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「常世学園」について

――命を天朝に受りて、遠く絶域に往り、万里に波を踏み、遥かに弱水を度る。
是の常世国は、即ち神仙の秘区にして、俗の臻らむ所に非ず。

『日本書紀』垂仁天皇紀九十九年明年三月 

「常世学園」は日本近海、太平洋に浮かぶ巨大な島、「常世島」に建設された大規模な学園都市である。
「常世島」は「常世財団」が所有しており、日本の領土内に存在するが、現在はどこの国にも所属はしていない。
事実上独立した国家のようなものであるといえる。後述するように、異能者、魔術師、異邦人などの存在が集合する特異点である故の独立である。
 
その創立は国連の委嘱のもと「常世財団」によって行われ、21世紀の初頭の《大変容》のために現れた異能、魔術、異世界と、現代の地球の文化を融和させ、
統合するモデル都市として、全世界にその門戸が開かれた。
都市自体が一つの「学園」であり、異能に覚醒した人間や、魔術を学ぼうとする者、この世界のことを知ろうとする異邦人、それらが差別なく学び暮らす場所であると標榜されている。
また、異能や魔術を使えなくても、その入学は歓迎されている。学園都市が、未来のモデル都市として作られたのだから当然だといえよう。
異能や魔術、異世界についての研究を行う都市としても世界の最先端を歩んでいる。
そのため、異能や魔術を制御する方法や、異世界/この世界についての知識を講義する役割を担うのが教師となる。
異能や魔術、その他学問、異世界やこの世界に精通したものが教師として勤務することになる。給与は「常世財団」より支払われる。
「常世学園」は異能や魔術、この世界について学び、それらを習得するための「学生」と、彼らを指導する「教師」が主な住民となる。
この二者によって運営され、自給自足し、独立して存在する都市が「常世学園」である。
しかしながら、公認はされていないものの、正規の手続きを踏まずに「常世島」に住み込む者なども存在しており、完全な管理が成り立っているわけではない。
入学するための年齢制限などは存在しない。学園内で使われる貨幣の単位は「円」である。かつての日本領土時代の名残である。
校章は「橘の花」である。『古事記』や『日本書紀』のタヂマモリの逸話に基づいている。
橘はタヂマモリが常世国から持ち帰った不老不死の果実であるという。
常世学園の特徴は、一つの都市であるがゆえに、生徒や教師によって運営されるということになる。人数の比率から考えれば、生徒が主体となって運営する都市と言っていいだろう。

学園案内

常世学園は日本近海、太平洋上に浮かぶ「常世島」に建てられた学園である。
やや南方にあるものの、基本的に本土の日本と同じく四季が存在している。気温も平均的なもので、特別寒暖に差があるわけではない。
元々は巨大な五角形状の無人島であり、古代のものと思われる遺跡、さらには誰が作ったかもわからぬ海底遺跡などが存在していた。
有史以前に何者かが文明を営んでいた可能性が示唆されているが、いまだ解明はされていない。
平地は少なかったものの、「常世学園」の創立が決定した後、山を削り、舗装されて巨大な学園都市として生まれ変わった。

基本的な景観としては、現代日本とそう変わるところはない。がしかし、区域によっては大きくその姿は異なる。
島内には線路が舗設されており、島内を廻る際や学園地区に通学する際などは便利である。電車・路面電車の駅は多い。
学園都市の各設備は電力によって賄われている。そのため、潮力発電や風力発電の設備などが都市にみられる。しかしそれだけでは到底賄いきれるものではないため、どこから電力を供給しているのか不審に思う学生もいるという。
以下、軽く島内案内を記す。(地図はクリックすると拡大されます。)
※なお、この島内の地図や下記の説明はあくまで便宜上のもので、大体こんな感じであると示すものです。
 絶対にこの通りでなくてはならないというわけではありません。島そのものが変わってしまうような、他の利用者に迷惑をかける用なものでなければ好きなように考えてくださってかまいません。
 小島が一つ二つ増えていても問題はないと思います。色々設定ができるように、おおざっぱに書いております。

学園地区/学生街

学園地区は常世学園の学園たる所以の場所であり、学園都市運営の中枢。「常世学園」の巨大な校舎群が立ち並んでいる。
学術的な講義、座学などはここで行われる。外観としては現代的な日本の大学に近い。要所要所に未来的な設備も置かれている。
校舎はそれぞれオフィスビルのように学園地区に立っており、連絡通路などもあるため移動はたやすい。
学園運営の中枢であるため、学園の運営に関わる委員会の本部などの多くがここに置かれている。官庁街に近い趣もみられる。
生徒会の本部もこの学園地区に置かれている。他にも職員室や、学園都市が誇る巨大な図書館群もここにある。
学園地区の象徴は校章でもある「橘(時じくの香の木の実)の花」が時計版に掘りこまれた巨大な時計塔であり、登れば学園都市全体を一望できる。

