2020/06/25 のログ
ご案内:「落第街大通り」に神代理央さんが現れました。<補足:制服に風紀委員の腕章/腰には45口径の拳銃/顔立ちだけは少女っぽい>
ご案内:「落第街大通り」にアーヴァリティさんが現れました。<補足:赤い目と赤い髪の少女>
神代理央 > 風紀委員の中でも、落第街に対してこと過激かつ不穏な発言と行動を繰り返す二年生。己の委員会での評価とは概ねそんなものだろうか。
己の事を恐怖の象徴と嗤った新米委員もいたが、過分な評価だろうと肩を竦めるばかり。
必要なのは実績であり成果。特別攻撃課等、所謂箔のつく部課に所属していない己は、黙々と任務をこなすより他にない。
という訳で巡回に訪れた落第街。しかし、此の場所に己を派遣するかどうかで若干揉めたらしい。結果として、こうして巡回の徒となる事は出来たのだが。
「……人の事を何だと思っているんだ、全く」
小さな溜息を吐き出しながら、鋼鉄の異形を引き連れて落第街を闊歩する。己を避ける人並みから向けられる視線は、敵意と嫌悪のものばかり。
アーヴァリティ > 「あれ?神代君?」
今日は朝から買い出しに行くために平和的に外出していたのだけども...
賽子を振って新しい体験をしたり、久々に姿を晒してしまったり、その反動で疲れたり...
そんなことがあったけど、パフェを食べて、飲み物を飲んだりして疲れをどうにかして1日買い出しに費やしたんだけど...
疲れた。とっても疲れた。
この前倒れたときほどじゃないけど、あの賽子の反動は中々に強くて...
さて、そんなヘトヘトな状態で帰路について。
角を曲がれば知った背中が見えたため、特に何も考えず、気の抜けた調子でそう声を掛けた。
神代理央 > 投げかけられた言葉。
振り返れば、見知った――と言う程でも無いが――少女の姿。
「……そうやって気軽に声を掛けられる程、貴様と交友を深めた覚えは無いが」
小さな溜息と共に、立ち止まって彼女へと振り返る。
かつて殺し合ったり、何故かスイーツを共に食べたりした怪異。
その姿を視認すると、剣呑な表情と視線で一言。
とはいえ、警戒はしているが敵意は見せていない。彼女が、何時もと様子が違う事に。言うなれば、覇気がない様な姿に見えたからだろうか。
アーヴァリティ > 「いいじゃん、少しぐらい。
一回戦りあったんだからさー」
ああやっぱりそうだ。神代君だ。
神代君ではない可能性もあったけど、それを考えるのも億劫だったし。
まあ合っててよかった。
「初めて会ったときに飴くれない?あの甘さなら満足できる気がするからぁ」
なんて、よろめいている訳ではないが、どこか覚束ない歩調で神代の方へと足を進める。
声にもいつもの揶揄うような様子も見受けられず、やる気がない。
神代理央 > 「突然襲い掛かってきた相手と親睦を深める程、善人では無いのでな。というより、貴様が馴れ馴れし過ぎるのだ、馬鹿者が」
フン、と高慢な鼻息と共に切り捨てる様な一言。
しかしその表情は、次いで投げかけられた彼女の言葉に怪訝そうなものへと変化するのだろう。
「……何というか、何時もより随分と覇気が無いな。何時もそれくらい大人しくしてくれれば、私も楽できるのだが」
と言いながらも、ポケットに手を入れて取り出したのは鈍い金色の包み紙。
「残念ながら、前の菓子は生産中止だ。今はこれしかないが、くれてやる」
その包み紙をぽい、と放り投げる。彼女が受け取って包み紙を開けば、それは何の変哲もないチョコレート。甘ったるい匂いが彼女の鼻孔を擽るだろうか。
因みに、そのチョコレートは『甘さ10倍!カロリー20倍!働く貴方へ糖分だけのチョコレート!』の売り文句で販売された菓子。来週生産中止になる予定。
アーヴァリティ > 「うーん...ちょっと変な賽子振ったらさー
呪いの賽子だったみたいで変に疲れてさー...」
この怪異は異形の賽子なんて品の存在に今日初めて気づいた。
つまり、この賽子の効果や価値、そして風紀が警戒している品の一つであることも知らない訳で。
そして、ここまで疲れている理由は呪いに逆らったことと、呪いによって適した姿へと変えられた後にその姿を無理に変えたからであり、別に呪いの効果ではない。
まあそんなことは知らない訳で...大変な目にあった、とばかりに語るだろう。
「お、ありがとう...
