2017/03/11 - 21:35~02:24 のログ
ご案内:「異邦人街」に真乃 真さんが現れました。<補足:元風紀委員 三年 長いタオル 制服  >
真乃 真 > 異邦人街、奇怪な店が立ち並ぶこの街にあるとある店。
いかにも、異世界感あふれる内装、雑多のものが置かれた店内。
その不規則さがかえって妙な統一感を生み出しているほどだ。

そんな、店に男が一人、白く異様に長いタオルを首に巻いた男だ。

「うーん、困ったなあ、丁度いいのが見つから無いな!」

楕円形の玉虫色の何かが詰まった瓶を棚に戻したりしながらそんな事を呟いた。
ああ、特に魔術の素材とかを探しているわけでは断じてない!
そう、男が探しているのは…

「珍しくて美味しそうなの無いかな…。」

…ホワイトデーに渡すお菓子だ。

真乃 真 > いやいや、普通のところで普通の物を買えばいいのだろう。

確かに基本的には真もそうする。
義理チョコに対しては普通の店で買った物を返す。
そして、それについては既に買ってある。

だが、これを返す相手は本土に住む妹なのである。
去年と一昨年両方とも異邦人街のお菓子を送ったら今年も当然くれると
期待を込めた文章を一緒に送って来たのだ。
その期待が今!強く真にのしかかる!

「うーん、味が全く想像できない。試食とかできないのかな?」

包み紙に入った鉛色のおそらく何か食べ物のようなどろどろとしたものを揺すりながらそんな事を言う。
店主に聞けば試食とかできるだろうか?

ご案内:「異邦人街」に和元月香さんが現れました。<補足:茶髪を耳の下で緩く二つ括りにした童顔の女子高生/トナカイ柄のマフラーと制服/何の変哲も無いスクバ>
真乃 真 > <試食、試食は出来かねますね。お客さん。>

店主が心に直接語り掛けてきた!まあ、この店に限らず異邦人街では良くあることなので気にしない。
ついでに心も読まれてしまうので、言葉を発する必要も無いのだけれどもそれでは伝わった気がしないので
答えて言葉を発する。端からみたら一方的に話しかけているようにしか見えないだろう。

「おっと、試食は無理か。じゃあ、何か女子受けしそうなものは何かないかい?
 …ああ、前のアレ以外で。」

<ああ、あれですか。あれは中身の不法投棄が問題になりまして今は紐づけして売ってますからね。>

前にここで買ったドーナツも割と楽しかったが本土に送る関係上もう少し日持ちしそうな方が良い。

<気になるものがありましたら念を送ってください。説明くらいはさせていただきます。>

念などどうやっておくれば良いのか。思ったら分かってくれるのだろうか?

和元月香 > 常世学園の中でも、様々な異世界文化が混在すると言う___異邦人街。
勿論手掛かりがあれば、と帰り際に立ち寄った月香。

実はあまり期待していなかったが、きょろきょろと好奇心剥き出しで彷徨いていた月香は…。

「…ん?あれ?」

いつの間にか、よく分からない店に迷い込んでしまっていたようだ。

(入り口入ったっけ?)
ん~?と首をかしげながらも店の中へ進んでいく、と。

「あれ?君…歓楽街の……真乃君?何してんの?」

見覚えのある白いマフラー?タオル?を巻いた少年を見掛け、思わず後ろから声を掛ける。

真乃 真 > 「…なるほど。なるほど。つまり毒だなコレ!!」

一人でなんとなくファンシーな感じがするキノコ方の容器を眺めながら呟いているように傍目からは見えるかもしれない。
しかし、実際は店主の送るテレパシーによって店主と双方向性の会話が成立している!そう!しているのだ!
そんな、店主との頭にビビッとくる脳への会話とは違う鼓膜を揺らす実際の声。

「おっと、和元さんじゃあないか!元気だったかい!?うん!元気そうだね!良かった!!
 僕はお菓子を探していたんだよ!ほら、もうすぐホワイトデーだろう?」

手に持っているのがそのキノコ型の容器で無ければもう少し説得力も出よう。
探しているのがこの店で無ければもう少し納得も出来よう。
だが、ここは明らかにホワイトデーのお菓子を探しに来くるような店ではないだろう。

