2015/06/03 - 23:47~00:40 のログ
ご案内:「常世財団本部」に川添 孝一さんが現れました。<補足:眼鏡に白衣をかけて研究者のフリをしている。>
川添 孝一 > (離島までは泳いで来た)
(体力があれば誰でもできることだ、ある程度の異能者であれば夜の海程度恐れるものでもない)
(常世財団本部に着くと、物陰に隠れて白衣に着替えた)
……チッ、全く似合わねぇ。(舌打ちをすると伊達眼鏡をかけた)
とはいっても、この姿を人に見られること自体ねーだろうがな。
(あくまで変装は保険、本命はルナティック・トロウルの汎用性)
(川添孝一は、自分が歪んだ原因である『常世学園の真実』の裏付けを得るためにここに忍び込む)
川添 孝一 > (財団を取り囲む高い壁に体を折りたたんで侵入できそうな穴はない)
(それは想定済みだ、爪を鋭利に尖らせ、壁を難なく登る)
(サーチライトを潜り抜けると敷地内に入り込んだ)
(ここから先は何が起きても、いや、違う)
(捕まった時に何をされても文句の言えない場所だ)
川添 孝一 > (番犬でも放たれているかと思ったが、そうでもないようだ)
(心配の一つが消えた、人間に忠実な動物に痛い目を合わせるのはいくら不良でも気が引ける)
(灯りのない、暗い窓を一つ確認する)
(その窓の隙間に体を折りたたみ、あるいは糸状になりながら入り込んだ)
(狂悪鬼の能力は戦闘特化ではない)
(忍び込むのにも十分に使える)
川添 孝一 > (足音を立てずに廊下を走りながら曲がり角で壁に背をつける)
(警備員が二人)
(しかし、退屈そうだ――――いかにも気が抜けている)
(壁を登って天井へ、鋭い爪を立てて天井を這うように進みながらやり過ごした)
(警備員をやり過ごした後に廊下に着地、そして再び音もなく走り出す)
(全ては真実のために)
川添 孝一 > (しばらく走ると、研究室がある)
(中には暇そうにコーヒーを飲んでいる研究者が一人)
(やるしかない―――前もって指紋は消してあるものの、覚悟を決める)
こんばんは、お疲れ様です。(研究員に声をかける)
「ああ、交代か? いや、眠くて眠くて……誰だおま…!」
(振り返った研究員の首を絞める)
眠いなら寝てろ。
(しばらく首を絞めると、研究員が気絶した)
殺してねーよな……全く、気苦労が多いな、スパイってのも。
川添 孝一 > (研究員が見ていた情報端末を見る)
(まだ認証は生きている、情報閲覧は可能だ)
ええと……秘匿情報はどれだ…?
(しばらくカチャカチャと端末を弄った)
川添 孝一 > (それからしばらくして、モニターに目的の情報が映し出される)
……? ドラゴンのデータ、か……?
(龍種、それは完全なる個にして完成された生命のひとつ)
(怪異の中では特性は災害に近く、時折ゲートを通って人間界に来て大被害を及ぼす)
(完全生命体である龍を殺すことはできないが、何故か財団は龍が出てきたゲートに追い返す技術を持っている)
しかし、何でこんなものが異能と関連付けてデータにまとめられているんだ……?
川添 孝一 > まさか……龍害とは………(データを開いていく)
(それを統合した時に得られる情報、それは)
やっぱりだ。異能使いは餌だったのか……
(自分が知った『常世学園の真実の一端』、その裏付け)
(その時、部屋に何個か、丸い何かが転がり込んでくる)
………!!
(それは、映画でよく見るグレネードのように見えた)
川添 孝一 > (咄嗟に跳躍し、壁際まで退避する)
(瞬間、耳を劈く轟音と全てを埋め尽くす白い光が満ちた)
(フラッシュグレネード、侵入者を生け捕りにするための閃光手榴弾)
(効果が終わると同時に財団お抱えの部隊が突入してくる)
(ライフルを構えながら部屋の中をクリアリング―――細部調査している)
川添 孝一 > (一発でも銃弾を受けるわけにはいかない――血を調べられたら侵入者が自分であることが知られる)
(一度でも顔を見られるわけにはいかない―――恐らく、地球上に安寧の場所がなくなる)
(サーバーを繋いでいるコードの束が床の下へ伸びる僅かなスペースに体を折りたたんで入り込んだ)
「イエロー1、クリアー!」
「イエロー2、クリア!」
「侵入者はどこに逃げた! 隅々まで探せ!!」
(部隊の声を聞きながら狭い地下へ体を折りたたみながら入り込み、逃げた)
(まだ全容は掴めていないが、これ以上の長居はできない)
川添 孝一 > (その後、エアダクトを通って施設の外へ)
(既にサイレンが鳴り響き、サーチライトも慌しく動いている)
ケッ、明日の朝刊の一面か、それとももみ消されるかなこりゃ。
(爪を使って施設の外壁を素早く這い上がり、脱出して離島の隅まで走る)
(海に逃げ込めばこちらのものだ)
川添 孝一 > (常世学園のある島の方角へ走る)
(その時、背後から財団お抱えの部隊が迫ってきていた)
「そいつだ! 追え、逃がすな!!」
「撃て、撃て!!」
(銃弾が背後から乱射されている)
(だが、自分に弾丸は当たらない、そう信じて走った)
(崖まで辿り着くと、走ってきた勢いのまま海にダイブ)
(世界が、スローモーションになって見えた)
川添 孝一 > (衝撃を逃がすように姿勢を変えながら海中に落ちた)
(上からは銃弾が乱射されるが、海中深く潜ることで掻い潜る)
(海面から上を見上げるとノロマなヘリがようやく侵入者を探し始めたようだったが、もうどうでもよかった)
(自分は真実を知ってしまった)
(それは罪だろうか――――そうであったなら、どんな罰が下されるのだろうか)
(人は真実を求める)
(だが真実というやつほど人に残酷なものもないことを知っているだろうか?)
(激しい後悔の念を覚えながら、川添は再び夜の海を泳ぎ始めた)
(近くを通りがかった漁船が、財団本部で騒ぎがあったということを知った)
(それが翌々日、写真週刊誌のゴシップとして『常世財団本部に侵入者!?』という見出しで載った時)
(正直、俺は笑っちまったね)
ご案内:「常世財団本部」から川添 孝一さんが去りました。<補足:眼鏡に白衣をかけて研究者のフリをしている。>