2020/06/10 - 20:13~22:34 のログ
ご案内:「歓楽街」に葉山翔一さんが現れました。<補足:ざんばら髪 着崩した制服>
葉山翔一 > 「毎度あろ。またよろしく頼むよ」

歓楽街の一角、普段商品を仕入れる事に使うゲームセンターの近くの建物。
そこの壁に背を預けての相変わらずの商売。
いつも通りの人形から小物は扱っているが、スラムも近いだけに少々危ない品も今はあったりするのだが…。

そして今も二級学生と思われる男子にいくつかの商品を売り渡して見送り。
他に客は来るだろうかとたった今受け取った金を数えながら待つ。

ご案内:「歓楽街」にシュルヴェステルさんが現れました。<補足:人間初心者の異邦人。人型。黒いキャップにパーカーのフードを被っている。学生服。>
シュルヴェステル > 「ここは何屋なんだ?」

露天商のような男子学生の顔に影が落ちる。
キャップを深めに被り、パーカーのフードもその上から被る。
ちらりと覗く白髪の隙間から、赤色の瞳が興味深そうに商品に向けられる。

「見る限り、特段看板を下げられそうなものではないのだが……。
 一体、何屋なんだ? 店ならばなにかと専門があるのだろう?」

見覚えのない顔に、先程男子学生――葉山が見送った学生は早足で立ち去った。
風紀の腕章も考案の腕章もつけていない青年が、不思議そうに首を傾げた。

葉山翔一 > 「いらっしゃい。何をお探しかな?」

声に視線を向ければ当たらなお客と思しき姿。
キャップにフードという怪しくも思える見た目ではあるがスラムならある種見慣れているのでさほど気にもせず。
白髪の隙間から見える赤い目が多少興味を引きはするが。

「看板は用意してないんだよ。扱ってるのが色々とあるからさ。
しいて言うと何でも屋って所かな。今は人形と小物がメインだね。
欲しいものがあるなら手に入るかもね」

見た所自分に不利な相手ではないだろうと考えてメインの商品を告げ。
何がご希望だと営業スマイルで問いかけて。

シュルヴェステル > 「そうだな」

口元に指を持ってきては少しだけ悩む素振りを見せる。
目を細めて、男子学生の言うとおりに順番に視線を移していく。
人形。小物。ああ、女子供を相手に商売をしているのか、と納得しかけたところで。

「先の学生は何を探していたんだ?」

“あぶない商品”があるとは欠片も思っていないが故に。
早足で立ち去った理由でもあるのか、それとも人形を買っていたのを見られたくなかったのかと問う。
不利な相手では恐らくない。……が、面倒な相手ではあるかもしれない。
営業スマイルをちらと見やってから、訝しむようにしゃがみこみ、視線を合わせる。

葉山翔一 > 「学生が欲しがるものならそこそこ揃うって言えるね」

そうは言うが置かれる商品は女生徒相手に売るような物ばかり。
ほかの商品もなくはないが表に出さないのはあまり売れないから。

「さっきの?悪いね、お客が何を買ったかは教えられないよ。
もしかして変な物でも探してるのか?」

それでお得意がいなくなったら困ると軽く首を振る。
打ったものは危ない品であるがそこは教えれる筈も無く笑うだけ。
そんな事を気にする相手と視線が合えば笑みが揶揄うような物にと変わって。

シュルヴェステル > 「学生が欲しがるもの、か。
 ……つまり、ここに並んでいるものは逆説的に学生が望むものなのだな。
 興味深い。……教えられない?」

眉根を寄せる。その揶揄うような視線に合わせて視線はやや鋭くなり。
確かに営業理念としてはそういうのもある、と内心で静かに納得をする。
困ったな、と言わんばかりにこめかみを軽く押さえ、肩を竦める。