和元月香 > 何か一心に独り言を呟いていた真乃。

「…はい元気でしたよー。君も元気そうね」

…そこは触れてあげないのが優しさだ、とスルーしてから傍に近寄り、にやにや笑う。

「ふんふんホワイトデーか…。青春してんねぇ…。

…うん、何でここ?」

年寄りくさい事を口走りながら、にこやかに首をかしげる。
曲がりなりにも女子な月香には分かる。
ここはちょっと…選択を間違えたのでは?と。

「…えーっと、本命?」
(ただ真乃君のセンスが無いだけでマジでこの店を選んでんなら…大惨事になりかねんぞ…)

もしもの事をちょっと心配になって、然り気無く相手を探る事も忘れない。

そのキノコはくれぐれも止めとけよ?と笑顔で圧力を掛けながら。

真乃 真 > 「ああ、元気さ!元気は僕の一番の取柄だよ!」

基本的にいつでも元気である。
全くいつでも!超元気!!

「いや、島外に妹が住んでてさ!何かこの島でしか買えないような珍しい
 お菓子を送ってあげようと思ってね!そういうのにこの店はぴったりだろう?」

圧力を受けてかどうかキノコを棚に戻して他の物を探し始める。
次に手に取ったのは透明なフィルムに包まれた黒い板。明らかに食べ物ではなさそうだ。

「そうだ!和元さん女の子はどういうものを貰いたがると思う?
 女子としての意見を聞かせてくれよ!僕はどうしてもカッコよさで選びたがるところがあるからね!」

無駄にカッコいいポーズでその黒い板を構えながら尋ねる。
何か、変身する道具みたいに見えなくもない。

和元月香 > 「へぇ、妹…!ホワイトデーにお返し贈るとはいいお兄さんじゃないか。

…よし分かった。私にも手伝わせて」

妹、の単語を聞いた途端月香の顔色が変わる。ついでに、真乃の好感度もアップした。

なんかちょっと変という認識だったが、基本善人のようだ。

(…でも何かこの店は違う気がする…)

とは思わなくもないが、真乃の言葉に「よし来た任せろ!」と返す。

「…とりあえずそれは駄目です」
(…駄目だ、やっぱりセンスの問題やん…)

だが直後、かっこいい決めポーズを決める真乃の頭に容赦無くチョップを入れるだろう。

「…お菓子じゃなくちゃダメなん?可愛い雑貨とかは?」

商品を手に取って見ながら尋ねてみる。
その手には不気味な手のひらサイズの人形。人の事言えない。

真乃 真 > 「ああ、ありがとう!助かるよ!
 僕一人じゃあ危なかった!」

本当に危なかった。
連絡の返信を既読を付けながらも放っておかれるところだった。
二週間くらい。

「あ痛!駄目かな?ほら、こういうのが意外とおいしかったりするんじゃあないかな?」

もしかしたら、チョコレートとか羊羹みたいな感じかもしれない。
…叩かれたせいで落として角が床に刺さっているけど。

「…女の子の可愛いは良く分からない。
 まあ、でも駄目ではないよ!」

<その人形、食べられますよ。>

その時、頭の中に直接話しかけてくる店主の声。
…同じ声が月香の頭の中にも響くかもしれない。

和元月香 > 「いやこれどう見ても食べれないし、見た目的に女の子にあげるもんじゃありません!!」

刺さったそれをビシィッと指差しながらまるで説教するようにツッコむ。

(…何というか、真乃君はあれか。天然君なのか。
私とした事が振り回されてるぞ…)

疲れたように額に手を当てながらも苦笑する月香の脳内に……突如響く声。

……しかも衝撃の事実発覚。

「…こ、こいつ…脳内に直接…!?食べれんのこれ!?

