2020/06/21 のログ
ご案内:「カフェテラス「橘」」に神代理央さんが現れました。<補足:女子生徒の制服/薄い化粧/黒タイツ>
神代理央 > 放課後。多くの生徒達で賑わう学生街。
此処、カフェテラス橘も、夕食前の一時を過ごす生徒達で賑わって――は、いなかった。
二階席のテーブル席。その一番奥。ものっそい。ものっそい機嫌の悪そうな"女子生徒"が、黙々とパフェを貪り喰っている異様な光景が、静寂さの要因だろうか。

自らの顔を隠す様に伏し目がちに。食べる動作は嫋やかに。しかし、脇目もふらずさくさくと掘削する様にパフェは消えていく。
少しでも視線を感じれば、まるで此の世の全ての悪を憎むかの様な視線を返されるのだから、おちおち眺めている事も出来ない様な"女子生徒"

――鉄火の支配者の異名を持つ男子生徒。神代理央本人であった。

「……なんで、どうして、こんなことに………!」

金属のスプーンが悲鳴を上げる程に強く握りしめながら、絶望に満ちた溜息を吐き出した。

神代理央 > 思い返せば、風紀委員会の会議の後。
熱の籠った答弁になってしまった自分を気遣ったのか、とある任務が何処かからか発案されたのが切っ掛け。


『公安みたいに潜入調査出来る様になれば無用の犠牲や広範囲の封鎖や避難もしなくて良いんじゃね?』

『ばっちし調査した上で突入すれば敵拠点の情報こみこみで結果がコミットすんじゃね?』

『どうせなら男より女の子の方が潜入するにあたって受けが良いんじゃね?』

『だから僕と契約して常世少女になってよ!』


よし。滅ぼそう。
こんな気分になるのなら、落第街とか滅ぼしてしまおう。己の精神安定の為に。ついでに流れ玉は本庁にぶつけとこう。

ギリ、と机の下で拳を握り締めながら、表向きは深窓の令嬢の様なツラして静かにココア(砂糖マシマシ)を嗜んでいる。
此の侭一日過ごして報告書を提出せよ、との事らしい。滅べ。

神代理央 > とはいえ。糖分を摂取すれば多少は怒りで熱暴走しかけた思考も落ち着きを取り戻す。
身に纏うのは学園の女子制服に黒タイツ。風紀委員の同僚が少しだけ化粧をしてくれたが、それくらい。変装になっているかどうかも怪しい。
知人にバレれば笑われるだろうが、その際は機関砲をぶちかましてやれば良いだけの話。
こういう手合いの任務――なんだろう、きっと――は、一度してしまえば二度目からは拒否しやすい。まだしていない者に回すべきだと、声高に主張する事が出来るからだ。

というわけで。なかばやけっぱちな思考の儘、今は唯甘味を味わう事に集中していた。
此処のスイーツは何時食べても美味いな、と黙々食べ続けたパフェは気付かば空っぽ。おかわりでも頼もうかな、と少しだけ悩んでいたり。

ご案内:「カフェテラス「橘」」にアーヴァリティさんが現れました。<補足:学園の制服と赤髪、カチューシャ、身長165cm>
ご案内:「カフェテラス「橘」」にエインヘリヤルさんが現れました。<補足:個体名:彩原ななか>
アーヴァリティ > 「やっぱり、簡単に選ぶならここかなー」

先ほどまで落第街で暴れてたなんて言われても信じられないような、どこにでも居そうな女生徒の姿をした怪異が久々のカフェに心躍ると言った様子で入ってゆく。
普段ならもっとじっくりと、珍しい店がないか、なんて探したりもするのだが、今日はそんな気分ではなく、とりあえずどこかで甘いものでも食べよう、なんて気分で。
店内に誰かいないか、なんて一回を軽く見て周り、二階へと足を踏み入れたがー

「あれ...あれあれ?
あっやっぱりそうだ」

奥の方の席で、もう明らかに不機嫌なオーラを撒き散らす女生徒。
その負のオーラに目を引かれてよく見てみれば...

「あの時の風紀じゃん」

なんて、にっこりとご機嫌な女生徒を装う腹黒怪異。
からかってやろうなんて思って。

「すみません、相席いいですか?」

と声を掛ける。

ご案内:「カフェテラス「橘」」にアーヴァリティさんが現れました。<補足:学園の制服と赤髪、カチューシャ、身長165cm>
エインヘリヤル > 優秀か優秀じゃないかは取り敢えず今は置いといて。
大事だけど置いといて。

灰かぶり姫とか、明らかにイケてない。
どう考えてもイケてない。

いや相応には汚れは落ちるけども。
ただこう、このまま帰ってスッキリするものでもないというか。

まさかあの野良犬が風紀だなどと思わなかったし。
心配したからって……挑発しながら銃把に手をかけるやつがあるか。余計な揉め事起こしただけじゃない。

落第街デビューが、2人組で歩いたせいで本当に視察というか見物だけになってしまい、面倒に終わったせいで、微妙に納得できていないエインヘリヤルは。

それでも、色々見せることなく、優雅に席につくと、早速注文した。

「アールグレイと、ストロベリーミルフィーユパンケーキスペシャルで」

……甘いものは好きだった。

神代理央 > 「……ん?」

のんびり(?)とパフェを食べ終え、食後のココアを啜っていたところで。
自分に声を掛けてきたのは赤い髪の毛が印象的な少女。
別に満席、という訳でもなかろうにとも思うが、知らない相手なら断る理由も無い。

