2020/06/17 - 21:06~02:13 のログ
ご案内:「魔術学部棟第三研究室」にヨキさんが現れました。<補足:29歳+α/191cm/黒髪、金砂の散る深い碧眼、黒スクエアフレームの伊達眼鏡、目尻に紅、手足に黒ネイル/黒七分袖カットソー、細身の濃灰デニムジーンズ、黒革ハイヒールサンダル、右手人差し指に魔力触媒の金属製リング>
ヨキ > 人を殺してそう。
近寄りがたい。
その他血腥い噂の数々。

それらの評判を欲しいままにする魔術学教師・獅南蒼二の研究室。
その扉を、あっけらかんと叩く者がある。

「そーうーじーくーん」

抑揚を付けた呼び掛けと共にノックする、長身の美術教師。

その手にはワインのボトルが入った細長い紙袋と、小振りなケーキの箱を提げている。

ご案内:「魔術学部棟第三研究室」に獅南蒼二さんが現れました。<補足:黒髪の短髪。顔立ちはやや彫りが深く,目元が窪んでいる。整える気さえない無精髭,不健康そうな顔色。>
獅南蒼二 > 鉄製の扉は固く閉ざされている。
多くの生徒はその扉を叩きたいとさえ思わないだろう。
けれど貴方はいつも,あまりにも気安く,あまりにも軽率にその扉を叩く。
生徒が目撃すれば,ちょっとした話題くらいにはなりそうだ。

「鍵は開いている。」

扉の向こう側から,そうとだけ声がかかる。

ヨキ > 短い返答。
あまりにもぶっきらぼうな一言に、しかしヨキは無遠慮に扉を開ける。

「お疲れ様、獅南。祝いに来たぞ。誕生日」

これ見よがしに腕を突き出し、ケーキの箱を見せつける。

普段からヨキはこの部屋へありとある料理を届けにやって来る。
カレーに煮物、揚げ物に麺類。
それが今日は、とっておきのケーキという訳だった。

獅南蒼二 > 部屋の中は,相変わらずの荒れ果て具合だった。
それでもソファとテーブルだけは辛うじて使える状態を保っている。
それはこうして,貴方が差し入れを持ってくることが増えて,いちいち片付けるのが逆に手間になったからだ。

「……誕生日…?」

一瞬,その顔に疑問符が浮かぶ。きっと,自分でも忘れていたのだろう。
ここ数日は研究のためにこの部屋に籠りきりだった。
相変わらずの不健康そうな瞳が,貴方を真っ直ぐに見る。

「……あぁ,今日だったか。」

小さく息を吐いて,身体を貴方の方へと向けた。

ヨキ > まるで自分の家のように立ち入って、テーブルの中央に荷物を置く。

獅南と向かい合ったヨキの顔が、少年のように明るむ。
それはいかなる女性と浮名を流そうとも、他の誰にも見せることのない表情。

「そうだぞ。忘れもしない6月11日だ。
この日が誕生日と知ってから、ヨキにとっては大事な一日になったのだからな」

うきうきとした様子で、ケーキの箱を開け、ワインのボトルを取り出す。
中身は手作りの苺のショートケーキに、やや甘めのスパークリングワイン。
いずれも食べ切り・飲み切りサイズで、ささやかな誕生日パーティーらしい量だった。

「蝋燭も持ってきたが、吹き消してみるか?」

四本のカラフルなミニ蝋燭を取り出す。

獅南蒼二 > 溜息を吐きながらも,机上で何やらまとめていた紙を纏めて,魔術書を閉じる。
立ち上がってテーブルの方へと歩み,貴方が持ってきたものを見下ろした。
ケーキなんて,貴方が持ってこなければまず食べない。ワインもそうだ…それも,甘口のスパークリングワイン。
感謝の言葉を述べることはしなくとも,文句を言うようなこともしなかった。

