2022/06/26 のログ
ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」に黛 薫さんが現れました。
ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」にメロウさんが現れました。
メロウ > 「骨格はあるから、体の大きさまで変わる訳ではないけどね
 私が何のために造られたか。便利だと思って欲しいのだよね」

薫の表情に反して、己を語る顔は自慢げになりえるもの
出来る事ばかり話してしまうのは、普段からの癖と思って貰おう

区切られた話には、彼女の方も触れはせず
なんとなく、貴女の『本気度』というものが変わった気がする
こんな時でも身に付けている耳の垂れたパーカーを一瞥
どんな物を選んでくれるのかなぁと、背後からきちんと笑う声が漏れました

「マスターの『どーにかする』、なんだか楽しい事になりそうな予感?」

黛 薫 >  
飾るために選ぶ。似合うものを着せる。

言葉にすればそれだけだが、難しく感じるのは
経験が足りないから。身も蓋もないことを言えば
まず難しいかどうか判断できるラインにいない。

「……目ぇチカチカする」

お店に入って最初に出た感想。本日2回目。

輝く宝石をより美しく見せるため、薄暗い空間と
照らし出す光源で作られた宝石店とはまた異なる
煌びやかさ。

素材で言えば単なる布だが、造形、色合いに加え
組み合わせにまで気を遣った内装。最も美しく
見える角度から見せるのではなく、何処からでも
見られることを想定した一定の明るさ。

「どーにかするつもりで臨むけぉ、出来るかは
 分かんねーかんな。……楽しんでくれんなら、
 無駄にはなんねーのが救ぃかな」

まずは店内を一周して見て回る。それだけで全ての
服をチェックしきることは出来ないが、マネキンが
一定間隔で置かれているので、どの辺りにどんな
雰囲気の服があるかは何となく把握出来た……はず。

メロウ > 「ちょっと違うよね。楽しむのは私だけじゃないから
 難しいかもしれないけどね?私も服の事は分かんないけれど
 意外と、香水を選ぶように、言葉で何か埋められるのかも?」

一方の彼女、この照明の具合は慣れ親しんだものなのだろう
芳香の代わりに布を集め、色々な作品を作り上げた衣装たち
『選んで欲しい』と言った割に、目を輝かせて巡って居たのは、
もしかしてメロウの方だったのかもしれない

ネットで注文しておしまいではない、新鮮な心地での1週目

「なんならマネキンの様に、気持ちのままにお着換え繰り返してもいいんだよ!」

マネキンにばかり目線が吸われている、そう思ったそうな

黛 薫 >  
「ん……んー、そりゃそっか」

指摘されて肩に力が入り過ぎていたと気付く。
折角一緒に出掛けに来たのだから、お互いに
楽しむのがベストなのだろう。

マネキンに張り合うメロウの様子に口元が緩む。
結果的には気分が切り替わったので良しとして。

一通り店内を回って傾向を確認したところ、
Tシャツやジーンズ等シンプルな服が並ぶ区画、
ワンピースを中心に一着で完結する服が並ぶ区画、
フリルや刺繍で飾られた可愛い系の服が並ぶ区画、
スーツやドレス等のフォーマルな服が並ぶ区画、
レザーやダメージ加工等のクール系の服が並ぶ区画、
部屋着とランジェリーが並ぶ区画があるのは確認。

最初に黛薫が足を止めたのはワンピースの棚の前。

「色々着てもらぅのも惹かれるっちゃ惹かれるけぉ、
 まず慣れるトコからかな。ココなら組み合わせを
 気にしなくてイィからハードル低ぃ、はず」

まずはマネキンが身に付けていたのと同じ品物、
店員オススメの水色のワンピースを手に取って
メロウの前に重ねて透かし見る。

「予想は出来てたけぉ、そりゃ似合ぅよな……」

白い髪、白い肌に明るい蒼の瞳。涼しげな色の
ワンピースは統一感がある。ノースリーブだから
綺麗な肌がよく見えるのもポイントか。

メロウ > 「言いたい事はよく分かる。似合いすぎるよね」

ゴスロリ調の衣装と合わせられた為、手に取ったイメージ程の清涼感は見た目に残されてはいないけれど
目を瞑って、ふふんと。格好としては誇らしげに佇む姿が、より子供らしさを重ねて滲ませる

