2017/03/12 - 20:16~21:44 のログ
ご案内:「訓練施設」に宵町彼岸さんが現れました。<補足:白衣、長髪に半分隠された顔、たてセタ、ロングブーツ>
宵町彼岸 > 「たーめしーうちー、たーめしーうちー」

訓練設定用のコンソールの前に人影が二つ。
のんびりと口ずさみながら画面を叩く一つは白衣の小さな姿と
その隣に佇む2Mを超えるであろう大きな体の黒衣の女性。
ある意味対比の取れた二つは設定が終わったのか訓練場の一室へと移動してく。
片方はふらふらと歩き、片方は滑るように……
実際黒衣の女性の足元は数センチ宙に浮いている。

「とーちゃーく
 所要時間は30秒?もっと短い?まぁいいやぁ」

誰もいない室内は施設防御の設定だけされているのか
的のようなものは無く、距離や範囲を示すように
格子状に基準線だけが刻まれた部屋。

「動く目標に撃てたら一番なんだけどなぁ……
 怒られるの面倒だししかたないよねぇ」

その中で0と刻まれた場所に立つ。
ゆっくりと部屋の奥を見つめ、唐突にその口の端が吊り上がった。
それは見るものをぞっとさせるような笑み。

「ダリアぁ、準備ぃ」

のんびりとした口調で告げるとじっと立ち尽くしていた女性が
ゆっくりと片手を掲げた。

「斉射開始」

その言葉と同時にその腕から立て続けに轟音と激しい閃光
そしてその正面広範囲に激しく破壊された地面の欠片が飛び散る。
それは一瞬の間に砂埃になり部屋を埋め尽くしていく。

宵町彼岸 > 「停止ぃ。排気開始」

その声と共に激しい銃声が止み、部屋の排気装置が作動する。
数秒後には部屋の土埃はその濃度を薄れさせ、地面や壁が見えてくる。
其処には無数の弾痕が刻まれていた。
顔の真横で煙を上げる腕には目もくれず目測でその範囲と距離を測る。
範囲、距離、密度、共に十分な領域にある事を確認したがそれでも不満げに小首を傾げた。

「うーん……思ったより普通。つまんない」

記録カメラをスロー再生すれば黒衣の女性の手に仕込まれた銃口から
多数のショットシェルがはじき出されたことに気が付くだろう。
加えて飛距離調整もしてあったのか本来散弾では威力の落ちる範囲まで例外なく高密度で叩きこまれている。
それがまるで機関銃のような連射速度で広範囲にまき散らされたのだから
もしも範囲内に何かいたなら細切れで済めばいい程度の破壊力はあった。

宵町彼岸 > 「小型拳銃程度なら射程外から行ける位かぁ……うーん…」

先ほどのぶっ飛んだ連射なら間違いなく人間なら即死だろう。
並みの感覚なら通常ほぼ不可能な散弾の連射が行われた等と
されたと気が付く前に細切れに吹き飛んでいる。
そもそもこんな滅茶苦茶な事をすれば普通は銃身が焼け切り
撃った本人も反動でただでは済まない。
最も射撃中は愚か、打ち切った後もその人影は微動だにしていないのだけれど。
それを傍目に首を傾げたままカリカリと地面をかく。

「鳩撃ちの範囲だよねぇ。これじゃぁ」

この島には装甲車並みの防御力を持つ者は珍しくはない。
いずれはこの島以外でもそうなるはず。
初速調整や弾丸の魔術拘束等により飛距離や面範囲の問題はクリアできたが……

「これなら私があの子で吹き飛ばした方が火力あるんだよねぇ
 せめてもうちょっと"抜け"ないと意味ないんだよ。うん」

小さく呟いて地面にめり込んだ散弾の一つを穿り出し
焼けたそれを掌で転がし思案する。

「あ、散弾を全部圧縮榴弾にしたら威力あがるかな?
 装甲抜く方法は別にいくらでもあるしなぁ」

その場合この着弾したほぼ全てが再度爆発を引き起こすことになる。
撃った瞬間文字通り爆風が吹き荒れ火柱が上がるだろう。

「いいねいいね。派手だね。それでいこっと」

実際に使用されれば随分とえげつない光景が展開されると予想されるが
それを口にする者の顔は実に無邪気で楽しそうだった。

宵町彼岸 > 「換装。試験装備2に切り替え」

そちらには興味を失ったのかぽいっと散弾を投げ捨て部屋内のコンソールへと向かう。
そうしてご機嫌に口ずさみながらパネルを叩くと複数のヒト型の的が出てくる。
それはランダムな位置に現れ不規則な動きをした後ぱたりと倒れ、
また別の場所から現れランダムに動いては消えてと
まるで複数の敵が向かってくる事を想定したようなもの。

