2020/07/12 のログ
ご案内:「風紀委員会本庁 小会議室」に神代理央さんが現れました。<補足:風紀委員の制服に腕章/腰には45口径の拳銃/金髪紅眼/顔立ちだけは少女っぽい>
ご案内:「風紀委員会本庁 小会議室」にラヴェータさんが現れました。<補足:黒い軍服。狐の耳と狐の尾>
神代理央 > 風紀委員会本庁。小会議室。
先程まで行われていた会合の熱気が灯る室内で、疲れた様に溜息を吐き出しながら書類を纏める少年が一人。
「……態々病院から呼び出したかと思えば。戦力が足りないだの火急の案件が多いだの…。連中、私以外に手駒が無いんじゃなかろうな…」
落第街とトゥルーバイツ。黄泉の穴付近の異変。
それらに意気揚々と戦力を派遣しようとして――怪我人の己に声がかかった。ふざけているのだろうか。
一応、他にも戦力の当てがあると嘯いてはいたが――
「…期待せぬ方が良いのだろうな」
疲れ切った溜息と共に、椅子に深く腰掛けて項垂れる。
ラヴェータ > そして、そんな熱気が抜けきらない会議室の僅かに開かれた扉から入ってくる...白い狐。
その小さな右足で狐一匹通れるまで扉を僅かに開けば、トコトコと。
人の恐怖を知らない野生の子狐...に見えるそいつは神代の方へとトコトコと小さな4本の足で歩いて向かう。
(誰かと思ったら理央か。...確か狐の私をこいつに見せたことは無かったな。
丁度いい、揶揄ってやるか)
この姿でいると第一級監視対象とも知らずに抱え上げる奴が多い。そういう奴を揶揄うのが楽しいのだが。
誰かいるようだから会議室に入ってみれば、そこにいたのはかの有名な鉄火の支配者。
内心ニヤリ、と笑いつつ。
神代の座る椅子の真下から顔を出して、その膝に両前足を載せて。
小さく鳴き声を発して。
神代理央 > ぼんやりと天井を見上げながら懐を弄る。煙草でも吸おうかと思っての事。其処までして、ああ、此処は喫煙所じゃなかったなと思い返して――
「……鳴き声?」
無機質な会議室に相応しくない動物の鳴き声。
はて、と視線を巡らせれば己の座る椅子の真下から顔を覗かせ、膝をちょこんと己の両脚に乗せる……猫……いや、狐?
「……どうしたんだ?こんなところで。誰かのペットか…迷子かな?」
白い毛に包まれた狐をひょい、と抱き上げると、己の膝の上に乗せて頭や身体を撫でようとするだろうか。
糖分すら摂取できていない状況。可愛らしい小動物の乱入に、思わず頬を緩ませながら。
ラヴェータ > (やっぱり知らないか。フフフ...しばらく可愛がられてやるか...)
無抵抗のままに膝に載せられたこの狐。
毛色とは真逆で内心真っ黒である。いや、真っ黒というか嫌なやつというか。
前いた世界を含めて、この狐生100年。撫でられることは非常に多く、撫でられ経験は豊富である。
目を細めて、心地よいとでも言ってるような鳴き声を発しながら撫でられるがままで。
少し首を傾けて神代の方を見てみれば...
(ほう、これは中々に珍しいものを見たな。録画機器でも持ってくるべきだったか?)
頬を緩ませる神代。この狐的には初めてみる中々にレアな様子だ。
内心ニヤつきながら、くるりとお腹を見せるだろう。
神代理央 > 思うが儘に撫でまわしていれば、思ったよりも人懐っこい狐の様子。
案外、本当に誰かのペットが逃げ出したのかも知れない。受付辺りに飼い主が居ればいいのだが。と思案しつつ、掌は狐を撫で続ける。
もふもふしてる。もふもふ。
「……ん、何だ。本当に人懐っこいな、お前は。誰に飼われているんだ?それとも、異邦人か何かかな?」
膝の上で一回転し、お腹を見せた狐にほやほやとした笑みを浮かべつつ。そっと触れる様に。狐の毛先を整える様に撫で続けているだろう。
ラヴェータ > そう、この狐、もふもふである。
...中身は第一級監視対象なのに何故こうも癒しの特性を持っているのか。
世の中は不思議である。
(こいつ、案外こういうの好きかもしれんな。たまに撫でられてやれば癒しになるだろう。
まあ、このまま正体をバラさなかったらだがな!)
