2020/06/12 のログ
ご案内:「スラム」にアーヴァリティさんが現れました。<補足:猫耳と制服。そこらへんで拾った特に何もない刀を手にしている。>
ご案内:「スラム」に追影切人さんが現れました。<補足:着崩した黒い改造学ラン、錆びた刀>
アーヴァリティ > この格好でいるとあの日を思い出すなー」
先ほど、死体の隣に転がっていた刀を回しながら懐かしい記憶を掘り起こす。
追影切人、彼と体を重ねた日を思い出して、両手を頬に当て恥ずかしそう赤面しながらに体をくねらせる。
...が、その動きを突然止めればその目を大きく開き
「でも...また戦いなあ
その方がやっぱり興奮する...!」
口元を歪めて狂気じみた笑みを浮かべて。
追影切人 > 「あーーひっさびさにここら来たが…あんまし変わり映えしねーのなぁ」
そんなスラムを一人歩くのは、黒い改造学ランに錆びた刀を腰に帯びた目付きの悪い少年。
隻眼の鋭い視線で周囲の有様を眺めているが、特に言葉とは裏腹に何の感慨も無い。
スラムはスラムでしかなく、それ以上にも以下にもならない…そんなものだ。
「―――あン?」
…と、そこで唐突に”懐かしい”気配を感じ取る。まだかなり距離があり、障害物も多いのだが。
この馬鹿の何かを察知する術は異能じみた精度を誇る故に、それを感じ取ればニヤリ、と笑って。
「おーおー、何だよアイツじゃねぇか…奇遇だねぇ、こりゃ。」
いいねぇ、そういえばまだ決着も明確に付けられていない気がする。前回も痛み分けだ。ならば――。
「アーーーーーーヴァーーーぁ!!いっちょ派手にやりあおうぜーーー!!!」
と、そちらにも聞こえそうなくらいの大声と、ついでに殺気を全て彼女一人に向けながら嗤う。
アーヴァリティ > 「あれ?あれあれあれあれ?」
視界には映っていないが、この懐かしい声と気配は...
口元の歪みは加速し、口裂け女のような形相を呈する。
「アハハハハハハハハ!切人!!!久しぶりだね!」
愛すべき強敵、決着をつけねばならない相手。常世の刃鬼。
その彼の声を聞いた途端、全身の血が沸騰した。
今まさに彼のことを想い、彼との思い出に熱くなっていたところだ。
大声で笑いながら。
「いいよいいよ!殺しあおう!決着をつけよう!」
魔法の補助を得つつ、風の魔術を纏わせ、先ほど拾ったばかりの刀を彼がいるであろう方向へと、全力で投擲した!
追影切人 > 「おぅおぅ、テメェの事だからあれからどうせ強くなってんだろ?なってんだよなぁ?なってねぇなら切り刻んで今度こそ殺してやるってなぁ!!!」
まだかなり距離があるにも関わらず、お互い直ぐ間近で会話しているようにやり取りを。
左腰に提げていた錆びてあちこちがボロボロの刀を、右手で無造作に抜き放ち――
「まぁ、こまけぇこたぁアレだ…言葉より”こっち”でやり合うのがいいよなぁぁぁ!!!!」
次の瞬間、風の魔術に包まれた刀が建物を突き破って顔面に飛んでくる。
それを、交わしもせずに右腕を振りぬけば、まずその刀身ごと風の魔術をバラバラに粉砕し…
「んじゃあ―――ぶった斬るとしますかぁっ!!!」
そして、再度右腕一本で刀を今度は真横に振り抜く!!――次の瞬間、目の前のボロい建物がバラバラに切り刻まれ。
無数の破片が、まるで散弾のように彼女とその周囲に目掛けて高速で弾け飛んでいく!
アーヴァリティ > 「いきなり殺意が高いね!君とずっとずっと殺りあいたかったよ!2年だよ2年!!!」
絶叫しながら、粉砕された建物の破片を触手を展開して防ぐ。
細かいものは無差別に防御し、大きな物は触手で絡めとり、少し高い位置に構えておく。
そして、破片のほとんどが自分の背後を粉砕し、辺りが粉塵に包まれれば、愛おしい敵の影が粉塵に投影され。
「早く君の姿が見たいよ!粉塵を払うね!」
異空間より愛銃を取り出しながら、絡めとっておいた50cmから1m程度の建物だった瓦礫を高所から彼に向けて投擲した!
