2020/06/26 のログ
ご案内:「落第街・スラム廃棄施設前」に武楽夢 十架さんが現れました。<補足:黒髪赤目、足元が土に汚れた橙色のツナギを来た細身の青年>
武楽夢 十架 > ―――雨は、運良く上がって雲の隙間から天使の階段が降りてきた。
荷車を引いて目立つツナギと同じような色の雨具のフードを後ろに落とした。
「や、お嬢さんいつもの野菜を楽しんでくれてありがとう」
小道から薄汚れたマントで顔と体を隠した如何にも落第街にいそうなその子に橙色の青年は荷車からビニール袋に入れている野菜の詰め合わせを取り出した。
少女は、無言で青年に向かって両手を向けた。
「はい、少し重いけど『お姉さん』にもよろしくね。それと、これを渡しておいてくれると嬉しいかな」
ビニール袋を少女に渡すとポケットからメモ紙を袋の中に落とした。
要件が終わったと理解するのが先か、物音起てずに少女は小道の影へと消えていく。
「最近の女の子は歩くのに足音とかたてないのが流行りなのかね……」
苦笑しながら、今日もいつものように炊き出しを行おう。
週に二回――決まった曜日ではないけど―――行っている。
武楽夢 十架 > 雨上がりで人はあまり居ないかと思ったけど、
炒められる野菜、温められる味噌という食の香りにこの辺りに住むヒトたちは釣られるようにやってくる。
「野菜の人」と知ってる顔からも言われれば、知らない顔からもそう呼ばれる。
この場で炊き出しする者イコール「野菜の人」という図式が出来上がっているのだろう。
この教会だったろう施設は、装飾が削り取られてて小さな礼拝堂みたいな場所は大荒れだけど辛うじて建物のカタチを維持しているから保存の効く食べ物を置いていくのに利用している。
前回来た時に置いていったのも全部キレイに無くなっていると逆にありがたい。
ゴミを残されるのは持って帰らないとな、と考えてしまうので持ち帰って食べてくれるのが一番だ。
「保存食の補充もしたし、あとは野菜炒めと豚汁が売り切れるまで……かな」
愚痴と一緒、最近の様子を聞いていこう。
武楽夢 十架 > 話を聞いていくと近々ある『話し合い[※1]』の事だったりちょっと興味深い話もあった。
「盗賊講座[※2]、ですか…?」
あまり聞き慣れない話だ。
盗賊っていうのは、ファンタジーな創作作品ではよく耳にするが現実に――ああ、いや、魔術が使えるだけで取り敢えず初級を修めた学生はみんな魔術師を名乗れるだろうし、名乗ってないだけで異世界の勇者だとか、聖女なんかもこの世界の何処かにはいるかも知れない。
故に盗賊くらいで疑問に思うのは単純に聞き慣れない単語だったからだろう。
『ま、落第街(ここ)じゃ盗賊って自称するやつも結構いるんだよ。んで結構真面目に盗賊やってる兄ちゃんが真面目にやる気があるなら自分の技術をちょっと教えてやるよって話みたいだぜ』
ナマ言ってるぜ、と筋肉だけで何でも解決しそうなおっさんがそう言いながら張り出されていたという紙を撮影したものを見せてくる。
「あ、これ学園地区ですか?」
そう撮影した場所を確認してみれば、
歓楽街寄りの端っこの方だけどな、と捕捉を得た。
盗賊の技能か……あまり筋肉を使わない技術ならいいかも知れないな。
[※1]【話し合い】
http://guest-land.sakura.ne.jp/tokoyo/pforum/pforum.php?mode=viewmain&l=0&no=60&p=&page=0&dispno=60
[※2]【盗賊講座】
http://guest-land.sakura.ne.jp/tokoyo/pforum/pforum.php?mode=viewmain&l=0&no=58&p=&page=0&dispno=58
武楽夢 十架 > 「俺もちょっと参加してみようか」
そう漏らせば、え?みたいな顔でみられた。
「いや、だって俺って多分あそこでのほほんと豚汁飲んでる子どもたちよりも弱いですよ」
それに体術だとかそういう戦うため――生き残るための技術というのには、これまで縁を持とうとしてこなかった。
そういう意味では、少し先の予定だし日程も組みやすそうだ。
申し訳ないのは、俺は盗賊じゃないってことだろうか。
武楽夢 十架 > 今日はいい収穫があった。
「え、いや、なんでおっちゃんそんな俺を止めようとしてんの?……いやいやいや、技術教わっただけで犯罪者にはならないでしょ?」
この日の炊き出しは、何故か顔見知りに盗賊講座への参加を考え直してくれとしつこく言われた。
今のここの盗賊の多くが暴力によってコトを成す輩ばかりで良い評価の名称ではないと知ったのは後々になってからだった。
ご案内:「落第街・スラム廃棄施設前」から武楽夢 十架さんが去りました。<補足:黒髪赤目、足元が土に汚れた橙色のツナギを来た細身の青年>