「3秒間ロック。時間経過後起動、実行ねぇ?」

そのままのんびりと指示を出す。
実戦ではリンクして居るため口に出さずともタイムラグなく動くけれど
今は試し打ち中。のんびりで全く問題なかった。

「3,2,1、今」

宵町彼岸 > 時計も見ずに行われる正確なカウントダウンと同時に黒衣の人影が
静かについっと小さく指を横へ動かす。
それと同時にパタパタと軽い音。
的を見れば5つの首が奇麗に落ちている。
それは明らかな致命傷。

「んー……」

けれどやはりそれを見て出てくる声は
何か気に入らないといった印象のもの。

「複数対象だとやっぱこんな感じかぁ……
 これなら瞬間起動でいいよねぇ」

わざわざタイムラグを設けて"使って"みたけれど
精度はあまり変わらないという結果は正直気に入らない。
対単数ならほぼ正確に捉えるけれど……

「今後の課題、かな?
 まぁ実際のヒトはここまでランダムに動かないしぃ」

基本動けないともいうがそれは仕方がない事だ。
ランダムという表現は基本的に誤解されているのだから。

宵町彼岸 > 「……まぁサブウェポンなんてこんなものでいいのかなぁ
 もっと派手にしたいなぁ。こうぐわっとどかーんみたいな。
 おねーちゃんもそうおもうでしょ?
 うんうん、やっぱりそうだよねぇどうせなら派手がいいよね」

彼女と人形だけの部屋に空虚で明るい声が響いた。
まるで複数で遊んでいるかのような声はただ静寂と
的の動作音にかき消されていく。

「今日はこんなでいいやぁ
 えっと……私用終わりって誰かに言わないとだっけ?
 誰だっけ?そもそも許可取ったっけ?」

小さく小首を傾げると数秒停止する。
ああうん、全く思い出せない。
ならしかたない。うん。多分忘れるくらいだからどうでも良い事のはず。

「じゃぁ帰るよぉ?
 あ、歩くの面倒になってきた……運んで-」

だるーっと静かに近づいてきた人形に抱え上げられる。
そのまま愛おしそうにその首に腕を回すが……

「……あれ?なんか動いてる」

先ほど設定した的は停止されていない為
新しく不規則に動き回っていた。
その動作音が耳につく。何だか五月蠅い。
既に自分が起動していたことは忘れていた。

宵町彼岸 > 「……五月蠅いなぁ」

煩わし気な表情で的に目を向ける。
彼女の眼には人の顔は個人の物として映らない。
つまりはヒト型の的も、人と同じように映るという事で……。
その事を全く意にも介さず苛々とした表情で乱暴に腕を振る。
それと同時に的の全て動きが停止し

「うん、静かになった」

同時にコンソールの画面が赤く染まる
しかしそれに一切気にかけることはなく、むしろ気が付いてすらいなかった。

「じゃ、いこ?
 何処か面白いもの探しに行かなくちゃ」

そうして人形に抱えられたまま、音もなく施設から出て行ってしまう。
その数秒後、的だった人形が全て崩れ落ちる。
それは関節、急所にあたる部分を走るように
細かな破片になるまで切り刻まれていた。
まるでシュレーッターにかけられた紙人形のような有様の残骸は
普段ならすぐに掃除され次の的が出てくるはず。
しかしそれは止まったままだった。
……次の利用者がそれを見つけるまで。

赤く染まったコンソールの画面にはこんな文字が躍っている。

「深刻なエラーを確認しました。
 システムの物理防壁が損傷しています。
 同様の実験を行う場合障壁レベルの再設定を行ってください」

その横の防壁レベルは生徒が設定できうる最大レベルの数値を表していた。

ご案内:「訓練施設」から宵町彼岸さんが去りました。<補足:白衣、長髪に半分隠された顔、たてセタ、ロングブーツ>