2020/06/30 のログ
ご案内:「委員会街・大通り」に幌川 最中さんが現れました。<補足:腰で風紀委員会の赤い上着をツナギのように結んでいる。人好きのする見目。後入り歓迎してます>
幌川 最中 >  
「手相~。手相占いはいらんかね。手相。手相占い~」

突如、洒落た雰囲気の委員会街の路上で、路面にブルーシートをひいた男。
ワゴンでやたらお洒落な昼食を販売している学生が並ぶような一角。
壺を片手に、地面に座り込んでダンボールに「占います」の文字とともに笑っている男。

「あと……こうなんか、ほら、相性診断とかも」

女子学生はやや怯えの混じったような視線を向けたり、
男子学生は笑ったり指をさしたりと散々な有様だが気にする様子はない。

「いらんかね~」

商業活動の許可を取ったのか、とさっき聞かれたので、自分で書いた許可証を見せた。
一応許可証なので書類的には通るものの、多分そのうち怒られる。
いまかぎり、泡沫の夢のような「占い屋」がここに爆誕していた。

ご案内:「委員会街・大通り」に織機 雪兎さんが現れました。<補足:風紀委員の制服、腕章、黒タイツ、伊達メガネ。>
織機 雪兎 >  
「……あんこセンパイなにやってんですか?」

最近日課にしている射撃練習の帰り。
自分の拳銃は持っていないので、風紀に届けを出して備品の拳銃を借りていた。
それを返すために来たのだが――センパイがなんか怪しげな占いをやっている。
めっちゃ怪しい。

「占い? あんこセンパイ手相見れるんですか???」

物凄く胡散臭いものを見る目。
しかもブルーシートだし。
うさん臭さが天元突破している。

幌川 最中 >  
「書いてあんだろここに。
 雪兎ちゃん日本語読めないのかあ~?」

占いますの4文字がきったねえ字で書かれている段ボールを見せる。
手相見れるんですか???の煽りにそっくりそのまま煽りを返した。
死ぬほど大人げない。

「手相見れるよ。あと……前世とかも。
 あっそこで見てるみんなもね~。俺今日占い屋さんだから。
 悩み事とか彼氏になってほしいとか付き合いたいとかあったらね。
 この機会に是非ね~」

やや人だかりになっている周囲を見回してからへらへらと笑う。

「雪兎ちゃんが足止めたってことは見てほしいわけ?」

手のひらを見せる。

織機 雪兎 >  
「いや見ればわかりますけども」

そんな煽りされても。
そもそもそう言うことじゃない。
何をやっているのか、と聞いたのではなく、なんでそんな怪しげな占いの露天やってるんですか、と聞いたのだ。
大人げねぇなこの人、なんて思いながらドン引きの顔を見せる。

「マジすか。あと彼氏は要らなくて彼女が欲しいです。あと通りすがりの女子生徒をナンパしないでください」

どの口が、と言われそうだが風紀としては多分真っ当なことを言って。

「いやまぁ……興味は、まぁありますけど」

とりあえず見てくれると言うのなら見てもらおう。
彼の目の前にしゃがみ、手のひらにこちらの手を乗せる。
ぱんつが見えるかもしれない。

幌川 最中 >  
「は~~~~?
 見てわかること聞いてどうすんだよ。
 雪兎ちゃんは幌川さんに構ってほしかったってしっかりさあ~」

と冗談混じりに言いながら、真面目な表情を浮かべ。

「クーリングオフは適用してないし1回1500円な」

そんじゃあ、と言ってから重苦しい溜息をつく。

「雪兎ちゃんパンツ見えてるから。
 男はなァ~~!! 安いパンツに興奮なんてしねえからはやくしまいなさい。
 お母さん雪兎ちゃんがお嫁にいけなくなるんじゃないかって心配ですよ」

「で、何か悩みでもあんの?」

織機 雪兎 >  
「くっそこの先輩……! そんなんじゃないです! ていうかそもそも聞きたかったのはなんでここでそんな胡散臭い占い屋なんてやってるんですかってことで!」

