2020/06/24 のログ
ご案内:「委員会街・風紀委員会棟」に幌川 最中さんが現れました。<補足:腰で風紀委員会の赤い上着をツナギのように結んでいる。人好きのする見目。後入り歓迎です>
幌川 最中 > 委員会街・風紀委員会棟ロビー。
見るからに真面目そうな生徒から、そうではない生徒まで。
眼鏡を掛けた女子生徒が訝しげな視線をツナギのように風紀の赤い隊服を結んだ、
口に火のついていない煙草を咥えた仕事のなさそうな男まで。
「委員会棟の中に喫煙所作ってくれ頼むから……」
書類をロビーの椅子に広げながら、がしがしと乱暴に頭を掻く。
見てくれはこの有様であるが、今日は仕事にやってきた。
落第街の違反部活群。その中で行われていた裏競売のうちの一つに先日参加した。
『偶然』とはいえ、参加したからには報告書の提出は義務である。
ほら、……ほら。密偵? 内偵? そういう感じ? だからさ。
イヤー本当は俺そんなつもりじゃなかったんだけど。偶然ね。
だからこう、報告書を? まとめようと思ったんですけど?
「案の定何やってたのかわからんくなってきたな」
集中力って、年齢と共にすり減ったりします?
幌川 最中 > 『偶然』、善意の協力者がいて。
『偶然』、裏競売が開催されていて。
『偶然』、風紀委員会の制服を着ていなかったから。
天運が味方したがゆえに、『中』で何が競売に掛けられていたかを知ることができた。
いやあ仕事をしたぜ風紀委員会の面目躍如だ、と言いたいところだが、
本来内調を行っているはずの公安委員会からは明らかにいい顔をされないだろう。
これをどうにか、ふわっと、嘘こそないが本当でもない報告書にせねばならない。
せっかく風紀と公安で協力して、だの、協調路線に、という話になっているのだ。
それに水を差すようなことはしたくない。
数年……何年前だ? 何年だ?
まあいくらか前に、風紀と公安の仲が悪かった時期もある。
そういうのはちょっと、ちょっとね。俺はもうやりたくないから。
「……え、えー。ど、どうすっかな。
偶然風紀委員が裏競売に参加してていい理由あるか? ないな?
ないな……。ミリもないな……」
ご案内:「委員会街・風紀委員会棟」にフィスティアさんが現れました。<補足:白い軍服、腰に帯剣。風紀の腕章>
ご案内:「委員会街・風紀委員会棟」に日ノ岡 あかねさんが現れました。<補足:常世学園制服。軽いウェーブのセミロング。首輪のようなチョーカーをつけている。>
フィスティア > 「こんばんは。
幌川最中先輩…で間違い無いでしょうか?」
報告書を書くのは風紀委員会の新参者の私にはまだ難しいです。
昔も報告書を書いていたにはいたのですが…あの時の私と今の私は違います。なので他の方のを見せていただいて書いているのですが…なかなか上手く書けません。
どなたかに助力を願ってみましょうか…
…あれって、確か大先輩の幌川…最中先輩?
先日の会議にも出席しておられましたし、報告書について聞いてみましょうか。
報告書の書き方について、丁度報告書をどう書こうか悩んでいる大先輩に尋ねようとする元軍人が大先輩の斜め隣から自信なさげに声をかけた。
日ノ岡 あかね > 「そうよ? その人が幌川最中。モナカ先輩。みんなの愛する大先輩よ」
くすくすと笑いながら、後ろから突如顔を突っ込んできたのは……ウェーブのセミロングを棚引かせた女。
元違反部活生にして……現風紀委員会元違反部活生威力運用試験部隊の隊員。
日ノ岡あかね。
「モナカ先輩。可愛い後輩が報告書の書き方わからなくて悩んでるみたいよ? 一肌脱いであげたらどう?」
そう、最中自身が報告書を書くことに難儀している事を知ってか知らずか、あかねは笑って提案した。
ニヤニヤと、猫のように口端を緩ませている。
幌川 最中 > ろくでもないことを悩んでいれば、左右両方から。
それぞれ別の色合いをした少女二人から話し掛けられる。
普段であれば両手に白と黒で風紀キャバクラだな風紀キャバクラ、と笑うところだが、
どうにも笑えない状況であることは間違いない。
――白。フィスティア。異邦人。
風紀委員会刑事課の1年生。可愛い後輩。
そして、「いや~もうちょっと胸と尻があればな~」と委員会の男子と一緒に話し、
「いやフィスティアさんにそういう方向性のこと言うのは」みたいなことを事前に言われた相手。
――黒。日ノ岡あかね。元違反部活生。現風紀委員。
『楽しいこと』が大好きな2年生。1年留年している可愛い後輩。
そして、「いや~ちょっと付き合ったら重そうじゃね?」と委員会の男子と一緒に話し、
「いや日ノ岡は重そうとかじゃなくて」以下略。
そして俺の前には証拠をできる限り隠滅したいちょっとよくない報告書。
よくないよ。よくないけど、ちょっとだけね。ちょっとだけさ。
「ああ、ああ。勿論俺が幌川最中で、そうだな。
……噂には聞いてるよ。フィスティアちゃん。仕事できるんだって?」
婉曲的に「俺より仕事できたりするって聞いてるんだけど?」という、
恐らく幌川のできる最後の抵抗をしてから、あかねには溜息を返す。
「俺の字の汚さと成績と報告書の再提出率知ってて言ってるなら今日も楽しそうだなあ!
