2020/07/26 のログ
ご案内:「落第街・スラム廃施設」に武楽夢 十架さんが現れました。<補足:黒髪黒目/橙色のツナギを着た/細身の青年>
武楽夢 十架 >  
26日早朝、武楽夢十架の意識が回復。

事情聴取の結果、彼は誰かに呼び出されたが廃神社に向かう前後の『記憶がない』と証言。
また、彼の異能について確認するも『赤い液体をある程度自由に動かす』程度のはずだというが、
発動確認できず。
異能によって変質したと証言する瞳も普通の『黒』目である。

以上のことから、彼の異能は消失または一時的に使用不可能になっているのだと思われる。
過去の資料と一部風紀委員から証言で
武楽夢十架という人物の行う歓楽街『奥地』での行動に対して、なんらかの行動を行う者がいたのではないかと推定。
暫定的に、彼は被害者として本件では扱っていく。
身体的に怪我がないため彼はこれより退院する。

備考とし、彼が発見時緑髪になっていたのは、記憶操作または通報者が彼を手当した異能の影響を受けた結果ではないかという担当医師の見解が述べられている。(詳細別紙[1]参照)

以上

武楽夢 十架 >  
退院して、監視についてた年下の風紀委員から「根回し大変でしたよ」と苦笑された。
どうにも彼が慕う『先輩』も少し口添えしてくれたようだが、
思ったよりも面倒事にならなかったのは幸いであった。

しかし、高速で移動しているところに地雷を踏んで吹き飛ばされ、
顔から地面に落ちた、はずなのにかすり傷しかないというのは不可解ではあった。

日ノ岡あかねが、止めを刺しに来るならともかく……。
彼女が応急手当などする必要はない。

では、なにがあったのか。
それが分からない。

分からないが、一つハッキリしているのは。



俺の異能は今、消えているということだ。

武楽夢 十架 >  
―――"組織"を裏切った者は異能を消される、とかあるが。

そういう訳じゃないことは、ここに来るまでに部下にも軽く聞いた。
部下を連れずに、彼女の所に行ったこと関しては色々と謝らないといけないとは思うが、
それは個人的な喧嘩に第三者が噛むのは、その結果の後でいいという判断だったが。
見事に行動不能にされた。

別に舐めてた訳じゃない。

ただ、最初からやり合うのも『らしくない』かなと考えただけだった。
それに、彼女の彼に余計な事を言った手前一発手ひどくやられても、

まあ……彼女の友達としては仕方ないとか考えたりもしてた。


砕けた十字架の前に座って、黒い瞳で遠くを見る。

「それでも、死にそうになるような真似をしたのは悪いと思ってるよ」

何処か、笑みを浮かべていて反省の色はあまり無いような顔で
そんな事を言ってのける。

「ごめん」

今、ここには彼の他には誰もいないように見える。
如何なる光学兵器でも異能でも魔術でも彼以外の姿を確認することは出来ない。

しかし。

> 「……ほんと、バカね」
武楽夢 十架 >  
知ってる声がした。
思わず、立ち上がって目を見開いて周囲を見るが
誰もいない。

武楽夢 十架 >  
それは過去を想うがあまり生まれた幻か。

それは青年にも分からない。

けれど、赦された気がした。


彼女と同じ異能を持ってしまったのも。



再び、彼の瞳が『赤く』煌めいたのも。

武楽夢 十架 >  
誰も今この時を、記録できない。

知ることは出来ない。

彼と彼女の物語は、『過去』にあるのだから。

ご案内:「落第街・スラム廃施設」から武楽夢 十架さんが去りました。<補足:黒髪赤目/橙色のツナギを着た/細身の青年>