なんかムカつく。
別に言い負かされているわけじゃないはずなのに言い負かされてるような気分になってくる。
歳の差による経験の差か。

「たっか! なんすかその値段ぼったくりじゃないですかぁ!」

むしろ占い屋としては安いのかもしれないけれど、普段そんなものと縁のないジョシコーセーにとってはぼったくり以外の何物でもない。

「ッ!!! ……ぱんつみたから五百円で」

ばっと空いた手でスカートを抑える。
そしてこれ幸いと値引き交渉。

「えっ!? なんでわかるんですか!? ほんとに占い出来るんですねあんこセンパイ!?」

そして「何か悩みでも」と言うお決まりの言葉にあっさり騙される頭ぱーぷりんであった。

ご案内:「委員会街・大通り」に日ノ岡 あかねさんが現れました。<補足:常世学園制服。軽いウェーブのセミロング。首輪のようなチョーカーをつけている。左腕に風紀委員会の腕章。>
日ノ岡 あかね > 「じゃあ、私占って貰ってもいいかしらぁ?」

ニコニコ笑いながら、雪兎の後ろからぬっと顔を出してくる女が一人。
元違反部活生の風紀委員。日ノ岡あかね。
 
「ユキちゃんも一緒に占ってもらいましょうよ、後輩二人セット割引とかきっとあるはずよ。なければ今作ってもらいましょ?」

そう、少なくとも一方的に雪兎の名前を知っているあかねは笑う。
当然、ずっとニヤニヤ笑いながら、横目でチラチラと最中を見ながら。

「はい、先輩。二人でこれでいいかしら?」

そういって、紙幣二枚と大きな硬貨一枚をぎゅっと握らせる。
硬貨一枚分値切る気満々。

「ね? おねがい、モナカ先輩」

最中の目をみて、満面の笑みを浮かべた。

幌川 最中 >  
「理由がなかったら占い屋さんやっちゃいけねえ理由ある~?
 内緒だよ内緒。占い師がミステリアスじゃなかったら終わりだろ。
 そういうイメージ戦略、が、あるんですけど~?」

後輩を遠慮なくからかいながら、ぼったくりとはなんだ、と返す。
じっとりとした視線を向けてから、やはりこれは伝わってないと改めて。

「パンツってのはね、雪兎ちゃん。
 1000円で済むほど安くしちゃあいけないんだよ。パンツはね。
 それじゃあ1000円程度のパンツの価値しかない女になっちまうから」

神妙にそう言ってから、ありがたく騙されている後輩に乗っかる。
だろうそうだろうと言わんばかりに。

「君らより10年くらい長く生きてたらわかるようになるんだって。
 はいあかねちゃんもいらっしゃい。女の子ってやっぱ占い好きだねえ。
 もうその値段で構わんけども、金の使い方をもっと考えなさい。
 どこからどう見ても完全に無駄遣いだからな」