内心高笑い。そろそろバラしてやろうか、などと思いながら鉄火の支配者(笑)状態の神代をしっかりと目に焼き付けて...
「私が誰かもわからんのか?」
その可愛らしい口元が開かれたと思えば、放たれるのは笑いを堪えて揶揄う声。
そして狐が白い煙を発したと思えば...神代の膝の上にいるのは白い狐ではなく黒い軍服を纏った少女。
「貴様、もふもふは好きか?」
神代の膝に座ったまま振り向いてニヤニヤと笑う少女。
性格が悪い。
神代理央 > 可愛いなー、癒されるなー……と、もふもふ撫で続ける。
委員会で肩肘を張るのも結構疲れるのだ。というか、皆己に頼り過ぎじゃないだろうか。せめて戦力位まともなのを呼べ。特別攻撃課とかいるだろ。
――そんな思考とほわほわした雰囲気は、突如膝上の狐から放たれた言葉に固まる事になる。
ギギギ、と己の異形の砲身の様に首を動かしかけて――白煙に包まれた。現れたのは、軍服の少女。
風紀委員会第一級監視対象者
ラヴェータ=ワーフェンダー=クリークラーク
「………不覚だ。屈辱だ。ああ、くそ。よりにもよって貴様か、小狐…!」
深い溜息と共に吐き出される怨嗟の声。因みに、彼女は別に小狐という体格でも無ければ年齢に至っては彼女の方が上。
ただ何となく、彼女のデータを一瞥した己がそう呼んでいるだけ。他にそう呼んでいる風紀委員がいるかどうかは知らない。
「……いつまで人の膝に乗っているつもりだ。早くどけ。邪魔だ」
心底嫌そうな表情を浮かべながら、ぐいぐいと彼女を押しのけようとするだろうか。
ラヴェータ > 「ハハハハハハ!実に愉快だったぞ理央!実に!実に愉快だった!」
神代の膝の上で高笑いする狐もとい少女ことラヴェータ=ワーフェンダー=クリークラーク。
第一級監視対象の分際で比較的自由な行動を許されているこいつの日課は義務付けられた毎日の報告の際に誰かを揶揄うこと。
最近は狐の姿で知らない風紀に撫でさせたりペットの迷子探しをさせるのが楽しい。
そろそろその情報が広まってもおかしくない頃合いだが、神代を引っ掛けられて随分と楽しそうだ。
「そうか屈辱か!それは悪いことをしたな!」
反省の意など見られない。
実に楽しそうに笑っている。子狐呼ばわりされても負け惜しみにしか聞こえない。
最高の気分だ。
膝の上から退かそうと押してくる神代の膝の上から大人しく降りればその後ろへと小動物バリの素早さで回り込んで。
「ところでどうだ?私を撫でながらほんわかしていた気分は?屈辱か?屈辱か?それとも気持ちよかったか?」
椅子の背を前後に揺らしながら、そう尋ねて。
神代理央 > 「貴様を……貴様を愉しませる為に撫でていた訳では無いぞ…!」
ぐぬぬ。正しくぐぬぬ。
報告書には目を通していたが、まさか己の元に彼女が、しかも狐の姿で現れるとは露程も思わなかった。
忌々し気に舌打ちしながら、膝上の少女を睨み付ける。
「ああ、屈辱だとも。小狐風情が。全く…」
とはいえ、かどわかされていた己もまた事実。
再度深い溜息を吐き出すと、膝から降りた彼女を視線で追い掛けようとして。
背後に回るその素早さについていけぬ儘、視界が揺れ始めた。
「……ええい、揺らすな。揺らすな馬鹿者!ああ、和んでいたとも!貴様の毛は忌々しい程に触り心地が良かったとも!どうせなら一生あの姿でいたらどうだこの小狐が!これで満足か、ラヴェータ!」
