2020/06/07 のログ
アーヴァリティ > 「ん?今声がしたよねえ...?何処かなあ?」

迫る銃弾を掴み、薙、返し、躱し、繰り返し。
そんな人外じみたー実際人外なのだがー事を繰り返していればこんな空間に合わない声が耳に届く。
そう、例えば好奇心で裏道を通って僕に見つかって首をはねられたり細切れにされたり締め殺されたりする学生みたいな...
まあいつもそうしているわけではないが、それに今日もそうする予定はない。
無闇に生徒を殺すものではない。無闇に殺して風紀に目をつけられたりすれば死ぬのは自分だ。
それに、今は化ける姿のストックも余裕がある。
となれば、たまには会話による退屈凌ぎも良いだろう。
未だに攻撃を続ける野蛮で空気の読めないモブ共を魔術の斬撃を乱発して一層し、足元から這わせた触手で潜む者を探し出しておそう。
足をつかんで振り回したり鋼鉄並みの耐久を生かして頭を潰しても良いだろう。
そして、あたりを一掃し終えれば、声の聞こえた方ー竜一の方へとあゆみをすすめだし。

「出ておいでえ」

できるだけ怖がらせないように、優しく声を掛けるが、その姿は返り血を浴びた女学生の姿をした化け物である。

鈴木竜一 > 貴女の囁きは,銃声や悲鳴に紛れてこの男にとどかなかった。
そのまま息を潜めていられれば,何事もなくこの嵐をやり過ごす事ができたかもしれない。
けれど,この状況は,それほど甘くなかった。

“化け物め!”

叫びながら銃を乱射していた男が一人,同じ車の影に飛び込んでくる。
そして次の瞬間には,車を貫通してきた触手にその頭を貫かれ,動かぬ死体へと変わった。

「………う…うわあぁぁぁぁあああああっ……!!」

悲鳴。貴女が声をかけるまでもなく,男は飛び退くように車の影から飛び出した。
ちょうど貴女が,そこに立っているなんて,知る由もない。
貴女の眼前に飛び出すか,もっと間が悪ければ貴女にぶつかってしまうかもしれない。

アーヴァリティ > 「あっ見ーつけたっ」

何に驚いているのか、絶叫しながら飛び出してきた少年を両手で優しく受け止めて純粋で明るい笑みを浮かべて少年の顔を見つめる。

「こんばんは!僕はアーヴァリティって言うんだ!君の名前は何かな?」

先ほどの笑顔のまま、少年の顔に自分の顔を近づけて問いかける。
少年を捕まえる腕は締め殺すほどの強さではないが、並大抵の人間では抜け出すことはできない力で少年を捕まえており、逃す気はないようだが、それと同時に殺意や狂気もロクに感じられず、質問にも特に含みはない。
純粋に少年との会話を楽しもうとしているようで、笑みにも特に恐怖を感じるような部分はないだろう。
返り血がついてる事を思い出せば、触手で素早く拭き取って仕舞えば笑顔は落第街など似合わない何処にでもいる女学生の平和的なものと遜色なくなり。

鈴木竜一 > 「……っ!!!」

前を見てすらいなかった男は,貴女の両腕にその自由を奪われた。
恐怖に引きつった顔は,返り血を浴びた貴女を見れば一層青ざめて,言葉を失う。
反射的にその両腕を振り払おうと力を込めるも,びくともしなかった。

「…………え……?」

けれど,貴女が発する言葉はあまりにも“普通”で,近づけられた貴女の表情は,それこそ,こんな場所には似合わないような……笑顔。
返り血も拭われてしまえば,もうそこには,この惨状を齎らした怪異の面影は少しもない。
…恐怖のあまり,貴女の姿を“見ていなかった”こともあって,男は貴女こそが怪異だと,まだ気付くことができなかった。
貴女の腕に包まれて……徐々に落ち着きを取り戻す。