「で、占い師のあんこセンパイに何を教えてほしいって?」

織機 雪兎 >  
「ミステリアスって言うか……」

なんていうか怪しい中国人みたいな信用しちゃいけない感じの感じがする。
センパイだから信用するけど。
ちょっとは。

「えっじゃああんこセンパイがお金くれてしかも占いまでしてくれるってことですか?」

なんだじゃあぱんつ見せ放題じゃん。
とは思わないが、つまりはそう言うことになる。

「ウヒョエッ!! ――び、びっくりしたぁ……」

そして唐突に横から顔を出された。
いつの間に後ろに。
いや気配なんて察知できないけど。

「そ、そうだー、後輩割引――それあんこセンパイがいう!?!?」

思わぬ援軍を得て更に値切ろうとしたら無駄遣いするなと言われた。
吹っ掛けてきたのはこの人だろうに。
ていうかマジでぼったくりかよ。
なんだこの先輩。

「――いや、まぁ。なんていうか、こう……このままでいいのかなぁ、って思ってまして」

日ノ岡 あかね > 「このままでいいのかな、って、将来の不安ってこと?」

小首を傾げながら、雪兎の話題に乗る。
楽しそうに笑いながら、最中に視線を向けて。

「ほら、先輩ここは後輩に先輩ポイント稼ぐチャンスですよ?」

にやにやと笑ってそのままパス。
自分の占いは後回しでいいらしい。

幌川 最中 >  
「出来の良い後輩を持つと違うねえ」

シュート決められるのにわざわざこっちにパス回してきおった。
後輩に先輩ポイント稼ぐじゃなくて、先輩に後輩ポイント稼いでんじゃねえ。

そう言おうかと思ったが、恐らく3倍の物量でいじめられると思ったのでやめた。
あかねちゃんはからかおうとすると人の足元掬って池に投げてくるし。

「このままでいいのかなぁって?」

手相を見ている。
なんか線がめっちゃ多いな~。やっぱ女子って手ちっせえな~。
なるほどね。それなりに手仕事とかすんのかな。真面目そうな手。

「いいわけねぇだろ。ここにいいわけねえだろ線入ってるよこれ」

適当に手相を示す。
なんか多分これは生命線だった気がするけど多分よくない気がする。

「だって人にそんなこと聞くってことは、
 少なくとも少しはよくないって思ってるから人に聞いて確かめんだろ?
 ま、もしくは『いいよ』って言われたいからかもしらんけどもさ。
 雪兎ちゃんはどっちだった? 今を肯定されたかった? 否定されたかった?」

全然手相占いじゃないけど。手相占いのテイを一応はとってこそいるが。
こんな委員会街のど真ん中で露天商をしている理由。
小難しい話の相談相手のいない、委員会所属の生徒のケア。生徒指導部の仕事である。

織機 雪兎 >  
「や、将来の不安と言うか、そうとも言えるしそうでないとも言えると言うか……」

将来の事と言えばそうなのだが、進路についてとか学校を卒業してとかそんな遠い未来の話ではない。
いやその辺も割と遠くないっちゃ遠くないんだけども。

「えっなにそれいいわけねぇだろ線!? そんなんあるんですか!?!?」

見事に騙されて必死で手のひらを凝視。
からかわれるなんて思いも付かない。
頭ぱーぷりんだから。

「そ、そう言われるとそうかもしれないんですけど……」

人から言葉にされればそんな気がしてくる。
基本的に何も考えずに生きているので適当である。

「――えっと、僕風紀に入ったのって女の子にモ――カッコイイな、って思ったからなんですけど。この間ちょっと、なんて言うか、言葉に出来ない感じの事故と言うか、ありまして。それで、なんか、こう……ノリ?っていうんですかね、そんな感じで風紀委員やってていいのかなぁ、って。いやまぁ今改めて考えれば良いわけないんですけど、方向性と言うか、どういう風紀委員になればと言うか、目標と言うか……」

しどろもどろ。

日ノ岡 あかね > 「言葉にできない感じの事故?」

最中の戯言は笑うだけで済ませるが、雪兎の言葉には目を丸くして、首をかしげる。
興味深そうに小さく何度か頷いてから、あかねは目を細めた。

「カッコいいって思って入るのは立派な動機だし、それで行動できてるなら私はとってもいい事だと思うけど……それに、どんな風紀委員になるかは自分で決めていいんじゃないかしら? それこそ、麻雀で管撒いてばっかりの上に信じられない年数留年してる風紀委員だっているんだし」

最中をみてニヤニヤと笑いながら、雪兎の悩みに頷く。
どこか、愛おしそうに。

「ね、先輩? 事故とかは私は知らないんだけど、先輩はこの後輩の悩みにどう答えてくれるのかしら? 私、とっても興味があるわ」

両手を合わせて笑いながら、最中の答えを催促する。

幌川 最中 > 「そう。結構いるんだよねえこれ出てる人。
 雪兎ちゃんもそういう線が出てるね~出てる。すごい出てるよ」

適当を言い続ける。指摘されない以上、別に困らないのでこれでいい。
これでいいので、頭ぱーぷりんでよかったね。ありがとう。サンキュー雪兎ちゃん。

「言葉にできない感じの事故。事故ねえ。
 はんはん。ノリで風紀委員やってていいのかよくないのか。
 まあ目標なくなんかやるってのも大変だしなあ。わかるわかる。結構わかるよ」

そう笑ってから、肩を竦める。
雪兎の手を離してから、小首を左右に傾げながら笑う。

「うるせーよあかねちゃんは!! 言わんでいいだろそれ!!
 どうせバレてんだからワンチャン知らない後輩ならまともそうな顔できるだろ!」

段ボールであかねの頭をスパーーーンッと叩く。いつもなんか叩いている。
それが嫌だったらやめろと言っているはずだが、やめていないので嫌じゃないのかもしれない。
そういう趣味なら言うことでもない。あかねちゃんが好きにすればいい。