「潮騒かな、それとも野山の青さかな
 あなたが手に取ったその服装は、そんな香りが似合うかも
 きっと外に出る時には、そういう服が似合うんだろうね

 暑さは熱さ、機能にしか影響しない私にとっても、
 熱の籠りにくい薄手の衣装は、遠出にまた便利なのかもしれないな
 日焼けの調整も、お好みであれば考える事だって出来るのだしさ」

黛 薫 >  
「色のイメージ的にはやっぱ海? なのかなぁ。
 夏の海って日差し強そーだから帽子とかあれば
 イィかと思ったけぉ、焼けねーならイィのか?」

店員お勧めで色合いもぴったり、無難な選択肢は
一旦棚にお帰り願うとして。詳しくないなら試して
比べる。それに尽きる。順番に手に取り、メロウの
前に当てて、眺めての繰り返し。

白のワンピースは見慣れた安心感。ゴスロリ調の
フリルが無い分、清楚さが前面に押し出された印象。
ワンポイントでアクセサリを付けても良さそうか。

紺色のワンピースも爽やかな水色とは違う方向で
調和する。落ち着きのある雰囲気はお店の印象とも
近しく、重ね着するにも無難な雰囲気。

黛薫はブルベ、イエベなどという考え方は知らず。
しかし寒色系は何でも似合うと認めざるを得ない。

それなら逆にと、黄色いチェック柄のワンピース。
青空色の瞳、綿雲のような髪の白に、向日葵色の服、
夏のカラーが一揃い。子供らしく自慢げな表情も
相まって活発なイメージ。

「いぁ、比喩じゃなくて何でも似合ぅじゃん……」

頭を抱える。何でも似合うと言えば聞こえは良いが、
それは選択肢が狭まらないのと同義でもある。

赤。対象的な白い髪と肌が互いを際立たせる。
ピンク。子供らしさ可愛らしさがぴったり合う。
黒。普段と真逆な色ながら、ゴシック調の服を
見慣れているのもあり、ばっちり着こなせる。

黛薫は真理を得た。素材が良ければ何でも似合う。

メロウ > 重ねて厄介であったのは、彼女も思いの外マネキンとして優秀であったという部分か

寒色系を重ねられれば、一瞬の間に硬い表情をすまし顔として映しだそう
暖色系を重ねられれば、無邪気な形に口元を歪める。添えられた手も憎い演出

モノクロなんて、普段の彼女の独壇場。少しだけ首を傾げればミステリアスなお人形の完成だ

「迷ってるね。ふふふ、くひひ
 今度は私を甘く見てたかな?『愛される為の道具』と言うのも、伊達じゃあないよ」

誰の趣味にも合わせうるのが器の要素。明確な『罠』がそこにあった

「でもね、私は選べないんだよね。私は私を満たすことを考えないから
 これを特権と考えるか、持ち主の苦悩と考えるか
 私は何も言わない事にするね。だって、こっちの方が楽しいんだもんね?」

黛 薫 >  
「べーーつに甘く見てたつもりはねーですけぉ?
 でも、この2つならどっちのが似合ぅとかで
 絞れると思ぅじゃんフツー」

ひとまず思考を切り替えて、別の棚へと向かう。

可愛い系の服が並ぶ棚の前で一旦足を止めたが、
どれを着せても似合ってしまう未来が容易に
想像出来てしまったので、あえてスルー。

ランジェリーが並ぶ区画は真っ直ぐ横切る度胸が
なかったのか迂回して、隣にあるかっこいい系の
服が並ぶ棚に向き合った。

「いぁ、マジで迷ぅわ、こんなん。てかメロウ、
 さりげなく服に合わせて表情変えてっし」

メロウがジュエリーショップで自分にとっての
『1番』を見つけたように、此処では黛薫自身が
メロウに似合う『1番』を見つければ良いのだと
軽く考えていた。別の表情で別の良さをお出し
されてしまうと『どれも良い』しか言えないのだ。

「そいえば、メロウってズボンは履かなぃ?」

パンク風のTシャツとジーンズを手に取りながら
聞いてみる。ガラッと雰囲気を変えたらどうかと
試してみたものの、ややショートな髪型のお陰で
ちょっと背伸びした範疇に収まる。

美少女な容姿にカジュアルな服装を合わせても
違和感はなく、イケメンをそのまま小柄な少女に
置換したような雰囲気。

メロウ > 「『物を選ぶ』ってムズカシイでしょ?
 私は普段からお仕事でしてるからぁ、慣れてるけれど
 思わぬところで苦労の分かち合い、だったね」

真っ直ぐ進むはずの道を、遠回り。行き先に目線を向ける

(ある意味で、似合うのが難しい場所かな?)

