2021/10/24 のログ
ご案内:「落第街 路地裏」に黛 薫さんが現れました。
■黛 薫 >
朱に交われば赤くなる、という言葉がある。
環境に影響されやすい人間の本質を端的に表す諺。
その喩えに倣うなら黒に交われば汚れるのも必定。
真っ黒に汚れた暗い街、人気の無い路地裏を選んで
歩く少女が1人。女子供が歩くには危険すぎる道だが、
彼女だって好きでこんな道を通ってはいない。
(なんか……今日はキツかったな……)
見るからに落第街にそぐわない服装をしていたり
金になりそうな品を身につけていないのであれば、
落第街でも人の多い通りの方が安全だ。
しかし、襲って来なかろうと所詮は落第街の空気に
染まった人間。表に出さずとも汚れた心の持ち主は
学生街と比較して圧倒的に多い。
他者に踏み付けられた敗北者にとって、自分よりも
弱い相手は虐げたい対象。鬱屈した感情を溜め込む
不心得者にとって、異性は欲望の対象。
他者の視覚を触覚で受け取ってしまう黛薫にとって、
落第街の大通りで向けられる視線は──。
■黛 薫 >
「……はぁ」
たまたま邪な気持ちを抱いている人が多かったのか、
それとも心が弱っていた所為で視線に耐えるだけの
気力が残っていなかったのか。どうあれ、大通りを
通過出来る精神状態でなかったのは間違いない。
だから、警戒しつつ裏通りを選んでいるのだが──。
「……っ、ひぅ」
四つ辻を曲がった瞬間、ぞわりと気持ち悪い感覚が
全身を舐めていく。見渡しても辺りに人の姿はない。
普段通りの幻触か、そうでないなら。
……誰かが身を潜めているか、だ。
■黛 薫 >
何か思い出した振りをして引き返すのが最良。
だが迂闊に声を上げてしまったのが拙かった。
粘つくような『視覚』の感触に緊張が混ざる。
……次善策。踵を返して全力で逃げる。
直様『視覚』の感触が追いかけてきた。
先手を打った分やや有利だが、体力や足の速さの
勝負では旗色が悪い。此方は『見られる』だけで
体力も気力もどんどん削られてしまうのだから。
余裕のあるうちに撒かなければならない。
この辺りの地形は把握している。どこで勝負に
出るべきか。足音と『視覚』の感触で距離を
計りながら脳内で最適なルートを組み立てる。
T字路を左に曲がると同時に倒れていたゴミ箱を
蹴り飛ばして道の真ん中へ。2つ先の曲がり角を
右に曲がり、錆びついたジャンクの山に思い切り
回し蹴りを叩き込む。痺れるような足の痛みと
引き換えに、崩れた廃材が道を塞いだ。
時間稼ぎはこれが限界。次の角を左に曲がって
護身用に持たされている閃光弾を背後に放る。
目を眩ませた隙に、十字路の角を曲がった。
■黛 薫 >
口汚く悪態を吐きながら十字路に辿り着いたのは
男性4名と、女性2名のグループ。追いかけてきた
『視覚』は下衆な欲望が5人分と無軌道な暴力が
1人分。分かりたくもないが女性2名の少なくとも
片方は相手が女でもイケるクチらしい。
閃光で見失った少女/獲物はどちらに逃げた?