てか冗談だったんだよ!?」 
(テレパシー!?何でもありだな!
まぁ私もできなくはないけど…)

思わずギリギリアウトなフレーズを口走り、真乃に慌てて弁解する月香。

そして、手元の人形を見る。
顔の2分の1を占める大きな真っ赤な瞳。
継ぎはぎだらけの体と顔。

(…意外と本気で可愛いかも…)
やっぱりちょっとズレている。

「…えーっと………。
どんな味するとか聞いていいですかねー?」

…出来なくもないけど、何となく声を上げて聞いてみる。

真乃 真 > 「難しいな、女の子って…。」

深く刺さったそれを引き抜き元の棚に戻…あっ棚に刺さった。
周りがお菓子コーナーだったのでてっきり食べ物だと思った。

「冗談だったの!?危な!そのままレジに持っていくところだった!」

食べれると聞けばただの人形と思っていた時と少し見る目がかわってく…いや来ないな。
…凄い複雑な感じだ。。

<頭の中身はカスタードクリームの風味に限りなく近づけてあります。目はイクラのような食感と味
 身体側は…この世界で言えばいかのしおからが一番近い味でしょうか?>

「あんまりおいしくなさそう!もう少し普通に美味しそうなのは無いのかい!?」

ご案内:「異邦人街」に和元月香さんが現れました。<補足:茶髪を耳の下で緩く二つ括りにした童顔の女子高生/トナカイ柄のマフラーと制服/何の変哲も無いスクバ>
和元月香 > 「いや、君のセンスも難しいよ」

呆れたように溜め息を吐く月香。
…刺さったそれはスルー。スルーったらスルーする。

「いや気早すぎだから!」

ちょっと本気で可愛いと思ったりしたが、短略的すぎだと思わずまたチョップを入れようとするだろう。

別に手が出すぎる訳じゃないんだが、何故だろうか?
彼には妙に手が出てしまう月香であった。

「…いくら…。カスタードクリーム…。
…いかの…塩辛…。
……うん、これは駄目だ、真乃君」

そっと人形を受け取って元の棚にしまった月香は真顔で店主に尋ねる。

「もうちょっとこう…美味しい物ありませんかね!出来れば甘いもん!」

そこから、であった。

真乃 真 > 「痛い!!なかなかいいチョップだ!
 まあ、あんまり悩んでもあれだしね!良いものをサッと買うくらいでないと!」

出来ないのが今のこの惨状であるのだけれど。

「ああ、駄目だね!これは!」

<そうですかそれならば、イチオシがありますよ。>

店の中の映像が頭に流れ込んでくる!!
ここから二つ横の棚!!
今いるところと違って普通のお菓子屋さんのような棚である。
クッキーや飴チョコレートなど見慣れたお菓子が並んでいる。
その中の一つがイチオシであるようだ。
早速行って見よう。

「これは『とろけるクッキー』?」

見た目は明らかに普通のクッキーである。
これは試食もおいてあるようだった。

和元月香 > 「良いもん…?」

そこには疑問符を浮かべて疑わしげに見る月香だったが、
すぐ脳内に再び入り込んできた映像に素直に驚く。
そして真乃についていくように、その場所へ向かった。

それらを眺めながら、ホッとしたように呟く。
「最初から普通にあるんじゃん…」

何故か嫌な予感を覚えた月香だが、真乃が見ているクッキーの試食に目を輝かす。
基本、女の子は甘いものには目が無いのだ。

「わ、美味しそーじゃん。食べてみよ!」

無邪気な笑顔を浮かべた月香は試食を迷い無く取り口に運ぶだろう。

真乃 真 > 「じゃあ、僕もいただこうかな!」

そのクッキーを口に運んで一噛みすればそのサクサクとした食感は消え失せ
溶けのアイスクリームのようなしかも冷たくないその食感がが口の中に広がる。

「なんだコレ!このクッキー独特のサクサク感が消えた瞬間に口の中に広がるクリームの濃厚な味わい!
 さては、普通の方法で作ったものじゃあないな!!」

<フフフ、当商店独自のレシピに加えて液状のものを固める特殊な硬化魔法を組み合わせたものになります。
 ですからより正確にいえばとろけるクッキーでは無く固まったクリームなのでしょうが
 …まあとろけた方がおいしそうでしょう?>