「…構わない。どうせ私一人しか座っていない席だ。埋まっていた方が店の為にもなるだろう」

言葉遣いは全く正す気が無い。だって、女性の様に話す自分なんて想像しただけで気持ち悪い。というか、気色悪い。
というわけで。やたらと尊大な口調の女子生徒と化した少年は、投げかけられた声に応え、相席を許可するのだろう。

アーヴァリティ > 「それじゃお邪魔しますね」

彼の前に腰掛けて、そのままニコニコしており。
注文を取りにきた店員に対して目の前の「鉄火の支配者」の食べるパフェと同じパフェを注文すれば、両手をテーブルの上に置いてニコニコと彼を見つめてー

「美味しいですか?鉄火の支配者さん?」

そう声を掛けるであろう。

エインヘリヤル > 鉄火の支配者……?

事前に目を通した、めぼしいバックボーンを持つ人物リストにあったはず。
この常世では割とそういうのもごろごろしている気もするけれど。

取り敢えず、様子くらいはチェックしておくかしら。

神代理央 > やたらと糖分の高い商品を注文した透き通る様な声。
僅かに視線を向ければ、此方は彼女に見覚えがある。資料として配られた、委員会の学外協力組織。その中に、彼女の顔があった筈だ。

(異能調査委員会、とか言ったか。今のところ、直接の接点は無いが――)

ふむ、と少し考え込む。声をかけても良いのだが、此方は残念極まりない女子生徒の姿。
風紀委員全体のイメージが、己によって損なわれては困ってしまう。

と、悩んでいる間にも。次の問題が襲い掛かる。
相席を許可した女子は、にこにこと笑みを浮かべて此方を見るばかり。何が面白いのだろうか、と怪訝そうな表情を浮かべた瞬間。

「……たった今、味がしなくなったよ。しかし、私は其方の顔を知らないが、良く私の正体を見破ったものだな。…まあ、見破るという程の変装でも無いが」

ぶっちゃけ、普通に女子生徒の制服を着ているだけである。バレない方がおかしいのだろう。
深い溜息を吐き出すと、何者だと言わんばかりの視線を彼女に向けるだろうか。

エインヘリヤル > ただしかし……
鉄火の支配者といえば男性だったはずだが。
あと、女装癖があるとか聞いてない(聞いてない)

潜入捜査なのだろうか、それとも、なんか別の理由が?
場合によっては別ルートで調べさせてもいいかもしれない。

アーヴァリティ > 「前見たときは随分と強気で砲弾撃ち込んできたのに今日は随分と弱気だね。
やっぱり女装してるから?でも似合ってるよ?」

なんて、女装しているところを重点的にいじって行こうか。
にしても、女装しても違和感のない顔と身長だな、なんて心の底から思っていたり。

にしても、僕以外の方も気にしているみたいだけど、何を気にしているんだろう?

神代理央 > 「前…砲弾……?失礼だが、演習場か何かで一緒に――」

そこで、彼女の口調と。最近行ったばかりの会議での情報が頭の中で繋がる。怪訝そうな表情は、剣呑さを含めたものへと変化するだろう。僅かに瞳を細めると、見覚えの無い少女に口を開く。

「……成程?アーバリティ、とか言ったか。態々学生街までお出ましとは、随分と暢気な事だ」

とはいえ、これは不味い。此処で戦闘行動を取る訳にもいかないし、まして異能を発動すれば周囲は大パニックである。
せめてあと一人。もう一人仲間が――

「……そこの、あー……エインヘリヤル、という名だったか?もし一人なら、此方の席も空いている。"女三人"仲良くしてみようじゃないか?」

此方の意図に気付いてくれ、とまでは望まない。
しかし、風紀委員会の協力組織なら、相席くらいは乗ってくれないだろうかと彼女に声を掛ける。
彼女が本当に味方かどうかは兎も角。少なくとも敵対していない者を此方に引き込めれば、アーバリティへの牽制にならないか、との考え。

エインヘリヤル > 「ふふ、はじめまして。このような場なので、略式で失礼します」
呼ばれれば、丁寧に応えて。相席には応じる。

なぜかは知らないが、女三人でいたいらしい。
まあたしかに、砲弾云々と口にする相手がセットでは、あまり雰囲気的に嬉しくないというのはあるかもしれない。

店員にお願いして席の移動をしてもらう。

「改めまして、エインヘリヤルです。
 これもなにかの縁ですから、よろしくしてもらえると幸いです」

女装はキニナルしキニナルが、初見で相手の容姿に突っ込むのは失礼にすぎる。
握手を求め、手を差し出した。

ヨコの女はなにか敵対関係の割には馴れ馴れしいようにも見えるが。さて。

アーヴァリティ > 「ほら、スラムで戦りあったでしょ?
覚えていてくれて僕は嬉しいよ
ほら、僕も今日は疲れたからパフェでも食べようかなって
あ、安心してよ。ここで暴れる気はないから」