真っ先に除外されたのは正面のルートだった。
足の速さを考慮すると、目が眩んでいた一瞬で
見えなくなるところまで走り抜けたはずはない。
手分けして左右のルートを確認する。
左のルートは行き止まり。いくらかジャンクが
転がっていて視界は悪いものの、進まなくても
分かる距離の袋小路になっていた。
右のルートは更に幾つかの分かれ道に繋がる。
上手く道を選べば大通りに逃げることも出来る。
手分けする必要性、それに獲物の足の速さまで
考慮すると、追い付ける可能性は五分五分……
いや、捕まえられる可能性の方がやや高い。
長く考えればそれだけ逃げ切られやすくなる。
合計6人の男女は2人ずつの組に分かれると、
手分けして獲物を追い詰めようと走り出した。
■黛 薫 >
「…………ばーーぁか」
不良集団が去った後、黛薫は小声で呟いた。
左ルートの突き当たり、誰もいなかったと
確認が成されたはずの空間で。
「ホントはこーゆー使い方するもんじゃねーけぉ。
使えるモノは全部使ぇ、ってな。アホ共がよ」
するりと手の中からスライムが滑り出る。
周囲に水の幕を展開し、光を屈折させることで
『視覚』による接触を防ぎ、精神の安定を保つ。
そういう用途で渡された使い魔、ないし分体だ。
受け取ったのは、つい昨日のこと。
「人通りが多いと見られてキモチ悪くなる。
かといって人通りが少なけりゃ格好のカモ。
どーしろってんだよ、ホントによぉ」
■黛 薫 >
あとは安全を確認した後、また人通りの少ない
ルートを選んで帰路に……着けたら良かったが。
「……ぅ、あ゛ー……クソ、ホントに、クソ。
何だってこんな目に……最悪、ホントに……」
黛薫は呻きながら蹲るばかりで立ち上がらない。
全力疾走の後で息切れしているとか、うっかり
足を捻ったとか、そういう事情でもなく。
「……っ、ふぅ……っ、く……」
荒い吐息を噛み殺しながら、身体を震わせる。
黛薫の異能は『視界過敏』。他者の『視覚』を
触覚で受け取る異能。嫌悪や非難の意思があれば
突き刺すような痛みを、憎悪なら焼けつくような
苦しみを、侮蔑なら踏み躙るような感覚を伴う。
……では、今は?
■黛 薫 >
暴力的な感情だけなら(良くはないが)良かった。
殴られるような痛みに苛まれはしただろうけれど、
痛みなら我慢が出来るから。
問題は、汚い欲に満ちた人に見られたとき。
粘り着くような視線は生理的な嫌悪を齎すと共に
疼くような熱を残していく。落第街に居を構えて
以来、倦むほどにそんな視線に晒され続けてきた
黛薫は……向けられる欲の大きさ、重さ次第では
見られるだけで『感じてしまう』。
「あんの……っ、く、クソ共……どんだけ相手に
されてねーんだ、って……男女揃ってんなら、
内輪で、勝手に……ヤッてろってんだ……」
唇を噛み締めながら、弱々しく悪態を吐く。
立ちあがろうにも、足に全然力が入らない。
頭が熱に侵されて思考がぼやけている。
■黛 薫 >
1番手っ取り早い手段はどうにかして燻る熱を
発散してしまうことだが……いくら落第街で
暮らす不良でも、年頃の乙女である。屋外で
そういった手段を取るのには強い抵抗がある。
何より、熱に身を任せてしまうのは下卑た視線に
屈するも同じこと。熱が覚めれば屈辱と嫌悪感で
泣きそうに、吐きそうになるのは間違いない。
だから、熱が冷めるまで待つ他ないのだが……
ただでさえ格好のカモであるか弱い女の子が
無防備でいるのはあまりにリスクが大きい。
カモがネギを背負って来るどころか鍋の中で
煮られながら待機しているレベル。立ち昇る
湯気か、漂う美味しそうな匂いに気付かれたら
美味しく頂かれてしまうだろう。
考えようが考えまいが動けないのは変わらないので
無為な思考で気を紛らわせるのが良いのか、或いは
思考で頭が煮えるほど熱が冷めなくなるので冷静に
クールダウンすべきか。
残念ながら思考が侵食されるほど重い熱に侵されて
しまっている現状、姑息な理想論は息をしていない。
「……っ、ぅ……ふ、く……っ」
パーカーの裾を噛み締め、潤む目蓋を強く閉じる。
経験則だが、燻る熱には波がある。一度耐え切って
しまえば(後で何度もぶり返すものの)取り繕うのは
難しくなくなる。1番大きい波を耐え切り、拠点に
帰りさえすれば後はどうとでも──
ご案内:「落第街 路地裏」にフィーナさんが現れました。
■フィーナ > 「えーと、多分この辺りに………」
薫に渡したスライムがこの辺りをうろついている気配を感じ、捜索に来たフィーナ。
病院や表であればそこまで心配はしないのだが、此処は悪人や怪異が蔓延る落第街だ。万が一があってからでは遅い。
「あれかな…?」
魔力の反応があるにも関わらず、周囲に溶け込んで見えない所がある。薫がスライムを使ったのであれば、おそらくそれなのだろう。薫りもするし、ほぼ間違いないとは思うが。
「薫ー?いる?」
念の為、声を掛ける。いきなり手を差し出して怯えさせるのも良くないから。
■黛 薫 >
「っっっ?!?!」
見えないながら、黛薫の声が返ってきた。
悲鳴なのか何なのか分からない声だったが。
「フィっ、え、何?!なんっ、何で?!」
焦っている、混乱している、戸惑っている?