追影切人 > 「ばっかお前…2年だろうが何だろうが関係ねーよ。テメェとの決着は必ず付ける。
これは、俺もテメェも望んでた事だ――たかが2年で色褪せるもんじゃねーのよ。」
勝ち負けとか生き死にとかそんな事より、まず”白黒付けないと気が済まない”。そんなシンプルさ。
建物を豆腐のようにバラバラに一瞬で刻み、破片をぶっぱなしながら前へと低く跳躍。
粉塵に包まれる中に躊躇無く飛び込みながら、彼女の側からはこちらの影が見えただろうか。
「ハッ!見たけりゃ見せてやる――ただのスカーフェイスだがなぁ!!!」
瞬間、高所から超速度で投擲された瓦礫を、左手を手刀に変えて振り抜く!!
それだけで、まるで左手が刃物にでもなったかのように瓦礫を再度バラバラに切り裂いてしまい。
同時、粉塵も余波で切り裂いて仕舞えば――お互い目が合うだろうか?
「よぉ――2年ぶりだな【黒触姫】」
獰猛な笑顔で挨拶を交わせば――躊躇無く間合いを詰めて一刀を見舞おうと。
アーヴァリティ > 「僕もずっと再戦を楽しみにしてたよ!宿敵と2年ぶりに再戦!熱くならないかい?!
君も望んでたっていうんだったら僕は嬉しいよ!」
僕は戦いが大好きだ。
その中でも再戦、強者との再戦、一度相討ちとなった敵との再戦!
これほど興奮する、熱くなれることはない!
今度こどは、勝ち負けをはっきりつけて、勝ってやる!
例えるならドアを開ける前のノックであった投石への返事はドアを開くことを促すどころか、内側からドアを蹴破るような物であった。
だが、それを僕は望んでいるしそうなるのはわかりきっている事だ。
粉塵が切り裂かれ、姿が露わになった少年と目が合う。
「久しぶりだね、【刃鬼】!」
獰猛な笑顔に、猫耳が似合わない凶悪な笑顔で返せば間合いを詰めにくる彼に対してしてバックステップをとりつつ、彼の足元に透明なシールドを複数設置して転倒を誘う。そして愛銃のモードをマシンガンへと切り替えれば彼の1mほど前方にラインを引くように連射し、触手を射出できるよう、数本縮んだバネのように構えて。
追影切人 > 「ああ、少なくとも退屈はしねぇし――テメェは強いから斬り甲斐があるってもんだよなぁ!!」
何時もはややローテンションなのだが、この時ばかりは話は別だ。
一番の好みは斬り合いだが、戦いそのものは大好きだ――相手の本質が垣間見えるのもある。
だから、初手から遠慮はしない。怪異だろうが強敵だろうが何だろうが――全部斬り捨てる!
「…っと、ぉ…!?」
不意にガクンッ、と彼女へと一気に間合いを詰めた筈だが足元がグラついた。
目に見えない…何かがある。これは覚えがある…シールドか!!
「ハッ!前より小細工利いてんじゃねーか!!」
瞬間、無理矢理足を踏み出すと同時、何かが割れるような音と共にシールドを無理矢理”脚で切り割った”。
存在そのものが”刃”とも例えられるこの馬鹿は、その全身が刃物のようなものだ。
だが、それでも間合いは取られた上に今度は前方1メートルにラインを引かれるようにマシンガンの連射。
「…ちっ!」
シールドを切り割った足で地面を強く踏みつけ…そこを基点として地面を切り裂いて地割れのように一部を持ち上げる。
それよりに、地盤そのものをシールドとして銃弾の連射を受け止めんとし。
ただ、それでも彼女が既に用意していた触手の追い討ちは回避できるかは怪しいが。
アーヴァリティ > 「僕も君は強いから最高に気分がいいよ!こんな興奮ここ数ヶ月味わってなかった!」
この刃鬼は理不尽で、対策の立てようがある。そんな素晴らしい宿敵だ。
2年前より強くなっているであろうなら、尚更だ。
この全身が沸騰し、血が滾る。それこそが戦いだ!