「雪兎ちゃんは、『どう』していきたいって思ってるのかな」

織機 雪兎 >  
「え、っと、詳細は聞かないでいてくれると……」

とは言え「事故」の相手は同じ風紀委員だ。
言いふらすような人とは思えなかったけど、もしかしたら報告書とか上がってるかもしれない。
上がってないかもしれない。

「えっそんな先輩いるんですかとんでもないですね!! ――えっ?」

いきなり段ボールで謎の美少女風紀委員の頭を叩くセンパイ。
マジで、って顔で怪しげな占い屋やってるセンパイを見る。
えっ?

「どう……少なくとも麻雀で管撒いてばっかりの上に信じられない年数留年してる風紀委員にはなりたくないなって思いました」

ちょっとこの人に相談したの間違いだったかな。

日ノ岡 あかね > 「きゃー、こわーい、先輩婦女暴行ですよ? 風紀委員としてどうかと思いますねー私」

誤用上等の言い回しでケラケラ笑いながら、ひょいと最中の段ボールブレードを避ける。
いつもの事なので全然気にしていない。

「誰の事かとはいってなかったのになぁ? それより、答えは出たのかしら? ユキちゃん」

ニコニコ笑う。
段ボールブレードを回避したせいで乱れた髪を軽く直しながら。

「この人、これで経験豊富だから、真面目に話せば真面目に答えてくれる先輩よ」

そう、どこか嬉しそうに笑った。

幌川 最中 > 「聞かれたくないってんなら聞かないよそりゃ。
 というか乙女の秘密とか暴こうとしたら俺がやったらセクハラでしょうが」

はー困る困る、と言いながらあえて避ける素振りを見せる。
自分の公然の秘密に触れられれば、まあもうそうもなるよね、という表情。
真面目に俺だってやってるんだけどね。
麻雀はやってるけどこうやって仕事もしてない? 遊んでるように見えるね。
そうだね。バッド風紀委員会。

「それでいいんじゃねえかなあ。
 『こうしたくない』『ああはならない』『あれは嫌だ』をさ。
 どんどん積み上げていって、……んまあこれは消極的にだけど。
 尖らせてけばいいんじゃねえかなあ。
 そのうち、多分『雪兎ちゃんがなりたくない風紀委員会』から離れて、
 『雪兎ちゃんの選んだ風紀委員のありかた』になるっちゅーか。いかが?」

あかねの顔を見る。ドヤッ。
そう、経験豊富だから真面目に話さなくても答えてくれる先輩である。
先輩ポイント+8000000くらいあったな、今の。

織機 雪兎 >  
「うぅんん……」

言いたいことは確かにわかる。
なりたくないものを消していけば、消去法で答えは出る。
出るけれど。

「なんかこう、何かやらなきゃ、って感覚が、こう、すごいんですよ、わかります? こう、バリバリやってる風紀の先輩とかかっこいいじゃないですか。僕もそんな風になりたいんですけど、でも運動苦手だし銃も最近練習始めたばっかりでヘタクソだし、書類は毎回再提出喰らいますし。」

うぅーんと腕組みしながら唸って。
今までぐうたらやってきたツケ、と言うか。

「こう……逆に、僕がどんな感じの風紀委員に似合いそう、ってあります? あ、もちろんいい方向で」

麻雀で管撒いてばっかりの上に信じられない年数留年してる風紀委員って言われたら立ち直れない。

日ノ岡 あかね > 最中の回答にもどこか可笑しそうにニヤニヤと笑いながら、雪兎の回答を満足気に聞き終え。

「それって……ユキちゃんは向いてることをスマートにやりたいってことなのかしら? それが『やりたいこと』なの?」

楽しそうに尋ねる。
興味深そうに。面白そうに。

「……先輩はどう思う?」

そして、最中にまたパスを投げる。
あくまで話を聞いているのは最中。
あかねは一先ずは楽しく笑うだけ。

幌川 最中 > 「それなら風紀委員やめてみたらいいんじゃねえかな」

平然と、麻雀で管まいてばっかりの上に信じられない年数留年してる風紀委員は言った。
明日の朝食は何がいいと思いますか? と聞かれて、コーンフレークかな、と答えるくらい。
センパイって何色好きですか、と聞かれて、うーん、赤かな風紀の色だし。と答えるくらい。

