2020/07/03 のログ
ご案内:「落第街の大通り(盗賊講座)」にハルシャッハさんが現れました。<補足:ジーンズにYシャツ、鋲打ちのレザーブーツ。 シティスタイル。>
ハルシャッハ >
――とある男がここに場所を設けた理由を問えば長くなる。
それは、裏の世界におけるマナーと言うべきそれを、
半日陰とも言うべきそこで広めておくことで、表と裏の調和を図ることだった。
広く、深いこの世界において、盗賊というものそのものに対しての、
見解と知識を広めることは、大きな価値が有る。
――最も、『盗賊』と呼ばれる仕事を専業とせざるを得なかったダメ人間の言葉など、
そう聞くヒトは居ないだろうとは脳裏に思う。
しかし、それでもこの情報交換会を兼ねるそれは、
十二分の価値があると男は思っていた。
明日をも知れぬこの世界、即物的な知識が尊ばれるこの世界において、
それでも学ぶための道筋を建てること。
それは、大事なことでもあったからだった。
「さて、何人来るものかね。
誰がどう来るかなんて想像もできたもんじゃねぇが・・・。」
男は、そうつぶやく。――シティスタイル。
獲物に近づき、そして調査するために向いた一般人の格好で、男はそうつぶやいていた。
ご案内:「落第街の大通り(盗賊講座)」に武楽夢 十架さんが現れました。<補足:黒髪赤目、足元が土に汚れた橙色のツナギを来た細身の青年>
ハルシャッハ >
PL:
気ままにソロールを回しつつ合わせていきます。 ご自由に入室どうぞ。
あと、PLは長文寄りの人間です。 人数に寄っては超長文になることをご容赦ください。
武楽夢 十架 > 前にスラムで炊き出しをしている時に聞いた話―――盗賊技術講座。
彼は盗賊でもなければ二級学生でもない『普通』の学生だ。
技術交換会とも名はうたれていたが、彼が交換出来る技術などないだろう。
「確か、この辺りのはず……」
とは言え、この場に出入りする以上危険はつきまとうが、
こういう機会があるのならば、『本物』の技術に触れられるならば触れたいと、
ここ最近の状況から思うようになった。
―――自力で生き残る術を持つべきだ、と。
「すみません、講座ってここであってますか?」
青年は臆さず笑顔のまま、気軽に道に迷ったから聞いたみたいに、
異邦人に―――竜人にも声をかける。
ハルシャッハ >
――『盗賊』という領域を、一言で表すのは難しい。
罠をかけるもの、銃と短剣を軸とするもの、剣と盾を軸とするもの。
扱うものが手広く、そして様々な種類があるのがこの職種だ。
――始まり、見習いの盗賊は、このすべての職種を広く浅く学ぶことになる。
未分化、と呼ばれる状態の男は、その一通りを浅く広く学んだ状態にあった。
最も、成長に従って徐々に分化し、技術を磨きながら尖っていくのだが、
それはまだもう少し先の話だ。
最終的には、いくつかの領域を切り替えながら技術を磨くことになる。
しかし、その領域にも全てに共通するのは体術、鍵開けの技であった。
まずは、広く浅く。 入口となるものと、共通認識が学べる講座。それで良かったのだ。
そんな中、やってきた青年が一人。
珍しい客人、もっとも、素性も知れない相手だ。
来るであろうかと期待が薄かった男は、少々驚きの顔を見せる。
「――! おっと、誰も来ねぇもんかなとさえ思ったもんだが……。 合ってるぜ。」
にやり、と。普通に見ればただの異邦人だ。
茶色の鱗にジーンズにYシャツ。 表通りに歩いているヒトと何ら変わらない。
盗賊に見えさえしない男は、いつもの通りの口調で返答を舌に乗せた。
技を知るならば、求めるならば教えよう。
見習いでも、知っている、磨いているかで教えられることは天と地の差がある。
武楽夢 十架 > ホッとしたかのように青年は目を細めた。
「ああ、それはよかった。」
恐らくこの青年の応答、この状態から彼が全くの素人―――しかも、喧嘩なんかもロクにしてない類の。
そういう相手だとある程度、争い事に縁があったり、人を観察することに長けていれば分かるだろう。
