2020/07/14 のログ
ご案内:「落第街大通り」に神代理央さんが現れました。<補足:制服に風紀委員の腕章/腰には45口径の拳銃/顔立ちだけは少女っぽい>
神代理央 > 期末試験期間。風紀委員も含め、多くの生徒は歓楽街への立ち入りを控えるべき期間である。だからこそ、【歓楽街健全化運動】と銘打った学生への注意勧告。歓楽街への立ち入りを現象させる為に、風紀・公安の両委員会が少ない人員を振り絞って活動を行っていた。
今回、己が此の場所を訪れたのもその一環。しかし【注意勧告】の相手は、生徒達ではない。
風紀委員の制服を纏い、整然と整列し行進する多脚の異形を無数従えて。査問官さながらに、大通りを闊歩する少年の姿。
注意勧告の相手は――落第街の住民全て。
怪我で療養中との情報が行き渡っていたであろう己が、再び前線に立つ事を示す、謂わばプロモーションの様な、行進。
神代理央 > そんな少年に向けられるのは
好奇、懸念、怪訝、疑惑、猜疑――憤怒、怨恨、畏怖、悲哀。
負の感情が勢ぞろい。それに類似する視線もまた、物理的な圧力を持ったかの様に向けられているだろうか。
「…睨み付けるだけで手が出せないのなら、最初からそんな顔をするものでは無いよ。貴様らとて命が惜しいから、私に立ち向かってはこないのだろう?」
そんな落第街の住民達を、煽り立てる様に一際大きな声で言葉を紡ぐ。憎しみを、恐怖を、憎悪を煽り、その対象が己へと向く様に。
【鉄火の支配者】は、未だ健在である。その砲火は、何時如何なる時も彼等の頭上に降り注ぐ。
そう告げるかの様に、大地を踏み締める異形達の多脚は、整然と、一糸乱れる事無く。地響きの様に周囲を震わせながら、剥がれかけたアスファルトを踏み砕く。
天空に掲げられた砲身が、不快な金属音と共に軋む。
ご案内:「落第街大通り」にラヴェータさんが現れました。<補足:黒い軍服。白い狐耳、尾>
ラヴェータ > 「ハッ。そう煽り散らしてまた腹をぶち抜かれても知らんぞ?
貴様は狙撃というものを知らんのか」
神代の足元にある影から黒い軍帽とそこからはみ出た白い三角が覗く。
そしてゆっくりと影の中から姿を表す白と黒で構成された狐の少女。
その表情は神代を気遣うというよりかは揶揄うような。
端的に言うとイキるな、と。
「こんなおもちゃを並べたところで、貴様のその肉体は脆いものなのだからな
ここは落第街だ、何がいるかわからん。そうだろう?」
おもちゃ、と言いながら腰を下ろした対象は神代の異能によって召喚された異形。
彼の異形もこの狐にとってはおもちゃでしかないと、そう傲慢に言い放った狐の表情は神代を小馬鹿にしている様子で。
恩着せがましく「感謝しろ」なんて言っているが勝手についてきて勝手に護衛を名乗っているだけである。
寧ろ、監査役と一緒であることを口実に落第街見物と言ったところである。
神代理央 > 「何、多少の怪我は治るものだ。それに、私の異形共は敵意と敵対行動に関しての自立行動を行える。少なくとも、死にはせんだろう」
影から湧き出る様に現れた少女。異形の群れを従える己の側に立つのは、軍服を纏った少女。先日、己が監査役となった第一級監視対象。
そんな少女の揶揄う様な言葉にも、フン、と尊大な吐息と共に言葉を返すのみ。多少の怪我等、死ななければどうということはないとばかりに。
「肉体の脆弱さは否定出来んがね。その脆弱さ故に、此の街の住民は"おもちゃ"程度で何とかなる連中が大半、という事だ。
それに、対処出来ない様な"何か"が現れれば、貴様が私の盾になる。そうだろう?」