「まったく…こんなことになるのなら,誕生日など教えなければよかったか。」

苦笑を浮かべていたが,蝋燭を吹き消すかと問われて,あからさまに,眉に皺が寄る。

「…お前は私を何だと思っているんだ?」

ヨキ > 「これから毎年、ずっと祝うのだからな。
お前の方こそ、ヨキの誕生日は覚えていてくれよ。
9月18日。ヨキが人間になった日だ」

それは忘れもしない、大事な朝のこと。
獅南と見た“本当の朝日”が今でも焼き付いているかのように、目を細める。

が。
蝋燭についていかにも渋い顔をされると、むしろ叱られた犬のような顔になった。

「え? 誕生日……ケーキの蝋燭を吹き消すのが楽しみではないのか……?」

これだから誕生日がない人外は。
そそくさと蝋燭を仕舞い込み、気を取り直す。

「だが味には自信があるぞ。研究続きの疲れた頭に、たっぷりと糖分を摂るがよい」

15センチサイズのミニ・ホールケーキを切り分けて、ワインを二人分の紙コップに注ぐ。

「さあさあ、乾杯しよう。
お前の産まれた日に、変わらず生きていてくれることを感謝したい」

獅南蒼二 > 毎年祝う,と,その言葉には溜息交じりに,好きにしろ。と呟く。
しかし,貴方が口にした日付を聞けば…

「…なるほど,まぁ,確かに今のお前にとっては,そうかもしれんな。」

…小さくそうとだけ言って,頷いた。
早いものだ…あれからもう,随分と長い時間が経っている。

「まぁ,そう感じる者もいるだろうが……小さな子供か,老人くらいだろうな。」

溜息交じりにそうとだけ告げる。

「もっとも,お前には似合っているかも知れん。」

なんて肩を竦めて笑いつつ,ソファに腰を下ろした。
貴方の手作りの小さなケーキに,紙コップに注がれたワイン。
…40にもなる男のために開かれた誕生日会にしては,随分と可愛らしい。
ワインの注がれた紙コップを手にして…小さく掲げる。

「感謝されるような覚えは無いのだがね。
………妙なことに感謝を述べる,物好きな男にも。」

ヨキ > 蝋燭が似合うかも、という皮肉にも、素直に喜んで。

「では、四本の蝋燭は今年のヨキの誕生日に使おう。
人間になってから、ちょうど四年だ。

毎日が新しいことばかりで、あっという間に過ぎ去ってしまったな。
いつまでも新鮮なことばかりだ」

紙コップを掲げて、にやりと笑う。

「お前に覚えがなくとも、ヨキが覚えておる。ふふ、乾杯だ」

言って、ワインを一口。
甘酸っぱい苺の風味に合わせたワインは、この二人の酒飲みの前では今日くらいしか飲む機会はないだろう。

「それと……、誕生日の贈り物も、きちんと用意してあるのだよ」

ケーキを一口頬張ってから、荷物の中からもう一つの包装を取り出す。
手のひらに載るほどの箱に収まっているのは――深い海のようなきらめきを持つ、青い万年筆だ。

獅南蒼二 > 貴方が素直に喜べば苦笑しつつも…

「なるほど,それなら無駄にならなくて良い。火くらいは付けてやるさ。」

そうとだけ言って…続けられた言葉に頷く。

「4年か……早いものだな。」

獅南はどこか遠くを見るように,そうとだけ呟いた。
人間として初めての4年を過ごした貴方と,獅南とでは時間の感じ方もきっと,違っていたのだろう。
停滞をしていたというわけではない。けれど,大きな進歩があったかと言えば,それも否だった。

乾杯,と,小さく呟くように告げて,ワインを口にする。
貴方と時間を過ごす時でなければ絶対に飲まないだろう,甘い苺の香り。
苦笑を浮かべつつも,それを半分ほど飲んで紙コップを置く。

「……本当に,マメというか何と言うか…。」

苦笑交じりに貴方の取り出した小さな箱を見る。
開けて構わないか?と聞いてから,その箱を開けば…入っていたのは鮮やかな色の万年筆。
それを握ってみて,手首を動かして,一言。