どれも正解なようで、ぴたりとは嵌まらない。
慌てて立ちあがろうとする音、路に散らばった
ジャンクに蹴躓く音。ぱちんと水の幕が弾けて、
真っ赤な顔でぺたんと地面に座り込む黛薫の姿が
現れた。
■フィーナ > 「なんでって…危険区域に入るのに保護者がいたら可笑しいですか?」
呆れたように言いながら、手を差し伸べる。
「前渡してた結晶と同じものもたせてるからね。追えるのよ」
手をとれば、引っ張り上げてくれるだろう。
■黛 薫 >
「いや違っ、そういう話じゃ……」
反論しかけて飲み込む。どうやらフィーナの側は
『何で此処にいるのか』と受け取ったらしかった。
咄嗟に口走った言葉は『何でこのタイミングで』
という意図が大きかったのだが、すれ違ったなら
好都合でもある。
「まぁ、うん……そりゃ、そっすね。
でも、あーしだってわざわざ好き好んでこんな
アブナィ場所選んで通ってんじゃねーんですよ。
異能のコト、こないだフィーナにも伝えたよな。
ヒト多いトコの方が安全なのは分かってっけぉ、
ムリな日はムリ。気持ち悪くなっから……」
差し出された手を見つめ、その場に座り直す。
パーカーの袖口付近を裾で拭うような仕草。
■フィーナ > 「だったら行く前に連絡して下さい。貴方体質まで変わってるの覚えてないんですか?」
気持ち悪くなる程度のことで、自らの身を危険に晒すのは、どうかとおもうフィーナ。それこそ人に頼ればいいだろうに。
目の前に都合のいい存在がいるのだから。
「…で、そういう話じゃないなら、どういう話だったんです?」
そして、フィーナは聞き逃さなかった。
■黛 薫 >
「んん゛……」
言っても1人で行動しようとしたら止められるし。
書き置きだけして抜け出したら、読まれもせずに
遭遇したことがある(追いかけてきたのでは?と
勘繰ってしまった)し。と、言ってもフィーナが
自分の身を案じてくれているのも最近少しだけ
信じられるようになったので、強く出られない。
結果、不満げに唇を噛むだけで反論しなかった。
(そこは流して欲しかったなーー……)
理不尽に責任転嫁しそうになったが、どう考えても
迂闊な発言をした自分の所為。燻る熱で頭が鈍って
いることを考慮に入れても自業自得。
「どーゆーも何もびっくりしただーけーでーすー。
細かく言葉尻捕まえなくてもイィんすよ、もぅ。
あーしだって深く考えずに発言するコトくらぃ
珍しくねーですよ」
不機嫌そうに振る舞って誤魔化そうとしているが、
内心は結構焦っている。未だ染み込んだ熱は抜けず
足腰は立たないし、友人の前で『そういう』感情を
押し殺すのは顔から火が出そうなほど恥ずかしい。
パーカーの裾を押し下げ、湿ったショートパンツを
隠しながらフードを被り直す。黛薫、動揺したとき
前髪とフードで表情を隠しがち。
■フィーナ > 「…一応脅かさないよう声掛けたんですけどね。
まぁ、動揺してるのはすごいわかるんで良いですけど………………」
うん、自分がそういう意味でも捕食出来る関係上、『匂い』でわかってしまう。思わず、舌舐めずりしてしまいそうな。
「…まぁ、動けそうにないなら、ちょっと休憩していきますか?それか、運んであげますけど」
■黛 薫 >
「ヒトの『視線』に晒された後は……イヤでも
敏感になるモンなんで。ビビるのも、まー
大目に見て欲しぃトコっすね」
誤魔化せた、と思っているのだろう。
話している内容は本当で、しかし意味は二重。
普段置かれている状況と今置かれている状況。
どちらにも取れるだけで、嘘は言っていない。
少し座る位置をズラし、再度迷彩を起動する。
先の発言も併せて『視覚』から逃れたがっている
ように見えるが……本当は『隠したい』だけだ。
「運ばなくてもイィですよ、休めば治ります。
……あーしにとっちゃ珍しくもねーですし。
今後似たようなコトがあっても、またかって
呆れるくらぃで丁度イィんすよ」
バレていると知らないまま誤魔化し続ける彼女は
滑稽に見えるか、それともいじらしく見えるか。
怪異を惑わす甘露の薫り、欲を刺激する乙女の匂い。
混ざり合うそれらは、意図せずして誘うかのよう。