相変わらず変な名前してるし、甘ったるい匂いがするなあ」
簡単に感謝を述べれば、チョコレートを受け取り、その中身を取り出しながらその小包への率直な感想を延べ、中身にも同じく感想を述べるが...相変わらずだなあ、と呆れたような表情を神代に向けて。
神代理央 > 「…呪いの賽子?風紀委員会でも調査しているが、それに実際に触れたのか。此方では、違反部活の拠点に転がっている賽子、程度の認識でしかなかったが」
先日の会議で話題になったばかりの謎の賽子。それを使用したと告げる彼女に、少し興味を抱いたかの様な視線を向けるだろう。
とはいえ、大変な目にあったと告げる彼女には
「日頃の行いの所為だろう」
と冷ややかな視線。
「…文句があるのなら食べずとも良いんだがな。大体。覇気の無い貴様を此の場で捕えても良い所を、こうして甘味を恵んでやっただけでも感謝して欲しいところだがね」
僅かに眉を上げ、呆れた様な表情の彼女を軽く睨む。
とはいえ、前回の戦闘で彼女の実力は理解し、把握している。応援の風紀委員も期待できない現状では、精々嫌味を言うくらいで戦闘行動を取ろうというつもりは無い様子。
アーヴァリティ > 「え?そうなの?
やっぱり変なアイテムだったの?
使わなきゃよかったかなあ」
そんな風紀の調査しているアイテムだなんて知らなかった。
そんな調査対象になるようなアイテムなら気安く使わなければよかった、と後悔する一方、まあそんなアイテムならあの力も妥当だな、なんて思ったが心の中に秘めておこうか。
神代君らしくない気持ちのこもった視線に珍しいなあ、と普段より弱々しい視線を合わせて。
「うん、美味しく食べるよ。ありがと
...捕縛しないでくれてるのはありがたいなあ」
冗談ではない。今の状態の自分だったら捕縛も容易といえば容易だろうに見逃してくれているのは普通にありがたい訳で。
感謝の言葉を告げればそのチョコを口の中に投げ込むだろう。
「あまあ…」
チョコレートごときに大袈裟だなあ、なんて普段の僕なら思うだろうけど、疲れているときにこれは美味しい。美味しすぎる。
幸せに浸って
神代理央 > 「別に貴様が使おうと使うまいと勝手だが、未使用品が残っているのなら興味はあったな。此方も噂程度の情報しか集まっていない。より多くの情報を求めているのは事実故な」
実際、風紀委員会には賽子についての情報が不足している。
現物をそのまま持ち帰る事が出来れば、とも思うのだが集まるのは大抵使用された後の唯の賽子と化した物ばかり。
まあ、無い物ねだりは仕方ないかと己を納得させつつ、彼女の弱弱しい視線には興味の尽きぬ視線の儘。
「…貴様にそうやって素直でいられると不気味だな。今の貴様なら、異形一体で制圧出来てしまいそうな気さえするよ」
チョコを口に投げ込む彼女を眺めながら、僅かに揶揄う様な色の交じった言葉を投げかける。
実際、彼女が何処迄弱っているか、という情報も確信も己は持っていない。それ故に、見逃しているのではなく単純に警戒しているだけ。本当に、彼女が己に対抗出来ない程弱っているのだと気付けば、果たして。
「そうだろう?最近はやたらと糖分をカットする甘味が多いが、このチョコレートは糖分とはこうあるべき、という性質をしっかりと表現している。
これくらいの甘さの菓子が、もっと増えてくれれば良いのだが」
熱弁。怪異相手に熱弁。しかし、そのチョコレートは来週生産中止である。
アーヴァリティ > 「僕がその情報を話すかどうかは別だけどね
それに、そんな大したこと知ってる訳じゃないしね」
風紀で調査してるからって情報を話すのは別で。ついでに言えば僕だってこれを使いこなせるようになりたいから情報が欲しい。
何ならこの賽子に耐久値もあるかもしれないし、一つだけじゃなくて複数欲しい。
風紀が調査している、つまり集めているかもしれないなら、集めてもいいかもしれない。...明日から。
神代君の視線に応えることはできないかな、なんて思いつつ。
「そんなことはないかな。魔力だけはあるからテレポートして逃げちゃうよ」
実際それで逃走可能である。まあ、魔術の行使もだるいからやめて欲しいけど。テレポートって結構術式とかややこしいんだよ。
出来ればこのまま穏便に終わって欲しいかな。声をかけたのは失敗だったかなあ...でも
「普段の僕なら違うって思うところだけど。
今日の僕なら大賛成かなー...あー美味しい」
こうやって甘いものにありつけたし、よかったと言えばよかった。
表情を綻ばせ、幸せそうな表情を浮かべて。
神代の言葉はあまり聴いていないが、「こうあるべき」「もっと増えればいい」の部分はちゃんと聞いているため、その部分に共感を示して。
そう言えば、あのお菓子。最後にあげようかな、なんて思いつつ...