思ったよりも盗賊は普通の格好なんだなぁと思うが、
ゲームみたいにあからさまな格好ってワケもないかとちょっとした幻想崩壊に内心笑いつつ。
「ああ、そうですね。……流石に本名はアレだと思うので『ヤサイノヒト』とか適当に呼んでいただければいいですよ」
『野菜の人』―――落第街のスラムでも比較的に安全な場所で炊き出しをやっている橙色のツナギ姿の男がいるという話は少しは出回っているかも知れないが、落第街のスラムと言えど広い、しかし耳聡ければ知っていてもおかしくはない名前と特徴だ。
ハルシャッハ >
目の前にいる青年の応答から、戦闘なれしていないことはよく伝わってくる。
自衛のための手段を持たない青年が、こちらの技を求めてきたスタイルだろうか。
――しかし最も、まずはそれでいい。
下手に色がついていると、逆に覚えにくい領域も多々ある。
「――ヤサイノヒト、か。 ま、名前なんてものは分かればそれでいい。
俺のことは……そうだな――。 『ブラウン』とか自由に呼んでくれ。」
名前などというのはレッテルに過ぎない。
利便性を持たせるための記号でしか無いものに、男はとても無頓着だった。
もっとも、センスとかかっこよさとかは最低限気には、するのだが。
「――んじゃ、まずはざっと盗賊の世界の深さというか、広さを感じて見てくれ。
今下に広げてる装備、軽く見渡してみるとどれだけ種類があるかがよく分かると思うぜ。
今回は全部は扱いきれねぇが……。 これら全てに共通する基礎技術、と行きてぇな。」
そう言葉に乗せた男は、軽く地面に広げた装備の類を案内してみせた。
――地面に広げた装備の類を目にすれば、盗賊という職種の多様さがよく分かる。
レザーアーマー一式にブロードソード、鋼鉄のガントレットに白のローブが加わればストリートスタイル。
バックラーが加わればスワッシュバックラーと呼ばれる形態になり、
立ち回りが正面戦闘に寄ったものになる。
また、短剣と銃のスタイルになればバーグラー、中近距離を戦う戦闘職となり、
罠がけの鋼線や爆発物、『仕掛け物』と呼ばれる罠を軸とすればトラッパーとなる。
また、もう一つは深藍に染め上げた特殊なレザーアーマーに、足袋に近い足に合わせた特殊な靴、
タンニン染めのナイフ、黒のクローク。数本の投げナイフに、グリップの付いた鋼線――ギャロット。
毒を入れるための特殊なダーツにカルトロップス――日本で言うマキビシである。
――アサシネーションスタイルと呼ばれる、特殊戦闘用の装備だ。
ローブは最も、全てがレプリカだ、全て本物を見せるにはあまりにリスクが過ぎるし、真似できたものではない。
しかし、男はそれでも良かった。まずは、紹介が軸になるのだから。
武楽夢 十架 > 「ええ、よろしくおねがいしますね。ブラウンさん」
茶色の鱗を見て――恐らく偽名。こちらも偽名で正解ではあったかと。
先ずは見ろと広げられたもの。
青年は、盗賊と言えば軽装に短剣とか短弓みたいなイメージだった。
故に次々に見せられた装備に目を丸くする。
「……下手に剣士って言われてる人よりもこれを見ると盗賊の方が幅が広くて厄介そうだ」
思わず、感じた事を口にした。それは新鮮な驚きから来る油断で、素直感想だ。
一番自分のイメージする盗賊と近いのは『バーグラー』と紹介された名称のスタイルか。
想定した状況に合わせる装備というのは使えるようになれば、ハマれば強力そうだ。
そういう状況を見極めるのも必要なのか、と思わず真剣に考えてしまう。
ハルシャッハ >
「よろしく頼むぜ。 ――ま、短い時間かも知れねぇが、色々広く教えてやる。」
相手の紹介にこちらも快諾を返す。
悪い相手ではなさそうであるし、こういう手合も数多い世界だったからだ。
まずは触りから、ゆっくりと。それでいい。世界は広いのだ。 あまりに広すぎるほどに。
「――だろ? 今日教わって明日できるってほど緩くねぇ。
だが、考え方や基礎は学んでおけば視座が変わるし、戦い方のスタイルが広がる。 絶対に腐らねぇのさ。」
これら全てに共通するのは格闘、体術の技。