「変なもの――……」

変なものも置いているのか、と言いそうになり、焦って口を噤む。
そして、「そういう振り」がせっかく相手から齎されたのだ。

「ああ、探している。『そういうもの』を、な」

さも何かありげな表情を浮かべて、青年が露天商の学生をじっと見やる。
動物じみた視線が向けられて、返答を静かに待つ。

葉山翔一 > 「例えば…そこのゲームセンターで取れなくて欲しいのがある。
売り切れてた小物入れがあったりとかね。
何を買ったかを勝手に教えられないでしょ?」

アンタだって知られたくないでしょ?と視線で問うように見返し。
視線が鋭くなってもさほど気にしない、スラム暮らしはこういう時には図太く。

「変な物もあるよ。流石にウランは置いてないけどね」

相手の様子に茶化すようにそんな事を告げては肩を竦め。
この言葉どう来るかと……微かに伺うように目つきが変わり。

「そういうもの……ね。あんた、それじゃ伝わらないよ」

何かあり気な表情を見返し目が細くなり。
相手が純粋な客かややこしい相手かの判断が今一につかず…。
商品の傍に身を屈めると見えない位置に隠していたトランクを引っ張り出し、小ぶりなナイフと黄色い粉の入った袋を取り出し。
どっちだと言うように視線で問いかけて。

シュルヴェステル > 「ああ、そうだな。
 とりわけここでは誰が何をするかの自由意思が保証されている。
 知られれば明日同じように今日を過ごせるかどうかもわからない。
 ……『そういう』ものも、扱っている、ということだな」

説明感謝する、と小さく付け加える。
スラム暮らしの慣れは、どうにも外見的要因で怖がられがちな青年には優しさに感じ方を変え。
向けられた視線には納得するように首を縦に振った。

「ウラン……?」

幾ばくかの間こそあったものの、続いた言葉に「そうだな」と何度目かの言葉。
そして、隠されていたトランクにすいと視線を向けてから小さく鼻を鳴らす。

「そっちはわかる。……が、そっちだ。それはなんだ?」

ナイフを最初に指差し、次には黄色い粉へと指先を向ける。
眉根を寄せたまま、小首こそ傾げるも怯えの表情などはなく。
難しそうな表情の仏頂面を浮かべながら、視線は目の前の露天商へと。

葉山翔一 > 「それはノーコメントだね。
そうとも言えるし、そうとも言えない。
ただ皆自由は大好きだろ?」

言葉遊びのようだがこれでも至って真面目に答えている。
どちらかと言えば発覚すれば自由がなくなる身なだけに答えるつもりはないとも言い。

「俺みたいな何でも屋が扱ってるとやばすぎないか?」

相手の反応に冗談は通じなかったと肩を落とし。
忘れろと言うように手を軽く振って。

「これか?なんだ知らないのか?舐めると癖になる粉だよ。手に入れるのは大変なんだよな」

ナイフは何処にでも売っているようなナイフ。
黄色い粉は一見見て聞いての危険物だが、その正体はある菓子にふられている粉。
本当にどういう経路で入手したか判らないそれを仏頂面を見せる男の前で揺らして。