神代理央 > 「出来ればご協力頂きたい所ではあったが、まあ期待していた訳でも無い。治安維持にご協力願える様な相手なら、とうに頼んでいる処だしな」
小さく肩を竦め、緩く首を振る。
実際、彼女から情報を得られると期待していた訳では無い。僅かでも情報が得られただけ御の字なのだろう。
ともあれ、賽子の情報に向けられていた視線は、緩やかにその色を変えて淡泊なモノへ。
「…戦うとは言わぬのだな。本当に、相当弱っているのか。珍しい事もあるものだ」
最初の一手が逃げ、とは彼女らしからぬ事だと、思わず含み笑いを零してしまう。
だからといって、異形を召喚したり実力行使に出る事は無い。無論、捕縛出来れば善いと思っていない訳でも無いが、その目が薄い以上無駄な行動は。無益な選択肢は己の中には無い。
「……そうして、甘味に舌鼓を打って年相応の少女の様に振る舞う事も出来るのだな。これからも甘味に浸り、無益な戦闘を控えてくれるのなら、実に有難い事なのだが」
そんな表情も出来たのか、と不思議そうに。意外そうな視線を向けた後、僅かな溜息と共に彼女へと告げる。
これで彼女が大人しくなるとは露程も思ってはいないが――まあ、些細な恨み言の様なものだろうか。数日間右腕を使用不能にされた事への。
アーヴァリティ > 「別に君たちが別に戦える場所とかくれるんだったら、治安維持でも協力するよー
あ、自由行動もさせてくれるって言うのも追加で」
僕は強者と戦えて、自由行動さえできれば満足だし。
その環境を整えてくれるならいくらでも喜んで協力しよう。
さて、目を合わせるために首を上げている気力すら薄い今、彼の視線の変化に気づくこともないだろう。
「こんな疲れてるのに戦いたくないよー
それにせっかく神代君と戦うんだったらもっと万全の状態で戦いたいし
...ところであれから新しい魔術とか覚えたりしたー?」
こんな状態で戦っても満足に戦えないし、それで負けて捕まっても嫌だし。
それに、前の戦いからまだそこまで経っていない気がする。
新しい何かがないのに戦ってもつまらない、なんて思いつつ何か新しい何かを得たか興味深げに尋ねるであろう。
「そんな僕が普通じゃないみたいに...心外だなあ。
それに、戦いなしだなんて僕が耐えられる訳ないね。
悪いけど君たちの希望には添えないかなあ」
自分で言うのも何だけど、僕は好きなものには喜ぶし、嫌なものには嫌って思うし、やりたいことにはやりたいって思う普通の...人間らしいと言えば人間らしい存在だと思う。
まあ、でもやっぱり戦いってやめられないよねって言うのが最初にくるけど。
心外だなーと不満げな視線を神代に向けて。
神代理央 > 「……ほう?それは何というか…意外だな。であれば、緩やかな同盟関係……いや、束の間の休戦程度は可能という事かね?」
彼女の求める"強者"と戦う舞台を用意すれば、彼女は協力すると言う。
であれば、風紀委員に属さなくとも、緩やかな協力関係を構築する事は可能なのだろうか。最悪、風紀委員が襲われなければそれで良いのだが。
「私は元々戦闘を好む類の人間では無い。貴様が戦わぬというのなら、無益な戦闘は行わぬさ。
……努力はしているが、残念ながら貴様の期待に応える事は出来んな。早々新たな力を得る等、思いあがっている訳でも無いが」
正確には、無い訳では無い。というより、単に前回の彼女との戦闘で使用していない魔術があるだけなのだが。母親の家系が研究を重ね、己の中で開花した収奪と施しの魔術が。
故に、新たな魔術は覚えていないと告げる。それは偽りでは無いし、其処に己の努力不足を感じている事もまた事実。
真実を隠し、偽りは話さない。尋ねる彼女に返すのは、そんな言葉。
「普通では無いだろう。そもそも、普通の生物が其処まで戦いを求めるものか。その強大な力を、他者を傷付ける為だけに振るうものか。その姿も、どうせ偽り。どこぞの死体から写し取ったものなのだろう?怪異だと、化け物だと、自覚はあるのだろう?なあ、アーバリティ」
