2015/09/30 - 20:49~23:32 のログ
ご案内:「訓練施設」にステーシーさんが現れました。<補足:猫耳の剣客。(乱入歓迎)>
ステーシー > 夕方。そして訓練施設の中。
であるにも関わらず、彼女の周囲には夜の闇が広がっている。
満開の桜の大樹の前に座り、左右には石灯籠。
ここはバーチャル・リアリティ・システムの内部。
異能や魔術を存分に試せる空間を提供する学園施設の一つ。
この中の何を破壊してもいい。
それだけの施設だが、学生に人気は高い。
ステーシー > 薄く瞳を開く。夜の闇の先にはごく普通の校舎の光が見える。
再び目を閉じる。瞼の裏の暗闇が世界を閉ざす。
今、自分はこの仮想の夜の中にいるのだ。
そして剣気を高め、斬る。
斬る。
斬る。
斬る。
全てを、斬る。
目の前を、桜の花びらが舞い散った。
ステーシー >
武士道トハ 死ヌコトト見ツケタリ
修羅道トハ 倒スコトト見ツケタリ
我 悪鬼羅刹トナリテ
目ノ前ノ 敵全テヲ――――
ステーシー > 斬る!!
ステーシー > 剣閃が二つ瞬く。
彼女の持つ刀、『旋空』が切り裂いたのだ。
何を切り裂いたか?
まず左右の石灯籠が半ばほどで両断され、落ちる。
次に彼女の前を舞う花びらが一枚、四分割される。
そして、彼女の背後にある桜の大樹が斜めに斬られ、音を立てて崩れ落ち―――――
ステーシー > その時、彼女の周囲を覆っていた闇が晴れた。
そしてプシューという気の抜けた音と共に管理者の教員が『時間です』と告げる。
夢の世界は終わりを告げた。
彼女は刀を鞘に納めてクールにVRルームを出る。
そこで鳴る腹の音。
ステーシー > 「おなかすいたぁ………」
VRルームの使用料は彼女の財布の大きな硬貨を一つ、消し飛ばしてしまった。
剣の修行のためとはいえ、夕飯代の七割が消失した計算になる。
「……今日の晩御飯、ジュース一本にしとこ…」
武士は食わねどなんとやら。しかし、腹が減ってはなんとやら。
ご案内:「訓練施設」にリビドーさんが現れました。<補足:黒い髪に、アメジストとエメラルドのような紫と緑のオッドアイ、黒いカーディガンを羽織り、頬に妙な模様。>
リビドー > 「お疲れ様。帰っていいぜ、エルピス。」
扉の中から出てくる推定黒い髪と栗色の髪の男女。
その内黒い髪の方がゆっくりとステーシーの居る方向へと歩き始める。
程なくして、ステーシーに気付いたのだろう。視線をやった。
「ふむ……。」
見ない顔だなと思ったのだろう。
やや物珍しそうに、眺めている。
ステーシー > 向けられる視線に気付いて右の猫耳をピコピコと動かし、相手を見る。
若い。学生だろうか?
そしてオッドアイとは珍しい。右頬に模様があるのよりもそちらが気になった。
「失礼だけれど、あなたは学生かしら、それとも教師かしら」
「それによって敬語を使うかどうか決めるのだけれど」
クールを気取って言ってみる。
基本的に彼女が気取っている時の態度は師匠の真似っこだ。
すぐに地が出るので意味はないのだが。
リビドー > 「ふむ。」
一度、翠と紫の瞳を落とす。
敬語を使うかどうかを身分で決める、と言っている。
どう答えようか、と思案して、間を置いて口を開いた。
「そうだな。まだまだ学ぶことの多い身だよ。
案外、キミの方が年上かもしれないね。」
瞳――視線を上げ、口元を緩めて少し笑う。
皮肉味を極力消して柔らかい声を響かせる。
ステーシー > 「そう」
短く切り返した。
そして相手を学生と認識した。
「私の名前はステーシー。ステーシー・バントライン、生活委員会で、怪異対策室三課よ」
「あなたの名前も聞いていいかしら?」
嗚呼、タメ口。人を見る目がゼロの女。
「今日は剣の技を磨くためにVRルー(グゥゥゥ)ムに来たの」
話している途中で盛大に腹の音が鳴った。
真っ赤になって俯く。
「今のは気にしないで頂戴」
リビドー > 「ステーシーだね。確かに覚えたぜ。
…… ん、そうだな。リビドーと名乗っているよ。
呼び方は任せるとも。ま、宜しくな。」
軽い調子で声を転がした。
決して見下す/小馬鹿にするようなようなものはなく、寧ろ懐っこいようなそれだろう。
「そうかい。さつまいもキャラメルなら有ったんだけどね。
なら、一旦は気にしないでおくとするよ。……ふむ、剣の修行か。
ボクも何人か剣士は知っているが、獣人の剣士は中々見ないね。それでも皆、独特な戦技を持っているから好ましい。
しかし、ふむ……怪異対策室三課か。そう言えば聞いたことがあるな。確か……」
記憶を紐解き思い出そうと、喉を鳴らして唸りながら思案を始める。
ふぅむ、と。
ステーシー > 「リビドー。変わった名前ね……ええ、よろしく」
相手の態度に気をよくしたステーシーはタメ口続行。
完全に学友と思って会話を進める。
「さつまいもキャラメル………」
完全に心を奪われる。だってさつまいもだよ? さつまいものキャラメルだよ?
