2016/06/19 - 09:50~12:22 のログ
ご案内:「異邦人街」にステーシーさんが現れました。<補足:余所行きの服装。そして帯刀していない。>
ステーシー > ステーシー・バントラインは困っていた。

何故、困っていたのか?
それはたまに私服で異邦人街を歩いていたら不良たちに絡まれたからだ。

何故、そんなことになったのか?
それはチェシャ……いや、ブランシュという知り合いに選んでもらった服をたまには着てみようと思い、装備(本人にとっては装備だ)して外に行ったら、なんか絡まれたのだ。

いつもこんなことになっているのか?
それは違う。間違いなく、服がお嬢様っぽさを見せかけているだけで本人は普段、男性に絡まれることなどない。

とにかく困っていた。

『ねぇねぇ、そこに喫茶店あるから一緒に行こうよー』
『キミ可愛いよね、猫耳って珍しいしさ…』
「あ、あの……」
『奥手だー、お兄さんたちがお金持つからさ、今日は遊ぼうよ』

困った。

ステーシー > こんなチャラチャラした人たち、本来なら一太刀だが。
今は帯刀していない。
この服の時には、戦いを忘れたかったというのもある。
困った。
そもそも悪いことをしているかどうかわからない、ただしつこいだけの不良ズに抜き身の刃を向けるつもりもないけれど。

『あのさ、俺らしか知らない良-い場所あるんだよ、どう? 行かない?』
「ええと……また今度というわけには…」
『えー、いいじゃん。行こうよ、今日は日曜じゃん』
『その服、暑そうだよね、平気なの?』
「えー……そういう種族だから暑いとか寒いとかは平気…」

顔が引きつっている。
助けて旋空(普段持っている刀)。

ご案内:「異邦人街」にメグミさんが現れました。<補足:風紀委員。黒のミディアムヘアに黒目。風紀委員の制服の上から魔術の意匠のある外套を羽織っている。>
メグミ >  
 カツン、カツン、カツン、カツン――
 あえて地を踏み均すような、威圧めいたローファー靴の響きが不良たちへと迫る。

 そうやって3歩前まで近寄れば睨んでみせ、脅すような怒気を混ぜて言い放った。

「風紀委員の者ですが。」

 ただただ簡潔に所属のみ告げる。 
 それ以上は敢えて言わぬ。言わぬ事で畏怖と罪悪感を煽る。
 
 

ステーシー > 人通りが少ない路地にあってその靴音は響く。
その方向を向いたステーシーと不良たちは、息を呑んだ。

『お、おい。風紀委員だ、やばいよケンちゃん』
『怯むな、俺らだって異能持ちだぞ……!』
『で、でも……』

顔を見合わせる不良たち。
その隙にステーシーはメグミに対して声を張り上げる。

「絡まれてるの! 助けて風紀委員さん!」

不良の中心人物が、それを聞いて頭に血が上る。

『あ、てめぇ!』

不良がステーシーの襟を掴む。

メグミ > 「それでは」
 
 助けを乞う声。
 激昂し眼前で襟を掴む不良の一人。
 察知すれば手早く道具を取り出す。

 少女の足元から幾何学的な術式のような紋が広がる。
 少女の左手には無骨なスマートフォンが握られ、電子音を響かせる。
 少女の右手からは牙のようなものが落ちる。
 少女の声は重なって聞こえる。 

 《Summon・Minidragon》
「会話の余地なしと見て宜しいですね?」
 
 その言葉を皮切りに、人気の少ない路地を圧するような気配が顕現する。

 術式から這い出る真っ黒な触手群のような何か。
 透き通る水の体が艶めかしい、豊満なボディのスライム娘。
 武器を持つ5体のスケルトン。
 そして、大凡全長1.5m程の小さな竜。

 右指を繰って、ステーシーの襟を掴んだ不良を指差し示す。
 そうすれば黒い触手群がそれの四肢に群がり、余す所無く縛り上げに掛かるか。
 
 

ステーシー > 『うわっ……!?』
ステーシーの襟を掴んでいた不良が全身を触手に拘束され、倒れこむ。
『なんだこりゃあ!!』
『ケンちゃん!!』
『ヒロくん、タカちん! こうなったら全員で異能を……』

三人が声を揃える。

『鋏の……切れ味を倍化させる異能!!』
『ト、トランプを高速で射出させる異能…!』
『五円玉を目の前で45秒揺らしたら相手を洗脳できる異能っ!』

それぞれが叫ぶ。
異能の効果を説明したわけではない。
異能を叫びながら発動させることで、精神的昂ぶりから異能の効果を高める手法だ。

だが。
だが……

この状況で一体、それらが何の役に立つというのだろう?