「そりゃ君相手にただのシールドは意味がないだろう?!全部切り裂いちゃうからね!」
前回の反省、こいつにシールドの意味はない。
ただし、防御に使う場合に限る。
知覚されなければ切られない。それならばトラップとして使うべきだろう。
シールドは半透明であり、サイズが自由、となればこの視界も足元も悪い中では使い勝手は最高だろう。
無事間合いを取れば、縮めた触手とは別の触手を縮め構えながら、予め縮めてあった触手の2本を左右から若干の高低差をつけて、彼が盾とした地盤を貫き襲わせる。
多数の触手で襲ったところで一薙だ。
それならば少数で細く強力な一撃を放つまでだ。
追影切人 > 「あぁ?テメェの事だからしょっちゅう殺し合いとかしてんじゃねーのかよ?」
いや、してるだるろうけど歯応えのある相手がそんな居なかったという事だろうか?まぁ、いい。
血沸き肉踊るのはこちらとて同じ事。ただ、その興奮も昂ぶりも全て斬る事に全振りだ。
己はそういう存在で、そういう生き方しか出来ない欠陥品だと…とっくに分かっている。
「当たり前だ、中途半端なシールドなんぞ紙切れ以下だ」
かなりの硬度を誇るであろう、黒触姫のシールドをそう言い切る傲慢さ。
だからこそ、その足元を実際に掬われたのだが…理不尽は理不尽。脚でシールドぶった斬れば解決だ。
知覚出来なかったのは、これが”初手”だから…次に同じトラップを仕掛けてきたら例の勘で気付くだろう。
学習能力を備えた野生の勘、というのも変な話だが――
「―――チィッ!」
地盤で銃弾の弾幕をガードした直後、左右から僅かに高低差が付けられた触手の追撃。
ただ、それでも右手の錆刀を瞬間的に振り抜くようにして、触手の軌道を逸らすように切り裂いていく。ただ、1本は綺麗に切り裂いていなしたが…。
「……っ!」
もう1本は軌道を逸らし切れず、なまじ細く強力なそれが馬鹿の左の脇腹を貫いて。
「……クソが。やるじゃねーかアーヴァ。」
思い切り脇腹に触手が突き刺さっているのだが、それでも全く戦意は萎えていない。
アーヴァリティ > 「面白い殺し合いがないんだよ!」
最後に、特別面白かったのは1年前の風紀委員会との戦いだっただろうか。
あれは楽しかった、是非又戦いたい。
そして、それよりもこの再戦は楽しい。
終わる前どころか始まってすぐの時点から再戦の再戦を望むほどには楽しい。
「だよねだよね!だから今回は無駄遣いしないことにしたんだ!」
あの時は焦った。せっかく時間をかけて覚えた概念を防ぐという概念を一瞬で切り捨てられたのだ。
どうにかして生かせないかと考えた結果こうなったわけだが、正直これはただの初見殺しにしかならない。
自分の変装すら見破る彼の感覚の前には、これ以降ロクに機能しないだろう。
「当たったね!よかったよかった!」
あのあと、2年間かけて蓄積させた彼への対策は無事通じたようである。
見事彼の脇腹を貫いた触手。
露骨に歓喜を表情にだし、笑み合った時に続き、再び凶悪な笑みを浮かべながら同じ風に触手を2本突き出す。
今度は時間差もつけようか。
また、それと同時に新たに構えている触手3本には何か細工を行っているようで、他のものと比べて触手が太くなっており...
