2020/06/23 のログ
ご案内:「スラム」に伊都波 凛霞さんが現れました。<補足:焦茶の長いポニーテールに焦茶の瞳、制服姿、読書の時だけメガネ // 待ち合わせ>
ご案内:「スラム」にアーヴァリティさんが現れました。<補足:ボロ布を纏った幼女。>
伊都波 凛霞 >
落第街の警邏
さすがに慣れたものだけど、相変わらずこのあたりは雰囲気が暗く、重い
他のお仕事で来た時は明確な目的があったから気にならなかったけど、
いざこうやってやってきてみると…あちこちから視線を感じるし、どうも落ち着かない
「──とはいえ、ちゃんと怪しいことしてる人がいないか探さないとね…」
他の風紀委員二人と、スリーマンセルで此処まできたところで、散開する
件の組織とやら、そして賽子の情報集め…
此処落第街ではやるべきことが沢山ある
ぐっと背伸びをして、ゆらゆらとポニテを揺らしながらスラムを歩き始めた
アーヴァリティ > 「あれ?あれってもしかして凛霞ちゃんかな?」
先日、名前を聞き忘れたアフロの風紀委員から聞いたことだ。
ー僕が風紀委員会に指名手配されているー
ここ数日、それが楽しみでずっと、他の戦いを我慢して体力と魔力を温存して、ずっとスラムの外周、高めのところをずっと回り続けたりしてたんだけどー
スラムを歩く見覚えのある人影が目に入る。
こげ茶のポニーテール、肉付きのいい体。
目の前でみたのだ、ほぼ間違いない、僕の視力だし間違いない。
「ああやっぱりそうだ!凛霞ちゃんだ!」
切人をお見舞いに行った時に会った風紀委員会の凛霞ちゃん。
僕はあの時、彼女が強いかどうか見極められなかったけどー
「襲ってみれば...わかるよね?」
なんて、ニヤッと口元を歪めれば彼女の背後数メートルに音を立てて着地してー
「こんばんは!僕のこと覚えてるかな?」
なんて、挑戦的な笑みを彼女に向けるであろう。
伊都波 凛霞 >
それは、自分に向けられる複数の視線に交じる一つ
その一つに気付けなかったのは、むしろ凛霞が全方位に警戒心を向けていたからだろう
だから、背後に着地する軽い足音と、かけられた声、に対して──
やや、驚いたような表情で、振り向いていた
「──貴女、は」
当然、以前戦いを監視していたこともあって、見覚えはある
と、いうよりは…此処へとやってくるならば当然、警戒すべき対象
「黒蝕姫っ…!?」
笑みを向ける小さな体躯の持ち主
短く後ろへ飛び距離をとるのは、瞬間的には戦闘態勢が取れない証拠
咄嗟に出てしまう、武術を嗜む者の習性──と、言い換えても良い
アーヴァリティ > 「そうそう!黒触姫、アーヴァリティ!
久しぶりだね!凛霞ちゃん!」
なんて、何でもないことのように、当たり前の挨拶のような何気ない日常の1シーンのようなセリフ。
そして、それと真逆の非日常を醸し出す触手が、左右に展開された。
そしてそこから伸び、両手に絡みつく触手が蠢き出す。
「さあ!君もやっぱり強いのかな?!」
なんて、当然の動きのように後ろへと飛んだ彼女を戦えると判断して触手の絡みつく右手を後ろへと引けば、身体強化なしの踏み込みで彼女へと襲いかかり、その右手を彼女へと撃ち込んだ。
伊都波 凛霞 >
「名前を覚えてもらっていて光栄だね。
…山本くんをやった、って聞いたけど…本当かな?」
ややその眼を細めつつ、対象的に静かに問いかける
その身体から触手が飛び出し、蠢いている様子を、見据える──
「──ッ、いきなり…っ!!」
飛びかかってきた少女へと合わせるようにして、その身を僅かに後ろへと沈みこませる
この速度は、十分に捉えられる速度
突き出された少女の右手に凛霞の手が絡みつくように添えられ──
その背後のプレハブへと、少女の勢いを加速させて投げ飛ばす
アーヴァリティ > 「あのアフロ君のことかな?!凄かったよ!
あんなに綺麗な動きしててあんなに強いのに 普通だった!」
へえ、山本君って言うんだ。名前聞けてなかったから聞けて嬉しいよ!
