2016/09/29 - 23:34~02:03 のログ
ご案内:「教室」に化野千尋さんが現れました。<補足:黒いセーラー服。>
化野千尋 > 「あ、すみません。
あだしの、少しだけ残っていきますねえ。」
「そっか、バイバーイ」と複数名の女子の声が響く。
夕陽の差し込む教室には、その日、化野千尋しか残っていなかった。
鞄の中から、図書館で借りてきた本をドサっと机の上に置く。
暫く化野は、真面目に本やノートと向かい合っていたが、
集中力は長く保たないのかすぐに傍らのペットボトルに手を伸ばす。
途中、ペンを回したり考えている素振りを見せるも、実際のところは
あまり理解できていないように見える。
申し訳程度に、ノートに几帳面な楷書体がサラサラと書き込まれる。
ページを捲る音が響く。
ご案内:「教室」に烏丸秀さんが現れました。<補足:着物を着た学生>
化野千尋 > 積まれた本は、全て魔術に関連するものだった。
元素魔術とは。わかる現代魔術。ルーンの基本から学ぶ。
図書館の手に取りやすいところに並んでいる入門書が大量に積み上げられている。
図書委員に担当生徒に深々と頭を下げて、無理を言って借りてきたものだ。
ノートにまた文字が増える。
「魔術に似た概念に、呪術がある。」
「……どう読んでも、似ているように思えないのですけれど。」
静かな教室で独り言ちる。
そして、手元に広げていた本をぱたんと閉じてまた次の本へと手を伸ばす。
烏丸秀 > 「あ、いたいた」
ひょっこり教室に入ってきた生徒。
烏丸は、目当ての人物を見つけると、嬉しそうに近寄る。
「や、千尋ちゃん」
特に何をしに来たわけでもないが。
一度知り合った女の子には、きちんと粉をかける。
ナンパの基本である。
化野千尋 > 「わ、からすまさん!
こないだぶりですねえ。お元気ですか?」
開きかけた本を閉じる。
「黒魔術基礎概論」。異世界のものと関わりの深かった魔術師の著書であった。
「もしかして忘れ物でも?
あだしのでよければ、一緒に探しますよう。」
本をドサドサと積み上げて、きょろきょろと周りを見回した。
烏丸秀 > 「忘れ物じゃないよ」
へらへらと笑いつつ、近づく。
まったく、無防備なことこの上ない。
「ほら、ボクって特に特技も無い一般学生だからさぁ。
ちょくちょく顔出さないと、忘れられちゃうと思って」
などと言いながら、彼女の近くへと座る。
魔術関係の本を見ているようだが、まぁ烏丸には関係無い物だ。
なにせ、魔術の才能などからっきしである。
化野千尋 > 「そんなことないですよう。
あだしのは記憶力には自信がありますから!
忘れ物がないのなら、それはそれでよろしーでしょう。
といっても、からすまさんは忘れ物、しなさそうですけどねえ。」
ぐぐ、っと腕捲りをして自信満々を示すポーズ。
任せてください、と言わんばかりにゆるりと微笑んだ。
「からすまさん、最近おすすめのおもしろいこととかってありますかあ。
噂話でも、からすまさんの周りのおもしろいひとの話でも。
おもしろい現実のお話、あだしのは興味津々でして。」
おとぎ話をねだる子供のように、純粋に彼の顔を覗き込む。
烏丸秀 > 「それなら嬉しいなぁ。
ボク、忘れられるのが一番きついんだよねぇ」
ふふっと笑いながら言う。
事実、忘れられるとすごく凹むのだ。
「ん、最近面白い事?
そうだねぇ、ボク、人生全力で楽しいし。
おもしろい事ならいくらでもあるけど」
何がいいかなー、と指折りして数えつつ。
とりあえず、知り合いの性悪軍師の話でもしようか。
化野千尋 > 「そうですね――」
思わせぶりな間を作って。
特に何があるわけでもないのだが、少ししてふんわりと笑う。
「この学校の中でのお話に限定させてもらっちゃいましょうか。
いくらでもあるものの中から、もすこしだけあだしのの傍にあるもので。
どの先生とどの先生がいい雰囲気だ、とか。
あの委員会が最近大変そうだ、とか。なんでもよろしーので!」
机に肘をついて、楽しげに笑った。友達との放課後の談笑タイム。
実に普通の学生らしいシチュエーションに、化野は一人大満足の様子であった。
烏丸秀 > 「あー、この学校限定ねぇ」
うーんと考えつつ。
「あ、そうそう。
ある授業で新記録を打ち立てたよ。
ほら、なんと得点、12点」
先生からの評価を見せる。
まごう事なき最低点数である。
「いやぁ、先生の課題はこなしたんだけどね?」
化野千尋 > む、とやや不機嫌そうな表情を作ってみせる。
「からすまさんって、勉強できないんですか……?」
てっきり、勉強は得意なのかと――と、言葉は続く。
言ってしまえば、あまり喜ばしくないギャップに困惑する。
12点。一体何をどうやったらそんな惨状になってしまうのか。
「勉強が出来ないのは、よろしーことでもおもしろいことでもないですよう。
学生の本分は勉強ですから。しっかり学ばないと社会に出て困りま――……」
こく、と首を傾げた。
社会で順風満帆に物事を為す烏丸に言う言葉として正しいのか、という疑問を感じていた。
「困りますよう、きっと。」
烏丸秀 > 「うーん、勉強というか」
見せた評価は特別授業のもの。