追影切人 > 「ハッ!そりゃご愁傷様って言ってやろうか?」
とはいえ、こちらも学園生活で何だかんだ”牙”を抜かれているのは否めない。
準一級監視対象としてあれこれの縛りがある上に、定期的に風紀委員会に報告義務もある。
(――まぁ、今はそういうの考えてもしょうがねぇ。馬鹿だしな)
そんな事より目の前のコイツを斬る事だけを考えよう。
脇腹の怪我は…ああ、これ見事に貫通してるな。出血量も地味にヤバそうだ。
――と、なると長時間は持たない。さて、どうしたもんやら。
被弾は最初から覚悟はしていたが、細い触手だと思っていたが、強度と正確性が段違い。
緩く息を零しながら、右手に携えた錆刀を握り返す。一度、隻眼で周囲を見渡してから視線を黒触姫に戻し。
「―――お返しだ。”余所見すんなよ”黒触姫」
次の瞬間、無造作に右手の刀を斜めに袈裟懸けの軌道で振る。
…が、斬撃が飛ぶ訳でもなければ、何か目に見えた現象が起こる訳でもない。
――ただ、もし彼女がその場を飛び退いて回避しなければ、無数の斬撃の雨に襲われる事になるだろう。
魔術?異能?どっちとも言えるしどちらとも言えない。
アーヴァリティ > 「もっと強いやつと戦りたいよ!」
ここ最近常世島は腑抜けているように感じなくもない。
実際は運が悪いのとストレスに任せて雑魚を狩すぎたの二つのせいなのだが。
「余所見...!」
こちらから見れば左上、彼から見れば右上からの袈裟斬り。
ただの敵であれば何もないが彼の場合は違ってくる。
この動きはー
「飛ぶ斬撃ッ!」
彼の特異性、異能でもなく魔術でもないらしい、彼特有の能力。
研鑽の果ての覚醒とでも称そうか。
となれば襲い来る斬撃は左上から。特段周囲に異常は見られないが、わざわざ宣言したのだろう、回避するに越したことはないだろう...!
先ほど射出した触手は諦め、ただし先ほど構えた触手は連れて足場にシールドを生成し、強く踏み締めてその場を飛び退く。
飛び退いた先で受け身をとったぐらいのタイミングだろうか。
先ほどまでいた場所に不可視の斬撃が降り注いだ。
それを見て警戒を一層深めれば、自分の周囲に強度はほぼないシールドを展開して同じような攻撃への対策を講じる
それと同時に先ほど構えた少し太い3本の触手を全て上から襲い掛からせるだろうか。
追影切人 > 「つーか、お前いい加減そろそろ捕縛でもされそうじゃね?」
と、肩を竦めてみせる程度には元気だ。ちなみに、現在進行形で左脇腹は触手貫通状態だけども。
「飛ぶ斬撃…つーのとはちょいと違うんだけどな。」
まぁ、正直理論とか仕組みは肝心のこの馬鹿が一番理解できてないのだが。
研鑽だとかそんな上等なものでもない。自分は求道者でも剣術使いでも何でもない。
――ただの斬る事に特化した概念だ。
まぁ、正直相手が警戒してくれたのは好都合である。さっきの宣言も、今の動作もパフォーマンスみたいなもの。
そして、あろう事か無造作に右手の錆刀を腰の鞘へと乱暴に戻せば。
「―――。」
無言で上から襲い掛かる触手を隻眼で見る――ただ、それだけで触手全てをずたずたに切り裂いてしまおうか。
――”加減”が難しいのか、余波で周囲の建物を数件切り崩してしまったが、まぁいい。
「まぁ、アレだ―――ちまちま出し惜しみなんて面倒くせーし…刻み殺すぜ。」
一歩、二歩とゆっくり間合いを詰める。そのたびに勝手に足元の地面、周囲の建物が不可思議にも切り刻まれ崩れ落ちていくだろう。
小細工でもシールドでも触手でも何でもいい。来るなら来い…こないなら刻み殺すまで。
アーヴァリティ > 「僕の異能は姿を変える異能だって話してなかったっけ?」
話してない気がするが、彼の前で何度か見せているし。
実際風紀が討伐隊を組んで自分を狩に来たことはあるが、負けではなく死ぬ戦いは好みではないため避けている。
そのうち風紀も諦めたのか、討伐隊といったものを組んでくることはなくなった。
そのおかげでただの雑魚が散発的に来るだけになってしまいつまらないが。
「僕からしたら飛ぶ斬撃みたいなものだよ。全く物騒だなあ」
さて、そんな軽口も叩きながらも、麻痺毒を仕込んだ触手が見ただけで中身ごと粉砕された。
さて、これはマズイ。
2年という月日はやはり、お互いを成長させるのに長すぎたようだ。
