2020/07/01 のログ
ご案内:「古書店街「瀛洲」」に宇津木 拓郎さんが現れました。<補足:着崩した制服/眼鏡/本を詰めるための厚手のリュック>
宇津木 拓郎 >  
古書店街『瀛洲』を歩く。
さっきここでカツカレーを食べてお腹いっぱいになったし。
腹ごなし……も兼ねて、新しい発明のイマジネーションを得られそうな本を探す。

ひとまず入ったのは顔馴染みの店。
『天宝』という古臭いがしっかりとした品揃えの店。
売り物は虫干しもちゃんとしてあって、虫食いもほとんどない。

いた。店主のクソジジィだ。
スケベでボラボラでどうしようもない爺さんだが。
彼の出す本は割りと信頼できる。
今は古いテレビに映るエアロビクスに鼻の下を伸ばしながら
わんつーわんつーと体を動かしている。

「やぁ爺さん。相変わらずいい動きをしているね」

俺がそう言って手を挙げると。
一応、男性用のレオタード姿の爺は。

『なんじゃシブタクかい、邪魔をしおって』
「ウ・ツ・タ・クだよ! 宇津木拓郎ッ!!」

こんのボケジジィ!!

宇津木 拓郎 >  
爺さんは御年72歳だったはずだ。
一人暮らしなんて寂しかろうが……まぁ孫もいるみたいだしいいのか?
ま、僕が気にするこっちゃないね。

「なんか面白い本でも入った?」

と聞くと。爺さんははちきれんばかりの笑顔で頷いた。
はちきれろ。

『珍しい本が手に入ったんじゃ……それも、万物のス…』

!!!?!?!?!!!?
おいジジイ!! それって万物の運行表(スキーム)じゃないだろうな!?
大声を出すなよ!! 僕以外に欲しがる人が出たらどうする!!

「それくれ」
『毎度あり』

ま、まさかの!!
白と黒の頁から成る、未来過去現在の三世を記した予言書めいた書物である万物の運行表(スキーム)!!
それが手に入れば、もっともーっと面白いことができるに違いないのだ!!

なんか妙に安いそれに紙幣を払うと。
ドキドキしながら本を開く。

「一般構造用鋼! 建築用構造用鋼! 自動車用鋼板! 配管用鋼管! 油井用鋼管……」
「ってこれ万物の鋼(スチール)じゃねぇか!!」
『んん? 間違えたかな……?』
「いや狂ってんのかコラ、ジジィ!?」

いやでも興味深い本だな。
発明の上で欠かせない金属への理解が深まる。
リュックサックに万物の鋼(スチール)を入れた。

宇津木 拓郎 >  
もっとこう、いい感じの本はねーのかよ。
そう聞くと。
爺さんは割れんばかりの拍手をしながら頷いた。
割れろ。

『珍しい本が手に入ったんじゃ……それも、万物のス…』

!!!?!?!?!!!?
おいジジイ!! それって万物の運行表(スキーム)じゃないだろうな!?
大声を出すなよ!! 僕以外に欲しがる人が出たらどうする!!

「それくれ」
『毎度あり』

ま、まさかの!!
白と黒の頁から成る、未来過去現在の三世を記した予言書めいた書物である万物の運行表(スキーム)!!
それが手に入れば、もっともーっと面白いことができるに違いないのだ!!

なんか妙に安いそれに紙幣を払うと。
ドキドキしながら本を開く。

「序論、スキーマとは! 哲学におけるスキーマ! 自己スキーマ! スキーマ療法!」
「ってこれ万物の図式(スキーマ)じゃねぇか!!」
『んん? 間違えたかな……?』
「いやボケてんのかコラ、ジジィ!?」

いやでも興味深い本だな。
普段何気なく使っている言葉への理解が深まる。
リュックサックに万物の図式(スキーマ)を入れた。

宇津木 拓郎 >  
もっとこう、いい感じの本はねーのかよ。
そう聞くと。
爺さんは今にも泣き出しそうなほど大仰なリアクションで頷いた。
泣け。

『珍しい本が手に入ったんじゃ……それも、万物のス…』

!!!?!?!?!!!?
おいジジイ!! それって万物の運行表(スキーム)じゃないだろうな!?
大声を出すなよ!! 僕以外に欲しがる人が出たらどうする!!