小馬鹿にする様な少女の言葉にクツリ、と笑みを浮かべて肩を竦める。勿論、少女が身を挺して己を庇うなどとは露程も思ってはいないのだが。
それはさておき。彼女が加わった事で、今回の任務は半ば達成した様なものだ。存在が何処迄住民に認知されているかはさておき、第一級監視対象の少女と、その監査役たる己が揃っての示威活動。
この二人に喧嘩を売る愚か者は、少なくとも此の大通りには存在し得ないだろう。いるとすれば、稀有な自殺志願者くらいか。
「まあ、貴様のおかげで今回の任務は楽になりそうだ。自由気儘というのも、偶には役に立つじゃないか、駄狐?」
そう言って、ゆるりと唇を歪める。
ラヴェータ > 「ほう、それは随分と便利なものだな。
昔の私も是非とも標準搭載しておきたかったものだ」
素直に羨まし気な様子で椅子代わりの異形に触れる...手が汚れて顔を顰める。
今では兵士としての経験などから殺意に気づく事も容易ではあるが昔は殺意どころか気配の察知すら出来なかった物だ。
頭を撃ち抜かれた事も少なくはない。
自動的に敵意を察知して防御してくれる存在、是非とも欲しかった。
「そう頼りにするなよ?異能のない私は貴様ほどではないが貧弱だ
まあ貴様よりはマシだがな」
護衛とか言ってついて来ている以上、いざと言うことがあれば戦わねば報告書的に不味い。影に1日は入れなくされるのは中々に堪える。
まあ実際に戦えるかと言えば異能のないこの狐は大して強くはない。
体術と影操作ぐらいか。
「ふん、そう思うなら素直に『ありがとう』の一言でも言って見せれば良い物を。
小娘」
煽る。煽るぞこいつ。傲慢な神代が少し気を許したと思えばこれだ。
『馬鹿め』とでも言いたげな様子でそう言い放って。
神代理央 > 「逆に言えば、それだけだがね。細かな指示、砲撃目標の設置。追撃の有無。それらは此方で命じなければならん。火力には事足りるが、不便なところもあるさ」
それは、紛れもない事実。己の異能により召喚した異形達は、その膨大な火力の管制を召喚主に依存している。
故に、司令塔である少年の防御は絶対。絶対だが、本人の肉体・体術などは最低ラインも良い所。
上手くいかぬものだな、と顔を顰める少女に苦笑い。
「ならば、大人しく私の後ろに隠れている事だな。駄狐。
何、それも仕事の内だ。監査役として、丁重に丁寧に保護してやろうじゃないか」
元より守られる事など期待していない――というより、己が守られるという前提が無い己は、少女の言葉にも小さく肩を竦めるばかり。
少女の軽口も、尊大な態度で受け流していた。いたのだが。
「……誰が小娘か、誰が。正しく小娘である貴様に謂われたくは無いぞ、駄狐」
反応を見せた言葉はよりにもよって其処である。
ジロリ、と少女に視線を向けて幾分低くなった声色で言葉を投げかけるだろう。
ラヴェータ > 「それは貴様自身でどうにかするしかないだろう。なあに経験だ経験。
私が稽古をつけてやってもいいぞ?」
稽古という部分も含めて、冗談ではなく意外と真面目な様子で。
経験とは大事である、と。
ふざけた異能を持つ狐でも経験は非常に重要な物であると思っている。
幾ら優れた力を持っていても、それを扱う側が未熟ではどうにもならない。
そして異形から降りれば神代へと歩み寄れば当たり前のように手の汚れを少年の制服に擦り付けようとして。
「そう言うのであれば仕方がない、守られてやろう。
だが、近づいて来た輩には私が対処してやる。」
傲慢と傲慢の会話というのかどうにも。周囲からすれば度し難いかもしれないが、当人の間では通じ合うというのだから尚更度し難い。