これは、長引かせても意味のない戦いになりそうだ。
長引かせれば彼の疲労で此方の勝利となるだろうが、それまで逃げわまるのは楽しくない。
自分が求めるのはー
戦いだ。
「近づいただけで死なない?それ大丈夫?」
とはいえ、対策を考えねばならない。
数本の触手を地中を伝わせ彼の足元、や背後から襲わせようとしつつ、愛銃を彼に向けて連射する。
追影切人 > 「あーーそうだっけ?初耳っつーか…そもそもお前が変身してもフツーに分かるし。」
と、例の謎の察知能力の事を言い出せば肩を竦めて。変装しても気配や魔力が別人でも関係ない。
そういうのを本能的に察知するものであり、能力でも魔術でもなく育った環境の副産物でしかない。
「いや、テメェに物騒とか言われたくねーよ!!」
と、突っ込みを入れるが、左脇腹に刺さった触手の存在を忘れていたのか激痛に眉を顰める。
今の状態はこちらとしても操作があまり利かないので面倒なのだが…勝つ為にはやる事はやるまで。
「さて、どうだろーな?正直理屈とか仕組みはサッパリだし」
そういうのは研究者とかに任せておけばいいんじゃねーかな、と自分の能力などについてはアバウトだ。
足元からの触手の一撃は、触手が現れた瞬間に地面ごと切り刻み沈め、背後からの奇襲も同じく切り刻む。
見えていなくても認識が出来ていれば、それを基点として切り刻む――だから、彼女が銃を連射しても銃口に認識を合わせて片っ端から弾丸を切り裂いていく。
(とはいえ、あんまし長くは持ちそうにねーなぁ)
最悪、義眼を使う事も視野に入れながら―無造作に地面を蹴り付ける。
瞬間、後方の地面が抉られるような衝撃と共に一気に間合いを詰め――彼女が動く前に手刀で切り刻まんと迫り。
アーヴァリティ > 「もしかして僕の変身って毎回君には全く意味なかったりするの?」
彼の感覚は鋭い。異様に。
それでも多少は変身している、と認識されていると思っていたのだが、変身しているこという事実すら貫通して見られていたとすれば。
別に彼を意識して発動しているわけではないが、1ミリの意味もなかったことになるのだろうか。悲しいお話だ。
「お互い様だよ!その触手痛そうだね!」
彼の腹に刺さっている触手に、最初から適当な薬物でも詰めておけば今からでもダメージに直結させられたのだろうが、後の祭りだ。
さて、地中から向かわせた触手は地中にあるうちは切り刻まれることは無かったし銃弾だって銃口を見て防いでいるようだった。
認識していないと切れないのだろう。
「あんまり使いたくないけどッ!」
彼が爆速で、そして其の手刀が自身に迫る。
通常の回避では遅すぎるし、彼にシールドは無意味。
となると...魔力の消費は今日はそこまでだ。
となると
「テレポート!」
テレポートを一度叫び、『三度』発動する。
彼とすれ違うように、彼が抉り取った地面までテレポートし一度。
そして其の瞬間触手を急遽縮め、適当な方向に発動し、二度、三度。
テレポートは独立した魔術ではない。空間魔術の一つだ。
それを応用し、先ほどまで自分がいた、今は彼がいる空間に今射出した二本の触手がテレポートし、彼の腕と足を地面に縫い付けようと超速で迫った。
追影切人 > 「流石に、姿は違って見えるが…あーー何つーの?テメェ特有の感じが染み付いてるっつーか残ってるっつーか。」
正直、ごく自然に感じ取っているので、彼女の変身に落ち度がある訳ではなく。
本当に、単にこの馬鹿の察知能力がちょっとアレなだけの話であって。
結論、よくわかんねぇ!!まぁ、自分の能力すらもアバウトにしか認識してない馬鹿である。
理論的な説明など出来る訳がないし、そんな小難しいのは生来苦手なのだ。
「あぁ!?いてぇに決まってんだろうが!!が、テメェはここで切り刻むけどな!!」
つまり、痛覚はちゃんとあるらしい。その辺りはまぁギリギリ人間である。
ともあれ、認識すればその時点で防御などを素通りして切り裂ける。
認識とはそこに居る・存在しているという事で――存在しているなら斬れるだろう、という出鱈目な理屈が能力として機能している。
斬撃を束ねて足元で衝撃として放ちながら、その勢いを利用して超加速…からの手刀による不意打ち。
認識していれば斬れるのだから、別に接近して彼女を切り刻んでもいいのだが…。
(それじゃ斬った事になんねぇんだよ!!)
