2020/07/22 のログ
ご案内:「青垣山 廃神社」に吸血鬼《ヴラド》さんが現れました。<補足:欠けのある狐の面をした黒尽くめ/ヴィランコード:ヴラド>
トゥルーバイツ構成員 > 「……あー、ほんとに居るのか」

何処か静かに一人で『幸せ』に慣れる場所を探した。
誰かに追跡されてるかとは思っていたが。

倒壊した鳥居の向こうに死神のような黒い影。

吸血鬼《ヴラド》 >  
まだ陽の光なき、今。

組織の打ち合わせの後、すぐに一人の人物を見つけて追跡してきた。
ここに辿り着いてから何をするわけでもなく、端末を弄っていた男。

男の名前は知らない。
ただ知っているのは、《トゥルーバイツ》の構成員だという事だ。

何故こんなところに一人でいるのか、運が良ければ聞けると踏んだ。

「……」

ゆっくりと男に向かって歩き出そうとする。

トゥルーバイツ構成員 > 動き出したのを見てナイフを取り出した。

「止まれ。
 知ってるぞ。 聞いているからな、本当にいるとは思わなかったぜ……『俺たち』に構う奴が」

止まってもらわねば困る。
あと少しで『幸せ』になれるところで諦められるわけがない。

吸血鬼《ヴラド》 >  
暗闇の中でも相手が手にしたモノがなにかは分かる。
赤い瞳で相手の挙動は視界に入っていれば分かる。
自棄を起こされても面倒だと素直に足を止める。

「聞いていたか……」

自分のことは過大評価でもされていなきゃ数には数えられちゃいないだろうが、と考え自嘲的な笑いを少し零す。

「……こんなところで何をしようっていうか、気になっただけだ」

少しだけ全身を包む黒い霧を薄めて、口元を見せる。

トゥルーバイツ構成員 > 「へへへ……何をしようだって?
 ただ、俺は普通の学生のままでいたかったんだ。 日常をそのまま過ごしていれるだけでよかったんだ。 明日の授業の事とか……そんななんてことのない毎日があればよかったんだよ」

端末の画面を確かめるように操作して、照らされた顔は頬は痩けて、目の下には大きな隈。
どこか焦点の合っていない目で黒い霧を纏ったヒトを睨む。

ナイフを相手の胸の位置に合わせて構える。

吸血鬼《ヴラド》 >  
「……」

普通の学生のままでいたかった。

思わず、口を閉じた。
その願いは、純粋なように思えた。
この男は―――所謂、落第生なのか。

思わず半歩下がってしまった。

「お前は……」

何か言ってやれるか、
否、ここにいる『俺』に男にかける言葉など持っている訳がない。

トゥルーバイツ構成員 > 構うならば、落第街(じごく)に堕ちた時に構ってくれ。
今更、構うんじゃない。
今更、『お人よし』なんかに救えやしない!
今更、俺の欲した『幸せ』をお前らなんか与えられやしない!

欲しいのは『幸せ』だ。
『お前ら』なんか欲しくはない。

だから

「死ねッッ!」

男の手に構えられていたナイフが消える。
否、射出される。 撃ち出される。
射出機などない。 ナイフを打ち出せるような大きな機器など手にしていない。

これは男の《異能:手に持ったモノを撃ち出す力》だ。

ナイフは―――、

吸血鬼《ヴラド》 >  
ナイフは、右腕に深々と刺さった。

「……ッ!」

激痛。衝撃。

慣れない痛みと衝撃に更に数歩後退する。

何をしやがる―――、そう睨みつけた時に
そいつは満面の笑みを浮かべていた。

トゥルーバイツ構成員 > 端末から丁度、『接続可能』と返答が来た。

『幸せ』の時が来た。
『幸せ』を手にする。
『幸せ』に戻る。

黒い奴とは丁度良く距離ができた。

―――ああ、俺の願いを教えてやろう。

黒い奴に満面の笑みを向けて『接続』する。


「―――俺の人生を『幸せ』に変えてくれ」

こんな『不幸』な俺なんて―――?―アッ???