今迄下着に執着しなかった彼女が唯一、纏い方に迷いそうな区画でであったのは閑話休題


「ズボンはね、基本的に想定されてないかな
 勿論、サイズが合えば着用は出来るけれど...」

カジュアルな衣装は『役目』とは言い難いのか
目の前に翳されても、どの様な表情を重ねたものかと迷い気味
首を傾けた仕草も適当とは言い難いので、悩まし気に唸る

「要・学習の有様だね。機会があるなら絶対に着こなしてみる
 普段の恰好より薫様に近いのだし、このままでは終われないかな」

妙に決意が重い

黛 薫 >  
「選ぶって行為に関しちゃ、メロウのやってるコト、
 服より難しそーよな。組み合わせだけじゃなくて
 分量に割合。『合わせる』じゃなくて『混ぜる』
 だから、元と全く違ぅ香りになったりもするし」

どれもこれも似合えど、流石に着たことのない服に
合わせた表情は未学習の様子。無難に似合い過ぎて
選びようがない状況からようやく脱却して忍び笑い。

「じゃ、この辺のヤツはひとつ買ってこっか。
 お揃ぃ……ってほどピッタリなヤツはココにゃ
 ねーだろーけぉ。あーしのは安物だし」

自分が持っている物に近いベージュのショート
パンツをひとつ手に取った。耳付きパーカーは
本土で買った品なので、見つからないだろう。

ひとまず無難に紺色のパーカー……前開きでは
ないのでアノラックと呼ぶ方が正しいだろうか。
それも籠に入れる。癖でやや大きめのサイズを
選んだが、一緒に着るとショートパンツの方は
殆ど隠れてしまうかもしれない。

メロウ > 「ちょーーーっと待った。ここからが一番楽しいのでは?」

ぐい。今日の彼女は急接近にて。掲げたパーカーに割り込んでの行動でした

「マネキンにして、って言ったもんね
 だったら見てるだけじゃ勿体ないよね

 本当にそれで良いのかどうか、選んでくれたなら
 確かめる必要がある。そうとは思わないかな?」

意味する所は容易いだろう。試着、してみませんか?
お金に際限はあるけれども、このお店の中に関していえば、
私達はその全ての所有権を得たと言っても過言ではなかろう

少なくとも彼女、そういう風に『予習』していた

「それとも、もうちょっと他にも選んでから?」

普段でも、ここまで頬を綺麗に吊り上げられはしなかっただろうに

黛 薫 >  
「ん……ぅ、まぁ、一理ある……」

身体の前に当てるだけで、試着に先んじて籠の中。
普段の黛薫の服選びの手抜きっぷりが透けて見える。

視線を嫌う異能のお陰で長ズボンの方が楽なのに、
店員に上手く声をかけられなくてズボンの裾直しを
頼めず、結果ショートパンツとタイツで妥協して
いるというのだからお察し。

「じゃ、とりゃえずこの2つは試してみよ。
 他のを選ぶって話になると……んん、折角なら
 可愛い服も1つくらぃ着せたぃけぉ、そっちは
 全部似合ぅから結局絞れてねーのよな」

ひとまずパーカーとショートパンツを手渡し。
唐突な急接近に少し動揺したか、目は逸らし気味。

メロウ > 「ずっと迷ってるよ。見てるだけでずっと楽しんでるのも悪いし
 それは、薫様が私の『全部』を満たそうとしてるからじゃないかな?
 私の態度もそうだけれども、どんな物でも似合っちゃうのはズルだよね

