2020/07/20 のログ
ご案内:「異邦人街」に羽月 柊さんが現れました。<補足:後入歓迎:【はづき しゅう】深紫の長髪に桃眼の男/31歳179cm。右片耳に金のピアスと手に様々な装飾品。くたびれた白衣。小さな白い竜を2匹連れている。>
羽月 柊 >
梅雨もすっかり終わり、夏本番と言った空気である。
夕暮れでも虫の聲は賑やかな合唱を続けている。
「…残りは明日か。」
柊は外回りの帰りであった。
社会人に夏休みがあるはずもなく、今日もあくせくと働いていた。
とはいえ小竜たちに頼り、冷気を身にまとう分いくらか夏の厳しさは軽減されてはいるが…。
異邦人街でも、時計が確認できる場所はいくつかある。
時間が少々狂っている場所もなくなはないだろうが、
異邦人向けの食料小売店、その壁に埋め込まれたモニター端で表示された時間を確認する。
一旦休憩してから帰ろうと、小売店の近くに備え付けてあるベンチに座り、
傍らの小竜たちを肩に留まらせる。
鞄の中身を確認し不足が無いことを確かめた。
ぼんやりと行き交うヒトやヒトでないモノを眺める。
ご案内:「異邦人街」にシュルヴェステルさんが現れました。<補足:人間初心者の異邦人。人型。黒いキャップにパーカーのフードを被っている。学生服。>
シュルヴェステル >
ベンチに座る羽月の前で、すれ違いざまに大男と青年の肩がぶつかる。
大男のほうは恐らく竜種と人類種の混血であろうか。
リザードマンといった風体の2メートルを超える男と、それよりは背の低い青年。
夏真っ盛りだというのに、パーカーのフードまで被って、その下にはキャップまで。
青年が、僅かによろめいた。
「――ッ、」
よろめいた青年の手元にあった、蓋の閉まっていないペットボトル。
それが、ふうわりと宙を舞って。
ほんの一瞬の出来事が、どうしてだかゆっくりに感じられた。
走馬灯などではないだろうが、それが羽月の頭の上へと手の中から跳ねて。
「……!」
青年の赤い瞳が、ペットボトルを追いかける。
手を伸ばすも、指先で僅かにペットボトルを弾くだけ。
羽月 柊 >
熱気を退けても、夏場の仕事終わりは気怠い。
意識は今日の晩御飯の内容等へと旅立っていた。
男は目の前を見ているようで、見えていなかった。
だからか、青年の赤眼が、慌てた手が伸びる瞬間、ようやく我に返った。
「……ッ!」
ペットボトルの中身がなんであれ、指先で弾くそれを、
空中に舞う液体を、男が完全に回避することなど不可能だろう。
小竜たちは咄嗟に飛び立ったことで回避したらしいが……。
こんな夏の日だ、被った液体はさぞ頭を冷やすことだろうか。
その冷えた頭と共に溜息を吐き、桃眼が見上げる。
大男の方にも、青年の方にも臆することなく。
青年はともかく、竜混じりの大男は自分の専門に近い。
なんだったら言葉も通じる相手故に。
シュルヴェステル >
幸い。ペットボトルの中身はただのミネラルウォーターだ。
連なった幾つもの不運に対して、たった唯一の幸運がそれだった。
ぶつかった竜人種は、羽月も青年もどちらにも気にも止めない。
ただ、道を通るときに自分の前に立っていたから程度のものだろうか。
桃色の瞳に一瞥だけ寄越して、大股で雑踏にまた紛れる。
