2020/06/18 - 20:04~00:42 のログ
ご案内:「学生通り」に九十八 幽さんが現れました。<補足:黒の蓬髪 不健康そうな目元 中性的な顔立ち 腰に刀 (既知・乱入歓迎です)>
九十八 幽 > ぶらぁり ぶらぁり
梅雨の合間を刺す様に 強い日差しが照る中を
男か女かも曖昧な 黒い影法師の様な青年が気の向くままに歩いている

「学生通り 地図で見たのはこの辺りだっけ
 なるほど 確かに、学生さんでいっぱいだ」

すれ違う者、商店で呼び込みをする者、買い物を楽しむ者
それらの大半は学生服を纏うか、あるいは、溌剌とした若さに溢れているか

「なんだか場違いなところに来てしまったかなあ」

通りに満ち満ちる活気に、眩しそうに目を眇めて
それでも足を止めることなく、気儘な散策は続いてゆく

九十八 幽 > 自分も、彼らのようになれるだろうか
学生になって、学校へ通い、勉学に勤しみ、余暇を笑って過ごす
そんな生き方が、果たして出来るだろうか
そう考えながら歩くうちに、漠然とした不安に包まれる

「でも、もし それが出来たらとても素敵だろう」

大きな声で燥ぐ、女子生徒三人組に追い越された
肩を組んで笑い合う、男子生徒二人組とすれ違った
初々しく手を繋ぎながらショーケースを眺める、カップルの後ろを通り抜けた

たった数分の間に、幽の周りに様々な人が現れる
そして数分と経たないうちに、彼らは彼ら中心の世界へと帰ってゆく

「ああ あんな風に生きるのはきっと楽しいね」

ご案内:「学生通り」にヨキさんが現れました。<補足:29歳+α/191cm/黒髪、金砂の散る深い碧眼、黒スクエアフレームの伊達眼鏡、目尻に紅、手足に黒ネイル/拘束衣めいた細身の白ローブに黒革ハイヒールブーツ、右手人差し指に魔力触媒の金属製リング>
ヨキ > 青年が擦れ違う、幾人もの学生たち。
そのうち、ひときわ背の高い男が隣を通り過ぎた――青年と対照的な、白装束めいた上衣。

薄手の生地で仕立てた裾が風に膨らんで、青年の打刀の鞘にするりと絡まって、解ける。
引っ掛かるほどではなかったが、互いの腰元に軽い抵抗が伝わって。

「おっと――大事な刀に失敬」

足を止め、上衣の裾を軽く払う。

「君は……初めまして、かな。教師をやっているヨキだ。
この通りは賑やかだろう?」

向かい合った顔立ちは、互いにどこか日本人離れした印象。
異邦から訪れた学生であることを察して、軽い調子で問い掛ける。

九十八 幽 > 往来を行き交う人々の間を すり抜けるように歩く
その姿は初夏の風の様でもあり、地面から立ち上る陽炎のようでもあり
喧騒の中に溶けるように静かに、滑るように軽やかにただ在ったのだが

しかし 捉え処のない青年は声を掛けられ、思い出したかのように像を取り戻す

「やあ こちらこそすまない
 人の多いところでは、外しておいた方が良さそうかな」

振り返る様に足を止め、自分よりも頭二つ近く高い目を見上げるように微笑んで

「こんにちは ヨキ。あなたも先生なんだね
 九十八 幽。まだ生徒ではないけれど、もうすぐ生徒になる者だ。
 
 うん そうだね。とても眩しくて暖かだ」

名乗るヨキに応じるように、己の胸に手を当てて自己紹介
するりと一度辺りを見回して、視線を戻せば目元も口元も更に綻ぶ

ヨキ > 陽光に眇めるように、どこか茫漠とした青年の姿を見定めるように、目を細める。

「心遣いを有難う――ニタラズ君。
そうか、これから学園の生徒になるのだな。

ようこそ、常世学園へ。
教師の一人として、君を歓迎するよ」

相手の自己紹介に、ヨキもまた両手を軽く広げてみせた。

「これも何かの縁だ。よかったら、君の話を聞いてみたい。
少しそちらの日陰へいいかね?」

言って、林立する店の壁際へと青年を誘って。

「見知らぬ世界に辿り着いて、混乱を来す者も少なくなくてね。
君にも不安はあるだろうが――この通りを褒めてくれて安心した」

九十八 幽 > 「ありがとう、ヨキ……先生、でいいのかな
 まだ生徒ではないからね、先生を先生と呼んで良いものなのかな」

少しだけ困った様に首をかしげて、それでも穏やかに微笑んだままで

「話を? 構わないよ。構わないけれど──
 ──……何か話せる事があれば良いのだけど」

誘いにこくりとうなずけば、ここは立ち話には暑過ぎるものね、と壁際へと歩き始める

「混乱 そうだね、確かにこれまで暮らしていた世界と何もかもが異なれば混乱もするだろう
 けれど──……比べようにもどうにも世界を覚えていないから、混乱も不安もあまりなかったかな