……服なら一枚でも二枚でも脱ぐけどな。で、どこわかんないのかな」
と、フィスティアにへらへらとした笑みを返した。
フィスティア > 「あ、ありがとうございます
日ノ岡あかね先輩...で間違いないですか?」
大先輩の名前を間違えていなくて安心しました...
助かりましたが、確かこの方は確か元違反部活の方で...
少し怖いです。
風紀の新参であり、常世の新参でもあるフィスティアにとっては、違反部活と風紀の因縁など、資料の上ではある程度知っていても、それ以上は一切知らない。
しかし違反という文字が入っている以上、少し怖い、と言った表情を見せて。
「申し訳ございません。名乗り遅れました
フィスティアです
...仕事...はそんなに出来るとは思いませんが...」
ああ、またです。気をつけないといけません。
私は仕事ができる...のでしょうか?そうは思えませんが。
他の方々が摘発の仕事や恐ろしい怪異と交戦したという話を聞いていると、そうは思えません。
「えっと...すみません。存じておりません」
大先輩の笑みにすみません、と小さく頭を下げる。
そう、知らないから仕方がない。先輩の冗談に関しては苦笑に含みながら流して
日ノ岡 あかね > 「ええ、そうよ。私はあかね。日ノ岡あかね。でも風紀じゃ後輩みたいなものだから、フィスティアちゃんもあんまり気にしないでね?」
二人の顔を見てくすくすと笑いながら、承諾も取らずに最中の隣に移動するあかね。
全く躊躇がない。
「先輩のダメさ加減は勿論しってるわよ。私の方が報告書も字も綺麗なこともね……でも、私って再提出率ゼロだから逆に教えるのヘタクソなのよね。毎日書いてるから慣れ過ぎちゃってるし。そうなると、何度も丁寧にやってるモナカ先輩の方がきっといいでしょ?」
そう、得意気に笑いながら、まるで猫がじゃれる様に最中にマウントを取るあかね。
実際、監視付きの元違反部活生であるため、事実としてあかねは毎日の報告書提出を義務付けられており、書きなれている事だけは間違いない。
しかし、あくまで違反部活生向けの報告書であることもまた事実なので、今回はどっちにしろ最中が教えるほうがおそらく適任である。
「ほらほら、モナカ先輩普段から大きな図体で大きな先輩面してるんですから、いいとこ見せてくださいよね? ふふふ」
幌川 最中 > 幌川最中は、確信めいたものを感じた。
これは幌川今週のびっくりドッキリチャンスが無限に来るということ。
どこがわからないかを聞いたつもりだったけど伝わっていない。幌川チャンス。
あかねはもう完全に自分をおもちゃにする気が満々であること。幌川チャンス。
いい具合にリーチが掛かっている。もうこれで次があるのは半確定だ。
「真面目に時間通りに仕事に来てるんならもう俺より仕事できるさ。
自信持っていい。胸張って、胸張って風紀委員ですって顔しといていいよ」
笑顔を崩さないまま、うんうんととりあえず頷いておく。
後ろのほうで楽しそうににこにこ笑っているあかねについては置いておく。
手に負えん。手に負え(てほしいと思ってい)る白い後輩のほうへと視線を向け。
「こういうのは薫子ちゃんとか凛霞ちゃんとかね。
華霧ちゃんも案外真面目な報告書書けるからね。そういう相手をね。
レイチェルちゃんは聞いたらちゃんと教えてくれると思うからね」
頼ってほしかったなあ、と思っているが、もう時既に遅し。
it's already too lateってね。ハハハ!! 笑い事ではない。
「イチから書く必要はなくて、書式が事務のほうで貰えるはずなんだけど……。
フィスティアちゃん、何種の仕事の報告書?」
一種。刑事事件に相当するような事柄の報告書か。
二種。それとも注意――補導程度の事柄の報告書か。
三種。それ以外をざっくりまとめた報告書なのか。
そのどれなのかをとりあえず聞いてみる。報告書の種類を最初は覚えられないと評判だ。
早く辞めてくださいよこのシステム、と色んな後輩から言われるが、そんな権力などない。
あると思っているのかね。
「それともまた別のとこがわかんないかな」
フィスティア > 「学年は先輩ですので。私はまだこの島についても全く知らないので。ご教授いただければ幸いです」
あかね先輩は私より年上のお方ですし。年上の方には敬意を払うものです。
それに、この島では誰でも私の先輩みたいなものです。
私はこの学園について、島について、地球について知らないことが多すぎます。
あかね先輩と幌川先輩に対して恭しく頭を下げる。
フィスティアの元いた世界で彼女は軍人だったわけで。
つまり上下関係は重視するものであったし、その上で彼女は性格ゆえに誰に対してでも敬意を払っている。
「異邦人街の見回りだったので...三種だと思いますが
喧嘩をしている人がいたので一度介入しました。
二種も書いたほうがいいでしょうか?」
幌川先輩は報告書を書くのは意外と苦手なのでしょうか?
