2016/07/16 - 23:24~01:29 のログ
ご案内:「職員室」にヨキさんが現れました。<補足:人型/外見20代半ば/197cm/黒髪金目/黒地にオンラインFPSの白抜きロゴTシャツ、グレーのつなぎ、黒ハイヒールブーツ/【恒常的な餓え+首輪なし】>
ヨキ > (あるひとりを除いて)何を食べても腹が満たされなくなった。
腹が膨れないならばと、毎食のメニューの量が減った。

食べる量が少なくなると――結果的に。休憩時間が増えることとなった。

昼休みの職員室。
人並みの日替わり定食を早々と食べ終えたヨキが、自席で居眠りをしている。

チャラいTシャツにつなぎ姿で椅子の背凭れに寄り掛かり、顔が天井を向いている。
唇が薄く開いてはいるが、息をしているのかどうかよく判らない。
土気色の肌と相俟って、見ようによっては死体だ。

だがこれまでの夏と違って、今年のヨキの首にはあのごてごてと重々しい首輪がない。
生白い首筋に喉仏が浮かんだ格好は、なかなか衆目に晒されることがなかったものだ。

両腕を緩く組み、垂れた耳の陰からはイヤフォンのコードが伸びている。
イヤフォンは机上のスマートフォンにつながっており、ラジオの音楽を流しているらしい。

上を向いているがために、大きな犬の耳もわずかに斜めに垂れ下がっている。
人間と同じ形の耳たぶや、耳の穴が垣間見えているのもまた珍しい。

つまりヨキは、それくらい疲れていた。

ヨキ > 職員室にはちらほらと教師の姿が見えるばかりで、至って静かだ。

空調の利いた室温に、ヨキの寝顔も大人しい。
時どきむにゃりと唇を動かす様子で、辛うじて生きていることが知れる。

楽曲が切れ間なく流れるインターネット・ラジオはつくづくBGMに最適で、
スマートフォンのアラームをセットした時刻まではそうそう目覚めそうにない。

どんなに疲れていても、髪や肌の手入れと目元の化粧だけは欠かさないのがこのヨキだった。
たとえ丁寧に見た目を整えることが、一層死化粧めいてしまうとしても。
汚いよりは、綺麗な方がましというものだ。

ヨキ > 不意に知った曲が流れ始めて、徐に目を開く。
しばらく人とも獣ともつかない、茫洋とした眼差しで天井を見上げる。

そうしてじわりと灯が点るかのよう、金色の瞳に理性が戻る。

アラームを設定した時刻には、まだいくらかの猶予があった。

「………………、目が醒めた」

流れているのは、十年も前に人気のあったナンバーだ。
まだテレビも音楽の楽しみも知らぬ頃、よく流れていた曲だった。

ヨキ > 頭をくしゃくしゃと掻いて、目線を机の上へ引き戻す。
肘掛けに腕を置き、腹の前で指先を組み合わせた姿勢のまま、
とろけるような半眼でぼんやりとしている。

ヨキにとって、音楽ほどの毒はない。人間の歌声ならば尚更に。
声の創り出す抑揚は、ヨキの耳と身体を縛り付けて止まない。

のろのろと手を伸ばす。

スマートフォンのアラームだけを解除して、音楽は引き続き流しっぱなしにする。
その音量は随分と小さかったが、ヨキの耳にはひどく明瞭に響き渡っているかのようだった。

ヨキ > 机に突っ伏すようにしながら、スマートフォンの画面に触れて音楽を止める。
それだけの動きが随分と、ヨキにとっては過酷なものだ。

ヨキにしては弛緩に過ぎるとさえ見える体勢で、しばらく深呼吸して意識を整える。

ふっと顔を上げれば、もう元通りのヨキ――ともゆかず、
その目はいつになく眠たげだった。

ぱしん、と音を立てて、自らの頬を叩く。
午後の仕事へ出てゆく前に、水道で顔を洗って目を醒ますこととする。

ご案内:「職員室」からヨキさんが去りました。<補足:人型/外見20代半ば/197cm/黒髪金目/黒地にオンラインFPSの白抜きロゴTシャツ、グレーのつなぎ、黒ハイヒールブーツ/【恒常的な餓え+首輪なし】>