学生街は学生達や教師達の過ごす一つの大きな町であり、学園地区と一体になっている。
学生達などが運営する商店などが立ち並んでいる。カフェ、飲食店、雑貨屋、八百屋、生活に必要なものはここで手に入る。
授業の合間などに利用する学生は多く、学園都市の中でもっとも活気のある地区と言える。
基本的に健全な地区である。居住するためのマンションなどもあるが、学園の中枢にあるため家賃は高い。
治安も良いが、島内の住人が増えた故に、色々な事件が起こることもあり、学園側は頭を抱えているとされる。

学生・教職員居住区

学生・教職員居住区はその名の通り学生や教職員が主に居住する地区である。この島の住人の住居が立ち並ぶ住宅街。
当然、住む人間は差別されてはいない。この世界のものであれ、別世界のものであれ、この居住区に住むことができる。
住居の形は様々であり、資金さえあれば自分で住居を設けることができる。基本的には学園側から用意された住居を借りることになる。
家賃などがほぼ無料な学生寮もここに存在しており、男子寮と女子寮で別れている。
外観としてはこの世界の文化に合わせたものになるため、それに慣れない異邦人たちは、自分たちの文化を再現する「異邦人街」に居住することもある。
海に面した地区には浜辺が広がっており、夏には海水浴場などとしても使用される。

常世神社は学生・教職員居住区に建てられた神社である。この常世島が学園都市になる遥か以前、神代の時代の創建であると伝える。
大国主神(日本書紀では大己貴神)との国造りの最中に常世国に去った少彦名神が降り立った場所とされる。
祭神は「常世坐少名御神(とこよにいますすくなみかみ)」である。海に面して建てられた流造の社殿である。
境内には小さな鎮守の森があり、境内はそれなりに広く、学生たちの憩いの場にもなっている。
毎月15日は月次祭が斎行される。また、正月や例祭の日には屋台なども出て賑わう。神職や巫女も学園側が募集している。

異邦人街

異邦人街は島の南東部に作られた異邦人たちの街。異邦人に対しての学園からの差別待遇などは特になく、普通に学生居住区に住むこともできる。
この世界と異世界の融和を図るための街であり、学生居住区などとはかなり趣を異にする。
それぞれ異邦人がやって来た異世界を再現するための街であり、それぞれの文化がひしめき合う区域である。
基本的に学園側からの関与はなく、異邦人たちの自治に任せられている。また、この世界の住人であっても異邦人街への居住は可能である。
異世界から来た異邦人たちの心を慰めるための場所でもあり、それぞれの信仰に合わせて様々な礼拝所や神殿なども建てられている。

歓楽区

歓楽区はその名の通り歓楽街が広がる区域である。この街のプレイスポットであるといえよう。
所謂若者の街とでもいうような繁華な場所で、特に授業後の夕方から夜はかなりの賑わいを見せる。そして学園都市の不夜城とも呼ばれる。
酒場やカジノなど、やや不健全な店が立ち並んでおり、時折風紀委員による手入れなどがある。
そのため治安は学生街に比べると悪い。非公認の部活なども多い場所である。

落第街/スラム

落第街/スラムは、学園都市の中でも特に治安の悪い地区であり、普通の学生が訪れるような場所ではないとされる。
学園側としては歓楽街の一部とされ、落第街やスラムなどは存在していないと称されているが、現実には存在し続けている。
その名が示す通り、落第生や不良学生、違反学生などが集まる街である。非公認の部活などが殆んどの地区である。
不健全な店、風俗店などの娼館めいたものや、薬物などが横行している場所であり、上記したように治安は悪い。
しかし、この街にも住んでいる人間はおり、また学園の母体である「常世財団」もこの学園の汚点であるこの場所への手出しは特に行っていない。
特にそのような場所は存在していないというのが学園側の主張であり、そのため生徒会や風紀委員会も落第街に手が出しづらくなっている。
時たま、風紀委員などの手入れが入るものの、根本的な解決には至っていない。

研究区

研究区は学園都市の中でももっとも学問的と言える区域にして、学園都市が一種の研究のための都市である所以の場所。
学園都市で行われる研究には様々なものがあるが、学園の設立の経緯上、最も大きいのは異能、魔術、異世界などについての研究である。
研究区にはそれらを研究する施設が所狭しと立ち並んでいる。この異能や魔術が横行する世界のための研究ということが標榜されている。
異能、魔術、異世界……これまでは学問の領域とされていなかった分野も、今では立派に学問の一つとなっている。
しかし、研究のためといって研究そのものを機密にする機関なども存在し、謎の多い地区でもある。
人体実験や、異能開発のための違法な研究などが噂され、「常世財団」もそれに関わっているなどというゴシップもまた存在する。
そのような噂に関して、「常世財団」などは沈黙を保ったままである。
研究員は教員のほかに、外部からの出張の職員など、また学生もこの区域で研究を行うことができる。