そういえば他の先輩が幌川先輩のことをポンコツ、なんて言っていた気がします。
いえ、そんなことは無いはずです。
日ノ岡 あかね > 「あらあら、フィスティアちゃんは礼節がなってるイイ子ね。お姉さん嬉しくなっちゃうわ。しかも見回りも出来てるなんて、とっても偉いわね」
嬉しそうに笑いながら、遠慮なくフィスティアの頭を撫で回すあかね。
フィスティアと違って馴れ馴れしい事この上ない。
「モナカ先輩が言う通り、確かに他の子がいればそれでいいと思うんだけど、今はいないみたいだから仕方ないわよねぇ? ふふふ」
既に何もかも手遅れ。time is gone.
言うなれば、開幕ダブルリーチ。
ただし、掛けてるのは自分ではなく他家。
幌川最中の状況は正にそんな状況だった。
それでも諦めず、何とか必死に安牌を探ろうとする最中の顔を見て……あかねは心底楽しそうにニヤニヤと笑う。
完全に……小動物が右往左往しているところを見て楽しむ少女の顔だ。
今のあかねからすれば、最中は大きなハムスターか何かに見えているに違いない。
いいとこいっても、子犬にじゃれられて困っている大型犬だ。
無論、その子犬の中にはあかねも混じっているのだが……そんなことは完全に棚に上げている。
「異邦人街で介入もあったなら、一種でいいんじゃないの? 程度にもよるけど……暴力沙汰は刑事事件でしょ? それとも、傷害事件にまでは発展してない感じかしら?」
一応口を挟みつつ、小首を傾げる。
幌川 最中 > 「そうかそうか、そういえば異邦人なんだっけ。
それならあかねちゃんを頼るといいぞ。そこの。首輪つきだからわかりやすいだろ。
あかねちゃんは俺の知る中でも常世島大好きガールの筆頭だからな」
あかねにほんの僅か、大型犬なりのささやかな抵抗をする。
完全に知性ある人間として自分がいられているのか自信がないが、それはそれとして。
可愛い後輩(押し付けてもとりわけ怒らなさそうな偏見のあるメンバー)の名前を挙げつつ、
続いた内容には難しい顔をして、顎を触りながら眉根を少しだけ寄せた。
「傷害になってねえなら二種でいいんじゃねえかなあ。
……ま、生で殴ってるのをその目で見た、とかなら一種。
喧嘩『してましたよ~』くらいの塩梅なら二種でいいだろ。喧嘩してそう、で補導は勿論ダメだが」
ダブリーの状態でロンされたらたまったものではない。多分これダブロンだぜ。
うまいことあかねに和了牌を献上できたらしく、被害は最小限で済んだ。ありがとう日ノ岡。
でも半分くらいお前がよくわからないカンをしたからこうなってるんだよ、日ノ岡。
「そう厳しくしすぎるのは俺ァ好きじゃねえからなあ。
ま、あくまで報告書だからな。こういうことがありましたー程度だから、気ら――」
気楽に? 気楽に。気楽にやってきたツケを今さっきまで(というか今も現在進行系で)、
こうして無限に払っていた自分が言えるセリフか? と一度思いとどまる。
そして、運良く? 偶然? ラッキーなことに?