先ほどの作り笑顔とはまた別の心からの笑みを浮かべて。
と、こんなところに怪異が出てきていることに不安を感じた様子の彼に対して戦闘を行う気はない、と安心させようと伝えて。
僕だったパフェが食べたくてきたのだ。

そして、彼はやはり安心できないのか気にしていた方にいる誰かをこちらに呼び寄せてー

「こんばんは。エインヘリヤルさん?ですね。よろしくお願いします」

なんて、自己紹介を済ませ彼の方に握手の手を差し出す少女に白々しく一般女生徒を演じて見せようか。

神代理央 > 「初めまして。私は風紀委員会所属の神代理央。二年生だ。
……その、こんな格好での自己紹介になった事は謝罪させて欲しい。任務の…いや、任務に当たる前の準備というか何というか…」

此方の申し出に応じてくれた相手に先ずは一礼。
次いで、彼女の言葉に応えて此方も名前を名乗り返し、差し出された手を握り返す。

その表情は、現在の己の服装を恥じ入っているのか、何とも言い難い沈痛な表情ではあるのだが。

「……それなら良いのだがな。まあ争うつもりが無いのなら此方も無碍にすることは無い。他の生徒に手を出さぬ間は、良い隣人でいてやろうじゃないか」

笑みを浮かべるアーバリティに未だ警戒の色を浮かべた瞳で見つめていたが。小さく溜息を吐き出すと、緩く首を振って彼女の言葉を受け入れるのだろう。
とはいえ、エインヘリヤルにはしれっと一般人の振りをしようとするアーバリティ。そのままでも構わなかったのだが、自分の置かれている状況をどうにか伝えたいという気持ちもある。

「…名前くらい名乗ったらどうだ?それとも、私から紹介して欲しいのか?」

暗に、其方も名前を明かせとアーバリティに視線を向けつつ、彼女の正体を察して欲しいとエインヘリヤルにチラ、と視線を向けるだろうか。

と、異能調査委員会である彼女に

エインヘリヤル > 「よろしく、こちらは異能調査委員会特別顧問、エインヘリヤルです」
アーヴァリティとにこやかに握手をする。

しかしパフェか。
嫌いではないが、先にパンケーキとフレンチトースト、それとベルギーワッフルを制覇しておきたいかしら。

理由は簡単。
紅茶にパフエはあまり合わないからね。

しかしそれはそれとして。
【こんな格好】での自己紹介ということは、本意ではないのだろうかしら。

曲解したふりをして、笑顔で目配せに応じる
「込み入った事情がありそうだけれど……おしあわせに?」

・・・
わざと、アーヴァリティとのデートだということにして可愛がることにした。
むしろそのほうが両方の素を引き出しやすいでしょうし。

神代理央 > 「……あ?」

おしあわせに、という言葉の意味を暫し考えた。
誰が何と、何でこんな面子のこんな場所で似付かわしくない単語が彼女の口から零れたのか。

暫く思考を巡らせた後、その表情はみるみる不機嫌そうなものへと変化し――

「…異能調査委員会とやらは、随分と冗談が上手らしいな。だが、場にそぐわない冗談では、場の空気を解す事は出来んぞ?」

冗談では無い、と言わんばかりの表情で。
剣呑な視線をエインヘリヤルに向けるだろう。大体、デートだのなんだのと浮ついた事をしている余裕などあるものか。

アーヴァリティ > 「よろしくお願いします。レナって言います」

なんて、しれっと偽名を名乗りつつ。握手を返す。

「そうそう、神代さんはいつも意地悪ですから」

乗った。
こんな面白いフリを使わない手はない!
内心ニヤニヤしながら、再び作り笑いを浮かべて。

「ほら、こうやって言ってますが任務なんかじゃなくてちょっと女装してみたい、なんて言い出したんですよ。
だから私がちょっとお手伝いしてあげたんですが、面白そうなのでついて来ちゃったんですよね」

わざとらしく、あはは、と。
さあ、この鉄火の支配者なんて言う大層な二つ名を持つ少女(笑)をいじめてあげよう。

神代理央 > 「……あぁ?」

久しく出ていなかったガラの悪い声が出た。
誰が何時も意地悪か。そもそも会ったの二度目だろう。初対面は殺し合いだったじゃないか。

「……エインヘリヤル。虚偽の情報に踊らされるな。異能調査委員会とやらの聡明な判断能力に期待するところだ。
この私が。怪異と仲良く。女子生徒の制服を着て出かける訳がなかろう…!」

もう怪異って自分で言ってしまった。仕方がない。孤軍奮闘だし。
傍から見れば凄まじい勢いで眉間に皺を寄せる女生徒が、憤怒のオーラを纏って他の女子二人に詰め寄っている様な不思議な光景になっているのだろうか。

