2020/07/22 のログ
ご案内:「扶桑百貨店 ファッションエリア(4~6F)」に日月 輝さんが現れました。<補足:身長155/フリルとリボンにまみれた洋装と靴/目隠しをした少女[待ち合わせ]>
ご案内:「扶桑百貨店 ファッションエリア(4~6F)」にマルレーネさんが現れました。<補足:165cm/金髪碧眼修道服>
日月 輝 > 一口に可愛いと言っても色々ある。
可愛いとは、例えるなら丼ものの御飯部分。上に乗る具が付加価値。
ちなみにあたしはカツ丼とか好きだけど、それは秘密。カツ丼は可愛くないんですもの。
ともあれ、可愛いにも種類がある。厳然とある。
そして大事なのは"自分が可愛いと思えるかどうか"。
「……そろそろ約束の御時間だし、来てもいいと思うんだけど」
扶桑百貨店が有するファッションエリア。
それは前期試験という戦場から生き残り、補習を逃れた勝者行き交う夏色空間。
そのエレベーターホールにて腕を組み仁王立ちして時計を睨む。
携帯電話を持たない相手との待ち合わせって何かと不便よね。
だから学園内で声をかけたんだけど、マリーったらちゃんと来れるかしら。
マルレーネ > 夏は様々な人が島の外へと"帰って"いく。それだけならちょっと寂しいだけの話。
だが、島に残る人は残る人で、華やかにその夏を楽しむ、ということらしい。
海の家でのお仕事をお願いされ、どうやら自分もその、華やかな夏の端にいさせてもらえる運びとはなったのだが………。
「その恰好で夏の浜辺って、死ぬつもりかい?」
と雇い主から一言。 水着でも買っておいでと小遣いまで渡されてしまった。
ううん、ことここに至っては、購入せざるを得ない。
ただ、こちらの世界の水着とやらを全く理解していない異邦人である。
購入して、使用方法を間違えてしまってもいけない。
知り合いの中で、「美」に造詣が深い人は複数人いるが、「ファッション」となると………
「お、お待たせしました……っ!」
は、はっ、はっ、と荒い吐息でやってくる女性。
ファッションエリアにも堂々と濃紺ローブな修道服でやってくる。クソ目立つ。
日月 輝 > エレベーターから出てくる客の顔ぶれにマリーは居ない。
次のエレベーターにも居ない。よもや1Fに?いえいえまさか、あたしは6Fときちんと伝えた筈。
あたしはどうしたものか?と顎先に手をやり、さも考えているといった様子を示すのだけど、
その視界に結構綺麗な走法で駆けてくる濃紺の姿を見止めたらちょっとずっこけそうになる。
頑張って堪えた。
「うわっ……ちょっとどうしたのよあんた。……まさか階段で上がって来たの?」
吐息荒く肩で息をするマリーに二つの意味で呆れ顔。
一つは言葉の通りに階段で来たと思しきことに。
二つは彼女の恰好が毎度おなじみなことに。
「まあまあ、そう待ってないからいいけど。それよりさ、マリーって服、そういうのしかない訳?」
「ああ、いえ、咎めてる訳ではなくて。好きで着ているのかなって」
彼女は宗教系のアレソレだけれど、戒律で衣服を定められている訳じゃあないと予想する。
もし定められているなら、先日連れ回した時や、今回のお誘いだとかを固辞するでしょうし。
となるとそういった恰好がマリーの思う可愛いであって、もしや前回は余計なことをしたのでは?