ファイルの中に数枚ずつ、誰かの書き損じを見越した三種類の未記入の報告書がある。
とりあえず一種類ずつファイルから引き抜いて、フィスティアへと差し出す。
「気楽にな。他の人が見て『あっこういうことあったんだ~』ってわかればいいからさ。
多分、……真面目そうだし、大丈夫だろ。絵とか書いたり麻雀で例えると再提出くらうぜ」
本当に少しの役にも立たないアドバイスをしてウインクをする。決まったか?
フィスティア > 「お褒めいただき光栄です。
私は風紀委員会ですので。それくらいは...」
頭を撫でていただきました。褒めていただけると嬉しいです。
それに、あかね先輩の手は暖かくてどこか気持ちいいです。
ちなみに、この真っ白の少女はその類のことに関する知識も真っ白である。
先輩の間で行われている戦いなど気付いておらずー
「喧嘩をしていた二人から話を聞いたのですが、お友達同士でちょっと揉めてたみたいです
そんな危ない喧嘩でもなさそうでしたし...二種にするべきでしょうか」
そんな道具を使ったり、殺意のある喧嘩だったり、大怪我を負ったりしてる様子でもなかった。
掴み合ってお互いに悪口を言い合っていたので少し声をかけて風紀だって言ったら止まってくれました。
そこまで問題でもないでしょうし二種で良さそうです。
幌川先輩が渡してくれた報告書を「ありがとうございます」と言って受け取ります。常時持っているのでしょうか?さすが大先輩です。
「助言ありがとうございます。わかりやすいように書けばいいんですね」
報告書を胸に抱え、頭を下げる。
「ところで...幌川先輩も報告書を書いているようですが...何かあったのですか?
それとも巡回の報告でしょうか」
純粋な疑問が大先輩の伏せていた部分を突いた。
日ノ岡 あかね > 「あらぁ? 頼ってくれるのは嬉しいけど、異邦人街は私もあまり詳しくないわよ? ヨキせんせとかに聞いたほうがいいんじゃないかしら?」
先輩に倣うようにこの場に居ない誰かに手番を回し、あかねはくすくす笑う。
関わる人間を無暗に増やそうとするあかねは、大明槓を全く躊躇わない女だった。
「大した事じゃないなら、勿論二種でいいと私も思うわ。それに、一種の報告書になっちゃった場合……多分追加の報告書も必要になっちゃうしね? 公安にも提出しなきゃだろうから」
そうなると、その時にまた面倒を食うのは恐らくこの報告書の『手伝い』をした最中ということになるだろう。
あかねは非正規人員なので、恐らく呼ばれない。
今回多分二種でケリはつくだろうが……そうならなかった場合の未来のツケは、男一人の双肩に託された。
そして、フィスティアがそう『面白そう』な疑問を口にすると……弧月のように口をニヤけさせ。
「私も気になるわねぇ? ねぇ、モナカ先輩? これは何の報告書なの?」
図々しく身を乗り出して、小首を傾げながら尋ねた。
幌川 最中 > 風紀委員会ですので。それくらいは。……そうだよな。風紀委員会、だもんな。
その一言が先輩を傷つけた。スイマセン。風紀委員会の看板の面汚しで。本当に。
少しだけ心苦しくなったような気もしたが、気のせいだったことにした。
そう。バランス取ってるっていえば、多分通る気がする。通るかな。通らないかも。
「そうか~~~友達同士の喧嘩か~~~~~~~。俺三種にしちゃうなァ~~~~。
……まああかねちゃんの言う通りかもしらんな。二種。友達同士なら取っ組み合いくらいはなァ。
二種。なんか言われたら幌川さんが二種でって言ってたっていやあ言い訳くらいはするから、二種で」
幌川最中は、風紀委員会の中でもとびきり三種事例の報告書の数の多い男だ。
ある程度のこういった割り振りは委員に任されているとはいえ、その数は頭一つ抜けている。
が、実際にそれに遭遇しているのが幌川本人1人であるため、嫌な顔を多少される程度だが。
あかねの言うように、級が上がるごとに要注意とみなされる可能性は上がっていく。
幌川は、あまり「そういうこと」が好きではなかった。その結果がこれだ。多数決によって敗北。
「え? ああ、ああ~? そんなものあったっけなあ?」
すっとぼけるが、どうせすぐにあかねが攫っていくのがわかっているので、
諦めながら「落第街方面の報告書だよ」と本当のことを口にした。
「……落第街の違反部活の活動状況の調査報告書。
そのうちあとで公安のほうにも出頭せにゃならん。わかったか?