そして、鍵開けの技が基礎教養として身につけるべき要であることは疑う余地がない。
格闘術を身に着けて初めて武器が扱える。
――最も、盗賊という職業において、求められたのは回避の技だ。
攻撃は武器を使うことを徹底させられていた。
それは、体格に寄っては全く通用しない打撃の技、格闘の技などに頼るよりも、
確実性ある攻撃を行うという目的に絞ったがための選択であり、戦型であったからだ。
「ま、この業界は「体格2年、体術1年、鍵開け一生」と言われるくらいには奥が深い。
戦型も含めりゃ更にやばいことになる。 ゆるくやろうぜ。」
ニヤリと笑う男は、下級ながらも本物の影を持っていた。
ハルシャッハ >
PL:
PL食事に付き少し離れます。 ゆっくり行きます。
武楽夢 十架 > 「ああ、それは他分野の話ではありますが分かりますね」
自分で身近なところで言えば、勉学。
外来語の文法だとか数学の公式、知らずに見れば読めない解けない怪文書。
そういうパターン、考え方を知れば他のところでも応用が効く。
それは戦いにおいても同じ事だと、基本の捉え方は同じようなところにあるという訳かと青年は感心する。
「"体格2年、体術1年、鍵開け一生"……」
基礎いう話だが、語る男の印象も相まってこれまで抱いていた盗賊のイメージからはかけ離れる。
―――盗賊とは、荒くれ者……学生的に言えば不良がなるものの印象であったが、これはそれではない。
「これは、奥が深い……えぇ、ええ、是非よろしくおねがいします!」
気がつけば、普段とは違う笑みを浮かべていた。
自分が強くなるために鍛えてこなかったわけではない。考えなかったわけではない。
ただ、この『盗賊』は青年にとって理想に近しいと感じた。
そんな期待に笑みを浮かべている。
ハルシャッハ >
PL:
戻りましたので描写開始します。
ハルシャッハ >
盗賊とて馬鹿がやる仕事ではない。
誰でもできる仕事と馬鹿にする筋肉バカほど真っ先に脱落していくのが盗賊の見習いである。
貧弱な者を格闘できる体格に絞り上げ、体術の技を以て生存率を引き上げ、
鍵開けを以て目的とする宝の在り処を暴くのだ。 手先の器用さはそこまで不要でも、
粘り強さと丹念さが仕事には何より欠かせない。
「――これでまだ入り口だけどな?」
笑ってみせる男はクズなりに親方から仕込まれたからこそ笑える笑顔だ。
相応に苦労はした。 だからこそいまこうやって語れる話がある。
暴力に任せるやり方など早々に捨てさせられるのだ。
綺麗事ではない。生々しい現実を叩き続け、泥を這い回り、そして雨水をすするのが、盗賊だ。
「じゃ、まずは心得だ。
『赤貧から奪うな、殺しはすれど弄ぶな』だ。
――コレは絶対、どうやっても引いちゃいけねぇ一線だ。
盗賊という『ヒト』とそれ以下の『ケダモノ』を分け隔てる境界線さ。
赤貧から奪えば明日の飯さえ奪う。 間接的な殺人に変わりねぇ。弄ぶのと同じことさ。
弄ぶな、ってのはいたぶって殺すとか、苦しめて殺すとか。
どうせ殺すからと娯楽のために殺っちゃいけねぇ。強姦してから殺すなんざ論外だ。
――親方は、これを絶対に許さなかった。
やらかした奴の首と心臓が晒されるのはザラだったぜ。」
生々しい話だが、現実である。
盗賊という職の暴力性を抑え、そして律する絶対の一線だった。
「あとは、まぁ。 『流れる血の総量を極力抑えろ』とかはあったが……。 上ほどじゃねぇな。」
それは、組織として、そして相手に対する思いやりだった。
武楽夢 十架 > ツバを飲み込んだ。
そうだ、そうなのだ。自分が触れさせて貰っているのはまだ表面部分だ。
戦う術とは―――考え思うほど見えていないのだろう。
「……心得」
それは、大切だ。
特に人とはチカラを得れば途端にそれを見せびらかすように凶暴になる事がある。僅かではあったが《異能:チカラ》を得た万能感を知っているから分かる。
持つ者は自分を律せよ、盗賊とはいうがそれは貴き者の考え方のように思える。
「俺も貴方に首を落とされないよう、その在り方を常に持ちます」
これはなにも盗賊だけの心得ではなく、言っていたように『ヒト』であるための心得。