エインヘリヤル > 「よろしく、レナさん」
偽名かもしれないがどうでもいい。
楽しそう、ということは基本的に邪魔さえしなければ楽しいままだろうし。

そして、向こうは案の定、乗ってきた。
でも神代理央には、その要求に答えて、場を和ませ安全を確保したのに睨まれた。

「ふふ……ダメですよ、神代さん。
 たとえ怪異でも、こんなかわいい子、放ったらかしにしちゃったら、ねえ?」

どうせなら、せっかく向こうが乗り気なんだから合わせればいいのに。
話も聞き出せて安全も確保できて、一石二鳥だわ。

「そのあなたが、仲良く出かけるのが良いんじゃないですか。
 ……ねえ?」

笑顔でもうひとりに声をかければ、なんか喋ってくれるかもしれないし。

そもそも、異調委は種族の種類に優秀さを依存しない。
安全にする気があって優秀ならそれでいい。

アーヴァリティ > 「そんなに怒らないでよ...
ほら、私のパフェ分けてあげるから」

なんて、彼らしくない感情を露わにした声に少し驚きつつ、今ちょうど店員が持って来たパフェを一口掬えばいわゆるあーんである。
この前彼からもらった菓子は随分と甘ったるいものであったし、もしかするとこれで怒りは治るかもしれない、なんて冗談半分で思って。

「ほらこうやって照れて隠そうとするんですよね
ほら、放って行かないでくださいよ神代さん」

二人で一人を攻撃するなんて初めてかもしれない。

神代理央 > 「…どうせコイツの顔は事あるごとに変化する。誰のものか分からない体のコイツを、かわいらしい等とは思えんな」

と、未だに不満げな表情ではあるものの。周囲の生徒に危害が出ない話題である事は流石に察した。つまり被害者は自分だけ。
孤立無援とはこのことか、と嘆きつつ砂糖を大量に注ぎ込んだココアで喉を潤した。

「…その程度の甘味で私を篭絡出来るものか。そのパフェごと全部寄越せ。というか、貴様らよもや結託していないだろうな?」

差し出されたスプーンの先に乗ったパフェ。
それを何の躊躇も無く、ぱく、と咥えて飲み込みながら、相も変わらずむすっとした様な表情で二人に視線を向ける。
或る意味では結託している二人ではあるのだが、その結託の意味に気付かぬのは男子故か。或いは、微妙に鈍感な本人の性か。

エインヘリヤル > この対応のからくりは、神代に直接説明しないところに面白さがある。
勝手に理解したり折れてくれるぶんには構わないが、答えを教えてしまったら解散する可能性がある。
というより単純に面白くない。折る分には面白い。

故に、何かあったところで後から説明するしか無い。

だいたい、この場で彼女より自制が利くのは神代というのが自明の理。
風紀である彼は、彼女が動かない限りどうにもしない保証付き。

「あら、それならもっと可愛くなってもらえば良いんじゃないかしら?
神代さん……女の子はね、ちょっとやんちゃでも、大事にされると変わってしまうものよ?」
などと、せっかくだから彼女に優しくしてあげろとけしかけてみる

そうこうしているうちにやっとストロベリーミルフィーユパンケーキスペシャルが来た。
でかい(でかい

「じゃあ、ほら……せっかくだから、お近づきの印に。
 わたしからもあーん」

とても爽やかな笑みだった。

アーヴァリティ > 「そう?どの私も可愛いようにしてると思うんだけどなあ
ヤンチャされたらもっと可愛くなるかもよ?
あ、今の神代君の方が可愛いかも!」

基本的に僕は女の子の格好しか使わない。
やっぱり可愛い方がいいと思うんだよ僕。
にしても、このエインヘリヤルさん。面白いことを振ってくれる人だ。
どこの誰かは知らないけど。

「えーそれは嫌かなー
くださいって言ってくれたらあげるよ?」

甘いもの好きすぎるでしょ、なんて思いながらパフェを救って一口、「美味しい〜」なんて見せつけて。

神代理央 > さて。そんな異能調査委員会の俊英の思惑なぞ露知らず。
味方を呼んだ筈が敵が増えていた常世少女(男)は途方に暮れていた。
一般生徒に被害が出ないのはまだ良い。現時点で最良の選択肢が取れている……筈だ。
にも関わらず、達成感も緊張感も無いのは何故だろうか。というかこんな事になるのならもっとちゃんと女装してくれば良かった。
制服着ただけだし。顔知ってる人が見たら普通にバレそうだし。
一人でパフェ食べてる時より知り合いに見られたくない。何故だろうか。

「……やんちゃ?次は異能だけでなく魔術でもぶつけてやれば良いのか」

何言ってるんだ、と言いたげな視線。同じ様な事をアーバリティも言うものだから、一瞬素の表情と共に、頭の上に疑問符が浮かぶだろう。
もっと派手に殺し合えという事だろうか。此方は援護ありきの遠距離アタッカーなのだが。タイマンとか嫌なんだが。

「……どうして貴様らは私に食べさせたがるんだ?勿体無いから自分で食えば良い物を。まあ、貰うが……ん」

何してんだこいつら、と怪訝な表情を浮かべながらも、ストロベリーミルフィーユパンケーキスペシャルの誘惑には勝てない。
素直に差し出されたスプーンを口に咥えた後、実に不思議そうな表情を浮かべているだろうか。