「それくれ」
『毎度あり』

ま、まさかの!!
白と黒の頁から成る、未来過去現在の三世を記した予言書めいた書物である万物の運行表(スキーム)!!
それが手に入れば、もっともーっと面白いことができるに違いないのだ!!

なんか妙に安いそれに紙幣を払うと。
ドキドキしながら本を開く。

「スティールについての著者述懐! ダブルスティール! バスケットにおけるスティール! ソウルスティール!」
「ってこれ万物の強奪(スティール)じゃねぇか!!」
『んん? 間違えたかな……?』
「いや死にてぇのかコラ、ジジィ!?」

いやでも興味深い本だな。
普段から行っている盗むという行為への理解が深まる。
リュックサックに万物の強奪(スティール)を入れた。

宇津木 拓郎 >  
もっとこう、いい感じの本はねーのかよ。
そう聞くと。
爺さんは計り知れないほど深い瞳で頷いた。
計るぞ。

『珍しい本が手に入ったんじゃ……それも、万物のス…』

!!!?!?!?!!!?
おいジジイ!! それって万物の運行表(スキーム)じゃないだろうな!?
大声を出すなよ!! 僕以外に欲しがる人が出たらどうする!!

「それくれ」
『毎度あり』

ま、まさかの!!
白と黒の頁から成る、未来過去現在の三世を記した予言書めいた書物である万物の運行表(スキーム)!!
それが手に入れば、もっともーっと面白いことができるに違いないのだ!!

なんか妙に安いそれに紙幣を払うと。
ドキドキしながら本を開く。

「人と古代の甘味! 現代における糖分! おすすめ絶品スイーツ! これから来るスイーツ百選!」
「ってこれ万物の甘味(スイーツ)じゃねぇか!!」
『んん? 間違えたかな……?』
「いやわかっててやってんだろコラ、ジジィ!?」

いやでも興味深い本だな。
普段から何気なく口にしている甘い食べ物への理解が深まる。
リュックサックに万物の甘味(スイーツ)を入れた。

宇津木 拓郎 >  
もっとこう、いい感じの本はねーのかよ。
そう聞くと。
爺さんは曇りなき眼差しで頷いた。
曇らすぞ。

『珍しい本が手に入ったんじゃ……それも、万物のス…』

!!!?!?!?!!!?
おいジジイ!! それって万物の運行表(スキーム)じゃないだろうな!?
大声を出すなよ!! 僕以外に欲しがる人が出たらどうする!!

「それくれ」
『毎度あり』

ま、まさかの!!
白と黒の頁から成る、未来過去現在の三世を記した予言書めいた書物である万物の運行表(スキーム)!!
それが手に入れば、もっともーっと面白いことができるに違いないのだ!!

なんか妙に安いそれに紙幣を払うと。
ドキドキしながら本を開く。

「アイスランドが愛したアイスヨーグルト! 救荒食としての側面! チーズとの違い! そもそもスキールとは!」
「ってこれ万物の北欧醗酵乳製品(スキール)じゃねぇか!!」
『んん? 間違えたかな……?』
「いやぶっ殺されてぇのかコラ、ジジィ!?」

いやでも興味深い本だな。
普段あまり関わりのない遠い地で愛されている食べ物への理解が深まる。
リュックサックに万物の北欧醗酵乳製品(スキール)を入れた。

宇津木 拓郎 >  
もっとこう、いい感じの本はねーのかよ。
そう聞くと。
爺さんは眠そうに頷いた。
永遠に眠らせたろか。

『珍しい本が手に入ったんじゃ……それも、万物のス…』

!!!?!?!?!!!?
おいジジイ!! それって万物の運行表(スキーム)じゃないだろうな!?
大声を出すなよ!! 僕以外に欲しがる人が出たらどうする!!

「それくれ」
『毎度あり』

ま、まさかの!!
白と黒の頁から成る、未来過去現在の三世を記した予言書めいた書物である万物の運行表(スキーム)!!
それが手に入れば、もっともーっと面白いことができるに違いないのだ!!