「俺は『ヒト』のままで在りたいですから」
ケダモノ――外道には俺は落ちない。あんな……いや、今は話に集中しよう。
ハルシャッハ >
そう。 宗教にも似た心得である。
ヒトは、不安な状況や揺れ動く状況では信念なしに居ることはできない。
それはよくよく理解させられる世界である。 明日をも知れぬこの領域で、
己を律するための絶対の律であった。
「――そう。 心得。
きちんとここだけ持ってれば、まずは良い。 裏通りで生きるためのマナーは多々あれど、
コレ以上に重要視すべき物はねぇ。
あと、親方は良く大きな仕事や収入があったら、1割とかを貧民街の支援に割いていた。
食料や水を分け与え、乞食からは情報を受け取り、時に『秘密の抜け道』を借りた。
現代でもこのノウハウは通用するぜ。 今はできなくとも、覚えとけばいい。」
盗賊とは、貧民街やスラムとともにある生き方でも有る。
日常を慈しみ、共に良くなっていくためのノウハウであり、
そしてヒトとしての慈善事業の大切さでもあった。
「――それでいい。
強くなけりゃ生きていけねぇが、優しくなけりゃ生きる資格がねぇんでな。裏では特に。」
優しく笑う男は、年代相応でありながらもどこか年老いて見えた気がした。
武楽夢 十架 >
「……はい」
ヒトとして、ヒトと接する。
その当然を忘れず意識しろ、さすればヒトは応えてくれる。
そうした当たり前の考えではないか、と考える。
自分は無駄に深読みし、最悪を考える。
それは『生きるため』には必要だが、ヒトであることを捨てるほどではない。
であれば、改めてここでこの『盗賊』の心得もそこに加えればいい。
「自分で言うなって話かも知れませんが俺は―――弱い、
ですが、強くなりたい。せめて先ずは、この身一つは生かせるように」
いつ死んでも仕方ないとは考えていた。
いたが、最善は尽くしたい。
尽くした上でなら後悔などあろうはずもない。
だから、
だから、改めてちゃんと頭を下げた。
「ブラウンさん、俺に技術(わざ)を教えて下さい」
ハルシャッハ >
ヒトとして、そして人としての心得。
アタリマエのことだ。 オークだろうと、トロールだろうと、どんな人種であろうと。
わかり合う必要はないが、尊重を忘れる理由はどこにもない。
男がぶちまけるのは、そんなシンプル極まる回答だった。
「――誰だってヒトだ。 弱さは、持ってて良いのさ。
必要なのは、時に香辛料よりピリリと効かせるハッタリと、簡単に殺されないための力ってな。」
ニヤリ。 弱いからと言って見くびられるな、という簡単な教えだった。
いかなる弱者でも、時にスパイスが効いていればヒトは自然と背筋を伸ばすというものだから。
「――じゃ、まずは基礎基本だな。 予めまずは見せておく。 体格二年、の理由がこれだ。
俺は種族的なところもあるが、まずはこれを目指してきちんと体を日々磨くのが大事だぜ。
大体トレーニングで週2~3回、まぁ個人差では三年かかる時もあるが。」
そう、舌に言葉を乗せれば、上半身をはだけてみせる。
全身くまなく鍛えられた、新体操の選手に近い美しい締め上げられた体に、
背中の広背筋に双頭の蛇さえ感じさせる発達が見られる、よく鍛えられた肉体だった。
この上に薄い脂肪が乗るために、際立っては見えないが、それでも『鋼鉄』の鎧は間違いなく下にある。
その上で、男は軽くシャツだけ着て構えるのだ。
「――その上で。 基本、盗賊の体術というものは相手の勢いを徹底的に活かし、回避に特化する。
投げ技もあるにはあるが、全ては多数をいなすため、『回避のため』だ。
相手に打撃を与えるのが目的じゃねぇ。
攻撃は武器や物、そして地面や地形と言った外部の物理を利用する、と覚えておくと良い。」
軽く構える男は、輪郭がゆらりと揺らいで見えた気がした。
武楽夢 十架 > ハッタリで生き残る。
正直なのもいいが、それだけではダメだと言われたように感じてハッとする。
それは今の性根的な部分でもあるのだろうが、時と場合は考えなければならないか。