「……すまなかった。怪我等は、ないだろうか」
対照的に頭を下げたのは、ペットボトルの持ち主の青年だった。
拭くものも持ち合わせてはいないようで、ただ頭を下げるほかない。
羽月よりも10センチほど上で、赤色の視線が不安そうに揺れる。
「何か損害があったなら、補う術を教えては、もらえないだろうか」
水を被るという事象一つでも、この街では一体何が起こるかわからない。
猫人種であれば、心底不愉快な思いをしたかもしれない。
それ以外であっても、水を被るなど愉快な思いをする相手は多くはないだろう。
羽月 柊 >
男の傍らの小竜たちが去っていく竜人種にキュァーと鳴いていたが、
大男はそれすらもどこ吹く風で去って行ってしまった。
それを見送ると濡れた男は息を吐く。
つい自分が専門の事柄の方を注視してしまったが、
青年の方が自分に頭を下げて来たのに気付いた。
「…あぁ、いや、別にどうということはない。」
淡々と男はそう告げる。
怒っているのか、そうでないのかは声色からは判別がつけ難いだろう。
足元に転がったペットボトルに手を伸ばし、拾い上げ、
中身がミネラルウォーターだということを確認しつつ立ち上がる。
ぽたり、と、若干大人しくなったウェーブの紫髪から雫が落ちた。
「君もわざと引っ掛けた訳でもあるまい。
幸い、俺も火に関係のあるモノや水を嫌う種でも無いからな。
白衣に色がついたという事もないし……。」
そう話しながら、手にもったペットボトルを青年に渡す。
「強いて言うなら、次からはキチンと蓋を閉めて持ち歩くことだな。」
シュルヴェステル >
「……ああ。落として見当たらなくなってしまった。
一度蓋を失くしたら、一気に飲み切ることをこれからは検討する」
もう一度だけ頭を下げてから、差し出されたペットボトルを受け取った。
そして、付け足すように「拭くものも持ち歩く」と一言。
羽月の肩に止まっている竜種二匹をちらと見やってから。
おずおずと、大変言いにくそうに口を開く。
「それは」
目線は小竜二匹へと向けられたまま。
短い鳴き声に少しばかり興味を示したようで、
自分が相手をずぶ濡れにしたことすらも頭から抜けている。おもむろに口を開く。
「……一体、」
何だ? と。
羽月 柊 >
背が高く、シュルヴェステルがオークというなら筋肉も多少あるだろうか。
そうでなくても身長差で威圧感はありそうなモノなのに、
不安げに彷徨う視線や、弁解の言葉に飲み込まれて姿を隠す。
「…そうだな、それが良い。
無用な争いも避けられるだろう。」
額に張り付く髪を掌でぐいと拭いながら他所へやる。
まぁこの気候だ、少しすれば乾く。
纏う冷気を一度切るのに指を鳴らそうとしたが、
その前に飛んできた疑問に首を傾げた。
彼は竜を知らぬのだろうか。
もしくは、鱗の無い竜を見たことが無いのか。
「ああ、この子らか? 俺の護衛だが…先ほど去って行った輩のような竜の一種だ。」
小竜たちは嫌々男に付き従っているという素振りは無い。
とはいえ、男の手により小さくされている事を知れば、怒るだろうか。
シュルヴェステル >
「それは」
少しばかり躊躇い混じりに息を吐いて。
聞いていいのか、聞くべきでないのかの逡巡が挟まり。
「……言葉は、通わせることができるのか?