そんな事を思う。
マルレーネ > 「あ、あはは、ちょっとエレベーターが混雑、してまして。
正直、もうちょっと早くつけるかと、思ったんですけど。」
はー、ふー、ふー、と吐息を繰り返しながら、へへへ、と恥ずかしそうに照れ笑い。
「……あー、服ですか? はい、これしか。
元の世界でも、10年以上これを新しくするような感じで。
好きで、というより、それが当たり前でしたからね………?」
首を傾げて、んぅう、っと唸る。
「しばらくしたら、広告塔ですからその恰好で仕事をしろ、と言われまして。
そのままなんとなく4年くらい過ごしていたら、なんかもう気にならなくなって……」
遠い目をした。どうやら命令らしい。かなしきさだめ。
日月 輝 > 答えながら大きく呼吸するマリーを見る。
ローブ状の衣服はベルトで留められておらず、彼女が深呼吸をすると胸部と相俟って面白いシルエットになる。
立ち姿も、横から見ると台形のシルエットだ。コルセットでも誂えたら良いんじゃないかと思うけれど、
それならそれで全体コーデが必要そう。彼女はドールのように鮮やかな金髪碧眼であるから、きっと何でも映えそうね。
「存外体育会ね……ええ、御召し物。これしか……ってまさか一張羅!?」
「ああでも、それが当たり前だと……そうなるものかしら。へえー……」
じろじろとマスク越しにマリーを眺める。言われてみると、繕い痕が見えるような、見えないような。
どちらにせよ、何処となく着古した感があるのは否めない。あたしはよし、と手を合わせるように叩いた。
「ま、そうね。杞憂ならそれでよかったわ!という訳で早速行きましょう。今回は夏物よね?」
「夏物っていうか水着だけど、まあ余裕があったら他も見るってことで、さて何処がいいかな……」
それからマリーの腕をひったくっていざ進めや夏色空間!
彼方此方の店舗から夏を語る惹句が乱れ飛び、店員さんの呼び声も祭囃子のように賑やかしい。
けれども本日のメイン目的はマリーにあるのだから、一先ずはブランド物とは距離を取る。
トレントットもティプシー・バッカスも今はナシ!向かうのは──
「やっぱりさ、こういうわっかりやすいのが先ずはいいんじゃない?」
前期試験お疲れ様サマーセール!と登りがあがったカジュアル系が売りのお店。その名もTOKOYO。
何処かでみたような造形の衣服だとか、様々な所の好いとこ取りをしたちょっとグレーな気がしなくもないお店。
お値段お手頃デザインそこそこ。意外と侮れないものだって取り扱う素敵店舗ってやつ。
マルレーネ > 「ちゃんと同じものが何着もありますからね!
広告塔ですから、ボロボロだとそれはそれで怒られるっていうか………」
また遠い目をした。この格好で海で泳ぐとかやらされたものです。死を感じた。
「こっちの世界でもありましたからね。
………他の恰好に興味があるか無いか、でいえばないわけではないんですが。」
頬をぽりぽり。 ええ、夏物です、と頷きつつ歩みを進める。
とんでもない声で「10%オフでーす!!!」と言われてビクッとしつつ、後ろをついて歩いて。
恰好的に視線はどうなったって集めるのだけれど、それについては気にならないらしく。
ちょっと変わった価値観をお持ちのシスター。
「……わかりやすい、ですか。」
一瞬、分かりやすいとは何か、と頭の中でぐるぐる回る。
ただ、彼女は学こそ無いがバカではない。
「……いろいろなものがたくさんあって、一度で様々なものが見ることができる、という?」
仮説を立てて質問。真面目だった。
日月 輝 > 「広告塔兼制服みたいな感じってなると、風紀委員みたいね……ああほら、そんな遠い目しないで」
「昔の話でしょ?今は楽しい話をしましょうよ。マリーがどんな格好に興味があるか。とかさ」
「……こないだの髪型とかはどう?あれ可愛かったけれど」
店員に髪型を可愛らしくされた時の話を持ち出し、店舗の前に到着したら取った腕を解放してあげる。
あとはいざ進めや店内。となろう所で予想外な言葉が飛んできて足がロボットのように止まっちゃう。
「んー……そうね。大体そういう感じ。ほら、この間あたしがあんたを連れて行ったのはさ、こういう奴のお店だし」
そのままくるりと振り向いてから、自らのスカートだとか衣服を示して御説明。
仰々しくうぉっほん、なんて空咳までつけてあげるわ。
「マリーは他所の世界から来たんだから、色々なものを見れた方がいいのかなって、それだけよ」
「特化した意匠の御召し物って文化とかそーゆーの次第じゃ理解出来なかったりするじゃない?」
「……あとまあぶっちゃけブランドものって高いし。好きで買うなら兎も角他人に勧めるはちょっと向かないかなって」
「勿論勧めた結果、好きになってくれると好事家としては嬉しいけどね」
以上説明終わり。なんて勿体ぶって言葉を結んで、マリーの手を結ぶように取る。
「ともあれ行きましょう。こっちの世界には"百聞は一見に如かず"なんて言葉もあるんだから」
「あ、意味はね。百回聞くより一度見た方が速いわ!みたいな感じ」
マルレーネ > 「興味……いえ、何でもやってみたいというか。
髪型はちょっとその、もう少し小さい年齢の頃だったらよかったかなぁ、とは思うんですが………」
あははは、と恥ずかしそうに頬を染めながら。
店内に入れば、周囲をぐるぐると見回す。
色とりどりの服装が我も我もと目に飛び込んできて、ちょっと視界がぐるぐるする。
「………ブランドですか。同じ品物でも有名な店だと割高とかそういうやつですね。
知ってますよ! ………それにしても、すごい量ですね。
今までのお店も、半分以上服を扱っておりましたし、こちらだと服はすぐに擦り切れてしまう素材だったりするんですか?」
現代の勉強にも余念が無かった。
流石にこそこそと質問しながら、ちょっと縮こまって後ろをついて歩く。
「いろいろですか………ひとまず。
ひとまず、例えばどんなものがよさそうとか、お任せしてみても構いませんか?
