(なんてことだ.私がこのような栄誉ある研究に携われるとは.
神がいるならば私は感謝せねばならない)
実験者 シュレーダー博士
実験場所 研究区第23研究棟
日時【検閲】/【検閲】/【検閲】
被験体 『V190』 から採取された血液(以降 『V190B』 )への耐性実験
実験記録1 『V190B 1』 への熱処理
42℃時点でのタンパク質変成を確認.
しかしながら16秒後,90℃で復元を開始,完了.
以降タンパク質の変性は見られず.
また90℃時点で沸騰の兆候無し.
1200℃まで加熱するが変化は見られず.
―――実験中断.
実験記録2 『V190B 2』 への紫外線照射
即座に表面の炭化を確認
炭化部分を慎重に取り除くも露出部が瞬間的に炭化
炭化部も紫外線から離れた途端に復元する
実験記録3 『V190B 3』 へのウイルス【検閲】混入
1時間後ウイルス【検閲】の死滅を確認
実験記録4 『V190B 4』 を遠心分離
分離できず
合わせてフレンチプレスを行うも変化無し.
顕微鏡に映らないので断定できないが細胞破砕も起こっていないと思われる
実験記録5 『V190B 5』 へ【検閲】の【検閲】を利用した放射線照射
血液細胞の完全な死滅を確認
やったぞ!我らの勝利だ!!
……
26時間14分20秒後『V190B 5』の完全な復元を確認
案の定,記録映像に映っていないため正確な復元時間は不明.
(はぁ……どうしろって言うんだ...)
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追記
実験による興味深い副次的結果が得られる.
『V190B 1』 『V190B 2』 『V190B 3』 『V190B 4』 『V190B 5』 がそろって
重力に逆らい南南西の方角へ移動していたことが確認される.
それが【検 閲】に備わった能力であるのか,それともV190が持つ異能であるのかは不明
追記2
採血を担当した研究員【検閲】が
『V190 B』 に関する研究を即刻やめるべきである.さもなくば呪いを受ける.
と意味不明な提言を頻繁にあげてくる.
【検閲】処分とする
祟りが怖くて研究者ができるか.
―グスタフ・V・ヴァンゲンハイム