「運動も苦手で銃もヘタクソで書類もダメなんだったら、やらなかったらいいんじゃねえかなあ。
 ほら、誰かに何をやれって言われなくもなるし、風紀委員じゃないなら何もやらなくていい」

苦手なものを挙げる後輩に、そっくりそのまま繰り返しつつ。

「雪兎ちゃんは、俺がこういう風紀委員向いてるよって言ったらどうする?
 『そうなれるように』、目標にして努力する?
 風紀委員向いてないよ、なんて言われたら、風紀委員やめちゃったりする?」

いい方向で、と言われても、いい方向の答えは返さなかった。

織機 雪兎 >  
「えっ」

風紀委員をやめる。
ちょっとショックを受けた。

「それ、は……」

確かにそうだ。
運動も出来ず、銃もへたくそで書類もダメダメ。
だったら風紀委員なんて辞めてしまえばいい。
辞めてしまえばいいのだけれど、

「……それは、なんか、いや、ですね……」

なんでかわかんないけど。
向いてることをスマートに、と言うのも言われてみれば何か違う、と言う気はする。

「どう、なんですかね……少なくとも、風紀委員はやめたくないです」

元々モテるために始めた風紀委員だし、ぶっちゃけそんなモテてもないけど。
なんでか辞める選択肢はなかった。

日ノ岡 あかね > 「あはははははははは!!」
 
あかねは、楽しそうに笑った。
とても……楽しそうに。

「ユキちゃん、モナカ先輩はいい先輩ね」

最中の答えにも、雪兎の答えにも。
あかねは……とても嬉しそうに、笑っていた。

「気付かせてくれたのよ? 『得意な事だけやればいいわけじゃないし、不得意な事だからってやっちゃいけないわけじゃない』って」

得意と不得意は、出来ると出来ないとは違う。
まして……『やりたい』と『やりたくない』とは全く繋がりがない。
なんだって最初は誰も『出来ない』のだ。
それでも、『やりたい』と思うなら……それは『やるべきこと』に違いない。

「答え、出てるじゃない。アナタのなりたい風紀委員はわからないけど、アナタは風紀委員を辞めたいわけじゃない」

あかねは笑う。
楽しそうに。

「なら……その先は風紀委員を続けながら、ゆっくり見極めてもいいんじゃないかしら? 迷うのは若者の特権よ。ね? 先輩」

そう、普通の学生と比べたら全然若くない最中に笑って見せる。
ニヤニヤと、悪戯っぽく。

幌川 最中 >  
「やめたくないんなら、じゃあ頑張るしかねえなあ。
 別に俺はファッション風紀委員でも別にいいと思ってるから、
 俺は雪兎ちゃんの気持ちは全然わからんけどもね。
 麻雀で管まいてばっかりの上に信じられない年数留年してる風紀委員だけど、
 俺は俺がやりたいことがあってここにいるわけでさ」

それにショックを受けるのであれば。
「やめたくない」のならば、なにか理由がそこにあるはずだ。

「だったら、やりたいことを見つけるまでやりたいことをやれるように、
 ほら。雪兎ちゃんってゲームやる? レベル上げとか、やる?」

あぐらをかいたまま、怪しげな風紀委員は自分の顎に触れる。
そして、まっすぐに雪兎の顔を見てから。

「もし『やりたいこと』が出てきたときに、『やれる』ようにすんのが。
 今の雪兎ちゃんに必要なんじゃねえかなあ。
 何を、が決まってないっていうなら、ラクできねえもんだからな。
 目的が決まってるならどのジョブのレベル上げればいいかわかるけども、
 目的がないなら全部のレベル上げをしておかなきゃいけないって寸法でさ」

軽く背伸びをする。そして、あかねの言葉に頷く。
なにを考えているのかよくわからないこの黒猫だって、
理由がなければ風紀委員になんて協力しないだろう。だから余計に。