顔を左右に振る。ここでねだったらクール台無し。
「…私の種族、フェルパーは剣客を目指す人も少なくないらしいけれど。この世界では珍しいのね」
「怪異対策室三課を知っているのかしら?」
胸を張り、尻尾を軽くゆらりと揺らしてから言う。
「怪異との戦いを目的に設立された私設組織よ。規模は小さいけれど……」
リビドー > 「ああ。オブラートに包まれた、甘くおいしく仕上げつつもさつまいもの風味もちゃんと残った、美味しいキャラメルだよ。」
くす、と、笑ってみせて誘いを掛けてみる。
実際美味しい。気を良くした素振りには、彼にとっても好ましいのか言葉を転がす。
クールな素振りこそ見せているものの、時折見える素のような仕草が愛らしく思えば、自然と笑むように目を細めた。
「フェルパー……ふむ。キミ達の種族は、己が恵まれた身体を鍛えながらも道具――
――知と技を以って獲物を扱う武芸を学び、武錬を究める一族なのかな。
想像する限りだと、求道者と言う感じがするね。
……あくまでもボクが見た限りは珍しい、と言うだけであるからあ。
案外ボクの見識が狭いのかもしれないが。」
怪異、と、その単語を改めて聞けば思案は止まる。そう言えば。
「蟻人、だったかな。ボクはあまり詳しくしらないけれど、そのような勢力を撃退したと聞き及んでいるよ。」
ステーシー > 「美味しいキャラメル………」
ぐう、とお腹が鳴った。
もう我慢の限界である。
「ひ、一粒ください……」
こんな時だけ敬語。普段口にしている野良猫の矜持はどこへ。
「………剣客を目指すフェルパーもいる、と聞いているだけなの」
「実際は私は物心ついた頃にはストリートチルドレンだったし」
「私以外のフェルパーを見たことがなかったから」
蟻人の話を聞けば我がことのようにふんぞり返る。
「桜井雄二先輩が倒したA級怪異災害ね、最近じゃ侵攻もめっきり減ったという話だわ」
「種族間の戦争に正義も何もないけれど、この世界の平和を侵す者が倒されるのはグッドニュース」
リビドー > 「箱ごとあげるよ。お近づきの印だ。
それでも1粒で良いと思うなら、食べたそうな誰かにあげるといいさ。」
"ぶっちゃけてしまえば一人で食べきるには時間も掛かる"と、
どこかおどけるような軽い素振りを作って見せてからさつまいもキャラメルの箱を投げ渡す。
変な投げ方はしないので、取ろうと思えば致命的失敗でもしない限り取れるだろう。
「そうかい。それは悪い事を聞いてしまったかな。
ステーシーが気にしているかどうかはともかくとして、同情を覚えてしまうのは流石に無慮かな。しかし、ふむ……。」
誇らしげに蟻人の話――
――ひいて"桜井雄二先輩"先輩の話を交えたそれを確かに聞く。
時折の相槌こそ打つものの、喋り終えるまでは静かに聞いているか。
「ま、そうだな。結局、互いにお前は相容れない敵だと思ってしまえば話しあいも何もない。
……とは言え、此の島に住まうものとしては同意だぜ。
ただ、そうだな。平和を侵すものが倒された事を喜ばない奴ってのは、どんな奴なんだろうな。」
ステーシー > 「にゃあ!!」
投げられたさつまいもキャラメルの箱に飛びついた。
ハッとして自分のはしたなさを認識した猫娘。
「………ありがとう、リビドー。いただくわ」
顔を赤くしながらキャラメルを食べた。美味しい。風味抜群、滋養豊富な感じ。
「……いいの。私、剣の師匠に拾われてから幸せだったもの」
「その思い出さえあれば過去も乗り越えられる」
ぺらぺらと伝聞の蟻人の話を喋り続けるステーシー。
それがひと段落する頃に、リビドーの言葉。
「………それは…平和で不都合がある存在? 武器商人とか、違法薬物の売人とか」
「もしくは………本当の悪、とか」
「本当の悪かぁ……自分で言ってなんだけれど、実感がわかないわね」