何て言いながら後ろへとぶん投げられたけど、ここまではただのお試し。
大人しく投げられてあげよう。
なんて、余裕こきながら彼女の動きに従い投げられ、体をひねらせて着地して振り向けば凛霞の方に向き直って。
「ねえねえ。
君たち風紀ってアフロ君みたいな人ばっかりなの? みんな僕の拳を砕いちゃったりするの?」
楽しくてたまらない、最高だ、なんて思いながら、歪んだ笑みを林家に向けつつゆっくりと彼女へと足を進めていく。
伊都波 凛霞 >
「……そう、間違いじゃないってことだね」
彼が遅れを取る、ということは…
…少なくとも、なんの準備もなしでは戦闘を一手で収めることができる相手ではない…ということ
加速度をつけて背後へと放り投げ、器用に着地するその様子を眼で追いながら──
「──どうかな。
私としてはお互い傷つかないうちに拳を収めるのがいいんだけど、
……どういう意図かは知らないけど、君が風紀委員を潰しまわってるなら、それはできないからね」
する、と片手でポニーテールを撫でるように
キュルルッという小気味良い音が聞こえ、凛霞の周囲にキラキラとした小さな銀光が反射する
「拳が砕かれる程度で辞めて欲しいなら、大人しく捕まったほうがいいよ」
アーヴァリティ > 「すごいアフロだったよ!
ついつい拳合わせちゃってね!魔力全部込めて負けるってびっくりだよ!」
楽しかった、と。ただただそれだけを彼女に伝える。
彼女がどう取るかなんて考えてない。この怪異はただただ、「楽しい戦いであった」とだけ言っているのだ。
「もしみんなそうだったり、それ以上だったら...僕はすごく嬉しいなあ」
凛霞の5m程手前で足を止め、両手をバッと左右に広げ、歪んだ笑みを一層歪ませてー
「君も僕の拳を砕いたり脚にヒビを入れてくれるんだったら!最高だね!」
そう叫べば、両手の触手の10本前後が凛霞を捕まえんと両手、両足へと勢いよく伸ばした。
その勢いは容赦無く、下手に捕まれば人間の手足など一溜まりもないだろうし、かすっただけでも傷をつけるのには十分すぎるだろう。
伊都波 凛霞 >
「…どうしてそんなコトをするのか、少し聞いてみたくもあったけど。
──ロクでもない理由な気もするしなら、聞かなくても良いかな」
勢いよく伸ばされる触手
先程こちらへ突っ込んで来た時の速度とは、比較にならない
「(これだけ多いと、全部を見切るのは困難──)」
トンッと地面を蹴る
軽やか、かつスピーディーに、路地の曲がり角…コーナーへと移動する
壁を背にし、ここから後ろへは下がれない、が──
「──…ふっ」
キュキュン──!
鋭い、何かが空気を切り裂く音と共に、
位置の都合上移動経路を正面90度の角度に制限された触手達を分断──
…否、溶断した
凛霞の指先から、時折光を反射するような極めて細い、白銀の糸が揺らめく
ポニーテールの中に隠しているそれは、所謂ヒートストリングス
触れるものを溶断する不可視の鋼線だ
「…縛るだけ、もできるけど……熱いよ」
そうつぶやいて、指先を踊らせれば再び空気を切り裂く音と共に、銀線がアーヴァリティへと向かう
アーヴァリティ > 「へーなるほどね。面白いもので纏めてるんだね。
どう言う仕組み?」
凛霞を追い、コーナーの方へと逃げ込んだ彼女の動きに背水の陣かな、なんて簡単な当たりをつければ、コーナーの入り口あたりで脚を止める。
そして、触手が目線の先で切り裂かれたことを視認すれば、全てを一度自分側へと寄せ、半数を再生させながら残し半数の断面を確認する。
「熱線かな?糸を操る人はいたけど僕の触手を溶かすような糸を使う人は初めてだよ!