ご案内:「青垣山 廃神社」にヨキさんが現れました。<補足:29歳+α/191cm/黒髪、金砂の散る深い碧眼、黒スクエアフレームの伊達眼鏡、目尻に紅、手足に黒ネイル/細身の黒バイク用ジャケット、黒七分袖カットソー、細身の濃灰デニムジーンズ、黒革編み上げブーツ、右手人差し指に魔力触媒の金属製リング>
吸血鬼《ヴラド》 > 笑みを浮かべていた男が、なにか呟いて
端末を耳に当てたかと思えば糸の切れた人形のように倒れた。

「……なんだ?」

何が起きたのか。
――俺の人生を『幸せ』に変えてくれ、とかなんとか言ったかと思えば

電池の切れた人形のように倒れた。

ヨキ > 青年たちの争う声から離れた茂みの中に、身を潜める男が一人。
夜の闇の中で、息を殺して二人の様子を窺っていた。

デバイスの光だけが煌々と光る暗闇の中――青年の一人が、地に倒れ伏す。

「……………………」

手袋を嵌めた両手を掲げ、素手で在ることを示しながらヴラドの前へ姿を現す。
長身の男――学園で教鞭を執る、美術教師。
一見すると、夜の廃神社には、あまり縁のなさそうな。

「……君。立ち聞きをして、済まない。無事かね?」

吸血鬼《ヴラド》 >  
呆然と倒れた男を見ていたところに現れた長身の男に思わず身構える。
自身が未熟なのもあるが、気づかなかった。

それに自分は今素手だ。
更に負傷している―――しかし、異能で自身の血液を制御して出血する血を留めている。
ナイフを左手で抜き取る時に幾つか制御がブレて血は出るが、自身の肉体であれば再度制御し直すのは容易い。

欠けた黒い狐の面の隙間から覗く赤い瞳が男を捕らえる。
どこかで見たような気がする顔だが……。
名前や素性は知らない相手だ、と判断する。

「……趣味が悪いな、あんた。
 大した血は出てないだろう? こちらは大丈夫だ」

感情を声に乗せないようにして答えた。
言いながら左手でナイフを構える。

ヨキ > 「よく言われる」

趣味が悪い、と言われれば、そう返して。

「倒れた彼の腕章……《トゥルーバイツ》を追ってきた者だ。
その様子からすると、君はメンバーではなさそうだな。

君も彼を追跡していたクチか?」

仮面の青年がナイフを構えたとて、両手を挙げた姿勢は変わらなかった。
臆する様子ひとつない。

「恐らく、これから少しずつ人が死ぬ」

吸血鬼《ヴラド》 >  
「……ご推察の通りだ。
 奴の言葉を借りるなら『構う奴』の一人だよ」

追ってきた者、か。
意図は分かりかねる。
しかし、長身の男の言葉は気になるものだった。

「少しずつ、死ぬ……?
 すまないが、現状をまだ正しく認識できてないんだが」

視線は男に向けたまま、ナイフの切っ先を倒れた男に向ける。

「……そいつは死んだのか?」

言われてみれば、倒れてからピクリともソイツは動いていない。
呼吸の一つもないように思える。

ヨキ > 「……彼らの前身として、《トゥルーサイト》という違法部活があった」

緩やかに手を下ろす。
仮面の青年との距離は詰めないままに、言葉を続ける。

「彼らは集団で異界の『真理』に接続するという儀式を行い、壊滅した。
そして今回――『トゥルーバイツ』は。

儀式のかたちを変えて、個々人がそれぞれ『真理』に挑んでいるらしい」

倒れた構成員を一瞥する。
死んだのか、と問われて、首肯する。

「そうだ。疑うなら、脈を取ってみればいい。
――『真理』に触れたものは、死ぬ」

低い声で問う。

「彼らを『構う』という君は。
そんな《トゥルーバイツ》を止めるか?」

吸血鬼《ヴラド》 >  
男の言葉を聞き、倒れたそいつの方へとゆっくりと動く。
長身の男とは距離を維持し弧を描くようにして。

「個々人で……だと」

集団で失敗してから、個々人で?
それはなんというか。

一瞬だけ倒れた男の手の位置を確認して、
右手で男の手首を――脈を確認する。

「死にたがりかよ……」

脈はない。
未だ身体に残る熱がつい先程までは確かに彼が生きていたという証明をしている。
男の言う、"真理に触れた者は死ぬ"。
それは正しくここに成っている。

つまり、この地面に落ちた端末こそ彼らを殺す『化け物』への接続の鍵か。
全く、前の人数で足りなかったんだぞ。
個々人で、『私たち』ってそういう事か……?