産業区/農業区

産業区/農業区は学園都市の生産や食糧をつかさどる重要な区域である。
学園区域などとは別の離島に設けられた区域で、この学園の物資を製造する工場、産業地帯があり、食糧となるものを育てる農業地帯が広がる。
農業に関しては機械化された農業ものが中心であるものの、中には昔ながらの方法で農業を行う者たちもいる。
学園都市は独立した一国家のようなものであるため、自給自足が心がけられている。この区域はその表れである。
しかし、創立当初に比べて住民の数が増えたため、学園都市内だけでは賄うことはできず、外部からに輸入も今では行われている。

実習区

実習区は主に実践的な授業、実習の際に使われる区域である。
当然ながら、学園都市の内部では戦闘用の異能や魔術の使用は、委員会などの職務の遂行、特別な場合や一部の区域を除いて禁止されている。
普通の社会で武器を街中で使ってはならないのと同じように、他人に危険を及ぼすような行為は罰せられる対象である。
(とはいえ、異能・魔術犯罪が存在しているのも事実である。)
しかし、この学園では異能や魔術の制御、習得を学ばせることも大きな目的である。そのためには、実践が伴わなければならない。
そこで使われるのがこの実習区である。この実習区においては、戦闘用の異能や魔術の使用が許される。
この区域一帯は特殊な魔術や異能の防壁が張られており、よほどのことがない限りそれは破られることがなく、他区域にも影響を出さないようになっている。
異能や魔術の実践には欠かせない場所であり、生徒・教師による模擬戦闘訓練なども行われている。
基本的に何もない広い更地といった景観だが、一部訓練のための施設なども設けられている。
魔術や異能の力を用いれば、ある特定のフィールドや状況下での訓練なども再現できる。

未開拓地区/遺跡群

未開拓地区遺跡群はこの学園都市の中でも最も特殊な区域である。その名の通り、未開拓な地域であり、遺跡などが点在している。
「常世学園」が出来る以前の「常世島」の状態が残されており、古めかしい古代遺跡がいくつも存在しており、荒野のような光景が広がる。
未だ開拓されていない理由こそが、この地区が最も特殊な区域である所以である。
「常世財団」が「常世学園」を作ろうとした際に、異次元の「門」が開き、この区域一帯は非常に時空が不安定な状態へと変化した。
普通ならば、大規模な異世界の転移などはほとんど起こらないが、この区域においてはそれが頻繁に起こってしまっていた。
異世界のものが次々と転移し、異世界の怪異や、異世界の遺跡、異世界のダンジョンなどがこの区域に現れ、非常に混沌とした場所と化した。
異界との接点が特に強い場所であり、ここでは異世界の魔物なども出現し、危険な地区であるといえる。
しかしそれゆえに、ここでの異能や魔術の使用は全面的に許可されており、遺跡やダンジョンの探索なども行われている。
この場所がある故か、異界の魔物たちはこの区域から出ることはあまりない。そのため、訓練のために訪れる学生も存在する。
この区域へ生徒が入ることは禁止されていないが、入る場合は自己責任ということになっている。
開拓計画も存在するが、あまり現実的な話にはなっていない。
ここに住むような変わり者の生徒たちもおり、アウトローな文化が形成されている。

青垣山は未開拓地区に存在する小高い連山である。大和の山々を歌ったヤマトタケルの望郷の歌からその名前は取られている。
古くから常世島に存在する山で、その名の如く遠くから見れば青い垣根のように見える。
様々な祭祀遺跡が残されており、かつては祭祀の場であったことがうかがわれる。
山の内部にピラミッドがあるとか、古代兵器が埋められているなど、奇妙な噂の絶えない山である。

海底遺跡群

海底遺跡群は学園都市の北東部に存在する海底にある遺跡のことを指す。
何者が立てたのかなど全くの不明の海底遺跡であり、超古代のものと推測されている。
一種のダンジョンになっており、未だ詳しい調査はなされていない。奇妙な不定形の生物や、魚人をみたなどの報告されている。
奇妙な形の神像などが有名である。古代文明の一部ではないかと目されている。

常世財団本部離島

常世財団本部離島とは、常世財団の本部が置かれた離島である。常世財団の拠点だが、一般生徒などは入ることができない。
学園の母体である常世財団の本部だが、学園の中枢にそれは置かれず、常世島本島から離れた離島にぽつんと建てられている。
外観としてはレトロな洋風の屋敷であるが、その地下には様々研究施設があるなどと噂されている。
常世財団は学園の運営や、そこで起こる事件そのものにはほとんど口を出すことがなく、黙々と異能や魔術、異世界について研究を続けているといわれる。