不満げな視線と共に唇を尖らせる彼女に、愉快そうな声色と共に告げる。彼女は普通では無いと。自分達人間とは違うのだと。
そんな挑発めいた揶揄いの言葉を紡ぎながら、コツリ、と革靴を響かせて彼女に近付く。
無軽快なその歩みは、化け物だと彼女に言っておきながら、まるで顔馴染みの友人に近付く様な気楽ささえあるだろうか。
アーヴァリティ > 「うーん...まあそうだけど。君たちって結構強いの多いから君たちと戦いたいんだよねー...ほら、同盟組んじゃったら戦ってくれなくならない?」
風紀以外にも強者はいるだろうけど。安直に強者との戦いを求めるのであればやっぱり風紀が一番だと僕はおもう。
となると、変に同盟だの休戦だのしてしまうとその機会がグッと減りそうだ。
休戦しても、たまに戦ってくれるならいいけど...
「あんだけ砲弾ブッパしてよく言うよ。僕の魔力全部正面から削っておいて信憑性のない...
まあ、そんなもんだよね。今度会うときまでには...そうだなあ、なんか面白い戦い方とか見つけてきてよ」
なんて、宿題を出す教師のような、どちらかと言えば自習を勧める教師だろうか。
そう言った調子で課題を提示してみる。
前と同じだったらそんなに面白くなさそうだし...
変に語られてない部分まで推察はせず、聞いたままの言葉に応えるだろう。
「そうだよ。僕は人間じゃなくて怪異だからね...
まあ...そうだなあ...確かにそう言われれば普通じゃないかもなあ...
でも戦うのって楽しくない?相手を傷つけるのが楽しい訳じゃないけど、ほら
相手を理解してさーそれに対策を練って攻略するのって。
逆に攻略されていくのを食い止めるのって楽しくないかな?」
そんな気はしてるけど。
僕は存在自体怪異だし、ここまで人を殺して姿を真似しても、何も思っていないし。
そう言われれば普通の要素なんてないと言っても間違いない...どころか適切だろう。
...にしてもなんかこっちよってきてる。怖いなあ。変な顔してるし。
神代理央 > 「演習程度なら相手に事欠く事は無かろうが、それで貴様が満足するか否か、という所だろうな。満足してくれるのなら、それに越した事は無いのだが」
実際、風紀委員会はその性質上戦闘向けの異能を持つ者が多い。
勿論、後方支援。事務方に適した異能や魔術。元々の才能を活かして活躍する無能力者も多く在籍するが、本来の役目は治安維持。戦闘行動なのだから。
それ故に、彼女の欲求を果たすに相応しい人員が揃っているのだろう、と深い溜息を一つ。
「物量を叩き付けるだけの異能に過ぎん。それすらも、下手に範囲を広げれば生徒の居住区域に被害が出るからと釘を刺される始末故な。
私個人としては、次に貴様と再会するのは風紀委員会の地下牢で、貴様が捕らえられている時が望ましいのだがな」
教師の様な口調で言葉を向ける彼女には、やれやれと言った諦観と、僅かな。ほんの僅かな不満が燻る様な口調。
結局は己も、全力を出して戦えない事に。或いは、前衛の護衛もつけられず、常に不利な状況で戦いを強いられている事に不満は覚えているのだ。委員会で口にしたことは無いが。
ともあれ彼女には、まるで全力で戦えない事を不満がっている様な言葉にも捉えられてしまうだろうか。
「何を楽しみ、何処に楽しみ方を覚えるかは人それぞれ。それが戦闘であっても別に問題はないさ。それを咎める様な事はせぬ。
貴様はただ単に、ルールを守る者を傷付けた。それ故に、私の敵であり、風紀委員会の敵である。それだけの事だ」
あと一歩、という所まで歩み寄れば其処で停止する。
其処で徐に腰の拳銃を引き抜いた。既に銃弾が装填された拳銃のスライドを引き、弾丸を装填する。安全装置がかかっている事を確認すると――
「ほら、くれてやる」
くるり、と手の中で拳銃を回し、グリップを彼女に向けて拳銃を渡そうとするだろうか。
アーヴァリティ > 「やっぱりさー本気でやるのが楽しいからなあ...