「だって、『なんもやりたくない』わけじゃねえんだろ?」

織機 雪兎 >  
「うわっ」

めっちゃ笑ってる。
なんか面白いこと言っただろうか。

「あ、ゲーム、やります。レベル上げ……」

確かに、レベルが一ではレベル十の相手とはそもそも戦えない。
ならばレベルを上げるのは当然で。

「あ、でも、やりたいことはあるっちゃあるんです。ちょっと言うのが恥ずかしいんですけど……誰かを守れるようには、なりたいなって」

今は守ってもらう側なのに、誰かを守りたいなんて烏滸がましい。
視界に入るものすべて、なんてワガママは言わない。
ありきたりな言葉だけど、せめて手の届く範囲くらいはなんとなくほんのりとぼんやり守れればいいなぁって。

「――ところでその、どちらさま……?」

さて、このニヤニヤと笑っているめちゃんこステキ美少女は一体誰だろう。
報告書とか斜め読みすらしないこの女が知っているはずもなかった。

日ノ岡 あかね > 「あ、そういえば自己紹介遅れてたわね。私はあかね。日ノ岡あかね。ユキちゃんの事は風紀名簿で一方的に知ってただけで、多分初対面ね。はじめまして!」

嬉しそうにニコニコ笑いながら、右手を差し出す。
ウェーブの黒髪セミロングが、軽く揺れた。

「誰かを守りたい。素敵な動機じゃない。それこそ、風紀委員らしい動機よ。確かに広く捉えればとても難しい事かもしれないけれど……風紀委員会は難しいからこそ、みんなで手を取り合ってそれを成し遂げようとしている組織じゃないかしら?」

当然、否と答える風紀委員もいるだろう。
人助けと治安維持は似ているようで全くの別物だ。
同一ではない。同一になることもあるだけだ。
しかし、だからこそ。

「だから私、ユキちゃんのその答え……いい答えだと思うわよ?」

あかねは、その答えに嬉しそうな笑みを返した。

幌川 最中 > 「じゃあ、それなりにやんなきゃいけないことやりゃあいいだけだろ」

とどのつまり、彼女に必要だったのは「いいからやれ」という言葉だったのだろう。
あるならばやればいいだけなのに、どうにも自分ではやり始める切っ掛けが足りない。
そういう、人間誰しもが当たり前に悩み、誰しもが当たり前に感じるもの。
今だって、幌川はやらなければいけないことから逃げるように占い屋さんをしている。
やらない自由だってあるのでやっていないだけだ。

「簡単簡単。ほら、守るだけなら相手に勝ちたい、よりは簡単っしょ。
 それに、そういうことなら俺じゃなくてレイチェルちゃんとか、よいっちゃんとかね。
 なんなら理央ちゃんにも聞けばいいよ。ぶちぶち文句クソ言いながら教えてくれるだろうし。
 それに、凛霞ちゃんなんかはそういうのは上手いよ。聞いてみて勉強すんのが一番でしょ」

誰かを守るというのは、やはり前線仕事で。
幌川のような仕事とは管轄が違う。どちらかというと事務仕事に近い。
折角人材豊富な風紀委員会だ。適材適所という言葉がここまでうまくハマることもなかろう。

「で、あかねちゃんは何に悩んでるって? フラれでもした?」

織機 雪兎 >  
「やんなきゃいけないこと、やります」

珍しく真面目な顔をして頷く。
銃の練習に見回り、あとついでに書類の書き方も勉強しないと。
名前を挙げられた先輩や同僚にも、色々教わらないと。

「あ、そうなんだ。よろしくあかにゃん! ありがとう!」

そして同僚にはまたも勝手なあだ名をつけて右手を握る。
うっわやぁらけぇふわっふわしてる手汗拭いてからにすればよかったあーめっちゃかわいいなぁ。

「えっあかにゃんフラれたの!? こんなかわいい子フるやつおる!?!?!?!?」

そしてまた騙される。
日ノ岡 あかね > 「うん、よろしくね、ユキちゃん」

笑顔で握手を交わすあかね。
そうして嬉しそうに笑いながら、最中の指摘ににやぁっと笑みを深めて。

「そうそう、またフラれちゃったの。絶賛失恋中ってところ。モナカ先輩は流石に鋭くてとっても嬉しいわ」

と、冗談めかして笑って見せて、肩を竦める。
相変わらず笑ってばかり。

「で、悩み相談はまさにそれなんだけど……」

そして、最中の顔を見ながら……黒い瞳をゆっくりと細めて。

「私ね、気になってる先輩がいるんだけど……その先輩がつれないのよね。積極的に私の事を構ったり手伝ったりして欲しいんだけど……どうすればいいかしら? ねぇ? 素敵な占い師さん。アドバイスお願いできるかしら?」