あかねちゃんもフィスティアちゃんも、わざわざ公安まで出ていかにゃならんのが嫌なら、
落第街には近づくんじゃあねえぞ。報告書の数が増えるからな。見ないのが一番だからな、あっこは」
フィスティア > 「幌川先輩、日ノ岡先輩。
ありがとうございます。
二種にしておきます」
本当に助かりました。
報告内容が微妙だったので、自分で判断していれば数倍の時間は要していたかもしれません。
最悪全種類の報告書を書いて提出しようかと思っていたので、とても助かりました。
それに、提出後も多少はサポートしてくれるというのはとても助かります。
大先輩に手間をかけさせてしまうのは心苦しいです。早く自力でどうにかできるようにならないと。
二人に向けて丁寧に深々と頭を下げて感謝の言葉を述べて。
幌川に向けてはさらにもう一度頭を下げた。
「落第街...ですか?
この前指令があったので巡回に行きました」
落第街といえば...巡回に行った時のことを思い出します。
キッドさんとハルシャッハさんに出会ったことを思い出します。
せっかくいろいろ教えていただいたのにあの後生かせていません。
守ろうとしてくれたキッドさんに失礼な態度をとってしまったのも謝りたいのですが...
「先輩がそういうのでしたら...?
気をつけるようにします」
報告書を出すのが面倒だから近づかない...というのは違うと思いますが。
まだ慣れていない私があまり近づかないほうがいいかもしれません。
あの時はキッドさんが報告書を出してくれたので助かりましたが、また後でありがとうと言わないと...
なんて、報告書云々で行かないほうがいい、というのは何とも言えないため悩んでいるような表情で小首を傾げていて。
日ノ岡 あかね > 「いいのよ、私は軽く口出しただけだからね、ふふ」
そう、調子よくヒラヒラと手を振っていたが……最中の言葉に対して素直に頷くフィスティアとは裏腹に、あかねはむしろ、うっすらとした微笑みを口端に湛え。
「そんな『楽しそう』な事してたなら……誘ってくれればよかったのに、ふふふふ……今の私は風紀の皆さん待望の『いくら使い捨ててもいいコマ』よ?」
黒い首輪のようなチョーカーを指さす。異能制御用のリミッター。
それがついていて、それでも風紀委員。
元違反部活生。前科あり。
今のあかねの所属は言ってしまえば……体の良い鉄砲玉。
危ない仕事はむしろ『専門』だ。
「別に公安は私、気になってる男の子がいるから行くこと自体は全然苦じゃないし、『見て見ぬ振り』もするつもりないから、落第街関係の仕事はむしろ大歓迎ね」
公安所属の不景気面で薬漬けで、ついでにハンバーグも食べきれない誰かさんを思い出しながら。
「遠慮しないでいいのよ? 私と先輩の仲なんだから」
あかねは、嬉しそうに笑う。
幌川 最中 > 「フィスティアちゃん『は』素直で大変よろしい。
グッド風紀委員。グッド風紀。これからも守っていこうな~」
うんうん、と育ちのいい後輩を見て穏やかに笑った。
笑えないほうの育ちが悪いほうの後輩は軽く資料を丸めて頭を叩いた。
「偶然だよグーゼン。グーゼン通りかかったら違反部活がやってたの。
だからとりあえずいやあ困ったことしてないかな、と思って覗いただけです。
そういう『危ない』ことは必要ないの。おわかり? アンダスタン?
理央ちゃんといい、若いコたちがみんな腕白盛りでおじさん困っちゃうよ」
元違反部活生威力運用試験部隊。
言い方は悪いが、事実としてはあかねの言う通り。
「正規の学生」の代わりに運用される部隊の活用法など考えればすぐわかる。
幌川は、あまり「そういうの」には肯定的な考えを持ち合わせていない。
「そうかい。……なんで落第街があるのか、よく考えるように。
ほら、フィスティアちゃんも言ってやってよ。危ないことすんなって。
……じゃあ出頭はあかねちゃんに代わってもらうかね。
俺はちゃんと隊服着ていかないと、公安の受付のコが怒るから嫌なんだよ」
フィスティア > 「大丈夫なのでしょうか?使い捨てのコマだなんて...
私も...心配ですし」
日ノ岡先輩は、自分のことを使い捨て、なんて言いますが...私はそういう考えは好きではありません。
ロボットなどならまだいいのですが...人間の貴重な命を使い捨てにするというのは...嫌なことを思い出します。
「何より、そんな死んでもいい、みたいなのは私は良くないと思います」
人間の命は統計にしてはいけません。一つ一つに価値があるんだと思います。
自分のことを使い捨てと言ったあかねに、それは良くない、と自分の考えをはっきりとした言葉、揺るがない表情で伝えて...
