2015/06/08 - 18:18~12:56 のログ
ご案内:「常世公園」にサヤさんが現れました。<補足:黒髪に巫女装束の少女>
サヤ > 昼休み、サヤはわざわざ教室棟から出て公園で昼食をとっている。
というのも、人混みの中で一人で食べていると、よりいっそう孤独を覚えるからだ。まだ一緒にご飯を食べるような友人はいなかった。
こちらの言語の読み書きができない以上、取れる授業は限られていて、同年代の人間と授業を受けることはほとんどなかったし、自分より5つも6つも小さな子どもたちに混じってひらがなやカタカナの授業を受けるのは恥ずかしかった。
サヤ > 草の上にゴザを敷いて正座し、朝握って笹の葉で包んだおにぎりを取り出して、食べる。
「…………。」具は梅干しだけで、海苔も巻いていない、質素なおにぎりだった。
「…………。」何も考えず、ただひたすらおにぎりを胃の中に押し込む。
サヤ > しかし……
ふと手を止めて考えてしまった、今頃、師匠は、道場のみんなはどうしてるだろうか。と
門に吸い込まれたのは突然だったから、別れの挨拶などしていない、向こうでは失踪したことになっているはずだ。
サヤ > 「……………っ」師匠は心配しているだろう、孤児であった自分を実の娘のように育ててくれた師匠。だが何の恩返しも出来ず、こうして心配をかけている。申し訳無さのあまり、涙で視界がにじむ。
涙をこらえながら、おにぎりを無理矢理頬張り、ほとんど噛まずに飲み込む。みんなで食べた温かいご飯が懐かしい、どこか遊びに行く度に、師匠が握ってくれた不揃いなおにぎりが懐かしい。
サヤ > なんとか食べ終えると、笹の葉を風呂敷にしまって、そのままゴザの上に寝転がる。曇り空だ。
このまま目を閉じて、もう一度開けたら、元の世界に戻っていないだろうか、全てを悪い夢として片付けられないだろうか。
祈るように目を閉じて、10数えて、開ける。
サヤ > しかし、願いは通じなかった。夢ではない、現実なのだ。
「……幾度も 目を開(あ)く度に 草枕 旅にしあれば 終わりもぞする。(目を開くたびに、全てが夢ではないかと期待するが、それは通じない。これがただの旅であるなら、いつか終わり、家路につく時が来るというのに。)」ぽつりと、歌が口をついて出た。
サヤ > しばらくそうやって空を眺めていると、風にのって黒い雲がやってきて空を覆い、雨が降りだした。
人々が屋根を求めて足早に立ち去っていく。でも、なぜだか動く気がしなかった。
真っ暗になった空を見ながら、冷たい雨をじっと受けている。
サヤ > サヤは雨が嫌いではなかった、それに今は泣いていても雨粒がごまかしてくれる。
段々と体が冷たくなっていくのがわかる。このまま雨を受け続けていればどこまで冷たくなれるだろうか。
「刀になりたい……。」誰に言うでもなく呟いた。右手を掲げ、異能を使って刀を呼び出す。
鯉口を切って刃を見る、雨粒を滴らせるその刃はどこまでも冷たくて、綺麗だった。
刀に故郷はない、刀は泣かない、刀は考えない、刀は強い。人間の、弱い自分が嫌になった。
サヤ > 「刀になりたい……。」もう一度呟く。なってみればいい、と心の中で声が聞こえた。
師匠は口を酸っぱくして言っていた、刀に心を明け渡すな、と。
でも今ここに師匠は居ない。少しやってみようか、少しだけならきっとだいじょうぶ。
サヤ > 目を閉じて、刀を抱きしめる。ゆっくりと、心の奥へ刀と共に沈んでいく。普段はここまで、でも今日はもう少し……。
寂しい、悲しい、苦しい。心の奥は負の感情で溢れていた。その中に刀をキレ持ち込んコロセ
キリステロおかしい、これは私の心じゃスベテヲコロセ 出会う者全てを殺せチガウ ワタシハコンナ殺せコト
サヤ > 「!!」慌てて同調を解いて起き上がる。「い、今の……何…。」ガタガタと震えながら、自分の体を抱きしめる。大丈夫、私だ。私がここにいる。
今とてもまずいことをしたのはわかる。師匠の言いつけを守らなかったせいだ。
「ごめんなさい、ごめんなさい……」自分はとても悪いことをした、戻れても師匠に会わせる顔がない、もうお終いだ、私は悪い子になってしまった。
「ごめんなさい……師匠、ごめんなさい……。」雨は止む様子はない。
ご案内:「常世公園」からサヤさんが去りました。<補足:黒髪に巫女装束の少女>