ああ、いや、そんなにも小さな竜種がいるのかと、疑問に。
……先の男のように、竜種の血が混じっているだろう相手は、常に威を持つゆえ、」
あなたの連れている竜種が小型であることと、共生しているように見えたから。
どういった理由で「それ」が叶っているのか、と。
意を決したように、素直に二匹の小竜を見てから口にした。
「貴殿は魔術師と見受ける。
……言葉を通わせるために、共生できるほどに彼らとの、意思を疎通をするのに。
どのくらい、時間が入り用であったのだろうか」
空っぽのペットボトルを片手に、訝しむような視線で彼を見て。
何を言っているのか少しもわからない小竜の鳴き声に、肩を少しだけ落とした。
羽月 柊 >
小竜たちはシュルヴェステルの言葉を聞くと小さな目をぱちくりとし、
キューキューと男に鳴いている。やはり青年に意味は理解できない。
「ん、あぁ、そうだな。
俺の場合は言葉が通じている。竜というのは少なからず共通した言語があるからな。
先達の竜語の知識を用いて自動的な翻訳魔法で会話している。」
それはシュルヴェステルにかけられた、言語翻訳魔術と基礎的な部分では同じはずだ。
パチンと指を弾くと、男が纏っていた冷気が消え、
夕暮れとはいえ強い夏の日差しが濡れた身体を乾かしてくれることだろう。
立ち話もなんだし座らないか、と、
濡れているベンチの隣にあるベンチを指差しながら。
「語るには少し長くなるかもしれないな。
専門的な話は抜きにするが、彼らが生まれた時から俺は世話をしていてね。
親のようなモノだから懐いてくれている。今年で8年ほどか。
小さいのは、俺が意図的に魔術や成長阻害で小さくした。
本来はもっと大きくなる。」
至って淡々と告げる。
彼らにとっては当たり前。シュルヴェステルにとっては異様に聞こえることだろう。
シュルヴェステル >
「……教示に礼を」
軽く頭を下げた。
勧められるがままに、隣のベンチへと腰掛ける。
猫背気味に身体を丸めて、膝の上に肘を置いてから羽月の顔を見る。
どうやら青年の癖らしい。自分の身長を隠す意味合いのあるそれ。
「……ああ、自動的な。
心得ている。それは、便利で、…………」
そこから先は青年は黙り込んだ。
確かに便利ではあるが、と。恨み言ばかりが口に出そうになり、飲み込む。
一息、二息を大きく吸い込んでから、語られる言葉に相槌を打ちながら。
「親のようなもの、ということは、彼らには親がいないのか。
……若しくは、《門》より至った異邦人であるのだろうか。八年。……長い時間だ」
当たり前のように告げられた言葉に。
意図的に成長を阻害させていること。魔術をかけていること。
それに、青年は黙り込んだ。羽月の顔は見られなかった。
背中に冷ややかな汗が流れたような気さえする。平然と。昨日の食事を答えるように。
「……それは、何故に」
羽月 柊 >
「この子らは親無しだ。」
対する男は至って平然として、青年の様子を観察していた。
どんな所から仕事になるかも分からない。
今日の分の仕事は終わってはいるが、
護衛竜たちへの質問は余程急いでいなければ受けていた。
時折見え隠れする稚拙さというのだろうか、
そういったモノに、己の"息子"を思い出しながら、話は続く。
「……? まぁ、便利ではあるな。
特に俺のような"向こう側"に関わる人間にはな。」
事情を知らない男の言葉はシュルヴェステルの心を抉るのかもしれない。
青年がこれまでに経て来た事、起こした事件、
男はそういったモノを良くは知らない。
男は、魔術学会側であり、現在は学園に通っている身ではない故に。
「それは俺が引き取ったからだ。この子ら以外にも多く、小さな竜を個人で養育している。
それらをを完全に成長させて管理出来る場が俺にはない。
だから俺の責任の元で、俺はこの子達に術をかけている。
確かに十分に成長出来ない不利な点はいくつもあるが、
親無しで死んだり、幼くして魔法素材にされるよりはマシだろう。」
だがこれが男の論だった。
男の桃眼は視線の泳ぐ青年を見つめている。――恐ろしく見えるのかもしれない、それでも。
シュルヴェステル > それは。……愛玩動物にしているようなものではないか、と。
青年はそう思った。そう思ってしまった。そう思わざるを得なかった。
「親のない可哀想な生き物」を守るためにそうしていると言われれば。
竜種としての尊厳を――自分には彼らがどう思っているかは知れないが――
奪っているようなものではないか、と、青年の中に疑念が生まれてしまった。
だから。
「何故に、それらを拾い上げた?