シュルヴェステル > 「自由であることは善いことだからな。
 身を以て知っている。言いたいことは至極理解したつもりだ」

納得したように首を何度も縦に振りながら。
ノーコメントというのは往々にしてイエスである、というのが青年の解釈だ。

「ウラン、は……何でも屋が扱うと危ないんだな。覚えておこう」

まさに異世界転生の如し。
突然この地球という異世界に放り出された青年の脳内にはその三文字はなく。
冗談というハイコンテクストな文化には未だ当然追いつけていない。

「……ああ、粉か。ここでも高値で取引されているのだな。
 貴君が扱えるような商品ということは、禁止されていないのか」

見せてもらえるか、とポケットに入れたままのだった片手を差し出す。
じとりとした視線が、男子学生の頭からつま先までを舐めるように見る。

葉山翔一 > 「そう言う事だな。
だから深くは詮索しない方が良いな。あんたもされると嫌だろ?」

判ってくれた様子にそうそうと頷き。
直ぐに納得をしたことに話が早いと笑い。

「……判ってない口か?なら機会があったら調べるのも良いかもな」

まさか通じていないとは思わずついそんな事を。
もしかして異世界出身かと思いはするが、自分が先に言った手前深く聞くような事はせず。

「高価って程じゃないな。これだけなら……3000円でいい。欲しい奴は買うしね。
これは手に入れるのは面倒だけど禁止はされてはないな」

手を出す仕草に買うのかと思い、その手に袋を乗せ。
視線を向けられても気にもせずに買うなら買えという姿勢で。

シュルヴェステル > 「粉ものに興味はない」

そう断言して、目の前で小さな小袋を軽く振る。
そして、袋越しに葉山翔一その人をしっかりと見やってから。
やや重そうに口を開き、真剣極まりない表情を浮かべる。

「だが、こういう物品の取引はあまり勧めない。
 黙過されているのか認可されているのか、私は知らないが……、
 往々にして、こういうものは“変な”ではなく“ろくでもない”ものだ」

小袋を返してから、適当に並べられている商品に視線を戻す。
完全に10割の勘違いをしたまま、その「依存性の高い粉」を再び思って溜息をつく。

「そういうものがなくとも幸いであることが幸福だ。
 ……故に、そういった短絡的な幸福に手を伸ばすような者もいるかもしらんが、
 そういうものに手を伸ばせないような環境を作るというのが本来のあるべき姿であって」

くどくどと説教じみたえらそうな言葉を並べる。
が、その本質がただの美味しいお菓子から局所的に抽出したものであることを彼は知らない。
迷惑客の様相を呈しながら、目に止まった古めかしい箱に入った万年筆に手を伸ばす。

「これはいくらだ」

葉山翔一 > 「そうか。甘くて癖になるんだけどな」

それは残念と小袋を振る姿を眺め。
真剣と言える顔に笑みを向けたままで。

「判って入るけど売れるもんだしね。
言っとくがこいつは合法だぞ、手に入れるのが面倒なだけでな。
だから変なもんであってる」

返された小袋をトランクに戻すと奥の方へと詰め込み。
完全に勘違いされているのは判るがあえて修正しないのも楽しみだというようで。

「金がないと幸せになりにくくてね。
短絡的でも幸せになれるならいいことだって俺は思うよ。
そう言う難しい事をここで言っても仕方ないってね」

説教じみた事を聞いても何それと言うように聞き流し。
真面目過ぎる奴だなと面白い奴を見つけたという顔になり。

「それは1000円だよ。買うなら一括でな」

相手が手にした万年筆の値段を告げ、買うなら金と手を出して。

シュルヴェステル > 「できることならやめるといい。
 取り返しがつかなくなってからではもう遅い。
 やめる気が少しでも残っているうちにやめるのが得策だ。
 得てして、こういうものは斬られたとてやめられなくなり、そのうち――」

「合ってる……?」

難しそうな顔をして少しだけ首を傾げる。
説明はない。思わせぶりな表情の下に何が隠れているかを伺うには経験値がない。
故に、それ以上掘り下げることはなく眉根を寄せるだけ。

「貴君がいいというのならばいいのだろうな。
 法に許されているのならば私がどうこう言う権利はない」

首を横に軽く振ってから、短く溜息をつく。
迷惑な客は「ああ」と返事をしてからパーカーの下の胸ポケットから薄い財布を取り出す。
そして、紙幣を数枚取り出して男子学生へと突きつける。定価の30倍。

「釣りはいらない。とっておいてくれ。
 金があれば貴君が幸せになれるのなら、これは私には不要だ。
 短絡的でも、幸せになれるのならそれはいいことなのだろう」

異邦人ということで幾らか来訪時に渡されていた金銭の一部。
何を買ったりしたり、ということに縁のない男が持っていても豚に真珠。
であるからして、こうするのは当然であると言わんばかりに。