「誰が言うものか。貴様が首を垂れて献上すれば考えてやらんことも無いがな」

フン、と漸く何時もの調子を取り戻したかの様な高慢な口調で、アーバリティに不敵な笑みを浮かべる。
しかし、その視線は先程自分も食べたばかりのパフェを"いいなあ"と言いたげな視線で追い掛けていたのだろう。
自覚があったのか、直ぐにその視線はそらされる事になるのだが。

エインヘリヤル > 「女の子は、どんな姿でもいつも可愛くきれいに見られたいって思ってるものよ?」

わかってないなあ、と。

「その格好だって恥ずかしいと思いつつ……見た目が悪いよりかは良いって思われたいでしょう?」

悪い微笑を浮かべた。

そうなのよね。
怪異だろうとなんだろうと、女性は結構見た目を気にするし、それは大事なことなので。

そしてどうして食べさせるのかと問われれば。

「どうしてって、それはもちろん……せっかく【女三人】ですもの。
 ねえ?」

とてもイイ笑顔で、2人に同意を求める。
要求されたとおりですよ、と。

なお、初めて頼むが、パンケーキの上にいちごが乗っかって、それが三段重ねになった上にアイスと生クリームいちごのデコレーションという(1980円)
素敵豪華なパンケーキだった。

神代理央 > 「……理屈は分からんでもないが、それが怪異相手に通用するものなのか?」

流石に、女子の美容願望等々まで無碍にする程の朴念仁では無い。
では無いのだが、それは怪異であるアーバリティにも言える事なのだろうかと首を傾げかけて――その答えは、直ぐに与えられた。

「……む、まあ、そうだな。醜悪な装いになるよりは、多少見てくれが良い方が任務も捗るだろう。
成程、であれば何となくではあるが納得出来る。醜さを威圧感として利用するのでなければ、容姿に優れた見た目でありたいとは万物共通の願いやも知れぬしな」

若干頓珍漢な方向に進んではいるが、エインヘリヤルの言葉に一人で勝手に納得したらしい。
うんうん、と頷きながら、二人に向ける態度は少しだけ軟化するだろう。本当に、ほんの僅かにではあるのだが。

「…確かに。"女三人"であれば、スイーツの食べさせ合いくらいはするかも知れんな。まあ、私は見てくれがアレやも知れないが」

と、小さく肩を竦めて苦笑い。
先程食べさせてもらったストロベリー(以下略)パンケーキを眺めながら「生クリームが意外と甘過ぎずちょうどいいくらいだったぞ」などと感想を告げていたり。

アーヴァリティ > 「じゃあ私も次はいっぱい撃ち込んであげるね!」

鉛玉を。
そんなことしたら流石に死んでしまいそうだからしないと思うけど。
なお、こいつは適当に合わせているだけで特に何も考えてなかったりする。

「そうだね、でも私はそろそろお暇しようかな...
さて、ごちそうさま。パフェも美味しかったし、神代君もいじれたから満足かな!」

なんて、彼からすればたまったものではないのだろうけど。
あの鉄火の支配者をいじれただけでも結構満足だ。
とか思いつつ、パフェを美味しそうに平らげて。

「それじゃあまたね!神代くん!」

次はまた、二人の戦場で。
この怪異特有の狂った笑みを一瞬だけ少年に向けて去っていった。
...しれっと支払わずに。

ご案内:「カフェテラス「橘」」からアーヴァリティさんが去りました。<補足:学園の制服と赤髪、カチューシャ、身長165cm>
エインヘリヤル > 「それじゃ、また今度」
と見送りつつ。

なんだかんだで、レナ/アーヴァリティがパフェを美味そうに食べているのを見れば、食に対する欲求はあるしその分別があるのだと思う。
それがあるのなら基本的には問題ない。
あとは別の欲求をどう満たすかだけれど……パフェと比べてどうなのかは気になる。

神代の問に関しては、
「だって、それが嫌だったらこんな格好にならないでしょう?」
と、当たり前でしょうと言った様子で答えて。

姿が変えられるのに、わざわざきれいな姿を取る主な理由は2つ。
有利だからか、好きだから。

見た感じ愉快犯みたいなところを見ると、おそらく好み+コミュニケーション的にも便利で不満が少ないからでしょうし。

「で、取り敢えず要望通り、うまくやり過ごすことには協力したつもりだけど。
 できればなにか面白い話でも聞ければなんて思ってたけど、割と天然みたいだったわね?」

などと種明かしをしながら、見た目より重くないのがいいわよね、なんてパンケーキの感想を言い合ったりして。

神代理央 > 「…フン、上等だ。ならば此方は砲弾の雨を。鉄火の雷鳴を聞かせてやるとも」

彼女の言葉に返すのは売り言葉に買い言葉。
とはいえ、その言葉を発する表情はそれほど敵意に満ちたものではない。
他の生徒がいる場所である事。そして結局は、ある程度の糖分に満足し、砕けた雰囲気の中で語り合ったから、なのだろうか。