分からない人が100着見るより、知っている人が1着選んだほうが……よさそうですし?」
なんて、ウィンク一つ。
日月 輝 > 「勤勉ねえ。それならさぞかしテストの結果も──ってそーゆー言い方されると現役のあたしがちょっとムズ痒くなるわね……」
現役ツインテールとしては些か複雑な解答だわ。でも怒るってよりは苦笑い。
本当本当、怒ってないから。でもその餅のように赤くなった頬を抓んでも許されると思うので抓むわ。ぐに。
「そうそう。有名なデザイナーが作ってる奴とか……いいえ?物次第だけど基本的には頑丈よ」
「大変容以降、色々あって技術が進んだからね。でもほら、流行り廃りってあるから」
そんな事をしながら夏を彩る様々な衣類で満ちた所を歩く。雑然とした店内レイアウトがいっそ清々しい。
どれくらい雑多かと言うと和装コーナーに力士のマワシがあったり忍者めいた黒装束があったりするくらい。
あれ、誰が買うのかしら……?
「デザイン性とか今年はこれがイケてる!みたいな感じでメーカーもブランドもあの手この手って感じ」
「着道楽なんて言葉もあるくらいだし、マリーの世界にはそういう人、いなかった?」
そうこうしている内に水着類を取り使うコーナーへと辿り着く。種類も色も夜空に瞬く星の数のようなもの。
雑多な取り扱いを誇るだけあって、なんと衣類に留まらず魔術的光学処理水着なんてものまである。
曰く『光が貴方を徹底ガード!』とpopが躍っているのだけど、それって水着?と唇が尖っちゃう。
見なかった事にして、彼女の言葉通りに何か選んで──あ、良いこと思いついた。
「任せて頂戴。そうねえ、これなんてどうかしら……あ、更衣室はあっちね。内側のシールは剥がしたら駄目よ」
奥にある一畳半程の更衣室を指差しながらに渡すのは半ばジョークグッズの超キワドイ水着。
こんなもん着て泳いだら確実に色々すっぽ抜けるに違いない奴。構成8割が紐みたいな代物。
それを手渡し、棚に向き合いさてはてと真面目に何がいいかを考える。あとツッコミに対する切り替えしも考える。
マルレーネ > 「狙った科目はちゃんと取れましたが、いやまあ…………狙っていない科目はちょっと。」
視線をそらしながら、頬をぷにりとつままれて、あは、ははは、と笑う。
いひゃいれふ、と困った顔をしたまま、相手の話を聞いて………。
「………ああ………貴族の方とか、たくさん持っていらっしゃいましたね。
ほら、付き合いのある方が傭兵の方とか、旅人の方ばかりで。
そういう人って大体めちゃくちゃ頑丈なのを少ししか持っていないので。」
ファッション、と呼ばれるものに全く育成の余地が無かったのだろう。
あはは、と少しだけ苦笑をしながら、水着コーナー。
「………なぁ、っ、ぅ………」
差し出されたものに、一瞬びくりと身体を震わせる。
え、これ? そういう文化なの?