リビドー > 「おや、可愛い。
でも見なかった事にして置いた方が良いかい?」
悪戯げに笑ってみせつつ、食べる姿を眺めています。
美味しそうに食べている様子を見れば、どことなくリビドー自身も嬉しそうです。
「剣の師匠、か。良い師匠に拾われたみたいだね。ステーシーを見ているとそう思う。……で、そうだな。
争いごとが有るような平和じゃない世界の方が需要を満たせる奴にとっては、あった方が良いだろうな。
その通りに武器商人、違法薬物の販売――
――後はそれらの流通元だ。武器や兵器を開発する様な研究員もそれに当たる。」
柔らかい声色から一転。脅かすように、シリアスのような重いトーンの声を発する。
が、次の瞬間にはさくっと調子を戻してみせた。
「なんてな。しかし、そうでなければ本当の悪か。
……正義とは何かすら哲学されるような人の世では、本当の悪は曖昧なものになってしまうのかもしれないな。
悪の定義こそ数あれど、だ。いや、数あるからかな?」
ステーシー > 「………見なかったことにして……」
赤くなりながらキャラメルもぐもぐ。美味しい。
「ええ、私の師匠……リルカ・バントラインに人間らしさと剣技を学んだの」
難しい表情をして相手の話を聞く。
「流通元………研究員…………」
もし、そんな奴がいるのであれば。
戦うに値する悪。
重くなった空気を吹き飛ばすリビドーの口調にどこか安心して。
「……完璧な悪なんて存在しないのよ」
「完璧な絶望が存在しないようにね」
ふと、目を細めてその言葉を口にする。
「花には水を、鳥には空を」
「荒野に希望を、罪悪(あやまち)に裁きを」
「……師匠がよく言っていたわ」
リビドー > 「ははっ、そうするよ。
……ふむ、名前からして師匠は女性のお方かな。
キミの人間らしさは彼女から受け継いたものなのかい。ふむ。」
少しの沈黙。また何か思案しているのだろう。
ともあれ空気が変われば、小さく頷いてみせ。
「完璧な絶望、か。――ああ、そうだな。
結局"完璧"な悪、いや、完璧なんてものは存在しないと思っておいた方が良いとボクは思う。
……所で、その言葉は何かの一節かい。ただ言葉を並べたにしては響きが良い。
それとも、お師匠さんは詩や歌を嗜んでいたのかな。」
……とは言ったものの、恐らく気持ちや理念を言葉にしたものだろう。
歌や句ではなく流派としての箇条か――なんて思案こそもあるものの、
折角なので聞いてみる事にした。師匠の人となりも気になるといえば気になる。
ステーシー > 「そうなの……師匠は綺麗で、優しくて、強くて、怖くて、強くて、怖くて………」
「……家出から帰ったら殺される…………」
どんよりした表情で肩を落とした。
「完璧が存在しないのであれば、不完全な世界ね」
「そんな世界が好きなのだけれど」
小首を傾げると耳がふにゃんと曲がる。
「さぁ? 師匠はよくわからない言葉を知っていたし、歌のようでもあるけれど」
両手のひらを上に向けて肩を竦める。
「お師匠様、言葉の意味を聞いても素直に教えてくれないことが多くて…」
「いつかわかる。の一点張りだもの」
「私のことばかり話してしまったわね……リビドーは何年生なの? 部活なんかに入ってたりする?」
リビドー > 「ははっ、そりゃ大変だ。
上手いこと帰れる事を祈っておくとも。
――ふむ。」
この世界を"不完全な世界"、彼女は評した。
哲学を学んでいる風には見えなかったが――
「そうだな。不完全な世界だ。ボクもそんな世界が好きだよ。
とは言え、恵まれているからそう言えるのかもしれないな。」
この世界は不完全だと云い、その不完全な世界を嘆き、不完全な世界に閉じ込めた神を恨むような主義の輩も居る。
其処に恨みを向けるなど見当違いも甚だしいなどと一蹴出来るものであるといえばそうだ。が、