なんか妙に安いそれに紙幣を払うと。
ドキドキしながら本を開く。

「貧乳について! 背の低いことを気にしている女の子! 幼女萌え! 妖精さん大好き!」
「ってこれ万物の小少女(スモール)じゃねぇか!!」
『んん? 間違えたかな……?』
「いやそろそろ苦しいだろコラ、ジジィ!?」

いやでも興味深い本だな。
普段何気なくオカズにしてるちっちゃい系女子への理解が深まる。
リュックサックに万物の小少女(スモール)を入れた。

ご案内:「古書店街「瀛洲」」にエルヴェーラさんが現れました。<補足:制服を着たエルフの長耳少女。>
エルヴェーラ > そんなやり取りを切り裂いたのは、書店にもう一人居た人物――
白髪の少女の一言だった。

「すみません、この本をいただけますか」

宇津木の視界の向こう側。
常世学園の制服を身に纏った白髪の少女が、一冊の本を
店主の老人に差し出す。
もし宇津木がそちらへ視線を移すのなら、
彼女が手にしてる本には、
とある文字が刻まれているのがちらりと見えることだろう。


そう。

『運行表』の文字だ。

宇津木 拓郎 >  
ふと、視界の向こう側を見る。
ジジイが邪魔だ。よく見えない。目を凝らす。
神々しいような白い髪、ピンと張った長い耳、美しい、少女。

「オイ、ジジィ。客だぞ向こうに……」

そう呟くと。彼女が手にしている本を見て心臓が口から飛び出そうなほど驚く。
あ、あ、あ!!
あれこそ万物の運行表(スキーム)じゃあないか!?
コントしてる場合じゃねぇ!!

「そこのお嬢さん。年下かな? 僕のお姉ちゃんになって欲……じゃなくて」
「その本、僕も欲しいんだけどな~~~~~~~~~」
「なーーーーーんか気になっちゃうんだよなぁ~~~」

相手にその本の価値を気取られるな!!
大丈夫、話術で解決イッツオーライ!!
ゴマ豆腐色の白子と言われた僕の脳細胞よ、煌めけ!!

エルヴェーラ > ずしりと重々しそうなその本は、
黒と白を基調にしたデザインの表紙である。

さて、会計をささっと済ませようと店主に話しかけたは
良いものの、視界の端からするりと現れたのは、
眉目秀麗の眼鏡男であった。

「……はぁ? ……はぁ」

年下のお姉ちゃん、という言葉を聞いて、
昏く紅い瞳をぱちぱちとさせながら、
眼鏡を見やる長耳の少女。

少女が手にする本が欲しいと言うその男。
だが、譲るわけにはいかないと。
そう言わんばかりに少女は、
すっと本を持つ手を下ろす。
宇津木の視界から本が消える。


「私が買おうとしていたのですが……」

まるで感情の無い人形のようだ。その声には色がない。
人形は首をかしげて、男に向けて率直な疑問を投げつける。

「そんなに欲しいんですか、これ?」

宇津木 拓郎 >  
黒と白を基調にしたデザイン!!
ま、間違いねぇ!! 万物の運行表(スキーム)だァ!!
あれさえ手に入ればマトロナ様大喜び!!
エスケイプのヤツも未来がわかればドジは踏まないだろう!!

「君、ルビーみたいな綺麗な瞳をしているね…」
「どうだい? 僕と熱く激しいアドバンチュール(造語)でも…」

本を持つ手を下ろした彼女に、真意を探られたかとドキリとする。
待て、まだそうと決まったわけじゃない。
なんとかして。あの本を。手に入れるのだ。

それにしても人形みたいな無機質な印象を受ける。
ま、ちっちゃくてカワイイから僕ちゃんそんなの気にしないけど!!

「そ、そりゃ、ほ、欲しいよ!?」
「ほら運行表って書いてるじゃん!?」
「ボカァ年下のお姉ちゃんと列車の運行表に興奮するタイプの近距離パワー型男子だからね!!」

嘘です。非力です。
なんか話が長くなりそうだからか、レオタードジジィは奥の部屋でエアロビクスを再開した。
死なすぞ。

「どうかなぁ? 譲ってくれたらカツカレーの美味しい店を紹介しちゃうよぉ…?」
「もちろん奢っちゃうしねぇ…………カツカレー…」
エルヴェーラ > 「……あど、あどばんちゅー? 
 ……ああ。『Advance』と『Aventure』であどばんちゅーる
 ……成程、面白いですね。ですが却下です」