風紀が召喚した異形たちを見てヘヘヘと乾いた笑いを浮かべる不良たち。

『すいませんでした……』

三人が異口同音に謝罪の言葉を口にした。

 

その様子を見ていたステーシーが、目を丸くして。

「ありがとうございました、助かったわ」

お礼の言葉を口にする。とりあえず友人と一緒に買った服が汚れずに済んだ。

メグミ >  
 
(発声によるルーチンの形成、
 あるいはトランス状態に移行する儀式でしょうか。
 ……最後の一人の異能は気に掛かりますが、どうにか穏便に持って行けそうですね。)

 降伏の意を受け取れば触手に因る拘束も解除し、
 全てのそれを後ろに控えさせる。

「宜しい。……そちらの方、彼らをどうします?
 事件として彼らを取り上げても良いですし、厳重注意だけで済ませても構いませんが……」
 

ステーシー > 三人の不良が地面に正座して沙汰を待つ。
そしてメグミの発言に縋るような視線をステーシーに向ける。

ステーシーはぱたぱたと両手を振って。

「特に何かされたわけでもないので、今回は厳重注意でお願いします」
「ただ、もうこんなことをしてはダメよ、反省しなさい」

不良たちは寛大な言葉を聞きながらも、猛省と共に項垂れた。
まだ召喚された怖いナニカが後ろに控えているのもあるが。

メグミ > 「承知いたしました。」

 見てくれが危うい触手とスケルトン?のみを送還する。
 念のため、小さな竜とスライム娘は残しておく。

「では、今回は厳重注意と致しましょう。
 学生証の提示は……一応お願いします。簡単な照会はしますが、偽造でなければ記録はしません。
 さしあたっては、そこのスライムちゃんに渡してください。」
 
 指示を一つ繰って、豊満なスライム娘を不良たちに近づける。
 学生証を一旦渡すように求め、一度預かれば無骨なスマートフォンで読み込む。
 本物かどうかと起こしたトラブルと犯罪の歴だけ読み取って、同じようにスライム娘に預けて返させるだろう。

「これに懲りたら、無理強いのナンパはいけませんよ。」
 

ステーシー > 『くっそー……もう足を洗う時期かもなー…』
『スライムいい…』
『ケンちゃん!?』

三人が口々に何かを言いながら学生証を提示する。
しょうもない事件を何度か起こしているようだが、休学にはならない程度のものだろう。

『わ、わかりました……もうしません…』
『す、すいませんでした!』
『それじゃ僕らはこれで……失礼しました!』

学生証をスキャンの後返してもらった途端に、不良たちは小走りにその場を走って去っていく。

残ったステーシーはメグミに頭を下げる。

「本当に何とお礼を言ったらいいか…私は生活委員会…」
「そしてその下部組織である怪異対策室三課のステーシー・バントラインよ」
「ああいう手合いに絡まれたのは初めてで本当に困っていたの」

尻尾をゆらりと左から右に振って顔を上げる。

「あなたの名前を聞かせてほしい」

メグミ >  
 見送った後に道具を仕舞い、
 呼び出したものにも帰って頂く。
 
 一息ついた所で名乗りを聞けば思い至る節があるらしく手を合わせる

「生活委員会の怪異対策課……ああ。あの。
 貴種龍が出現した事件を切欠に設立された、"風紀でも公安でもない"武力を持つ委員。
 ――故に"法"や"秩序"に囚われず、純粋に人に危害を成す怪異と戦ってみせる委員。
 少なくとも私個人は、貴方達の事は尊敬しております。」

 それこそ敬う様に、大きく頭を下げた。
 
「風紀委員神秘対策課二年生、メグミです。姓はありません。
 風紀委員の中でも、神秘的・霊的な超常にまつわる問題を取り扱う課として働いております。

 ……半年前に復帰したばかりの病み上がりですので、留年しちゃたのは内緒です。」

 丁寧に名乗りを返した後、
 最後はちょっと茶目っ気を出しておどけてみせる。
 

ステーシー > 頭を下げられると、顔を赤くして慌てて。

「そっ、そんな……組織や先輩方はともかく、私はそんな大層なものじゃ…」
「あ、頭をあげて頂戴。私、不良も追い払えない女なのだから…っ」

顔を真っ赤にして変な風に慌てた身振り手振りをして、こっちも頭を下げた。

「メグミね………よろしく」
「あら、神秘的霊的な超常に関わるのなら私たちとも縁がありそうね」
「……ご病気だったのかしら、今はもう大丈夫なの?」

相手の話しやすい雰囲気に、安心しながら右手を胸に当てる。

「この服は、友達に選んでもらったものなの。だから、汚れたりしたら大変だったわ」
「スマートに解決してくれて助かったわ、何度目間なるけど改めて。ありがとう、メグミ」