この手で直接きっちり斬らないと気が済まないし納得できない。逆に言えばそこが付け入る隙か。
瞬間、彼女の姿が消えた――テレポート…?
「…これは――クソが…っ!!」
彼女がテレポートした先は知覚した。だが、射出された触手を認識するより前に手足を触手が貫通し…そもそもほぼ零距離だから認識しても僅かに間に合わない。
結果、片方の手足を縫い止められて身動きがほぼ封じられる事に。
(くそ、地味に出血がやべぇな……まだ詰んではいねーが)
片腕と片足は触手に縫いとめられ、左脇腹も触手が貫通している。それでも割と元気そうなのがおかしいが。
アーヴァリティ > 「ああ、それならよかったかな。一切意味がないとなるとちょっと困るから」
そもそもあの幼女の姿ですら、本当の姿ではない。
其のさきを貫通されているのなら、彼を生かして返そうか悩むところであるが、杞憂であったようでよかった。
「僕は君を殺す気はないんだから君も生かして帰してくれないかな?」
殺し合い、と言ってはいるが此方は殺す気はない。
自分は決着をつけることが目的だが、彼は自分を切ることが目的なのだろうか。
まあそこまでぶっ殺す、という風ではないため冗談めかして返す。
「ふう...危ない危ない...やっぱり君とやり合うのは楽しいね。」
あそこで切り刻まれていてもおかしくは無かったのだが、彼もやはり僕と同じらしい。
この戦いを楽しんでいるのか、自分の手で仕留めたいのか。
だからこそ僕は急所を狙わないし、触手にも酸をつめたりはしなかった。
どうあれ、お互いこの戦いに自分なりの目的を持っているようで。
「それじゃー止め刺させてもらおうかな!」
動きが止まっている間に決着をつけてしまおうか。
何、とどめと言っても殺したりはしない。
少し気を失ってもらうだけだ。
彼に視線を向けたまま、両腕を上げて竜巻を作り上げる。
と、それは見せかけで実際は先ほどの触手射出と同じ感じで 睡眠毒を彼の頭にぶっかけるようと彼の頭上から青い液体が降るだろう。
追影切人 > 「あくまで感じ取れるっつーだけで、見た目まで素通りして見える訳じゃねーっての。」
あくまで本能的に嗅ぎ分けるみたいなだけで、変身を無効化しているとかそういう訳ではないのだから。
単純に、その察知能力がずば抜けており異能に片足を突っ込んでいるレベル、というだけだ。
「あーー?生き死にとかどうでもいいんだよ。俺はただ斬ると決めたら絶対に斬る。そんだけだ」
死生観というか、あくまで少年の存在はそこに集約される。生きてようが死んでようが関係ない。
斬れるヤツは斬るし、斬れないヤツは斬れるまでやるだけだ。それが全て。
ただ、今回に関しては矢張りグレーだった決着をきっちり付けたいという意味合いが強いのは否定できない。
「おい、テメェ俺はまだ負けてね――」
彼女が竜巻を作り出せば、反射的にそれごと切り刻もうとするが…何かが頭上からばしゃり。青い液体のそれ…それを被れば。
「負けてね―――…ぐぉぉぉ…。」
綺麗に一瞬で爆睡モード。どうやら効果は抜群だったらしい。
そのまま、崩れ落ちてバターンと倒れつつ。三箇所も触手が貫通したままだが、寝息は割と平気そうだ。
馬鹿だがタフなのは間違いなく…そして、決着は見事にこちらの負けであった。
アーヴァリティ > 「それなら良かったよ。見られてるなら...ほら、こうやって眠らせるだけで済まなくなるからね」
てっきりもう少しぐらい粘ると思ったのだが、一瞬で眠ってしまった。
これだけの怪我をしていて平気そうな顔をしている追影の頬を無用心だな、と近くに蹲み込んで突っつく。
寝てしまえばあの理不尽な能力を使う刃鬼といえば、可愛いものだ。
さて、満足いくまでしばらく頬を突っついたり、こねくり回せば、立ち上がって伸びをすしてー