「一括、現金払いだ」

葉山翔一 > 「そんな危険な物じゃないって。癖になる以外はな。
これ辞めても…普通に菓子で買ったら一緒なんだけどな」

これは危険薬物だと思ってるなと完全に察して目つきが優しくなり。
それでも修正しないのは自分なりの揶揄いである。

「俺はこれでいいからいいんだよ。
そんな細かい事を気にするなら、これ以上奥にはいかない方がいいぞ?」

相手のように正義感溢れるような人間にはスラムにはいかない方がいい。
溜息を吐く相手に最低限の親切でそれを告げ。
そしてあ多された紙幣の量には流石に固まり。

「後で返せって言っても無理だからな…?
アンタに必要なく俺に必要なのは確かだしな。
それじゃ有り難く…、毎度あり」

一括と受け取った金をポケットに押し込めば万年筆を包装して手渡し。
何時もの様に毎度ありと告げて。

シュルヴェステル > 「……菓子?」

ようやっとその粉の真実の尻尾を掴みかけて、逃げられる。
恐らく相手の表情を読むに「これ以上は教えない」ということだろう。
この商人、一体何者だ、面妖な、と口にしようとしたところで。

「これ以上奥だと?
 この地図だとこのあたりが奥ということになっているのだが。……詐術か?」

携帯用の電子端末に地図を表示させ、相手に見せる。
ぽっかりとその地図には落第街の三文字も、スラムの尻尾すらも見当たらない。
恐らく、異邦人のために用意されたのか、それとも彼のために用意されたものかのどちらかだろう。
あるはずのものがなかったことになっている。疑り深そうな視線を向けてから、しばしの沈黙を挟む。

「露天商が毎度同じ場所にいるでもなかろう。
 返せなどと狭量なことを言うつもりはない。それに、“商品”に対価は必要だ」

ないはずの場所。空白に何があるのか。
その情報を買ったのだ、と言わんばかりの表情を浮かべながら、万年筆を胸ポケットに滑らせる。

「世話になった」

葉山翔一 > ここまで言葉遊びに引っかかるとこれ以上揶揄うのも悪く感じてしまう。
なのでここまでだと言うように首を振り。

「……おい……どこでこんなのって……あぁ、これが正しいってやつか。
それなら俺からは言う事はないな。興味があるなら調べてみる事だよ」

態々地図に出ていない場所の事を教える必要もないだろう。
そう考えれば自分で調べろと告げるだけに、表記されないならそれ相応の理由がある筈だからと。

「それはそうだな。まあ、会っても返すつもりも無いんだけどな」

その通りと代価については頷き。
気にするなと手を揺らして。

シュルヴェステル > 「……そうか。度々すまない」

否定の言葉がなかった。
何よりも雄弁な「ノーコメント」の値段だと思えば安いもの。
「わかった」と付け足してから軽い調子で立ち上がり、息を吐く。

「縁あらばまた。……ああ、そうだ。
 もし手が余っているのならば、もう少し長物であれば買ったやもしれない」

そう一言だけ注文をつければ、もう視線は彼へとは向かない。
日陰道ではなく、学生の多い大通りへと赤い視線は注がれる。
携帯端末の灯りを落としてから、真っ暗な画面へと切り替える。
そして、学生服のポケットにそれを滑らせてから、軽やかに踵を返す。

「……『これが正しい』、か」

3万円分の言葉を口の中で小さく繰り返し。
白髪の青年は、キャップとフードを被ったまま、早足で人混みの中に紛れていった。

ご案内:「歓楽街」からシュルヴェステルさんが去りました。<補足:人間初心者の異邦人。人型。黒いキャップにパーカーのフードを被っている。学生服。>
葉山翔一 > 「だから構わないって。気にしすぎなんだよ」

ややこしい客ではないが何処か面倒な客だと相手を見て。
これ以上聞かれボロが出ても困ると考えていれば相手から切り上げられて安堵し。

「長物?もし手に入るなら仕入れておくよ」

そういう物なら手に入れる伝手はあるので簡単に請け負い。
その事には相手の視線が大通りに向いている。

「その地図を信じるなら奥には行くなよ?
これは俺の親切だ」

踵を返し人込みに消えていく相手の背中に声をかけて見送り。
予想以上の収入に商品をトランクにしまえばその場を後にする。

ご案内:「歓楽街」から葉山翔一さんが去りました。<補足:ざんばら髪 着崩した制服>