「…いじるとか言うな、馬鹿者。次の再会も、平和な場所である事を祈っているがね」

パフェを食べ終え、立ち上がる彼女を見上げる。
先ずは他の生徒に被害が出なくて何よりだ、と安堵の吐息を零しかけたのも束の間――

「……上等だ。結局は、殺し、殺し合うしかあるまいて」

彼女が浮かべた笑みに、ゆるりと唇を歪めて見送るのだろう。
置いていかれた伝票には、小さく溜息を吐き出して。

神代理央 > 「…協力、と言うには随分と楽し気な様子だったがな。異能調査委員会とやらが、此処迄愉快な人員を抱えているとは思わなかったよ」

と、アーバリティを見送った後。
此方に声をかけるエインヘリヤルに視線を返して、深々と溜息を吐き出した。

「天然、というか…本当に己の欲望に忠実なのやも知れんな。だからこそ、行動が読みやすくもあり、また同時に読みにくい。風紀委員会として相手取るには、中々厄介な相手だろうよ」

小さく肩を竦め、残り僅かなココアに口をつける。
さて、気の張る時間は過ぎ去った。常世少女(男)は、漸くカフェテリアらしい話題に水を向ける。

「ん、そうだな。個人的にはもう少しフルーツがあった方が良いとは思うが…。ああ、何なら、学生街に店を構えたスイーツ部に行ってみると良い。あそこは良いぞ。美味い甘味を作る。私が保証しよう」

などと。嫋やかな世間話に花を咲かせるのだろう。

エインヘリヤル > 「……なかなかに物騒な間柄ね」
アーヴァリティとの関係について。
関係性は、過ごした時間の長さと情報度が大きく左右する。
そして距離が近いほど、深まる傾向にあるが……さて。

おそらくは遊びとして考えているだろう向こうの発散場所をうまく考えねばなならないかしら。
当面は、明確な遊び相手がいるだろうことである程度のいうことは聞くだろうけども。

「協力は必要ならどことでも
 異能調査委員会はね、よければなんでもいいのよ。怪異だろうとなんだろうと。
 いいものは尊重するの」

……クズども以外はね。
とは言わなかった。

「……甘味は、好きよ。心を休ませてくれるもの
 さっきの彼女だってそうでしょう?

 そのためにおとなしくするだけの考えがあるなら、まだ代わる余地はあると思うけど」

さっきまでのからかっている口調とは違い、ゆっくりと紅茶を口にしつつ。
真面目な微笑で言った。

「今度バトルデートに誘ってみればいいんじゃないかしら」

神代理央 > 「物騒も何も、会うのは今日が二回目だ。初対面はいきなり襲われて殺されかけたからな」

その場面を思い出すかの様に、含み笑いと苦笑いを混ぜ込んだ様な何とも言い難い笑みを浮かべる。
己にとっては苦い記憶だが、戦闘経験としては十分なものであったのだし。

「節操の無い事だ。"風紀委員会"の邪魔にならぬのであれば、とやかく言うつもりは無いがね」

それはつまり、協力体制化の公安委員会。その他他の委員会に対しての行動は口出ししないという事。少なくとも、自分は。
そう言い放つ己の顔は、愉快そうな笑みを浮かべていたのだろうか。

「……私も過分に甘味や糖分を愛好する方ではあるがね。それでアイツが大人しくなるのかどうか、こればかりは何とも言えん」

あのバトルジャンキーの様な少女が、甘味で大人しくなるのだろうかと、思考を巡らせて少し笑ってしまった。
しかし、冗談を含まない笑みで此方に言葉を投げかける彼女には怪訝そうな表情で答える事になる。

「…何だそのけったいな名前の任務は。そもそも、此方から誘うにしても連絡が取れぬし、何故私が好き好んで奴と戦わねばならんのだ。私は個人戦は苦手な部類なんだがね」

小さく肩を竦め、首を振って見せる。

エインヘリヤル > 「風紀に特に口出しする気もないけれど。
 とりあえず、あの様子なら喜んでついてくるわよ
 とだけ言っておくわ」

連絡方法まではこっちの仕事ではない。

重要なのは神代が彼女に応えてあげること、とだけ伝えておく。

「平和のためなら、好きこのんでで戦うのが私たちみたいなのでしょう?」

と、半ば自嘲するように

神代理央 > 「……ふむ」

平和の為なら、と告げられれば少し考え込む様な素振りを見せる。
確かに、彼女の言葉は間違えてはいない。己が彼女と戦う事によって彼女が満足し、他の風紀委員や生徒への被害が抑えられるというのなら――