こういうものをたくさん着た人が浜辺に溢れかえる姿を想像して、ほわぁ……ってなる。
なった。
この文化を初めて怖いと感じた。
とはいえ、それが現実であれば、受け入れねばなるまい。
よろよろと更衣室に向かってカーテンに手をかけ。
日月 輝 > 無難に考えるなら水遊びにも水泳にも適した奴が良い。
多分露出が多いのは好まないでしょうから、ラッシュガードタイプとかが良いのかなと予想する。
……彼女、胸大きいから少し窮屈かもしれないけど、不慮の事故ですっぽ抜けるよりは余程良いと思うし。
色は慣れた色の濃紺がいいかしら?本当は華やかなライトブルー系。
あたしの見立てでは夢可愛い感じのフリル付きオフショルダーなビキニとか似合いそうなのだけど──
「……あれ?」
つらつらと考えていると予想していたツッコミが来ない。
顔を真っ赤にしたお顔が見れるのにと思って振り向くとマリーが居ない。
「…………………」
視線を更衣室に向ける。閉じたカーテンの前に彼女の履物が置かれているのが解った。
更衣室の前には様々な文化を持つ人向けに"更衣室に入る前に履物を御脱ぎください"云々との文字が書いてある。
ありがとう説明文。あたしは心の底から感謝して、けれども慌てず其方に向かう。
「マリーストーップ!それ違うから!」
そしてカーテンに頭を突っ込み制止をかける!
マルレーネ > 「ひゃぁぁあっ!?」
むしろこっちの方が驚いた。ローブ型の修道服を脱いだ状態で覗き込まれて、思わず一歩二歩下がろうとして下がれず、どん、っと後ろの壁にぶつかる。
修道服を脱いでしまえば、上は袖なしシャツに下はスパッツ。
更にその袖なしのシャツを脱いだ状態だったから、ブラとスパッツ。
腕に抱えるくらいのその胸を慌てて隠すようにしながら、目をぐるぐる回してパニック。
その腕には軽く包帯が巻かれたまま。
「な、なんなんですかなんですか。
え、もっと早く着るべきですか?」
修道服姿では分からないスタイルと白い素肌を晒しながら、慌てて目の前でブラを外そうとする。
この文化は厳しい。馴染めないかもしれない。
日月 輝 > 「間に合った……いやいや違うわ。違うから、もっと早くとかじゃないから」
「あと水着の試着は下着の上からだから」
傍から見たら更衣室に首だけ突っ込んだゴスロリの図。
誰かが見たらなんだこれって思うでしょうね。あたしが見てもそう思うくらいだもの。
だからちょっと靴を脱いで内側にお邪魔をし、一度大きく息を吐……く前にブラを外そうとするマリーを制止する。
「ちょっとした冗談のつもりだったんだけど、まさか真に受けるとは……」
「騙されやすそう過ぎてちょっと心配になって来たわ。ほんと、良くあの時路地裏であたしに声かけたものよね」
「こんなトンデモ水着着たらダメよ。こんな布面積がアレなの着たらちょっと動いただけで色々はみ出ちゃうわ」
ジョークグッズめいた水着を取り上げ、代わりにラッシュガードタイプの水着を渡してあげる。
濃紺無地の代物で上は長袖、下はスパッツタイプ。概ね無難~な感じの奴をね。
「いや本当吃驚したわ……と、腕、どうしたのそれ」
そんな折に腕の怪我らしき痕跡に気付く。
「あ~……そういえば修道院の修理だかやっているんだっけ。大方慣れない大工仕事で怪我でもしたんでしょ」
「綺麗な肌をしているのだからもっと大事にしないと駄目よ。咎めたら大変なんだから。特にこれから水着を着ようってのにさ」
「もし、そうねえ。なんだったら、高い所の修繕ならあたしが手伝ってあげてもいいわ。あたしなら落っこちても大丈夫だし?」
初めて会った時に言っていたことを思い出して笑う。
わざとらしく恩着せがましくしてみせて、大仰に肩だって竦めてみせるわ。
マルレーネ > 「そうだったんですね!? あ、危ない、いろいろ知らない文化が多いですね………」
二人して更衣室の中、あはは、と苦笑いしながら着る前に紐のようなそれをはい、と手渡して。
「……だ、だって、浜辺だとか海は知っていますけど、どのように遊泳されるかは初めての経験ですし………。」
「それに、流石の私でも、実際の浜辺でだーれも来てなかったら諦めて修道服着ますし。」
別に騙されやすい=やっちゃうじゃないですー、って不満げに唇を尖らせる。
はみでるとまで言われれば、頬を真っ赤にしてぷくーっと拗ねる。
「………ああ、腕ですか?