もっとも、体質変化の対症療法でアミュレットや
護符を持ち歩いているので多少マシになっているか。
もしプロテクトが無かったら、いつ何処で酷い目に
遭っていてもおかしくはない。
■フィーナ > 「……んん。敏感に、ねぇ。じゃあ、少し、休んでいきますか。」
思えば、そういう『匂い』を嗅ぐのは日常茶飯事であった。自分達が保有する苗床は、殺さず快楽に漬け今も同族を産み落とし、彼女の魔力源となっている。
しかし、ふとそういう薫りをさせた薫に対して抱いた感情は、苗床に向けるそれとは全く違うものだった。
これも、自分の知らない感情。
食欲のように渇き、好奇心のように目が離せない。
そんな視線を、迷彩が象られる前に感じ取れるかも知れない。
「一応、病院で会ったときよりかはマシにはしてるみたいですけど…それでも油断は禁物ですよ。クロと会って無事であったほうが奇跡なんですから」
■黛 薫 >
「……?」
迷彩を起動する直前に感じ取った『視線』。
当初の契約内容を思えば『食欲』は自然。
彼女の性質を考えれば『好奇心』も自然。
けれど。
(……そんな『視線』、だったか?)
予想通りの感触ではなかったような気がした。
動揺している所為で感度にズレがあったのか。
それともフィーナに心境の変化があったのか。
確かめようにも、今更迷彩は解けないが……。
「油断、っつーよりは……何なんだろな。
独りっきりでいるとトラウマが蘇って怖ぃ。
誰かといると『視線』が怖ぃ。体質変わって
襲われんのもそりゃ怖ぃけぉ、自分なんかが
のうのうと安全な場所で暮らしてんのも怖ぃ。
何してても怖ぃんだ。だからせめて今感じてる
恐怖から逃げようとする。逃げた先にも、別の
恐怖が待ってっけぉ、今の恐怖に耐えられない。
だから逃げる。その繰り返し」
「そーやって逃げてる最中に、あーしの目的に
適いそうな何かを見つけちまうと、踏み外す。
あっちへこっちへフラフラしては、狙ってる
みてーにイヤなモンばっか踏み抜いちまう」
「……笑っても、イィよ。アホだなって。
逆にその方が……楽かもしんねーからさ」
少しずつ頭が冷めてきた。熱を上書きするのが
ネガティブな感情なのはある意味自分らしいが、
良いことでは無いのも理解している。
■フィーナ > 「……怖い、か。」
フィーナは、殆ど恐怖というものを感じたことはなかった。
ただの単細胞が霊長類の頭脳を手に入れ、全能感に満ち満ちていたこともあった。
大抵のモノは力と知恵でどうにでもなる、と思っていた。
しかし、それでも恐怖はあった。
力ではどうしようもないもの。自らの知恵だけでは救えなかったもの。
今にして、更に過酷な環境に陥り、いつ消えて無くなっても可笑しくない、目の前の存在。
私は、それを失うのが、怖い。
「…どこかに、安息の地でもあれば良いんですけどね」
遠くを見る。今の薫では安息は有り得ず、薫との関係も、元々は甘露を吸う為のものだった。
今になっては、薫が自由になれれば、それでいいと思っているが。
「いっそ、この島から逃げる…というのも、一つの手かも知れませんね」
そう、この島は異界との繋がりが近く、それに応じて怪異の数も多い。命の危険を考えるのなら、島を出るのが一番だろう。
■黛 薫 >
「……ホントに逃げたら、なんて言われんだろな」
力なく、自嘲気味に笑った。違反学生の身ながら
例外的に一部保証を受けられているのは、学園に
復帰する意思があり、かつそれが妨げられている
理由が疾病に等しい異能にあるから。
期待と呼べるほどのものではないけれど……
復帰のために尽力してきた人たちを裏切るのも
黛薫にとっては『怖い』ことなのだろう。
怖いものだらけで、弱くて、失敗ばかり。
その癖、開き直れるほど悪には染まりきれず、
善性が自分を傷付ける矛盾だらけの言動。
けれど、その『恐怖』が彼女を繋ぎ止める。
他者の存在に怯えていれば他者を忘れない。
繋がりを忘れたら彼女は『連れていかれる』。
「……帰る、か。頭、冷えたわ」
思考は暗く冷えて、きっと染み付いた熱も全部
抜けてしまっただろうと、ふらりと立ち上がり。