 そうそう、異なる世界から来た者を、《異邦人》と呼ぶらしいね」

数日前に素敵な人から聞いたんだよ、と壁に背を預けながら

ヨキ > 「ああ、ヨキでもヨキ先生でも、君の呼びやすいように読んで構わぬとも。
何しろ名前を呼んでもらえることが、ヨキには楽しくて、嬉しいんだ」

日陰に入ると、冷えた風が全身を撫ぜて心地よい。
幽の隣で同じように背後の壁へ凭れながら、話を続ける。

「そうか、元の世界のことを覚えてはいないのか。

そう、異なる世界から来た者たち――異邦人。ヨキもその一人だ。
元の世界についてうまく語れないところも、君と同じ。

……いや。人の価値観と言えば、世界の数だけ、人の数だけあるものだろう?
君はこの街について、笑ってくれたから『褒めてくれた』と解釈したが……。
中には『眩しくて暖かいこと』が褒め言葉ではない者も在るから。

ヨキも温かいものは好きさ。出来立ての料理とか、ベッドに眠るときとか、人の体温とかね」

くすくすと笑う。

「おや、学園に入る前から素敵な出会いを果たしていたのだな。幸先が好いではないか」

九十八 幽 > 「そう それなら、今はヨキ
 いずれ生徒になった時は、改めてヨキ先生と呼ばせて貰おう
 
 ふふ、楽しみはとっておきたいんだ」

目を閉じ、前髪を揺らす風を感じながら
以前会った人も“先生”であることを言っていたのを思い出す

「うん 覚えていないんだ
 前の世界の事も、そもそも昔の事はほとんどね
 
 ──ただ、九十八 幽という名前と、自分が他の世界の人間だ、ということは何となく理解していた」

今遡れる中での、もっとも古い記憶
潮の臭い、冷たい岩肌、姿の見えない生き物たち
常世島近海にあった、海底遺跡で目覚めた後の記憶
それを思い出しながらも、口にはせずに横目でヨキを見上げる

「ああ 温かいものは良いものだよ、大好きさ
 食べ物も、ベッドも、人もね。同じく好きさ
 だから、『暖かくて眩しい』は褒め言葉だよ

 うふふ、前に会った人も素敵で暖かな人だった。本当に、運が良かったよ」

ヨキ > 「ああ、待っておるとも。
教師をやっていると、呼び捨ててもらえる機会は貴重でね。
何だかくすぐったくなってしまう」

嬉しげに微笑む。
そうして、幽の身の上話に耳を傾けながら、ふむ、と腕を組む。

「記憶喪失、というものかな。
こちらの世界へやってくる者には、同じような身の上も少なくない。
これからこの学園で過ごす日々が、素敵な記憶として君の空白を埋めてゆけるとヨキも嬉しいよ。
それで……元の記憶も戻ってくれたら万々歳だ。

ふふ。この学園に辿り着けた者はみな運がいい。少なくとも、命と生活は保障されるのだから。
その恩を返すために、ヨキも教師を続けているよ」

言いながら、傍らのカフェを示して。

「趣味が合うね。それでは、『冷たいが美味しいもの』でも一緒にいかがかな。
君の入学祝いに、ご馳走するよ」

カフェの軒先のワゴンでは、色とりどりのアイスキャンディが売られている。
果物にミルクにチョコレート。店員の呼び込みの声も爽やかだ。

九十八 幽 > 「そうだね 名前で呼ばれるとなんだかくすぐったくなる
 前に呼ばれた時、とてもくすぐったくて、暖かな気持ちになった
 ……だから、きっと良いことなんだ。暖かだからね」

穏やかに微笑んだままで、同じく微笑んでいる予期を見上げて
そして自分と同じ境遇の者が少なくないと聞き、静かに目を伏せる

「そうか そうなんだね
 それなら尚の事、生徒として素敵な日々を過ごさないと
 出来る事なら、他の《異邦人》とも仲間になれれば良いけれど──
 ──……まあ それは、まず生徒になってみなければね
 記憶を取り戻せるか、も。やっぱり生徒になるところから、さ