「――面倒ではあるが、それも仕事の内、か。まあ、こうして女物の服を着せられるよりは、風紀委員として箔が付く仕事だろうよ」

自嘲する様な彼女には、小さな苦笑で応える。
お互い同じ様なものだ、と言わんばかりの微かに零れ落ちる様な、苦笑。

エインヘリヤル > 「そういうこと。私も良いスイーツ女子友を作れたし?」

なんでそんな格好をしているのか結局よくわからないけれど。
まあ、たぶん一部の人は喜ぶんじゃないかしら。
などと思いつつ。

「もしかすると、彼女も【友だち】を作りたいだけかもしれないわよ」
と、すこしいい話をした、みたいな表情で。
おそらくはあまり想像していなかった話を持ち出して。

「あの様子じゃ誰だって壊れちゃうんでしょ、たぶん。迷惑な話だけど。
 ……誰かがそれに気づかせてあげないと」

そして意地悪な笑み。
きっと本性はこっちだ、このエインヘリヤルという女は。

神代理央 > 「……スイーツ女子友」

似合わない言葉を似合わない奴が言っている、と言わんばかりの表情でまじまじと彼女を見つめた後、其処に追及するのは精神衛生上宜しく無いか、と己の中で締め括る。

「友達、ねえ。そんな可愛げがアイツにあるとも――」

そう言いかけた言葉は、次いで投げかけられた言葉に中断される。
静かに彼女を見つめ、その言葉を反芻し、クスクスと。まるで本物の少女の様に笑みを零す。

「それが本性か。それが本心か。良い性格をしているな、お前は。
だが、その方が話しやすい。猫を被っていられても、互いに気疲れするだけだろう?」

すっかり氷の融けてしまったお冷で喉を潤し、柔らかな。しかし愉し気な笑みで彼女に答えるだろう。

エインヘリヤル > 「あら、こっち側? 奇遇ね、案外いい女子友かもしれないわ?」
お互い、似た笑顔で嗤う。
定時連絡にスイーツ会でもいいかもしれない。

「そういう事なら遠慮なく、甘い話でもしましょうか」

こっちで話していなら気にすることもない。
お互い楽で面倒が少ない。

「まだ来たばかりなのだけど。落第街、どう思う? いる?」

容赦のない本音を投げてみた。
言葉としては単なる疑問だが意味としては、半分くらいなくてもいいんじゃない?の意味だ。

アレに風紀と公安のリソースをどれだけ割いているんだか。

神代理央 > 「女子である事だけは否定させて貰いたいものだがな。だがまあ、御互いに良いカモフラージュだろう?
甘味目当てに集まったと言えば、大して疑われる事もない」

小さく肩を竦め、嗤う彼女に応える。
甘い話、と紡がれれば椅子の背もたれに身を預けて耳を傾け――

「そうさな。いるよ、アレは。寧ろ、無くては困る」

あっさりと。淡々と。彼女の言葉の真意に否定の意を示すだろう。
風紀委員としての己を知る者が見ても驚く程簡単に。落第街は必要だと彼女に告げた。

エインヘリヤル > 「あら面白い。まあやるべきことやるにはそうなんでしょうけれど」

別に自分がやりたいことに落第外の有無は関係ない。
クズがいなくなればそれでいいだけであって。

で、必要があればそれはクズじゃなくなる可能性がある。

「できれは色々お話伺いたいのだけども、どうかしら?」

笑顔でレシートを手元に寄せて。
払いは持つ、という話だ。

神代理央 > 「というよりも。市民に対する明確な脅威と。屑共を纏める塵箱としての機能があの街にはある」

ギシリ、と身を預けた椅子が軋む。

「落第街が無くなり、学園が平和になりました。めでたしめでたし。
では、風紀公安の存在意義は?落第街の様な環境でこそ生まれる特殊な異能や魔術、超能力者の苗床は?落第街無き後、あぶれた犯罪者共が集う場所は?」

つらつらと、淡々と。鈴を転がす様な声色で言葉を羅列していく。

「ソレをもう一度育てるのは面倒だ。あの街があるから、風紀も公安も暴力装置としての存在が生徒に許される。
あの街があるから、犯罪者共の巣が散らばる事は無い。
貴様とて、異能を調査する立場の者なのだろう?であれば、あの街は滅ぼすべきではない。剪定するに留めるべきだと思うがね」

彼女が手元に寄せたレシートに視線を落とすと、その手に己の掌を重ねる。

「すまないが、借りは作らぬ主義でな。それに、悪いが金に困っている訳でも無い。些細な小銭等払わずとも、話くらいはしてやるさ」

浮かべた笑みは、傍から見れば純粋な少女――或いは少年――のもの。しかし、真正面から。間近から見る彼女には見えるだろう。
底知れぬ空虚さが薪となって燻っている様な、仄暗い焔の様な感情が。

エインヘリヤル > 「まあ単純に言っちゃうわ。綺麗好きだから、ゴミ箱をどうにかしたいのよね」

スラムなりのバランスなのはわかる。
わかるが、ゴミはゴミだ。ゴミでしか無い。

「ほっとくと、どんどん溜まって匂いを撒き散らすし、カラスが荒らすし、誰かが掃除しないといけないでしょう?
 回収車は回っているけれど、どうしたって汚れは増える一方でしょう?」

軽く手振りを交えながら、肩をすくめて見せ。
もちろん、後ろ暗い話だ。

だってココは袋小路。
放っておけば人口は勝手に増える一方で。
死ぬ速度より増える速度のが早い以上、どうしたって貯まる一方なのだ。

「パンパンになったそれを、たまにはどうするかなって、考えてるだけよ」

楽しそうに、爽やかに。
どす黒く微笑んだ。

レシートはそれなら、とおまかせした。
「なるほど、レディファーストだものね」

神代理央 > 「塵箱をどうにかしたところで、また塵は溜まる。その時塵箱が無ければ、集まった塵は部屋中に撒き散らされるばかりだぞ?」

と言うものの、彼女の言葉を明確に否定する事はしない。
己とて、落第街がどうしても必要か。維持しなければならないのかと問われれば――そうでもない、というのが本音だ。