「……っ、ぅわ、ごめんっ……!」
けれど、力の抜けた足も砕けた腰も治りきっては
いなかった。貼り直したばかりの水幕が弾けると、
転びかけた黛薫は貴女を支えに何とか自立できた。
触れ合うほどの距離で『薫り』が貴女の意識を
強く揺らし──瞬きほどの間でまた遠ざかった。
「……はぁ。こんなんじゃ、ちゃんと言えっつー
フィーナのお小言に、なんも返せねーわな……」
また無意識のうちに自分を貶すような言葉を呟き。
ふらり、覚束ない足取りで帰路に着くだろう。
ご案内:「落第街 路地裏」から黛 薫さんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」からフィーナさんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」に柊さんが現れました。
■柊 >
路地裏、それを見下ろせる廃ビルの屋上に男が一人携帯を眺め立っている
時折街へと視線を流しては、ため息を吐く
そして、携帯からコール音
素早く通話開始の文字を押して携帯を耳元に当てた
「タカハシさん。どうです? 容貌が割れましたか
それは嬉しい報告です。ははは、いえ……これ以上は望みません
後は此方でどうにか致しますので。お疲れでしょうから帰って休んでください
ああそれと、サトウさんにも連絡しておいてください」
それでは、言葉を吐いたなら深い息を吐き
嬉しげな雰囲気を放ちながら手すりへと向かう
「少し、お金使いすぎましたかね」
それでも、大きな前進だ 払った価値はあるとおかしげに笑う
後はどうしようか その思考はすぐに消えて、一つしか考えられなくなった
「後は会うだけですねぇ……楽しみです」
さぁ、準備を整えなくてはならない
帰ってから忙しくなると人好きのする笑みを絶やさずに思考を回す
■柊 >
ああ、汚く見える街が綺麗に見える気がする
二徹した回もあるというものだ
帰ってからまた忙しくなるが、深夜にはやっとゆっくり眠れるだろう
「……はぁ、持つべきものは金ですねぇ」
これだけ頑張ったのだ、さぞ素敵な人物に違いないと心を踊らせた
「これは恋ですかね」
なぁんて 街を見下ろした後、踵を返し階段を降りていった
帰ればやることが山積みなことに胸を高鳴らせ。
ご案内:「落第街 路地裏」から柊さんが去りました。
ご案内:「落第街 路地裏」に羅刹さんが現れました。
■羅刹 > 『休憩』場所を固定するのは良くはない
いくつかの候補の内、その中でその時安全な場所を選んで、そこで煙を揺らす
「――――…」
面白くなってきた、と羅刹は思う
まだ白梟が『噂』を流していないにも関わらずこちらを探る影が見える
風紀ではない。むしろ、その逆の相手であると予想できる
でなければもう少し、表側の匂いがする探り方をするだろう
しかも、情報の出どころからしてかなりの労力を払っている
そこまでして、今、近づいてくるのはどういった目的か
「――――――…………」
目的まで深く考えても、仕方は無い
今は頭の休息を行おう
既に、指示は出してある
凛霞という少女には偽の情報を流す命令と、今のところの敵対組織が持っていた物品からの情報収集
それが終われば、落第街の『表舞台』に本格的に出す頃合いだ
――元々、『そう』するつもりであったとはいえ、白梟の頭の回転はやはり重用するに値する
目下最大の懸念の1つである怪異も、少し動きが見えない。
…あれから時間が経っても大きな動きは無い
偽の情報が効いたか、あるいは風紀側の言葉…事故であった、と言う言葉が真実だったか
「――――――…………」
一先ずは動かなければならない。
その前に、僅かな休息を。
鬼を自称しているとはいえ、身体は人間そのもの
指示と処理の合間に休ませなければ、男とて倒れる
何かあれば、緊急の『盃』が入るだろう
周りに護衛は着けてはいるが、視界外に潜ませている
そんな状態で、一時の休息を味わっている
■羅刹 > 今日は特に何も起こらず、また『仕事』へ戻っていった
ご案内:「落第街 路地裏」から羅刹さんが去りました。