「…案外と重いのだな。」

ヨキ > 「そうだよ、四年だ。その間にヨキは、バイクに乗るようになって、新しい作品を創って、魔術の勉強をして……。
沢山のことが変わった。お前がくれた人生だ」

獅南からもらった命。ヨキは恥ずかしげもなく口にする。いつだって。

「お前が書く字が好きだと思ったのでな。
それでもっと、書くことを楽しんでもらえたら嬉しいと、そう思った。

ふふ、お前の手によく似合うよ。
使っているうちに、その重みがよくよく馴染んでくるだろうさ」

筆跡はシックなブルーブラック。
万年筆を手にする獅南の姿に、満足げに目を細めながら。

ケーキを食べる。ワインを口にする。遠い話をせがむように、声を落とす。

「…………。こうやって人から誕生日を祝われたのは、いつが最後だった?」

ぽつりと尋ねる。

獅南蒼二 > 「そうか…だが,私は切っ掛けを作っただけだ。
お前が何かを得たというのなら,それはお前の努力と研鑽によるものだろう。」

そして獅南はそれを認めつつも,得たものは貴方の成果だと返す。

「書くことを楽しむ…か,お前のようにそれそのものが作品なのであれば,そういう考え方もあったのかも知れんがな…。」

くるりと回して,それを胸ポケットへと。
決して派手ではないが,白衣から僅かに覗く万年筆は,ちょうどいいワンポイントになっている。

「…楽しむかどうかはさておき,大切に使わせてもらおう。」

そう告げてから,ケーキをひとかけ,頬張った。
甘すぎない優しい味は,貴方の配慮だったのかもしれない。

「…………ん?」

貴方の問いに,手を止める。
小さく肩を竦めて,苦笑を浮かべ…

「…もう記憶にも残っていないな。それがどうした?」

ヨキ > 「有難う。誰よりも努力家のお前に認めてもらえるのは、心地がいい。
お前のくれたきっかけは、ヨキにとって大きな一歩だったよ」

獅南が胸に挿した万年筆と、彼の顔とを交互に見て微笑む。

「ああ。お前の相棒にしてくれ」

誕生日についての答えに、そっか、と短く呟いて。

「……いや。
ヨキの教え子に、異能のために満足に友人を作れぬ者があってな。
季節のイベントを、満足に楽しむことも出来ん。

それを思うと、その教え子のことも、お前のことも、ヨキが生きている限りは祝福してやりたいと思うてな。
真にやりたいことをやれるだけの人生を、思うままに過ごして欲しいと思うのだ。

ヨキがこうして、人間の生を謳歌しているようにな。

ふふ。もしかすると、ヨキは人を甘やかしすぎておるやも知れんな」

獅南蒼二 > 「事実を言っただけだ…まぁ,バイクに関しては,私の影響かも知れんがね。
まさか私より先に免許を取るとは思いもよらなかった。」

バイクの話になれば,少しだけ,楽しげに笑う。
軽く胸の万年筆を触って,そうしよう。と素直に頷き…

「…この島には,そんな人物など掃いて捨てるほど居るだろう。
落第街にでも顔を出せば,それこそ,な。」

…そう返しはしたものの,貴方の言葉には…小さく何度か頷く。
誕生日を祝われた記憶など,頭の片隅にふわりと残る程度。それがいつのことなのかも,分からない。
少なくとも,弟が生まれる前のことだろうとは,思うが…

「…まぁ,お前の目指す理想としては,実に“らしい”と思うがね。
お前が祝福できる人数,お前の両腕に抱えられる人数は限られている……そうだろう?」

その中の一人が自分だということは…そう,悪い気はしない。
けれど…

「…そこから零れる教え子を,お前は見てみぬふりができるのか?」

ヨキ > 「そのうち、お前と一緒に走りたくてね。海沿いの道が綺麗なんだ」

獅南の表情の変化は少ない。だからこそ、その微笑みを大事なもののように見つめる。

そうして、獅南の言葉に少しだけ目を伏せる。
ヨキの腕は長い。心は広く、余裕はある。それでも。

取り零してしまったものは、ある。

悔いるように、懐かしむように目を細めてから、生クリームの甘さで感慨を溶かす。

「うん。……うん。そうだな。
ヨキは見て見ぬふりなど出来ぬ。絶対に。

だからヨキは、ずうっとこの島で教師をやり続けるのだろうと、そう思う。

零さぬように子を育て、育てた子らがまた新たな子らを支えてゆけるように。
そうすれば――間接的には、取り零しがなくなるだろう?

お前からすれば、屁理屈に過ぎぬだろうがね」

笑う。ほんの少しのワインでも、獅南との空気に酔うように。

「ヨキは人間になって、随分と色々なことが変わったが――
この夢見がちなところは、いつまでも変わり映えがせんな」

それこそ、初めて会ったときから。

「こればかりは、ヨキが教師を続けるための糧だ」

獅南蒼二 > 「いつでも行ってやると言っているだろう?」

無免許運転でいいなら。けれど,貴方はそれを許さない。

貴方が育てた教え子が,また誰かに手を差し伸べる。
理想論に過ぎないが,貴方一人の腕で全てを抱えるよりは,よほど現実的だ。

ふと,自分自身の教え子たちが頭を過る。
教え子に自分と同じ道を歩んでほしいなどとは,思っていない。
ただ,努力と研鑽に応じた力を得て,理不尽な力に対抗できるような人間になってくれればそれでいい。