それはもう心底楽しそうに……そう、切り出した。

幌川 最中 >  
幌川は直感した。
多分「フラれた」というのは本当のことで、
それなりに彼女は彼女なりに傷心していて、そこに踏み込んだ、ということを。

「はあはあなるほどねえ。
 その先輩がどんなヤツかにもよるけども、
 カワイイ後輩が『こうしてくれ』って言やあ手伝ってくれんじゃねーの。
 ほら、手相に書いてあるだろそうやって。右手の下のほう」

いよいよもう手相占いじゃない。手すら見てない。
それはそれでいいとして、なんとなく八つ当たりのようなものを感じる。
気のせいだったらいいな。気のせいじゃねえ気がしちゃったけど。

「で、あかねちゃんはこの2500円で何をしてほしいって?」

ひらひらと後輩からせしめた紙幣を揺らす。
苦い表情。因果応報って、こういうことをいうんだな。
幌川はそう思った。

織機 雪兎 >  
「おっとぉ???」

自分のらしくないシリアスな相談とは打って変わってとても青春な相談。
だと思っている。
思わず身を乗り出して食いつく。

「いやその先輩見る目ないよ!! あかにゃんみたいなキレイでかわいくてやっさしい女の子フるとかどうかしてるよ!! そんな先輩の事さっさと忘れて次の恋に向かおう!! とりあえず僕とかどうかな!?!?!? 女の子同士なんてこと気にすることないない! そんなの愛の前には些末な問題だからね!!!」

二人の読み合いなんてさっぱり知らずに素っ頓狂な提案を捲し立てる。
が、紙幣を揺らす先輩を見て、

「――えっ? えっ、あんこセンパ、え? え???」

二人の顔を交互に見比べる。

日ノ岡 あかね > 「慰めて欲しいっていったらしてくれる?」

冗談っぽく笑って小首を傾げる。
髪が揺れて、首の黒いチョーカーの金具が……街灯の光で鈍く輝いた。

「ふふ、ユキちゃんもありがと。私も愛や恋に性別は関係ないと思ってるから……機会があったらよろしくね? そう思えばこれも、いい『出会い』って事かしら? 占いで散財した甲斐もあるわね」

無駄遣いと諫められたそれを真正面から天邪鬼に肯定して、あかねは笑う。
身を乗り出した雪兎にも、軽く身を寄せた。

「まぁ、どっちにしろ1000円分でいいけどね。2500円のうち、1500円分はユキちゃんの分だから。私の分は紙幣一枚で充分よ」

最早、手相も見てない最中に当てつけるようにそう呟く。
割引分の手抜きなら、それはそれで。そういうこと。

幌川 最中 >  
「どうすれば慰められるかを1から10まで説明したらしてやろう」

それを断る理由はない。
幌川最中は、日ノ岡あかねの先輩であると同時に風紀委員である。
風紀委員の腕章をしている相手ならば、躊躇いなく全員に『そう』している。
それが風紀委員会・生徒指導部の存在理由の一端であるがゆえ。

「2500円で出会い買えたんならそのへんの出会い系より安いだろ。
 風紀委員だから相手が身分詐称してるわけでもない。
 でも雪兎ちゃん気をつけろよ。あかねちゃん、雑食だから」

誰も彼もに手を出すという意味ではなく。
「野菜」も「肉」も、どちらも等しく糧にする生き物であると示し。
伝わっていても伝わらなくてもいい。言っておいたことが大事なのだ。

