研究区内にある羽月 柊の個人研究所。

竜、龍、ドラゴンを専門に研究している。
建物の規模はさほど大きくなく、大型の竜がここに居る様子はない。

2020/07/07-2020/07/08 のログ
ご案内:「研究施設群 羽月研究所」にカラスさんが現れました。<補足:黒髪赤眼の青年/外見年齢16歳167cm/1年生。黒い耳羽根と腰翼。首には黒くて大きな首輪。>
カラス >  
わちゃわちゃしている夕食時。

この研究施設で現在、唯一人型を取っている合成獣である青年は、
彼にとって兄弟姉妹の小竜たちのご飯を準備したり、自分も一緒にご飯を食べていたり。

「あ、おかえりなさい、お父さん。」

そんな彼らにとっての父、羽月 柊が帰ってくれば、
食べていない子たちが総出迎えである。


「ああ、ただいま。
 良い魔力石を見つけた。明日の午後には届くだろう。」

柔らかい笑顔で竜たちにしゃがみこみ、柊はそう言って撫でやる。

カラス >  
「じゃあ、明日は、魔力組のご飯、ですね。」

ひとしきり小竜たちを撫でた後、
最後にぽふりとカラスの頭も柊は撫でやる。

その行動に思わず肩を竦めてしまうのだが、
柊はそんなカラスにも構うことなく、その大きな手で撫でた。
装飾品を多くつけている分、少々独特な感覚がする


ここの研究所は魔法で小さくした竜たちがたくさんいる。

その食事形態は様々で、普通の肉食・草食・雑食に加え、
石鉱石金属を食べるモノ、魔力のみを食べるモノ。他様々だ。

「そういえば、お父さん。
 言われていた、タケノコ、植えておきましたけれど…。」

カラス >  
柊はカラスからそれを聞くと、

「ああ、ありがとう。
 俺の食事が終わったら話す。」

と言われ、一緒に廊下を進んでいく。
人型の生活スペースの方へ入り、柊も夕食の時間だ。


カラスは七夕のことを良くは知らなかった。

この柊という養父は割と実用的なことは教えるが、
そういった迷信じみたことは進んで教えようとはしない。

柊が食事を終えるまで、小竜たちのいるドームに行き、
草原のスペースで追いかけっこをしたり。
疑似的に川の流れている場所の竜たちを様子見たりしていた。

そんな自然を切り取った場所のドーム内の森スペースに、
今日はちょこんとタケノコを植えたのだ。

カラス >  
食事を終えて柊がドーム状建物の方へ来る。
ぱたぱたとカラスと小竜たちが駆け寄り、一緒にタケノコを植えた場所に。

「…今年は、皆で七夕をするのも良いかと思ってな。
 笹は放っておくと地中に広く根をはってしまうから、明日には除去して草食の食事行きだが…」

そう言いながら、柊は植わっているタケノコに手をかざす。

七夕とはなんですか? と柊に青年は聞く。
ドームのガラス天井から見える空には、流石に天の川は見えなかった。

「日本の行事…迷信の一つだ。
 星座の話はいくつか聞かせたとは思うが、
 アジア圏の星座の話だ。」

そう言って柊は手で空を撫でるように動かした。

すると、ドームの天井部が暗くなり、プラネタリウムのような光景が広がる。
外の人口の光に掻き消された天の川や、夏の大三角形が煌めく。

そうして、柊はカラスと小竜たちに織姫と彦星の話を聞かせた。

話口はとても淡々としているが、
カラス達には何も問題は無い。

カラス >  
「……まぁ、日本では大概の催し事はお祭りのようなモノだ。
 七夕には願い事を短冊に書いて笹に吊るして、
 空が晴れていたら、織姫と彦星が逢っているだろう、ぐらいの感覚で良い。」

クリスマスだってハロウィンだって、日本にはさして宗教的な重要さは薄い。
なんならバレンタインなんて商業理由で出来たイベントだ。

柊はそう語り終え、植えられたタケノコに手をかざす。

『願いあれかし、渡し舟』

短い言霊を紡ぐと、雨後のタケノコのように、
それは特有の節を持つ緑の笹の木となり、
小竜たちは喜びくるくると二人の周りを回る。


養父の言霊を聞くのは好きだ。
つい耳羽根がぴこっと動く。

いつだって彼は強制的に魔力を統べるのではなく、
願い請うように、"手を貸して欲しい"と優しく語り掛けるモノだからだ。

カラス >  
「…じゃあ、えっと…願い事を…。
 なんでも良いんですよね…?」

足の短いテーブルとペンを魔法でぽんぽんと出してくる柊を見やる。
ついでに、普段は魔法細工に使っている折り紙。

折り紙をぱっと離すと、
空中で5つぐらいの縦切りになってテーブルの上に整列。

ああ、なんでも構わないと返す柊に、んーと長い爪の手で持ったペンが揺れる。

柊はと言えば、自分よりも小竜たちの願い事を代筆してやるのに忙しかった。

カラス >  
そうしていつの間にか、
保育園や幼稚園の笹の葉のような光景になってしまった。

自分が書いた短冊を探すのにも苦労しそうだ。




小竜たちの願い事に混ざって―――。




 『 お友達がたくさんできますように カラス 』

 『 平和に暮らせますように       柊 』


そんな短冊が、揺れていた。

ご案内:「研究施設群 羽月研究所」からカラスさんが去りました。<補足:黒髪赤眼の青年/外見年齢16歳167cm/1年生。黒い耳羽根と腰翼。首には黒くて大きな首輪。>