 冷たいが美味しいもの──かい?
 本当に良いんだろうか お金なら、少しは持っているのだけど
 ううん そうだね、それじゃあお言葉に甘えよう」

すこぉしだけ悩む素振を見せたが、あげると言われた物は貰う気質
自分からあまり求めないが故に、親切は素直に受け取ることにしていた

ヨキ > 「ヨキは、知り合った教え子の名前と顔を、みんな覚えていたい性質なんだ。
直接は教えていなくとも――これから常世学園に籍を置く君は、既にヨキの教え子という訳だ。
だからヨキは、ずっと君のことを覚えておく。もしも元の世界へ戻ることがあったとしても、ずっとね」

幽の言葉に、ふふ、と微笑んで。

「そうだな、君はまだ、スタートラインに立っているところだものな。
困ったときには、頼ってもらえる相手になれたらいい。
ヨキはそうやって、この島の人びとに助けられてきたからね」

懐から財布を取り出しながらに、軽い調子で笑って。

「何、気にすることはない。
本音を言えば、『ヨキが食べたかった』だけさ。
君はヨキの我侭に付き合ってくれれば、それでいい」

今の時期のオススメを尋ねると、マンゴー味が旬だという。
それを二つ買い求め、ひとつを幽へ手渡す。

「ほれ、ニタラズ君。…………、ニタラズ?
もしかして、『ニタラズ』という文字がある?」

何度か名前を呼び掛けたところで、漸う気付く。
ニタラズ・カスカ。異邦の響きとばかり思っていたらしい。

九十八 幽 > 「そっか そっか……そうだね、覚えていたいものだね
 これまでに会った人、話した人、名前を聞いた人は、名前を覚えていたいもの」

うふふ、と笑いながらうなずく 幽
いずれ元の世界に帰る事になるのだろうか、と遠くを少しだけ見つめて

「ああ そうなんだね
 ヨキも色んな、素敵な出会いがあって今がある
 うん、素敵な事だね すごく 素敵な事だ
 
 そうだね、困ったときは頼りにする。覚えておくね」

そう言ってアイスを買いに向かうヨキの背を見つめ、見送る
あまり待たせず戻ってきたヨキと、彼が手にしたアイスクリームを見て、
差し出された物を、おずおずと受け取った

「ありがとう、ヨキ
 ……うん? そうだよ、九十八って書いてにたらず
 100に1足りずに99、2つ足らずに98 だから九十八
 ──意味を知ったのは、ついこの間の事なんだけどね。自分の名前なのに」

カスカは幽霊の幽だよ、と続けてから静かにアイスを口へ運んで
小さく目を瞑ってから、冷たいね、と微笑みながら呟いた

ヨキ > 「名前を呼ぶたび、名前を呼ばれるたび、自分が自分で在れるような気持ちになるのさ。
だからヨキが自分を名前で呼ぶのも、その一環のようなもの。
子どもっぽい、などと言われることもあるがね」

大して気にしていない風に笑って。

「ああ。いつかはヨキの方が、ニタラズ君を頼るときもあるやも知れないね。
君の佇まいや言葉の選びは、何とも心地よい」

日陰の中、頬張ったアイスキャンディは冷たくて甘酸っぱい。
満足げに笑いながら、幽の名前の話に感心して目を瞠った。

「ほう、キュウジュウハチ……それでニタラズか。
なるほど、ニタラズ……九十八。幽霊のユウで、カスカ。
ああ、これで名前が更に呼びやすくなった。

ふふ、いい名前だ。
幽霊のユウといえばどこかおどろおどろしいが、深遠で美しい意味の文字だ。

実はヨキにも、一文字で書ける字があってな。
斧だ。木を伐る道具の、斧。斧と書いてヨキと読むんだ」

九十八 幽 > 「ああ、ああ そうだね、その通りだ
 言われてみれば、確かに名前を呼ばれると自分が確かな物になっている気がする
 なるほど、なるほどなあ 早くもヨキに教えて貰った
 やっぱり、ヨキは先生なんだねえ。先生は教える人なんだろう?」

