常世島北部には研究区として様々な研究所が密集している。
ここで行われる研究は多岐にわたり、名目としては異能・魔術・異世界などが現れたこの世界のために、それらを研究して世界との融和させることとしている。
その他の学問についても研究されており、この区域は他にも類を見ないアカデミックな場所となっている。
学園公立の研究所から私立の研究所まで様々であり、研究系の部活も研究施設などを利用することができる。研究者は教員・生徒など問わない。
とある公立の研究所では異能開発や人体実験めいたものも行われているとの噂もあり、謎の多い場所である。
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参加者(0):ROM(1)
Time:08:32:47 更新


ご案内:「研究施設群 島端展望台」から挟道 明臣さんが去りました。 (07/01-22:57:08)
挟道 明臣 >  
善悪だけで人を語れるのなら、どう言い繕っても俺は善人にはなれない。
俺はかつて、正しいと信じる正義を蔑ろにした。
それが正しくない事だと理解して、それでもなお選び取った時点で、それは変えられるものでも無い。
そう、変えられないのだ。
背について回る後悔が、手を汚した事実が、自己肯定をひたすらに拒み続ける。
己の悪行を認めて、為すべき事を為したと胸を張れるのならどれほど楽に生きられたか。

学生街の少年少女に抱いた感情。
あれはきっと、憧れにも似た何かなのだろう。
触れられず、相容れない。だからこそ眩しくて――羨ましく映る。

「歳ばっかくって、何時までもガキみてぇ」

飲み干したアルミ缶を握りつぶして、やるせなさに任せて海に向かって投げようとして――止める。
ゴミはゴミ箱に。
悪人を気取る癖に社会のルール一つ満足に破れない小さな影は、振り出した雨の中に消えていく。
(07/01-22:56:51)
挟道 明臣 >  
カツカツと、落ち着きも無く欄干を叩く左手の指先には相も変わらず黒い手袋。
樹木と化した己の腕を隠すためとはいえ、見た目が暑苦しくてかなわない。

己の身に起きた変化を受け入れるのに、そう時間はかからなかった。
クローン培養した腕を移植するというのも試したが、結局憎たらしい種子が形を成した物に落ち着いている。
何度試せど、己の細胞から作ったはずの腕が拒絶反応を引き起こすのだ。
種子は欠損箇所があればそこに根を伸ばして補完してしまう。
改善を、と繰り返した試行錯誤も肩口まで根が浸食した頃には諦めがついた。

どちらかと言えば変わられないのは、変えられないのは結局己の性根の部分だった。
(07/01-22:34:17)
挟道 明臣 >  
呪わしいのは己の思いつき。
仕事の帰りとはいえ、学生街なんぞで探し物をしたのが良くなかった。
前期末試験の時期。
表の街には遅すぎる試験対策に取り組む学生の姿も多く。
ふと視界に入ったその穏やかな日常が微笑ましくて━━眩しくて。
気が付けばそこから目を逸らすようにして、いつものこの場所に足が向いていた。

予算割当を研究施設以上に獲得するために先人達が申し訳程度に作った名ばかりの“観光スポット”は、
気分を変えるのに丁度良く、なにより人目も少なく都合がよかった。
景色こそ悪くはないが、なにせ無人管理の無機質な場所だ。
職場に程近いそこは、己にとっての絶好の避難所のようなものになっていた。
(07/01-22:04:27)
挟道 明臣 >  
潮の香りを乗せた風は湿り気を帯びて、
瞬きの間にでも雨が降り出すかと言わんばかりの黒雲が目まぐるしくその形を変えていく。
息が詰まるような蒸し暑さは汗を浮かべさせ、拭う手との鼬ごっこを強いて来た。

「あっつ……」

誰に言うでも無く空へと不満を垂れて、男は安全柵に肘をついて海を眺めていた。
時節は既に七月。植えられるでも無く自生するままの紫陽花の紫が風に吹かれて揺れる。
そこは研究区画の島端。
気象観測所を近隣に備えた、視界を遮る物のない展望台の上。
鬱陶し気に髪をかきあげて、数刻前の己の迂闊さを思い返しては唸るように天を仰いだかと思えば項垂れる。
傍から見れば不審者のソレだが、この区画の人間なんぞ不安定な奴の方が多い。
知った顔に見られでもしなけば全てが些事だった。
(07/01-21:47:54)
ご案内:「研究施設群 島端展望台」に挟道 明臣さんが現れました。 (07/01-21:47:37)
ご案内:「研究施設群」から黛 薫さんが去りました。 (12/13-23:17:23)
黛 薫 >  
(最近はそんな危なぃコトもしてな……して……)

ふと視線を落とす。バリバリに皮の剥がれた手の甲。
往路の電車でじぃっと見られた感触が消えなくて、
気になってずっと掻いていたのを思い出した。

「……コレか?!」

心配されていたのはそんな浅い理由ではない。
ないのだが、無自覚の危うさを自覚しただけでも
彼女にしては上出来な方。

「やば、コレで料金精算したくねーな……」

しかし自分を労る方向でなく、これを見た他人が
不快感を覚えるかもという方向に考えてしまうのが
黛薫という人間……否、元人間の面倒くさいところ。

憧れる "ごく普通の学生" はまだまだ遠そうだ。
(12/13-23:17:19)
黛 薫 >  
他に細かい変化点を挙げるなら、肌がもちもちに
なるかもしれないとか、消化出来る物の幅が広がる
可能性がある(ただし身体の構造は変わらないので
飲み込めるかどうかは別問題)とか。