……子供であったとて、それが成熟すれば何をするかもわからない。
異界のものを拾い上げることは、おそろしくないのか。
……『今』はそうなっているだけかもしれない。『先』にどうなるかわからない」
不安げに瞳が揺れた。
桃色の鋭い視線に臆しているわけではなく。
羽月という研究者の選択に対して、おそろしいと感じたが故に。
だから、本当に言いたかった言葉は飲み込んだ。
だから、二番目に聞きたかったことを聞いた。
「……人類種と見受けるが。自らの死を、おそれはしないのか」
言葉が通じるから平気なのかもしれない。
それでも、言葉以上に本能というものは制御しきれないだろうと。
「知っているつもりになっている」だけで、「傍らの竜種が何もしない」確証はないだろうと。
そんなニュアンスを込めた、不躾な問いだった。
羽月 柊 >
――実際そうだ。
愛玩動物として他人に売り渡し、世話をしている面も柊にはある。
尊厳を奪っている。そうだ。動物愛護や保護と言われるモノは大概がそうだ。
世話をしていたワニに噛まれた人間などごまんと居る。
生まれた時から育てた熊に喰われた人間も山ほど居る。
「…君が、人間ではないなら分からないかもしれないな。
確かに俺は人間だ。こんな見目だがな。
だからこそだが、これは人間種たる利己であり、俺のエゴだ。
《大変容》が起きる以前から、人間はそうして他の種を保存してきた。」
元々は生物の頂点だった存在。その傲慢さ。
だが、人間はそうして他の種と生きて来た。
《大変容》が起きた後、数を減らした今でさえ、
人間は多くの異邦人や異種族の中、一つの種として確立している。
「恐ろしい、か。どうだろうな。俺はそれ以前に"向こう側"の世界に魅せられてしまった。
こちらの世界では御伽噺や絵空事だった場所に、子供の頃から憧れていた。」
肩の小竜の一匹を掌におさめ、ふわふわした尾を撫でる。
「死を恐れるならばこんなことはしていない。ある程度の対処方法も設けてある。
まぁ俺が死ねば子らには一応アテを作ってあるが……分からん、
もしかしたら、俺を殺したとして"処分"されてしまう可能性もあるが…。」
「だが」
「恐ろしいからと何もしないよりは、マシだ。」
シュルヴェステル >
ああ。彼は、……自分とは、相容れないのだろう。
「自然」であることを求める自分とは、絶対に。
幾ばくかの衝突を経て、理解できない相手がいるということはわかっている。
それときっと、今回も同じケースなのだろう。
だからか、自然と自分の中で昂ぶった熱が冷えていくのを感じる。
夏だというのに。彼の指先一つでそうなったのかもしれないが。
「そうか。……ありがとう」
恐ろしいからと何もしないより、何かするほうがいいに決まっている。
それでも、だとしても。自分が取れているといっている責任は。
シュルヴェステルには取れていると思わなかった。思えなかった。
「貴殿が魅せられていたとして、」
少しの逡巡の気配。首をゆるゆると左右に振ってから。
「他の誰かは、それをおそろしいと思うかもしれない。
……ある、地球人の《仲間》がいる。其奴は、異邦を、異能を、超常を恐れている。
それらを連れ歩くことで、」
ああ、違う。
こんなことが言いたいわけではない。
違う。
「……貴殿が恐れられることになれば。
異邦の竜種が、貴殿の存在を恐れ、怯えることになっても。
この世界を、嫌うことになったとしても。……貴殿は、その利己を、……貫く、つもりか」
自分もそうされてしまったらどうしようと。
この世界では竜には権利を認められていないのかと、愛玩動物とされるのかと。
そういう、「誰か」のことをどのように思っているのか、と。不安そうに問うた。
羽月 柊 >
真逆の道を征くモノ。
柊は零れ落ちる命を否として手を伸ばす側だ。それが多少歪になってでも。
シュルヴェステルは恐らくそうして落ちる命を"それが自然"だと考える側ではないのだろうか。
「そういうことも往々にしてあるのだろう。」
世界が全て自分の上手く行くようには、出来ていない。