背は任されてやろうと、肩を竦める神代にニヤリと鋭い八重歯を見せて。
「精一杯威勢を張ってもその程度か。弱々しいぞ『小娘』!」
こいつは砲撃をぶちこまれたいのだろうか。
煽る。
神代理央 > 「…確かに、経験とは何よりも得難く、それでいて努力次第で誰にでも手に入る通貨だ。稽古、稽古か。ふむ……」
真面目な雰囲気を纏って語る少女には、此方も同様に真面目な口調で言葉を返す。
まして、己の異能は発動者の体力や経験に依存しない。だからこそ、肉体能力が貧弱な己でも戦力足り得ている。
言い換えればそれは、経験値の不足。異能の持ち主に努力を強いないモノ。だから、少女から発せられた稽古という言葉には、興味を惹かれた様な反応を示して――
制服に汚れが擦り付けられれば、むすっとした表情でその手を軽く叩くだろう。
「…態度だけは偉そうな事だ。とはいえ、大人しくしていてもらえるのなら重畳。左団扇で監査役を務められるのだから、楽なものだ」
そう、軽口と悪口の応酬。互いに尊大さと傲慢さをぶつけ合う様な会話であっても、其処に敵意や嫌悪感は微塵も感じられない。
本当に、此れが通常なのだ。監査役と監視対象。人間と幻獣。少年と少女。悪態をぶつけ合いながら笑い合う二人は、今宵。間違い無く落第街最大の脅威足り得るのだから。
「…駄狐が、言わせておけばぬけぬけと。今宵の報告書の査定を楽しみに――」
忌々し気な表情で言葉を投げかけようとしたその時。
先ず、異形達が反応を見せる。此方に駆け寄ってくる少年。単純に、召喚主へ接近する者へ見せた警戒。軋む砲塔。
しかして、その砲塔が火を噴く事は無い。少年が接近する前に、渇いた銃声が一つ。そして、倒れ伏す少年。
死んだわけではなさそうだ。未だ息があり【誰か】に助けを求めている。
「……仕事だぞ、駄狐。どうやら、私が買い込んだ恨みは中々捌き切れぬ様でな」
風紀委員の別働隊が、己の護衛についたとの報告は無い。
となれば、今の銃声は。幼い少年を撃ち抜いた銃声の発生源は、ビジネスパートナーから一歩進んだあの女か。
中々に殊勝な事をする、と内心嗤いつつ、軍服の少女に視線を向ける。
「恐らく、敵対勢力そのものは此方の手の者が対処する。だが、次の襲撃に備えて警戒を密にしておけ。
それと、あの少年だが――」
己に駆け寄り、撃たれた少年。手に抱える【何か】は、どうせ碌な物では無いだろう。
それでも。己を殺めようと。傷つけようとした少年でも。救う事は出来ないか、と僅かに言葉に詰まった。
殺してしまえば、見捨ててしまえば楽だというのに。
ラヴェータ > 「いつまでそう気楽にいられるか見ものだな。逃げたあいつのようになる日を楽しみにしておこう」
なんて軽口を叩くがそうなる未来は見えないと言ったところか。
まあ前任者のように別に逃亡させようなんて端から思っちゃいないのだが。
まあ言わずもがなと言ったところか。どこか似た者同士、理解がある分。
はたかれた手から汚れが落ちたことを確認すれば満足気に、それでいて小馬鹿にするようにフッと小さく神代に笑いかける。
「ふむ、私の出番があるようであればそれは其れなりに面倒な事態だろうからな。
そうならんようにしろよ」
銃声が聞こえた瞬間、それだけで散々少年を小馬鹿にし続けていた狐は臨戦体勢を取る。
周囲を警戒し、少年を庇うよう動くための意識を持ちその視線を周囲に巡らせる。
その表情は至って真剣である。
主な警戒は助けを呼ぶ声の方向へと向くが勿論、他方位への警戒も怠らない。