難しいかもしれないね」
演習、となればやっぱり普段の命をかけたような、とか
破壊を気にせずに戦う、と言うのは難しいんだろうな。
まあ僕の満足には及ばない気がするよ、と神代の溜息に苦笑で応えて。
「じゃあ次やるときは転移広野にでも行ってやってみる?ほら、あそこなら自由に撃ち放題だと思うよ
それに、僕はそんな簡単に捕まらないし、地下牢なんてすぐ出ちゃうよ!」
まあ風紀の地下牢なんてどんなものかなど一切知らないから...出られないかもしれないけどね。
ともあれ、あれで全力を出しきれていないって言うんだったら、広いところでやりあえばいいなんて、全力の神代君と戦えると、嬉しそうに、安直にそう提案して。
「まあ言いたいことは分からなくもないけど
僕がそうしたかったからそうして、その結果君たちの敵なんて言う美味しい立場をもらえて僕は満足かな」
なんて、冗談でもなくそう告げる。
実際、風紀の敵に回りたくて暴れたわけでもない。その結果が戦闘集団との敵対基戦う機会を得れたなら。
それはラッキーでしかない。
「んー...
どう言うこと?」
その不可解な行動に小首を傾げ訝しげな表情を神代に向けるが、戸惑いながらもそのグリップを握って拳銃を受け取る。
神代理央 > 「だろうな。そんな気はしていたよ。所詮戦い、闘争等、命を懸けてこそ燃え滾るものもあろうからな」
彼女の苦笑いに小さく肩を竦める。
実際、彼女の言い分も分からなくはない。己は戦闘狂では無いが、闘争に重きをおく内面を持つ事は自分自身が良く理解している。
それ故に、彼女の言葉を否定する事はなく、寧ろ穏やかな迄の口調で頷くのだろうか。
「……再戦を望んでいる訳では無いんだがな。だがまあ、制約無しで戦えるというのは魅力的な提案だな。気が向けば。興が乗れば付き合ってやろう。
簡単に貴様を捕まえられるとは思わぬが、同時に簡単に逃がしたりもせぬ。本庁の地下牢にもなれば、怪異程度の収容など他愛も無いぞ?」
落第街やスラムで突然襲われるよりはまだマシだろう、と彼女の言葉に今度は此方が苦笑い。やれやれと言わんばかりの口調で、仕方なさそうに頷くのだろう。
地下牢についてはそうだと良いな、というはったりではあるが。風紀委員として自分達の警備体制を貶める訳にはいかない。
「そういう言葉を、普通の人間は謂わぬのだよ」
と、呆れ交じりの口調で答えれば彼女が拳銃を受け取った事を確認して一歩身を引き
「護身用だ。貴様ほどの怪異ならば必要は無かろうが、本調子で無いのなら、雑魚相手に使っても良かろう。不要であれば捨てて構わん。私の気紛れだ」
フン、と吐息を零すと訝し気な表情の彼女に何時もの様な。高慢さの交じったむすっとした様な表情を浮かべて答えるだろう。
別に不機嫌、という訳では無い。要するに、何時も通りの表情を見せても良い、程度には交流を深めたという事なのだろう。
アーヴァリティ > 「わかってるじゃん
そうだよ、そんな相手を気遣ってする練習なんて戦いらしくないでしょ
そんなのなしで戦うのが楽しいんだよ」
わかっているじゃないか、とその言葉通り、普段ほど大きくはないが、喜びの感情を露わにする。
目蓋は重たくて上がらないが、それでも口元は愉快そうに歪んでいる。
「君が望まなくても僕が望めば...ね?あんまり被害を出せないんでしょ?だったら一緒にやるしかない、ってことだよ」
神代の意見なぞ関係ないようだ。
あくまでも自己中に、それでいてその選択肢しかない、と。
そして、捕まったら捕まったで脱走するのは楽しそうだな、なんて。
最悪死ななければいい。