「……だとしても、
 救えない、手は足りない、そう言いたいのか?
 だが、だとしても」

倒れたソレは間に合わなかった。
けれど、まだ全てが失われたわけじゃない。 終わっちゃいない。
だから、

「俺は、―――俺達は決めている」

長身の男の問いに答えるために、立ち上がる。

「『真理』なんかに命を使わせやしない。
 そんな『願い』は止めてやる。
 全てを止めることは出来ないかも知れない。


 だとしても、それが諦める理由になんてなるかよ」

欠けた面の隙間から見える赤い瞳で長身の男を睨みつける。

ヨキ > 「……それしか方法がないのだ、彼らには」

青年が脈拍を確認する様子を見下ろす。

「出来れば、よく考えたものだ、と言ってやって欲しいね。
以前は――壊滅を招き、“たった一人”しか生き残らなかった。
彼らは今、手数を増やし、手段を講じ、立派に手を尽くしている。

単純に死にたがっているのではない。それだけ叶えたい悲願があるということだ」

瞳の赤と紺碧とが交わる。

「そうか。
――止めようというのだな、君は。……『君ら』は。

自分は、《トゥルーバイツ》を止めるつもりはない。
そうして、彼らを止めようとする者たちのことも。

だが、自分自身の激情に駆られて阻止しようとする者は、到底歓迎出来ない」

まるで午後の教室のように落ち着いた声で、問いを重ねる。
詰問でも、糾弾でもなく。静かな静かな、問い掛け。

「たとえばもし。君の言うとおり、制止が叶ったとして。

……《トゥルーバイツ》の面々が抱える『欠損』を埋めてやれるか?
『真理』に触れなければ到底叶うべくもない願いを目指して、共に歩んでやることが出来るかね?」

問う。問い続ける。目の前の青年が持つ、信念を見定めるかのように。

「《トゥルーバイツ》が挑む、一パーセントの覚悟。
そんな人ひとりの人生に立ち入って、『彼らのためになる』と胸を張れるか?」

吸血鬼《ヴラド》 > 「『彼らのためになる』?
 この世を憎んでるような奴らに言えるか、そんな事」
そう、許せない程に憎い。
 
「それでも、止めるさ、否定してやる。 そんな悲願。

 別に努力するな、と言ってる訳じゃない。
 《トゥルーバイツ》が憎い訳じゃない。

 けれど、
 『真理《外の化け物》』を頼るのは認められない」

叶うはず願いを目指していた者と、共に歩む。

「共にも歩めない。 俺には彼らの『願い』を理解出来ない。
 『願い』を共にみて共に歩むなんて言うのは耳心地のいい『幻想』だ。

 俺に出来るのは『願い』を否定して、"恨まれてやる"。 それだけだ」


そもそもこの男。
段々気に食わなく成ってきた碧を覗き込む。

「あんた『真理』なんて解決にもならないって分かってるだろ。
 じゃなきゃ、"『真理』に触れたものは、死ぬ"なんて簡単に言えないはずだよな」

だとすれば、こいつは―――

「あんた、『悪』い奴だな」

    ・・・・・
右腕から血を伸ばす端末へと。
相手の目的が分からないからこちらが欲しい物は確保はさせてもらおうと《異能》を操り出す。

ヨキ > 「……外の化け物、か」

それだけ言って、ふっと笑う。

「そうだな。君にとっては確かに、『恨まれてやること』……それが正しいのやも知れん。

それでも……『耳心地のいい幻想』。
この島には、それを信じ、多くの人間の人生に立ち入り、ともに歩もうと足掻く者も在るのだ。
その者の名を、『教師』という」

視界の端へ伸びる血を見遣る。
一瞬、半身を青年に向けて身構えかけたが、それ以上に踏み出すことはしなかった。