きっと,“取りこぼす人数”は自分の方が多いだろう。
などと心の中で呟いて…

「…いや,お前らしい考え方だ。」

…小さくそうとだけ呟く。理想論と屁理屈を足して割ったようなものでも,貴方にとってそれは大切なものだと知っている。

ケーキをまた一口,頬張った。
きっと毎年祝うというその言葉に偽りはなく,来年も同じように祝ってくれるのだろう。
まったく,どこまで物好きなのかと,呆れてしまう。


けれど,何十年かぶりに食べたバースデーケーキは……美味しかった。

「夢見がちなのは私もそう変わらんだろうさ…
…それと,私を祝福してくれるのは構わんが,次からはワインではなくウィスキーにしてもらえないか?」

ヨキ > 「……、」

しわくちゃな顔になる。
無免許運転と、獅南とのツーリング。すごくすごく、葛藤している顔だ。

「…………。行く。行きたい」

それで、折れた。ついに。

「教師としては、まったく“ヨキらしい”のに。
お前のことになると、つい“らしさ”を外れてしまうな。
まったく、誰よりも甘やかしてしまうよ」

次からはウィスキーをと乞われると、ふっと吹き出して。

「ふ、はは。甘さは控えめにしたつもりだが、お前には甘すぎたやもしれんのう。
判った、次からはウィスキーにしよう。それに合うケーキも、きちんと考えておくから」

どうしたって、誕生日にはケーキが不可欠らしい。

「友人にしては甲斐甲斐しすぎるか?
お前の世話を焼くのは、まだまだ辞められそうにないよ」

獅南蒼二 > 貴方が“ルールを破る”ことを認める…それがどれほど稀なことか。
その葛藤も,しっかりと見ていた獅南は苦笑して…

「……まぁ,免許くらいすぐに取れるだろう。」

…小さくそうとだけ告げる。
無論教習に通うつもりはなくて,試験で一発取得を目指すはずだ。
もしかしたら魔術でチートするかもしれない。

らしさを外れてしまう。その言葉に獅南は苦笑する。
甘やかしてほしいなどと僅かほども思わないが…悪い気はしない。

「……ケーキ以外の何か,という選択肢は……無いんだな,そうか。」

表情で分かったのか,そこは素直に引き下がる。

「まぁ,恐らく異常だろうな。
他に友人と呼べるような者もいないから,比較は出来んがね。」

ヨキ > 「!」

獅南の言葉に、ぴょんと背筋が伸びる。
顔中から、えらいぞ獅南、というオーラが迸っている。

「よかった……ヨキも公安を警戒する心配がないというものだ……」

思わず目頭を押さえてしまう。

「ケーキ以外に食べたいものがあるなら、何でも言ってくれていいんだぞ。
幸いにも、ヨキはほとんどのリクエストに応えるだけの腕があるからな」

ふふん、と鼻を鳴らす。
が、異常という言葉には口をへの字に曲げる。

「…………。辞めないからな」

そこは頑固だった。

コップに残ったワインをぐっと飲み干し、手酌で二杯目。
獅南にも注いでやりながら。

「教え子に、家族や“いい人”は居ないのかと訊かれてな。
お前のことでも話そうかと思ったが、止しておいた。無用な混乱の元だからのう」

獅南蒼二 > 「……大袈裟すぎはしないか?」

後日,きっと1発で取得してくることでしょう。
魔術を使ったかどうかを聞くなんて,無粋なことをしてはいけません。

「知っているよ…まぁ,お前が食べたいもので構わん。
…このケーキも食べ慣れないのは確かだが,味は良いからな。」

度々差し入れを持ってきてくれているのだから,その腕はよく知っている。
そして貴方は,貴方の好きなものを作っても必ず,こちらに配慮した味付けにしてくれていた。

「…だろうと思ったよ。だから異常だと言うのだ。」

楽しげに笑って,こちらもワインを一口。

「賢明な判断だ…こんな馬鹿げたことを聞かされては,教え子が困るだけだろう。」

ヨキ > 「何を言うか。教師が公安にしょっぴかれるなど、あってはいかんのだ。絶対に」

この話題になると、何故かしょっぴかれる前提だ。

「任せてくれて光栄だよ。
ヨキがお前を信頼しているくらい、お前もヨキの腕を信頼してくれているのだからな。
ふふふ。その褒め言葉ひとつで作った甲斐があった」