「幌川先輩は隊服をちゃんと着たほうがいいと、私は思います」
そのついでに真面目なノリで正論をぶつけられるだろうか。
日ノ岡 あかね > 「ふふ、別に私だって死ぬつもりは全然ないわよ。自分の仕事を弁えているだけ……心配してくれてありがとね、フィスティアちゃん」
また遠慮なくフィスティアの頭を撫でて、あかねは笑う。
実際、あかねの所属する部隊について、白眼視している風紀委員は多いと聞く。
人道主義に反するのは勿論……単純に危険だ。
一度は牙を剥いた狼を首輪付きとはいえ……また野に放すも同然の行いなのだから。
だが、あかねはそんな前評判すら気にすることもなく、普通に最中に笑い掛け。
「代わりに出頭ねぇ……私一人でそれが許されるなら勿論二つ返事だけど……多分ダメでしょ? 二人でデートが関の山じゃないかしら? それなら私も大歓迎よ。公安委員会庁舎には私も行きたいし……ねぇ、いいでしょ? モナカ先輩」
まるでテーマパークに連れていくことをせがむ少女のように、『素直』にあかねは笑う。
出頭そのものは本当に全く嫌ではないらしい。
むしろ……行きたがっている節すらある。
それくらいに、興味のある場所らしい。
「まぁでも、そんな事より……つれない事いうのは無しよ、モナカ先輩。『危ない事』は必要だし、落第街はもう『見て見ぬ振り』を続けられない。それが出来ない人が増え過ぎた。それが出来たら……私は最初から此処に居ない筈だし、ここまで落第街の話が人々の口端に上る事もないはず……もう、無視はできない場所になっちゃったのよ。本当はそうするべきだったとしても……ね?」
くすくすと、あかねは。
「それに……これは風の噂で聞いた話でしかないんだけど」
日ノ岡あかねは。
「……私の風紀入りを『推薦』してくれた『誰か』がいるのは間違いないんでしょ……?」
心底……楽しそうに笑って。
「私の扱いがきっと『こうなる』と分かった上でね……違うかしら?」
どこまでも……楽しそうに笑って。
「ねぇ、モナカ先輩……それについては、どう思うかしら?」
……幌川最中の目を、覗き込んだ。
幌川 最中 > 報告書の中身。
落第街で活動する違反部活のうちの一つが、地下競売を執り行っていたこと。
そこで売り捌かれていた『商品』のほぼ全てを逐一網羅したリストや、
そこで目にすることになった風紀の「一級監視対象」が何を購入したかという旨。
善意の協力者についての言及は一つも残らない。風紀の監視の仕事の一環という「設定」にした。
《門》の影響の強い、《外》由来の物品。
生きたまま捕縛された怪異、狩られたモノ、そして人型の「何らかの」素材。
縄張り争いに負けた「なにか」の死体に、誰かによって狩られたもの。
その全てに『価値』をつけて、その全てを金銭というひどく平等なものさしで測る。
そういう『裏競売』の概要が事細かく――『報告書が苦手』にしては、几帳面な資料。
恐らく、「死んでもいい」何かが、材料として出回っていたのだろう。
「フィスティアちゃんは真面目だねえ。鏡見たときにかっこよくない自分が映ったら嫌だろ?」
そうして、冗談めかして言ってから。
冗談の少しも混じっていない声色で、冗談の少しも言っていなさそうな表情で。
自分が皮肉った通りに、『素直』にあれこれとものを言ってくる後輩には。
「あかねちゃんと一緒に行くくらいなら一人で行くさ」
そう、静かに言ってから。
僅かな間を置いて、へらへらと薄く笑い。首を少しだけ傾けてから。
「宝石の飾り方、俺、なんか間違えてたか?」
そう、真っ直ぐにあかねの双眸を捉えたまま、短くそう言って笑みさえ浮かべて見せて。
「こうするのが日ノ岡あかねを最も『高く』見積もれるだろう」、と。
一つ一つの、最中という仲介人から見た『最高額』を誰かに口添えたことを隠す気はない。
むしろ、当たり前のことをしただけだ、と言わんばかりの表情で。
オチ
「安い女じゃないんだろ? ――このくらいで、『落札』てくれると嬉しいんだがなあ。
俺は見ないふりは続けるけどな。見たいんなら見ればいい。
……ただ、見て被った不利益があることは言い続ける。目が潰れるかもしれない。
それでも、まだあんなところに興味があるっていうなら、俺はやめとけよって言うだけだからなあ。
俺は『見たくない』から、あかねちゃんみたいに『見たくてしょうがないやつ』がやるのは効率いいだろ」
風の噂を詳らかにして。
違反部活・トゥルーサイトの生き残りである日ノ岡あかねへと視線を向けて、穏やかに笑い。
「だから、制服をちゃあんと着たいやつが着て、着たくないやつは着なくていいのさ」
フィスティアにも、なんでもないことのように――それこそ、同じ価値の話だと言わんばかりに笑った。
フィスティア > 「いえ...私のエゴですから...