うふふ、と嬉しそうに笑いながら幽は自分の胸に手を当てる
そして小さく自分の名前を口にして、なるほどなあとひとりごちた

「そうかな? そんなことがあるだろうか
 まだ誰かに頼らないと、満足に屋根の下で寝る事も出来ないのだけど──

 ──けれど、そうだね。いつか力になれる事があれば」

その時がいつで、どんな力を求められるかは今は分からないけれど
尽力するよ、と快く肯く 幽

「前に素敵な人はカスカ、と呼んでくれたよ
 だからヨキも、カスカと呼んでくれると嬉しい
 あなたも 素敵な人だからね

 ふふ、名前を褒められるのはやっぱり嬉しいね
 素敵な人たちに褒められるのは、大変大変うれしいもの」

壁から少し離れ、くるりとその場で回り、ヨキと向かい合う
湿気を払う風に髪をそよがせながら、くるりと目を見開いて

「本当かい? 斧、ってあの斧だろう?
 それでヨキ、と読むのかい?それは知らなかった
 ふふ、やっぱりやっぱりヨキは先生だなあ。また教えられてしまったよ」

ヨキ > 「教える人であり、教えられる者でもあるよ。
君を含めて、たくさんの人間と交わって多くのことを覚えていくんだ。
そうでなくては、『先生』は務まらない。
ヨキが君と話をしたいと誘ったのも、ヨキ自身の勉強のためでもあるのさ」

名前についての求めには、こちらも迷いなく頷く。

「それでは……幽君、と。
ふふ、それが君のよろこびに繋がるのなら。何度だって、君の名を呼ぼう。

そう、あの斧だ。
ヨキも初めは意味など知らなかった。
名前を付けてくれた人が、そう説明してくれたのさ。

人の中に交わって生きるのに、人の手に最も馴染む道具の名前を付けた、とね。
木を伐ることは、人間しか行うことのない営みだからと」

アイスキャンディを大きな口で平らげると、ハンカチで行儀よく口元を拭った。

「泊まるところがないのならば、ヨキの家にでも来るかね?
広くはないアトリエ――ものづくりの工房だがね。せめて雨風は凌げる」

九十八 幽 > 「同じ様な事を、前にも聞いたよ
 その人も、先生で、学ぶことがいっぱいあると言っていた
 一緒に学ぼう、って。そう 約束してるんだ」

少しだけうっとりと目を伏せながら、嬉しそうに話す 幽
そのためにはまずは生徒にならないと、と決意を新たに

「うふふ、うん 嬉しいな
 名前を呼んで貰えるのは、やっぱり嬉しい ありがとう、ヨキ
 
 へえ、そうなんだ そうだったんだ
 斧の事は知っているけれど、へえ、ふぅん、知らなかった
 そうか ヨキは……人と共に在るよう願われたんだね」

ちまちまと食べているもののアイスはまだ食べきれそうにない
その後のヨキの申し入れに、少しだけ考えるようにアイスを見つめて

「ふぅん──……そうだね うん、そうだ
 ひとまず、ヨキのアトリエ?工房? その場所を教えて貰えるかい
 黄昏時までは、もっとあちこち見て回っておきたいから
 それまでに何も見つけられなかったら、そうだね、今夜はヨキのところに行こう」

細く長い指がデニムのポケットにのびる
そこから常世島の地図──ところどころにメモ書きがしてある──を取り出して

ヨキ > 「おや。ヨキもその『先生』とはきっと気が合うやも知れないね。
新しいことを覚えたら、ヨキにも教えておくれよ。

どう致しまして、幽君。
ヨキが君の力になれることは、とても少ないからね。
君の役に立てるなら、お安い御用というものさ」

幽の言葉に頷いて。

「そう。人と共に在るのがヨキの役目。
斧のように、人の道を切り開く道具になり――時に武器になる。
それがこのヨキだ。はたして体現出来ているかは、まだまだ分からないがね」

相手が取り出した島の地図を見下ろす。
ヨキが指差したのは、学生街の北――研究区だ。

「ヨキの家は、この研究区にあるよ。
知られた家だから、人に訊けば詳しい場所はすぐに判るはずだ。
もちろん、他に泊まるところが見つかればそちらを使ってくれていい。

あとは……日が沈む頃には、あまり大きな通りから外れない方がいい。
狭くて暗い道では、何が起こるか判らないからね」

九十八 幽 > 「そうだね そうかも。名前も知ってるかもしれない
 ルリエルっていうよ。本当に素敵な人
 たくさん勉強するからね、ヨキにも何か教えてあげられるように 頑張らないと」

気合は十分 けれどもまだ取り掛かるだけの立場が足りない
早く生徒になれたらいいのになあ、と クリスマス前の子供のように天を仰ぐ

「ふふ、そうか そうなんだね
 素敵じゃないか、素敵だよ。必要とされるものになるのは、大変難しいけれど
 ヨキなら、うん 成れるのかも。そういうものに
 今は不完全だったとしても、いつか、いつかね」