 だったら薫様の方から、私にテーマを与えないと絶対決められないよ
 私が香りを作る時みたいにね。あなたの為には、どんな物を表現したいか」

手渡しされた衣装を受け取って、両手で抱えても尚
目線を逸られても尚、彼女の目線は離れる様子もない
にこやかなようで、真剣な声色。選ぶ楽しさ、知って欲しいな

「薫様って、動物の事好きだよね?多分だけどね?」

黛 薫 >  
「テーマ……テーマ?」

よく知る分野であれば、或いは目的のために準備を
整えていれば狡いほど頭が回る黛薫だが、不慣れな
服選びではそうもいかず。言葉の意図を図りかねて
少女相応の戸惑いを見せる。

試して、比べての繰り返し。分からないから試行を
重ねるという意図が主ではあるが、見たことがない
メロウの姿を余さず見たかったという無意識の欲が
なかったとは言い切れない。

しかし元の目的に立ち帰れば、服を買いに来たのは
『薫様に出会いたい私を選んでもらったり』という
メロウの言葉が始まり。『どんな』を抜きにしては
いつまで経っても辿り着けない。メロウが口にした
『テーマ』とはそういうことなのかも。

「……動物、は、うぅん? キャラクタとしては好き、
 だと思ぅ。飼いたぃとかそーゆーのは全くだけぉ、
 柄物とかは、無地と動物なら動物の方選ぶかな、
 くらぃの……それって好きに入っかな?」

メロウ > 「そーぉ?『飼ってみたい?』って言うのが次の問いだったんだけど
 綺麗に先回りされちゃったね。でも、ある意味で私は飼われてるみたいだし」

近付けた目線も、貴女の思考に合わせて遠ざかる
好きに入るかどうかの問いは今回控えたまま、
頷いた彼女は1週目にこっそり回収していたアイテムを取り出した

丁度、貴女が通り過ぎた『かわいい系統』の一角に存在する、
大きな白いリボンのついたカチューシャ。自分の頭に装着!

「なんだか動物の耳みたいだったから、気にしちゃうかな?って
 試着の間に突然付けてみるのも悪くないかなぁと思ったけど、
 今、こうして見せてみるのもまた、よき事と判断しました

 マスターのペットの、メロウちゃんだよ?」

小首傾げ、またも彼女の得意な領域に引き込もうとの仕草であった

黛 薫 >  
「飼っ……所有って意味では、まぁ、遠からず?
 かもだけぉ、飼ぅのを所有って言ぃ換えんのは
 何か無責任っぽ、あ、いぁ、あーしがメロウの
 扱ぃに責任持ってねーワケじゃなくて」

さて、仮にメロウがもう少し早めのタイミング、
ワンピースを選んでいた辺りでカチューシャを
取り出していたらどうだったろう。

『何でも似合う』が比喩ではないと確認した直後に
見たとしても「まあ似合うよな」で済んだと思しい。
ワンピース自体がシンプル寄りだったお陰もあって、
アクセサリを足すのも良いかもという気付きだけで
終わっていたかもしれない。

では、今はどうか。

普段と違う装いを検討し始め、『可愛い』という
ファクターから逸れつつあった意識。不慣れな
服選びに集中していたところに問いをかけられて
迷子になりかけていた思考。

兵法に曰く、多くの場面で強力に働く策とは
『不意打ち』であるという。

それから、これはメロウの責任ではないのだが。
『試着』だの『着せる』だの話していたお陰で
黛薫は少し、ほんの少しだけ、メロウが着替える
時間を思って疾しい気持ちを覚えていたりもして。 ▼

黛 薫 >  
つまり、まあ。端的に言うなら、すごく『効いた』。

咄嗟の返事こそなかったものの、じんわりと赤みを
増していくのがよく見える頰、自分の『視線』を
気にするあまりすぅっと逸らされようとする目線は
意に反して惹かれるように戻ってしまい、口元を
隠すように持ち上げられた袖は集中が乱れたお陰で
僅かな震えが垣間見える。

「……う、ん。イィ、んじゃね。似合、うん」

雄弁すぎる仕草に比して、感想の情報量は少ない。
感想に回せるほどの思考力が残らなかったとも言う。

一応、黛薫にそっち系の趣味があるわけではない。
ないのだが、思考の底に『そういうのもアリかも』
という印象が浮かばなかったかと問われると……。

メロウ > 「んひ」

彼女の態度も、曖昧な笑みで固まった。そう、『想定以上』
目線に晒された己の存在、心を持つだけで確かに『物』
言葉の機微を読む彼女、秘匿をする余裕もなく言葉に滲み出た欲

