調書
供述者:白崎玲刃
上記の者に対し、風紀委員会本部襲撃事件につき、8月9日、風紀委員会本部において、彼の関係者である綾瀬音音の援助を通して取り調べを行ったところ、次の通り供述した。
I
白崎玲刃:そうだな、まずは、動機から言うべきか…
動機の一つとして、ここに保管されてる剣を取り戻しに来たってだが…
まあ、こんな動機なんて、ここを襲撃する事の重大性を知ってしまった後では、動機になるかすら怪しいがな…
綾瀬音音:でも、それが動機なんでしょう?
で、剣を取り戻そうとして、どういう経緯と考えでここを襲撃しようと考えたのかな?
白崎玲刃:ああ、そういうわけだが。
まあ、その剣は大事な剣でな、友人に創って貰ったうちの一振りだから余計、な。取り戻さなくてはいけないと思ってな
それで一度、ここを訪れた訳だが、そのまま事情聴取されて結局剣を取り戻す事は敵わず
それならば、強行突破しかないか、といったところだ。
ああ、ちなみに、その時に聴取されたのは、以前の路地裏での騒動についての事だ。
綾瀬音音:要するに、今回の襲撃は「剣を落としたけれど受け渡しを断られたから、無理矢理にでも取り戻そうとしてこの風紀員本部を襲った」ってことでいいのかな。
白崎玲刃:ああ、要約するとそうなるな。
だがまあ、あれだけの死者がいた所に落ちてたものだ、そりゃそう簡単に渡せるものでは無いだろうがな。
上記供述は、何があったのかを供述するように問いかけた後の白崎玲刃の供述である。
白崎玲刃の供述では、彼が風紀委員会を襲撃するに至った動機は、彼の剣を取り戻す為であったという。
供述中の、路地裏での騒動に関しては後日改めて出頭し、聴取を受けるように指示をした。
風紀委員会側で回収した彼の剣を返却するかどうかは、襲撃の件、それから今回の聴取と次回の聴取を
踏まえ、総合的に判断した上で下すことを推奨する。
II
白崎玲刃:………あいつか…
俺が魔術やなんやかんやで作ったものとか言っても、そんな見え透いた嘘は信じないだろうしな…
…………そうだな、そのままでも、たぶん、ばれるだろうし言うか。
あいつは、ミウだ。異世界の創造神らしい。
ただ、あいつが行った事に関しては全て俺が指示した事だ、陽動の内容も、言った言葉も全てだ
俺はあいつに無理やり陽動をさせた、異邦人で何も知らないあいつを騙して、な。
上記の供述は、フードを被った協力者について尋ねた時に、白崎玲刃の口にした最初の発言である。
しかしながら無理やり陽動をさせた、という彼の主張を鵜呑みにするにはあまりに被害が大きかった
こと、また人間である彼が創造神であるミウに対し一方的に指示を出していたということから
虚偽供述と判断。問いただしたところ、彼は以下の通り供述を改めた。
白崎玲刃:
……やっぱりばれたか
……本当のことか
じゃあ、今から言うのが本当の所だ
まず、ミウの身元情報に関しては全て本当だ、創造神というのも異世界から来たというのもそして、俺がミウに協力を頼んだというのは本当だ、
無論、無理やりでは無く、お互い同意の上でだが。
陽動を任せたのも事実だ、ただ陽動の内容自体はミウに任せていた。
まあ、あそこまで建物に大きな被害が出る程の陽動をするとは思って
なかったが…これは陽動を任せた俺の責任だ。
ただ、今回の件は本当にミウ自体には、俺に協力するという以外に、あの襲撃に理由は無かった筈で結局の所、原因は俺なんだ。ミウへの処罰に関しては何とか軽くならないか
彼の供述から、風紀委員会を襲撃したフードの人物が、創造神ミウと呼ばれる存在であると現状仮定する。
この後、彼にはミウとの連絡手段があり、聴取の場を設けるのであれば連絡をしても良い、という旨の発言をしている。今後の捜査には彼の協力が必要となってくるであろう。
取調官追記
聴取の最中、白崎玲刃と綾瀬音音の間で何度もやり取りがあったことをここに補記しておく。
白崎玲刃は終始何を聞かれているのか分かっていない様子で、綾瀬音音の補助によりようやく聴取内容を理解しているように感じた。