2020/07/15 のログ
ご案内:「禁書庫」に赤黒い人型さんが現れました。<補足:鈍色の手甲以外は赤黒い煙に包まれている人型の何か。>
赤黒い人型 > 禁書庫に潜り込み、本を読む人型の何か。
禁書や本の魔術事故で生まれた怪異はそれを襲おうとして、赤黒い煙の仲間となる。
本は読み終えている。内容も覚えている。
ただ、時を待っていた。
少女の声 > 『あぁ、本当にやる気なんだね』
聞こえてくる声は清らかで。ひたすら心配するように。
『成功すれば、君は何かを得るかもしれない。でも、身を滅ぼす可能性の方が圧倒的だよ』
ご案内:「禁書庫」にラヴェータさんが現れました。<補足:白い狐。>
赤黒い人型 > 「知るか」
聞こえてくる声は蹴っ飛ばす。
「俺は忘れ物をとりに里帰りするだけだし。
なんで、一番最初に使えたものが使えなくなったのか考えるべきだった。それだけだ」
少女の声 > 『……焦るなよ?時間はまだある』
彼の性格は知っている。今更止めても無駄なことも。
『そうだね。時が来るまで乱入者の相手でもすればいい』
それきり、声は聞こえなくなる。
ラヴェータ > 私は第一級監視対象ではあるが、特に行動を制限されているわけではない。
ただし、『問題事に関わるな』とは言われている。
そして私は影の中から直接外を確認する手段は持ち合わせていない。
「乱入者か、間違ってはいないが私に邪魔をするつもりはないぞ?」
禁書庫の薄暗い空気に合わない雪原のような白さの狐がその尻尾をわずかに揺らしながら本棚の影から現れる。
何か予定や理由があって此処に来た訳ではない。
一つ理由があるとすれば私は自由に行動するとでも言ったところか。
まあ、気まぐれだ。
ただ、その気まぐれがこの邂逅を演出した訳だが。
敵意はないが、受け身の警戒を人型に向ける狐が本棚の影にちょこんと座る。
「こんなところで何をしている?何やら物騒な雰囲気だが」
あたりの雰囲気や人型の禍々しい色を見渡しながら。
そう尋ねる。
赤黒い人型 > 「む」
誰か来たか。
「確かに見た目は物騒だよなこれ。手甲以外全身タイツみてーになってるし」
改めて自分の姿を見る。
うん。変人。異邦人街では受け入れられたけど。
「まぁあれだ。ここで暴れたり事件を起こす気はない。怪奇現象に用はあるがな」
ラヴェータ > 「私からすれば貴様自体が怪奇現象だがな。
中身は異常ではないと言いたげだが...果たして中身も人間か怪しいところだ」
とても人間には見えない。
近づいて眺めたい気はするし、もっと深入りしたい意欲には刈られるが。
問題事にあまり関わるべきではないと。
偶然この場に居合わせてしまったが為に立ち去ろうとは思わないが。
これ以上の関与は処置によって自主的に辞退してしまう。
訝しげな視線を人型に向けながら、淡々と。
あまり深く関与しない方がいいタイプかもしれない。
「貴様、何者だ?」
赤黒い人型 > 「うわ、今の俺じゃ否定できねー。
ちゃんと煙の中は人間だし服も着てるわ。
異能使ったコストだよこれは」
心底嫌そうな顔をする。
向こうにゃ全く見えないがな!
「何者かと言われたら、普通の学生として暮らす異邦人ってとこだな。
そういうお前は何者なんだ?人語を話す時点で普通じゃねぇが」
ラヴェータ > 「異能の代償でそのような姿になるとはな。
その中身が人間であるというのなら、一体どれ程の酷使をした?」
警戒を強めた様な調子で、だが実際はあまり警戒は変わらず。
実際は大して酷使しておらず、その煙とやらもそう重たい代償でもないのかもしれないが。
だが、その外見は少なくとも通常ではない。
何をしているのか興味はあるし。鎌かけというほどでもないが。
「学生がその様な姿をしていないことぐらいは知っている。
私はラヴェータ。貴様と同じ、と言っても世界は違うだろうが異邦人だ」
狐のまま、その小さな手を胸に当てて。傲慢な調子を装って名乗る。
赤黒い人型 > 「自分の世界を救おうとするくらいには」
嘘は言っていないし、過去にゃ実際そうだった。
何故今更になって、と聞かれれば口を紡ぐしかないから困る。
「時間が経てば治るさ。
俺は紅月 純。同じ異邦人として仲良くしようじゃねーの?