それでも、自分のことは大事にしてください」
自分のこと、ではありません。私は私以外を大切にしたい、私以外の人が無事でいて欲しいだけなんです。
これは、私のエゴで、全員がそうあるべきなんて思ってはいません。
ただ、そうあって欲しい、と願っています。
私はそれを少しでも現実のものにしたい...そのために私はいるんです。
撫でられ、その暖かさと撫でられる心地よさに目を細めながらも、彼女の発言やその調子に不安げな表情を浮かべる。
その表情は、自分の考えがエゴであることを理解していて、そのエゴはやはり叶わないものであると再認識している悲しさからだろうか。
「私は鏡に少しでもカッコよく...」
写っていたい、と言おうとしましたが。違います。私はカッコよくなりたいわけではないんです
それをどう言えばいいのでしょうか...
言葉にできません
なんて、素直な後輩は小さく俯くだろう。
「そう、でしょうか...」
私には良くわからない話が先輩方の間で交わされていて...怖くなります。
ですが、少しでも理解しないと進めない気がします。
なんて、二人の話を聞いているが、やはり良くわからない。今までこの類の話を避け続けた代償だろう。
だが、二人の関係を少し見れた気はした。
日ノ岡 あかね > 「エゴでもいいのよ……自分で『責任』を取れるならね。誰かのせいにしなければ、自分で自分の『末路』と『結末』に『責任』を取れるなら……フィスティアちゃんも好きにしていいのよ? とはいえ……風紀に居る以上は、看板借りてる立場なんだから、立場は弁えないといけないけどね……家賃を払わないのはいけないこと……『悪い事』でしょ?」
フィスティアの頭を撫でながら……滔々と語られた最中の言葉に。
幌川最中の言葉に。
日ノ岡あかねは。
「あははははははははは!!」
高らかに……笑った。
「ふふ、何も間違ってないわ。全部全部、最適解よ……モナカ先輩はちゃあんと高値で『買って』くれた……本当に感謝しかないわ。私、年上の男性のそういう細やかな気遣いって……大好きよ?」
実際、最中は繰り返し言っている。
《わざわざ公安まで出ていかにゃならんのが嫌なら、落第街には近づくんじゃあねえぞ》と。
《見たいんなら見ればいい》と。
建前として注意はする。先輩の立場として苦言は呈す。
だが、そこまでだ。
他者の価値を侵さない。
他者の理念を侵さない。
それが……自分に返らないなら尚の事。
正しく、理想的な……大人の対応。
この子供ばかりの常世学園に置いて、数少ない……大人の言動。
『自責でやるべき事』にまでは口を出す。
だが、『自責でやれている事』には……口を出さない。
故にこそ。だからこそ。
日ノ岡あかねは。
「ありがと、モナカ先輩」
改めて……満面の笑みで。恋に恋する乙女のような顔で。
自分を死地に放り込んだ男に……心からの御礼を言った。
「ちゃんと……『値段』通りの働きはするから、期待してね?」
幌川 最中 > 「大丈夫大丈夫、半分くらいは冗談だからさ。
でも、フィスティアちゃんも覚悟しといたほうがいいぜ。
自分が相手を大事にしたいと思ってても、相手は自分のことを大事に思わないかもしらん。
そういう手合いには言っても無駄だ。勝手に大事にしてやるのが一番いいのさ。
風紀の後輩はそういうコが多いからなあ。そういうやつのために俺みたいな男がいんのさ」
やれやれ、と頭を掻きながら肩を竦める。
日ノ岡あかねもその一人だ。自分の価値を自分で定めて、その通りに振る舞おうとする。
であれば、誰が何を言ったって無駄だ。自分も同じだ。
「間違えないと覚えない」。「間違えるまで、間違ったことに気付けない」。
間違いたいと相手が言っているのであれば、それを正せるほど自分を高く見積もらない。
……というよりも、安っぽい男だ。自分に「できること」と「できないこと」の違いはわかる。
これが10年間のただ経験の積み重ねの結果で、留年生の先輩の言葉で。
「はいはい。あかねちゃんもよろしくやってていいけどさ。
……『次』はないよ。それだけわかってたら十分だけどね。
俺は偉くないからなあ。それに、『反省した』って言ってるコに厳しくする趣味もない」
安い男が安っぽい言葉を口にしてから、散らかした書類を片付けていく。
「安っぽい男」の報告書の価値はわかっている。だから、とりあえずこれではいけない。
……このままだと、この報告書に「価値」が出てしまう。