あはは、そんなところです。 なーに、私はこう見えてもそれなりに器用なんです。
……でも、そうですね。 困ったときには声をかけますね。」
自分でナイフで切りました、なんて言えるわけがない。
にっこり笑って、優しい目の前の少女に協力もお願いして。
水着を着て、胸がキツいです、と優しい目の前の少女に正直に言おう。
日月 輝 > 「流石に女友達にこんなの着せたらあたしの品性が疑われるってば」
「……でもまあ、マリーなら何でも似合いそうではあるけど。肌綺麗だし?金髪碧眼だし?」
紐みたいな奴を掲げるようにし、マリーと交互に視線が揺れる。案外別の意味で似合う?
そんなことを思った所で彼女の頬がお餅のようになって苦笑しちゃうわ。
きっとツインテールだって似合うような御面相だもの。稚気だって感じる屈託の無さだわ。
「マリーの世界だと泳ぐときの恰好ってあったの?あと、浜辺でその服装は止めた方がいいわよ……」
「まず倒れるでしょうし、まあ……変なのに目付けられないとも限らないし」
「あたしが一緒にいるならさ。そういうのはぶっ飛ばして上げられるけど、そうもいかないでしょ」
「それと器用な奴は路地裏で揉め事に首突っ込まないでしょうに」
大丈夫かなあ。なんて声に出しながらラッシュガードタイプの水着を着こむマリーを眺める。
普通の服のように着込む感じで、ファスナーを前で閉じて、と一応の助言なども交えて差し上げて
「…………気合で何とかならない?ちょっとほら、こういう感じで……」
胸がキツいと言われたことには根性論を説いてみる。成程実際キツそうでファスナーが閉じ切らない。
それならばとマリーの胸に手を伸ばし、ぎゅうと圧しながらファスナーを閉めんと試みるわ。
マルレーネ > そうですね、ちょっとだけ渡されたとき疑いました。とは流石に言わない。
空気が読めないわけでは無いシスター。
「あ、あはは、それは似合わないとは思いますけど。」
膨れていても、褒められれば照れる。
「恰好ですか? 一応似たようなものはありましたけど、素材はこういうのではなくて………普通の布?
………浜辺でもこれでしたね。何かの特訓みたいになりましたけど。
………ふふふ、そうですね。 そういう意味では不器用なのかもしれません。」
よいしょ、っと水着を着こんで、さてそれでは、とファスナーを閉めようとして閉まらない。
むむむ、っと唸りながら助けを求めれば。
「ひゃっ!?」
むぎゅう、っと胸を掴んで押し込まれながらファスナーをぐいっと閉められる。
ふにゅん、と指が食い込んで。
「……き、キツくないですか、これ………!!」
閉じた。閉じたがファスナーがみちみち言ってる。
日月 輝 > ファスナーが悲鳴を上げている気がする。
これ以上無理をすると壊れる気がする。
脅威のバストサイズに何処となくあたしの心も壊れ──いや壊れないけど、些かにアンニュイになる。
発育の良さは異世界譲りなのかしら?そんな事も思うけれど、思うだけに留めた。
今は水着を助けないといけない。壊したら弁償だもの。
「……無茶はやめとこっか。よし」
ゆっくりと閉じたファスナーを降ろし事無きを得る。
同時にもう少し頑丈なブラを着ければいいのに、とも思うけれど肌に合う合わないもあるし、難しい話題よね。
「ふーむ……でもそうなると、所謂ビキニタイプとかになるんでしょうけど、ボーイレッグな奴とかいいのかも」
「ちょっと待ってて頂戴な」
サイズの合わない水着と常識に合わない水着を手に一度更衣室からお暇をし、
棚から新たに持って来るのは鮮やかなイタリアンレッドの水着。
ブラに似たトップスとショートパンツ風のボトムの奴。勿論動いてもすっぽ抜けたりなんかしない布面積の奴よ。
「こんなのってどう?マリーならこういうのも似合うんじゃない?」
再度カーテンに顔と手を突っ込んで提示してみる。
今度は胸が窮屈じゃないという自信だってあるわ。だって今しがた触って大きさ大体確かめたし。
多分、きっと大丈夫。
マルレーネ > 「そ、そうですね。 壊しちゃったら大変ですし。
………ぼーいれっぐ……?」
何を言っているのだろう、と思う。 いや、ビキニはなんとなく分かる、分かるんだけど。
言葉についていけないお年寄りみたいなことになりながら、下着姿で更衣室で一人待つ。
これはこれで恥ずかしいな、なんて思いながら持ってきた赤い水着。
わあ、と思わず声をあげてしまいつつ。
つければつけたで、今度はピッタリのサイズ。
「…わあ、輝さん、ぴったりです!