眉一つ動かしていない。
普通に笑えば、身振り手振りを行えば、きっと年相応に輝く少女
たり得るのだろうが……。


「列車の運行表に……興奮……? 
 それはまた、難儀な『癖』をお持ちなのですね、眼鏡さん」

無色な声に同情の響きが混じった気が、しないでもないだろう。
見れば、眼鏡を見る目が細められている。

「……私、食べ物はあまり」

謎の取引が始まった。
さっさと買ってこの場を去りたい気持ちが強いのだが。
ふぅ、と小さく一息ついた少女は、青年に新たに声をかける。

「……ですが、取引は面白いですね。いいでしょう、
 満足のいくものを提示していただければ、この本の
 購入権は、お譲りしましょう」

すっと一歩前に出て、少女は青年を見上げた。
まぁ、少々付き合うのもいいだろう、と。

宇津木 拓郎 >  
「いやギャグの解説をされても僕ちゃん困っちゃうなァ!!」

確かに僕のギャグは未来を先取るニューパワーとして、
先物取引において塩漬けされている扱いなのだが!!
アァァァァンマリダァァァア!!

「そうなんです、昨夜は津軽鉄道の運行表でアメイジングバースト」

よよよ、と涙をモンハナシャコ柄のハンカチで拭う。

「え、カツカレーあんまり!? そ、そっか…ダイエットとか考えたらちょっとね…」
「でも君ってば細くて可愛らしいからサ! ちょっとくらい太ってもチャーミン・ドゥー」

ばちこんとウインクしてクネクネと体をひねる。

「満足いくもの………なるほど、そうきたか…」
「いいだろう、僕ちゃん趣味で発明とかしてるからね!」
「僕ちゃんのサプライズメカの数々を見てみるといいさ!」

リュックの中を探る。
クソッ!! ゴミみたいな本で埋もれてるじゃないか!!
なんだよ万物の北欧醗酵乳製品(スキール)って!!

「まずはこれ、体の静電気を吸引してくれる上にその帯びた静電気で埃を吸引するガラス玉」
「その名もエレクトリシティ・バスター・ボール!!」
「部屋に置いておくといい感じっフォー!!」

「………その………部屋の埃とかね…………困るからね…」

あっこれよく考えたらゴミじゃないかニャ!? 相手の表情を確認する。

エルヴェーラ > 「まぁ、人には色々『癖』があるものですからね。
 私は別に、良いと思います。理解は、できませんが」

整った顔立ちの眼鏡。性癖、年下の姉と運行表。
脳内のプロフィールが凄まじいことになっている。
それこそアメイジングバーストである。

体をくねくねさせたり、ウィンクしたりといった動作には
ぴくりとも反応しないものだから、両者の間に流れる空気といったら
夏直前にして、エアコン要らずといった様子である。

その中でいちにーわんつー、と老人の声が響き渡るものだから、
場の混沌がより強まっている……!

その空気を変えたのは、青年の一言だった。

「趣味で、発明……?」

その言葉にはほう、と素直に称賛の息を漏らす少女。
不思議な動きをしたり、おかしなことを言ったりする人物だが、
そういった人物こそ天才的発明をするものであろう。
螺子の一本や二本飛んでいなければ、
既存の枠を超えた新たな発明などできはしないだろう、と。
少女は内心、そう納得するのであった。


一体どんな発明が出てくるかと、少しばかり身を乗り出す少女。
そこへ出される、何というか、生活をちょっぴりと便利にするよう
な、しないような……。
主婦が買ったとしても1週間もすれば埃をかぶりそうなそれは、
少女の目にどう映ったのだろうか。

答えはそう、言うまでもない。


「……他のものは?」

宇津木 拓郎 >  
「そ、そーうなんだよねェ!!」
「良いだろ……? 津軽鉄道だぜ…?」

万物の運行表を手に入れるまで嘘を突き通せ!!
嘘を突き通す勇気もないヤツに、悪を貫くことなど出来やしない!!

エアロビクスのビデオテープ(よく動いてんなオイ)が佳境に入ってきたのか。
レオタードジジィの動きが激しくなってきた。
必ず死なす。

発明品は不発。そりゃそうだ。
僕ちゃんだって発明してから二回しか触ってない!!
(二回目は今)

「ま、まぁこれはただのジャブだからね……ジャブ…」
「続きましてはこちらぁ!! ジャジャジャン!!」
「自動追尾投げ縄!!」
「これはねー……投げ縄が下手なカウボーイに向けて作った自慢の一品でねー…」