珍しくて、甘くて、美味しい。
これ以上ないくらいに条件は完璧に満たしている商品であった。
初めからこれを教えてくれても良かったの…。

ご案内:「異邦人街」に和元月香さんが現れました。<補足:茶髪を耳の下で緩く二つ括りにした童顔の女子高生/トナカイ柄のマフラーと制服/何の変哲も無いスクバ>
和元月香 > 「…んっ、クッキーじゃないのにサクサクしてな…んまっ!」

口の中でとろけたそれに、瞳を輝かせてぴょんぴょん跳びはねる月香。

(てか食レポか真乃君)

二人が会話?を交わすのを聞きながら、月香は真乃に無邪気に笑い掛ける。

「これにしたら?美味しいし、妹さんも喜ぶよ。
……ん?どした…」

急に黙り込んだ真乃を、何故かひしひしと嫌な予感を感じながら顔を覗きこ…。

真乃 真 > 「何か…クリーム多すぎない?」

一口齧っただけなのに口から溢れそうになるクリームを飲み込んでいう。
明らかにクッキーの量に対してクリームが多い。
クッキーの時より質量が増えてるんじゃあないだろうか?

<…試食に出している品は失敗作ですからね。調整が難しい商品なもので。>

「そう?それな…」

一度クリームを飲み込んで。

「それならいいんだけど。本当に大丈部なのかい!?クリームで溺れて死んだりしない!?」

<売り物では絶対にありません。絶対です。>

「なら…なら安心だな!!」

また、口いっぱいになって来たクリームを飲み込んで言う。
店主は試食については何も語らない。そう、何も語らない。

和元月香 > 「…あみゃい…」
(…ちょっと多すぎ…)

多すぎたクリームの量に、月香の顔がたちまち歪む。
口の端から白いのが溢れて何か卑猥な事になっているが、
不機嫌に眉間に皺が寄っているので色気もクソも無い。

「…で、これ買う事になったん?


その苦渋に満ちた顔のまま、月香は売り物の方のクッキーを一瞥する。
パッケージも本当に普通だ。

「…妹さん甘いの好き?
これちょっとあんまり多いと甘すぎ…」

どっちかと言うと和風の控えめな甘さが好きな月香はそう溢す。

ごくん、ごくん、と飲み込むとうげぇ、と舌を出しながら口の端を拭う。

ご案内:「異邦人街」に宵町彼岸さんが現れました。<補足:白衣、長髪に半分隠された顔、カッターシャツとショート丈のスカート>
真乃 真 > 「ああ、これにするよ!僕も妹も甘いのは大好きだからね!」

それにきっと製品版ではもう少しクリームが抑えめのハズだ!
初めから製品版を試食に置いておきなよという気持ちもあるけど!

「じゃあ、これを一つ、いや…。」

何かを少し考えて。

「じゃあ二つ。…自分のも入れて三つにしておこう!
 三つください!!」

そうして手早く会計を済ませて紙袋にその箱を入れてもらう。

「いやあ、和元さんありがとう!お陰で助かったよ!
 そうだ!ジュースでも奢るよ!ああ、奢らせて貰おうとも!」

そう言いながらこの店のジュースコーナーに向かう。
まともな物はあるのだろうか…。

宵町彼岸 > 「はろにゃーっす」

よくわからない声と共にそっと顔を出す。
サイズの合わないカッターシャツとショート丈のスカートの上に
白衣に癖だらけの髪といういかにもちょっとアレな人ないでたちで
頭だけ突っ込んで謎のポーズをとる。

「やーやー。新製品(失敗作)出来たよー。
 また適当においてほしいなぁ」

実験中にちょっと冗談でできた物を置いてもらおうと
気が向いてやってきたものの歩くのが既に面倒になりつつあった。
どうせこんな、いなげな店に客なんか居ないだろうし
適当なあいさつでい……