どうですか?」
鮮やかな赤が金色の髪、白い肌と強いコントラスト。
腕を上下に動かしてもズレたりしないし、丈夫そう。
これなら泳ぐのも走るのも問題なさそう。
「………似合います?」
えへへ、ちょっと照れる。
日月 輝 > 肌身を晒す恰好を好まないだろうな。
なんて勝手に思っていたのは間違いだったと思わせる笑顔に口元が緩む。
同時にその笑顔の大本たる意匠を選んだ自らに対する手応えを感じた。
さっすがあたし!
「ふっふっふそうでしょう。あたしともなればマリーに似合う水着を見繕う事も容易い……」
日月 輝 > 「……ホントはちょっとフリルとかあってもいいと思うけど」
日月 輝 > 「ええとっても。お値段もそんなにしないし安心だわ」
小声で小さく零しながらに、何処か大型犬めいてはしゃぐマリーに頷く。
鮮やかな金色の髪と青い瞳に赤色は良く映えているわ。
「それと輝でいいってば。……ほら、同学年だけどマリーのが年上だしね」
「あたしはほら、あんたがそう呼べっていうから?そうしてるだけだし?」
面映ゆそうな様子に言葉をかけてカーテンを閉じる。照れ隠しと思われたなら甘んじましょう。
「それじゃ着替え直して、それを買ったら次は……そうね。夏物……神社でお祭りとかやっているし?浴衣とか?」
更衣室の外から太平楽な声を飛ばす。幸いTOKOYOは様々な物を取り扱っているから浴衣だってある。
さしずめ……来るときに通りすがった和装コーナーあたりかしら?
マルレーネ > 「涼しくて動きやすいですし、これなら身体を動かしても問題なさそうですね。」
観点が他人からの視線ではなくて自分の動きやすさだった。
でも、とっても嬉しそう。その理由は自分ですぐに口にする。
「他人に服を選んでもらったのは初めてかもしれません。
……あはは、私はこう、呼び捨ては慣れないので。」
苦笑しながらも、その水着を脱いで。
上からよいしょ、と修道服をかぶるように着用すれば、腕を通して。
「………浴衣って………あれはこう、民族的な……呪術師とかが着るものでは?」
何かいろいろ混ざっていた。首を傾げながらも、カーテンを開けばいつも通りの濃紺一色。
一番落ち着くが、一番味気ない恰好に戻して。
日月 輝 > 「確かに涼しいけど……あ、日焼け止めはきちんと塗りなさいよ」
「特にマリーは肌が白いんだから強めのやつ。じゃないとお肌が真っ赤になっちゃうかも──」
大型犬のようで小型犬のようで、年不相応に可愛らしく振る舞う声にマスク内で眉が寄る。
だからうっかり彼女が忘れそうなことを後付けしてあげようと思うのに、次の言葉で言葉が止まる。
「……ふぅーん。それなら二回目もあたしね。これから他のも見に行くんだし」
止まってしまうの。あたしはきっと聡明だから、マリーのその言葉の意味だって判るもの。
だから納得したようにしてそれでおしまい。服を選ぶ話の一部は便箋にだって記されないわ。
「浴衣は……いや呪術師は着ないでしょ。そうねえ、平たく言うと常世島の母体国家というか……」
「日本って国の伝統衣装よ。ある意味お祭り意匠的な側面もあるのかな……」
カーテンを開けて元の恰好となったマリーに簡潔な説明をしながら来た道を戻って和装コーナーへ。
本格的な着物から今日所謂"浴衣"と呼ばれる色鮮やかな物。
はたまたマワシに忍装束に鎖帷子に武家鎧まで──誰が買うのかしらこういうの……。
再び、そんな事を思う。
「そういえば素肌にこんなの着たって言ってたっけ。なんでそんなことに?」
誰が買うのかもしれない鎖帷子を一瞥しながらに雑談が一つ飛ぶ。
マルレーネ > 「日焼け止め。………泥を塗るみたいなあれですか?」
ワイルドだった。日焼け止めという概念自体はあったが塗るものがワイルドに過ぎた。
旅人感。
「あ、…そうですね! お願いします!