その様子には一朝一夕では到底身に付けることの出来ない数十年の深い経験が出ているだろうか。
「言われるまでもない。
...助けには行くんじゃないぞ。どうして怪我をしたか思い出せ
...どうしてもというなら私が行こう」
怪我の理由は、先日他の風紀から聞いている。
その上で釘を刺しておく。
そして、その上でもあれを助けるというのなら、出るべきは貴様ではないと。
神代理央 > 「私が、前任者の様に軟弱で怠惰だと思われるのは心外だな?現に、貴様に向けられた苦情の類は大幅に減少したであろう?」
減少したのではない。彼女に届く前に、上層部に報告が行く前に。
監査役によって何処ぞに葬られているだけだ。執務室のシュレッダーは良い働きをしてくれている。
因みに、前任者の生徒も別に軟弱でも怠惰でも無い。ただ、少女の監査役を務めるにはそう――真面目過ぎたのかもしれない。
「…そうならぬ様にするのが、私の仕事だ。その見栄えの良い軍服。汚さぬ様にせよ」
響く銃声。それと同時に、奔る影の意識。
第一級監視対象《血濡れの戦犯》の名は伊達では無い。少なくとも此の場において、経験という通貨を最大限所有するのは、少女である。
だから己に出来るのは焦らぬ事。司令塔として、異形と彼女を連携させ、それぞれの戦闘力を最大限に活かす事。少女の判断と行動を、阻害せぬ事。
――だが、そんな"小さな"騒動はあっけない終わりを迎える。
倒れた少年以外に敵対行動は無い。狼狽え、遠ざかりながら此方を伺う落第街の住民達に浮かぶのは、砲火が通りを焼き尽くすのではないかという恐れ。怯え。恐怖。
その愚鈍な振る舞いに舌打ちしながら、倒れ伏し助けを求める少年に視線を向けて――
――助けを求めていた少年は、既にこと切れていた。救いを求める言葉は最早無い。それどころか、少年の肉体は、幼い体は。見るに堪えないモノに、なって、いる。
溶けている。溶け始めている。救おうかと逡巡した少年は、最早その形を成していない。己の決断の鈍足さを、嘲笑うかの様に。
「――Feuer!」
叫ぶ。ほぼ無意識に、叫ぶ。
天空に向けられた砲身が。異形達が生やした針鼠の様な砲塔が。己の命を受けて一斉に火を噴いた。
轟く轟音。爆風によって巻き上がる砂埃。軋む廃屋。数多放たれた砲弾の行く末は――虚空。着弾地点すら唯の荒れ地。
「…見ての通り、姑息な手段に訴えようと。陰湿な罠を構えようと。我々は屈さぬ。止まらぬ。躊躇せぬ!この私を、鉄火の支配者を。私の首を欲するのなら、それ相応の覚悟と戦力を以て事に当たれ。所詮、貴様らの抵抗など無意味であり、価値など無い。それを理解したのなら――散れ!愚か者共が!」
耳をつんざく様な砲声が止んだ後、落第街の住民達に吠える。
傲慢に、尊大に。それでいて、僅かな憤怒を交えて。砲声に怯えていたところにそんな一喝を受けた住民達は、蜘蛛の子を散らす様に逃げていくだろうか。
「………現場検証にあたる増援の到着まで、この場所を確保する。退屈だろうが、付き合ってくれるか、ラヴェータ」
全てが終わり、静寂に包まれる人気の無い大通り。その真ん中で、異形に囲まれた少年が小さな声と共に少女に視線を向ける。
ラヴェータ > 「元より私には響いてこんがな。時折何かがすり抜けていく感触だけだ」
クレーム?ああ全て聞き流していたとも。
前任者が報われない。
本当に長期間よく持った方だ。
「なんだ?貴様も着てみたいのか?貸してやってもいいぞ?」
軽口を叩くがその調子に軽口に見あった勢いは見受けられない。
真面目にやるときはやるものだ。
....
