば
懸念もごもっとも。今日に限っては目一杯お洒落
してきたが、その服とて自力で選んだものではない。

メロウ > 「そういうものも、楽しみにしてる
 私もこの服しか選べてないから、ね」

先程ひらひらと見せびらかせた真っ白の衣装
可愛らしく、雰囲気と合致して、そして別の服を見ない

「お店を開いた時からそう。同じものを選び続けてる
 でもそれってきっと、あなたには勿体ないんじゃない?

 私にとっては文化の飾り物の一環であって、
 綺麗であれば、それでいいんだよね
 私はかわいく作られてて、だからなんでも似合うと思うよ」

ジュエリーショップを探す時とは違い、店の方から何処に入るべきかと手招いている
今の所、彼女たちは中立として、その場に立ち止まったそう

「その衣装、誰かからのおすすめ?」

貴女の声の自信の無さは本物だ。読み取る彼女はそう理解する
なら、誰が貴女を着飾ってくれるのだろうか。それは興味

黛 薫 >  
「……マージで何でも似合ぃそーだもんな」

好意的に捉えれば気負う必要は無くなるのだが、
黛薫も女の子で、落第街を出てからはほんの少し
遊びに意識を向ける余裕も出来つつある。

何を着ても似合うであろう容姿、そしてそれが
誇張でも何でもない事実なのは正直羨ましい。

「この服? フィールから。てかあーしの知り合ぃで
 一緒に服買ぇそーなのってメロウとフィールしか
 ……あ、いぁ。復学祝ぃ? には早ぃけぉ、学園の
 カウンセラーの先生からマフラー貰ったコトなら
 あったっけ」

2人きりのお出かけに他の子から贈られた服を
着てくるのは、デリカシーが無いと謗られても
仕方ない行為かもしれない。

ただ、どうも黛薫にその自覚はない様子。
純粋に1番良いものを着てきたつもりらしい。

メロウ > 「そういう関係までは把握してないよ
 でも、フィール様か、そっかぁ」

覗き込んでくる視線は、デリカシー云々は余り考えず
純粋に興味深いものだと、そういう意味を中心に

「なんせ、出会った回数があんまりだけど
 彼女がおしゃれ得意っていうの、凄く意外だった

 成程ね。私は知らない、だからいいな
 言葉を交わせないと、相手を知れないのが私だから
 最近はどう?フィール様とも、良好?」

直接相対するのでなければ、意外と好意的に『見える』振る舞い
相手の考え方に触れなければフェア、そうとも受け取れるのだろう

黛 薫 >  
「フィールはフィールで容姿はイィのよな……。
 方向性はメロウと違ぅってか、寧ろ着る物には
 苦労するタイプだけぉ」

所謂トランジスタグラマーというやつ。
元々この世界ではあの身長であのスリーサイズの
住民が珍しかったお陰か、服のバリエーションを
揃えるのは随分大変だった。

「少なくともあーしよりはもー確実に選ぶの上手ぃ。
 映画とか本とか……物語系? にハマったみたぃで、
 結果として人間らしぃカルチャーにどっぷりって
 感じかな。偏ってっし、考ぇ方そのものはやっぱ
 人外の感覚に寄ってっけぉ。

 良好かって言われっと……所帯染みて来たかなぁ。
 成長を見て喜んだり、先の暮らしを考ぇたりとか。
 んでも、それが望まれてる関係なのかって思ぅと
 ちょっと自信なぃ……かも」

会話の最中、見える範囲のお店に視線を巡らせる。

普段購入する服とは異なり、デザイン意識が伺える
コーディネートに身を包むマネキン達。考えなしに
着回すのではなく、組み合わせまで考えられた服装。
可愛らしく、格好良く、時には奇抜に。

メロウも、フィールも、似合うだろうな、と思う。
2人の魅力は見れば分かるから。自分はどうだろう。
選ぶ自信も無いが、着こなす自信は尚更。

メロウ > 「憧れてる?確かにそう、かも
 いやちょっと嘘だ。目が秀でてる訳でもないから
 服の上からスタイルを分析できるかと言うと、そんなに自信無い」

出来ないとは言わないけれど、隠したものを探る力は大したことはない
見せてくれようと思った物を拾う能力に関しても、目で見える物より香りや言葉、見えない物の方が得意だと豪語するのが彼女である