くわんくわんと前後に揺れる視界の中で、本当に不機嫌そうな口調で言葉を放つだろう。
何でこんなのに予算かけて自由にさせてやっているんだろう、とげんなりした溜息と共に。
ラヴェータ > 「ああ満足だとも!『貴様の毛は忌々しいほどに触り心地がよかったとも!』.....!」
こいつには配慮という言葉はどうにもないらしい。
溜息をつく神代を見ながら神代の発言をそのまま真似れば、椅子を突き放して腹を抱えて心底愉快だという笑いを上げ出して。
「ハハハハハハハハハ!最高だ!何度言っても最高だ!貴様らしくない姿だったぞ!ハハハハハ!」
バシバシと神代の肩を叩いて大笑いを続けて。
しばらく笑えば満足したのか笑い涙を裾で拭って。
「さてさて、揶揄うのはこれぐらいにしておいてやろう。
砲撃をぶっ放されては敵わないからな」
会議室がな。
「ところでだ。
何故こんなところで書類をまとめている?貴様は暇人か?」
首を小さく傾げながら、首元から回り込むように神代の顔を見てそう問いかける。
息が近い。うざいだろうか。
神代理央 > よし。吹き飛ばそう。
敵は幻獣。であれば、実体弾での牽制を行いながらの魔力砲がベストだろうか。
魔術回路を同調させ、砲撃用の異形を後方に配置し――
「……控えてくれて何よりだ。あと3秒ほどで、異能が発動するところであったわ」
バシバシと肩を叩かれれば、忌々し気な舌打ちと共に溜息。
まあ、吹き飛ばすのは流石に冗談ではあるが。2割くらい。
「……あのな。私は怪我で療養中の身だ。その私が態々こうして会議に出席して、書類を纏めていて、どうして暇人という感想が出てくるのだ。この駄狐」
己が怪我をしている事を、彼女が知っているかどうかなど知った事では無い。フン、と不機嫌そうに言葉を返しながらも、やたらと距離の近い彼女の吐息に顔を顰めながら視線を向ける。
「手が足りんのだ。落第街、トゥルーバイツ、黄泉の穴。これ等に対処する為の戦力がな。だからこうして、怪我人の私を引っ張り出してまで対応と打ち合わせが行われているという有様だよ」
僅かに肩を顰め、椅子を小さく軋ませて彼女に顔を向けるだろう。
ご案内:「風紀委員会本庁 小会議室」にラヴェータさんが現れました。<補足:白い狐>
ラヴェータ > 「無駄だ無駄だ、その程度も躱せないわけないだろう。報告書を読め報告書を
貴様程度に討ち滅ぼされる程私は軟弱ではないぞ?怪我をしているなら尚更だ」
肩を叩く手でそのままその少女のような顔の、疲労が浮かぶような頬をペシペシと叩いて。
流石に怪我人と聞けば多少の配慮はしたようで。そこまで鬼畜だとかそういうわけではないそうだ。
「それは大変だな。折角私のような者が3人もいるというのだから少しぐらい活用すればいいだろうに
まあ、やる気はないがな!」
やる気の有無関係なく駆り出されるだろうが。
まあ、それ以前に第一級監視対象をそう気安く動かせるものではないのだろうな、なんて程度のことはわかるが。
怪我人を動かすなんて風紀には随分と余裕がないのだな、と。
「それになんだ?そこまでの面倒事が起きているのか。ふむ、楽しそうだな」
なんて、監視対象にあるまじき発言だが。実際は特に何かをしでかすつもりはない。
それよりも異邦人街でも回ってお洒落でもした方がまだマシだ。
ただ、神代で遊ぶためである。
神代理央 > 「……チッ。好きで怪我をした訳では無い。それに、仲間を撃つ程耄碌してもおらんわ」