あ、この煙にゃ触れるなよ」
向こうの様子を特に気にしない。
そういうやつは沢山いたし今更なのだ。
ラヴェータ > 「別に構わんぞ
私はラヴェータ。ラヴェータ=ワーフェンダー=クリークラークだ」
相手が名乗るのであればこちらも名乗るのが道理という物だ。
仲良くしよう、という言葉には傲慢な態度で返す。
「何、言われるまでもない。
そんな自己主張の激しい物に誰が触れるか」
あんな怪しい物に自ら触れるのは、好奇心旺盛だからではなく、馬鹿だからである。
どうなるのか検討もつかない。
やれやれ、と言った調子で。
「にしても...世界を救おうとする、か。
随分と壮大な願望だな。」
それほどの力をどこから捻り出したのやら。
見るからに危険なこいつは、一体どれ程の力を持っているのか、興味が湧く。
だが、近づかず。
その願望は身の丈にあっているか?と問いかける。
赤黒い人型 > 「賢明だな」
中には近づこうとする危険なヤツとかいる。拒否した。
影響のないヤツは触れてもいい。
「そんな壮大か?自分ん家の前を荒らすチンピラ共を殴り、金稼ぎのために怪異を殴り、……ちょっと人助けをしたり。
自分のエゴで自分の理想を作るだけの、
"不良"でしかねぇよ」
一つ一つ、指を折り曲げて数えて、小せえだろ?とそちらに手を向けてみる。
ラヴェータ > 「ハッ、それが普通な物ではないか?貴様の言う『賢明』ではない連中が目立って愚かなだけだ」
この世界には『君子危うきに近寄らず』と言う言葉があるらしい。
ついでに言うならば一般知識でもあるらしい。
それすら知らぬ連中を小馬鹿にする様鼻で笑うが、如何せん見た目は狐。
迫力はない。
その連中を見下す様な様子だが同時に『虎穴に入らずんば虎子を得ず』と言う言葉も知っている。
一概に見下していると言う訳ではない。
「ほう、貴様は正義の味方ではないのか。」
面白い、と目を細めて。
こいつも正義のみかたで、世界を守るんだ、だとか言い出すのかと思えば。
面白い。
「貴様が自らを『不良』と称するのであれば、私は貴様を『いい不良』と称そう。
何、頭に二文字ついただけだ」
何ら変わるまい、と。
エゴがそのまま周囲を救う。
しない善よりする偽善。
良い奴ではないか。
赤黒い人型 > 「そうだよな……逃げろって言って逃げないヤツが被害にあって突っかかってきても知らんがなって言うしかねぇしな」
すげー今更感。
それを狐に言われる奴らよ。
「正義と悪。その言葉を使うのは支配と頭減らしという大義名分を掲げてるヤツだけだろ。
必死に生きたいヤツは自分をどう生かすかしか考えねえ。
野生動物の生態に正義と悪が存在するか?」
ハッ、と笑い飛ばす。
「『いい不良』、ねぇ。
俺は欲しいもん手に入れるまで汚い手でも使うってだけさ。そのうち悪く不良にもなるだろ。
だから、見た目しかデメリット無いとはいえ、足掻いてこんなザマだ」
俺はピエロだと言うように手を広げて。
「でも、諦める気はなくてな。お前にはそういうのあるか?」
こうやって聞かれれば、こちらも興味を持つというもの。
ラヴェータ > 「まあ愚か者なんぞこちらが何もせずとも無限に湧いてくる。私や貴様の様な者はただ受け流せれば良い」
構ってやる義理はないのだ。こちらさえ被害を受けなければ。
当然のことであり、今更語ることでもないが、あくまでも話題として提供する。
「何、わかりやすい指標として用いただけだ。
例えば私なら悪に分類されるだろうが私は別に悪い事はしないぞ?