「それはそれでいいけれど、香りを贈りたいお友達とかを待ってると、
 外にも出て欲しいのが本音かな。一人で膨らませると、どんどん進んじゃいそう

 いっそ、私からお誘いかけてみたり...それはどうなんだろう?ぶつぶつ」

両手を重ねて、目線を漂わせ
彼女も彼女でこもりっきりではあるものの、人と関わった数には長がある
自負は売り込むもの、彼女の言葉も言外に示し続ける

自信を出す頻度の方がずっと多い。比較を為すならそうなのだろう
彼女は『道具』であるけれども、そもそも愛される為の道具なのだ


『望まれてる関係』とは何なのか。秘かに興味、ふつふつと

黛 薫 >  
「……しょーじき、その辺はあーしも分かんなぃ。
 男は大きぃ方が好き? みたぃな話は聞くけぉ、
 別に好かれたかねーし。でも好かれるってコトは
 魅力的なのかな、あった方がイィのかな、とは
 思わなくねー……の、かなぁ」

一度メロウの方を見て、自分の身体に視線を落とす。
メロウが大きかったらどうか、自分が大きかったら
どうか、と考えてみてもピンと来ない。

世間的には価値がある、という広く薄い認識が
あるような気もするので、ぺったんこな現状に
不安がなくもない……のだろうか?

「ゆくゆくはメロウとフィールも上手い関係の
 落とし所が見つかるとイィ……ってのはまー
 あーしの自分本意な希望だけぉ。

 2人が会うなら、あーしがいた方が潤滑油に
 なれんのか、逆にいたら拗れんのか分からん」

人外の価値観のお陰か、大切な相手を絞れない
現状には双方ある程度の理解を示してくれている、
そう信じられる。それでも憂なく好きと言うには
(勝手に黛薫が感じているだけかもしれない)蟠りが
不安要素……というのも利己的な話かもしれないが。

「てか、あーしが会いたいメロウを『選ぶ』なら、
 入る店からあーしが選んだ方がイィの? コレ」

今に限っては行き交う雑踏からぶつかる視線より
人の集まる場所で『好きな人』について話している
恥ずかしさが勝る。お店の中に逃げ込みたいという
無意識の急かしがあるのかもしれない。

メロウ > 「試してみたければ、大きくも出来なくもないけどね
 必要な物は水と調整と、そんな所だし」

ただ当然の様に口にして、通り過ぎる話題として

「私がフィール様の事を嫌いなだけで、悪い所はないと思うけどね
 嫌いって言うのが大問題。それはそうかもだけれど

 会いに来ようと思えば会いに来れる。私はお仕事が好きだから
 私が彼女に何を求めてるのか、こればっかりは回数なのかな?
 彼女にスタンプを埋めて欲しい、それって嘘じゃないもの」

彼女の方は暢気なもので、好かれるだけなら何処でも応える
口にする事、社会性には反していないもの。赤裸々なだけです

「薫様が決められるのなら?
 そもそも、これくらいお店があるのも私の見通し不足だったし
 多分、私が決めようと思っても、今日で入るお店が選べるかどうか

 センス以前に、お洋服って大変だと感じてる所です」

途方に暮れている。きちんと表現すれば、こうなります

黛 薫 >  
「出来るんだ……」

組成がほぼ水だと聞いていたので納得はする。
納得はするが、彼女が少女体なのにも何かしら
意味があるのかも、と深読みしていたことも
あったので、微妙に渋い顔。

「キライってのは……うん、まあ、うん。よな。
 それも含めて、あーしが下手に口挟むよりか
 フィールがアクション起こすのを見届けた方が
 成長に繋がるかな、とは思ってる」

言葉を区切る。折角のお出かけに他の女の子の話を
しているデリカシーがどうこうという訳ではなく。
自分が会いたいメロウを飾るならきちんと向き合って
決めたいという気持ちの表れ。

「あーしだって分かんなぃ。んでも分かんなぃから
 って引き返すのもヤだし、偶然の出会いに期待して
 出たとこ勝負、って感じ。メロウなら何着たって
 似合ぅってのも異論ねーから、どーにかする」

車椅子のレバーを握り、手近な店に入る。

ただ近かったから選んだという具合でもなく、
ショーウィンドウに可愛い系の女の子の服が
並んでいるのは確認済みだ。

ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」からメロウさんが去りました。
ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」から黛 薫さんが去りました。