8割くらいは思っていたがそこは黙っておく。
頬をぺしぺしされれば、ちょっとうざったそうな視線を向けるが抵抗する事は無い。
要するに、疲労困憊、であった。
「……貴様たちは風紀委員会の切り札。故に、厳重な封印処理が施され、管理されている。
貴様達に頼らずとも、私一人で何とかしてみせる。それが、私の仕事だ」
フン、と高慢に。傲慢な口調で言葉を返す。
それは、本心から出た言葉でもある。風紀委員として。力を持つ者として。座している訳にはいかない。力を振るわなければならない。
それが、力を持つ者の責務と信じるが故に。
「……まあ、直接学園に影響を及ぼす様な物では無いかも知れないがな。人手が足りぬのは事実だよ。もう少し、実戦部隊が欲しいところだが…」
そう考えると、日ノ岡のトゥルーバイツは羨ましい限りだ。
此方にも、あれくらいの規模の部隊が欲しいところ。まあ、贅沢は言えないが。
楽しそうだ、と告げる彼女にもそれを責める様な発言は無い。
此方とて分かってはいるのだ。こうして己を揶揄う彼女も、風紀委員会に定められた責務はきちんとこなしている。
であれば、彼女もまた護るべき対象であり、彼女の出撃を防ぐことが己の任務の一つなのだと。
ラヴェータ > 「好きで怪我していたらM代って呼ぶところだな。
まあ貴様も大変なのだろうな。私は毎日楽しいがな」
別に労う言葉をかけること自体は珍しくもないのだが、先ほどまで全力でからかっていたこいつを見てからでは印象が180度変わって訳が分からなくなりそうだ。
よしよし、と慰めるように頭を撫でてやって。
「ふん、そう変に気張っているから怪我なぞするのだ。バカバカしい。もっと貴様は人に頼るということを覚えてみればいいのだ。それともなんだ?『鉄火の支配者』か?そんな肩書き捨ててしまえば楽だろうにな」
別にその肩書がなくなって、力も無くならないし信頼がなくなるわけでもないだろうに。
ネームバリューはなくなるが、別に死ぬわけでもない。
やれやれ、と言った調子だが、どちらかというと気遣っているようで。
「貴様らはあくまでも生徒だろう?子供が何を責任を感じているのだ
大人に任せるということを少しぐらい覚えてはどうだ?」
例えばこの小狐にな、と付け足してフッと笑って見せる。
何故この学園に通う者共はそう悩むのか。学生の分際で法を守るなんて、私の世界でもあり得なかったことだ。
どうせ私のことを守る対象だとか思っているのだろうが、私は守られるほど軟弱ではない。
神代理央 > 「…その不名誉な渾名で呼ばれぬ事を心から喜んでおこう。大変だ、と愚痴を零すのは好みでは無いがね。…まあ、同じ風紀委員相手に疲労を見せるくらいは、な」
ギシリ、と椅子の背凭れを軋ませて身を預ける。
頭を撫でられれば、何だこいつ、と言いたげな視線を向けるだろうが、跳ね除ける事も静止の言葉もなく、黙って受け入れているだろう。
「…人に頼る?馬鹿を言え。我々は頼られる側だ。生徒から、市民から。常に頼られるべき存在だ。
肩書など、特段必要なものではない。私は私の意志で、任務に励んでいる。それだけだ」
ネームバリューが欲しい訳でも、名誉欲で任務に励んでいる訳でも無い。結局は、己に与えられた任務がそれかしとあるからこそ。
そして、護るべき人々と社会が背後にあるからこそ。腹に風穴が空いても、任務に赴くのだ。