「ってうわ客いるよ明日は雨か」

全力で失礼なコメントを迷う事なく口にする。
逆に初めてこの店に客が来ている場面に遭遇する気がする。
いや、常連ではないのだから偶然自分が客が居ない時に
尋ねてきていたのかもしれないけれど。

和元月香 > 何故か3つ購入した真乃に、にやりと笑う。

(…マジいい奴だ、真乃君)
「奢ってくれんの?じゃあお言葉に甘えよう」

そう、ニッと笑って親指を立て、真乃に着いていこうとしたその時。

扉が開き、現れた女性。
少し変わったいでたちに、思わず目が行く。

(正直な人…げふんげふん)
月香はつい真顔でこう言った。

「明日降水確率0パーだよ」

真乃 真 > 「ああ、僕に二言は無いさ!
 あっでも待って!あんまり高いのは駄目だよ!手加減してくれよな!」

早速、二言を出しながらジュースコーナーに向かおうとすればそこに新しい客が入って来た。

<失礼な、客なら毎日来ているさ。今日は17人昨日は8人も来ている。>

この店やっぱりやっていけてないのでは?
そんな疑問を持つのも一瞬、手渡された新製品。ガラスの瓶に入ったそれを迷いなくジュースコーナーに陳列した!

「ねえ!それ大丈夫なの!?ジュースコーナーに置いておいていい奴なの!?」

店主と新しく入って来た少女二人を代わる代わる見ながら尋ねる。
…店主は何も答えない。…心を閉ざしている。

宵町彼岸 > 「え、そうなの?天気予報見なきゃ。
 そもそも今日って何年何月何日だっけ。
 まいっか。多分きっと明日は雨だね」

数秒前に降水確率が0と言われたことは綺麗さっぱり
話しているうちに頭の中から消え失せていた。

「え?平気平気。
 一口で体感-20℃を経験できる炭酸飲料だよ?
 味はおしることミネストローネっぽい謎の何か!」

きっと皆思っただろう。夏に売れよと。
しかもその味のラインナップとか罰ゲームだろと。
なぜまだちょっと肌寒い今この時期に置こうと思ったのかは
きっと本人すら忘れている。

「大丈夫だよ?今回は(比較的)安全な(死なない程度の)奴だから。
 ……多分」

最後まで実にいい笑顔で言い切った。サムズアップまでして見せた。
尚責任はとる気もなかった。

和元月香 > 「二言あるじゃ~ん。
まぁ紅茶とかで…あっジュースじゃなかった」

真乃の脇腹をおらおらーとふざけながら小突きながらも、
目の前の女性を見て月香はぽけーっと思う。

(…変わった人やなー)
他人事のようだが、所詮そんなもんだ。
ただ。

「それ冷たすぎて口の中凍りません…?しかも味も混ぜちゃ駄目な奴…」

(てか、夏に売れよ)
ずいぶん故意的な失敗作だな、と見下ろして苦笑い。

…何かツッコミ所ありすぎるが、月香はにへらーっと笑って誤魔化す。
月香は大人だ。大人なのだ。

真乃 真 > 「今のはノーカウント!まだ言い切って無かった!セーフ!セーフです!」

つつかれて少しのけぞりながら自分の二言の無さを主張する。
ぎりぎりイケる!

「いや、ちゃんと天気予報見なよ!!明日は傘いらないからね!!」

天気予報を見れば広がるのは太陽のマーク。傘とか雲とかないよ!

<これは、これで需要があるんですよ。ええ、色々と。
 ほら、罰ゲーム用とかでね…。>

何だろう悪用されてる感しかない!
だいたい何だ店主のその黒いフード怪しすぎるだろう!