他の物、他の物。………普段、お仕事じゃない時はやっぱり別の恰好の方がいいんですかね?」
首を傾げながら相手に尋ねて。……浴衣について聞く。
「ああ、……そうなんですね。上が真っ白で下が赤い………呪術師かと思っていましたけど。」
巫女と勘違いしている。実際にコーナーにやってこれば、こういうのなんですね、と手を叩いて。成程。
「………ああ、これです? 本当は中にちょっとした厚みのあるものを着るのが普通なんですけど。 ちょっと意地悪されて、すぐ破れちゃったんですよねー。」
とほほー、と肩を落としながら。
「痛いんですよね、この鎖の部分がすごく食い込みますし。 攻撃を受け止めてもその威力で金網叩きつけられてるようなものですから。」
言いながら鎖帷子を眺めて………。 ああ、戦いが無い世界なんだな、なんて改めて実感する。
実用に耐えないことは、一目見て分かった。
日月 輝 > 「んなもん塗ったら病気になるでしょーがっ!?」
泥。
マリーの発想は時々とんでもない方向にカッ飛んで行く。
それが彼女の世界の常識であったと思うと、吃驚して変な声だって出てしまう。
「で、泥は兎も角……そうね。お好みだとは思うけど……複数あってもバチは当たらないというか」
「真夏にまでそういった恰好は大変じゃない?あんたの神様だってさ、それが元で倒れちゃうような事は望まないと思うし」
あたしはそういうキャラじゃないから声を正して衣服について言葉を積み重ねて行く。
紅白については巫女さんと呼ばれる神職の一端である事を説明するでしょうし、
マリーの鎖帷子に対する言葉には呆気に捕われた声が返る。もしかして、結構逞しい?
「へ、へえー……なんか……色々苦労してるのね……おっと、此処が浴衣類のコーナーよ」
会話は進み、足は進んで目的の場所へ。色鮮やかなりし箇所は少なくとも泥臭さとは無縁な感じに溢れている。
「浴衣は柄もそうだけど着方にちょっとコツが要るのよね……」
「あたしみたいな体型なら気にしなくってもいいんだけどさ、マリーみたいに胸が大きいと色々とこう……」
さらしを巻いたり、頑強ではないブラで抑えたり等々。
幸い今の彼女の下着が後者に該当するけれど、多分それでは足りない気がした。
つまりは、結構窮屈な着衣なことをかくかくしかじか的に説明をしていきましょう。
「で、帯なんだけどマリーは勿論出来ないでしょ?あたしが毎回帯結びしてあげる訳にもいかないし」
「──と、そんなニーズもきちんと考えているもので、作り帯という便利な物があるから安心してね」
作り帯。ワンタッチ帯。主に和装に不慣れな人向けに考案されたもので
異世界の方にも安心安全な使い心地を提供してくれる代物。
「ま、うん。今度はマリーが好きな物選ぶといいんじゃないかしら」
「解らなければ教えてあげるし?お気軽にね、ふふふ……」
ともあれ、意地の悪い魔女みたいに笑ってマリーの肩を叩いてあげましょうっと。
ご案内:「扶桑百貨店 ファッションエリア(4~6F)」から日月 輝さんが去りました。<補足:身長155/フリルとリボンにまみれた洋装と靴/目隠しをした少女>
ご案内:「扶桑百貨店 ファッションエリア(4~6F)」からマルレーネさんが去りました。<補足:165cm/金髪碧眼修道服>