それでも、気遣う様な彼女の雰囲気を感じ取れば、少しだけ纏う空気は柔らかくなるだろうか。ほんの、少しだけ。
「任せているさ。後方の事務処理。二級学生の避難誘導。前線に立つだけでは出来ない事は、出来得る者に任せているとも。
だからこそ、私は戦場に立つ。私に出来る事がそうであるなら。
貴様達の封印を解かずに済む社会を、護る為ならな」
フン、と生意気そうに息を吐き出し、彼女に向けていた視線を天井へと向ける。
ぼんやりと天井へ向けた儘紡いだ言葉の意志は固い。
唯、煙草くらいは吸いたいなと思う程度には疲労しているだけだ。
ラヴェータ > 「そうやって生き急ぐから怪我なぞするのだと言っているのが分からんのか。
身に余る願望は身を滅ぼすぞ。私も似たようなものだ。こんな世界で戦争なぞしようとするからこうなる」
自分の意思で行動すれば、義務を果たせば良いと言う訳ではない。
それで我が身を滅ぼしては元も子もない。その義務は何の為に在るのか。
「なら何故怪我をした?貴様を守れる風紀の一人や二人や三人程度。
そう探さんでも居るだろうに
理央、貴様は何故社会を守る、などと言っているのだ?先に自分を守ろうと言う発想はないのか?」
「貴様が怪我して喜ぶ者がここにいるのか?」
目を細めて、真剣な口調でそう問いかける。
別に社会を守る行為を批判している訳ではない。
ただ、やり方があるだろうと。貴様と同じ義務を背負う者に何故自分を守らせないのか。
怪我せずにいられる者の一人や二人いるだろうに。
わざわざその華奢な身を危険に晒すこともないだろうに、と。
神代理央 > 「……身に余る願望、か。そうだな、そうかも知れぬ。
しかし、それでも。我が身を焼き尽くす様な理想や願望を抱くのがヒトであり、知性ある生物だ。貴様とて、その理想に焦がれたからこそ。
そして敗れたとはいえ理想があったからこそ、こうして此処で、私と会話しているのだろう」
理想と現実。その差は言葉にすれば短く、抱えるには余りに大きい。
それでも。それでも尚焦がれ、追い求めるのが理想であり願望。年若い少年には、ソレを諦めきれぬ程の若さと青さがあるのだろう。
「…私を守って怪我をされる事は好まぬ。私は、私自身の力で護るべきものを守り、力を振るう。この身が撃たれ、砕かれ、切り裂かれても。私は、私の選択を決して違えたとは思わんさ」
「……私が怪我をして喜ぶ者は、まあ、いないこともないかも知れんぞ?それに、私が怪我を負う程任務に当たれば、その分悲しまずに済む者がいるのだ。
それはとても良い事じゃないか?ラヴェータ」
真剣な表情と声色の彼女に視線を向ければ、穏やかな表情と口調で言葉を返す。
殉教者さながらの覚悟と想い。しかしその根底にあるのは、刹那的な。己の身を厭わぬ破滅的な思考ですらある。
彼女の事を少し見直しながら。だからこそ。穏やかに、小さく笑いかけて首を傾げるだろうか。
ラヴェータ > 「ほう、失敗も経験のうち、とでも言いたいのか?貴様は。
その通りだがな」
誰かが失敗したから。過去に失敗を得たから。
誰かが、今の自分が成功を手にすることができるのだ。
ここに私がいることが正解かどうかと問われれば、それは少し納得しかねるが。
それでも、今ここにいるのは過去の失敗を経てだ。
この世界に、この島に来たことだって、失敗からだ。
「そう悲しいことを言うんじゃない。私は少なくとも貴様が怪我をして嬉しいとは思わんぞ?