事情はどうあれ、彼らがそれ程までに恵まれていない。あるいは恵まれているのかもしれないが彼らに取っては不十分――
――存在しないとされている"落第街"を脳裏に浮かべれば、瞳と口を閉じた。
此処で区切らねば、ややこしい話になりそう故に。
少し間を置いて目を開く。曲がった耳が見えた。
曲がる仕草を見損ねたなと、気を変えるように内心で呟いてから、口を開く。
「いつかわかる、か。理知ではなくセンス寄りの師匠でもあるんだな。
……ん、ああ。部活には入っていないよ。"学生証"も持っていない。」
ステーシー > 「……上手く帰れたらこの刀持ち逃げしたことから謝らないと………!」
相手もこの世界が好きだというと、ステーシーは微笑む。
「恵まれているかも知れない。私、ちゃっかり日本の国籍を得て名前ももらったしね」
「星薙四葉。それが私のもう一つの名前。この世界とのつながりの一つ」
四葉と名乗った少女は目を細める。
この世界を好きな人間同士、仲良くなれそうな気がしていた。
「そうそう、センス寄り。錆びた刀で岩を斬れとか剣気だけで滝を逆流させろとか永久氷晶を木刀で砕けとか無茶振りばっかり」
「ふーん、部活には入っていない。学生証も持っていな……」
あ、先生だこれ。教師だこれ。
「…………す、すいませんでしたリビドー先生……………」
リビドー > 「星薙四葉。良い名前じゃないか。
確か、四葉のクローバーは幸運を呼ぶ、だったかな。実に縁起が良い。」
うん、うん、と二度なずく。
彼女へ何処か好ましそうな視線を向け――あ、気付いた。
「――ふむ。落第街の存在や、違法な研究員とは思わなかったのかい?
生活課に身を置くのならば、キミもそう云うのが無いことは知らないだろう。
ま、構わないよ。
露骨に生徒か教師で態度を変えると言ってのけたキミが可愛く思ったのも事実だし、
たまには"ボクも対等に接して欲しかった"ものでね、ちょっと意地悪をしちゃったな悪い事をした。」
――やや声のトーンが落ち込んでいるのは、後ろめたさから来るものだろうか。
いずれにせよ、罪悪(あやまち)を詫びるような所作と声を見せた。
ステーシー > 「……気に入っているんです、四葉って名前も」
急に敬語を使い始めるスタイル。
「落第街の人間がこんな職員がしっかり管理している場所に顔を出すとは思えませんし」
「違法な研究員にしてはこう……思想がまともだと思いまして…」
涙目で両手をぶんぶんと左右に振った。
「すいません! すいません! 私が最初の態度間違えた感じです! ごめんなさい!」
「先生がこう……若く見えるので…学生かと……!!」
勢いよく頭を下げる。
「ごめんなさい、それとキャラメルありがとうございました!!」
鞘と猫尻尾を揺らしながら、居た堪れなさに耐え切れず走り去っていった。
ご案内:「訓練施設」からステーシーさんが去りました。<補足:猫耳の剣客。(乱入歓迎)>
リビドー > 「ははっ。一粒で二度美味しいとはこの事かな。
――ああ、また会おう。ステーシー。」
急に敬語を使い始めて、しどろもどろなステーシーの調子を見れば楽しそうに笑う。
意地悪な笑みを浮かべていたものの、走り去ってしまうのならばそれを見送って。
「ま、違法な研究員って言うのは……
……今のところセーフだと思いたい所だぜ。」
今のところはであるものの、溜息とともに一つ呟く。
少なくとも、ノータイムでしょっぴかれる事はやっていない、筈。
扱いに注意の要るような、危険な技術を取り扱ってないとは言わないが――
「さて、ボクも帰るとしよう。」
視線を出口のある方へと向ければ、ゆっくりと歩き去った。
ご案内:「訓練施設」からリビドーさんが去りました。<補足:黒い髪に、アメジストとエメラルドのような紫と緑のオッドアイ、黒いカーディガンを羽織り、頬に妙な模様。>