面白いね!」
先程の銀光は髪を纏めていたのか髪に隠していたのか、どちらでもいいが熱線の光だろうか。
面白いところに武器を隠し持っているな、なんて思いつつ、こちらへと迫る音と細い光を視認すれば。
「こんなのはどう?」
何てニヤリと笑って見せれば、指先に小さな竜巻を作り出せば糸の辿るであろうルートに局所的かつ短時間で消滅する竜巻を投げつけた。
竜巻は糸を散らせばその勢いを周囲へと撒き散らすだろう。
そして、その中で自分の周囲を簡単に触手で糸検知用に大雑把に囲い動かしだす。
そして、その中で右手を振り上げる様子がみて取れるだろう。
伊都波 凛霞 >
髪は纏めたまま、髪に隠していたと見るのが妥当だろう
メカニズムは、極細のチタニウムナノチューブを満たす水銀に極めて高い圧力を欠けることで高熱を発生させる──というものだが
どの道、一学生が持っているような代物ではない
「──触腕の切断ではダメージを受けない…?」
自身の一部のようにも見えたが、そういう類のものではないのか、もしくは痛覚が存在しないのか──
楽しげに笑う少女へとやや睨めつけるような視線を送るが、
続く行動と発生する竜巻に放った銀線は巻き上げられてしまう
「ッ…!!」
咄嗟にストリングスを引き戻す
小さいとは言え自然現象の持つエネルギーをそのまま相手どるのは……
ミシ、とその細腕、右肘へと負荷を受ける
「今の竜巻…魔術…?
どのみち、そう簡単には、捕まってくれないってコト──」
少女の周囲を囲う触手
それはまるで、主を守る盾のようにも見える
それら全てを溶断して中心に辿り着くか否か、先程の竜巻による妨害を考えればやや期待値は薄いか
「(──でも、やる!)」
だからこそ、やる
銀線を再び放ち、アーヴァリティの周囲を巡らせ、中心へと絞め上げるように操作する──と、同時
左の袖から滑り落ちるようにしてその手に握られた、手裏剣三枚、連ねて投げ放ち、自身もまた跳躍すると壁を蹴って、
怪異の少女へと一気に距離を詰めんとす
アーヴァリティ > 「僕相手に中距離を仕掛けるのは大間違いかなー」
何て、小さく呟く。
おそらく彼女はこの振り上げられた右手が何を示すか知らない。
それもそのはず、この「右手」は切人には意味を為さないし、アフロ君には向けこそすれどこの使い方はしていない。
となれば、彼女はこの魔術を知らないだろう。
そう、僕のもつ魔術の中でも有数の殺傷能力と汎用性を持つ魔術ー跳戟を斬撃の形で放つべく、振り上げた手を回転しながら横に、若干上から下へと振った。
その斬撃を避けるべく退避させた触手の盾が上下に割れ、半球二つとなる。
そして、そこから飛び出た魔術の刃が彼女の糸を弾き返し、糸の収縮が荒れ、彼女の操作を離れて自由になり、斬撃の衝撃に空中を舞う。
そして手裏剣は盾となる触手に二枚阻まれ、最後の一枚は躱すべく頭を傾けるが頬をかする。
頬から流れる鮮血と鋭い笑みに表情を歪めるどころか、歓喜で笑んで見せればその顔を、こちらへと迫る凛霞へと向ければコンマ数秒遅れ、左手の指先を彼女へと向ける。
その指先には、先ほどよりは弱いが、肉をねじ切るのには十分な突風が圧縮され、彼女へと向けて銃弾の如く放たれた。
伊都波 凛霞 >
一ノ矢、鋼線は何か──魔術の刃、と一瞬では認識できない──に阻まれた
二ノ矢、連ねて放った手裏剣もまた阻まれ、避けられる
人は同時に三つの動作を出来ない…という前提に置いての攻めの構築だったが、
人の形をしているとは相手は怪異
「っ…!!」
接近し、互いの表情が容易に視認できる距離
歓喜に歪む黒触姫の笑みにゾクリとしたものを感じ、即座に全身に警戒信号を送る──
まるで銃弾もかくやといった衝撃と共に放たれたそれは、凛霞の髪を縛っているリボンを弾き飛ばす
──ギリギリの回避、一歩間違えれば…と安堵するには早い
潜り抜けたなら、その勢いのままに入身、身体を回転させ、右肘を少女の腹へと目掛け──打ち放つ
所謂浸透勁であるとか、鎧通しであるとか、そういった呼ばれ方をすることもある
背なへと強烈に衝撃の突き抜ける一撃──