「…もしかしてここは怪しい店なんじゃあないのかな?」

宵町彼岸 > 「え?ダメなの?一口で一時間くらいは効果続くよ?」

きょとんと首を傾げる。夏飲んでも涙目になる商品だった。
味に反して一切温まらせる気のない心折仕様。
文字通り生きた心地がしないかもしれない。
けれどまぁ生きているならセーフだと思う。

「モン〇ンしてたらなんかこうクーラードリンク作りたくなって。
 まぁ実際体温下がるわけじゃないから玩具みたいな?」

ただちょっと全身の神経に作用して脳に温度を誤認させるだけ。
なおその場合体は体温を維持しようとするためかえって熱中症になる可能性がある。
……効果と体感が真逆な辺りやはり失敗作かもしれない。

「大丈夫。KIAIがあれば何でもできるってあのゲームがボク達に教えてくれた
 傘いらないのかぁ……いっそ火でも降ればいいのに。
 ……空中で高質化する液体ばら撒けば槍になって降るかなぁ」

ぽけーと虚空を眺めながら途中から独り言になっていく。
実際にやったら大惨事では済まないけれど高い所まで登るのも……

「面倒だしやめとこっと。
 ……うん、怪しい店だよ?」

店主の代わりに肯定しておいてあげようと頷く。
手間を省いてあげるのだから結構親切だと自分では思う。
確実に自分がその一助になっているという自覚は一切無かった。

和元月香 > 「いやそういう問題じゃなくて………。はぁ、もういーや」

月香は早々にツッコミを放棄した。
…何かもうどう考えても表世界の人間ではない。
表世界の人間はこんな物騒なの作らない。

「気合いは無敵じゃないからね…。
傘で防げないからね…火と槍は…」

…やっぱり無理だった。ツッコんでから、やれやれと深い溜め息をついてしまう。

「真乃君おっそ…。
やっぱりホワイトデーのプレゼント買う場所じゃなかったのかもねぇ…」
(まぁ過ぎた事だからいいけどさ!)

のんびりと言いつつ、ましそうなジュースを手に取った。

真乃 真 > 「ゲームと現実を一緒にしちゃあ駄目だよ!
 確かに気合いがあれば結構な事は出来ると思うけど!
 駄目だよ!人に迷惑をかけるようなことしたら!多分火がふってもそんなに楽しくないだろうし!!」

火の雨とか槍の雨とかとても危ない!
それに、そんな風な人に迷惑をかける事は駄目だと思う!

「まあ、確かに変なところだとは思ってたけど異邦人街だしこんなもんかなって…。」

<何を言いますか。当店は生活委員審査済みの優良店舗です。
 厳しい基準をクリアしており確認のとれた品しかおいておりません。
 試作品にはちゃんと示すシールがはってありますので自己責任でお願いいたします。>

良く見れば店の色々な品に赤いギザギザのシールが貼ってある。
当然さきほど並べられたガラス瓶にも。

「これ、本当にいけるの!?このクッキー!?」

<これは大丈夫です!シール貼ってないでしょう?検査済みです。>

これは安心らしい。
それはともかく…

「…ジュース別の店で買う?」

宵町彼岸 > 「そもそもここってどこだっけ……」

誰に聞かせるでもなくぼそっと呟く。
だいぶ深刻に忘れてはいけない事まで忘れていたりする。
まぁその内寮まで帰ればいいだろう。多分。

「ほわーとでー?あー……えーっと」

とんとんとこめかみを叩き思い出そうとする。
確かバレンタインが死んだ!くそぅ!ここはヤツに任せて撤退だ!
とか何とかいう日にチョコ送っちゃおうとか言う雰囲気の
逆バージョンだったはずなので……つまり

「バレンタインは先に行け!なぁに奴らは俺たちが足止めする。
 終わったら一杯やろうぜ!的なあれだ。うん」

冒涜的な思い出し方をしつつぽんと手を打つ。
これで何のことかわかったら奇跡だろう。多分。

「え、そういう意味あったんだ。
 お洒落かと思ってこの前色々張り替えちゃった」

さらっととんでもない事を言いつつ二人を眺める。
先ほどの例から鑑みるにつまりだ。

「なるほど、二人は恋人でバレンタインデートのお返し中と」

経路が見えない謎理論で納得した。

和元月香 > 「…あの君、マジで大丈夫かい…?記憶喪失か何か?