「……俺は…竜一っていうんだけど……。」

それでもまだ,理解が追いついていない。
貴女は一体何者なのか,この惨状を引き起こした怪物は何処へ行ったのか。

アーヴァリティ > 「へえ竜一って言うんだ!よろしくね!」

何処にでもある平和な表情で話しかけただけあったのか、少年の様子は飛び出してきたときのような慌てたものではなく、落ち着いたものとなっている。
それか、もしかするとこの少年はバケモノやら超常的な事象に溢れたこの島についてまだよく知らないのかもしれない。
もしそうなら、今ここで自分の顔の半分を崩して人外である事を教えたらどうなるのか、どういった反応をするか気になるところではあるが、せっかく捕まえたのだ、楽しくお話ししようではないか。

「こんな時間になんでここにいるの?ここは危ないよ?迷子にでもなったの?」

何が危ないって、主に僕とか僕とか僕とか...
少年の身を案じており、少年が何故このような場所にいるのか興味があると言わんばかりの表情で少年に問いかける。
近づけた顔を離し、両手での拘束も解けば少年が隠れていた車の屋根の上に腰掛けて隣に座れ、と手で軽く自分の横を叩いて少年にニコッと微笑んで見せて。

鈴木竜一 > 「……よろしく,ってか……。」

何でこの状況で,貴女はこんなに落ち着いているのだろう。心が一瞬ざわつき,背筋がふわりと寒くなった気がした。
この島に渡ってきて,そう時間が経っているわけでもない。
怪異の存在はもちろん知ってはいるが,平和な表の空間にいる限り,こうして遭遇する機会は無かったのだ。

とは言え,その身体が解放されても,走って逃げ出すようなことはしなかった。
貴女は優しく声をかけてくれて…微笑んでくれる。

「バイトで遅れちったから,近道しようとして迷っちまって……。」

そんな風に答えながら,“そう言う君はどうしてここに?”と,続ける言葉を,男は発することができなかった。

「……………。」

隣に座るよう促されても,男はすぐには動けない。
けれど貴女の笑顔に背中を押されてか,それとも,逆らえない何かを感じ取ってか,その隣に,腰を下ろす。

「……危ないならさ,君も,早く帰ったほうがいいんじゃ?」

…必死に絞り出した言葉。

アーヴァリティ > 「そう、よろしく。僕も君も学生なんだしまた何処かで合うかもしれないでしょ?」

伊達に長く生きているわけではない。相手の表情を読み取るのは誰よりも秀でているというわけではないが、そこらへんの十数年や数十年生きている存在よりは優れている自信がある。
少年が恐怖や不安を感じている事を察知すれば、自分は少年と同じ立場であることを伝え、少年に安心を与えようとするだろう。
とって食おうというわけではなくとも、無闇に逃げられたくはないのだ。

「へ〜大変だね。バイトって大変?」

実は何度かバイトした経験はあるのだが。
バイトの経験が薄いことには間違いない。少年がどのようなバイトをしているか知らないし、ここは彼のバイト話について聞いてみたいと思う。

「僕?風紀委員会ってあるじゃん?僕は風紀なんだ。それにほら、僕は強いから大丈夫!」

指先に魔術の風を巻き付かせ、自分は戦う手段がある事を提示する。
きっと少年は自分のことを怪しんでいる。となればこんな時間にこんな場所にいても問題ない理由を提示する必要があるわけで。
風紀であればいつ何処にいてもおかしくないし、先ほど暴れていた姿を見られていたとしても、最悪風紀としての仕事、で済ませられるだろう。
これで彼が納得してくれればいいのだが。

鈴木竜一 > 「風紀!そっかそういうコトか!そしたら俺もしかして助けて貰っちった感じ?」

貴女を怪しむ気持ちや,背筋を凍らせた嫌な予感は,貴女の言葉で容易く払拭された。
元々明るい性格なのだろうこの男は貴女の言葉にやっと笑顔を見せて…

「…やー,絶対風紀の方が大変だと思うわ。俺なんかピザ焼いたり配達したりしてるだけだし。
学生街にあるピザ屋なんだけどさ,まかないでピザ食えっから良いけどバイト代安いんだよなー。」