アーヴァリティ > 「近距離も間違いだよ!」
アフロ君みたいなただ肉体を用いて近距離攻撃してくる相手なら、こんなことしないけれども。
彼女の間合いと言うことは、同時にそれは僕の間合いでもある。
盾を擦り抜け、その肘を撃ち込むつもりなのだろう。普通に手で受け止めてやろうにもギリギリ間に合わない。ただただ防いでも引かれるだろう。
ならば、勢いをそいで受け止めてやろう。
ただのシールドを凛霞の肘と僕の腹の間に作り出す。
このシールドは魔力なんてほぼ込めていない、ただの脆い壁。
彼女の肘とこのシールドは赤子と障子のような。破れるがその勢は大きく削がれる。
だけど、貫ける。そう思わせるようなシールド。
当然の如く、シールドをその肘は打ち破るであろう。
しかし、そこに待ち受けるのは本来ギリギリ間に合わない僕の小さな右掌。
その右掌は彼女の肘を受け止め、それを指先へとスライドさせてゆく。
その肘を受け止め、もう片方の左手を彼女の肩を掴もうと勢よく伸ばし、もし掴むことができれば、触手檻の中、自らの体を横にずらし、左手で肩を支え、右手を関節が本来曲がる方向とは真逆の方向へと容赦無くへし折るだろう。
伊都波 凛霞 >
間合いにも、タイミングにもミスはなかった
そこに障害物さえなければ
一呼吸の何分の一になるだろうか、僅かなズレ、僅かな時間の空白
少女の姿をした怪異の手は、そこに滑り込み──
ベキッ…
鈍い、肉に包んだ太枝が折れるような音
「──い、ぎ…ッ!!」
少女の姿からは想像もつかぬ怪力は、凛霞の細腕を枯れ枝を折るように圧し折る
噛み殺された悲鳴、苦痛にその表情が歪む、が──
「ッ…ああああああッ!!!」
解かれた髪が巻き上がるように流動する、自身の肩を掴む、右腕をへし曲げたその力を、自らの力に加えて──
所謂"合気"の要領で、その矮躯を強烈に弾き飛ばす
「──う、ぐ…っ」
再び離れたであろう距離、やや右腕を庇うような姿勢にはなってしまうが…
それでもまだ睨めつける瞳に闘志の火が消えていない
アーヴァリティ > 「大丈夫?まだ戦れる?」
バレーボールの模様を簡略化したような、最低限糸の感知の為だけに残した触手以外全ての触手を引っ込めながら彼女の方へと、小さく笑みを浮かべながら歩み寄る。
ただ心配してるような、親が愛しい我が子の擦り傷に気にかけるような。
そう言った言葉が、他の誰でもないへし折った本人から、被害者である凛霞へとかけられる。
その表情に当然の如く心配はなくー
「まだやれる?やるなら僕も喜んでやるよ」
なんて、見下すわけでもない、ただただ続行可能か、そう問いかけながら、触手を両手首に這わせて返事を待つだろう。
伊都波 凛霞 >
「やらない、って言ったら見逃してくれるんだ?」
じゃあ、何のために襲うのか──やや、理解に苦しむ
激痛に脂汗が頬を伝う。けれどこれは一時的なもの
自律神経が激痛のショックによって混乱を起こしているだけだ
「でも。……──約束は、守らないとだからね…」
ぼそりと呟く
脳裏に過ぎるのは『お姉ちゃん、負けないで。勝ち続けて』という、最愛の…妹のあの日の言葉
「まぁ、まだ逃げないかな。
風紀委員襲撃の件もあるし、君は見逃さず、捕まえる」
いくつ暗器を隠しているのか、左腕の袖から金色のトーチの柄のようなものが滑り降りる
その手に掴み、トリガーを引けば、ガスの噴き出すような一瞬の音と共に、光が灯る
ヒートストリングスは手放したが、これもまた用途はやや似る
アセチレンガストーチ、収束された灼熱のレイピアとも呼べるような形状の溶断武器だ
「ヒトの腕をもってったんだから、足くらい覚悟してよね…!」
苦痛を抑え、地を蹴る
真っ直ぐではなく、到着点を誤認させるようなポイントムーブ
死角から死角へと、人間の死角範囲ならば見失うだろう動きで以て、接近、可能ならばその脚を目掛け、灼熱の槍を振るう
アーヴァリティ > 「見逃すよ?結構楽しめたし、この後ここから対策を練ってくれたら次回はもっと楽しめるでしょ?」
僕はただ戦いたいだけなんだけど、もしかして風紀ってばそんなことも知らない?