強気にそう出るだろう。
「だったら僕は普通じゃなかった、それだけなんじゃないかな
でもその方が遠慮なく砲弾撃ち込んでくれるんじゃない?」
普通の人間相手よりも、異常な怪異相手の方がきっと神代君も本気を出してくれる。
なんて、迷惑な思考であるが、
楽しい戦いをこの怪異は求めいるのだから、そうもなるだろう。
「ふーん。じゃあありがたく持っておくよ」
なんて、受け取ればひとまずスカートのポケットにでもねじ込んで。
貰い物の扱いとしては雑だが、魔術など使えなくなったときの手段として使うだろうし、そうなればこの辺りが良いだろう。
...なんて銃の扱いについて考える頭はあっても、神代の考えには気づかない。
そんな怪異である。
ただ、戦ったときの神代君だななんて思ってはいるようだ。
神代理央 > 「その通り。だが、怪異である貴様と意見を同じくするとはな。我ながら不覚極まりないな、本当に」
と、不満げな言葉だがその声色は僅かな愉悦を滲ませている。
風紀委員としての堅物な言葉とは裏腹に、喜色の感情を露わにする彼女に同意する様な、そんな声色。
「……腹立たしい事だ。一番腹立たしいのは、こうして被害を抑えなければならない現状だ。此の落第街であれば、二級学生の住む地であれば、幾らでも灰塵にしてしまっても構わぬというのに」
彼女の挑発めいた言葉に、僅かな怒りを覗かせる。
しかしそれは、彼女に向けられたものではない。己を縛る不愉快な規則。人情や融和と言った堕落の鎖。それらが纏わりつく事への、不満。
ミシリ、と空気が歪む様に、己の纏う雰囲気は僅かに濁る。ほんの僅かに、ではあるのだが。
「違いない…と言いたいところだが私は平等主義者故な。普通の人間だろうが、怪異だろうが、目的の為なら遠慮なく異形は火を噴くさ」
彼女の様な強大な怪異であっても。未だ親の庇護が必要な子供であっても。己に取っては変わらない。理想と目的の為ならば、平等に引き金を引くだけ。
「…どうせ本調子になれば使う事もあるまい。貴様の重たそうな瞼が開き切る迄のお守り代わりだ。つまらん相手に騒ぎを起こして、掴まって貰ってはつまらぬからな」
実際、今の彼女にすら拳銃程度の武器は必要無いだろう。
それでも彼女にそれを渡したのは、本当に気紛れの様なもの。他の者に彼女が捕まってしまうのはつまらない、と思ってしまった己の気紛れ。
アーヴァリティ > 「普通じゃない僕と同じなんてもしかして神代理央君も普通じゃない...かもね」
これがツンデレとか言うやつだろうか?なんて半ばふざけつつ、概ね理解してもらえていることを示すような神代の反応に、仲間意識を若干示しつつ...揶揄う。
「でもそうやってしてるとほら、今の僕みたいになるから。
君には立場があるんだしきっと目的もあるんだから。仕方ないよ」
僕は目的も過程も同じで、きっと君は違うのだろう。
同じであれば、ここにいないか、僕のように、それか僕と一緒に暴れているだろうから。
怒りを露わにした彼に対して、自由でないのだから、仕方ないと。
自由に見える僕に出現した敵が君にもできてしまうよと、肩を竦めるだろう。
「じゃあ僕は等しく君に戦いをお届けした方がいいかな。
強者には平等にね」
敗北もお届けしよう、とは言わないが。
君がそうするのであれば、僕もそうしよう、と。
「ちゃんと休んだらすぐに元気になるから
そうじゃなくても多分使うときはあるかもしれないから
それに、僕はそんなつまらないことはしないから安心してまた僕と戦おうよ」
君が何を心配しているかは分からないけど、ちゃんと君とはまた戦うから。