薄く微笑んで、相手に感謝の意を伝える。
相手の名前を知ってからのお礼は、また別物だ。

メグミ >  
「いえ、風紀でも公安でもない位置に立ち上げたのは、 
 不満を解消する意味でも英断だと思いますから。その意味でも。」

 頭を上げれば、くす、と、柔らかく微笑んだ

「では、今はそういう事にしておきましょう。
 ……見た所、今日は遊びにお出かけしているみたいですし。」

 慌てる仕草や揺れる猫耳が可愛らしかったのだろう。
 揶揄うように声を転がす。

「ええ。今は問題なく。……ちょっと無茶をし過ぎただけです。
 その、独断でドラゴンの類相手に無茶しちゃっただけですから。自業自得です。」

 一転してばつが悪そうに頬を掻きながら視線を逸らす。
 どうにも苦いものが在るのだろう。

「はい。ここでご縁を結べたのは嬉しいですね。
 今度、美味しいアイスクリームでも差し入れに行きますから。
 ……お友達に見立てて貰った服なんですね。
 ふふ、お人形さんみたいに可愛くて、とても似合っていますよ。ステーシーさん。」
 

ステーシー > 「……そう、なのかも知れません」
「割と最近こちらの世界に来たばかりで、この学園のパワーバランスをわかっていなくて」

申し訳なさそうに言う。
実際、半年以上ここにいるのだからもう少し理解していてもいいのだろうけれど。

「ええ。この近くに住んでいて、今は遊ぶためにぶらついているのだけれど」
「…事件に巻き込まれてしまってもう昼よ」

頬を膨らませて言う。
とんだ時間の浪費だ。

「……ドラゴンに…」

メグミもドラゴンと戦ったのか、とか。
どうだったのか、とか。色々聞きたかったのだけれど。
初対面で聞くには、相手の表情に苦い記憶を感じ取って踏み切れない。

「ええ……! わ、私が可愛いというのは、その、言い過ぎではなくて?」
「あ、お世辞、お世辞なのね。フフン、私としたことが本気にしてしまったわ」
「あー……アイスクリーム、今から食べに行かないかしら」

にっこり笑って。

「今から。二人で。おごったりおごられたりは、気を使うからナシで」
「美味しい店を知っているの、ここらへんは私の庭だから」

そこまで喋ってから、一方的に自分が話していることに気づき、上目遣いで。

「……ダメ、かしら。仕事中…よね」

メグミ > 「いえ。ぶっちゃけ私も言う程分かっていませんし。
 それにどうしても、その辺を抜きでも腰が重くなる所は有りますから。」

 気にしないで、と意を示しつつ。
 ややこしい話は置いておこう。 

「……そう言えば、もうお昼ですか。
 いえ、まだまだお昼ですよ。遊べます。」

 と、小さくガッツポーズを取って見せながら前向きに言葉を投げる。
 いわゆる、ふぁいとっ。

「結局、滅ぼす事は出来なかったんですよね。
 どういうものか見定める余裕もなかったですし、送り返すだけで精一杯で。」

 少しだけ、少しだけであるが記憶を零す。
 忘れてはいけないと思っている故に、記憶から逃げない。

「本気ですよ? 写真撮ってもいいです?
 ――ええ。私で好かったら是非とも。休日でもありますから、その位の都合は付けられましょう。
 そうでなくても、ステーシーさんが言う美味しい店、私気になりますから。」

 楽しそうな笑みで即承諾。
 業務に対して堅すぎる性格と言う訳でもなさそうだ。
 
 

ステーシー > 「もうお昼、じゃなくて……まだお昼、ね…」
「そうね、生活委員会の仕事も怪異対策室三課の仕事もない、せっかくの日曜日だもの」

相手に合わせてガッツポーズ。
私達の日曜日はこれからだ。

「……送り返す…ドラゴンを完全に滅するには、どうすれば…」

そこまで喋って、自分が課題に追われていることを自覚する。
ワーカーホリックはいけない。今は龍よりアイスクリームだ。

「え、ええ。写真を撮るくらい構わないのだけれど? 可愛い角度で撮ってほしいのだけれど?」
相手の快諾に、嬉しそうに笑って。
「そう。じゃあ行きましょう、ここから近くにあるのよ」
「黒蜜黄な粉のが一番のオススメでね…?」

そう言ってメグミを連れて大通りに戻っていった。
二人でスイーツを、日曜日を楽しむために。

メグミ >  
「……完全に滅ぼす、ですか。
 ドラゴンがどのような存在かにもよりますが……いえ。」

 今はドラゴンよりアイスクリーム。
 乙女にとってはアイスクリームはドラゴンより強いのだ。

「ふふ、それではアイスクリームを食べている隙を狙っちゃいましょうか。なんて。
 ……黒蜜黄な粉。黒蜜黄な粉。涼しげで良いですね。それにしましょう。
 もう一つか二つぐらい頼むかもしれませんけれど。」

 甘い話に華を咲かせる。
 楽しげに会話を弾ませながらステーシーに連れられて行きます。

 ――それはもう、スイーツに溢れた楽しい日曜日を堪能した事でしょうか。
 少なくとも、メグミにとってはそうであった事でしょう。
 

ご案内:「異邦人街」からメグミさんが去りました。<補足:風紀委員。黒のミディアムヘアに黒目。風紀委員の制服の上から魔術の意匠のある外套を羽織っている。>
ご案内:「異邦人街」からステーシーさんが去りました。<補足:余所行きの服装。そして帯刀していない。>