なんて、あれ?と思っているが、この怪異が「戦闘狂です!」なんて言ったことがあるわけでもなく...
「そうやって思ってくれると僕は嬉しいなあ
こうやって君みたいに戦ってくれるってことでしょ?」
冗談でもなんでもなく、只々本心。こうやって風紀を襲えば次の風紀が僕を襲いにくる。それの無限の繰り返し。
たまに外部委託でもっと強い奴が来てもいいけど、やっぱり風紀は安定して強そうだから僕は大好きだ。
さて、彼女の取り出した武器は、一風変わったもので、ビームサーベルだろうか、なんて思いつつー
「待って何その武器?!ちょっとそれ欲しいかも!」
彼女が足ぐらい覚悟しろ、なんて言っているのは耳に入っていない。
戦闘狂の部分と好奇心の獣の部分が、この怪異の中で釣り合った。
この怪異も人間の形をとっている以上、其の死角は当然人間のものと同じである。
となれば、通常の手段では其の動きを視界に収められない。
そして、それに対する手段はー
単純な力押し。
彼女の動きに合わせて、首と目を動かし、死角となる範囲も常に視界に入れる。
しかし、其の視線が捉えるのは彼女の動きではなくて其のビームサーベル。
そして其の動きをしっかりと目で捉えながらー
「捕まえた!」
彼女の手ではなく、其のビームサーベルの持ち手を掴み取り、奪い取ろうと手前に引っ張るであろう。
伊都波 凛霞 >
アセチレンガストーチ…まあこの形状はバーナーブレードなんて言い換えても良いかもしれない
それをいかにも珍しい、といったような表情をする怪異
…やや、その無垢な様子に調子は狂うけれど
この少女が危険な存在かつ、風紀委員関係者に怪我を負わせた事実は変わらない
そういった思考を巡らせながら、普通の人間ならまず見失う死角から死角へのポイントムーブを繰り返して少女へと距離を縮めてゆく、その最中で感じること
「(──見られてる…!?)」
予測だとか、読みだとか
そういったものは物の数ではない
無限に裏をかく術がる
けれど、普通にその全てを視野に収められては──
「っあ…!」
力技では勝てるわけもなく、簡単に武器を奪われる
認識の甘さ、情報の収集程度に留めるべきだったと後悔する
──この怪異は、十分な情報の元で万全を喫して、無力化しなければならない類の──化け物だ
アーヴァリティ > 「面白いねこれ!今度ゆっくり遊ばせてもらうよ!」
なんて、戦いとは関係なしの好奇心。
もしこの武器を見るのが二度目であれば、武器を奪うなんて無粋なことはしないのだがー
好奇心には勝てなかった。
武器を奪い取れば、すぐに奪い返されないように大きく後ろに跳ぶ。
そして、新しいおもちゃに興奮する男児のような楽しそうな表情で「へー」「ほほー」などと声をあげながら観察すれば、異空間へと収納して。
「ごめんごめん、面白そうだったから貰っちゃった!