――盗賊というより、戦いの駆け引きというのは思ったよりも頭をかなり使うようだ。
「……殺されないための、死なないためのやり方」
自分なりのハッタリ。それが必要なんだろう。
『ブラウン』のニヤリとした顔に、ぶるりと背筋を震わせる。
恐怖ではなく、期待/尊敬によっての武者震いであった。
体格2年―――その肉体は、今なお戦えるヒトの体だと判断出来るものだ。
同年代の男子では滅多に見たい鍛え上げられた肉体だ。これが、目指すべき姿。
自分の肉体は『普通』の鍛えていない学生に比べれば「まあ、鍛えている方じゃないか?」という程度。
農業をしていても鍛えているわけではなく―――あれではスタミナはついても、筋肉はつかない。
「回避、ですか……?」
鍛えた体で回避。いや、最初の自分のイメージでも盗賊と言えば回避というのはある。
が、肉体を鍛えて得られるコトにイメージが沸かない。
しかして、男が見せたゆらめき―――視界がぼやけたように感じて一度二度と瞬きをしてしまう。
ハルシャッハ >
「――追加で言えば、奪われないための、だな。
守りたいものだって、何かしら有るだろ? 近寄らせない為のオーラってもんも有るのさ。」
――最も、ハッタリだけで生き残るわけでもないのが難しいところだが。
しかし、相応に効くのは間違いがないことだ。
ただ弱気なだけではつけこまれるし、好き放題奪われるだけになるのだから。
弱肉強食の世界でも、動物は擬態し、時に毒に己を見せかける。同じことだ。
肉体を鍛えるのは、動ける肉体にするためだ。
鍛え上げられた肉体は、いかなる状況でも奪われえない最強の道具だ。
何もなくなった時、最後に頼る砦でも有る。
それを骨身に染みている専業の盗賊は、己の肉体を油断なく鍛えるのだ。
「――そうだ。 相手の攻撃を避ける、ずらす、崩す。すべて力が要る。
厳密には相手の力をずらすための力であり、瞬発力であり、長丁場を戦い抜く持久力だ。」
柔軟性と強靭さが伴った肉体だからこそ、朧気に揺れることができる。
二度、三度と幻影のように揺れる男は、崩れた体勢からまたもとに戻ることのできる筋力が有るからだ。
尾の補助も有るには有るが、軸となるのは全身の筋肉。
弛緩の調律を行うにも、筋力が必須だった。
ハルシャッハ >
PL:
少なくなりつつありますが、言うのを忘れていた。後入りも歓迎です。
武楽夢 十架 > 「……」
思わず、言葉を失った。
―――守りたいものを、奪われないため。それはとても大切なことだ。とても大切な。
「……近寄せないオーラ」
パッと思い出すのは直近に知り合った同年代の女子学生か。何者をも試し、警戒させるようなそんな雰囲気が彼女にはあった。
心当たりを思い出して、確かにそういうものが存在する事を認識する。
なんとなくだが、彼女も―――奪われない為にそうしているのだろうか、と考えた。
それは今は余計な事かと集中をし直すべく軽く頭を左右に振った。
そして男がしているように体を動かそうとしてみれば、ギコチなく、それでいて体の横の筋がやや悲鳴を上げた。
「ッッ……筋肉をつけるだけじゃなく、柔軟もこれは必要そうですね」
見た目ほど簡単じゃないと苦笑した。
後に響くほど傷めたわけではないが、顔を顰めて軽く手で筋を撫でた。
ハルシャッハ >
二度も三度も奪われてたまるものではない。
最も、お礼参りできっちりと取り返してきた男としては、それは本音でもあった。
「そうだ。 相手を律し、時に圧することで回避できる戦闘も有る。
ま、一朝一夕でできるもんじゃねぇがな。」
効かせるハッタリは早々すぐできるものではない。
しかし、人生としての年輪を積み重ねれば分かるところも多々あるだろうと思う。
濃いか、薄いかだけの差でしか無い。
揺れた体がぎこちなく悲鳴を上げたのがこちらでもわかった。
あまりにも模倣が難しいのだ。 基礎動作に見えて意外と奥が深い動きでも有る。
「――だろ? まぁ、俺もここまで揺れられるのに結構かかった。
体格に時間を掛ける理由はここにも有るってものさ。
ついでに、殴りかかってきてみるか?