それに、貴様が怪我をして悲しむ奴もいると言うことは考えないのか?」
悲しそうな様子ではない。だが、声の調子を落として。笑う理央に。私には理解出来ないとでもいうかのように。そのような生き方で良いのか、と問いかける。
自分で自分の身をどう扱おうと自由ではあるが。
ただ、貴様が他の誰かを気遣うと言うのであれば。
貴様の事を想う誰かが悲しむことは考えないのか、と。
神代理央 > 「そうとも言える。理想を追わず、唯々諾々と何かに従う人生が好ましいのなら、それもまた否定はしない。
しかし、例え失敗しても。その果てに破滅が待ち構えていようとも。理想を追いかけたという事実と努力は――少なくとも、貴様を裏切ったりはしなかっただろう?」
穏やかな声色の儘、笑う。
選択せずに後悔するより、選択した公開を望むのだと。
そう言って、笑う。
「…そうだな。いる。私が怪我をすれば悲しんでくれる人は、いる、だろう。信じられない事だが。
だが。いや、だからこそ。そういった人達の為にも。私は立たなければならない。私が怪我をして悲しむ人がいるなら、私が守らなくては悲しみに暮れる人も、きっといるのだから」
「……でも、まあ。そうやってお前が心配してくれるとは思わなかったよ。有難う。此処迄世話を焼かれては、お前の監視役に、怒られてしまうだろうがな」
理解出来ないと言いたげ彼女に、ゆるりと首を振って、己が立ち続ける事を告げるだろう。
何とも不思議な事に、己にも友人が出来て、想い人が出来て、部活の仲間が出来た。彼等はもしかしたら、己が傷付けば悲しんでくれるかもしれない。
だからこそ。彼等と同じ様に、傷付いて悲しむ人たちが己の背にあるのなら。戦場に、最後たった一人。モノ言わぬ金属の残骸達に囲まれて朽ちる事になっても。それはきっと、満足のいく選択なのだから。
そして最後に一言。確か彼女を含めた監視対象には、監査役の委員がいた筈だ、と思いを馳せながら首を傾げる。
少し長話をし過ぎてしまった。監査役が探しているんじゃないかと思いながら。
ラヴェータ > 「それは...どうだろうな。私は少なくとも逃げたからな
だが、確かにこれからに生かせばその通りになるだろうな
やり方なんぞ知らんがな!」
ははは、と自らを嘲るように乾いた笑い声で応えて。
一先ずこの空気を断ち切るような。
こんな空気を作ったのは私だ。断ち切るのも私がやるべきだろう。
「そうか....。
なら、これだけは言っておこう。お前は満足しても、残された奴らはどう思うか。それだけは貴様が、自分自身の脳味噌で考えてみろ」
指先を額に当てて、トントンと軽く叩いて。
「それがだな、今の監査役の輩がな、やってられるかだとか行って逃げ出しそうだとか聞いたのだ。
そこで、だ。理央」
やれやれ、と言った様子で語り出して一変。
理央の両肩に手を置き、ここからが本題だ、とでも言いたげな明るい調子で。いやさっきまでのはなんだったんだ。
「正直言うと私はお前が心配だ。いつかそこらへんでくたばられては寝起きが悪い。私の監査役になってついでに私は貴様を監視する
どうだ?ついでに私を自由にもふる権利をくれてやろう」
面白いだろう、とでも言いたげな雰囲気で。
自信満々に、最高の思いつきだろ?とでも言いたげに。
ほら、もふれるぞ、と言いたげに。
そう、提案する。
理由は、楽しそうだからと、言葉の通り...