それじゃあ、僕からもお返しするよ!」
申し訳なさそうに両手を合わせて謝れば、展開していた触手を全部回収し、身体強化で全身を覆いー
地面を凹ませて壁の方へと跳躍し、そのまま壁を蹴り、反対側を蹴り、と。
高速で凛霞の方へと迫る。
何事もなく其の手が届く範囲まで迫ることができれば、首元を掴み、そのまま壁へと叩きつけるであろう。
伊都波 凛霞 >
「…はは、参ったなぁ…」
片腕が使えない故に選んだ、攻撃力の高い暗器の一つだったが
奪われてしまっては元も子もない
…どころか、先だっての自分の動きとはまるで別種であるものの、高速で迫りくる怪異
その動きの全てを凛霞の眼は捉えていた
おそらく片腕のダメージさえなければ、接敵までに迎撃の手を数点は用意できただろうが──
距離をとろうと後ろへ跳ぶ、
その瞬間には既に首元を掴まれ、胸元のリボンが千切れ落ちる
刹那、何を考える暇もなく壁へと叩きつけられる
「か、は───」
受け身など取れる道理もない
肺の中の空気が強制的に押し出され、横隔膜が痙攣し機能不全に陥る
首元を掴まれたままならば、その視線を下へと向ける
「──も、う、負けない…、って──」
約束した故に、まだ意識を手放さない
戦う意志もまた陰りを見せない
自身の首元、掴んでいるその腕に両脚を絡み巻くように体重を流し、瞬時にねじ切るような、回転を全身を使って加える
つむじ刈り、と呼ばれる──腕を徹底的に破壊する技
──常軌を逸した怪力を持つ少女に、通用するかは甚だ怪しい、苦し紛れとなるか、それとも
アーヴァリティ > 「おっと」
これだけダメージを受けてまだこれだけ動けるなんてびっくりだなあ、なんて余裕ありげなことを考えながら地面を蹴って、腕の捻れる方向に回転する。
そして、回転の軸を凛霞から力任せに奪い取れば、着地と同時に其の腕ごと地面に凛霞を叩きつけた。
それだけでは殺しきれなかったダメージが腕に強烈な痛みを与え、少し顔を歪めるが、其の程度のダメージ。
叩きつけられたと同時に凛霞が手を離すのであれば、一歩下がり再び触手を両腕に展開
離れないのであれば、極められながらも力任せに離れるまで地面に叩きつけようとするだろう。
伊都波 凛霞 >
──……‥
起死回生、とまではならなくとも腕を奪えれば…
っていうのも、虫が甘かったかなあ、なんて
地面に叩きつけられ、気を失いそうになりながら、そんなことを考える
二度、三度、四度、五度──
二桁に差し掛かり、制服が泥にまみれ剥き出しの肌を擦傷が覆う頃
凛霞の意識とは無関係に、その手がアーヴァリティの腕から離れる
「──………」
気を失った凛霞は虚ろな表情のまま、地面へと崩折れ、その身体を横たえた
意識を手放すその最後まで『負け』を拒んだが──力及ばず
あるいは、整った土俵ならば、遥かに善戦、あるいは制圧もできたのかも、しれなかったが
ご案内:「スラム」にレイヴンさんが現れました。<補足:黒のスーツ、長袖白シャツ、革靴。>
レイヴン >
日課の――と言うほど毎日やっているわけではないが――見回り。
一見変わったことはなさそうだが、裏では何が起きているやら。
見て回ったところで何か見付けられるわけでもなし、しかし教師としてそこは風紀委員だけに任せる気にもなれず。
「……」
そうして何か見付けたわけでも無い。
何か変わったことがあったわけでも無い。
虫の知らせ、と言うべきか。
ふとスラムの方へと脚を運ぶ。
そうして角を何度か曲がり、
「――、」
それを見付けた。
触手のバケモノと、地面に倒れ伏す生徒――辛うじて腕の腕章で風紀委員だとわかった――の姿。
「――そうか」
片刃の体剣を転移し、装備。
ゴッ、と革靴のを鳴らし、一歩、また一歩。
ゆっくりとした歩みから早足へ、そして駆け出し、全力疾走。
ゴリゴリと大剣を地面に擦りながら、バケモノとの距離を詰める。
アーヴァリティ > 「っ...うーん...もうこの腕捨てちゃうか」
10回近く叩きつけ、ようやく凛霞が離れた腕は、ほぼちぎれていた。
まさかあそこまで粘るとは思わず、最後の方はもはや力の調節もできていなかったかもしれない。
死んでないだろうな、なんて反省しつつ、千切れ欠けの腕が再生するのを待つよりさっさと生やした方がいいと判断し、其の腕を千切ってー
「一応、生きてはいるのかな...?