現に今貴様に近づかないのも悪い事が出来ないからだ」
悪いからどう、こうと言った物は本来ない。
そもそも善悪などと言う言葉がまず理解不能で存在意義がない。
正義も悪も、自分で決める物だ。
「私は...そうだな。
あった、と言っておこうか」
この世界でも戦争をしようとしていた私は。
この島のルールを破ってまであの様な暴挙に出た。
それは、目の前の学生が赤黒い人型となっているのと同じなのではないか。
ただ、その代償を食ったのが自分ではないと言うだけで。
「貴様がそれを自覚しているなら、おそらく誰も困らんだろうな。精々その『欲しいもの』を手に入れる為にその身をさらに染めればいいさ」
ふん、と鼻で笑う。
しかし、馬鹿にしている訳ではない。
その言葉に込められているのは羨望であり、応援であり、私では届けなかった願望を貴様は叶えてくれと言ったエゴであり。
赤黒い人型 > 「そうだな」
邪魔な火の粉だけ払えばいい。
「悪いことができないって言い方もなんかあれだな。
行動に制限があるみてーな」
魔封じの腕輪とかそういうのが元の世界にゃ存在してたし、そういうものだろうか。
「あった……な。詳しくは聞かん。
俺が駄目になったら怪異扱いされてるだろう。そんときは二の舞になったと笑うか介錯してくれや。あ、でもまだ死にたくねぇな」
色々含みを持って笑う狐につられて笑う。
言葉では茶化しているが、俺の心はもう決まっていて。
ラヴェータ > 「まあそんなところだ。これでも一応監視されている身だからな」
まあ監視できていればこんなところに狐が座っているなんて事はあり得なかっただろうが。
すっかり警戒は解けてその口調は滑らかで。
監視されている、と言う割には特段気にしている様子もない。
まあ実際自分から監視されている訳だから。
「今の私に怪異になった貴様を介錯するほどの力があるか甚だ疑問だがな。
人間に戻す術ともなれば昔の私でも持ち合わせておらん」
だから、駄目になるな、失敗は許されない、と。
さて、言葉とは違いこの人型はもうどうするか決めている様に感じる。
なれば、あとは見守ろうか。
赤黒い人型 > 「さらっと言ってるがお前……あぁいやそうだったな」
自分で悪い奴って言ってたな。
まじで何をしたのやら。
俺みたいなことをして失敗したのかね。
「そいつは残念。なら笑って見守ってくれや……。
――――来たか」
読んでいた本を棚に戻し、正面に両腕を構える。
周囲には普段通りといえば普段通りの魔力。
それが少し渦巻いてるように感じるだろうか。
「これを見て、お前が何を思おうが、俺はやりてーことをやるだけだ。
つっても、忘れ物を取りに行こうとしてるだけだが」
全身だけでなく手甲からも赤黒い霧を吹き、魔力の渦に混ぜていくように。
「時空魔術、なんだかんだで俺のコレと相性がよかったみたいでな。
いつぞやは偶然の産物だが、全力を出せば、
――――繋ゲ。『天ノ川』」
渦巻いく魔力と赤黒い煙の中心には、"空間を繋ぐ穴"が。
「コンナモンヨ。俺ノ異能ノ、一番基礎ノ基礎が、げーじ消費技トハ思ワナイヨナ」
煙の勢いを失いつつ、ふらふらと穴に近づく。
ラヴェータ > 「...凄まじい力だな。忘れ物を取りに行くとか...そう言うレベルではないだろう、これは」
時空をゆがめるほど力を持つ異能。たったそれだけでも十分称賛に値すると言うのに。
それを忘れ物を取りに行くだけで使うとは。何とも度し難い。
驚きのあまり普段の傲慢さや詰まることの少ない口調が途切れ途切れになる。
穴と、それを取り巻く風景はそれほどに不思議なもので。
「...貴様、口調がおかしいぞ。本当に怪異化してないだろうな?」
ゲージが何のことを指しているかどうかも気になるところだが。
それよりも片言と言える口調で話す人型に問いかける。
無事か、と。
別に行くのを止めたりはしない。
だが、無事に帰ってくるのか。それだけは気がかりだ。
赤黒い人型 > 「俺ノ異能、『天ノ川』ハ世界ヲ行キ来スル、ダケノ、モノデナ」
心配はいらん、と手をひらひらさせる。
「意識ガ残ッテイルカラ、マダ戻ッテコレルゾ。
コレクライ、ナラ、何度モアッタ」
穴の中に入れるよう、準備運動しながらそちらを向き。
「マア、アレダ。転移荒野ニ落チルヨウ調整スレバ、ナントカナル」
気になるなら探しに来い、と茶化す。
そして、穴の中に飛び込んだ。
ラヴェータ > 「余計な心配をかけおってからに」
らしくもなく、心配する狐。
普段から傲慢な態度をとるが故に、その心配は表にあまり現れないものではあったが。
「ふん、誰が入るか。そんな愚かな事はしない」
言ってこいと、素直に言えない狐。
愚かな事はしない、と言いながら虎穴へと飛び込む人型を見送る。
「精々忘れ物とやらをとって戻ってくる事だな。貴様が怪異になったら意地でも仕留めてやろう」
虎穴へと飛び込める勇者が消えた虎穴を眺める。
私にはここに飛び込む度胸はないな、と。
「さて、私もそろそろ撤収するか。見つかっては敵わん」
気まぐれという物は時折、大きな楽しみを運んでくる。
逆も然りではあるが...
今夜は、当たりを引いた様だ。
満足げに微笑む狐が影へと沈んでいきー
その場に残されたのは魔力の残滓と、薄れていく赤い霧
やがてそれも消えるだろうが...
ご案内:「禁書庫」からラヴェータさんが去りました。<補足:白い狐。>
ご案内:「禁書庫」から赤黒い人型さんが去りました。<補足:鈍色の手甲以外は赤黒い煙に包まれている人型の何か。>