穏やかな笑みを口元に湛え、眩しそうにヨキを見る目を眇める
この島の人たちは本当に眩しい そう心の内で呟きながら

「おお、研究、区。
 まだ見て回ってない場所だ。わかったよ ありがとう、ヨキ
 もし泊まる場所が見つかっても、報告だけはしに行くからね

 それに、夜道は十分に気を付けるよ
 良い事があった素敵な日だから、台無しになるのは嫌だからね」

うふふ、うふふと楽しそうに笑いながらようやくアイスを食べ終える
そうしてゆっくりと腕を広げ、ヨキを見上げて

「それじゃあ改めて、九十八 幽だよ
 こんにちは、ヨキ。どうぞよろしくね」

挨拶代わりのハグを求める幽

ヨキ > 「おお、ルリエルか。まだ世話にはなっていないが、話は聞いておるよ。
そうか、彼女のことであったか。ヨキも彼女とは話が出来る機会があれば良いと思っておったのだ」

聞き知ったばかりの名に目を細める。
幽が本当に素敵だと称するのなら、その人柄も察せられるというもの。

「有難う。君がそう言ってくれるなら、本当にそうなれる気がするよ。
ヨキは前向きであることが自慢なのでな。ふふ、君の言葉はほっとする」

耳に心地の良い響きでも聴くように、目を細めて。

「ああ、それなら楽しみにしているよ。
研究区も、この通りとは違った魅力のある場所だ。
このアイスキャンディのように、甘くて美味しいものはなかなか手に入らないがね」

両腕を広げる幽に、しばし目を瞬かせて。
それが挨拶と知れると、ふっと笑った。

「幽君。このヨキを、こちらこそよろしく頼むよ。どうぞ末永くね」

腕を伸ばし、軽やかに抱き返す。
ヨキの頑健な長い腕が、幽の背をぽんぽんと叩く。
歓迎の意のみならず、自分がそこに在ることを知らしめるように。

九十八 幽 > 「そっか、そっか やっぱり知ってた
 やっぱり同じ先生だから、学校に行けば居るんだね」

また会いたいなあ、と楽しみを語る姿は年端もいかない子供のよう

「ほっとする? そうかな
 でも、そう言って貰えると嬉しいな。嬉しいね

 嬉しい事がたくさんあるから、ここ何日かはとてもとても楽しい
 きっと研究区も楽しいね。ヨキが言うんだから」

ヨキの腕に抱かれれば、幽も確りと腕を背に回して

「そうだね どうぞ末永く
 うん やっぱり人の体温は温かくて好きだね」

ぽんぽん、と自分がされたようにヨキの背を叩いて
静かに身体を離すと、にっこりと微笑んだまま一歩、後退し

「それじゃあ また後で、ヨキ
 冷たいけど、美味しいものもある 教えてくれてありがとう」

ぺこり、と一礼 頭を下げて
するりと踵を返せば 穏やかな足取りで往来の中へと溶けるように消えて行った


──日が沈んだ頃、結局泊まる場所を見つけられずにヨキのアトリエを訪れる幽の姿が

ヨキ > 「ああ。彼女ならきっと、保健室に行けば会う機会もあるのではないかな。
この学園には、大勢の人間が居るからな。
一人でも多く、支えになる相手を見つけていってくれたまえ」

幽の柔和な様子に、自分もまた穏やかに微笑む。

「君の楽しみや喜びになれることを、嬉しく思うよ。
そうやって覚えていてくれた方が、ずっといい。
これから、一緒に菓子を食べた以上の思い出を作ってゆこう」

出会いを分かち合う顔はとても楽しげで。
身体を離して、幽の挨拶に応える。

「ああ、どうぞ気を付けて。
いいことが一つでも見つかるように、楽しんで行っておいで」

そうして幽を見送って――

――アトリエにやってきた彼を、改めて笑って迎え入れる。
幽を出迎えるのは、金属で造られたたくさんの作品と、温かな夕食と、清潔なベッドだ。

ご案内:「学生通り」から九十八 幽さんが去りました。<補足:黒の蓬髪 不健康そうな目元 中性的な顔立ち 腰に刀 (既知・乱入歓迎です)>
ご案内:「学生通り」からヨキさんが去りました。<補足:29歳+α/191cm/黒髪、金砂の散る深い碧眼、黒スクエアフレームの伊達眼鏡、目尻に紅、手足に黒ネイル/拘束衣めいた細身の白ローブに黒革ハイヒールブーツ、右手人差し指に魔力触媒の金属製リング>