「なんと! 百発百中で逃げる馬泥棒を捕まえられる!!」

「ごめん」

先んじて謝っといた。

エルヴェーラ > そんな青年の覚悟などいざ知らず。
少女はといえば、手に持っている本をやはり会計に
持っていくべきか、どうしようかと。
本と店主を交互に見やり始めている。

「カウボーイ……聞いたことがあります。
 しかしここにそんなものが居るのでしょうか……。
 いや、あるいは……しかし……」

少し真面目に考え始めるエルヴェーラ。
だが、それも一瞬のことで。



「次」



青年へ、冷たい一言が投げかけられる!
いや、この少女が放つ声はいつだって冷たく聞こえるのだが。

宇津木 拓郎 >  
「ああんッ! 待って待ってぇ!! 見捨てないでベイベ!!」
「後戻りの効かない青春を送るあなたに贈るベストアイテムを出すからぁ!!」

リュックをガチで探り始める。

「パリンと割れるバリアを貼れる使い捨ての指輪『光波力バリア発生装置』!」
「毒ガスや酸素の薄い場所に反応してけたたましく鳴く『ロボカナリアEX-α』!」
「バケツいっぱいの水に一粒入れると全部お酒になる『バッカスシード』!」
「普段は手袋だけど手の甲のボタンを押すと展開して装着型ドリルになる『太極突破グレートドリル』!」

あとはー……これか!?

「ボタンを押すと透明になれるマント『トランスペアレント迷彩』ッ!!」
「これねー……ちょっとした衝撃で解除されちゃうけど…」
「なんとソーラー光発電で3分後にはすぐ透明に………って」

「これ表に出していいやつだっけ?」

ハテナ?と首を傾げた。

エルヴェーラ > 次、次、次、と。繰り返していく内に、
雪崩のような勢いで繰り出される発明品の連撃《はっぴょう》
に、思わず目を見開く長耳少女。
やはり、この青年。

ただの変態ではない。
ただの馬鹿ではない。
寧ろ。
トランスペアレント迷彩を見た瞬間に、紅の宝石は細められた。


「……交渉は成立です。では、それをいただきましょう。
 友達を驚かすのに、使えそうですね」

長耳少女は深く頷くと、右手に携えた『運行表』をす、と差し出せば、
左手はマントを受け取る形で差し出す。

「本当はこの本、興味があって欲しかったのですが……
 仕方がありませんね」

ぼそり、と呟く少女。
ついに、『運行表』が青年の手に渡る……!

宇津木 拓郎 >  
やった!! 表に出していいブツだったかは思い出せなかったけど!!
とりあえず運行表が手に入りそうだからオールオッケー!!
待っててマトロナ様ぁ!! あなた様に未来を差し上げますぅ!!

「あーうん……別に商標権とか取る気ないし、テケトーに名前つけて使っていいよー」

同じの既にうちの部活の全員分作ってるし。
便利でロマンを感じるものは共有しないとネ。

「いいのいいの、ムッフッフ……僕ちゃんこれがだぁいすきぃ」

と言って『運行表』を手に取るッ!!

エルヴェーラ > 「それでは、厚意に甘えて好きに使わせていただきます」

ぺこりと少女がお辞儀すれば、艷やかな白髪がふわりと揺れる。

「まぁ、本当に好きな人が買うべきですね。
 私は興味本位で手にとっただけですから……本当に、
 欲しい気持ちはありましたが……」

マントを手に持ち、少女は背を向ける。

「私は『シエル』といいます。また、どこかで会いたいものですね。
 私、貴方に興味が湧いてきましたので……」

振り向きざまにそう口にして、
少女はその場を去っていく――。


青年が手にしたその本のタイトルは――

宇津木 拓郎 >  
「シーエルーちゃあん。なーんて美しいお名前!」
「僕は宇津木拓郎、ウツタクって人は呼んでるヨー!!」
「もちろんカモカモいつでもウェルカム会話の相手に即参上!!」

イーヤッハァー!!
そして手の中の本を見ると。

『JR佐賀駅運行表』と書かれていた。

汗を拭いながらやってきたクソジジィが。

『200円ね』

と言った。

「要らんわぁ!!!!」

そしてこれが僕の言葉。

ご案内:「古書店街「瀛洲」」からエルヴェーラさんが去りました。<補足:制服を着たエルフの長耳少女。>
ご案内:「古書店街「瀛洲」」から宇津木 拓郎さんが去りました。<補足:着崩した制服/眼鏡/本を詰めるための厚手のリュック(乱入歓迎)>