勢いを活かす技の都合、ゆっくりやると完璧じゃねぇが、それでも基礎の3つは教えてやれる。」
ごくごく簡単な3つの技。磨かねばならないが、ゆっくり数をこなして動きを模倣、洗練すれば、
実践で通じる技の一部だ。
武楽夢 十架 > 「確かに、今の俺には難しそうです……」
どうやってそういう空気とやらが作れるのか今の状態では思いつく事もできない。
アニメやゲームのようBGMで作られる雰囲気とは違う。
「あぁ、しかし、いいですね。
とても、いい。 俺にはまだこんなにもやれることがあったんだ……」
そう呟いて少しだけ下を向いた。
それは後悔し続けたこれまでに向けた感情の発露であったが誰かに見られたくもなかった。
一瞬だけ―――武楽夢 十架は大きく口角を上げた。
顔を上げると先程と変わらぬ青年で、変わりない。
「是非、試させて下さいブラウンさん!
俺はもっと知っていきたい!」
あの一見簡単そうで難しい動きも実際に殴りかかってみればどう対応されるか。
基礎の三つ、それらを覚えればどうなるのか。
知り、やって見る価値はいくらでもある。
ハルシャッハ >
「――焦るな焦るな。 長く険しい道だ。短剣はどこにも行きはしねぇよ。
まずは1歩ずつ。 年単位で積み重ねりゃ、自然と凄みも出るさ。」
気持ちがわかるからこそ一度なだめるのだ。
千里の道も一歩から。 千、万に等しい微々たる増強の積み重ねが今を創る。
それでいいではないか、と。 筋力トレーニングでさえ、『筋肉を貯金する』という言い回しは古くも重い。
「この世界じゃ失われて長いかも知れねぇが、古くも温められた技術だ。
裏を返せば積み重ねればバンピーでも出来るようになる。舐めてかからなけりゃな。」
男は一瞬笑ってみせるその表情に、男もどこか笑っていた。
いずれもう一つ上の世界を知ることになるのだ。
まずは入り口を。生涯をかけて追うことになる道の入口を進めよう。
「――来い。
ゆっくり踊って見せてやるから、真似して、繰り返して、洗練しろ。」
ならば来い、と男は構え直そう。重心が左右、蜃気楼のように揺れる。
武楽夢 十架 > 凄み、例えば目の前のこの彼はまず一般的には種族的な見た目で凄みがあるだろう。
ソレに付け加えて、技術を見せる時に少しソレっぽい気配を覚える。単純な武術の達人などに感じる―――ああ、なるほどこれが圧か。
これは一朝一夕には成らない。しかし、そうか、そういうところからも感じるのか。
少し、先走った興奮の熱を一度の深呼吸で冷ます。
こういった精神制御だけは上手くなったが。
拳を作る。
まともにヒトなんて殴ることは考えたこともない素人の構え。
脇も甘い、角度も何も考えられちゃいない。そもそも殴るための動作を意識した構えになっちゃいない。
それでも、それが今は青年にとっての最強の一撃だ。
「胸を借ります―――フッ!」
タイミングなんてあってないようなものだ。
元より目が彼の動きについていってない。
右拳を―――フックとも言えない無様な一撃を―――放つ、
ハルシャッハ >
種族的な凄み、となると男にはわからない。
己と同じ地走種の竜人一つ取っても様々、千差万別であるし、世界を広く見れば見た目ばかりではない。
故に男は今を見、今を生き、今を走る事に集中する。その先に何が有るのかわからないが、
それでも先につながる何かは有るだろう。 男はそう考えて足を動かす。
深呼吸をゆっくりとする相手は精神的にも成長を続けている。
己もヒトに教えるのは初めてだ。 完璧は常に存在しないが、それでも今持てるものを惜しまず出す。
出せないものは多々あれど、それでもまずは出していけばそれでいい。