な、名前分かるー?」

ぼんやりととんでもない事を口走る女性に月香はやや心配そうに声を掛ける。
人並み以上の善意はある。しかも相手は女性だ。

「あとそれは非リアの叫び。私含む。うん、ちゃうからね!」

続いた言葉は、にこやかな笑顔で否定。
そして一気に危険性を帯びたジュースをそっと元に戻してから。

「ゴホッ!?いや、ち が う!!
私と真乃君恋人どころか話すの二回目だから違うから!!」

思いっきりむせながらちゃうちゃうと手を振って断固否定した。どうしてそうなる。

「…うん、せやね」

真乃 真 > 「店主さんちゃんと面倒みてあげなよ!保護者でしょ!?
 多分この子油断してたら歓楽街の方に迷いこんじゃうよ!」

店主に保護者の責任を押し付ける。
そして、この子は家に帰れるのだろうか?
とても、心配である。

<…まあ、見るからに変なモノで無ければ大丈夫でしょう。
 最悪、買う時に私が見れば分かりますし。>

生活委員の検査までに戻しておけば問題はないらしい。

「はっはっは!その通り僕たちは恋人じゃあないよ!僕たちは普通に知り合いさ!」

無駄に高笑いをしながらそれを告げる。
真乃真に恋人はいない!そして、当然婚約者もいない!!
居ないよ!!どっちもいない!

「よし、じゃあ別のところに行こう!君も悪戯はほどほどにしときなよ!」

無駄にカッコいいポーズを取ってからそう言うと店を出ようとするだろう。

宵町彼岸 > 「名前ー……」

たっぷり3秒停止してその後小首を傾げる。
その後何も無かったかのようにふわふわとした笑顔に戻るが
その間が何よりも問いの答えを雄弁に物語っていた。

「え?無しなの?あり得ないの?
 将来はわからないよ?好みに該当しないとかそんな感じ?
 それとも最近はやりのツンデレかな?人って難しいね!」

若干ズレた違うそうじゃないと頭を抱えそうな言葉を
笑顔のまま返すあたり成立しているように見えて
実は会話は成立していないのかもしれない。

「んぁー…?悪戯……?悪戯?
 まいっか。程々にしとくよ?」

何のことかと首を傾げたあととりあえず笑顔で肯定。
謎のポーズを興味深げに見送る。
彼らが贈り物に良い飲み物を見つけられるかはきっと神のみぞ知る。

ご案内:「異邦人街」から真乃 真さんが去りました。<補足:元風紀委員 三年 長いタオル 制服  >
和元月香 > 「…う、うわマジか~…」
(からかってるだけだと願っておこう…)

答えは無かった。
半ばうんざりしたように息を吐き、何故か諦めたようにハハッと笑う。

「ツンデレじゃないから。うん違うからね!

えーっと、じゃあね。記憶喪失さん」

へらっと笑って、月香は手を振った。
…まず会話が成立していない事に月香は必死に気付かないふりをしていた。

(…真乃君は少なくとも、私を好きになる事は無いだろうしなぁ)

そんな事を思いながら、先程とは違う、大人びた薄い笑みを浮かべて月香は彼の後を追った。

ご案内:「異邦人街」から和元月香さんが去りました。<補足:茶髪を耳の下で緩く二つ括りにした童顔の女子高生/トナカイ柄のマフラーと制服/何の変哲も無いスクバ>
宵町彼岸 > 「……あ、思い出した。
 まいっか。結局最後まで男女位しか区別付かなかったし」

出ていった二人の方向に笑顔を向けたままぽつりとつぶやく。
仲が良いのは良い事だ。知り合いなら猶更。
学生が歩いているのは平和な証拠。

「さて……」

その顔から笑みが抜ける。
酷く無表情なまま、店主に声をかけた。

「ああ、例のお仕事特に問題なく終わったから手続しておいてね?
 このまま風紀に届けておくから後は手はず通りにぃ」

そうして氷のような微笑を浮かべ呟いた。

「ああ、明日は何して遊ぼうかなぁ?」

……そうしていつの間にか夜は静かに更けていった。

ご案内:「異邦人街」から宵町彼岸さんが去りました。<補足:白衣、長髪に半分隠された顔、カッターシャツとショート丈のスカート>