つまらないことで居なくなったりしないから安心して、なんて柄でもないが、暗にそう伝えて。
神代理央 > 「…何をつまらぬ事を。私は唯の人間。唯の子供だ。自分自身を特別だ等と奢った事は無い。私が慢心するのは己の力と努力によって立つもので、私自身の存在にではない」
揶揄う様な言葉を向けられれば、むすっとした表情で彼女に視線を向ける。それは彼女の言葉を否定するものでもあり、同時に本心でもある。
所詮は、未だ16歳の子供に過ぎない。どんなに力を求めても、その途上でしかない子供なのだと。
「……そうだな。ああ、そうだ。しかし、まさか貴様に諫められるとは。最早風紀委員の風上にも置けぬな。全く」
ぱちくりと。彼女の言葉を紅の瞳を開いて聞き入った後、クスクスと可笑しそうに。しかし何処か自嘲する様に笑う。
自分を律する事が出来ていないのだろう、と内心嘆息しながら、肩を竦める彼女に小さく頷いてみせた。
「…それは勘弁願いたいものだ……と言っても、聞き入れてはくれぬのだろうな。せめて事前に連絡は寄越せ。転移荒野は、思い付いて行くには些か遠い場所だからな」
勝てるかどうかは大分怪しいが、負けてやるつもりもない。
浮かべた笑みは彼女のみ慣れた、傲慢で高慢な笑みだったのだろう。
「……別に、貴様の心配などしておらぬ。つまらぬことはするなと言っているだけだ」
しかし、穏やかな彼女の言葉が耳を打てば。
らしくない事を彼女にしてしまった、と言わんばかりにフイとそっぽを向くのだろう。
アーヴァリティ > 「何も普通じゃないことは特別って言うわけじゃないと思うよ?
うまく説明できないけどね」
これは本心。
別に普通じゃないことは特別と言うわけではないし、むしろ普通でしかない人間なんて、それこそ特別なのではないだろうか?
ただ、この怪異にとってこれは、口にできるほど考えるような興味がある話ではない。
故に、自分の言葉では紡がない。
「そんなの生きてれば誰にでもあるものだと思うよ?
ほら僕なんて君の10倍は生きてるだろうしなんなら100倍生きてるかもしれないのに君たちに指名手配なんてされてるわけだし」
自嘲している彼に、そう気にすることでもない、と。
それこそ「普通」であると。普通じゃない自分を例にあげても参考にならないけどね、なんて思いながら。
「連絡手段がないから僕が運んで行ってあげるか、風紀の窓口に忘れ物でこの拳銃でも届けるよ」
見慣れた表情をこちらに向ける神代に、こちらも見慣れたであろう狂ったような愉悦の笑みを返す。その笑みは戦闘中ずっと浮かべているあの笑みだ。
「照れてるのかな?可愛いね
また女装してみたら?もっと可愛いと思うよ!」
揶揄い率100%。
小さな後悔を見せる神代に対して小さな追撃を仕掛ける。
当人が気にしていることは当然知っている様子で。
神代理央 > 「……ふむ。成程。そもそも普通、という言葉の意味と概念、定義からして難しいものであろうからな」
上手く説明できないのは、此方とて同じ事。故に、考え込む様な素振りを見せながらもそれ以上話題を広げる事は無い。
もう少し大人になれば、その答えも見つかるのだろうかと内心溜息。
「……ふっ…はは。ああ、そうだな。つまらぬ事で悩み過ぎた。礼を言おう、アーバリティ。此の礼は、再戦の際に砲弾で返してやるとも」
気にするな、と告げる様な彼女に思わず吹き出してしまう。
彼女を揶揄ったり、馬鹿にしている訳では無い。色々と吹っ切れたという方が正しいだろうか。
怪異である彼女に気を遣われるなど、己の精神状態が怪異である。より強く。理想と目的の為に。そうあれかし、と舞い戻った自分自身の理性の身勝手さに、吹き出してしまうのだろう。