あ、生きてる生きてる、よかったよかった!」
何て、豊満な胸に阻まれた心臓、ではなく脈を確認すれば、生きてることを確認して。
千切りとった腕を彼女の隣に置いて。
「楽しかったよ!拳砕くんじゃなくて腕ちぎったのは凄かったと思う!ありがとうね!」
なんて、清々しい笑顔で告げて、去って終わればよかったのだがー
「ごめんね、凛霞ちゃん。この傷も治るまで放置しておきたかったけどー」
腕を異能で再構築し、触手を両腕に絡ませ、音の方を振り向けばー
「あ、レイヴン先生だ!先生意外と戦えるタイプだったりします?!」
なんて狂ったように笑い、軽口を叩きながらその大剣を地面に擦らせながらこちらへと疾走する教師へと跳戟を放つべく、下から上へと大きく腕を払うだろう。
当たっても、せいぜい浅く切れ、血が出る程度だろうが、その範囲はとても広い。何もしなければ肩口にぶっ刺さるだろう。
レイヴン >
肩へと迫る触手を身体を捻って回避。
初見の相手、しかし能力のおかげである程度は攻撃が読める。
最初からそこへ攻撃が来るのがわかっていたかのように、最小限の動きで触手を避け、
「――ふッ!」
両手でしっかりと握り直した大剣を振り下ろす。
触手ごとその体を両断するかのような重く鋭い一撃。
当たるなら良し、避けられるならそのまま地面に倒れている女子生徒とそのバケモノの間に立ちふさがる様に割り込むだろう。
アーヴァリティ > 「レイヴン先生危ないですよ!
そんな大剣で斬られたら国語の課題もできませんよ!」
なんて、冗談っぽく言いながらも大剣は体を横にして地面を蹴ることで回避。
結構ギリギリな動作であったが、なんとか回避仕切ってー
「お久しぶりですレイヴン先生!国語の課題はまだ出していませんけどね」
なんて、昔出会ったときの声で、調子でそう語りかけるであろう。
その表情には戦意というよりかは揶揄ってやろうという意思が見受けられー
レイヴン >
国語の課題?
何を言ってる、こんなバケモノを生徒に持った覚えは、
「――あぁ」
あの時の。
まぁ、どうでもいい。
「今なら見逃してやる。さっさと消えろ」
女子生徒が気になるが、このバケモノから目を離すわけにもいかない。
本来ならばぐちゃぐちゃのめためたに叩き切ってやりたいところだが、そんなことをしている暇はない。
脚を広げ、大剣を身体に隠すように構える。
ここから先は、触手一本通さない、と言うように。
伊都波 凛霞 >
───…………
助けに入った男のことや、自分を叩きのめした怪異のこと
それらのことを認識しようにも凛霞の意識は暗く混濁した闇の底に沈んでいた
ご案内:「スラム」から伊都波 凛霞さんが去りました。<補足:焦茶の長いポニーテールに焦茶の瞳、制服姿、読書の時だけメガネ // 待ち合わせ>
アーヴァリティ > 「うーん、レイヴン先生とここで戦っても面白そうなんだけどねえ」
本当に惜しそうな口調でそう言えば、うーんと悩んで見せるがー
「人集まってきちゃったみたいなんだよね
ほら、聞こえるかな?」
確かに辺りからは目の前の教師のものとはまた異なる足音が聞こえている。
どうにも他の誰かが来そうなようだ。
アーヴァは知らないが、最初に凛霞と共に来ていた他の風紀である。
今更ながら、この戦場へと駆けつけようとしているらしい。
「体力的に余裕ないわけでもないし、魔力も全然あるんだけどねー
ちょっと大人数相手は厳しいかな、
だから~先生ありがとうね!また今度戦ろう!
凛霞ちゃんも!またね!」
なんて、満足げで、レイヴンへの挑戦的な笑みを見せれば、コーナーの壁を蹴り、建物の上へと消えていくった...
「これでまた次の風紀が楽しみだなあ
今度は両腕持っていかれる...いや首かなあ...」
なんて、未来に期待しながら、何処かへと消えていった。
ご案内:「スラム」からアーヴァリティさんが去りました。<補足:ボロ布を纏った幼女。>
レイヴン >
「『また』はねぇよ――テメェは俺が潰す」
鬼のような形相で彼女?を睨みつける。
彼女がその場を離脱したことを確認すれば、剣を放り投げて後ろの女子生徒のそばへしゃがみ込む。
「おい――っ、クソ、お前か……! おい、誰か! こっちだ!!」
その顔を確認すれば、良く知っている生徒のそれで。
ギリ、と歯ぎしりをし、こちらへ駆け寄ってくる足音へ大声で叫ぶ。
そのまま応急手当の後、彼女を抱きかかえて病院へと走る――。
ご案内:「スラム」からレイヴンさんが去りました。<補足:黒のスーツ、長袖白シャツ、革靴。>