敏感に感じ取っていたのだとか。その目線も、相手の右目からじぃっと
私の表情を値踏みする様に、撫でつけられている様に感じたのだとか

「...これが異能の進化、というものかな?」

おどけてみせた、そのつもり。実際はなんてことはない
貴女が随分と素直だったというだけであり
一方こちらは変わらない顔色でも、少し強まった香
『頭が煮えていた』という表現の婉曲的な物なのだろう

距離が近かったら絶対に、胸の奥が香を生成する為に激しく稼働しているとバレてしまっていたのかな

黛 薫 >  
おどけた呟きに対する返事はなかった。
聞こえていなかったか、それとも聞こえていても
返すだけの余裕がなくなっていたからだろうか。

視線を逸らしたり戻したり、時には袖で顔を覆う
仕草を見せたり。たっぷり数分の間を開けて漸く
深いため息の後に口を開いた。

「……やっぱ、可愛ぃ系のが似合ぅのかな」

僅かに強まった香りはメロウの『演出』だろうか。
そう思ったが、確かめるために聞くのは憚られた。

微妙に拗ねたような声音は目論見通り、或いは
目論見以上の反応を見せてしまった自覚があって
悔しいのと恥ずかしいのが半々くらいだろうか。

「何なら、首輪でも買ってく?」

意趣返し、というつもりではないけれど。
返しの言葉は彼女にしては随分短絡的な物だった。

メロウ > 「やぁん、そんな趣味...」

口元の前で合わせた5本の指先
返答の合間、思考時間にも押したり戻したりを繰り返して

「それは、かわいい系っていうかぁ
 んと。成程、そういう『テーマ』に振り切った感じで」

誰のせいでこんな事になったのか
首を傾けても自分の顏しか浮かばず
カチューシャのリボンがぴょこりと、揺れる

「そういう私も悪くないと思うなら?」

消極的ながら、積極策と言えるのだろう
Noと言えなければ、肯定でしかないのである

黛 薫 >  
「……あーしにそーゆー趣味はねーですしぃ。
 今のはテーマとか言ったメロウが悪ぃと思ぅ」

さらっと責任を押し付けようとするが、
その場の熱に浮かされていたのはお互い様か。

「そーゆーメロウも悪かねーんだろーけぉ。
 メロウが、じゃなくて、なーんか違ぅ意味で
 良くねー気ぃする……」

戯れに、猫にするように顎の下を指先で擽る。

「ちゃんと可愛いヤツ選びまーすーけーぉー。
 テーマに沿うなら、首輪は冗談にしたって
 チョーカーくらぃならアリじゃなぃ?」

車椅子の車輪を可愛い服が並んだコーナーに
向けかけて、一旦メロウの方を振り返る。

「探しにいく前にしとく? 試着」

さっき渡したハーフパンツとパーカー。

試着している間、自分は可愛い服を探しても
良いのかもしれないが、何となくそれを言うと
ちゃんと見て欲しい、待っていて欲しいと
機嫌を損ねられるような気がした。

メロウ > 「お仕事の外の気持ちって、実は定まらない所あるよね
 だから、なぁんか今は調子狂ってる自覚はあるんだけれどぉ」

すりすり、指先に僅か重さを預け、目を細める
実際の所今の自分がどの程度の可愛さを誇るのか、
それを確認したいという興味の上でも、試着は確かにありがたい

「それじゃ、薫様が新しい服を探してる間に...って事で
 問題ないのかな?でも、着るだけなら時間かからないかな?
 脱ぐには時間かかるから丁度良いのかな?」

薫が考えたような事を、こちらは口に出していました
まさかその程度で機嫌を損ねるだろうか、と思われていたとは予想せず

黛 薫 >  
「なーんか今日は積極的? な感じよな、メロウ」

合流直後の口付けに始まり、調子が狂っていると
表現する気持ちは分からないでもない。もちろん
それを嫌ってもいないが、素直な感想を言うなら
心臓に悪い。黛薫は幸せのキャパ上限が低い。

「ん、それじゃ探してくる」

と言いつつ擽る指先を離すタイミングを図り損ね、
結局1分近く遅れてやっとで服を探しに向かった。

(……あーしも浮かれてる?)