「ほら、だってあかねちゃんは。……見てほしいの、『手相』じゃなかろ」

であらば。1000円分くらいは、「見て見ぬ振り」をやめてもいいと。

織機 雪兎 >  
「ウェヒ」

自分から言い出したことなのに逆に積極性を見せられると怯む。
童貞のようなムーブ。

「? 気を付ける、って……?」

雑食、とは。
訳が分からない、と言う様な顔で首を傾げて。

「――えっ!? それは申し訳ないよ! 半分は出すよ!! 二千五百円の半分だから……えーと……」

割り算が咄嗟に出来ない。
指を折ってどうだったかと慌てて計算。
割り算は指で数えるのは難しいぞ。

日ノ岡 あかね > 「なんだ、わかってるじゃない、モナカ先輩」

嬉しそうにあかねは笑う。
楽しそうにあかねは笑う。
気付けば、長い付き合いになった先輩に。
風紀に入る前から。
補習をする前から。
違反部活に居た頃から。
ずっとずっと、そのままだった先輩。
そんな、最中にあかねは満足気に微笑んでから……立ち上がり。

「でも、私はワガママだから、お金払ってまで『そこまで』したくないわね」

悪戯っぽく笑った。
1から10まで説明したら。
そんなことはしたくない。
1から10まで説明しなくたって。

「占い師なら……察してくれなきゃダメじゃない?」

コールドリーディングに金を払っているのだから、今回は割引させたとはいえ。
幌川最中ではなく、どこぞの占い師にそういわれたのなら、あかねのする事なんて一つしかなくて。

「ま、1000円分の『慰め』と思っておくわ」

そのまま、踵を返した。
上機嫌に歩きながら、少し離れた場所で一度だけ振り返って。
 

日ノ岡 あかね >   
 
「先輩のばーか」
 
 

日ノ岡 あかね > 笑いながら、片目の下を人差し指で引っ張って、舌を見せてから。
今度こそ、どこぞに消えていった。
楽しそうに。嬉しそうに。

ご案内:「委員会街・大通り」から日ノ岡 あかねさんが去りました。<補足:常世学園制服。軽いウェーブのセミロング。首輪のようなチョーカーをつけている。左腕に風紀委員会の腕章。>
幌川 最中 >  
「こらあ再提出だな。ハー、女心はわからんな」

麻雀で以下略留年している先輩は、やれやれと頭を掻いた。
「間違ってから」しか気付くことの出来ない、異能以下の運のよさ。
“それ”はやはり、「間違ってから」気付く。

まったくこれはどうにも。
そして、やはり。日ノ岡あかねという少女にも平等に。

世界は、「欲しい」と言わなければなにかを与えることはない。
必要とするからこそ誰かに与えられて、
誰かが口を開けていれば甘い砂糖菓子を放り込んでくれるわけでもない。

だから。

「雪兎ちゃんも、欲しいときは何が欲しいのか、ちゃんと言わなきゃいかんよ」

「何が似合うか」なんて漠然としたものを求めてはいけないよ、と。
もし、相手が悪い相手で、心を巧みに操る異能者だったら?
……結局、最後は自分の「何をやりたい」が、自分の柱になるんだから、と。
小さく笑って――


「あっちょっいや、許可証これ!!! 許可証!!!!
 俺だって風紀委員会なんだけど!? ルールに違反してないんですけど!?!?」


やりたいことを好き勝手に言っていた先輩は、
やりたくもない先輩の取締りをさせられている風紀委員に連行されていった。

ご案内:「委員会街・大通り」から幌川 最中さんが去りました。<補足:腰で風紀委員会の赤い上着をツナギのように結んでいる。人好きのする見目。複数人ロール歓迎してます。後入りどんどんどうぞ。占い屋さんなので。めちゃ占うよ俺。>
織機 雪兎 >  
「……ばーか、ですってあんこセンパイ」

彼女が去って行った方を眺めながら。
たぶんアレガチなヤツじゃねーかな。
しらんけど。

「あんこセンパイも、ちゃんと答えなきゃだめですよ」

この二人の関係は自分にはわからない関係なんだろうけど、本気には本気で答えないと駄目だと思う。
二人が本気で答えているかどうかは、わからないが。

「――いやホントにバカですかあんこセンパイ」

彼女は良い先輩だと言っていたが、やっぱりこの先輩ただのバカかもしれない。
引きずられていく彼を遠い目で見送りながら、大丈夫かな、風紀委員、とうすぼんやり。
少なくとも、麻雀で管撒いてばっかりの上に信じられない年数留年してる風紀委員にはならないようにしよう、と決めた。

ご案内:「委員会街・大通り」から織機 雪兎さんが去りました。<補足:風紀委員の制服、腕章、黒タイツ、伊達メガネ。>