「なるほどな」
異形の咆哮によってかき消された呟き。
原型を失っていくそれに未だに警戒しながらも、その様子には過去居た世界でも見受けられた合理性が見られる。
捨て駒の扱いはどの世界でも同じようだ。なに、私も捨て駒のようなものだったからよくわかる。
違ったのは死ぬかどうかだけだ。
爆風により飛ばされそうになる軍帽を片手で抑える狐の瞳に映るのは懐かしさと共感。
ただ、同情はしない。
「傲慢だな。貴様は」
付き合ってくれるか、とそう尋ねる神代に先ず返す言葉は了承でも否定でもなく。
至って冷静な声。
少年を救えなかった神代が自身に向ける感情に対して。
苛立ちを交える絶叫にも聞こえるその声に。
憐むような、叱るような視線を向けて。
「なに、私は構わないが、貴様こそ去りたくはないのか?」
その視線はすぐに逸らされた。
未だに警戒は解ききらないが。
ここに居たくはないのではないか、と神代に尋ねて。
神代理央 > 「…ああ、傲慢だよ。私は。知らなかったのか?私は、私の力と実力に。私と言う存在と決断に。常に傲慢でなければならない」
彼女の視線を一瞬だけ受け止めると、再びその視線は少年"だったモノ"へと向けられる。
少女から、その瞳の色が伺い知れるならば。其処には怒りも悲しみも、絶望も落胆も無い。
静かな虚空。思案する様な無色。そして――仄暗い、ナニカ。
「そう、私は傲慢なんだ。我儘なんだよ、ラヴェータ。私の思う通りに、思うが儘に事が進まぬのは腹立たしい。やせ細った子供程度で私を殺せると思われていた事が腹立たしい。
――ああ、本当に。何もかもに腹が立つ」
そうして、小さく吐息を吐き出すと。
憐憫と叱咤の視線を向ける少女に振り返り、その唇を歪める。
「私が?何故そう思う。何故私が、此処から立ち去りたいと思う。
此処は、私が勝利を収めた戦場だ。此処は、私を讃える凱旋の場だ。そして此処は、私への宣戦布告の場だ。
連中が私に喧嘩を売りたいというのなら、喜んで買い叩いてやるともさ。身の程を知らせてやるともさ。鉄火の暴風が健在で有る事を――叩き込んでやるともさ」
今宵、一人の少年の死を以て【鉄火の支配者】は歪な復活を果たした。
無辜の住民を気遣う様な思慮を持ち合わせた代わりに、違反生に対する慈悲は一切失われた。
交渉も降伏も投降も哀願も、全てが砲火の前に蹂躙される。
その様を見る事が出来たのは、監視対象である筈の少女のみ。
「……後続が着いたら、お前は帰れ。本庁まで行けば、どうせ面倒な報告書と格闘しなければならんからな。お前は、甘い物でも食べに行けばいい」
最後にポツリと。少女に視線を向けぬ儘呟いて。
遠くから聞こえてくるサイレンと車輛のエンジン音。それらが二人の元へ到着するまで、もう口を開く事は無かったのだろう。
後続の部隊が到着すれば、監視対象である彼女を置いて。張り詰めた様な表情の儘、本庁へ戻る車へと、その身を滑り込ませたのだろう。
ラヴェータ > 「傲慢であらねばならない、か
随分と歪な事を言うじゃないか。神代理央」
その瞳には鉄火の支配者は映っていない。
その瞳に映されるのは神代理央であり、決して傲慢であり続けなければならない鉄火の支配者などではない。
貴様はここから立ち去りたいのだろう?神代理央。
鉄火の支配者がそれを許さないとしても。貴様は立ち去りたいのだろう?
「そうか」
短く、淡々と。
存外早く監視の必要もなくなってしまったかもしれないと。
誰かは知らんが、この事態を引き起こした奴は『やってしまった』と。
神代理央から僅かに遠のいていた『鉄火の支配者』が
再びその距離を失った瞬間をただ
ただ見ていた。
黒い軍服を纏う白い狐が。
黒い何かに飲まれた金色の少年を見送る。
その背を見送りながら。
慌ただしさが出始めた現場でただただ、その瞳に感情を灯し続けた。
神代理央に対する、憐みを
傲慢であり続けなければならない彼への憐みを。
ご案内:「落第街大通り」からラヴェータさんが去りました。<補足:黒い軍服。白い狐耳、尾>
ご案内:「落第街大通り」から神代理央さんが去りました。<補足:制服に風紀委員の腕章/腰には45口径の拳銃/顔立ちだけは少女っぽい>