2020/06/19 のログ
ご案内:「ある日の落第街」にエルピスさんが現れました。<補足:右腕が二本生えている義腕を備えている、少女のような少年。>
エルピス >  
ある日の落第街。
今日も今日とて便利屋業をこなして、さあ帰ろうと思った矢先。
道行く人々が何かに注視している。

その視線を追ってみれば────。

「アフロだ。」

とてもよく目立つアフロが居る。思わず口に出してしまう。
この前、広報誌の号外で見たような。

山本 英治 >  
「ム」

道行く美少女を見て目尻が下がる。
顔を左右に振る。違う違う、まずは保護だろ。
でもやっぱ気になる……

「オー! アモーレ!」
「Ou va tu? Je t'aime. Qu'est-ce qu'on va faire demain?」

──愛しい人よ、どこへ行くの? どこへ行こうとも愛しているよ。明日はどこに行こうか?
と早口にフランス語で告げながら近寄る。

「君のような美少女が……この街を歩くのは危ない…」
「さぁ、お手を。レディ? 街の外までエスコートいたします」
「無論、どちらのどの手でも構いません……」

彼女の前で跪きながらそう言った。

エルピス >  
「あの、僕男なんですけれど。」

 目と目が合う。そこでようやく風紀委員だと再認識する。
 落第街で風紀委員にナンパされたのはこれが2度目。

(──いや、多分あれは演技交じりなんだけれど。)

 などと考えながらもたじろぐ。
 思わず一歩下がって、機械の右腕二本で自分の身体を守る。

 エスコートに関しては、ひとまず黙って流した。
  

山本 英治 >  
「はひ?」

男? 男でした?
なんということだろう……男なのに、こんなに可愛いとは…
むしろこれは男だから可愛いのか…?

咳払いをして立ち上がる。

「すまない、美少女だと勘違いした」

気まずそうに頬を掻いて。

「それで……美少年がこんなところで何を? ここは危ないぞ?」
「君にその意思があるなら、エスコートをする部分は引っ込めなくていい」

保護をしたい、と言い出す。

エルピス >  
「あの……?」

 時間が止まった気がした。
 周囲を見渡してみたが、時間停止能力者らしきものはいない。
 風紀委員やらアフロやら自分自身やらと注目する要素が多いせいか、やたらめったら視線を感じるが。

「ええと、僕はその……
 ……僕ならたぶん大丈夫です。」

 あからさまに便利屋稼業してますとか、
 露骨に言うのも憚られる。

(ある意味、知っていてくれている人の方がやり易いのかな)

 純粋な善意に戸惑っているのだろう。
 困惑したそぶりだが、"そうだ"、と、何かを思い出す仕草と共に口を開く。

「ぁ……この前、常世広報の号外に乗っていた風紀委員さんですよね。
 なんでも、違法部活を解散させたとか────。」

山本 英治 >  
「見ろよ、俺たち注目の的だぜ。やったな?」

満足げに周囲を見渡す。
俺ってやつは根っこが目立ちたがりなのかも知れない。
というか、目立ちたくないやつはアフロにしないか。

「そうか? わかった……いつでも言ってくれよ」
「俺たち風紀は困っている人の親愛なる隣人なんだからな」

あ、今良いこと言ったな……
この美少年からの好感度上がったな……
とか陶酔していると。

「ゑ?」

常世広報の飛ばし記事の話が出た。
あれには、確か………

「違うんだ……あれには誤解を招く表現があって…」
「確かに解散してもらったし、全裸にはなった」
「だが全裸といっても良い意味での全裸でな……?」
「なんと、ちょっとしか全裸になってないんだ……わかってくれるな…?」

エルピス >  
「あ、あんまり……
 ……注目されるのはすこし苦手、です。」

 対象的に落ち着かなさそうに首を動かす。
 アフロ程ではないが長いツインテールが揺れる。

「う、うん。困ってる子、ここには多いですから──」

 再び時間が止まる感覚。
 もとい、意図して止めた自覚もある。

「う、うん。山本さんは良い人そうだし、何かの事情があったんですよね。」
「ほら、ボディチェックとか、武装解除とか、そういうので脱がす所は多いですし。」
「……でもやっぱり、そう言う趣味だったり……い、いえ、飛ばし記事、ですよね。」

山本 英治 >  
「そうかい? 君は可愛いからな、男も女も放っておかないだろうに」
「ああ! これで性別が女だったら!」
「神よ、何故私を見放したもうたか……」

彼のツインテールはさらさらと靡いている。
俺のアフロも風に流されて靡いている。
いっしょだ。

「ボディチェックで武装解除で、脱げって言われたから仕方なく…」
「いやいやいやいや、そういう趣味はないからね?」
「健全アフロ山本英治22歳、常世学園一年だからね?」

自然な流れ(?)で名乗りながら。

「だが歩きながら話そう。君がここに住んでいるのなら、風紀との立ち話は困るだろう」

エルピス >  
「あ、うん。ありがとうございます?」
「……残念ながら神様は僕を男の子として作ったので……」

 二歩ぐらい距離を置いた。
 立ち話が困るとか言う理由ではなく、テンションに圧されたのだ。

 閑話休題。
 アフロの彼が真面目なトーンで乗り出せば気を取り直す。

「……そうですね。僕はもう色々と気にしないですけれど、
 山本さんの立場もありますよね。
 確か良いラーメン屋がこの辺りにあるので、そこまでエスコートお願いします。」

