2020/07/18 のログ
ご案内:「訓練施設」にマルレーネさんが現れました。
マルレーネ > 身体の鈍りを感じる。
それはもう、当然と言えば当然だ。
朝から晩まで動き回って、時には一週間以上をかけて歩き詰めに歩いて。
毎日毎日戦いに戦い抜いて、もちろん命まで懸けて戦って。

「そりゃ、そうですよね……。」

苦笑を浮かべながら、ずっしりと重い身体を持ち上げる。
本来、この島であれば、もっと良いものがあるのは理解しているが、それはそれ。

久々の感覚を思い出すように、長い棍をぎゅっと掌で握り締めて。

マルレーネ > 鎖帷子をずっしりと着こむ。
手甲をつけ、脛当ても完璧だ。
これを着こむととっても重いしとっても暑いのだけれど。

「は、っ………!!」

棍を振り回し、ぴたりと止める。
何かしらの相手を出せますが、という申し出は断って、密室で唯々、棍を振って、突き出して。
型と呼ぶには乱暴な、実践的な攻撃を空中に向かって繰り出し続ける。

マルレーネ > …………ああ。思ったより落ちてるなあ、体力。

汗を流しながら、一つ二つ吐息。困った困った。
今度は何かしらの相手とやりあわねば、やはり力は出せそうにない。
というかまずは体力をつけるために走ったりするべきなのかしら。

んぅう、ぅううーん、と独特の唸り声をあげながら、がっしゃん、がっしゃんと音をさせて出ていくタンク。

ご案内:「訓練施設」からマルレーネさんが去りました。
ご案内:「実習試験会場【イベント】」に簸川旭さんが現れました。
簸川旭 >  
基本的に用のないところだ、自分にとっては。

――演習場や訓練施設。「異能」を持たない自分には訪れることがまずない場所であった。
正確に言えば異能を持っていないのではなく、発現したことは確認されている。
だが今は使えない。仮に使えたとしても自分自身を氷の棺に閉じ込める能力だ。何の意味があろう。
しかし、そのようなことはあまり問題ではない。
自分の「時代」――表立っては存在していなかった、架空の存在とされていた超能力の類、「異能」。
この演習場では特にその「異能」を使う者たちが集っている。
今は試験期間である。「異能」を制御できているかどうかの実習試験が、演習場にて行われていた。

旭はその試験が行われている演習場の見学席に腰掛け、試験の様子を眺めていた。
なんとも恐ろしいものだ。
炎を操る生徒、水を操る生徒、浮遊する力を持つ者、自らの身体を変質させる者――
どれもこれも、恐ろしい。自分の時代にはあり得なかった、架空のものだ。
今までは、彼らのことがただ恐ろしく、おぞましく思えていただけだった。
彼ら自身に非などないことは十分すぎるほどわかっている。
わかっていても直視するのを避け続けていた。

しかし今は違う。
恐ろしく、吐き気を催しながら、彼らがどういう心で「異能」を扱っているのか理解しようとしていた。
その超常の力で何を成そうとしてるのか――それが知りたかったのだ。
旭は顔色を悪くしながら、試験が行われている様子を眺め続ける。

簸川旭 >  
現れたターゲットに炎を的確に当て、うまく制御できていると喜んでいる生徒がいた。
なるほど確かにうまく制御できているに違いない。
だが、そうだといってそれに何の意味があるのか旭にはわからなかった。
彼はもしかすると、「異能」を用いて戦う仕事を将来の夢として希望しているのかもしれない。
それならばまだ、こういった結果で喜ぶのもわからなくはないが――
人をいつでも傷つけ、殺せてしまうような力だ。少なくとも、自分のような人間はそうなってしまうだろう。
そのような力を突如得て、彼らは何を思うのだろうか。その力とどうやって折り合いをつけて生きていくつもりなのだろうか。

「異能」の多くは自ら望んだものではなく、ある日突然降って湧いてきたような力と言われている。
事実、自分がそうである。「異能」の存在など知らなかったというのに「異能」に目覚め、長き眠りに就いていた。
別に欲しくもなかった力だ。異能学の授業では個々人の個性、才能のようなものとする説も聞いたが、自分としてはそうは思えなかった。
どこまでも、突然降って湧いてきたような力。そう思えた。

自分の「異能」は一度発動した以降は発動していない。検査でもそういった兆候はないとも言われていた。
いつまた発動してしまうのかわからないとあれば、制御云々よりも完全に封印するか、消してほしいとさえ思う。
「異能」のランク付けが生徒の間で流行しているという話も聞いたことがある。
彼らにとっては「異能」も脚の速さやそういったものと同次元に思えることもあるのだろうか。
そんな考えが頭を巡っていく。
異能者ならば異能者なりの苦しみがあり、社会から排斥された者もいるだろう。一概になど言えるはずはないのはわかっているが――