個人的には理解が進んだ分、使い魔のスライムを
『分体』として扱う概念補強がしやすくなるため、
操作性の向上に活かせてプラスだとさえ考えている。

因みにそれを素直に担当医に伝えてみたところ、
『前向きなのは結構だが、その思考は落第街の
 イリーガルと魔術師の合理性に染まりすぎて
 いるからもう、少し自分を労った方が良い』
という旨の意見をやんわりした表現で伝えられた。

「……自分を大切に、ねぇ」

落第街を出てから、ずっと言われ続けている。
甘え過ぎていないかと不安に思うくらいなのに、
まだ足りていないのだろうか。
(12/13-23:06:07)
黛 薫 >  
成長の停止にしても、生殖方法の変化にしても、
思春期の少女には酷であると捉えられたらしい。
腫れ物を触るような扱いは気遣いから来ていると
分かっていても居心地が悪かった。

ただ、まあ。本人の認識としては。

「しょーじきコレ、生存適応じゃねーかな……」

黛薫に好意を寄せる同居人はかなりしつこく彼女を
孕ませようとしてくる。元を正せば種族区分から
変わってしまったのもそれが原因。胎の怪異による
侵食が今の形に収まったのも、通常の苗床化では
母体共々命を落としかねなかったからと言える。

人間と怪異の価値観が異なるのは仕方ないとして、
"一歩間違えば死んでいた" が悪意なく、常習的に
繰り返されているのは紛れもない事実。

お陰で黛薫は風紀委員特定怪異対策課の監視対象。
本人らの認識はともかく、学園からは危険な怪異と
そのストッパー兼暴走時の生贄として扱われている。
(12/13-22:50:36)
黛 薫 >  
また、研究員が成長の停止と同等以上に重く捉えて
いたのは生殖方法の変化。哺乳類的な『受胎』では
なく『分裂』で子を成す身体に変化していた。

とはいえ、これも純粋なスライムのように複製を
増やしておしまい、という簡単な行為でもなく。
最もスライムに近い部分、つまり侵食された胎を
基準に分裂し、しかも胎内で育てるプロセスも
必要という、ある種ハイブリッド的な工程を踏む。

こうした生殖方法の変化を伴う種族変化の例は
植物系の怪異やスライム等、自力でも生殖できる
存在が別の生命を養分として捕える『苗床化』。
黛薫も広い区分で見ればこれに該当する。

「まあ、気にする人は気にするか……」

長い目で見れば、黛薫にも子を産む予定はある。
ただ現状は身体、精神、経済の全ての面から見て
子を産み育てるのは難しい。

サポートが充実した現代では忘れられがちだが、
そもそも出産は命懸け。黛薫が行えばそのまま
子供が形見になりかねないし、最悪のケースでは
母子共々命を落とす可能性すらある。

無事に産めたとて、出産を経て衰弱が加速した
母体で、復学/社会復帰支援が必要な精神状態で、
2人で暮らせる程度の稼ぎで3人を養えるか、と
考えると、少なくとも今は現実的とは言えない。
(12/13-22:37:21)
黛 薫 >  
別に種族区分が変わったからといって、該当種族の
特性が扱えるようになりはしない。身体をゲル状に
変質させたり、変形したりは出来ない。

検査結果から推測されるのは、細胞の老化停止。
これにより成長/老化がなくなった。ただし寿命は
存在するため、老化しないといえどいずれは死ぬ。

特筆すべきは『大人になれなくなった』という点か。
種族変化に伴う事例としては度々ある話だが、重く
捉える人は珍しくないと聞いた。古くからある例は
吸血鬼による眷属化辺りだろうか。

「ぶっちゃけ気になんねーな……」

背が伸びないとか、胸が大きくならないとか。
思春期に有りがちなデリケートな悩みについて
やんわり探りを入れられたものの、正直あまり
気にしていない。

それよりむしろ "成長" と "再生" の境界が不明確で
何処までなら取り返しが付くか分からないのが気に
かかる。髪が伸び直すかも分からないため、検査が
進むまでは迂闊に散髪すら出来ないとか。
(12/13-22:23:50)
黛 薫 >  
待合室で貰った資料を再確認しながら支払い待ち。
病院との提携や復学支援保障を含めた料金計算が
必要になるため、待ち時間は結構長め。

「あーし、もー人間じゃねーのな」

リハビリやカウンセリング、いつものメニューを
抜きにした今日の本題を思い出し、手の甲を爪で
引っ掻きながらぽつりと呟く。

ここ数ヶ月の検診結果から、彼女──黛薫の身体は
完全に『成長』を停止してしまっていると判明した。
理由はその身に宿した "怪異" の侵食が一定域に
達して、馴染んでしまったから。

宿す怪異は所謂『スライム』。有機生命的な成長、
老化とは無縁な異世界由来の生物。その種族特性が
断片的に現れるまでに侵食が進んでいた。

これに伴い、手続き上の種族も『半怪異/元人間』に
改められた。日常生活に影響が出ないからかあまり
実感が湧かないというのが正直な感想。
(12/13-22:10:39)
黛 薫 >  
「……つまり?」

研究施設の一区画。医者でもあり研究者でもある
担当医に聞き返す。内容が理解出来なかったから
ではない。受け止めきれなかったからでもない。
『理解したから』で済ませて良いか判じかねた。

「……そっすか」

今日は身体、精神の両面をケアするための定期検診。
行われる場所は病院だったり、研究施設だったりと
概ね交互だが日によって異なる。

衰弱を魔術による操作で誤魔化している身体。
深く傷付き、ともすれば一生ケアが必要な精神。
生命に関わるレベルで摩耗し切った危うい魂。

"ごく普通の学生" の真似事をして生きることすら
容易でないボロボロの少女は、検診結果を纏めた
資料を受け取り、一礼してロビーに戻った。
(12/13-21:57:26)
ご案内:「研究施設群」に黛 薫さんが現れました。 (12/13-21:57:15)