ケーキを食べ終えて、残りのワインをちびちび。

「何しろ、他に“いい人”が出来る見込みも、作る予定もなくてな。
さりとてここへ通い詰めでは、教え子から何か訊かれるのも時間の問題やも知れん」

軽い調子で笑う。
弁当箱だの、フードコンテナだの、お重だのといった食事を運ぶ姿は、もはや恒例となっている。

「よし、今夜はここへ泊ってやろう。
朝になったら、意味ありげにここから帰ってやる」

悪戯めかした顔で笑う。
とは言っても、この部屋に泊まり込むのも日常茶飯事で、今や大した出来事でもないのだけれど。

獅南蒼二 > 「まぁ,言わんとしていることは分からんでもないがね。」

苦笑交じりにそうとだけ告げてから,ワインを飲み干す。
ケーキも最後のひと欠片を頬張って…

「…一つだけ注文だ。量はもう少し考えろ。」

…そんな風に付け加えて,笑う。

「私にそれを聞く生徒は居ないだろうからな…聞かれるならお前だ。
どう答えるのか,どんな反応を返すのか見物ではあるが…」

泊まる,と貴方が言いだせば溜息を吐く。
まぁ,そうなるだろうとは思っていた,とばかり。

「まったく,何がしたいのやら…
…泊まるのは構わんが,ソファが狭いとか,構えとか,はやく寝ろだとか,あれこれ言ったら叩き出すからな?」

ヨキ > 獅南から付け加えられた注文に、眉を下げてふっと笑う。

「判ったよ、次からはもう少し考える。
そう言いつつ、全部食べてくれるのは有難いところだがね。

お前と過ごす時間は何でもかんでも楽しいからな。
ヨキが正直に答えるあまり、お前にも流れ弾が飛んで行くやも知れんぞ。

学生からの、お前を見る目も変わるかも」

良い方にではないかも知れないが、と笑って。

泊まることについて、あれこれ言ったら叩き出す、と言われてしまうと、途端に顔がしゅんとした。
言うつもりだったらしい。

「い……言わぬ。大人しくしておる。
だがくっついて寝ることくらいは許せよ」

いそいそと獅南の隣へ近付いてゆく。
が、その顔は叩き出されることを警戒してもいる。
どこまでやったらNGか、窺うみたいに。

獅南蒼二 > 「そうは思わんな…
…お前が私に脅されている,とか,洗脳されている,とでも言われるのがオチだろう。」

苦笑交じりにそうとだけ言ってから,貴方の表情を見て察した。
図星だったな,と。
楽しげに笑いながら…隣に近付いてきた貴方を見て,

「…残念だが,休憩はここまでだ。
寝る前に今手を付けている部分くらいは,形にしておく必要があるのでな。」

ヨキ > 「…………。お前、普段学生らからどんな目で見られておるんだ……」

苦笑い。漏れ聞こえてくる演習や試験の過酷さを思えば、さもありなん、だ。

獅南に制止されると、それこそ犬のようにぴたりと止まる。

「う……判った。今日はお前の誕生日で、お前が主役だ。
邪魔はせぬ。……邪魔はせぬから、無理はするなよな」

それだけ言って、ソファの隅まで引き下がる。
肘掛けを枕にごろりと横たわれば、間もなく寝息が聞こえてくる。

いくら簡素といえども、祝いの準備で気が張っていたのだろう。
酒気と穏やかな空間とに中てられて、夢の中に沈み込むのは早かった。

ご案内:「魔術学部棟第三研究室」からヨキさんが去りました。<補足:29歳+α/191cm/黒髪、金砂の散る深い碧眼、黒スクエアフレームの伊達眼鏡、目尻に紅、手足に黒ネイル/黒七分袖カットソー、細身の濃灰デニムジーンズ、黒革ハイヒールサンダル、右手人差し指に魔力触媒の金属製リング>
獅南蒼二 > 「……………。」

口には出さなかったが…妙に物分かりが良いな,と,そう思っていた。
宣言通りに作業に戻ったが…やがて貴方の寝息が聞こえれば,溜息と共に立ち上がる。
寒い時期ではないが,適当なタオルケットを貴方に被せて…

「……無理をしているのはお前の方ではないか?」

…小さくそうとだけ告げて,机へと戻った。
貴方が目覚めた頃には,獅南もまた,対面するソファで寝息を立てているだろう。

ご案内:「魔術学部棟第三研究室」から獅南蒼二さんが去りました。<補足:黒髪の短髪。顔立ちはやや彫りが深く,目元が窪んでいる。整える気さえない無精髭,不健康そうな顔色。>