そんな話は、自分の箱庭の世界でのみしか作れない。
一人でもそこに他者がいれば、それは成り立たない。
「相手がそうして、完全に"対話を拒否する"のなら、こちら側に手立ては無い。
人間という生物は対話し、触れ合うことで和を作る生物だからだ。
それをせずして互いにとって正しいと思うことをしているならば、
衝突は必然で、俺が恐れられてしまうのも仕方の無いことなのだろう。」
淡々と答えを積み重ねるが、ふと口を閉じる、そして。
「…… 一つ俺も問いたいのだが。」
それは、シュルヴェステルへの問いか、それとも。
「仮にそうやって世界を嫌うモノが現れたとして、
俺が今までやって来たことの全てを捨てねばならないのか?」
自分への問いか。
金色のピアスが、夕日に照らされて揺れる。
シュルヴェステル >
「よきように」
シュルヴェステル >
言葉はたった一言。短く。
本来、シュルヴェステルは言葉を必要とはしない。
剣を抜き、道が違えてしまうのであればそのままに斬り捨てる。
同時に、自分が「そうされる」覚悟は常にある。だからこそ、答えは単純なものだった。
「貴殿が『それでいい』と。
あらゆる言葉を踏みつけて、自らの是を通すのであらば。
……それは、いくさと違いない。ただ、自らの是よりも大切なものがあったなら。
それを選ぶのは、貴殿の自由だ。よきように、するといい。
ただ、私は……貴殿に、少しだけわかってほしかったのかも、しれない。失礼をした」
頭を下げて。今までのどれよりも長い時間、頭を下げ続けて。
ようやく顔を上げたと思えば、先の言葉の何倍もの言葉が紡がれる。
「……非礼を詫びる。
不躾なことを重ねていることに謝罪をする。だが、私は。
貴殿の行いは、ひどく矛盾しているように思う。すべての竜種にそうしているのではなく、
貴殿の寵愛を受けることができる者のみに手を伸ばすというのならば、」
まっすぐに。揺れる夕日に照らされながら、白髪の間から視線が向き。
キャップを少しだけ持ち上げてから、憂慮の表情を羽月に向けながら。杞憂かもしれないが、と。
「何れ、選ばれなかった何者かに殺されるやもしれない。
……異邦の住人は。言葉があったとて、わかりあえるとは限らない。
そうなれば、乱暴な手段であったとしても、身を守るすべがないのなら。
異邦の住民は、それを、選ぶしかないかもしれない」
いつかの自分のように。言葉を失い、伝えるためにそうした身として。
目の前の彼は、「そう」されるかもしれない、と思った。
直感めいたものだ。根拠なんてない。
それでも、彼の語った憧れと夢物語は。ひどく、残酷な話に聞こえてしまったから。
ベンチを立ってから、「濡らしてしまってすまなかった」ともう一度だけ謝罪して。
シュルヴェステルは、振り返ることはしなかった。
ご案内:「異邦人街」からシュルヴェステルさんが去りました。<補足:人間初心者の異邦人。人型。黒いキャップにパーカーのフードを被っている。学生服。>
羽月 柊 >
去っていく相手に伸ばすように掲げた手を、自分の前で僅かに握る。
「……全てに手を伸ばせたなら、全てを余さず拾えたなら、
俺は人間ではなくて神様じゃあないか。」
矛盾しているのは自覚している。
故に、青年の言葉もまた真実なのであろうと分かる。
だから、人間に言葉は必要だ。
シュルヴェステルの忌み嫌う言葉が。
「気にするなって? …そうもいかないさ。
あそこまで息子と同じように声無き悲鳴を聞かされると…ついな。」
随分と乾いた紫髪に手櫛を通し、掻き上げる。
傍らでキューキューと鳴く小竜たちに返事をしながら桃眼を細め
青年が消えていった先を眺めていた。
――また逢うこともあるかもしれない。
「…まぁ、俺は俺なりに"対話"をするだけだ。人間、だからな。」
立ち上がる。
別の道へ、今は歩いていく。
ご案内:「異邦人街」から羽月 柊さんが去りました。<補足:後入歓迎:【はづき しゅう】深紫の長髪に桃眼の男/31歳179cm。右片耳に金のピアスと手に様々な装飾品。くたびれた白衣。小さな白い竜を2匹連れている。>