「ならば、塵箱を残して中身を空にすれば良いだけの話だ。或いは、少なくすれば良いだけの事だ。それだけの力が…まあ、今あるかどうかはさておき。ある程度の塵を焼却するくらいなら、今の風紀公安でも。――そして、貴様にも出来るのだろう?」

考える、ということは実行に移すだけの力が。或いは、大なり小なりその目的に類似する計画を為す力が、彼女にはあるという事。
彼女の事を深く知る訳では無い。しかし、そんな確信を得た笑みで、首を傾げてみせた後――

「……一言余計だ。私は男なんだがね」

フン、と高慢な笑みと共に己の手元にレシートを引き寄せるだろう。

エインヘリヤル > 「まあ、スイーツ仲間が増えたっていうのはわかったわ。
 今は、お互いそれで十分そうね」

ゴミは邪魔で、どうにかしたい。ただ、それをするにも面倒がある。
それはお互い共通のようだ。

「美味しい場所で美味しいものを美味しく食べられればそれが一番よ」

つまりそれは環境から作るという話なのだけども。
お互い、そこにゴミの話は入っていないだけだ。
おかげで話が弾む。

「せっかくなら両方できるようになっておけばいいじゃない。
 女受けも、それでよくなる相手だっていて、便利よ?」

と、男だと言われれば、そんなの手段でしょ、とふふふと笑って。

「望むかどうかとは別に、ね?」
潜入捜査とは別の観点で意味を提示しておいた。
だって、誰かを操れる手段の一つだから。

神代理央 > 「そうさな。此処で深く掘り下げる話でも無い。今は唯、良き友人を得られた事を喜ぶに留め置こう」

彼女と同じく。愉快そうに嗤いながら同胞との出会いを悦ぶ。
考え方に差異はあれど、根本的な思想は類似していて、互いに公的な立場を持つ者。話しやすく、動きやすい。

しかして、再び容姿の話題に立ち戻れば不可解そうな――不愉快では無い――表情で首を傾げる。

「言わんとするところは分からんでも無いがな。"そういうこと"は内面に女子らしさとやらを持つ者がすべきだと思うがね。
私は御覧の有様だからな。見た目とて、チンドン屋の類だろうさ」

着慣れぬ女子の制服でぱたぱたと軽く手を振り、足を組み替えてスカートの裾を軽く持ち上げる。
こんなもので騙される男もいまい、と笑ってみせた。

エインヘリヤル > 笑ってみせる様子に、含み笑いを浮かべ、猫の目で楽しげに呼応する。

「あら、勘違いしていらっしゃる? 女受けが良くなる相手もいるって、そういったのだけれど
 ……それに、その立ち居振る舞い、悪くないわよ?」

それに男装女子のフリも似合うはずだ。
その手の格好にときめく女子も多かろう。

女装はなにも、男性を崩すためだけじゃない。

「で。
 男性なら、次回はエスコートしてくださる?」

と、次回の出会いをほのめかして。
そのとき、話があるなら深く突っ込んでもいい。

神代理央 > 「…うん?ふむ…そういうもの、なのか?女の好みというのは良く分からんな」

こればかりは彼女に軍配が上がるのだろう。
やれやれと言わんばかりに肩を竦めるが、悪くない、と言われればちょっと微妙な表情を浮かべていたり。

「勿論。見目麗しい女性のエスコートとなれば、謹んで引き受けさせて貰うとも」

軽薄な言葉も、挨拶代わりの様な気楽さ。
レシートを手に立ち上がると、椅子に腰掛ける彼女に近付いて――

「……お互い、より良く利用し合おうじゃないか。情で絆される様な関係よりも、利害で結びついていた方が余程やりやすい。
風紀と公安には目を付けられぬ様にな。現場に私が居合わせれば兎も角、情報操作まではしてやれぬぞ」

と、低く囁く様に彼女に告げると、友人と別れる女子生徒の様な笑みと立ち振る舞いで、歩き去っていくのだろう。
レシートのあった場所には、一枚の紙幣。車代か。もう少し寛いでいけとの好意か。或いは、名刺代わりの金銭か。

利害で結びつく、と言う言葉を具現化した様な高額紙幣は、僅かに揺れていた。

ご案内:「カフェテラス「橘」」から神代理央さんが去りました。<補足:女子生徒の制服/薄い化粧/黒タイツ>
エインヘリヤル > 「ええ、利用は大事。この社会は、利用しあって出来てるんだから」

そもそも、企業も政府も教育も。
全ては人をうまく利用するためのシステムだ。

システムがなくても動ける人間は少ないのだから当然の話。

そのほうが便利だから、そうする。
それを説明するのが面倒だから義務という言葉に直して信じ込ませる。
金という信用で労働の代わりにする。
全部そう。

人間はそのほうが都合がいいと選択した。

「ふふ、これでも少しは顔が利くから。
 それじゃ今後ともよろしく」

公安周りと取り敢えずの人材には便利なコマがある。
風紀もこれで多少の話はついた。

後はどういう図面を書いていくか。自分次第。

そんな事を考えつつ、ひらひらと手を振って別れを見送った。

ご案内:「カフェテラス「橘」」からエインヘリヤルさんが去りました。<補足:すこし汚れてる……>