神代理央 > 「…フン。貴様はそれくらいで丁度良いのだろうな。逃げても良いじゃないか。おかげで風紀委員会は、優秀な犬…じゃないな。狐を手に入れたのだから」
この空気を断ち切ろうとする彼女に乗る様に。
此方も揶揄う様な声色と口調で言葉を返す。再び椅子は軋み、彼女に向けて僅かに身を起こすだろう。
「……それは…いや、そうだな。考える事にするよ。全く。私の周りの連中は、何時だってそうやって、私に何かを考えさせる」
と、愉快そうに、しかし何処か安心した様に笑う。
しかし、次いで投げかけられた言葉には、きょとんとした様な表情を彼女に向ける事になるだろうか。
「監査役が……?それはまた。第一級監視対象の監査役ともなれば、それなりの権限と手当が保証される筈だが…お前、何をしたんだ?」
と、僅かに呆れた様な視線を向けていたが。
続く彼女の言葉には、今度こそ驚いた様な表情を。
肩に置かれた手にすら気付かない様な表情を、彼女に向けるだろう。
「……私が、お前の監査役に?心配で、楽しそうだから、だと?」
と、彼女の言葉を反芻した後、暫しの沈黙。
やがて、自信満々の彼女を見返す表情には、次第に笑みが広がる。
クスクスと、面白い事を聞いた、とでも言う様に――
「……ク、あはははは!この私を。鉄火の支配者を。心配だから、と。楽しそうだから、とお前の監査役にしようというのか。
…良いとも。面白い話だ。乗らせて貰おう」
「しかし、私が監査役になったからには、楽が出来ると思うなよ?護るべきモノと、私の理想の為に。精々働いて貰うとしようか」
そう告げる己の表情には、最早破滅的な穏やかさは無い。
何時もの様に、傲慢で、尊大で、自信と矜持を持った風紀委員として。彼女の言葉に頷くだろうか。
……監査役になれば、堂々と狐姿の彼女をもふれるとか思ってない。思ってないかもしれない。思わなくもない。多分。
ラヴェータ > 「狐も犬の一種だそうじゃないか。なら別に犬でも問題あるまい」
「貴様は学生なのだろう?なら悩み続けるぐらいが当たり前だ。皆悩んでいるさ」
まだ学生のうちに悩めていいではないか、と。
今は悩む時期だ。今のうちに大いに悩め、少年よ。
「なぁに。毎日報告するだけだ。やった事を事細かにな。その後はこうやってのんびり揶揄って回ればいい」
そう、24時間何をしたか。事細かに、適当に書き連ねる。そして、私に揶揄われた風紀が監査役に文句を言いに行く、クレームがいく、と。
自由行動が過ぎる私を手に負えなくなってきた、と言う事だ。
まあ、よく続いた方だと私は思う。
どうにも先日始まった定期試験で初日からボロボロだったらしく、ついに耐えきれなくなったらしい。
単位よりも解けないことが辛かったらしい。
「なあに。私からすれば貴様なぞただのガキだ。貴様を監視するぐらい容易いさ。
その過程で貴様の手伝いをさせられる程度なら、喜んで協力してやろうじゃないか
貴様こそ私の監査役が楽だと思うなよ?」
いつもの神代理央だ、と確認すれば、こちらも傲慢に語ってみせようか。
その程度余裕であると、むしろ貴様の方が心配だと。
「手始めにこの尻尾でももふってみるか?ふさふさだぞ?触らせてくださいと言えば触らせてやろう」
なんて、尻尾を後ろで揺らしながら揶揄うように尋ねる。
ニヤニヤと、ほら言ってみせろと。
楽しそうな...最初に膝に座っていた時の様なラヴェータだった。
神代理央 > 「…まあ、貴様がそれで良いなら別に構わないんだが」
態々犬から狐に言い直したのに、とちょっとあんにゅいな表情。
「…成程。ならば精々悩むとしよう。悩んで悩んで、その果ての選択がどうなるか――お前も精々、見ていればいいさ」
と、朗らかに。朗々と。笑みを浮かべるのだろう。
「ふむ?それだけか。報告書の類は些か面倒ではあるが、それはお前に書かせる。それくらい頑張れ。日記みたいなものだ」
早速監査役としての仕事を一つぶん投げた。それでいいのか監査役。