これまでの不安の裏返しのように,ペラペラと喋り出した。
貴女は風紀委員で,自分と同じ学生で,命の恩人。貴女の目論見通りに,貴女を信用しているのだろう。

アーヴァリティ > 「むしろ巻き込むかもしれなかったから危なかったかな。叫んでくれて助かったよ」

あはは、と巻き込むかもしれなかったかもしれないことへの苦笑、 のうらで想像以上にたやすく自分の嘘を信じた少年への苦笑を見せる。
ここまで簡単に信じられるとむしろ罪悪感を感じるとも言えるかもしれない。
まあともかく、安心してもらえたのであれば外部の妨害さえなければ平和に話せそうである。

「確かに大変だけどやりがいがあるから僕は好きだよ!
へーピザ屋なんだ!まかないでピザ食べられるなんていいなー。今度少しだけバイトしに行けないかなー」

店の名前教えてよ、と笑いながら。
本当に信じてくれているようで、ぺらぺらと知らない世界を話してくれる少年との会話に花を咲かせる。
怪異という立場上、学生とまともに会話できる機会は少ない。
その上、ここまでぺらぺら話してくれる少年にさらなる興味を抱いて。

「ところで君はどうしてこの島にきたの?何か異能を持ってるとか?異邦人だったりするの?」

自分からみた少年は明らかに人間だが、この島にいる以上何かしらの特異性を持っていてもなんらおかしくはない。
が、彼には今のところ特におかしな部分はない。
であれば、尋ねてみれば良いのだ。好奇心旺盛なバケモノは少年の過去など知らず、好奇心にのみ基づいて尋ねる。
その表情には作りではない楽しみからの笑みが浮かんでおり。

鈴木竜一 > 叫んだ。貴女にそれを言われたことで,ふと,自分のすぐ隣で頭を貫かれた男の,その最期の光景が思い出される。
きっと,今もすぐ後ろに転がっているであろう死体。
彼は確か“化け物”と叫んでいた。その化け物は,貴女に倒されたのだろうか?

「……すげーよなぁ…風紀ってさ,こういうの,よくある感じなん?
何が出たのか知らないけど……みんな死んでるし……。」

意識してしまうと,血の匂いが充満していることに気付いてしまう。
吐き気がしたが,それをどうにか飲み込みつつ…

「ピッツァリアとかって名前だったっけかな…あぁ,バイト募集してたと思うけど…今度で良ければ,店長に聞いてくるわ。」

なんて,普段通りの会話をすることで,なんとか,この状況を考えないようにしていたのかもしれない。
貴女に異能のことを聞かれれば,苦笑して…

「そ,一応異能者ってヤツ。でも別にすごい異能じゃなくて,死んでも生き返るってだけ。
事故って親が2人とも死んじゃってさ,俺だけ生き返ったから住むトコも無くて,ここに流れてきたって感じ。」

決して楽しい過去ではないが,もう乗り越えた過去であり,隠しているわけでもなかった。
死んでも生き返る。それが“すごい”のか“そうでもない”のかは,見方によるかも知れないが…。

アーヴァリティ > 「じょ、冗談だよ。ちゃんと悪いやつだけやっつけてるから大丈夫だよ!」

ころっと騙された時点で察するべきだっただろうか。少年のメンタルは思っているより遥かに弱いようで。半分本気であるのだがジョークであると慌てて弁明する。

「うーん...まあそうだね。すごく物騒ではあるかなー」

自分は風紀委員会ではないが、時折戦う相手でもあり、裏世界に流れる情報の何割かは風紀の摘発の情報だ。
大抵の察しはつく。
きっと彼には風紀は向かないだろうしこの場所自体向かないであろう。
精神に限らず、弱者がこの島の裏側に関わるべきではないのだ。

「本当?ありがとう!
それと、今度注文するからサービスしてね!」

店長に話を通してもらえると言われれば、素直に喜び、感謝の意を伝えながらも、二度とないであろう再会を予約する。

「あー...ごめんね、考えなしに聞いちゃって。
でも、すごい異能だね。死なないってことでしょ?」

普段の自分なら特に何も思わないし今もなんとも思わないが、今の自分は彼と同じ立場である学園の生徒だ。
となれば彼の身を案じるべきである。
そして、そろそろ彼の感情も限界かもしれない。
この場所は彼に優しくない。
それに彼は確かー