 ついでにラーメンでも食べに行こう。
 そう思いながら提案に乗る事にする。

「……僕は元々公安委員で、思うところがあって辞めてこっちに来たんです。
 本名は捨てましたけれど、公安時代も今もエルピスと名乗ってます。」

山本 英治 >  
「神は過ちを三つ犯した……」
「一つは世界を作るのに六日もかけ、一日しか休まなかったこと」
「二つ目は、グリーンピースなどというモノを創ったこと」
「三つ目は君を女子にしなかったことだ」

距離を置かれれば、特に詰めることはしない。
意外と繊細なところのある俺であった。

自分の体臭をあちこち嗅いで気にしていると、

「俺は気にしてはいない。風紀委員とは、守護る者だからだ」
「人目を気にする者の手は、あまりにも短かろうよ」

手をぽん、と叩いて。

「ラーメンか、いいね。奢らせてくれよ、もっと話しが聞きたいね」
「……公安………エルピス…………」

難しい顔で鸚鵡返しに呟くが、特に引っかかる部分はなかった。
公安と風紀のメンバーを全員知ってる人なんているのか?
いや、いない。(反語)

「じゃあエルピスくんでいいかな」

エルピス >  
「グリンピース、嫌いなんですね。」

 他愛もない話にはくすくすと笑ってみせる。
 自分の体臭を嗅ぐ仕草には何か言おうと思ったけどやめておいた。苦笑い。
 流石に風紀委員が相手なのか、敬語寄りの言葉遣いだ。

「僕もあまり知らないんですけれどね、『常世島ラーメン・鬼無双』って所みたいで──。」

 最近美味しいと聞いたラーメン屋の名前を挙げる。
 そこまで遠くには無かった記憶もある。
 大まかな位置も覚えているので足を運ぶ。

「それならいいんですけれど……
 ……本当、風紀委員さんは尊敬してます。
 実の所、ちょっと羨望もしてますけれど。」

 いいかな、と尋ねられれば頷く。
 呼ばれ方に拘りはないのだろう。

「公安が完全に悪い所とは言わないですし一枚岩じゃないですけれど、気難しい人と揉め事の方が多くて。
 ……僕にラーメンを奢ったら、また号外になっちゃうかもしれませんよ?」

山本 英治 >  
「グリンピースが好きか嫌いかで言ったら……憎いかな」

負の側面が出た。

「常世島ラーメン、鬼無双……いかにも頑固一徹な店主がいそうだね、期待できそうだ」

歩きながら色んな話をする。
幸いと、エルピスくんは話が上手く、会話には困らなかった。
風紀の嫌な先輩に見習ってもらいたい。
田村ヒロシめ。年下の先輩のくせに。田村ヒロシめ。

「君みたいに、素直に風紀を尊敬してくれる人がいたらみんな元気百倍さ」
「ま……消火器なんて、火事がない限り役には立たないし」
「普段は邪魔扱いされるくらいで丁度いいとは思うがね」

無論、火事がないに越したことはない、と持論を展開して。

「わかる~~~~~。気難しい人との関わりが面倒なのわかるゥ~~~~」
「好きに書かせてやればいいさ、人の口に戸は立てられない」
「これからラーメンが入るんだ、戸なんて立ててたら面倒だ」

エルピス >  
「……火事は起こるし、起こそうとする人が居ますから。
 百年経っても必要になってしまうんじゃないかな、と思います。」

 何かを思い出すようにして、顔を伏せる。
 声色も悲観的だ。

「陰謀とまではいかなくても……大人の技術や利益的な打算もあれば、慣れない権力に酔った生徒もいる。
 絶え間なくやってくる門からの異邦人と異文化もあって、そこにも衝突や勘定が出てくる。
 だから僕は、そう思うよ。」


「……って言う僕も気難しくて面倒な部類に入るかもしれませんけれどね。
 うん。そろそろラーメン屋に付きますし、まずは食べましょう。きっとおいしいですから。」

山本 英治 >  
「綺麗事かも知れないが……信じるくらいはいいんじゃないかと思う」
「風紀がただ、いるだけで必要のない未来」
「平和で、誰もが笑って暮らせる未来を……」

ふ、と笑う。

「甘い絵空事だったな……ラーメンを食べる前に口にするものじゃない」
「ああ、食べよう! 今日はチャーシューマシで食べるぞー」

そう言って店に入る。
店は『湯切り命』とか書いてて、店主が腕組みしてる大きなパネルが飾ったりしてるイカニモなお店だったが。
私語は普通にできたしかなり美味しかった。

……ブランドイメージかな。やっぱり。

エルピス > 「……僕は諦めちゃったし信じられないけれど、
 応援は、したいな。」

 小さな声で、ほぼほぼ独り言のように呟く。
 何にせよ、ラーメン屋へと辿り付けば席へと座る。

「ん、並ばずに食べられそうですね。食べましょうか────」

ご案内:「ある日の落第街」からエルピスさんが去りました。<補足:右腕が二本生えている義腕を備えている、少女のような少年。>
ご案内:「ある日の落第街」から山本 英治さんが去りました。<補足:風紀委員/学ランアフロの一年生。(待ち合わせ済)>