魔術による諜報の課題である。
「まぁ、ボクはほら、先生からの評価は良くないからねぇ。
でも、この点数でも先生の講評は『見所あり』なんだよねぇ」
変な授業で有名だが、最低点数でこの評価も珍しい。
ま、授業で評価しきれる部分ではないという事だろう。
「千尋ちゃんは、勉強できるの?」
化野千尋 > 「うむむ……ちょっと見せていただいても構いませんかあ。
『見所あり』、なんですよねえ。
……! あ、これ。さては普通の問題じゃないですねえ。
なんだか女の子たちが話していたの、聞いたような気もします。」
記憶力には自信がある、というのはどこにいってしまったのやら。
じいっとその評価の全体を見て、見覚えのある名前の教師が担当する教科であることに気付く。
「この授業って、難しいって評判のやつじゃないですか。
それに、『見所あり』、なんてなかなか拝めないものだと思うのですが。
……魔術はからきしなのに授業を取ってる辺り、からすまさんは変な人ですよねえ。」
ううむ、と考えこむようにして顎に手を当て。
次いだ質問には、あはは、と薄い笑いが零れた。
「得意でもなければ、苦手でもないんですけれど。
普通よりは出来ないほうにはいるのではないでしょーか。
なので、こうやって居残りで勉強しないといけないんですよ。」
烏丸秀 > 「んー、魔術はからっきしなんだけどね」
くくっと笑いながら言う。
まぁ、確かにからっきしではある。
「でもね、魔術『でしか』できない事って、少ないじゃない。
ちょっと工夫すれば、魔術じゃなくても同じような事ができたりするもんだよ」
そう、少しの工夫。
それが、烏丸の唯一の武器である。
「ん、そう?
結構勉強できそうだけどなぁ、千尋ちゃん。
今度のテスト前は期待してたんだけど」
けらけらと笑いながらからかうように。
化野千尋 > 「たしかに、」
ぽん、と小さく手を打つ。
「そうですねえ。」と納得したように何度か頷いた。
「例えば火の元素魔術が使えなくても、あだしのもマッチさえ持っていれば、
魔術と同じようなことができる、ってことでしょーか。
それでも、どうしても魔術『でしか』できないことをしようと思うと、
難しいのかもしれませんけれども。」
工夫、工夫、と。繰り返し口遊ぶ。
そして、いいことを思いついた子供のように目を輝かせる。
「風の魔術が使えなくても、扇風機がある、みたいな!」
笑い声には、苦笑を返す。
生憎と、化野は勉強が得意でなかった。
得意でない、というのも、ひとつのことに集中していられないのだ。
興味が二転三転、あっちへいったりこっちへいったりしてしまう。勉強には向かない。
「ところで、からすまさんはなんでその魔術の授業をお受けに?
魔術『でしか』出来ないことを、しようとしてらっしゃったのでしょーか。」
烏丸秀 > 「あはは、扇風機はいいねぇ。
でもそう、そういう事。魔術って大層に言うけど、それでしかできない事って、意外と少ないんだよね」
うんうんと烏丸は頷く。
やはり、彼女は頭は悪くないようだ。
「ん、いや、何となく興味がね。
ほら、諜報の技術でしょ?
ちょっと気になる子の事とか、調べられればなーって」
化野千尋 > 「言われてみたら、確かに納得がゆきますねえ。
魔術『でしか』出来ないこと。……なるほど、異能『でしか』できないことも少ない。
何らかの行動を、超常で行うか。それとも別の方法でやるか。
……実は全く、超常も特別なものではないのかもしれませんねえ。」
ノートの隅に、小さくメモを取る。
化野にとっては、かなり参考になる意見だったらしい。
「諜報で気になる子のことを調べるっていうのも、中々に中々ですねえ。
もっと直接聞いたりじゃだめなんでしょーか。
それとももっとこそこそしないといけないよなことを知りたい、とかですかねえ。
よくないですよう。バレたら嫌われちゃうかもしれませんし」
ふふ、と小さく笑う。
なんだか行動に対しての理由が、イメージしていた彼とは違っていて。
どうにも可愛らしく見えてしまうのも仕方がない。
烏丸秀 > 「まぁ、その結果に至るまでの過程が大分違うけどね。
でもまぁ、別に魔術や超常だけで出来る事ばかりではない、って事だね」
よいしょと立ち上がる。
そろそろ時間だ。
「うーん、じゃあ千尋ちゃんの事を調べるのはやめておくよ。
素直に色々と聞く事にするからさ」
くすくすと笑い、手を振る。
そしてそのまま教室を出る。
ご案内:「教室」から烏丸秀さんが去りました。<補足:着物を着た学生>
化野千尋 > 「ふふ。相変わらずお上手ですねえ。」
口元に手を当てて、穏やかに笑ってみせる。
彼の本気か本気でないのかわからない言葉は、いまいち本心が掴みづらい。
きっと、本人にそれを言えばなんてことのないように、「本心に決まってるだろ?」とキザに返すだろう。
「調べるのは構いませんけれども、嫌いにならないでくださいねえ。
聞いてくれれば、あだしのに応えられる範囲でなら答えますから。」
ひらひらと手を振り返す。
目の前に積み上げられた本に、また手を伸ばした。
ご案内:「教室」から化野千尋さんが去りました。<補足:黒いセーラー服の少女。垢抜けていない。 後入り歓迎ですっ>