拳を作る相手の動きを受けて、ゆっくりと揺らめいた体が反応した。
「――ゆっくり動く。 対多をいなすための『他の相手への』投げだ。 体が浮くぞ。」
比較的ゆっくりと、振り抜いた腕に己の左手を伸ばし、
相手の拳の方向に沿うように腕を伸ばせば体を当て身に近い形で入れる。
そうなれば自分の体の上に相手の体を乗せれば自然と重心は乗る。
ここまでくれば、後は足の力で軽く跳ね上げ、勢いを生かして腕で投げ込んでやるだけだ。
「――『握投術』(キャッチ・アンド・グラブ)! 受け身は取りやすい。注意しろ。」
すべての盗賊が学ぶ基礎の一つ。
衝撃を殺すためにかなりゆっくりだが、それでも形はほぼきれいに出た技だった。
武楽夢 十架 > 拳を振るったと思った直後には、男の声が聞こえた。
―――え、どういう…
と疑問を抱く前に自分の意思とは関係なしに視界が大きく回る。
一種の心地さえある『体の制御』を失う感覚だった。
奇術か魔術の類かと思うほどに。
投げ方が綺麗だったからか意識したわけではないが、受け身は自然体に出来ている。
柔道や空手にも縁のなかった青年には正しく何が起きたのか、理解が追いつかなかった。
ただ、『技術』をかけられた。それだけはハッキリとわかる。
気がつけば、空を見ている。こういう事もあるのか。
「……凄いな、ほんとに」
そう認めると幾つかの体にあった接触の感覚を思い返す。
正確にどの順番で流れた接触かは一度では、把握しきれなかった。
簡単には理解させない出来ない、それが技術でもあるのか、
とゆっくりと体を起こす。
ハルシャッハ >
投げ技は敵の体を弾丸に変える技術だ。
質量の弾丸は相手にぶつかれば更に相手に負担を強いる。
相手の体勢を崩し、襲ってくる相手の数をさらに減らす基礎の技だった。
「――左手、上体入れ、重心載せ、足で跳ね上げ、左腕投げ、だ。
相手の攻撃の方向に体を合わせる。
一回で覚えろとは言わねぇ。覚えられるとも思わねぇ。 俺も組手で何回もやった。
しかし、感覚と手順を覚えておけば、ぐっと変わるだろ。」
コレは一つの鍵だ。 様々な技があるが、まずは対多を抑え込む技の一つを教えていく。
体を起こす相手に軽く手を貸しつつ、男は大丈夫か、と様子を見る。
問題がなければ、次の技を教える準備を整えるだろう。
空手でできる技は極めて少ないが、基本的にはすべて手と足で相手をいなす技だ。
武楽夢 十架 > 言葉を聞きながら当てられただろう場所を確かめる。
解説があれば、なるほどそうか、と思えるもののこれも―――、
「左手、上体、重心、跳ね上げ……相手を利用して」
今の一瞬を思い出しながら、
差し出された手を借りて立ち上がる。
「ありがとうございます。
体は痛いところもないですし大丈夫です」
そう笑顔で答えながら、投げられた自分と投げた男の姿がどうであったかを想像する。
理屈はそう、言われるとわかるがタイミング、スピードなど考えると課題は山積みのような気がした。
ハルシャッハ >
始まりなどそんなものである。
体を鍛えながらも技を磨き、相手の動きに目を慣らしながら次を目指す。
ゆっくり、確実に、コツコツとやるしか無いのが体術である。
丸一年を掛けてみっちりとやってやっと基礎が仕上がるのだ。
そんな緩い話では全くもってない。
「――そうそう。」
立ち上がる姿を軽く観察すれば、
「Good。 ――次行こうぜ。すぐ出来る技じゃねぇしな。
数重ねてなんぼ、だ。 体術1年で基礎。」
軽く相手の言葉を受ければ次の技を見せる準備をしよう。
体術はいくつか有る。 剣や短剣を含めると星の数ほどだが、
まずは基礎基本だけでもぐっと変わるだろう、と。