だから、嘘と本当を上手に切り取っては鍋に放り込み、ある程度煮込む。
そして、煮崩れしてもとの形がある程度曖昧になって、角がとれたらはいできあがり。
これが幌川最中の『書く』報告書で、そういう都合のいい『切り取られた』物語の一端だ。
「そんじゃ、わかんないことあったらいくらでも聞いてくれていいから。
ほら、他のコたちにね。理央ちゃんとかもなんだかんだ教えるの大好きだし、
よいっちゃんとかも後輩には優しいからねえ。ちゃんと先輩は選びなよ、二人とも」
そう言ってから、まとめ終えた書類を鞄に放り込んで立ち上がる。
雑に鞄を背負ってから、へらへらした表情を浮かべたまま。
「『悪い』先輩、見習ってもいいことねえからな」
一言、言い残して。
上機嫌に片手を軽く振ってから、そのまま公安委員会庁舎へと消えていった。
ご案内:「委員会街・風紀委員会棟」から幌川 最中さんが去りました。<補足:腰で風紀委員会の赤い上着をツナギのように結んでいる。人好きのする見目。後入り歓迎です>
フィスティア > 「確かに...そう...ですね
私は風紀委員会ですから、エゴよりも先に風紀委員会の一員としての義務を果たさないといけませんよね。
...考え直してみます」
言われて気付きました。私はあくまでも風紀委員会の一員です。
風紀委員会刑事課所属。風紀委員会としての義務を果たすのが先でなければなりません。
ですが、私にそれができるかと言われれば...
私が今まで風紀委員会という立場に基づくのではなく立場を利用していたことを考えると、今すぐというのは難しいと思いますが、それでも考え直す必要はありそうです。
このようなフィスティアの甘い考えを含めて、あかねの言う通り常世島は子供ばかりなのだろう。
子供、と言うよりかは精神的に未発達な、定まらないような。
そんな中で定まった価値観や倫理観を持つ二人の会話に、フィスティアは置いていかれていた。
やはり、子供。
大人の話を理解するのには時間がかかるだろうがそれでも、あかねの笑みを見て、大先輩が彼女が望む対応をしつつ、他者に不必要以上に干渉せず、自分なりの意見を持っていると言った。
大人な対応をしていることだけは何となく理解しただろうか。
「ありがとうございました。
本当に、色々と」
先輩はポンコツなんかではありませんでした。
この人は、一番大切なところが完成した、風紀委員会としては参考にならないかもしれませんが、人間としては完成したような、そんな先輩だと、私はそう思います。
報告書、あかねとの会話、最後のアドバイス。
全てをひっくるめて、全て自分のためになるものだった。そう思ったからこそ、色々と。
今日この大先輩にことを尋ねてよかったと。
深々と頭を下げた。
「それでは、私もそろそろ報告書を書きに行って来ます。
ありがとうございました」
色々と、には彼女も含まれる、
あかねの方を向いて、また深く頭を下げれば、元々真面目に見える表情をさらに引き締めてその場を去っていった。
まあ、このあと色々考えすぎて中々報告書が書き上がらなかったのは報告書を書くのに時間をかけた、と言う意味では、二人の先輩に物事を聞いたことは失敗だっただろうか。
ーでも、報告書をやっとの思いで書き上げた本人がそう思っていないのであれば、やはり質問する相手は幌川最中で、正解だった。そしてその後の全ても無駄ではなかっただろう。
ご案内:「委員会街・風紀委員会棟」からフィスティアさんが去りました。<補足:白い軍服、腰に帯剣。風紀の腕章>
日ノ岡 あかね > 「ふふ、どうかしらね? 『次』もやってみないとわからないわ」
去り行く最中の背中にそう投げかけて、あかねは笑う。
「『義理』と『責任』は果たさないとね、何処に居ても……それは必要最低限、誰でもやらないといけないことってだけよ。じゃあね、フィスティアちゃん。またどこかでね?」
続けて立ち去っていくフィスティアにもそう声をかけて、笑いながら手を振って見送る。
そして、その小さな背が見えなくなってから、あかねも皺を直しながら立ち上がって。
「案外、居心地がいいわよね。ここ……ふふ、これからもっと『楽しく』なりそうね」
そう、柔らかく笑いながら……何処へなりへと立ち去って行った。
猫のように、足音もさせず。
ご案内:「委員会街・風紀委員会棟」から日ノ岡 あかねさんが去りました。<補足:常世学園制服。軽いウェーブのセミロング。首輪のようなチョーカーをつけている。左腕に風紀委員会の腕章。>