とはいえ、それは少なからず交流のある彼女を信頼しての事。或る程度の自由は――今も大分自由だが――彼女に与えるべきなのだろうし。
寧ろ、此れから大変なのは彼女の被害に合う風紀委員では無かろうか。クレームの行先がよりにもよって鉄火の支配者。何ソレ聞いてない。
笑顔でクレーム握り潰さないで下さい。シュレッダーにかけないでください。無言で不機嫌そうに威圧してこないでください。
と、風紀委員達の切なる悲鳴がこれから響くとか響かないとか。
「…フン。その餓鬼に首輪を握られ、リードに繋がれている事を忘れるな?私は今迄の飼い主の様に、優しくはしてやらぬからな」
と、尊大な笑み。
それでも、心配してくれているらしい相手には、ちょっとだけ柔らかな表情を浮かべてみせるのだろう。
「……そういうのは、狐に戻ってからにしてくれ。触りたくない、訳じゃない」
揶揄う様な口調の彼女に忌々し気な視線を向けると、フイ、とそっぽを向いてしまうだろう。
もふもふには勝てなかった。残念。
ラヴェータ > 「ああ見ているとも。見ているから精々私を楽しませてくれよ」
小馬鹿にする様な笑みで見下して。
「なぁに問題ない。ただ上の方が報告書が雑になったと感じるだけだな」
ケラケラと笑って。
自分で書くなら大喜びで手抜きしよう。
どうせそこまで細かい報告書が求められているわけではないことは知っているのだ。
最低限書いて、それを旧監査に見せつけて嫌がらせにでもすればいい。
血の涙を流すことだろう。
「私をただの可愛い狐と思っていたらある日唐突に死ぬかもしれないぞ?精々頑張れ神代理央」
見下して見下されて。これぐらいの関係が一番やりやすいのかもしれない、なんて思いつつ。
ただ、その奥にある柔らかさに免じて言葉だけにしてやろう。
「む、そうかまあそれは後ほどでということだ。
では、私はそろそろお暇するとしようか。さらばだ、理央。書類整理、精々頑張るといい」
影に潜りながら...
「そう言えば、貴様。女装の支配者とか言われてるらしいな。ハハハハハ!」
思い出した様にそう言い放ち、大笑いしながら影へと沈んだ。
...てっきり自宅に帰るとばかり思い込んでいた神代が病院に帰った事に文句を言いながらも大人しくもふられたのはまた別の話。
神代理央 > 「お前が風紀の犬でいる限り。そして、最低限の報告がなされている限り。文句など言わせぬさ。何せ、報告書の先にある名は、私のものなのだからな」
楽し気に笑う彼女に、此方も緩く笑みを浮かべるだろうか。
因みに、そんな報告書を見せつけられた前任者は茫然自失の後
【常世ナンパツアーin夏休みだよ全員集合!】
なる旅行会社のツアーに応募し、夏休み中浜辺のごみ拾いをしたらしい。一人で。参加者は彼だけ。悲しい。
「御互い様だ。私はお前が死なぬ様に。お前は私が死なぬ様に。互いに努力しようじゃないか、駄狐」
彼女の事を。監視対象である彼女を駄狐、等と呼ぶのは己だけかもしれない。それくらいの関係の方が、御互い気が楽だろうし。
肩肘を張らない監査者と監視対象。少年と狐。
しかしてその実態は、落第街の恐怖の象徴と、風紀委員会の切り札という組み合わせ。
違反部活の明日は、どっちだ。
「…ああ、そうだな。長々と引き留めてすまなかったな。私も引き継ぎの書類を準備せねばならないし、また後日、打ち合わせでもしようか」
と、影に潜る彼女を見送ろうとして――
「……誰が女装の支配者か!誰が!」
無人となった会議室に、不機嫌そうな少年の声が響く。
後日、病院への帰路についたことへの文句に小言を返しながら、狐を撫で続ける鉄火の支配者の姿があったとかなかったとか。
ご案内:「風紀委員会本庁 小会議室」からラヴェータさんが去りました。<補足:白い狐>
ご案内:「風紀委員会本庁 小会議室」から神代理央さんが去りました。<補足:風紀委員の制服に腕章/腰には45口径の拳銃/金髪紅眼/顔立ちだけは少女っぽい>