「勝った!!!やったあ!」
勝利の雄叫びをあげる。「あああああああああ」と歓喜の声が切り刻まれ広くなったスラム中に広がっていく。
「楽しかったよ!また戦り合おうね!」
見た目の年相応の笑みを彼に向ける。もし彼が眠っていなければ、らしくない笑みに驚いたかもしれない。
そして、落ち着いて見回せば、意外と野次馬だったり、色々な場所に見物人がいたようだ。
強そうなやつもいるが、今日は大満足したし、大人しく自分の家へと帰ろうか。
遠距離テレポートを行使して、その場から離脱した。
その後数日、スラムで黒触姫と呼ばれる怪異 らしき影は一切目撃されなかったらしい。
この日の勝利を何度も思い出して楽しそうにしていた、とは本人以外知り得ない後日談であるが。
ご案内:「スラム」からアーヴァリティさんが去りました。<補足:猫耳と制服。そこらへんで拾った特に何もない刀を手にしている。>
ご案内:「スラム」に伊都波 凛霞さんが現れました。<補足:焦茶の長いポニーテールに焦茶の瞳、制服姿、読書の時だけメガネ。完璧超人お姉ちゃん>
追影切人 > 「テメェ…むにゃ…まだ、決着は付いて…スゥ…逃げんじゃねー…」
どうやら、夢の中でまだ続きをやっているのか、寝言を漏らしながらも爆睡中。
何か頬を突っつかれたりすれば、うーん、と魘されてるような感じに眉を顰めており。
そして、爆睡こいているのだが、片方の手足は触手が貫通したままであり、特に左脇腹なんて先ほどからずっとだ。
地味に出血多量になりつつあるのだけれど、本人は暢気なもので睡眠毒の効果が出すぎているのか夢の中。
お蔭で、黒触姫の珍しい笑みも何もかもを見過ごしていたというオチであり。
伊都波 凛霞 >
さて、件の黒触姫が去って数分
周囲で待機していた風紀委員達が現場に入り込み、封鎖
「うーん…また派手に……えっと、重傷っぽい、けど…命に別状はなさそうかな」
スマホで風紀のデータベースにアクセス
閲覧可能な情報と照らし合わせて……
「追影切人クン本人でほぼ間違いなし、と。じゃあ保険課の皆さんお願いします」
血塗れで爆睡している様子を見れば情報通りのなんとやら、とりあえず病院に連れていくことになりそうである
「黒触姫さんのこととかは起きてから聞かないとかな…まぁ私の仕事じゃないけど」
実に手際よく寝ている彼は担架に乗せられ、保険課の特殊車両へ
とりあえず適切な治療も受けられることでしょう
「さて、それじゃあとの保全はお任せしますね、撤収ー」
現場に残る風紀委員にぺこりと一礼して、自分もまた車両に乗り込んで、爆睡する少年と共にスラムを後にするのでした──
ご案内:「スラム」から伊都波 凛霞さんが去りました。<補足:焦茶の長いポニーテールに焦茶の瞳、制服姿、読書の時だけメガネ。完璧超人お姉ちゃん>
追影切人 > 「うーーん、うーるーせーぇ…むにゃ」
そして、黒触姫が撤収してから数分後に今度は風紀委員達がやって来た。
この騒動の元凶の片割れでもある馬鹿はといえば、相変わらず暢気に爆睡モード。
誰かの声が聞こえた気がするけど、殆ど眠っている状態では誰だか分からない。
知っている声の気もするし知らない声の気もする。
(あーー何かすっげぇ眠てぇ…。)
意識の一部はまだ起きているのか、そんな事を思うが大部分の意識はとっくに夢の中。
その後、手際よく車両に乗せられて連行――到着直前に目を覚まし、ガバッ!と体を起こそうとして激痛に苛まれるオチだった。
尚、治療の後に風紀の上層部から呼び出され、「お前の監視対象レベル戻すわ」的なことを言われて揉めたのは別の話である。
ご案内:「スラム」から追影切人さんが去りました。<補足:着崩した黒い改造学ラン、錆びた刀>