メロウの不意打ちに自分でも戸惑うほど動揺した後、
試着の時間を待たずに済んで良かったと内心で胸を
撫で下ろす。今に限っては、衣擦れの音を耳にして
平静を保ったまま待てる自信がなかったから。

(さて……)

着替え終えるまでにそう時間はかからないだろうと
踏んで、手早く可愛いコーナーの服を精査し始める。
実のところ、少しだけ展望は見えている。

メロウ > (私の瞳は鏡写し。積極的って言われると
 それってマスターのせいだと思うんだけど?)

カーテン1枚隔てた向こう側、人の気配が消えた後
しかし言い訳として聞かれるのはどうにも、自分でも恥足り得るか
独占を求められて、否定して。それでも、想う位はしてしまうじゃない

パーカーにショートパンツ、床に落として、先ず顔を両手で覆った姿は、お陰様で確認されずに済みました

服自体の構造は至極単純。きっと、着替え終わるまでは貴女が声をかけるいっぱいまで...

黛 薫 >  
選んだ服を籠に入れて戻った頃には衣擦れの音は
既になく。まあ選ぶよりは着替える方が早いよな、
と予想はしていたので一呼吸だけ挟んで。

「着替え終わった?」

試着室のカーテンの向こうから問うてみる。

着替え終えているなら自分を待たずともカーテンを
開けて良かったのでは、とも考えたが、お披露目の
タイミングも大事だろうと思い直す。

時間効率だけを思うなら服を選んでいる自分に
着替えを終えたメロウが合流するのが早かったが、
商品を身に付けたまま店内をうろついて良いのか
黛薫には分からなかった。何せ服屋に縁がない。

メロウ > 同じく、今日初めて服屋に踏み込んだのはメロウというもの
慣れた様子で店内を動いていたのは、その照明具合が慣れ親しんだものであった為

作法ばかりはいざ知らず、『きっと薫様なら帰ってくるよね』と暢気に考えていたのが彼女

「終わったよ、薫様」

そして、『お披露目』なんて以ての外。居る、と分かればすぐに、何の感慨も無く幕は開かれた


カチューシャはそのままに、指先がほんの僅かに出てくる程度の袖
裾からは直接、黒いタイツの脚が伸びている様に見える程の体躯
一目見て『大きい』と言えるものではあったのだが、

「どうかな。想像通りかな?」

身体を傾けた時、ちらりと見えたショートパンツも、ある種のフェチズムを含んでいたのかもしれない

黛 薫 >  
「んん……」

『何でも似合う』が比喩でない以上、似合わない
心配だけは初めから無かったとして。強いて言えば
リボン付きカチューシャはカジュアルな服装とは
噛み合わせが良くないが、素材の良さ故に大して
問題になっていない。

さておき、初見の感想はまたしても『心臓に悪い』。
パーカーの裾から直接伸びる黒タイツに、一瞬下を
渡し忘れたかと唾を飲んだ。幸いちらと靡いた裾に
ベージュのデニム地が見えて一安心。

「……タイツ履いてて良かったな、コレ」

生足だったら本気で履いてないと勘違いする所。

ワンサイズ小さいパーカーにするか、もう少し丈の
長いズボンを渡すかとも悩んだが、これはこれで
愛らしい。何より上下の組み合わせがお揃いなので
崩したくない気持ちが勝る。

「うん、似合ってる。じゃ、次コレ行こ」

少し悩んだが、肯定で返す。

代わりに差し出したのは白いレースのスカートと
黒を基調にフリルをあしらったオフショルダーの
トップス。上は白い肌、下は黒タイツと対照的な
色合いで、互いを映えさせる組み合わせ。

と。

「……で、ちょーっとどーすっかなとは思ったけぉ。
 見つけちまったから、なー。つぃ魔が差した……」

黒いベルト状のチョーカー……銀の鈴付き。
単なる装飾なので音は鳴らないが、首輪っぽい。