「忘れ物は勘弁願いたいものだな。私の評定が下がる。……まあ、また何処ぞで会う事もあるだろう。その際は、貴様のしやすい様にすると良い」
互いに浮かび慣れた笑み。その光景を遠巻きに見守っていた落第街の住民達はそそくさと逃げ出していくのだろう。
二人にとっては何時も通り。普段通りの事でも、周囲は空恐ろしい風景が見えていた様だ。
「……今すぐ此処で。貴様が魔術を行使する前に異能を呼び出し、飽和攻撃を慣行しても良いのだがな」
僅かに瞳を細め、所謂ジト目の表情で彼女を睨む。
女装の件については、意地でも触れたくない様子。
そんな会話を続けていれば、突然鳴り響く端末のアラーム。中身を確認すれば、歓楽街で起こった暴力事件への増援求む、とのこと。
「さて、私は仕事が出来た。今宵は此の辺りで暇するとしよう。次出会う時も、こうして平和に終わる事を祈っているよ、アーバリティ」
端末を仕舞いこみ、小さく溜息を吐き出すと事務的な口調で淡々と言葉を紡ぎ、ゆっくりと歩きだす。
彼女を追い抜き、雑踏に消える間際。くるり、と彼女の方に振り向いて――
「それじゃあな。何時か貴様を屈服させる日を、楽しみにしているよ」
穏やかに。彼女へ向けて初めて見せる純粋な少年らしい笑み。
直ぐにそれは仏頂面へと戻ったものの、一瞬浮かべた彼女への奇妙な信頼を見せる様な笑みは、果たして彼女に届いただろうか。
その結末を見る事なく、彼女に背を向けて雑踏の中へと消えていくのだろう。
アーヴァリティ > 「そうそう、だから変なこと言っちゃえばみんな普通じゃない、なんて言えるかもね」
所謂極論の類であるが、あながち間違って居ないだろう、なんて思っている。
普通なんてものは定義し難く、なんなら意識の数だけ普通があるとも言えるだろう。
「一発も受け取らないで代わりに勝利をもらうからね!
覚悟しておいてね!」
なんて、話始めの調子はどこへやら。
見知った顔と話して随分と元気を取り戻した怪異が次は勝つと、そう告げて。
「じゃあ次また会ったら、かな?
それまでにはちゃんと何か仕上げてきてね!」
怪異と風紀なんて言う、この街の住民にとって死の象徴とも言える二人が恐ろしい表情を浮かべていれば、それはまあなんと恐ろしい...
なんて、当人は思っておらず。
ただ、楽しんでいるだけだ。この空間を。
「そしたらこの拳銃で君を撃ち抜いてあげるよ。渡したことを後悔することになっちゃうよ」
ニヤニヤと、女装のことに触れただけで望んだ通りの反応を示す神代に満足そうな揶揄うような笑みを向けて。
次勝ったら女装させてからどっか行こう、なんて考えていたり
「お?風紀のお仕事かな?頑張ってね!
君こそつまらないことで怪我したりしたら許さないからね!」
大事な強者が、愛すべき敵が自分の知らないところでいなくなってしまうなど、到底許せないことだ。
心配も含んだエゴを指差しとともに突きつけて。
「僕も楽しみにしてるから。
それをそのまま君に返したいからね」
負けて、勝つ。それをさせてくれと。僕を楽しませてくれと。
一瞬見えた君らしくない、それでいて年相応の笑みに応えよう。
その君らしくない感情に応えてみせよう。
神代が見えなくなるまで、その場でじっとしていれば、あとは自分の住処へと帰って行った。
....しばらく歩いて疲れを思い出して気分と体の疲労の違いに大いに困惑したのはまた別の話...
ご案内:「落第街大通り」からアーヴァリティさんが去りました。<補足:赤い目と赤い髪の少女>