武楽夢 十架 > 次にいこうぜ、という言葉を聞いて思わずそうだったと笑う。
まだまだ覚えることは山のようにあるんだったと思い出す。
「ははは、お手柔らかに……と思わず言いたくなるけど
それじゃ余り成長にならないと思うから、丁度いいのかな」
畑仕事もそうだったような記憶がある。昔ながら農業の方法でやること覚えること山のようで朝から夜まで畑で過ごしたのも懐かしいという具合だ。
難易度はこちらのほうが遥かに上、相手は意思を持ったヒトになるし、
敵対関係となったら待ったはきかない。
「お願いします、ブラウンさん」
次。
感覚一つずつでも覚え、
―――そして、盗めそうな感覚を探そう。
ハルシャッハ >
頭がついていかなければそういうものだ。
初めて戦場に立つ人間ならば、脳の順応には時間がかかる。
脳の命令が脊髄を経由して肉体に通るのは神経だ。
その神経が順応し、より早く、正確に動けるようになるまではかなりの時間がかかる。
「――感覚を知ることが大事だ。
焦る理由はねぇ。 筋肉と同じで肉体が順応するには時間がかかるし、技も同じだ。
きれいに動けるまでには倍かかるんでな。」
そんなものだ、とゆるく相手に返せば、次は相手に正対して。
「じゃ、次だ。
蹴りを入れられた時に使える技だ。
殴りかかられたときでも、腕を引いてやればほぼ同じ動きが使える。」
そう告げて男は軽く構える。
相手の攻撃を崩す動きがいくつか有る。そのうちの基礎。
相手の攻撃を受動で受けて、力点を崩すというべき動きを見せる構えを、自然体で。
武楽夢 十架 > 相対して、一呼吸。
切り替える。
話を聞くに先の拳と同じような技だというが。
「蹴られた時に同じように……」
これは青年には中々イメージできなかった。
拳は先程の流れの解説で理解できた。
脚、どのように―――と考えるが今は考えても仕方がない。
ならば、と。
「いきますっ!」
気合とは裏腹に、足腰のバランスは上手く取れていない
威力などあまりないだろう。
右足を振るう―――、
ハルシャッハ >
切り替えが上手い相手は本当に良いなと思う。
自分は切り替えがどうにも上手くない。大分慣れても、やはり引きがちにはなる生き物だ。
「ああ。 同じくゆっくり動くぜ。」
イメージが難しいなら体で示せばいい。
ゆっくりと相手の攻撃に反応して、己の体もまた動きを始めていた。
きっちりと、確実に、ゆっくりと動く。相手に動きを示すことが重要だ。
右足を振るうということは動きは正対して左から右への動きとなり、
左足は確実に地面についている状態になるのが必定だ。
ならば、相手の攻撃に合わせて勢いを借りながら足を取れば良い。
相手の左側に全力で踏み込んで相手のサイドを取る。
そこから相手を軸に回転するラリアットのように、体を相手の後ろへ重心を倒せば左足で膝関節を押す。
膝カックンの動きが想像しやすい。
相手の体重が後ろに倒れれば関節は体重を支えることはかなわない。
「――『棒倒し』(スティック・オーバー)。
打撃を加えたいなら地面に向けて軽く加速度を加えてやれ。 今回は、ナシだ。」
柔らかくも、確実に崩す。後ろから倒れる相手に手を出しながら、
男は声を投げていた。
ハルシャッハ >
PL:
***時間の関係上一旦セーブ、掲示板の置きレスにしておきます。***
ご案内:「落第街の大通り(盗賊講座)」から武楽夢 十架さんが去りました。<補足:黒髪赤目、足元が土に汚れた橙色のツナギを来た細身の青年>
ご案内:「落第街の大通り(盗賊講座)」からハルシャッハさんが去りました。<補足:ジーンズにYシャツ、鋲打ちのレザーブーツ。 シティスタイル。>