「ああ。確かに悪党やも知れぬ。だが。――だがな。
簡単に口にしているとは、決して思ってくれるな。

彼は。今そこに倒れている『彼』は――かつての教え子だった」

語調は変わらない。

「彼の名前も。願いも。《トゥルーバイツ》に加入した経緯も知っておる。
たとえ後ろ向きな方法でも。『お人好し』と謗られようとも。彼の望む幸福を、共に目指せなかったとしても――
彼が秘めていた決意を、知っているから。

だから。
……どうか一人でも、『一パーセント』が叶うようにと。
それを見届けるために……《トゥルーバイツ》の面々を追っていた」

事切れた彼が、別れ際、最後の最後に見せた不敵な笑みを、この目に焼き付けているからこそ。

「……ヨキという。学園で、教師をやっている。
《トゥルーバイツ》を止めようという君を、咎めはせぬ。

存分にぶつかり合うがいい。……手緩い真似は、してくれるな」

目の前の青年が、そんな生易しい人物でないことは肌で理解している。
それでも――堂々と素性を明かしたヨキという男は、ここではじめてふっと笑った。

吸血鬼《ヴラド》 >  
「……『教師』ね」

教師か。
言ってることは分かる。
説明されれば、そういう考え方もあるのかと思わされる。

教師という立場、知りもしないその立ち位置を理解なんて出来やしない。
しかして、全てを『知って』そうして今ここにいるというのなら、

敢えて、もう一度口にしよう。

「やっぱ趣味悪いよ、あんた」

血液は器用に端末を掴むとそのまま青年の黒い霧に包まれた身体の中に沈んでいく。

「手なんか抜けるかよ。 決死の相手にそんな事したら、恨まれてもやれなくなる。
                 ・・・・
 ……あんたの名前は覚えておくよ、ヨキ先生」

そう告げると黒い霧が濃くなり出す。
黒が夜明け前の最も暗くなる時間に溶け込んでいく。

ヨキ > 「知ってる」

もう一度、趣味が悪い、と言われれば。
今度はそう答えた。

「そうでもなければ、この島で教師などやってはゆけないのだ」

目を伏せて、笑う。
弁解の余地もない、とばかりに。

「《トゥルーバイツ》の面々が、『真理』に頼る他になかったように。
……ヨキもまた、他の『教え方』を知らぬ」

視線を引き戻す。
端末を手に、霧が闇の中に溶けてゆくのを見届ける。

「ああ、どうぞ覚えておきたまえ。
――君が立ち向かう先を、楽しみにしているから」

狐面の下の、赤い瞳が視界から消えるまで。
ずっとずっと、見据えていた。
隠された容貌を、覚え込むために。

ご案内:「青垣山 廃神社」から吸血鬼《ヴラド》さんが去りました。<補足:欠けのある狐の面をした黒尽くめ/ヴィランコード:ヴラド>
ヨキ > ――仮面の青年が、姿を消したのち。

ヨキは独り、遺体の元へ歩み寄った。

「……………………、■■君」

ぽつりと名前を呼ぶ。
掠れたそれは、死んだ青年のもの。

「駄目だったか」

一人。また一人と。
悲壮な決意を胸に、教え子が去っていく。

無言のまま、遺体をぐっと引き起こす。
神性がらみの膂力で、さながら眠っている人間を抱きかかえるように。

そのまま、歩き出す。

闇の中へ。
闇の中へ。

子を喪う親の悲しみを、いかに言葉に出来ようか?

ご案内:「青垣山 廃神社」からヨキさんが去りました。<補足:29歳+α/191cm/黒髪、金砂の散る深い碧眼、黒スクエアフレームの伊達眼鏡、目尻に紅、手足に黒ネイル/細身の黒バイク用ジャケット、黒七分袖カットソー、細身の濃灰デニムジーンズ、黒革編み上げブーツ、右手人差し指に魔力触媒の金属製リング>