「そういえば、バイトに遅刻しそうなんじゃなかったっけ?送って行ってあげようか?」

案じるような、不安げな苦笑を少年に向け、掴んでとでもいうようにその手を少年へと伸ばす。
少年がバイトに遅刻することは確定事項であろうが、今から自分が彼をバイト先に届ければ遅刻は最小限に抑えられるだろうし、後からピザを食べるために彼のバイト先を調べる手間も省ける。
今度は別の姿で訪ねて、次は別の話を聞こうじゃないか。

鈴木竜一 > 「ははは,そうだよな…!」

貴女の弁明にはそう笑っていたが,どうしても,引っかかることがある。
ここに倒れている死体,全てが貴女の言う“悪いやつ”なのだろうか。
無論,それを問いただすことはできない。
少なくとも,こうして自分が生きているのは事実で……もしかしたら,後ろに倒れている死体は,自分だったかも知れない,ということ。
もっとも,そうなってもベッドで目覚めるだけの話ではあるのだが…

「…死なないって言ってもさ,一度は死ぬんだし…あんまり気持ちいいもんじゃないよ。」

…その記憶が消えるわけではない。
何度死んでも死ねない,というのは,ある意味で死ぬよりも恐ろしいことである可能性さえあった。

「オッケーオッケー,来てくれたらサービスすっから,声かけてくれよ?
ぁー,もう完全に遅刻だし………」

…正直,この後働ける気がしない。
それでも,貴女が送ると言ってくれれば,それを断るのも悪い気がして…

「んじゃ,せっかくだしお願いしようかな。
学生街の西側の学校寄りのあたりなんだけども,行けばけっこーデカい看板あっからさ!」

言いつつ,貴女の伸ばした手を取った。

アーヴァリティ > 「うーん...僕は死んだことないからわからないけど...辛そうっていうのはわかるかな...」

これまで、覚えていられないほどの年月、それこそ数百年、数千年"生きてきた"。
だからこそ死だけは知らない。
彼の苦しみを理解することはできないが、死への恐怖はわかる。
それを味わうのは恐ろしいことである。
そう、とても。

「サービスしてくれるの?嬉しい!」

夢を見せる、というわけではないが今の自分は一般的な女学生である。彼に突然、ガバッと抱きついて。

「わかった!それじゃ行くね!落ちないでよ!」

彼が手をつかめば、風の魔術を発動し、高く飛び上がり、少年が言った場所へと彼を連れて行くだろう。
そして、目的の場所へつけば「それじゃあまたね!」と少年にとってはもう二度とない「また」を笑顔で告げスラムの方へと飛び去って行った。

このわずか数分、久々に会話で暇を潰したアーヴァだが、会話への欲求を満たせたようだ。
その後裏世界で何か起きれば彼女は即座に戦闘面の欲求を満たすべく動き出すであろう。

鈴木竜一 > 初め,貴女に抱きとめられた時と同じように,貴女に抱きつかれればもちろん,抵抗することはできない。
そうしているうちに,身体が宙を舞う感覚と…地面へと,降り立つ感覚。

「……うん,またどっかで。」

それは,あまりにも壮絶な経験だった。
貴女にそうとだけ告げて別れてからも,バイトに身が入るわけもなく。
この後この男は,遅刻と,それから職務怠慢,二つの理由で怒られることになる。

それからバイトの度に,この男は貴女を思い出すことだろう。
もう二度と会うことのない,二度と見ることはできないだろう,その姿を。

ご案内:「落第街大通り」からアーヴァリティさんが去りました。<補足:赤髪の制服を着た女学生が片手にマシンガンをぶら下げている。後入り歓迎いたします。>
ご案内:「落第街大通り」から鈴木竜一さんが去りました。<補足:黒のショートヘア,袖をまくったワイシャツにスラックス。>